説明

ナビゲーションシステム及びナビゲーション装置

【課題】ユーザにとって既知でない新設道路を走行した際に、その新設道路を含む地図データの更新を行えるようにする。
【解決手段】ナビゲーションシステムのナビゲーション装置100は、現在位置検出手段113と、地図データを参照して、出発地から目的地までの案内経路の探索、或いは前記現在位置検出手段によって検出される現在位置から目的地までの案内経路の再探索をする経路探索手段114と、現在位置検出手段113によって検出された現在位置が案内経路から逸脱した場合に、現在位置から目的地までの案内経路を再探索するように経路探索手段に要求するリルート判定・要求手段117と、再探索の要求を行った場合に、経路の再探索要求を行った位置を基準地点として地図更新要求を前記地図提供サーバに対して行う地図更新判定・要求手段と118、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム及びナビゲーション装置、特に、必要に応じて地図提供サーバから提供を受けた地図データを用いて地図データの更新を行う機能を有するナビゲーションシステム及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載型のナビゲーション装置は、一般にハードディスクやSDカード等の記憶媒体を内蔵しており、これらの記録媒体に地図データが記録され、地図表示や経路探索に使用されていた。
【0003】
しかし、地図データは、時間の経過に伴って古くなってしまい、実際の利用に則さなくなることがある。そこで、ナビゲーション装置では地図データを周期的に更新する必要があった。地図データの更新は、更新データを記録したSDカードやDVD−ROM等を使用して新しい地図データに書換える方法、通信機能を備えたナビゲーション装置の場合には更新地図データを提供しているデータサーバに接続して必要な地図データをダウンロードする方法等がある。
【0004】
ナビゲーション装置に記録されている全ての地図データを更新するためには、大量のデータを書換えなければならず、これには多くの時間がかかる。さらに、データサーバから地図データをダウンロードする場合には、大量のデータの通信を行わなければならず、データサーバにとって処理負荷が大きくなるだけでなく、通信時間が長くなる。こうした更新処理を周期的に行わなければならないことはユーザにとって不便である。
【0005】
そこで、下記特許文献1(特開2004−125508号公報)は、車両の走行中にマップマッチングを行わないフリー走行状態が所定時間続いた場合に、車両の現在位置を含むメッシュ地図の更新要求をデータサーバ(地図配信センタ)に対して行う車載端末装置を開示している。なお、この車載端末装置では、車両がサービスエリアやパーキングエリア内或いはそれらの近傍等に位置している場合、車両が明らかに旋回している場合はマップマッチングが行われなくても地図の更新要求を行わないことについても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−125508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の車載端末装置においては、サービスエリアやパーキングエリア以外の大型駐車場を走行している場合はマップマッチングが行われないので、地図データの更新をすべきと判断されてしまい、不必要なデータ更新が行われることになってしまうという問題があった。
【0008】
また、ユーザがよく知っている道路を走行しているような場合、地図データを更新する必要性は比較的少ない。しかし、上記特許文献1ではそのような場合にもマップマッチングが行われなかった場合には新設の道路を走行していると判断されて地図データの更新が行われることになる。ユーザが良く知っている道路を走行している際に度々地図データ更新してしまうと、不必要に通信を行うことになり、通信データ量が増大するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、必要に応じてデータサーバ等から地図データを取得するナビゲーション装置において、不必要に地図データの更新を行うことを避けるとともに、ユーザにとって必要なときに必要な箇所の地図データの更新を行えるようにすることである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、ユーザにとって既知でない新設道路を走行した際に、その新設道路を含む地図データの更新を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のナビゲーションシステムは、更新地図データを保有する地図提供サーバと、地図データを記憶するとともに前記地図提供サーバから基準地点に関連した更新地図データを取得して前記地図データを更新するナビゲーション装置と、を備えるナビゲーションシステムであって、前記ナビゲーション装置は、現在位置検出手段と、前記地図データを参照して、出発地から目的地までの案内経路の探索、或いは前記現在位置検出手段によって検出される現在位置から目的地までの案内経路の再探索をする経路探索手段と、前記現