説明

ナビゲーションシステムおよび地図印刷媒体を用いた地点の選択方法

【課題】地図帳などの地図印刷媒体の地図に対して特段の制限を加えることなく、読取機器が読み取った地図中の地点を特定可能とすること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1の読取機器3は、地図印刷媒体2において、地図12と重ねて印刷されているパターン14を読み取る。第一生成手段49は、読取機器3によるパターン14の読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報から、属性情報の一部と照合される部分情報39を生成する。第二生成手段50は、部分情報39と結合されることで地点データベース42から1つの地点の位置情報を抽出可能な補完情報40を生成する。抽出手段52は、部分情報39に補完情報40を結合させた探索条件41と合致する属性情報に対応付けられている地点の位置情報を地点データベース42から抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよび地図印刷媒体を用いた地点の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、目的地等の位置情報に基づいて経路を判断する推奨経路探索手段と、この推奨経路探索手段により判断された経路を表示する経路表示手段とを備えてユーザを目的地へと誘導する経路誘導装置を具備するナビゲーションシステムを開示する。このナビゲーションシステムでは、位置指示装置がシート状の地図表示手段を読み取り、経路誘導装置が位置指示装置からの位置情報を受信する。また、位置情報提供手段は、位置情報提供層に印刷されたドットパターンによって、地図シート上におけるペン先部の位置情報を提供する。
【0003】
【特許文献1】特開2003−287432号公報(特許請求の範囲、図5、段落0037など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションシステムにおいて、ルート探索をする場合、目的地やその途中の立ち寄り地などの地点を選択する必要がある。この地点選択のために、ユーザは、表示地図中の地点などをタッチパネルにより選択したり、所望の地点の住所や電話番号などをリモコン操作により入力したり、所望の施設名などを音声により入力したりする。そして、ナビゲーションシステムは、選択された地点の情報を探索条件として用いて地図データベースを探索し、ユーザが望む地点の緯度経度値を得て、その地点を用いた案内経路を探索する。
【0005】
しかしながら、所望の地点の地図を表示させるためには、ユーザは、表示地図の縮尺を切り替える操作や表示範囲を切り替える操作をする必要がある。特に、個人宅などの所在地を選択する場合、ユーザは事前にその所在地を正確に知る必要があり、しかも、その所在地を表示するまでの操作が煩雑となる。また、地点の住所、施設名などを入力する場合、ユーザはその住所のすべての正確な漢字つづりや施設の正式なフルネームなどを知る必要がある。
【0006】
そこで、特許文献1にあるように、地図シートなどの地図印刷媒体に媒体面上の位置を示す情報へ変換可能なパターンを印刷し、位置情報提供手段などの読取機器によりこのパターンを読み取り、これにより読取機器が読み取った地図中の地点を特定することが考えられる。この場合、ユーザは、地図印刷媒体において地点を選択することにより、所望の地点を正しく且つ簡単に選択することが可能となる。ユーザは、地図の縮尺を切り替える操作をしたり、表示範囲を切り替える操作をしたり、その住所のすべての漢字つづりを入力したり、施設の正式なフルネームを入力したりする必要がない。
【0007】
しかしながら、読取機器が読み取った地図中の地点を特定可能とするためには、その前提として、地図印刷媒体においてユーザが選択したい各地点が他の地点と区別できるように印刷されていなければならない。また、地図印刷媒体に対して印刷可能なパターンの印刷サイズや読取機器によるパターンの読取分解能にも限界があるため、各地点は、それぞれに対応するパターンが読取機器により読取可能となるサイズあるいはそれ以上のサイズにより、地図印刷媒体に印刷されていなければならない。その結果、読取機器により読み取られる地図印刷媒体においては、印刷可能な地図の縮尺の小ささに限界が生じる。たとえば地点を番地レベルで細かく特定可能とするためには、地図の縮尺を2万5000分の1あるいはそれより大きくする必要がある。読取機器により読み取られる地図印刷媒体は、ある縮尺以上に小さい縮尺の地図を印刷することができない。
【0008】
本発明は、地図帳などの地図印刷媒体の地図に対して特段の制限を加えることなく、読取機器が読み取った地図中の地点を特定可能なナビゲーションシステムおよび地図印刷媒体を用いた地点の選択方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るナビゲーションシステムは、媒体面上の位置を示す情報へ変換可能なパターンが地図と重ねて印刷される地図印刷媒体と、パターンを読み取る読取機器と、地図中の各地点の経路探索に用いる位置情報に対して、それぞれの地点に固有の属性情報であって地域毎に共通する情報を含むものが対応付けられた地点データベースと、読取機器によるパターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報から、属性情報の地域毎に共通する情報と照合される部分情報を生成する第一生成手段と、部分情報と結合されることで地点データベースを用いた地点抽出処理より1つの地点の位置情報を抽出することが可能な補完情報を生成する第二生成手段と、部分情報に補完情報を結合させた探索条件と合致する属性情報に対応付けられた地点の位置情報を地点データベースから抽出する抽出手段と、を有するものである。
【0010】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地点データベースが記憶する地点に固有の属性情報は、番地を含む住所である。そして、第一生成手段は、読取機器によるパターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報に対して、各地点の住所の町名までの分類が対応付けられた変換データベースを用いて、住所の番地を除く部分からなる部分情報を生成する。また、第二生成手段は、抽出手段において住所の番地と照合される補完情報を生成する。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、第二生成手段は、読取機器の軌跡に対する文字認識処理により、補完情報を生成する。
