説明

ナビゲーションシステムおよびナビゲーション方法

【課題】
ドライバが適切な経路を選択することが可能なナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】
ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と、会話コンテンツを記憶した会話コンテンツサーバとを備えている。ナビゲーション装置1は、経路の探索条件として会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力部10と、探索条件入力部10にて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを会話コンテンツサーバから取得する会話コンテンツ取得部12と、会話コンテンツ取得部12にて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索部14と、経路探索部にて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、位置データに対応する会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索および経路案内を行うナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、現在地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。最近では、リアルタイムに渋滞情報を得られるVICSを搭載した装置や、膨大な地図情報を収めたDVDソフトを使える装置も一般的になりつつあり、着々と普及している。
【0003】
現在普及している多くのナビゲーション装置は、設定された目的地までの最適経路を探索し、探索された経路に従って経路案内を行う機能を有する。すなわち、ナビゲーション装置は、目的地まで最短で行くことができる経路を探索する。
【0004】
しかしながら、ドライバのニーズは、必ずしも目的地までの最短経路を探索するということに限られない。例えば観光地等をドライブする場合には、様々な観光名所や見所のスポットに立ち寄りたいというニーズがある。
【0005】
このようなニーズを満たすためのナビゲーション装置が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたナビゲーション装置は、ドライバが観光区域、観光名所のカテゴリ、観光名所の知名度などの選択条件を入力すると、入力された選択条件に合った観光名所を選出し、選出された観光名所を含む経路を探索する。これにより、ナビゲーション装置がドライバの所望する条件を満たす経由地を経由するドライブコースを作成するので、ドライバは、選出された観光名所を巡ることができる。
【特許文献1】特開2005−17206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、観光名所等の一般的情報に基づいてドライブコースを作成しているため、経由する観光名所等がドライバの好みに合致するとは限らない。その上、特許文献1に記載された発明では、ドライバは、ナビゲーション装置が作成したドライブコースや観光名所等を吟味することができない。従って、ナビゲーション装置によって作成されたドライブコースに従ってドライブした結果、ドライブコースが期待に沿うものでなかったということも起こり得る。
【0007】
そこで、本発明は上記背景に鑑み、ドライバが適切な経路を選択することが可能なナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーションシステムは、映像および音声を含む会話データと、その会話に関連する場所を示す位置データと、その会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部と、経路の探索条件として前記会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力部と、前記探索条件入力部にて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを前記会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得部と、前記会話コンテンツ取得部にて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部にて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生部とを備える。
【0009】
このように経路の探索条件として会話コンテンツの一部のデータを入力すると、その探索条件に合った会話コンテンツが取得され、その会話に関連する場所を通る経路が探索される。ここで「その会話に関連する場所」とは、例えば、その会話がなされた場所であってもよいし、その会話によって説明される場所であってもよい。「会話関連データ」とは、例えば、会話の話題やキーワード、会話の盛り上がりの度合い等である。これにより、例えば、会話のキーワードを入力するだけで、そのキーワードに対応付けられた会話に関連する場所(例えば、会話がなされた場所)を通る経路を探索することができる。そして、会話データ再生部が、探索された経路に関連する会話を経路に従って再生するので、その経路でドライブをした場合の様子を知ることができる。これにより、ドライバはその経路での擬似ドライブを体験することができるので、その経路を選択すべきか否かの判断材料を得ることができる。