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定する逸脱判定手段と、前記逸脱判定手段によって前記現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定した場合に、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を再探索するように前記経路探索手段に要求するリルート判定・要求手段と、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を行った場合に、前記案内経路から逸脱した現在位置を基準地点とした地図更新要求を前記地図提供サーバに対して行う地図更新判定・要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、前記地図更新判定・要求手段が、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を、所定頻度以上で継続して行った場合に、地図更新要求を前記地図提供サーバに対して行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記所定頻度が、前記現在位置を含む所定領域の道路密度に依存して異なることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様において、前記地図提供サーバは、更新地図データとして新設道路の起点と終点とを含む道路データを有しており、前記地図更新要求を受信した場合に、前記基準地点に関連する前記新設道路の起点から終点までの道路データを前記ナビゲーション装置に提供することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のナビゲーション装置は、地図データを記憶するとともに外部から基準地点に関連した更新地図データを取得して前記地図データを更新するナビゲーション装置であって、前記ナビゲーション装置は、現在位置検出手段と、前記地図データを参照して、出発地から目的地までの案内経路の探索、或いは前記現在位置検出手段によって検出される現在位置から目的地までの案内経路の再探索をする経路探索手段と、前記現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定する逸脱判定手段と、前記逸脱判定手段によって前記現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定した場合に、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を再探索するように前記経路探索手段に要求するリルート判定・要求手段と、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を行った場合に、前記案内経路から逸脱した現在地位置を基準地点とした地図更新要求を行う地図更新判定・要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様において、前記地図更新判定・要求手段は、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を、所定頻度以上で継続して行った場合に、地図更新要求を前記地図サーバに対して行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様において、前記所定頻度は、前記現在位置を含む所定領域の道路密度に依存して異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーション装置の現在位置検出手段によって検出された現在位置が案内経路から外れている場合に、現在位置から目的地までの案内経路を再探索するとともにこの現在位置を基準地点とした地図更新要求を地図サーバに対して行う。案内経路からの逸脱時に行われる案内経路の再探索を地図更新の判定基準とすることにより、案内経路の設定を行わない地域をユーザにとって地図更新が必要でない地域とみなして地図の更新が行われないようにし、一方、案内経路の設定が行われた地域を地図更新が必要な地域とみなし、案内経路から逸脱して経路の再探索が行われた場合に、地図の更新要求を行うことができ、ユーザの必要に合わせて地図の更新を行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明のナビゲーションシステムの一態様によれば、案内経路の再探索要求を、所定頻度以上で継続して行った場合に、地図更新要求を地図提供サーバに対して行う。これにより、不自然な再探索要求が頻繁に行われた場合に道路のない場所を走行していることを検出し、地図の更新を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明のナビゲーションシステムの一態様によれば、案内経路の再探索要求の基準となる所定頻度は、現在位置を含む所定領域の道路密度に依存して異なる。これにより、案内経路から外れた場合に、市街地では比較的頻繁に再経路探索が行われる一方で、郊外では再経路探索が頻繁には行われず、地図更新の基準となる所定頻度の設定値によっては郊外での地図更新がまったく行われなくなってしまったり、市街地で頻繁に地図更新要求が行われるようになってしまったりするという不都合を回避できる。
