説明

ナビゲーションシステムにおける地図表示装置

【目的】地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわなくても、また、看板や走行の有無に関係なくリアルタイムに建物あるいは道路の変更を地図上に表示する「ナビゲーションシステムにおける地図表示装置」を提供することである。
【構成】車載カメラ21により車両前方の風景を撮影し、地図画像発生部15は三次元地図データを用いて車両前方の三次元地図画像を発生して表示する。画像処理部23は、車載カメラから取得した画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生し、画像比較部25は三次元地図画像と画像処理して得られた三次元画像を比較して異なる形状部分を検出し、カメラ画像切り取り部26は該異なる形状部分に対応する撮影画像部分を切り取り、合成部17は該切り取ったカメラ画像を三次元地図画像に合成してに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムにおける地図表示装置に係わり、特に実際と地図データの不一致部分を検出して該実際の撮影画像を地図画像に合成して表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、車両の現在位置に応じた地図データをCD−ROM、DVD,HDDなどの記録媒体から読み出してディスプレイ画面に描画すると共に、車両マークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し、走行に応じて地図をスクロ−ル表示する。地図データは、(1) ノ−ドデータや道路リンクデータ、交差点データ等からなる道路レイヤと、(2) 地図上のオブジェクトを表示するための背景レイヤと、(3) 市町村名などを表示するための文字レイヤなどから構成され、ディスプレイ画面に表示される地図画像は、背景レイヤと文字レイヤに基づいて発生され、マップマッチング処理や誘導経路の探索処理は道路レイヤに基づいて行われる。また、ナビゲーション装置は以上に加えて、出発地から目的地までの誘導経路を探索し、該誘導経路を地図上に表示する経路誘導機能や地図上に所定のPOIマーク(ランドマーク)を表示するPOI表示機能を備えている。
【0003】
新道路建設等による地形データの変更、施設のオープン/閉鎖、宅地整備その他の理由で記録媒体に記憶されている地図データは時間の経過と共に陳腐化する。
このため、従来技術として更新地図データを地域毎にナビゲーション装置の不揮発性メモリに記憶し、地図データが更新されている地域の地図は該不揮発性メモリから読み取り、更新されていない地域の地図は記録媒体(CD−ROMなど)から読み取ってナビゲーション制御する技術がある(例えば特許文献1参照)。
また、地図データをハードディスクHDDなどの地図記憶部に記録しておき、地図データに変更があったとき該ハードディスクHDDの地図データを最新の地図データで書き替える方法が提案されている(特許文献2参照)。この第2従来技術において、ユーザはセンターより新地図データと旧地図データの差分を取得し、あるいは新地図データと旧地図データの差分を記録した更新DVDを購入してハードディスクHDDの旧地図データを新地図データで更新するようにしている。
また、車載カメラで撮影した画像より道路標識(たとえば一方通行)や施設の看板を識別し、地図データから得られる通行情報や施設名との相違に基づいて地図データを修正したり、地図に載っていない道路を走行したことで新道路とみなして道路を修正する技術がある(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−337027号公報
【特許文献2】特開2004−287705号公報
【特許文献3】特開2002−243469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわない限り、地図表示の変更ができない問題がある。また、看板のある施設の相違にしか対応できず、更には、地図に載っていない道路を走行しなければ理図データを修正できない問題がある。
以上から、本発明の目的は、地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわなくても、また、看板や走行の有無に関係なくリアルタイムに建物あるいは道路の変更を地図上で運転手に認識させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は本発明によれば、車両位置に応じた地図画像を表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置において、車両前方の風景を撮影する車載カメラ、三次元地図データを用いて車両前方の三次元地図画像を発生する地図画像発生部、車載カメラから取得した画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生する画像処理部、前記三次元地図画像と前記画像処理して得られた三次元画像を比較して異なる形状部分を検出する画像比較部、前記異なる形状部分に対応する前記撮影画像部分を切り取るカメラ画像切り取り部、該切り取ったカメラ画像を前記三次元地図画像に合成して表示する合成部を備えた地図表示装置により達成される。