【0010】
上記ナビゲーションシステムにおいて、前記経路探索部は、複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る複数の経路を探索し、前記会話データ再生部は、前記経路探索部にて探索された複数の経路のそれぞれに対応する会話データを再生し、前記経路探索部にて探索された複数の経路から一の経路の選択を受け付ける経路選択受付部と、前記経路選択受付部にて受け付けた経路の案内を行う経路案内部とを備えてもよい。
【0011】
このように経路探索部が複数の経路を探索し、会話データ再生部がそれぞれの経路について会話データを再生することにより、ドライバは、複数の経路のそれぞれについて擬似ドライブを体験することができるので、これを判断材料として複数の経路の中から所望の経路を選択することができる。
【0012】
上記ナビゲーションシステムは、目的地の設定を受け付ける目的地設定部を備え、前記経路探索部は、前記位置データに示される場所を経由して前記目的地へ行く経路を探索してもよい。
【0013】
このように目的地設定部にて目的地が設定されている場合には、その目的地に至る経路が探索され、その経路での会話データが再生されるので、その経路を選択すべきか否かを判断することができる。
【0014】
上記ナビゲーションシステムにおいて、前記経路探索部は、前記会話コンテンツ取得部にて取得した複数の会話コンテンツのいずれかに会話関連データとして含まれる当該会話をしたドライバの目的地の情報を読み出し、読み出した目的地への経路を探索してもよい。
【0015】
このように会話関連データに含まれている目的地への経路を探索することにより、ドライバが目的地を設定しなくても、適切な目的地への経路案内を行うことができる。
【0016】
本発明のナビゲーション方法は、映像および音声を含む会話データと、その会話に関連する場所を示す位置データと、その会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部をあらかじめ備えておき、経路の探索条件として前記会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力ステップと、前記探索条件入力ステップにて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを、前記会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得ステップと、前記会話コンテンツ取得ステップにて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップにて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生ステップとを備える。
【0017】
この構成により、本発明のナビゲーションシステムと同様に、探索条件に合った会話に関連する場所を通る経路が探索され、会話が経路に従って再生されるので、ドライバはその経路を選択すべきか否かの判断材料を得ることができる。また、本発明のナビゲーションシステムの各種の構成を本発明のナビゲーション方法に適用することも可能である。
【0018】
本発明のプログラムは、入力された探索条件に応じて経路探索するためのプログラムであって、コンピュータに、経路の探索条件として会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力ステップと、前記探索条件入力ステップにて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを、映像および音声を含む会話データとその会話に関連する場所を示す位置データとその会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得ステップと、前記会話コンテンツ取得ステップにて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップにて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生ステップとを実行させる。
【0019】