【0021】
また、本発明のナビゲーションシステムの一態様によれば、地図提供サーバが更新地図データとして新設道路の起点と終点とを含む道路データを有しており、ナビゲーション装置からの地図更新要求を受信した際に、基準地点に関連する新設道路がある場合には、その新設道路の起点から終点までの道路データをナビゲーション装置に提供する。これにより、案内経路から外れた場合でも新設道路の地図データを更新することができ、ユーザは道に迷うことなく経路案内を受けることが可能となる。
【0022】
また、本発明のナビゲーション装置は、上記のナビゲーションシステムにおけるナビゲーション装置と同様の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は実施例のナビゲーションシステムのブロック図を示す。
【図2】図2は本実施例の地図更新システムの動作フローチャートである。
【図3】図3は地図更新判定の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は経路案内時に表示部に表示される経路案内画面である。
【図5】図5は再経路探索時の表示部の表示画面である。
【図6】図6は再経路探索を繰返し行った際の表示部の表示画面である。
【図7】図7は地図更新後の更新地図画面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を図1〜図7を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示して説明するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0025】
図1は、実施例のナビゲーションシステム10のブロック図を示す。図1に示されるように、ナビゲーションシステム10は、ナビゲーション装置100と、このナビゲーション装置100に通信ネットワーク150によって接続された地図提供サーバ160と、を備えて構成される。ナビゲーション装置100は、制御部110、表示入力部120、スピーカ130、地図記憶部140を備えて構成される。
【0026】
ナビゲーション装置100の制御部110は、CPU、ROM、RAM(それぞれ図示せず)を備えて構成され、ROMやRAMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、下記の各機能手段の動作を制御・統括する。すなわち、制御部110は、通信手段111、表示制御手段112、現在位置検出手段113、経路探索手段114、マップマッチング手段115、経路案内手段116、リルート判定・要求手段117、地図更新判定・要求手段118、記憶手段119として機能する。
【0027】
通信手段111は、ナビゲーション装置100を、通信ネットワーク150を介して地図提供サーバ160と接続し、ナビゲーション装置100からの地図更新要求を地図提供サーバ160に送信する。また、通信手段111は、地図提供サーバ160から送信されてきた更新地図データを受信する。
【0028】
表示制御手段112は、現在位置を含む領域の地図画像データを所定の表示態様の地図画像データに変換し、表示部121のビデオメモリ(図示しない)に出力することによって表示部121に現在位置を含む領域の地図が表示されるようにする。さらに、現在位置検出手段113によって検出された現在位置の表示画像、記憶手段119に記憶された案内経路の表示画像を地図画像データ上に重ね合わせて表示部121において表示できるようにする。さらに、表示制御手段112は、地図提供サーバ160から受信された更新地図データを所定の表示態様の画像データに変換し、表示部121に表示できるようにする。加えて、経路案内手段116からの経路案内指示に従い、記憶手段119に記憶された経路案内メッセージ画像データを取得し、表示部121において表示できるようにする。
【0029】
現在位置検出手段113は、GPS受信手段、自律航法手段(それぞれ図示せず)を備えて構成される。GPS受信手段は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、それに基づいて位置情報(GPS測位位置)を所定時間間隔、例えば、5秒毎に算出する。自律航法手段は、ナビゲーション装置100に内蔵、或いは車両に取付けられた加速度センサや角速度センサからの加速度や角速度の出力値に基づいてGPS受信手段によって検出された現在位置を補正する。
【0030】
経路探索手段114は、表示入力部120の入力部122を介してユーザにより指定された位置から、同じく入力部122を介して指定された目的地に至る最適経路を、地図記憶部140に記憶された地図データ141を参照してダイクストラ法等の手法によって探索し、道路データを構成するリンクのリンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路データとして生成し、記憶手段119に記憶する。また、リルート判定・要求手段117によって再経路探索の要求がある場合には、現在位置検出手段113により検出された現在位置から目的地に至る案内経路を再探索する。