【0012】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、ナビゲーションシステムは、さらに、部分情報により特定される地点を含む地図、並びに部分情報および補完情報により特定される地点を含む地図を呈示する呈示手段を有する。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地図印刷媒体には、地図範囲と文字入力範囲とが媒体面を分けて設けられる。ナビゲーションシステムは、さらに、読取機器によるパターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報が地図範囲および文字入力範囲の中のいずれに属するかを判断する判断手段を有する。そして、第一生成手段は、判断手段により媒体面上の位置を示す情報が地図範囲内であると判断された場合に、その媒体面上の位置を示す情報から部分情報を生成する。また、第二生成手段は、判断手段により媒体面上の位置を示す情報が文字入力範囲内であると判断された場合に、その媒体面上の位置を示す情報から補完情報を生成する。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、第二生成手段は、判断手段により媒体面上の位置を示す情報が文字入力範囲内であると判断された場合であって、さらに第一生成手段により部分情報が生成されているときに、その媒体面上の位置を示す情報から補完情報を生成する。また、抽出手段は、第二生成手段により補完情報が生成された場合に、探索条件と合致する地点の位置情報を抽出する。
【0015】
本発明に係る地図印刷媒体を用いた地点の選択方法は、地図印刷媒体に印刷された地図中の各地点の経路探索に用いる位置情報に対して、それぞれの地点に固有の属性情報であって地域毎に共通する情報を含むものが対応付けられた地点データベースから、地点を選択する方法である。そして、この地点の選択方法は、媒体面上の位置を示す情報へ変換可能なパターンが地図と重ねて印刷される地図印刷媒体を読取機器により読み取るステップと、読取機器によるパターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報から、属性情報の地域毎に共通する情報と照合される部分情報を生成するステップと、部分情報と結合されることで地点データベースを用いた地点抽出処理より1つの地点の位置情報を抽出することが可能な補完情報を生成するステップと、部分情報に補完情報を結合させた探索条件と合致する属性情報に対応付けられた地点の位置情報を地点データベースから抽出するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、読取機器の読み取りに基づいて得られる情報を加工して、地図中の読取地点を詳細に特定する情報を生成することにより、地図帳などの地図印刷媒体の地図に対して特段の制限を加えることなく、読取機器が読み取った地図中の地点を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよび地図印刷媒体を用いた地点の選択方法を、図面に基づいて説明する。なお、ナビゲーションシステムは、カーナビゲーションシステムを例に説明する。地図印刷媒体を用いた地点の選択方法は、カーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示すシステム構成図である。カーナビゲーションシステム1は、複数の地図が印刷された地図印刷媒体としての地図帳2と、地図12中の地点を選択するための読取機器としての電子ペン3と、電子ペン3と通信可能なナビゲーション本体4と、を有する。なお、ナビゲーション本体4は、車両に対して固定的に設置されていても、着脱可能に設置されていてもよい。
【0019】
図2は、図1中の地図帳2の1枚の紙面11を示す説明図である。図2(A)は、紙面11に印刷される可視記事であり、図2(B)は、紙面11に印刷されて電子ペン3により読取可能なドットパターン14である。
【0020】
図2(A)に示すように、地図帳2の紙面11の中央には所定の地域を所定の縮尺(たとえば10万分の1)で表した地図12が印刷されている。また、この地図12が印刷される地図範囲の下側には、電子ペン3により番地などの数値を書き込むための番地記入エリア(文字入力範囲)13が印刷されている。
【0021】
なお、図2(A)において、地図(地図範囲)12の中心部分の点線四角形は「東京都八王子市石川町」の範囲を示すものであり、×点は後述するユーザが目的地に設定したい地点(の所在地)であり、番地記入エリア13中の文字列「2967−3」は電子ペン3により書き込まれた番地である。これら点線四角形、×点および文字列は、地図帳2に印刷されていない。
【0022】
この地図帳2の紙面11には、また、図2(B)に示すように、複数のドットからなるドットパターン14が印刷される。ドットパターン14は、たとえば赤外線を吸収するインクにより、地図12の下側に重ねて紙面11の全面にわたって印刷される。そして、このドットパターン14は、たとえば6×6個のドットにより、紙面11中の位置を示す情報としての座標値へ変換可能なものである。この紙面11中の各位置を示す座標値は、たとえば図2(B)での紙面11の左上角を基準として、(x,y)により表される二次元の座標値である。
【0023】
なお、地図(地図範囲)12と番地記入エリア13とは紙面11を分けて印刷されている。そのため、地図(地図範囲)12と重なるドットから得られる座標値の範囲と、番地記入エリア13と重なるドットから得られる座標値の範囲とは互いに重なることはない。座標値により、地図(地図範囲)12と番地記入エリア13とを判別することが可能である。
【0024】
図3は、図1のカーナビゲーションシステム1の詳細な構成を示すブロック図である。
【0025】
電子ペン3は、図1に示すようにペン形状のハウジングを有する。そして、このハウジング内に、赤外線LED(Light Emitting Diode)21、赤外線カメラ22、通信I/F(Inter Face)23、これらが接続されるマイクロコンピュータ24、これらに給電する図示外のバッテリなどを有する。
【0026】
また、電子ペン3のマイクロコンピュータ24は、時刻や経過時間などを計測するタイマ25、読取データ26などを記憶するメモリ27、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。CPUは、メモリ27に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン3のマイクロコンピュータ24には、座標読取部28、送信部29などの機能が実現される。
【0027】