この構成により、本発明のナビゲーションシステムと同様に、探索条件に合った会話に関連する場所を通る経路が探索され、会話が経路に従って再生されるので、ドライバはその経路を選択すべきか否かの判断材料を得ることができる。また、本発明のナビゲーションシステムの各種の構成を本発明のプログラムに適用することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、探索された経路に関連する会話を、探索された経路において訪れる順番に従って再生するので、その経路でドライブをした場合の様子を知ることができ、ドライバが所望の経路を選択できるというすぐれた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のナビゲーションシステムについて図面を用いて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態のナビゲーションシステムに含まれるナビゲーション装置1の構成を示す図である。図2はナビゲーション装置1と会話コンテンツを提供する会話コンテンツサーバ30によって構成されるナビゲーションシステムを示す図である。
【0023】
(会話コンテンツサーバ)
本実施の形態のナビゲーション装置1の説明に先立って、ナビゲーション装置1に会話コンテンツを提供する会話コンテンツサーバ30について説明する。図2に示すように会話コンテンツサーバ30は、会話コンテンツ記憶部32を備えている。会話コンテンツ記憶部32には、会話データと、その会話がなされた場所を示す位置データと、その会話に関する会話関連データとを含む会話コンテンツを記憶している。
【0024】
図3は、会話コンテンツ記憶部32に記憶された会話コンテンツの例を示す図である。会話データは、映像と音声のデータから構成されている。会話コンテンツは、例えば、ドライブ中の会話をクリッピングして得られる。会話コンテンツ記憶部32には、多数の車両から集められた会話コンテンツが記憶される。なお、会話コンテンツは、ドライブ中の車内での会話をクリッピングしたものに限らず、例えば、観光地や店舗等を紹介する宣伝用の会話データでもよい。
【0025】
会話コンテンツに含まれる会話データは、一の話題から成り立っている。会話中の話題は、キーワードを利用した手法や単語のパターンマッチングなどの手法により検出することができる。会話データは、例えば、ドライブ中の会話から同一の話題が含まれる部分を切り出して生成される。
【0026】
位置データは、会話データとして記憶された会話がなされた場所を示すデータである。位置データは、会話がなされたときの車両の位置を記憶しておく。
【0027】
会話関連データは、会話の話題やキーワード、あるいは会話の盛り上がり度、またはそのときの目的地や経路等の会話に関連したデータである。図3に示す会話関連データは一例であり、図3に示す以外にも様々なデータを会話関連データに含めることができる。このように会話コンテンツに会話関連データを含めておくことにより、会話コンテンツを容易に検索することができるようになる。
【0028】
(会話コンテンツの生成例)
ここで、車内での会話をクリッピングして会話コンテンツを生成する例について説明する。
図4は、会話コンテンツを生成するためのナビゲーション装置3の構成を示す図である。ナビゲーション装置3は、会話データを取得する会話データ取得部40と、会話コンテンツを生成する会話コンテンツ生成部42と、会話コンテンツ生成部42にて生成された会話コンテンツを記憶する会話コンテンツ記憶部56とを備えている。
【0029】
会話データ取得部40は、車内に配置されたカメラ等の撮像装置である。ドライバ席および助手席を撮影するカメラ、ドライバ席から前方を撮影するカメラ等の複数のカメラを配置し、車内での会話および会話がなされたときの外の風景等を撮影する。
【0030】
会話コンテンツ生成部42は、会話データ取得部40にて取得される一連の会話から、話題ごとに会話を切り出し、位置データおよび会話関連データを付加して会話コンテンツを生成する。以下、会話コンテンツ生成部42の構成について具体的に説明する。
【0031】
会話コンテンツ生成部42は、会話データ取得部40にて取得された会話を会話データ分割部44によって分割する。会話データ分割部44は、会話データの音声のサウンドレベルに基づいて会話の間隙を検出し、その間隙を境界として会話データを分割する。会話データ分割部44は、例えば、0.4秒以上の無音区間によって会話の間隙を検出する。以下、分割された会話データを「会話パーツ」という。
【0032】
会話コンテンツ生成部42の単語抽出部46は、それぞれの会話パーツの音声認識を行って、会話パーツに含まれる音声データを文字データに変換し、続いて形態素解析を行って単語を抽出する。
【0033】
会話コンテンツ生成部42の同一話題検出部48は、分割された複数の会話パーツから同一話題の会話パーツを検出する。同一話題検出部48は、会話パーツに含まれる会話内容を利用すると共に、画像取得部58にて取得された画像から話者の非言語(Non−Verbal)情報を利用することによって同一話題を検出する。
【0034】
会話パーツの会話内容を利用して同一話題を検出する方法について説明する。会話コンテンツ生成部42の同一話題検出部48は、単語抽出部46にて各会話パーツから抽出された単語(特に固有名詞と動詞)のオントロジーを解析することによって、話題を分析する。
【0035】
