説明

ナビゲーションシステム及びルート案内方法

【課題】 所謂ロードプライシング制度における割引を加味したルート探索及びルート案内を行うことができる「ナビゲーションシステム及びルート案内方法」を提供する。
【解決手段】 ナビゲーションシステム(1)は、目的地までのルートの探索及び案内を行う制御部(2)、有料道路のロードプライシング制度に関する情報を記憶する記憶部(3)、情報提示部(5、6)を有する。制御部(2)はロードプライシング制度に関する情報を加味したルート探索を行う。ユーザは、ロードプライシング制度により割引されるルートか最短ルートのいずれかを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の迂回ルートを通過したときに料金の割引を行う、所謂、ロードプライシング制度を加味したルート探索及びルート案内を行うナビゲーションシステム及びルート案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、遠く離れた地理に不案内な場所へ出かけても提示されたルート案内に従って走行すれば目的地に辿り着くことができるという便利さから、近年、その普及率は確実に高まっている。このようなナビゲーション装置は、目的地へ到着するのに有料道路を利用できるときは地図情報に含まれる有料道路を探索し、有料道路を含むルートを提示することもある。すなわち、最短時間ルート、最短距離ルート、最安ルート(有料道路を使用しない)等のユーザの希望する条件に沿ったルート探索及びルート案内を行っている。
【0003】
一方、有料道路では特定の時間帯、例えば夜間に利用したときに通行料金の割引を行う時間帯割引制度が導入されており、利用者の通行料金の軽減が図られている。
【0004】
このような状況下、時間帯割引を有効に活用し、コストミニマムとなる目的地への経路案内を行うナビゲーション装置の提案がされている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−41760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、ETCシステム(Electroric Toll Collection System)が普及してきており、このETCシステムに組み込まれたエレクトロニクス技術とETCシステムが保有する情報とを活用することによって、従来の現金による料金収受では実現が困難であった各種の割引制度の導入が検討されている。
【0006】
このような割引制度のひとつに所謂ロードプライシング制度がある。このロードプライシング制度の概略を説明すると以下の如くである。大都市圏では、大量の自動車が行き交っており、その主要な道路は市街地を横断、縦断していることが多い。この為、市街地では道路交通騒音、自動車排出ガス等により、道路沿道環境に多大な影響を及ぼしている。このような状況を打破し、交通混雑の緩和、都市機能の増進及び都市環境の改善に寄与すべく制定されたのがロードプライシング制度である。交通網が張り巡らされた都市部では、同一の出発地から同一の目的地に向かう同一区間の移動であっても、複数のルートが考えられることがある。このような場合に多少遠回りとなっても、都市部を迂回した車両については、環境改善に寄与したとして一定額の割引が実施される。
【0007】
以上が、ロードプライシング制度の概略であるが、従来のナビゲーションシステムでは、前記のように、このようなロードプライシング制度を加味したルート探索及びルート案内は行われていない。このため、ユーザがロードプライシング制度の恩恵を受けるためには、自ら、予めロードプライシング制度の適用区間を調べておき、その適用区間を通過するようにナビゲーションシステムに対して経路指定を行うか、ナビゲーションシステムの案内を無視して前記適用区間を走行するより他なかった。
【0008】
前記特許文献1に提案されたナビゲーション装置でも、このようなロードプライシング制度における割引を加味したルート探索、ルート案内は行っていない。
【0009】
そこで、本発明は、種々の割引制度のうち、一定の迂回ルートを走行したときに適用されるロードプライシング制度を有効に活用し、有料道路の利用料金を抑えることのできるルート探索及びルート案内を行うナビゲーションシステム及びルート案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明のナビゲーションシステムは、目的地までのルートの探索及び案内を行う制御部と、有料道路のロードプライシング制度に関する情報を記憶する記憶部と、情報提示部とを有し、前記制御部は前記ロードプライシング制度に関する情報を加味したルート探索を行い、ルート探索の結果を前記情報提示部により提示することを特徴とする。このようなナビゲーションシステムとすれば、ロードプライシング制度を有効に活用し、有料道路の通行料金の軽減を図ることができる。