赤外線カメラ22は、たとえば赤外線用のCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサであり、受光した赤外線のパターンデータをマイクロコンピュータ24へ周期的に出力する。そして、赤外線LED21および赤外線カメラ22は、電子ペン3のペン先に向けて配設される。これにより、電子ペン3の赤外線カメラ22は、赤外線LED21がペン先に向けて照射した赤外線の地図帳2の紙面11による反射光を受光し、そのペン先付近のドットパターン14を周期的に読取ることになる。
【0028】
座標読取部28は、赤外線カメラ22から周期的に供給される各パターンデータを解析し、各パターンデータにコード化されている読取座標値を生成する。座標読取部28は、生成した読取座標値に、タイマ25で計測される現在時刻を対応付けて、メモリ27に記憶させる。これにより、メモリ27には、読取データ26が記憶される。
【0029】
通信I/F23は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)I/Fである。USBI/Fは、USBケーブル(通信ケーブル)5により接続された他の機器のUSBI/F(ここではナビゲーション本体4の通信I/F31)との間でデータを送受信する。なお、通信I/F23は、この他にもたとえばE/N(Ethernet(登録商標))ケーブルなどの通信ケーブルにより他の機器と接続されることにより通信をするものであっても、所謂ブルートゥース、赤外線通信、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信により他の機器と通信するものであってもよい。
【0030】
送信部29は、電子ペン3の通信I/F23による通信を管理する。送信部29は、たとえばメモリ27に記憶させる読取データ26を受信部(ここでは後述するナビゲーション本体4の受信部48)へ送信する。
【0031】
ナビゲーション本体4は、通信I/F31、呈示手段としての表示デバイス32、タッチパネルなどの入力デバイス33、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信デバイス34、これらが接続されるマイクロコンピュータ35などを有する。
【0032】
ナビゲーション本体4のマイクロコンピュータ35は、メモリ36、図示外のCPUなどを有する。メモリ36は、受信データ37、変換データベースとしての変換テーブル38、部分情報としての部分データ39、補完情報としての補完データ40、探索条件データ41、地点データベースとしての住所データベース42、抽出地点リスト43、ナビゲーションデータ44、案内経路データ45などの各種のデータを記憶する。なお、受信データ37、部分データ39、補完データ40、探索条件データ41、抽出地点リスト43、案内経路データ45などは、ナビゲーション本体4での各種の処理により生成されるデータであり、たとえばナビゲーション本体4の起動時にはメモリ36に記憶されていない。
【0033】
また、CPUは、メモリ36に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体4のマイクロコンピュータ35には、現在位置生成部46、UI(User Interface)部47、受信部48、変換部49、文字認識部50、探索条件生成部51、地点抽出部52、経路探索部53などの機能が実現される。
【0034】
なお、上述した電子ペン3のメモリ27に記憶される図示外のプログラムおよびナビゲーション本体4のメモリ36に記憶される図示外のプログラムは、これらの機器の出荷前にこれらのメモリ27,36に記憶されたものであっても、これらの機器の出荷後にこれらのメモリ27,36に記憶されたものであってもよい。また、これらのメモリ27,36に記憶されるプログラムの一部が、これらの機器の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にこれらのメモリ27,36に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0035】
また、ナビゲーション本体4のメモリ36に記憶されるプログラムおよび上述した各種のデータは、その一部あるいは全部が、マイクロコンピュータ35以外のたとえばHDDなどの外部記憶デバイスや、ナビゲーション本体4と着脱可能なたとえばメモリカードやCD−ROMなどに記憶されていてもよい。特に、変換テーブル38は、地図帳2の印刷内容と密接に関連するデータを有するものである。そのため、変換テーブル38は、ナビゲーション本体4から着脱可能なメモリカードに記憶され、地図帳2とともにユーザへ提供されるようにするとよい。これにより、ナビゲーション本体4は、各地図帳2などに対応するメモリカードが交換して装着されることで、複数の地図帳2などに対応することが可能となる。
【0036】
現在位置生成部46は、GPS受信デバイス34が受信した電波に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成する。なお、ナビゲーション本体4にジャイロセンサやD(Differential)−GPS用のFM(Freqency Modulation)電波などを受信する機能を有する場合、現在位置生成部46は、これらの機能により得られる情報に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成したり、これらの機能に基づいてGPS受信デバイス34に基づいて生成した緯度経度値を補正したりするようにしてもよい。
【0037】
UI部47は、ナビゲーション本体4の表示デバイス32に地図12や文字などを表示させる。また、UI部47は、入力デバイス33の操作に応じてメモリ36などから必要なデータを取得し、表示デバイス32に表示させる。
【0038】
受信部48は、ナビゲーション本体4の通信I/F31による通信を管理する。そして、受信部48は、送信部(ここでは電子ペン3の送信部29)から受信したデータをメモリ36に記憶させる。これにより、メモリ36には、受信データ37が記憶される。なお、読取データ26を受信した場合、メモリ36には、読取データ26と同じデータを有する受信データ37が記憶されることになる。
【0039】
第一生成手段および判断手段の一部としての変換部49は、受信データ37および変換テーブル38を用いて部分データ39を生成し、メモリ36に保存する。これにより、メモリ36には、部分データ39が記憶される。なお、部分データ39は、たとえば住所の町名までの番地を除く部分のデータを有する。
【0040】