図5は、オントロジー分析のモデルを示す図である。例えば、一の会話パーツから、「なかじ」という名詞が抽出され、他の会話パーツから「あーうる」という名詞が抽出されたとする。この場合、図5に示すオントロジーのモデルを上位に辿ると、いずれも、「日本料理」に含まれることが分かる。従って、「なかじ」が抽出された会話パーツと「あーうる」が抽出された会話パーツとは同一の話題であることが検出される。逆に、オントロジーのモデルを上位に辿っても同じ概念が見出せない場合には、異なる話題であると認識する。なお、図5に示すオントロジー分析モデルは一例であり、この他に様々なモデルがあることはいうまでもない。また、同じ単語でも様々な話題に使用されるので、一の単語に対して複数のオントロジー分析モデルが適用されることもあり得る。
【0036】
非言語情報を利用して同一話題を検出する方法について説明する。画像取得部58は、会話データ取得部40に同期して話者の画像を取得する。画像取得部58は、会話データ取得部40と同じハードウェアによって構成されてもよい。
【0037】
同一話題検出部48は、画像取得部58にて取得した画像に基づいて、ドライバと助手席の人が同じ方向を見ているか否かを検知する。話者が同じ方向を見ている(共同注視している)場合には、両者が見ている方向にある対象について会話をしていると判断し、その時間帯に対応するドライバおよび助手席の人の発話した会話パーツは、同一話題であると判定する。同一話題検出部48は、一方の話者がうなずいている場合にも、うなずきの前後で同一話題であると判定する。同一話題検出部48は、話者が顔を逸らした場合には、話題を変えようとしているしぐさであると判断し、顔を逸らした前後で異なる話題になったと判定する。同一話題検出部48は、会話内容による検出結果と非言語情報による検出結果とに基づいて同一話題を検出することにより、同一話題検出の精度を高めることができる。
【0038】
話題別会話データ生成部50は、同一話題検出部48にて同一話題の会話パーツが検出されると、同一話題の会話パーツを含み、時系列的に連続した話題別の会話データを生成する。すなわち、同一話題の会話パーツの間に、話題の検出されなかった会話パーツや無音の会話パーツなどが存在する場合には、それらの会話パーツも含めてグループ化し、話題別の会話データを生成する。
【0039】
会話コンテンツ生成部42の位置データ付加部52は、位置情報取得部62にて取得した車両の位置情報を会話データに付加する。また、会話関連データ付加部54は、感情認識部64にて認識した話者の感情、キーワード検出部60にて検出されたキーワードを会話関連データとして会話データに付加する。
【0040】
感情認識部64は、生体情報取得部66にて取得した生体情報に基づいて話者の感情を検出する。生体情報取得部66は、例えば、ハンドルに電極を配置し、電位差に心電図を計測する。計測した心電図の情報に基づいて、心拍数や心拍ゆらぎを求める。感情認識部64は、この心拍数に基づいて話者が興奮しているか否かを判定することができる。また、感情認識部64は、心電図成分を分析してR−R間隔を求めることにより、話者がリラックスしているか興奮しているかを判定することができる。
【0041】
キーワード検出部60は、話題別の会話データの中から抽出された単語に、例えば出現頻度に応じたスコアを付けて、スコアに応じてソートし、スコアの高いものからキーワードを決める。また、キーワードに重み付けするために、TF−IDFを利用してもよい。
【0042】
ここでは、会話関連データ付加部54は、感情認識部64にて認識された感情を示すデータ、キーワード検出部60にて検出されたキーワードを会話関連データとして付加しているが、これら以外の会話関連データを付加することとしてもよい。例えば、ナビゲーション装置3に設定されている目的地や経路のデータを付加してもよい。また、会話関連データ付加部54は、天候を示すデータや、ドライバの年齢や性別などのドライバ属性データを付加してもよい。
【0043】
会話コンテンツ生成部42は、生成された会話コンテンツを会話コンテンツ記憶部56に記憶する。なお、会話コンテンツ生成部42は、生成された会話コンテンツのうち、記憶しておく会話コンテンツとそうでない会話コンテンツの取捨選択を行ってもよい。例えば、感情認識部64にて、話者の興奮の度合いが高いと認識した場合に、そのときの会話コンテンツを記憶しておき、逆に話者が会話に興味を持っていないと認識した場合に、会話コンテンツを記憶しないで消去することとしてもよい。また、サウンドレベルの大きさに応じて取捨選択してもよい。すなわち、サウンドレベルが所定の閾値より大きい場合に会話コンテンツを記憶しておき、サウンドレベルが閾値以下の場合に消去してもよい。このように、会話コンテンツを取捨選択することにより、会話コンテンツ記憶部56に記憶されるデータ量を低減することができる。
【0044】
以上説明したような構成のナビゲーション装置3によって、車内での会話を自動的にクリッピングし、会話コンテンツを生成することができる。
【0045】
(ナビゲーション装置)