【0031】
マップマッチング手段115は、現在位置検出手段113によって検出された現在位置を近傍の案内経路とマッチングさせることにより、現在位置として表示する位置を調整する。マップマッチング手段115は、現在位置から所定距離範囲に案内経路が存在しなければ、近傍の道路にマッチングする。所定距離付近に道路が存在しなければ測定された位置を、現在位置を表示する位置とする。マップマッチング手段115は、本発明の逸脱判定手段として機能する。つまり、現在位置検出手段113によって検出された現在位置が案内経路から逸脱したか否かを判定する。
【0032】
経路案内手段116は、記憶手段119に記憶された案内経路と、現在位置検出手段113によって検出された現在位置とに基づいて、地図記憶部140の地図データ141から現在位置周辺の地図データを抽出し、地図画像と案内経路の表示を表示制御手段112に指示し、表示制御手段112は、抽出した地図画像に案内経路を示す表示画像を重ねて表示部121に表示する。また、経路案内手段116は、案内経路と現在位置の関係に基づいて、経路案内の音声による案内メッセージを地図記憶部140から呼出してスピーカ130から放送させたり、経路案内用のメッセージ画像を地図記憶部140から呼出し、表示部121に表示させるよう表示制御手段に112に指示したり、ユーザが案内経路に沿って移動するのを助ける。
【0033】
リルート判定・要求手段117は、マップマッチング手段115によって現在位置が案内経路から逸脱したか否かに基づいて、つまり、案内経路上にマッチングされたか、それとも他の道路上にマッチングされたか、或いはどこにもマッチングされなかったかに基づいて現在位置から目的地まで再経路探索を行う指示を経路探索手段114に出力する。具体的には、現在位置が案内ルート上にマッチングされた場合には再経路探索を行わないと判定し、経路探索手段114に対して再経路探索指示を行わない。一方、現在位置が案内経路上ではなく、近傍の道路上にマッチングされた場合にはその位置から目的地までの再経路探索を行うと判定し、再経路探索指示を経路探索手段114に対し行う。また、現在位置が案内経路や道路にマッチングされずに所定時間が経過した場合は、最も近隣にある道路から目的地までの再経路探索を行うように経路探索手段114に指示を出力する。
【0034】
地図更新判定・要求手段118は、再経路探索の頻度に基づいて地図更新を行うと判定する。具体的には、再経路探索の回数をカウントし、カウントした値が所定時間内に所定値を超えた場合には、地図更新を行うと判定する。地図更新を行う基準は所定時間内に再経路探索の回数が所定値を超えた場合だけでなく、所定距離走行する間に再経路探索の回数が所定値を超えた場合であってもよい。また、地図更新を行う基準となる所定値は、道路が密集した市街地と郊外とで異なる値に設定しておくようにしてもよい。地図更新判定・要求手段118は、地図更新を行うと判定した場合、再経路探索が行われた地点を基準地点とし、基準地点が属する地図情報を取得し、通信手段111を介して地図提供サーバ160に対し基準地点及び/又は地図情報とともに地図更新要求を送信する。ここで、地図情報は、例えば、地図ID、地図のバージョン情報である。
【0035】
地図更新判定・要求手段118は、地図更新を行うと判定された場合に、そのタイミングで地図更新要求を地図提供サーバ160に対して行ってもよいが、ユーザの設定に基づいて車両の停車中等で行うようにしてもよい。
【0036】
記憶手段119は、経路探索手段114によって探索された案内経路のデータが記憶される。また、リルート判定・要求手段117によって再経路探索要求が経路探索手段114に対して行われたカウント数が記憶される。
【0037】
表示入力部120は表示部121と入力部122より構成される。表示部121は液晶表示ユニットであり、入力部122は液晶表示ユニットの液晶画面上に設けられたタッチパネルである。表示部121は、ビデオメモリ(図示せず)を有しており、ここに地図画像データ、案内経路を示す表示画像データ等を展開することによってそれぞれの映像が液晶画面に表示される。入力部122はユーザにより操作されて、出発位置、目的位置等の経路探索条件の入力を行うのに用いられる。
【0038】
スピーカ130は、ナビゲーションシステム10に一体となるように組込まれ、経路案内手段116によって出力される経路案内の音声ガイダンス等を放送する。
【0039】
地図記憶部140は、地図データ141と、経路案内のガイダンスデータ142が記憶されている。地図データ141は、地図データをメッシュ単位に分けて記憶されており、それぞれのメッシュ地図データには個別に地図IDと、地図の新旧を示す地図のバージョン情報が付与されている。それぞれのメッシュ地図データは、道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0040】
建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。
【0041】