図4は、図3中の変換テーブル38のデータ構造の一例を示す説明図である。変換テーブル38は、地図帳2において地図12と重ねて印刷されているドットパターン14から得られる複数の座標値を有する。また、変換テーブル38において、各座標値には、その座標値がコード化されたドットパターン14と重ねて印刷される地図12中の地点の部分的な住所を示す変換データが対応付けられている。具体的には、住所の町名までの、番地を除く部分のデータが、変換データとして対応付けられている。
【0041】
図4において、たとえば図4中の上から6番目の座標値(x1,y6)には「東京都八王子市石川町」の変換データが対応付けられている。この「東京都八王子市石川町」は、たとえば「東京都八王子市石川町2967−3」という住所の町名までの、番地を除く部分に相当する。後述する図5の住所データベース42に示すように、「東京都八王子市石川町」にはこの他にも「東京都八王子市石川町2967−4」という住所が存在する。すなわち、「東京都八王子市石川町」という変換データは、住所の中の、複数の地点に共通する情報である。すなわち、変換データは、属性情報の地域毎に共通する情報である。
【0042】
第二生成手段および判断手段の一部としての文字認識部50は、受信データ37を用いて番地記入エリア13に書き込まれた電子ペン3の軌跡を再現し、その再現軌跡に対する文字認識処理により、住所の番地を示す補完情報を生成する。また、文字認識部50は、生成した補完情報をメモリ36に保存する。これにより、メモリ36には、補完データ40が記憶される。補完データ40は、たとえば住所の番地を示す数値のデータを有する。
【0043】
探索条件生成部51は、部分データ39と補完データ40とを結合(連結)し、探索条件データ41を生成する。また、探索条件生成部51は、生成した探索条件データ41をメモリ36に保存する。これにより、メモリ36には、部分データ39と補完データ40とを結合させた探索条件としての探索条件データ41が記憶される。
【0044】
抽出手段としての地点抽出部52は、探索条件データ41および住所データベース42を用いて、探索条件に合致する地点の情報を抽出する。地点抽出部52は、抽出した地点の情報をメモリ36に保存する。これにより、メモリ36には、抽出地点リスト43が記憶される。なお、地点抽出部52が抽出する地点の情報には、たとえばその地点の緯度経度値、住所、名称などが含まれる。
【0045】
図5は、図3中の住所データベース42のデータ構造の一例を示す説明図である。住所データベース42は、たとえば住所毎の複数のレコードを有する。この住所には個人宅なども含まれる。各レコードは、番地を含む住所、その住所に所在する施設名や居住者などの名称、その住所に対応する緯度経度値などを有する。図5の住所データベース42において、たとえば、「東京都八王子市石川町2967−3」の住所には、「株式会社ケンウッド」の名称と、「(E**1,N*1)」の緯度経度値とが対応付けられている。
【0046】
経路探索部53は、抽出地点リスト43中の緯度経度値(地点の経路探索に用いる位置情報)およびナビゲーションデータ44を用いて、案内経路を探索する。経路探索部53は、たとえば抽出地点リスト43に登録される地点までの案内経路を探索する。そして、経路探索部53は、探索により生成した案内経路をメモリ36に記憶させる。これにより、メモリ36には、案内経路データ45が記憶される。
【0047】
図3中のナビゲーションデータ44は、たとえば地図表示データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。地図表示データは、表示デバイス32に地図を表示させるためのデータであり、たとえば地図帳2に掲載される地図12などを画像データ化したものである。ノードデータは、交差点や曲がり角の地点のデータであり、たとえばその地点の名称や緯度経度値などの属性情報を有する。リンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータであり、たとえばそれが接続される複数のノードの情報や道路名などの属性情報を有する。施設データは、会社、ビル、展示場などの施設に関するデータであり、たとえば各施設の名称を示すテキストデータや緯度経度値などの属性情報を有する。
【0048】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。
【0049】
ユーザがUSBケーブル5などの通信ケーブルにより電子ペン3とナビゲーション本体4とを接続すると、電子ペン3の通信I/F23とナビゲーション本体4の通信I/F31とは、互いを認識し、データ通信が可能な状態となる。
【0050】
また、ユーザは、電子ペン3を用いて、地図帳2の地図12において、所望の地点(たとえば図2(A)中の×印の地点)をチェックする。電子ペン3の赤外線カメラ22は、このチェックの際の紙面11による反射赤外線を受光し、赤外線のパターンデータを出力する。赤外線は、紙面11に印刷されたドットパターン14により吸収される。座標読取部28は、赤外線カメラ22から周期的に供給されるこのドットパターン14を解析し、読取座標値を生成する。座標読取部28は、生成した読取座標値に、タイマ25で計測される現在時刻を対応付けてメモリ27に記憶させる。
【0051】
これにより、メモリ27には、地図12においてチェックされた地点(たとえば図2(A)中の×印の地点)と重ねて印刷されるドットパターン14にコード化された座標値を有する読取データ26が記憶される。
【0052】
メモリ27に新しい読取データ26が記憶されると、電子ペン3の送信部29は、この読取データ26をナビゲーション本体4の受信部48へ送信する。実際には、送信部29は、読み込んだデータを電子ペン3の通信I/F23へ供給する。電子ペン3の通信I/F23は、供給された送信データを、通信ケーブルを介してナビゲーション本体4の通信I/F31へ送信する。ナビゲーション本体4の受信部48は、ナビゲーション本体4の通信I/F31から受信データ37を取得し、メモリ36に記憶させる。これにより、ナビゲーション本体4のメモリ36には、電子ペン3によりチェックされた地点に対応する読取座標値が受信データ37として記憶される。
【0053】
図6は、図2中のナビゲーション本体4による地点選択処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
ナビゲーション本体4のメモリ36に受信データ37が記憶されると、変換部49は、まず、電子ペン3により入力がなされたと判断し(ステップST1)、さらに、受信データ37に含まれる読取座標値が地図12中の地点を選択するものであるか否かを判断する(ステップST2)。具体的にはたとえば、変換部49は、受信データ37中の読取座標値が地図(地図範囲)12内であるか否かを判断すればよい。