次に、本実施の形態のナビゲーション装置1について説明する。本実施の形態のナビゲーション装置1は、図1に示すように、経路の探索条件を入力する探索条件入力部10と、探索条件入力部10にて入力された探索条件に基づいて会話コンテンツサーバ30から会話コンテンツを取得する会話コンテンツ取得部12を備えている。また、ナビゲーション装置1は、会話コンテンツ取得部12にて取得した会話コンテンツに基づいて、経路を探索する経路探索部14と、経路探索部14にて探索された経路に従って会話データを編集する会話データ編集部16と、会話データ編集部16にて編集された会話データを再生する会話データ再生部18とを備えている。さらに、ナビゲーション装置1は、経路探索部14にて探索された複数の経路の中から、一の経路の選択を受け付ける経路選択部20と、経路選択部20にて選択された経路に従ってナビゲーションを行う経路案内部22とを備えている。以下、ナビゲーション装置1の各構成要素について説明する。
【0046】
探索条件入力部10は、経路の探索条件として会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける。本実施の形態のナビゲーション装置1は、経路の探索条件として単語の入力を受け付け、この単語を会話関連データに含む会話コンテンツを会話コンテンツサーバ30から取得する。
【0047】
探索条件入力部10は、音声によって探索条件の入力を受け付ける。探索条件入力部10は、入力された音声を認識して文字データに変換する音声認識機能と、文字データから探索条件となる単語を抽出する形態素解析機能を有している。探索条件入力部10は、入力された単語を会話コンテンツ取得部12に通知する。
【0048】
会話コンテンツ取得部12は、探索条件入力部10より通知された単語を検索条件とする検索要求を通信部24を通じて会話コンテンツサーバ30に送信する。また、会話コンテンツ取得部12は、検索要求に応じて会話コンテンツサーバ30から送信される会話コンテンツを取得する。会話コンテンツ取得部12は、取得した会話コンテンツを経路探索部14に渡す。
【0049】
経路探索部14は、会話コンテンツ取得部12にて取得した会話コンテンツに含まれる位置データに基づいて、経路探索を行う機能を有する。経路探索部14は、会話コンテンツ取得部12にて取得された複数の会話コンテンツのそれぞれから、位置データを抽出し、その位置データが示す場所を通る経路を探索する。経路探索部14が探索する経路に、取得した会話コンテンツの位置データが示す場所のうちの何箇所を含めるかは、適宜設定することができる。経路探索部14は、設定された個数の場所を通る経路を探索する。なお、あらかじめ目的地が設定されている場合には、経路探索部14は、会話コンテンツの位置データで示す場所を経由して目的地に行く経路を探索する。経路探索は、例えば、道路ネットワークのリンクあるいはノードに対して定義された正の値を持つコスト重みの経路に渡る和を用いてダイクストラ法を適用することによって行なうことができ、設定された個数の場所を通過する経路のうち、コスト重みの和が小さい経路から優先的に探索を行なうようにすることができる。
【0050】
会話データ編集部16は、会話コンテンツの会話データを、探索された経路に従って再生できるように編集する機能を有する。探索された経路において、位置データに従って会話コンテンツが登場する順番を判定し、会話コンテンツが登場する順番に従って、会話データをつなぐ。この際、会話データをつなぐルールをあらかじめ定めておき、そのルールに従って会話データを編集してもよい。例えば、ドライバ席から前方を写した映像の後には、助手席の人の映像をもってくるというルールをあらかじめ定めておき、このようなルールに従って、会話データを編集する。
【0051】
会話データ再生部18は、会話データ編集部16にて編集された会話データを再生する機能を有する。
【0052】
経路選択部20は、経路探索部14にて探索された複数の経路の中から、一の経路の選択を受け付ける。なお、経路探索部14にて探索された経路が単一の経路である場合には、経路選択部20は、その経路を採用するか否かの選択を受け付ける。経路案内部22は、経路選択部20にて選択された経路を案内経路として設定し、ナビゲーションを行う。
【0053】
次に、本実施の形態のナビゲーションシステムの動作について説明する。
図6は、本実施の形態のナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。本実施の形態のナビゲーション装置1は、まず、探索条件入力部10にて、探索条件の入力を受け付ける(S10)。探索条件入力部10は、音声によって探索条件を受け付ける。例えば、「富士山が見えるコース」等の探索条件を受け付ける。探索条件入力部10は、入力された音声データから単語を抽出する。この例では、例えば「富士山」「見える」が抽出される。探索条件入力部10は、抽出された単語を会話コンテンツ取得部12に通知する。
【0054】
会話コンテンツ取得部12は、探索条件入力部10より通知された単語を会話コンテンツの検索条件とする検索要求を会話コンテンツサーバ30に送信する(S12)。会話コンテンツサーバ30は、検索要求を受信すると(S14)、検索条件の単語を会話関連データに含む会話コンテンツを検索し(S16)、検索された会話コンテンツをナビゲーション装置1に送信する(S18)。
【0055】
ナビゲーション装置1は、会話コンテンツサーバ30から送信された複数の会話コンテンツを受信し、検索条件に対応した会話コンテンツを取得する(S20)。ナビゲーション装置1は、受信した会話コンテンツから会話がなされた場所を示す位置データを抽出する(S22)。そして、ナビゲーション装置1は、抽出した位置データで示される場所を通る経路を探索する(S24)。