【0006】
また、上記課題は本発明によれば、車両位置に応じた地図画像を表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置において、上空より撮影した写真を取得して保存する写真画像取得保存部、地図データを用いて車両周辺の平面地図画像を発生する地図画像発生部、車両位置に応じた前記写真の一部分を画像処理し、道路、建物などの外形線よりなる平面画像を発生する画像処理部、前記平面地図画像と前記画像処理して得られた平面画像を比較して異なる形状部分を検出する画像比較部、前記異なる形状部分に対応する前記写真部分を切り取る切り取り部、該切り取った写真部分を前記平面地図画像に合成して表示する合成部により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車載カメラから取得したカメラ撮影画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生し、地図データに基づいて発生した三次元地図画像と比較して異なる形状部分を検出し、該異なる形状部分に対応するカメラ撮影画像部分を切り取って三次元地図画像に合成して表示するようにしたから、地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわなくても、また、看板や走行の有無に関係なくリアルタイムに建物あるいは道路の変更表示をすることができる。
また、本発明によれば、上空より撮影した写真の一部分を画像処理し、道路、建物などの外形線よりなる平面画像を発生し、地図データを用いて発生した平面地図画像と比較して異なる形状部分を検出し、該異なる形状部分に対応する写真画像部分を切り取って前記平面地図画像に合成して表示するようにしたから、地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわなくても、また、看板や走行の有無に関係なくリアルタイムに建物あるいは道路の変更表示をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、車両位置に応じた地図画像を表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置において、車載カメラにより車両前方の風景を撮影し、地図画像発生部は三次元地図データを用いて車両前方の三次元地図画像を発生してスクリーンに表示する。画像処理部は、車載カメラから取得した画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生し、画像比較部は前記三次元地図画像と前記画像処理して得られた三次元画像を比較して異なる形状部分を検出し、カメラ画像切り取り部は該異なる形状部分に対応する撮影画像部分を切り取り、合成部は該切り取ったカメラ画像を前記三次元地図画像に合成してスクリーンに表示する。
【実施例】
【0009】
(A)第1実施例
図1は本発明のナビゲーションシステムにおける地図表示装置の第1実施例の構成図である。車両位置検出部11はGPS及び自立航法センサーにより自車位置を測定し、地図読出制御部12は自車位置周辺の三次元地図データを地図記憶媒体13から読み出して地図メモリ14に保存する。三次元地図画像発生部15は地図メモリ14に読み出された地図データを用いて三次元地図画像を発生して三次元地図画像メモリ(ビデオRAM)16に記憶する。合成部17は三次元地図画像メモリ16に描画された三次元地図画像を読み出して表示部18に表示する。
【0010】
車両の前部に設置された車載カメラ21は車両前方の風景を撮影してカメラ画像メモリ22に保存する。画像処理部23は、(1)周知のエッジ検出画像処理によりカメラ画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生すると共に、(2)該三次元画像に画像変換処理を施し、前記三次元地図データにより発生した三次元地図画像と同一縮尺、同一視点から眺めた画像となるように変換し、(3)該三次元画像を処理画像保存部24に保存する。画像比較部25は三次元地図画像メモリ16に保存されている三次元地図データが発生した三次元地図画像と処理画像保存部24に保存されている実際の三次元画像を比較し、異なる形状部分を検出してカメラ画像切り取り部26に入力する。カメラ画像切り取り部26は、入力された形状部分に対応するカメラ画像部分を切り取って合成部17に入力する。合成部17は入力されたカメラ画像を三次元地図画像に合成して表示部18に表示する。
図2は三次元地図画像TDMP上に形状相違箇所を示すマークMKと実際の建物BLDのカメラ画像CMIGを重ねて描画した例である。三次元地図画像TDMPは、道路RDしか示していないが、建物が道路周辺に存在する。図3は三次元地図画像TDMP上に実際のカメラ画像CMIGを重ねて描画する別の例であり、建物BLDが実際に存在する位置にカメラ画像CMIGを重ねて描画している。
【0011】
(B)第2実施例