ガイダンスデータ142は各種の音声による案内メッセージ、及び経路案内用のメッセージ画像が記憶されている。
【0042】
地図提供サーバ160は、制御部170、更新地図データ173を備えて構成される。制御部170はCPU、RAM、ROM(それぞれ図示せず)を備えて構成され、RAMやROMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、通信手段171、地図抽出手段172の各機能を制御・統括する。
【0043】
通信手段171は、ナビゲーション装置100からの地図更新要求を、ネットワーク150を介して受信し、地図更新要求を行ったナビゲーション装置100に対して所定の更新地図データを、ネットワーク150を介してナビゲーション装置100に送信する。
【0044】
地図抽出手段172はナビゲーション装置100から更新地図データの問合せが送信されてきた際に、その問合せに含まれる地図ID、地図バージョン情報に基づいて、対応する地図IDの地図データがより新しいか否かを判定し、その結果を、通信手段171を介してナビゲーション装置100に送信する。加えて、ナビゲーション装置100から地図更新要求を受信した場合に、地図更新要求に含まれる地図IDの地図データを更新地図データ173から抽出し、通信手段171を介してナビゲーション装置100に送信する。抽出する地図データは更新対象となっているメッシュ地図データ全体であってもよいし、新しい地図データと以前の地図データの差分のみであってもよい。
【0045】
更新地図データ173は、地図データをメッシュ単位に分けて記憶しており、それぞれのメッシュ地図データには個別に地図IDが付与されている。それぞれのメッシュ地図データは、新しい地図データに逐次更新されており、更新されるとバージョン情報が書き換えられる。
【0046】
次に、図2〜図7を参照して本実施例のナビゲーションシステムにおける地図更新動作について説明する。なお、図2は、本実施例の地図更新システムの動作フローチャート、図3は、地図更新判定の動作を示すフローチャートである。図4は、通常の経路案内時に表示部に表示された経路案内画面、図5は、再経路探索時の表示部の表示画面、図6は、再経路探索を繰返し行った際の表示部の表示画面、図7は地図が更新された際の表示画面を示す。
【0047】
まず、図2のステップS201において、ユーザは表示入力部120の入力部122を操作することにより、出発地と目的地を設定する。出発地は、通常、現在位置検出手段113によって検出される現在位置を設定する。出発地と目的地が設定されると、経路探索手段114は、地図記憶部140に記憶された地図データ141を参照して、出発地から目的地に到達する最適経路を探索し、案内経路として記憶手段119に記憶する。
【0048】
ステップS202において、経路案内手段116は、現在位置検出手段113によって検出される現在位置に基づいて、地図記憶部140の地図データ141から現在位置周辺の地図データを抽出し、記憶手段119に記憶されている案内経路とともに表示するよう表示制御手段112に指示する。さらに、現在位置検出手段113によって検出され、マップマッチング手段115によって案内経路上、或いは他の道路上、他の位置にマッチング処理された位置に現在位置表示を行う指示を表示制御手段112に対して行う。
【0049】
図4は経路案内をしている際の表示部121に表示された経路案内画面400を示している。経路案内画面400は、現在位置周辺の地図画像410、現在位置表示画像420、現在位置まで通ってきた経路の軌跡430、現在位置から目的地に至る案内経路画像440から構成される。
【0050】
経路案内手段116は、さらに、案内経路と現在位置との関係に基づいて、経路案内の音声による案内メッセージを地図記憶部140のガイダンスデータ142から呼出してスピーカ130から放送させたり、経路案内用のメッセージ画像をガイダンスデータ142から呼出し、表示部121に表示させるよう表示制御手段に112に指示したりし、ユーザが案内経路に沿って移動するのを助ける。
【0051】
ステップS202、及びそれに続くステップS203、S204の処理は図3のステップS301〜ステップS312において詳述する。ステップS203では、地図更新判定・要求手段は、地図更新を行うか否かを、リルート判定・要求手段117が再経路探索を行った頻度に基づいて判定し、ステップS204において地図を更新すべきと判定された場合にはステップS205に進み、地図更新する必要がないと判定された場合にはステップS202の処理に戻る。
【0052】
ステップS205において、地図更新判定・要求手段118は、再経路探索が行われた地点を基準地点とし、その基準地点が属する地図情報、例えば、地図ID、地図のバージョン情報を取得する。
【0053】
なお、基準地点は、上述のように再経路探索が行われた地点であってもよいが、本発明はそれに限られない。例えば、基準地点は、地図更新判定・要求手段118が、地図更新する必要があると判断した際の現在位置であってもよい。
【0054】
ステップS206において、地図更新判定・要求手段118は、基準地点及び/又は取得した地図情報を、通信手段111を介して地図提供サーバ160に対して送信することによって更新地図データがあるか否か問合せを行う。