【0056】
図7は、ナビゲーション装置1の経路探索部14にて経路を探索した例を示す図である。複数の会話コンテンツのそれぞれに含まれる位置データとして位置A〜位置Eが抽出されたときに、位置A〜位置Eを通る経路が探索された例を示している。第1の経路R1は、現在位置から位置A、位置Bを通って位置Cに至る経路であり、第2の経路R2は、現在位置から位置D、位置Eを通って位置Cに至る経路である。ここでは、経路探索部14は、現在位置から位置Cに至る経路を探索しているが、位置A、位置B、位置C、位置E、位置Dを順に通って現在位置に戻る経路を探索してもよい。
【0057】
次に、ナビゲーション装置1の会話データ再生部18は、探索された経路に対応する会話データを再生する(S26)。図7に示す例では、会話データ再生部18は、経路R1に対応して、位置Aでなされた会話、位置Bでなされた会話、位置Cでなされた会話を順に再生し、経路R2に対応して、位置Dでなされた会話、位置Eでなされた会話、位置Cでなされた会話を順に再生する。これにより、ドライバは、再生される会話データによって経路R1、経路R2のそれぞれの経路をとったときの様子を把握することができる。
【0058】
ナビゲーション装置1は、複数の経路のうちのいずれの経路をとるかの選択を受け付ける(S28)。図7に示す例では、経路1と経路2のいずれを採用するかの選択を受け付ける。ナビゲーション装置1は、経路の選択を受け付けると、選択された経路でナビゲーションを行う(S30)。
以上、第1の実施の形態のナビゲーションシステムの構成および動作について説明した。
【0059】
第1の実施の形態のナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1にて、経路探索条件に応じて取得した会話コンテンツを経路で登場する順番で再生することにより、ドライバは探索された経路でなされた会話を聞くことができ、探索された経路をとった場合のイメージを掴むことができる。これにより、ドライバは、探索された経路をとるべきか否かを具体的なイメージに基づいて判断することが可能となる。
【0060】
また、第1の実施の形態のナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1にて、ドライバの所望のドライブコースを表す言葉を経路の探索条件として入力すれば、入力された言葉に含まれる単語に基づいて会話コンテンツを取得し、取得した会話コンテンツがなされた場所を通る経路が探索される。ドライバは、目的地や経由地等をあらかじめ決めていなくても、自分の行きたい場所に関連する単語を入力するだけで経路探索を行えるので、便利である。
【0061】
なお、上記した実施の形態では、ナビゲーション装置1は目的地を設定しておらず、会話コンテンツに含まれる位置データの一つを最終の経由地(位置C)としている。経路探索部14は、会話コンテンツの会話関連データに含まれている当該会話をしたドライバが向かった目的地を、経路探索を行ったドライバの目的地として設定することとしてもよい。
【0062】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のナビゲーションシステムは、第1の実施の形態においてナビゲーション装置1と会話コンテンツサーバ30が備えていた各機能をナビゲーション装置が備えている。図8は、第2の実施の形態のナビゲーション装置2の構成を示す図である。ナビゲーション装置2は、第1の実施の形態のコンテンツ記憶部32に相当する会話コンテンツ記憶部26を備えている。会話コンテンツ記憶部26には、図4で説明したような構成によって、車両でなされた会話からクリッピングされた会話コンテンツが記憶されている。すなわち、第2の実施の形態において、会話コンテンツ記憶部26に記憶された会話コンテンツは、自車両においてなされた会話データに基づく会話コンテンツである。第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、ドライブ中に自車内でなされた会話から会話コンテンツを取得して記録しておくために、図4に示すナビゲーション装置1の構成を備えることとしてもよい。
【0063】
第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、会話コンテンツを会話コンテンツサーバ30ではなく、会話コンテンツ記憶部26から取得する点を除いて、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同じ動作をする。
【0064】
第2の実施の形態のナビゲーション装置2は、探索条件入力部10にて探索条件を入力することにより、自車両でなされた会話コンテンツの中から、探索条件に合った会話コンテンツが抽出され、経路が設定される。これにより、ドライバが以前に行った場所が経路として設定され、経路と共にその経路上にある場所でなされた会話データが再生されるので、ドライブの楽しい思い出を振り返ることができる。
【0065】