【0055】
そして、受信データ37中の読取座標値が地図(地図範囲)12内である場合(ステップST2でYesの場合)、変換部49は、データ変換処理を実行する(ステップST3)。具体的には、変換部49は、図4の変換テーブル38において、受信データ37中の読取座標値に対応付けられている変換データを抽出する。
【0056】
なお、受信データ37に複数の読取座標値が含まれている場合、変換部49は、その複数の読取座標値の平均値を演算したり代表値を選択したりして、その1つの座標値に対応付けられている変換データを抽出すればよい。また、演算した座標値に一致する座標値が変換テーブル38中に無い場合には、変換部49は、最も近い座標値を選択し、その選択した座標値に対応付けられている変換データを抽出すればよい。
【0057】
また、変換部49は、データ変換処理により生成した変換データを部分データ39としてメモリ36に保存する(ステップST4)。これにより、メモリ36には、部分データ39が記憶される。図2のチェックがなされた場合、メモリ36には「東京都八王子市石川町」の部分データ39が記憶される。
【0058】
メモリ36に新たな部分データ39が記憶されると、UI部47は、その部分データ39およびナビゲーションデータ44を読み込み、部分データ39により特定される地点を示す地図12を表示デバイス32に表示させる(ステップST5)。
【0059】
図7は、図2中の×印の地点を電子ペン3により選択した場合に、表示デバイス32に表示される地図画面の一例を示す図である。図7中の×印の位置は、変換部49により生成された部分データ39に対応する地点の位置である。図7と図2とを比較すれば解るように、図7中の×印の位置は、図2の電子ペン3によりチェックされた地点より地図12の上方へずれている。そして、図7中の×印の位置は、図2(A)中の「東京都八王子市石川町」を示す点線四角形の略中心となる位置になっている。
【0060】
以上の処理により、地図帳2および電子ペン3を用いた地図12中の地点の選択処理がなされ、その地点を概略的に示す部分データ39がメモリ36に記憶される。
【0061】
次に、ユーザは、電子ペン3を用いて、番地記入エリア13にチェックした地点の番地を書き込む。たとえば図2(A)に示すように、ユーザは番地記入エリア13に「2967−3」という番地を書き込む。電子ペン3では、この番地書き込みの際の複数の読取座標値を有する読取データ26が生成される。送信部29は、この読取データ26をナビゲーション本体4の受信部48へ送信する。受信部48は、受信したデータをメモリ36に記憶させる。これにより、ナビゲーション本体4のメモリ36には、ユーザが電子ペン3を用いて記入したときの複数の読取座標値を有する受信データ37が記憶される。
【0062】
番地記入エリア13に書き込みをした際の複数の読取座標値を有する受信データ37がナビゲーション本体4のメモリ36に記憶され、さらに変換部49がこの受信データ37に含まれる読取座標値が地図12中の地点を選択するものではない(ステップST2でNo)と判断すると、文字認識部50は、まず、受信データ37中の読取座標値が文字入力の際のものであるか否かを判断する(ステップST6)。具体的にはたとえば、文字認識部50は、受信データ37中の読取座標値が番地記入エリア13内であるか否かを判断する。そして、文字認識部50が受信データ37中の読取座標値が番地記入エリア13内のものではない(ステップST6でNo)と判断すると、ナビゲーション本体4は、電子ペン3の入力待ち状態に戻る(ステップST1)。
【0063】
受信データ37中の読取座標値が番地記入エリア13内のものである場合(ステップST6でYesの場合)、文字認識部50は、さらに、メモリ36に部分データ39が記憶されているか否かを判断する(ステップST7)。上述したように事前に地図12中の地点がチェックされている場合、メモリ36には、部分データ39が記憶されている。これに対して、番地記入前に地図12中の地点がチェックされていない場合、メモリ36には、部分データ39が記憶されていない。後者の場合(ステップST7でNoの場合)には、ナビゲーション本体4は、電子ペン3の入力待ち状態に戻る(ステップST1)。
【0064】
メモリ36に部分データ39が記憶されている(ステップST7でYes)と判断すると、文字認識部50は、文字認識処理を実行する(ステップST8)。具体的にはたとえば、文字認識部50は、まず、受信データ37中の複数の読取座標値を仮想的な二次元空間に展開し、複数の読取座標値による軌跡を再現する。
【0065】
次に、文字認識部50は、展開した軌跡に対して文字認識処理を実行する(ステップST9)。文字認識部50は、たとえばアラビア数字あるいは漢数字とのパターンマッチング処理などにより、文字を認識する。文字認識部50は、認識した複数の文字からなる文字列のデータを、補完データ40としてメモリ36に保存する。番地記入エリア13に図2(A)の記入がなされた場合、文字認識部50は、「2967−3」の補完データ40をメモリ36に保存する(ステップST10)。
【0066】
メモリ36に補完データ40が記憶されると、探索条件生成部51は、データ結合処理を実行する(ステップST11)。具体的にはたとえば、探索条件生成部51は、メモリ36から部分データ39および補完データ40を読み込み、これらのデータを結合する。たとえばメモリ36に「東京都八王子市石川町」の部分データ39と「2967−3」の補完データ40とが記憶されている場合、探索条件生成部51は、これらを結合した「東京都八王子市石川町2967−3」のデータを生成する。探索条件生成部51は、生成したデータを探索条件データ41としてメモリ36に保存する(ステップST12)。
【0067】
メモリ36に探索条件データ41が記憶されると、地点抽出部52は、地点抽出処理を実行する(ステップST13)。具体的にはたとえば、地点抽出部52は、メモリ36から読み込んだ探索条件データ41を住所データベース42と照合し、住所データベース42において、探索条件データ41と合致する属性情報を探索する。そして、合致する属性情報を有するレコードを住所データベース42から抽出し、メモリ36に保存する(ステップST14)。これにより、メモリ36には、抽出地点リスト43が生成される。たとえば探索条件データ41が「東京都八王子市石川町2967−3」である場合、地点抽出部52は、図5の住所データベース42から「東京都八王子市石川町2967−3,株式会社ケンウッド、(E**1,N*1)」のレコードを抽出し、抽出地点リスト43として保存する。
【0068】