【0011】
ここで、前記制御部は、前記ロードプライシング制度の適用区間を含むルートを探索及び案内する構成とすることができる。このような構成とすれば、積極的にロードプライシング制度を活用することができる。但し、ロードプライシング制度が適用される区間を経由しなくても目的地に着くことができ、さらに、そのロードプライシング制度が適用される区間を経由しないルートが最短時間ルート又は最短距離ルートである場合に、ロードプライシング制度が適用される区間までの距離があまりに遠いときは、わざわざロードプライシング制度が適用される区間を経由するのは現実的でない。そこで、あまりにも遠回りとなる場合は、ロードプライシング制度が適用される区間が存在していても、当該区間を経由しないように設定しておくこともできる。例えば、当該区間を経由すると10km以上の遠回りとなるような場合は、当該区間を経由しないように設定しておくこともできる。もっとも、このような設定を予め行っていなくても、情報提示部に提示された情報に基づいて、ユーザがルートの決定をすればよい。
【0012】
また、このようなナビゲーションシステムにおいて、前記制御部により探索したルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合は、当該区間に関し、通常料金ルートを利用する場合と、割引料金ルートを利用する場合のそれぞれにつき、少なくとも予想所要時間及び通行料金を前記情報提示部に提示するようにでき、さらに、ユーザが前記通常料金ルートと前記割引料金ルートのうち、いずれかを選択できる操作部を有する構成とすることができる。
【0013】
例えば、イ地点からロ地点へ走行する際に、一のルートとその一のルートの迂回ルートとが存在する区間がある。通常、前記迂回ルートは、前記一のルートよりも距離が長い。ロードプライシング制度は、このような区間に適用される。ここで、どちらのルートを通過してもイ地点からロ地点の区間を利用したことに変わりはなく、本来であればどちらのルートを利用した場合であっても料金は同一であるが、ロードプライシング制度下では、迂回ルートを通過したときの料金が割り引かれる。このようにロードプライシング制度が適用される区間では、通常料金が課されるルートは距離が短く、通過時間も短時間で済むことが多いと考えられ、一方、迂回ルートは料金が安い反面、距離が長く、通過時間もかかることが多いと考えられる。すなわち、両ルートには一長一短がある。そこで、両ルートの少なくとも予想所要時間及び通行料金を情報提示部に提示するようにし、ユーザがいずれかのルートを選択するようにできれば便利である。本発明によれば、このようなユーザによる選択が可能である。
なお、本明細書において、ロードプライシング制度が適用される区間における、前記通常の料金が課されるルートを「通常料金ルート」といい、割引がされる前記の迂回ルートを「割引料金ルート」ということとする。
【0014】
このようなナビゲーションシステムにおいて、前記有料道路のロードプライシング制度に関する情報を取得する通信手段を有する構成とすることができる。このようなロードプライシング制度に関する情報は、有料道路の料金に関する情報提供を行う管理サーバに接続したりすることによって入手できる。このような管理サーバへの通信手段をナビゲーションシステム自身が備えていれば、いちいちコンピュータからインターネットへ接続等して情報を入手し、この情報をナビゲーションシステムに移動させる手間がかからず便利である。このような通信手段による管理サーバへの問い合わせは、例えば、イグニッションをオンにしてエンジンをかける動作を行ったときとか、一週間や二週間といった一定期間毎に行うようにすることができる。このような構成とすれば、ユーザは何ら意識することなく、最新の情報を反映したルート探索、ルート案内を受けることができる。
【0015】
ナビゲーションシステムでは、VICSによる渋滞情報の取得があったとき等を除き、一般的に最短時間ルートや最短距離ルートを推奨ルートとして提示する。ここで、ロードプライシング制度が適用される区間は、前記のように通常料金ルートと割引料金ルートとがあるが、通常料金ルートの方の距離が短いことから、ロードプライシング制度が適用される全区間を利用して移動する場合には、通常料金ルートを含むルートが推奨ルートとして提示される。しかし、割引料金ルート中にジャンクション(JCT)があり、このジャンクションで他線へ乗り継ぐ場合や、割引料金ルート中のインターチェンジで有料道路を降りて目的地へ向かう場合等は、当然、割引料金ルートを含むルートが推奨ルートとして提示される。このような場合、推奨ルートにロードプライシング制度下の割引料金ルートが含まれている旨の通知がされ、ユーザが割引料金で通行できることを知ることができれば便利である。そこで、前記のようなナビゲーションシステムにおいて、前記制御部により探索したルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合に、当該区間につき、割引料金ルートを利用したルートが最短ルート又は推奨ルートとなるときに、その旨の通知を、前記情報提示部を通じて行うようにすることができる。