以上、本発明のナビゲーション装置について、実施の形態を挙げて詳しく説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
本発明のナビゲーションシステムを構成する各構成要素を、ネットワーク等を介して複数の装置に分担することが可能である。また、その機能分担の仕方は、ナビゲーションシステムの構成に応じて適宜決定することができる。すなわち、第1の実施の形態のように会話コンテンツサーバ30に会話コンテンツを記憶しておき、ナビゲーション装置1にて経路探索をすることもできる。また、第2の実施の形態のように、ナビゲーション装置2にナビゲーションシステムを構成するすべての構成を持たせることもできる。
【0067】
上記した実施の形態と異なる機能分担の例としては、第1の実施の形態において、会話コンテンツサーバに経路探索機能を持たせることとしてもよい。これにより、各ナビゲーション装置にて経路探索を行う必要がなくなる。また、会話コンテンツを記憶する会話コンテンツサーバと、経路探索をする経路探索サーバと、探索条件を入力するナビゲーション装置とを別々に設けてもよい。この場合、ナビゲーション装置から入力された探索条件を経路探索サーバに送信し、経路探索サーバが会話コンテンツサーバから受信した会話コンテンツに基づいて経路を探索し、探索結果をナビゲーション装置に送信する。
【0068】
上記実施の形態では、探索条件入力部10が、音声によって探索条件の単語を入力する例について説明しているが、探索条件入力部10は、例えば、映像の一部を探索条件として受け付けてもよい。会話コンテンツサーバ30は、映像の一部を検索条件とする検索要求を受信した場合には、検索条件の映像に近い映像を含む会話コンテンツを検索する。また、探索条件入力部10は、写真をスキャナで読み取り、その写真に近い映像を含む会話コンテンツを検索することとしてもよい。また、探索条件入力部10は、位置を示すデータを探索条件として受け付けてもよい。
【0069】
また、上記した第1のナビゲーション装置1は、様々な会話コンテンツを記憶した会話コンテンツサーバ30と接続されているので、会話コンテンツを利用して所望の情報を検索することも可能である。すなわち、ドライバから所望の情報についてのキーワードが入力されると、ナビゲーション装置1は、そのキーワードを含む会話コンテンツを会話コンテンツサーバ30から取得し、会話データを再生する。これにより、ドライバは、キーワードに関連する会話を聞いて、所望の情報を得ることができる。
【0070】
例えば、ある地方に行ったときに、探索条件入力部10にて「おいしいラーメン屋はない?」等の質問を受け付けると、探索条件入力部10は入力された質問から「おいしい」「ラーメン屋」という単語を抽出し、会話コンテンツ取得部12に通知する。ナビゲーション装置1の会話コンテンツ取得部12は、探索条件入力部10から通知された単語と、車両の現在位置の情報とを検索条件とする検索要求を会話コンテンツサーバ30に送信する。会話コンテンツサーバ30が検索条件に合致した会話コンテンツをナビゲーション装置1に送信し、ナビゲーション装置1は、受信した会話データを再生する。これにより、質問に対する答えとして会話データが再生され、例えば「この辺でおいしいラーメン屋といえば、・・・だよね」等というように、会話形式で答えを得ることができる。
【0071】
さらに、ドライブ中の会話とは別に、観光名所や店舗等を紹介する会話データと、その位置データを関連付けた会話コンテンツを作成して会話コンテンツサーバに記憶しておくことにより、観光名所や店舗への経路を設定することが可能となる。
【0072】
上記した実施の形態では、ナビゲーションシステムおよびその動作について説明したが、本発明は、上記したナビゲーションシステムによる処理をコンピュータによって実行させるプログラムも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明は探索された経路の擬似ドライブを体験でき、ドライバが所望の経路を選択できるというすぐれた効果を有し、ナビゲーションシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態のナビゲーション装置と会話コンテンツサーバを示す図である。
【図3】会話コンテンツ記憶部に記憶された会話コンテンツの例を示す図である。
【図4】会話コンテンツを取得するナビゲーション装置の例を示す図である。
【図5】話題を検出するオントロジーのモデルの例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図7】第1の実施の形態のナビゲーション装置による経路探索例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1,2,3 ナビゲーション装置
10 探索条件入力部
12 会話コンテンツ取得部
14 経路探索部
16 会話データ編集部
18 会話データ再生部
20 経路選択部
22 経路案内部
24 通信部
26 会話コンテンツ記憶部
30 会話コンテンツサーバ
32 会話コンテンツ記憶部
40 会話データ取得部
42 会話コンテンツ生成部
44 会話データ分割部