【0055】
更新地図データの問合せは、ステップS204において地図を更新すべきと判断された都度行ってもよいが、更新する地図があるか否か問合せを行うかどうかユーザに指示を求めるようにしてもよい。その場合には、表示制御手段112が地図更新の問合せをするかどうかの入力を求めるメッセージを生成して表示部121に表示させ、ユーザから問合せ指示があれば更新地図データの問合せを地図提供サーバ160に対して行う。
【0056】
地図提供サーバ160はナビゲーション装置100からの更新地図データの問合せを通信手段171において受信すると、地図抽出手段172は、受信した問合せに含まれる地図情報に基づいて、対応する地図IDの地図データで、新しいバージョンのものがあるか否かを判断し、ナビゲーション装置100に対してその結果を送信し、ナビゲーション装置100はステップS207においてその結果を受信する。
【0057】
ステップS208において、地図更新判定・要求手段118はステップS207において受信した結果に基づいて、地図提供サーバ160に更新地図データがあるか否かを判定し、新しい更新地図データがない場合にはステップS202に戻って経路案内を継続し、新しい更新地図データがある場合には、ステップS209に進む。
【0058】
ステップS209において、地図更新判定・要求手段118は問合せを行った地図IDの地図データの地図更新要求を、通信手段111を介して地図提供サーバ160に対して行う。この地図更新要求は、更新地図データがあるか否かの問合せを行い、更新地図データがあると判断された都度行ってもよいが、地図更新要求を行う必要のある地図IDを記憶手段119に記憶しておき、車両が停車した際にまとめて地図提供サーバ160に対して行うようにしてもよい。
【0059】
地図提供サーバ160は、ナビゲーション装置100から地図更新要求を受信すると、地図抽出手段172はそれに含まれる地図IDを取得し、その地図IDに該当する地図データを更新地図データ173から抽出し、抽出された地図データを、通信手段171を介してナビゲーション装置100に送信する。
【0060】
また、地図提供サーバ160の地図抽出手段172は地図更新要求に含まれる地図IDに対応するメッシュ地図データをすべて抽出してナビゲーション装置100に送信してもよいが、古いバージョンの地図データと新しいバージョンの地図データとを比較し、差分のみを抽出してナビゲーション装置100に送信するようにしてもよい。差分のみを抽出してナビゲーション装置100に送信する場合、送信する通信データ量を少なくすることが可能となる。
【0061】
ステップS210において、通信手段111が地図提供サーバ160から更新する地図データを受信すると、記憶手段119に一旦記憶される。
【0062】
ステップS211において、地図更新判定・要求手段118は、記憶手段119に記憶された更新する地図データによって地図記憶部140の地図データ141の書換えを行い、処理を終了する。
【0063】
図7は、ステップS211において更新された際に表示部121に表示された更新地図画面700を示している。更新地図画面700は、現在位置周辺の地図画像710、現在位置表示画像720、新たに加えられ表示された道路画像730から構成される。
【0064】
なお、本実施例では、地図提供サーバ160はナビゲーション装置100から受信した地図IDに該当する地図データを抽出しているが、本発明はこれに限られず、例えば、地図提供サーバ160はナビゲーション装置100から受信した基準地点に関連する地図データを抽出するようにしてもよい。基準地点は、上述したように、再経路探索が行われた地点であってもよいし、地図更新判定・要求手段118が地図更新する必要のあると判断した際の現在位置であってもよい。
【0065】
また、上記の例は、地図更新要求に含まれる地図IDに対応するメッシュ地図データを更新対象領域としているが、本発明はこれに限られず、地図提供サーバ160の更新地図データ173として新設道路の起点と終点とを含む道路データを有するようにし、基準地点の情報や現在位置の情報を地図提供サーバにおいて受信した際に、基準地点や現在位置付近を通過する新設道路のデータがあれば、このデータをナビゲーション装置100に対して送信するようにしてもよい。この場合、ユーザが新設された道路の情報を即時に取得すれば、その新設道路を案内経路として経路案内を受けることが可能となる。
【0066】
次に、上述したステップS202〜S204までの地図更新判定処理を図3の地図更新判定の動作を示すフローチャートを参照して説明する。ステップS301において、地図更新判定・要求手段118は、記憶手段119に再経路探索のカウント数を初期値である「0」に設定する。
【0067】
ステップS302において、現在位置検出手段113が現在位置を検出し、ステップS303において、マップマッチング手段115が検出された現在位置を案内経路上、或いは他の道路上にマッチング処理する。マッチングできる道路が付近にない場合には、検出された現在位置を現在位置とする。
【0068】