【0016】
本発明のルート案内方法は、目的地までのルートを探索するステップと、ロードプライシング制度に関する情報を取得するステップと、探索した前記ルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合に、当該区間につき、通常料金ルートを利用する場合と、割引料金ルートを通過する場合のそれぞれにつき、少なくとも予想所要時間及び通行料金を提示するステップと、提示された通常料金ルートを通過するルートと、割引料金ルートを通過するルートのいずれかを選択するステップと、前記ロードプライシング制度の適用区間を選択された通常料金ルート又は割引料金ルートに設定してルート案内を開始するステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
このようなルート案内方法によれば、ロードプライシング制度による割引を加味したルート案内を行うことができる。このようなルート案内方法は、本発明のナビゲーションシステムを用いることによっても実施することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロードプライシング制度を有効活用したルート探索及びルート案内を行うナビゲーションシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明のナビゲーションシステム1の実施例の概略構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム1は、制御部2を有し、この制御部2には、記憶部3、通信手段4、ディスプレイ5、スピーカ6、操作部7、GPSアンテナ8が接続されている。また、ICカード9を挿脱できるETC車載機10も接続されてり、さらに、イグニッションスイッチ12も接続されている。なお、ディスプレイ5及びスピーカ6が本発明における情報提示手段に相当する。
【0021】
記憶部3は通信手段4により取得したロードプライシング制度に関する情報を記憶する他、地図情報やその他、ルート探索、ルート案内に必要となる各種プログラムを収納している。制御部2は、これらのプログラム及びGPSアンテナ8から得た位置情報、さらに、操作部7によりユーザが入力した探索条件等に基づいてルート探索及びルート案内を行う。
【0022】
通信手段4は、ロードプライシング制度に関する情報の提供を行っている管理サーバ11へインターネット経由で接続し、最新の情報をダウンロードする。ここで、ナビゲーションシステム1はTelematics技術を適用してHTMLブラウザを使用できるようになっている。このようにしてダウンロードした情報は、記憶部3に記憶され、ルート探索の際に参照され、又は、探索したルートとの比較に用いられる。
【0023】
以上のように構成したナビゲーションシステム1によるロードプライシング制度を加味したルート探索及びルート案内について説明する。
【0024】
図2は、出発地と目的地との関係の概略を示す説明図である。Iジャンクション(I JCT)とIIジャンクション(II JCT)との間がロードプライシング制度の適用区間である。すなわち、I JCTから直接II JCTへ向かうのが通常料金ルートであり、一方、I JCTからAインターチェンジ(A IC)〜III JCT〜B ICを経由してII JCTに至るのが割引料金ルートである。I JCTからII JCT間の通行料金については通常1,200円であり、割引料金ルートを選択すると950円となる。
【0025】
図3は、ナビゲーションシステム1の動作の一例を示すフロー図である。以下、このフロー図に即してナビゲーションシステム1によるルート探索及びルート案内について説明する。なお、ロードプライシング制度下の割引は、ICカード9を挿入したETC車載機10を搭載し、ETCシステムを利用する車両に対して適用されるものとし、ICカードがETC車載機に挿入されていないなど、ETCシステムが使用できない状態の場合は、ディスプレイ5やスピーカ6を通じてユーザに知らされる。
【0026】
[出発地1〜目的地1]
まず、出発地1〜目的地1である場合のルート探索、ルート案内の手順について説明する。