図4は本発明のナビゲーションシステムにおける地図表示装置の第2実施例の構成図である。車両位置検出部31はGPS及び自立航法センサーにより自車位置を測定し、地図読出制御部32は自車位置周辺の地図データを地図記憶媒体33から読み出して地図メモリ34に保存する。市街地平面地図画像発生部35は地図メモリ34に読み出された地図データを用いて市街地平面地図画像を発生して市街地平面地図画像メモリ(ビデオRAM)36に記憶する。合成部37は市街地平面地図画像メモリ36に描画された市街地平面地図画像を読み出して表示部38に表示する。
航空写真取得保存部41はインターネットにより情報センター(外部サーバ)より航空機が撮影した所定縮尺の航空写真を取得して保存する。航空写真は市街地につき1枚に限らず、ある市街地をカバーするに必要な枚数である。
【0012】
航空写真読出し部42は自車位置に応じた航空写真を抽出して航空写真記憶部43に保存する。画像処理部44は、(1)自車位置に応じた航空写真部分を読み取り、(2)周知のエッジ検出画像処理によりカメラ画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる市街地平面画像を発生し、(3)該市街地平面画像に画像変換処理を施し、前記地図データにより発生した市街地平面地図画像と同一縮尺となるようにし、(4)該市街地平面画像を処理画像保存部45に保存する。画像比較部46は市街地平面地図画像メモリ36に保存されている地図データが発生した市街地平面地図画像と処理画像保存部45に保存されている実際の市街地平面画像を比較し、異なる形状部分を検出して写真画像切り取り部47に入力する。写真画像切り取り部47は、入力された形状部分に対応する写真画像部分を切り取って合成部37に入力する。合成部37は入力されたカメラ画像を市街地平面地図画像に合成して表示部38に表示する。合成表示方法は、図2、図3と同様な方法で重ね合わせ表示する。
第2実施例において航空機が撮影した航空写真に替えて衛星が撮影した衛星写真を使用することができる。
以上、本発明によれば、地図データの書き換えや地図ディスクの交換を行なわなくても、また、看板や走行の有無に関係なくリアルタイムに建物あるいは道路の変更を地図上で運転手に認識可能に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のナビゲーションシステムにおける地図表示装置の第1実施例の構成図である。
【図2】三次元地図画像TDMPに形状相違箇所を示すマークMKと実際の建物BLDのカメラ画像CMIGを重ねて描画した例である。
【図3】三次元地図画像TDMPに実際のカメラ画像CMIGを重ねて描画する別の例である。
【図4】本発明のナビゲーションシステムにおける地図表示装置の第2実施例の構成図である。
【符号の説明】
【0014】
11 車両位置検出部
12 地図読出制御部
13 地図記憶媒体
14 地図メモリ
15 三次元地図画像発生部
16 三次元地図画像メモリ(ビデオRAM)
17 合成部
18 表示部
21 車載カメラ
22 カメラ画像メモリ
23 画像処理部
24 処理画像保存部
25 画像比較部
26 カメラ画像切り取り部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両位置に応じた地図画像を表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置において、
車両前方の風景を撮影する車載カメラ、
三次元地図データを用いて車両前方の三次元地図画像を発生する地図画像発生部、
車載カメラから取得した画像を処理して道路、建物などの外形線よりなる三次元画像を発生する画像処理部、
前記三次元地図画像と前記画像処理して得られた三次元画像を比較して異なる形状部分を検出する画像比較部、
前記異なる形状部分に対応する前記撮影画像部分を切り取るカメラ画像切り取り部、
該切り取ったカメラ画像を前記三次元地図画像に合成して表示する合成部、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
車両位置に応じた地図画像を表示するナビゲーションシステムにおける地図表示装置において、
上空より撮影した写真を取得して保存する写真画像取得保存部、
地図データを用いて車両周辺の平面地図画像を発生する地図画像発生部、
車両位置に応じた前記写真の一部分を画像処理し、道路、建物などの外形線よりなる平面画像を発生する画像処理部、
前記平面地図画像と前記画像処理して得られた平面画像を比較して異なる形状部分を検出する画像比較部、
前記異なる形状部分に対応する前記写真部分を切り取る切り取り部、
該切り取った写真部分を前記平面地図画像に合成して表示する合成部、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−156777(P2007−156777A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350321(P2005−350321)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】