ステップS304において、リルート判定・要求手段117がマッチングされた現在位置が案内経路上か否かを判定する。マッチングされた現在位置が案内経路上に存在する場合は、ステップS305に進み、表示制御手段112が地図画像上に案内経路と案内経路上の現在位置の表示とを重ねて表示部121に表示させ、ステップS302に戻る。
【0069】
ステップS304において、マッチングされた現在位置が案内経路上にないと判定された場合、ステップS306に進み、マッチングされた現在位置が案内経路以外の道路上か否かを判定する。現在位置が案内経路以外の道路上にないと判定された場合は、ステップS307に進み、表示制御手段112が地図画像上に現在位置の表示を行い、ステップS302の処理に戻る。
【0070】
ステップS306において、マッチングされた現在位置が案内経路以外の道路上にあると判定された場合、ステップS308に進み、リルート判定・要求手段117は現在位置から目的地に向けて再経路探索を行うよう、経路探索手段114に対して指示する。
【0071】
再経路探索を行った際の表示画面を図5に示す。図5の再経路探索時の表示画面500は、現在位置周辺の地図画像510、現在位置表示画像520、現在位置まで通ってきた経路の軌跡530、現在位置から再経路探索されて目的地に至る案内経路画像540から構成される。
【0072】
図6は案内経路をさらに外れ、再経路探索を繰り返し行った場合の表示画面を示す。図6の表示画面600は、現在位置周辺の地図画像610、現在位置表示画像620、現在位置まで通ってきた経路の軌跡630、現在位置から再経路探索されて目的地に至る案内経路画像640から構成される。
【0073】
再経路探索を行った後、ステップS309において、地図更新判定・要求手段118は、この再経路探索は前回の再経路探索から所定時間(例えば10秒以上)経過したものか否かを判定する。10秒以上経過していなければ、記憶手段119に記憶されているカウント数に「1」を加え、ステップS312に進む。
【0074】
ステップS309において、前回の再経路探索から10秒以上経過していると判定すると、ステップS311に進み、記憶手段119に記憶されているカウント数を「1」に戻し、ステップS302に戻る。
【0075】
ステップS312において、地図更新判定・要求手段118は、記憶手段119に記憶されたカウント数が所定数、例えば「5」になったか否かを判定し、所定数に達していなければステップS302に戻り、所定数に達していれば、図2のステップS205に進み、更新地図の問合せを地図提供サーバ160に対して行う。
【0076】
上記の地図更新判定処理は、10秒以下の間隔で行われる再経路探索が繰り返し5回行われると、地図を更新すべきと判定し、地図提供サーバ160に問合せを行い更新すべき地図データがあれば新たなバージョンの地図データを要求して取得し、経路案内に使用することができるようにする。
【0077】
上記の地図更新判定処理の基準は10秒以下の間隔で行われる再経路探索が少なくとも5回繰り替えされることであったが、本発明はこの判定基準に限られず、所定頻度以上で継続して再経路探索が行われたか否かを判断基準とする。
【0078】
例えば、所定時間内に所定回数繰り返し再経路探索が行われた場合に地図更新を行うものと判定しても良いし、所定距離走行する間に所定回数再経路探索が行われた場合に地図更新を行うものとしてもよい。特に、後者の場合、車両の走行速度に依存することなく判定を行うことができる。つまり、車両の速度が遅い場合でも再経路探索が行われる間隔が開いているからといって地図更新の対象から外れてしまうことを防止することができる。
【0079】
また、市街地と郊外で地図更新の基準となる所定時間や所定距離、所定回数を変更し、市街地では基準値となる再経路探索の頻度を高く設定し、郊外では基準値となる再経路探索の頻度を低く設定してもよい。そうすることで、現在位置を含む領域の道路密度に依存して所定頻度を設定することが可能となる。
【0080】
また、上記では、ステップS206において、ナビゲーション装置100の地図更新判定・要求手段118が地図提供サーバ160に対して更新地図データがあるか否か問合せを行い、その後ステップS207において、ナビゲーション装置100は、地図提供サーバ160から更新地図データの有無に関する情報を受信し、ステップS209において改めてナビゲーション装置100が地図提供サーバ160に対して地図更新要求を行っていた。しかしながら、本発明は、上記の例に限られない。例えば、ナビゲーション装置100の地図更新判定・要求手段118が地図提供サーバ160に対して更新地図データがあるか否かの問合せを行い、地図提供サーバ160において更新地図データがあると判定された場合に、地図提供サーバ160が即時更新地図をナビゲーション装置100に送信するようにしてもよい。つまり、ステップS206において地図更新要求を行い、地図提供サーバ160に更新地図データがある場合には更新地図データを送信し、ステップS207〜ステップS209の処理を行うことなくステップS210の処理に進み、ナビゲーション装置100において更新地図データを受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 ナビゲーション装置
110 制御部