まず、ステップS1では、管理サーバ11に問い合わせてロードプライシング制度に関する割引情報を取得する。本実施例では、イグニッションスイッチ12をオンにすると、制御部2が通信手段4に指令を出し、指令を受けた通信手段4が発信してインターネット経由で管理サーバ11への問い合わせを行う。ここで、ナビゲーションシステム1はTelematics技術を適用してHTMLブラウザを使用できるようになっている。ダウンロードした情報は、記憶部3に保存される。
【0027】
次にユーザが操作部7に対し所定の操作を行うと、ナビゲーションシステム1は、GPSアンテナ8で自車位置を確認し、記憶部3に格納された地図情報と照らし合わせて最短ルートを探索する(ステップS2)。ここで、出発地が出発地1で、目的地が目的地1であるので、出発地1〜I JCT〜II JCT〜V JCT〜目的地1のルートが最短ルートとして探索される。
【0028】
次に、制御部2は、ステップ1で取得した割引情報と、ステップ2で探索した最短ルートとを比較して、最短ルート中にロードプライシング制度の適用区間が含まれているか否かの判断を行う(ステップ3)。ここで、最短ルートには、前記のようにI JCT〜II JCTが含まれており、この区間がロードプライシング制度の適用区間であるので、制御部2はYesの判定を行い、ステップS4へ進む。
【0029】
ステップS4では、制御部2は最短ルート中に割引料金ルートが選択されているか否かの判断を行う。ここで、割引料金ルートは、I JCT〜IIJCTへ向かうときに、A IC〜III JCT〜B ICを経由するルートであるので、出発地1から目的地1へ向かう最短ルートには割引料金ルートは含まれていない。従って、制御部2はNoと判断し、ステップS11へ進む。
【0030】
ステップS11に進むと、ディスプレイ5には図4に示すような提示がされる。すなわち、最短ルート、割引ルートそれぞれの予想所要時間及び通行料金が提示される。さらに、最短ルートを選択するためのボタン13a及び割引ルートを選択するためのボタン13bも表示されている(ステップS11)。
【0031】
次にユーザは、図4に示したようなディスプレイ5の提示を参考にし、最短ルートを選択するか、割引ルートを選択するかの判断を行う。例えば、「急いでいるし、通行料金は通常のままでよいので、できるだけ早く到着したいな。では、最短ルートを選択しよう。」とか、「それ程急いでいないし、割引が適用されて通行料金が安くなるのであれば、多少時間がかかってもかまわないので割引ルートを選択しよう。」等の判断に基づいて、ボタン13a、ボタン13bのいずれかのボタンを押してルートのセットを行う。
【0032】
ステップS11でユーザが最短ルートを選択し、ボタン13aを押した場合は、ナビゲーションシステム1が探索した最短ルートにセットされ(ステップS12)、その後、設定された最短ルートに沿ったルート案内が開始される(ステップS13)。一方、ステップS11でユーザが割引ルートを選択し、ボタン13bを押した場合は、I JCT〜II JCTにおいてA IC〜III JCT〜B ICを経由する割引ルートにセットされ(ステップS14)、その後、設定された割引ルートに沿ったルート案内が開始される(ステップS15)。以上の工程により、出発地1〜目的地1のルート探索及びルート案内が行われる。
【0033】
[出発地1〜目的地2]
次に、出発地1〜目的地2の場合のルート探索及びルート案内について説明する。なお、ステップS1については、前記の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0034】
ユーザが操作部7に対し所定の操作を行うと、ナビゲーションシステム1は、GPSアンテナ8で自車位置を確認し、記憶部3に格納された地図情報と照らし合わせて最短ルートを探索する(ステップS2)。この点も、前記と同様であるが、今回は出発地が出発地1で、目的地が目的地2であるので、出発地1〜I JCT〜A IC〜III JCT〜目的地2のルートが最短ルートとして探索される。
【0035】
次にステップS3では前記と同様に制御部2により最短ルート中にロードプライシング制度の適用区間が含まれているか否かの判断がされる。ここで、目的地を目的地2とする場合、ロードプライシング制度適用区間であるI JCT〜II JCTの全区間を利用するわけではないが、ロードプライシング制度適用区間の一部を利用することになるので、制御部2は、最短ルート中にロードプライシング制度適用区間が含まれていると判断し、ステップS4に進む。
【0036】
ステップS4では、制御部2は前記のように最短ルート中に割引料金ルートが含まれているか否かの判断を行うことになるが、今回の場合、最短ルート中にI JCT〜A IC〜III JCTが含まれていることから、制御部2はYesと判断しステップS5に進む。
【0037】