46 単語抽出部
48 同一話題検出部
50 話題別会話データ生成部
52 位置データ付加部
54 会話関連データ付加部
56 会話コンテンツ記憶部
58 画像取得部
60 キーワード検出部
62 位置情報取得部
64 感情認識部
66 生体情報取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像および音声を含む会話データと、その会話に関連する場所を示す位置データと、その会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部と、
経路の探索条件として前記会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力部と、
前記探索条件入力部にて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを前記会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得部と、
前記会話コンテンツ取得部にて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部にて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生部と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記経路探索部は、複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る複数の経路を探索し、
前記会話データ再生部は、前記経路探索部にて探索された複数の経路のそれぞれに対応する会話データを再生し、
前記経路探索部にて探索された複数の経路から一の経路の選択を受け付ける経路選択受付部と、
前記経路選択受付部にて受け付けた経路の案内を行う経路案内部と、
を備える請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
目的地の設定を受け付ける目的地設定部を備え、
前記経路探索部は、前記位置データに示される場所を経由して前記目的地へ行く経路を探索する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記経路探索部は、前記会話コンテンツ取得部にて取得した複数の会話コンテンツのいずれかに会話関連データとして含まれる当該会話をしたドライバの目的地の情報を読み出し、読み出した目的地への経路を探索する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
映像および音声を含む会話データと、その会話に関連する場所を示す位置データと、その会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部をあらかじめ備えておき、
経路の探索条件として前記会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力ステップと、
前記探索条件入力ステップにて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを、前記会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得ステップと、
前記会話コンテンツ取得ステップにて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップにて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生ステップと、
を備えるナビゲーション方法。
【請求項6】
入力された探索条件に応じて経路探索するためのプログラムであって、コンピュータに、
経路の探索条件として会話コンテンツの一部のデータの入力を受け付ける探索条件入力ステップと、
前記探索条件入力ステップにて入力された探索条件に対応するデータを含む複数の会話コンテンツを、映像および音声を含む会話データとその会話に関連する場所を示す位置データとその会話に関する会話関連データとを対応付けて会話コンテンツとして記憶した会話コンテンツ記憶部から取得する会話コンテンツ取得ステップと、
前記会話コンテンツ取得ステップにて取得した複数の会話コンテンツの位置データが示すそれぞれの場所を通る経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップにて探索された経路において、それぞれの位置データが示す場所を通る順番に、前記位置データに対応する前記会話コンテンツの会話データを再生する会話データ再生ステップと、
を実行させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−256198(P2007−256198A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83699(P2006−83699)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】