111 通信手段
112 表示制御手段
113 現在位置検出手段
114 経路探索手段
115 マップマッチング手段
116 経路案内手段
117 リルート判定・要求手段
118 地図更新判定・要求手段
119 記憶手段
120 表示入力部
121 表示部
122 入力部
130 スピーカ
140 地図記憶部
141 地図データ
142 ガイダンスデータ
150 ネットワーク
160 地図提供サーバ
170 制御部
171 通信手段
172 地図抽出手段
173 更新地図データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新地図データを保有する地図提供サーバと、地図データを記憶するとともに前記地図提供サーバから基準地点に関連した更新地図データを取得して前記地図データを更新するナビゲーション装置と、を備えるナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、
現在位置検出手段と、
前記地図データを参照して、出発地から目的地までの案内経路の探索、或いは前記現在位置検出手段によって検出される現在位置から目的地までの案内経路の再探索をする経路探索手段と、
前記現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定する逸脱判定手段と、
前記逸脱判定手段によって前記現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定した場合に、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を再探索するように前記経路探索手段に要求するリルート判定・要求手段と、
前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を行った場合に、前記案内経路から逸脱した前記現在位置を前記基準地点とした地図更新要求を前記地図提供サーバに対して行う地図更新判定・要求手段と、を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記地図更新判定・要求手段は、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を、所定頻度以上継続して行った場合に、地図更新要求を前記地図提供サーバに対して行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記所定頻度は、前記現在位置を含む所定領域の道路密度に依存して異なることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記地図提供サーバは、更新地図データとして新設道路の起点と終点とを含む道路データを有しており、前記地図更新要求を受信した場合に、前記基準地点に関連する前記新設道路の起点から終点までの道路データを前記ナビゲーション装置に提供することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
地図データを記憶するとともに外部から基準地点に関連した更新地図データを取得して前記地図データを更新するナビゲーション装置であって、
前記ナビゲーション装置は、
現在位置検出手段と、
前記地図データを参照して、出発地から目的地までの案内経路の探索、或いは前記現在位置検出手段によって検出される現在位置から目的地までの案内経路の再探索をする経路探索手段と、
前記現在位置検出手段によって検出された現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定する逸脱判定手段と、
前記逸脱判定手段によって前記現在位置が前記案内経路から逸脱したことを判定した場合に、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を再探索するように前記経路探索手段に要求するリルート判定・要求手段と、
前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を行った場合に、前記案内経路から逸脱した前記現在位置を前記基準地点とした地図更新要求を行う地図更新判定・要求手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
前記地図更新判定・要求手段は、前記リルート判定・要求手段が案内経路の再探索の要求を、所定頻度以上で継続して行った場合に、地図更新要求を前記地図サーバに対して行うことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記所定頻度は、前記現在位置を含む所定領域の道路密度に依存して異なることを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−225672(P2012−225672A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91036(P2011−91036)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】