ステップS5に進むと、ディスプレイ5には図5に示すような提示がされる。すなわち、最短ルートの予想所要時間及び通行料金が提示されるとともに、ロードプライシング制度が適用されて割引がされている旨の提示がされる。図5で言えば、『ロードプライシング制度適用アリ!!』との提示である。さらに、最短ルートを選択するためのボタン13c及び他ルートの探索を希望する場合のボタン13dも表示されている(ステップS5)。
【0038】
出発地1〜目的地2とする場合、ナビゲーションシステム1が探索した最短ルートを選択すれば、必然的にロードプライシング制度の適用区間を利用することとなる。このため、ユーザは、特別な事情がない限り、ディスプレイ5に提示された最短ルートを選択すればよく、ボタン13cを押せばよい。一方、他ルートを希望する場合は、ボタン13dを押せば、探索条件設定画面に戻ることができ、ユーザはルート探索をやり直すことができる。
【0039】
ユーザがステップ5におけるディスプレイ5の提示に基づいてボタン13cを押せば、ナビゲーションシステム1が探索した最短ルートにセットされ(ステップS6)、その後、セットされた最短ルートに沿ったルート案内が開始される(ステップS7)。
【0040】
[出発地2〜目的地1]
次に、出発地2〜目的地1の場合のルート探索及びルート案内について説明する。なお、ステップS1については、前記の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0041】
ユーザが操作部7に対し所定の操作を行うと、ナビゲーションシステム1は、GPSアンテナ8で自車位置を確認し、記憶部3に格納された地図情報と照らし合わせて最短ルートを探索する(ステップS2)。この点も、前記と同様であるが、今回は出発地が出発地2で、目的地が目的地1であるので、出発地2〜IV JCT〜VI JCT〜V JCT〜目的地1のルートが最短ルートとして探索される。
【0042】
ステップS3では、前記と同様に、制御部2が最短ルート中にロードプライシング制度の適用区間が含まれているか否かの判断を行うが、出発地2〜目的地1の最短ルートにはロードプライシング制度の適用区間は含まれない。そこで、制御部2は、Noと判断し、ステップS8へ進む。ステップS8では、図6に示すようにディスプレイ5にナビゲーションシステム1が探索した最短ルートが提示される。ユーザがボタン13cを押し、そのルートにセットすれば(ステップS9)、ナビゲーションシステム1はルートの案内を開始する(ステップS10)。
【0043】
[出発地2〜目的地2]
出発地を出発地2とし、目的地を目的地2とした場合の最短ルートは出発地2〜IV JCT〜I JCT〜A IC〜III JCT〜目的地2となる。すなわち、ロードプライシング制度適用区間については、前記出発地1〜目的地2の場合となる。従って、ディスプレイ5には図5に示した提示とほぼ同様の提示がなされる。すなわち、最短ルートの予想所要時間と通行料金、さらに『ロードプライシング制度適用アリ!!』というような提示である。なお、他の点は、前記の出発地1〜目的地2とした場合と、ほぼ異なるところがないので、その詳細な説明を省略する。
【実施例2】
【0044】
次に本発明の実施例2について説明する。実施例1では、前記のようにステップ1で割引情報を取得するとともに、ステップS2においてステップS1で取得した割引情報とは別個に最短ルートの探索を行い、その後、ステップS3で両者を比較する手順となっている。これに対し、実施例2では、ロードプライシング制度適用区間を必ず通過し、さらにこのロードプライシング制度の適用区間で割引料金ルートを利用するルートの探索及び提示をする。また、これと併せて最短ルートの提示も行い、どちらかのルートをユーザに選択させるようにした。以下、図7に基づいて具体的に説明する。
【0045】
[出発地2〜目的地1]
出発地2〜目的地1とした場合、実施例1では、ロードプライシング制度適用区間を含むルート探索及びルート案内は行われていない。これに対し、実施例2では、ステップS21で必ずロードプライシング制度適用区間を通過するルートの探索を行う。すなわち、ステップS20で実施例1のステップS1と同様に割引情報を取得し、この情報に基づいてロードプライシング制度の適用区間を経由地点と認識してルート探索を行う。また、これとは別に、最短ルートの探索も行いこれらを提示する(ステップS21)。
【0046】
ユーザは、これらの提示に基づいてどちらかのルートを選択する。ここで、ユーザがロードプライシング制度における割引料金ルートを利用するルートを選択すれば、ナビゲーションシステム1はそのようなルート案内を開始する(ステップS22、ステップS23)。一方、ユーザが最短ルートを選択すれば、ナビゲーションシステム1はそのようなルート案内を開始する(ステップS24、ステップS25)。
【0047】