メモリ36に抽出地点リスト43が保存されると、UI部47は、メモリ36から抽出地点リスト43およびナビゲーションデータ44を読み込み、表示デバイス32に抽出地点リスト43により特定される地点を地図12とともに表示させる(ステップST15)。
【0069】
図8は、図2中の番地記入エリア13に番地「2967−3」を書き込んだ場合に、表示デバイス32に表示される地図画面の一例を示す図である。図8中の×印の位置は、探索条件データ41に基づいて抽出された地点の位置である。図8と図2とを比較すれば解るように、図8中の×印の位置は、図2の電子ペン3により選択された地点と略一致している。具体的には図8中の×印の位置は、住所「東京都八王子市石川町2967−3」の地点の位置となっている。
【0070】
以上の処理により、地図帳2および電子ペン3を用いた住所による地点の選択処理がなされる。また、住所により選択された地点の緯度経度値などが抽出地点リスト43としてメモリ36に記憶される。そして、たとえば図示外の探索開始ボタンなどが操作されると、図6に示すように、ナビゲーション本体4は、地点選択処理の終了を判断する(ステップST16でYesと判断する)。この他にもたとえば、ナビゲーション本体4は、電子ペン3からの入力が所定の期間無い場合に、地点選択処理の終了を判断するようにしてもよい。
【0071】
なお、地点選択処理の終了を判断しない場合(ステップST16でNoと判断する場合)、ナビゲーション本体4は、電子ペン3の入力待ち状態に戻る(ステップST1)。したがって、ユーザは、地図12中の地点の選択や、番地記入エリア13に対する番地の手書き入力をやり直すことができる。
【0072】
図6の地点選択処理が終了すると、経路探索部53は、経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部53は、まず、メモリ36から抽出地点リスト43およびナビゲーションデータ44を読み込み、リスト中の抽出地点を用いた案内経路の探索処理を実行する。たとえば、経路探索部53は、リスト中の抽出地点への案内経路を探索する。そして、経路探索部53は、探索した案内経路をメモリ36に保存する。これにより、メモリ36には、案内経路データ45が記憶される。
【0073】
メモリ36に案内経路データ45が記憶されると、UI部47は、その案内経路データ45を読み込み、ユーザに案内経路を確認させるための画面を表示デバイス32に表示させる。なお、UI部47は、案内経路データ45とともにナビゲーションデータ44中の地図表示データを読み込み、案内経路を地図12と重ねて表示させるようにしてもよい。
【0074】
その後、ナビゲーション本体4が設置された車両が移動を開始したり、あるいは、ナビゲーション本体4の入力デバイス33に対して所定の案内開始操作がなされたりすると、ナビゲーション本体4のUI部47は、メモリ36に記憶されている案内経路データ45による経路案内を開始する。UI部47は、たとえばナビゲーションデータ44から地図表示データを読み込み、表示デバイス32に、現在位置生成部46が生成する現在位置を中心とした地図12を表示させる。また、UI部47は、その地図12に案内経路の一部を重ねて表示させる。UI部47は、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。UI部47は、案内経路の終点に到達したと判断すると、経路案内を終了する。
【0075】
以上のように、この実施の形態によれば、地図帳2の紙面11に印刷するドットパターン14には、住所データベース42を用いた地点抽出処理により1つの住所の位置情報(所在地)を抽出できる程度に十分に細かい情報(たとえば番地までの住所など)をコード化しなくて済む。その結果、地図帳2の紙面11に印刷する地図12の縮尺が制限されてしまうことはない。これに対して、ドットパターン14に1つの住所の位置情報(所在地)を抽出できる程度に十分に細かい情報をコード化する場合、それぞれの住所(の所在地)が紙面11上で区別できるように、地図帳2の紙面11に印刷する地図12の縮尺を大きなものとしなければならない。具体的には、地図12の縮尺は、2万5000分の1以上とする必要がある。
【0076】
しかも、文字認識部50は、電子ペン3による地図12中の地点のチェックに基づいて生成される部分データ39と結合される補完データ40を生成し、地点抽出部52は、部分データ39に補完データ40を結合させた1つの探索条件データ41を生成し、この探索条件データ41を住所データベース42に照合して、その1つの探索条件データ41と合致する住所に対応付けられた地点の緯度経度値を抽出する。したがって、住所データベース42との照合を基本とする地点抽出処理より1つの地点の緯度経度値を特定することが可能である。
【0077】
さらに、地点抽出部52は、たとえば住所のすべてが手書き入力された場合と同様に、1つの探索条件データ41に基づいて探索処理をすることができる。地点抽出部52は、部分データ39と補完データ40とを別々の探索条件として取り扱わない。そのため、地点抽出部52には、たとえば住所のすべてが手書き入力された場合と同様に、1つの探索条件データ41に基づいて探索処理を実行する従前のものをそのまま流用することができる。
【0078】
また、この実施の形態では、変換テーブル38において、電子ペン3によるドットパターン14の読み取りに基づいて生成される地図12中の読取座標値には、各地点の住所の町名までの分類が対応付けられている。そして、変換部49は、この変換テーブル38を用いて、住所の番地を除く部分を示す部分データ39を生成し、文字認識部50は、住所の番地を示す補完データ40を生成する。したがって、このカーナビゲーションシステム1では、住所の構造を好適に利用して、個人宅などを選択することができる。しかも、地図12中において概略的な地点を選択することにより住所の町名までの部分が自動的に生成されるので、ユーザは住所中の漢字などの文字を手書き入力する必要が無く、すべての文字を手書き入力する場合などに比べて簡単な操作により個人宅などを選択することができる。
【0079】
また、この実施の形態では、住所の番地を示す補完データ40は、文字認識部50による、電子ペン3の軌跡に対する文字認識処理により生成される。これにより、ユーザは、住所の番地を数字などにより手書き入力することにより、住所の番地を入力することができる。また、ナビゲーション本体4は、個人宅の住所の番地を表示しないで済む。
【0080】
また、この実施の形態では、ナビゲーション本体4の表示デバイス32は、部分データ39により特定される地点と、部分データ39および補完データ40により特定される地点とを、地図画面として表示する。したがって、ユーザは表示デバイス32に表示される地図により、正しい地点などが選択されているか否かを作業中に確認することができる。