このような構成とすれば常にロードプライシング制度による割引の恩恵を享受することができる。但し、ロードプライシング制度の適用区間を通過すると、目的地に対しあまりに遠回となるような場合は、そのようなルート探索を行わないように設定しておくこともできる。極端の例であるが、出発地、目的地のいずれもが関東内であるにも拘らず、関西でロードプライシング制度が実施されているからといって、関西周りのルートを取るのは現実的ではない。このような場合はこのようなルートの提示は行わないように設定することができる。
【0048】
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムでルート探索を行う出発地と目的地との関係の概略を示す説明図である。
【図3】ナビゲーションシステムの動作の一例を示すフロー図である。
【図4】ディスプレイの提示の一例を示す説明図である。
【図5】ディスプレイの他の提示の一例を示す説明図である。
【図6】ディスプレイのさらに他の提示の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例2におけるナビゲーションシステムの動作の一例示すフロー図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ナビゲーションシステム
2 制御部
3 記憶部
4 通信手段
5 ディスプレイ
6 スピーカ
7 操作部
8 GPSアンテナ
9 ICカード
10 ETC車載機
11 管理サーバ
12 イグニッションスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までのルートの探索及び案内を行う制御部と、
有料道路のロードプライシング制度に関する情報を記憶する記憶部と、
情報提示部とを有し、
前記制御部は前記ロードプライシング制度に関する情報を加味したルート探索を行い、ルート探索の結果を前記情報提示部により提示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ロードプライシング制度の適用区間を含むルートを探索及び案内することを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記制御部により探索したルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合は、当該区間に関し、通常料金ルートを利用する場合と、割引料金ルートを利用する場合のそれぞれにつき、少なくとも予想所要時間及び通行料金を前記情報提示部に提示することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーションシステムにおいて、ユーザが前記通常料金ルートと前記割引料金ルートのうち、いずれかを選択できる操作部を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記有料道路のロードプライシング制度に関する情報を取得する通信手段を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載のナビゲーションシステムにおいて、前記制御部により探索したルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合に、当該区間につき、割引料金ルートを利用したルートが最短ルート又は推奨ルートとなるときに、その旨の通知を、前記情報提示部を通じて行うことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
目的地までのルートを探索するステップと、
ロードプライシング制度に関する情報を取得するステップと、
探索した前記ルート中に前記ロードプライシング制度の適用区間が含まれる場合に、当該区間につき、通常料金ルートを利用する場合と、割引料金ルートを利用する場合のそれぞれにつき、少なくとも予想所要時間及び通行料金を提示するステップと、
提示された通常料金ルートを通過するルートと、割引料金ルートを通過するルートのいずれかを選択するステップと、
前記ロードプライシング制度の適用区間を、選択された通常料金ルート又は割引料金ルートに設定してルート案内を開始するステップと、
を有することを特徴とするルート案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−29850(P2006−29850A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205724(P2004−205724)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】