【0081】
また、この実施の形態では、表示デバイス32に地点が表示されるとともに、地図帳2の紙面11には、地図(地図範囲)12と番地記入エリア13とが紙面11を分けて印刷されている。しかも、変換部49は、読取座標値が地図(地図範囲)12内であると判断すると、その読取座標値から部分データ39を生成し、文字認識部50は、読取座標値が番地記入エリア13内であると判断すると、その読取座標値から補完データ40を生成する。したがって、ユーザは、表示地図中に所望の地点が含まれていなさそうであるか否かを判断し、さらに、所望の地点が含まれていなさそうであると判断した場合には、地点を選択し直したりすることができる。
【0082】
また、この実施の形態では、文字認識部50は、読取座標値が番地記入エリア13内であると判断した場合には、さらに変換部49により部分データ39が生成されていることを判断し、その上で、その読取座標値から補完データ40を生成している。そして、地点抽出部52は、文字認識部50により補完データ40が生成された場合にのみ、探索条件データ41と合致する地点の緯度経度値などを抽出している。したがって、たとえば、変換部49により部分データ39が生成されていない状況において補完データ40のみが生成されてしまい、さらにその補完データ40のみによる探索条件により地点の抽出処理がなされてしまうことが無いようにすることができる。二段階で指定される地点の再選択の利便性を損なうことなく、部分データ39および補完データ40が揃っている状態においてのみ、地点の抽出処理が実行されるようにすることができる。
【0083】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0084】
上記実施の形態では、地図12、番地記入エリア13およびドットパターン14は、地図帳2に印刷されている。この他にもたとえば、地図12、番地記入エリア13およびドットパターン14は、観光案内チラシなどのシートに印刷されていてもよい。
【0085】
上記実施の形態では、地図12や番地記入エリア13と重ねて、地図帳2の紙面11上の位置を示す情報へ変換可能なパターンとして、ドットパターン14が印刷されている。この他にもたとえば、地図12や番地記入エリア13と重ねてQR(Quick Response)コード、バーコードなどが印刷されていてもよい。
【0086】
上記実施の形態では、地図帳2に印刷されたドットパターン14は、電子ペン3により読み取られている。この他にもたとえば、地図帳2などに印刷されたパターンは、カメラ付きの携帯電話端末や携帯情報端末などの読取機器により読み取るようにしてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、住所データベース42には、各緯度経度値と対応付けて、それぞれの緯度経度値の地点に固有の属性情報として、住所や電話番号が登録されている。この他にも、住所データベース42には、緯度経度値の地点に固有の属性情報として、マップコードHR(High Resolution)が対応付けられていてもよい。この変形例などの場合、変換テーブル38では、地域毎に共通する情報として、電話番号の上3桁(市外局番)あるいは上位6桁や、標準マップコードなどが対応付けられていればよい。また、ユーザは、電子ペン3を用いて、電話番号の下桁や、マップコードの高分解能部コードを手書き入力すればよい。
【0088】
上記実施の形態では、補完データ40は、文字認識部50により、手書き入力時の電子ペン3の軌跡に対する文字認識処理により生成される。この他にもたとえば、補完データ40は、地図帳2などに領域を分けて印刷された0〜9の数値に対するチェック操作に対する領域判定処理や、音声入力に対する音声認識処理などにより、生成されてもよい。なお、音声が入力されるマイクロホンは、電子ペン3に設けられていても、ナビゲーション本体4に設けられていてもよい。
【0089】
図9は、番地記入エリア13とともに、0〜9の数値のチェック欄61、「−(ハイフン)」のチェック欄62、「丁目」のチェック欄63、および「番地」のチェック欄64が設けられた地図帳2の1枚の紙面11(印刷記事)を示す説明図である。これらのチェック欄61〜64は、番地記入エリア13の下側に、地図(地図範囲)12および番地記入エリア13と紙面11を分けて、印刷されている。
【0090】
そして、たとえば文字認識部50に替わる詳細住所判断部が、読取座標値に基づいてどのチェック欄61〜64がチェックされたかを判断し、その判断したチェック欄61〜64に対応する数値などを組合せて番地を示す補完データ40を生成すればよい。
【0091】
上記実施の形態では、部分データ39の示す地点を含む地図画面や、探索条件データ41の示す地点を含む地図画面が表示デバイス32に表示されることで、ユーザに対して地点の選択状態が呈示されている。この他にもたとえば、部分データ39の示す住所や、探索条件データ41が示す住所を図示外のスピーカなどから音声出力することにより、ユーザに対して地点の選択状態を呈示するようにしてもよい。
【0092】
上記実施の形態では、電子ペン3は、地図12中の1つの地点を選択している。この他にもたとえば、電子ペン3は、地図12中の複数の地点を選択するようにしてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、変換部49、文字認識部50、探索条件生成部51、地点抽出部52などは、ナビゲーション本体4において実現されている。この他にもたとえば、変換部49、文字認識部50、探索条件生成部51、地点抽出部52などの一部あるいはすべてが電子ペン3などの読取機器や、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどにおいて実現されていてもよい。さらに他にもたとえば、地図帳2の読み取りをした電子ペン3などの読取機器以外の別体ユニットにおいて実現されていてもよい。
【0094】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体4は、車両に設置されるものである。この他にもたとえば、ナビゲーション本体4は、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどで構成され、家庭内などで使用されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、目的地などの地点を選択するカーナビゲーションシステムなどにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図2は、図1中の地図帳の1枚の紙面を示す説明図である。
【図3】図3は、図1のカーナビゲーションシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図2中の変換テーブルのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図3中の住所データベースのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、図2中のナビゲーション本体による地点選択処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、図2中の地点を電子ペンにより選択した場合に、表示デバイスに表示される地図画面の一例を示す図である。
【図8】図8は、図2中の番地記入エリアに番地を書き込んだ場合に、表示デバイスに表示される地図画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、チェック欄が設けられた変形例に係る地図帳の紙面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)
2 地図帳(地図印刷媒体)
3 電子ペン(読取機器)
12 地図
14 ドットパターン(パターン)
32 表示デバイス(呈示手段)
38 変換テーブル(変換データベース)
39 部分データ(部分情報)
40 補完データ(補完情報)
41 探索条件データ(探索条件)
42 住所データベース(地点データベース)
49 変換部(第一生成手段、判断手段の一部)
50 文字認識部(第二生成手段、判断手段の一部)
52 地点抽出部(抽出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体面上の位置を示す情報へ変換可能なパターンが地図と重ねて印刷される地図印刷媒体と、
上記パターンを読み取る読取機器と、
上記地図中の各地点の経路探索に用いる位置情報に対して、それぞれの地点に固有の属性情報であって地域毎に共通する情報を含むものが対応付けられた地点データベースと、
上記読取機器による上記パターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報から、上記属性情報の上記地域毎に共通する情報と照合される部分情報を生成する第一生成手段と、
上記部分情報と結合されることで上記地点データベースを用いた地点抽出処理より1つの地点の位置情報を抽出することが可能な補完情報を生成する第二生成手段と、
上記部分情報に上記補完情報を結合させた探索条件と合致する属性情報に対応付けられた地点の位置情報を上記地点データベースから抽出する抽出手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記地点データベースが記憶する地点に固有の属性情報は、番地を含む住所であり、
前記第一生成手段は、前記読取機器による前記パターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報に対して、各地点の住所の町名までの分類が対応付けられた変換データベースを用いて、住所の番地を除く部分からなる前記部分情報を生成し、
前記第二生成手段は、前記抽出手段において住所の番地と照合される前記補完情報を生成すること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記第二生成手段は、前記読取機器の軌跡に対する文字認識処理により、前記補完情報を生成すること、を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記部分情報により特定される地点を含む地図、並びに前記部分情報および前記補完情報により特定される地点を含む地図を呈示する呈示手段を有すること、を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記地図印刷媒体には、地図範囲と文字入力範囲とが媒体面を分けて設けられ、
前記読取機器によるパターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報が上記地図範囲および上記文字入力範囲の中のいずれに属するかを判断する判断手段を有し、
前記第一生成手段は、上記判断手段により上記媒体面上の位置を示す情報が上記地図範囲内であると判断された場合に、その媒体面上の位置を示す情報から前記部分情報を生成し、
前記第二生成手段は、上記判断手段により上記媒体面上の位置を示す情報が上記文字入力範囲内であると判断された場合に、その媒体面上の位置を示す情報から前記補完情報を生成すること、
を特徴とする請求項4記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記第二生成手段は、前記判断手段により前記媒体面上の位置を示す情報が前記文字入力範囲内であると判断された場合であって、さらに前記第一生成手段により前記部分情報が生成されているときに、その媒体面上の位置を示す情報から前記補完情報を生成し、
前記抽出手段は、前記第二生成手段により前記補完情報が生成された場合に、前記探索条件と合致する地点の位置情報を抽出すること、
を特徴とする請求項5記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
地図印刷媒体に印刷された地図中の各地点の経路探索に用いる位置情報に対して、それぞれの地点に固有の属性情報であって地域毎に共通する情報を含むものが対応付けられた地点データベースから、地点を選択する方法であって、
媒体面上の位置を示す情報へ変換可能なパターンが地図と重ねて印刷される地図印刷媒体を読取機器により読み取るステップと、
上記読取機器による上記パターンの読み取りに基づいて生成される媒体面上の位置を示す情報から、上記属性情報の上記地域毎に共通する情報と照合される部分情報を生成するステップと、
上記部分情報と結合されることで上記地点データベースを用いた地点抽出処理より1つの地点の位置情報を抽出することが可能な補完情報を生成するステップと、
上記部分情報に上記補完情報を結合させた探索条件と合致する属性情報に対応付けられた地点の位置情報を上記地点データベースから抽出するステップと、
を有することを特徴とする地図印刷媒体を用いた地点の選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−286718(P2008−286718A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133658(P2007−133658)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】