説明

ナビゲーションシステム

【課題】 全ての音声案内について、ユーザが録音した音声で案内できるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 録音音声データを入力する音声入力手段2と、予め作成された初期誘導音声データと入力された録音音声データとを記憶する音声データベース6と、音声入力手段から入力された録音音声データを初期誘導音声データに対応付けて該音声データベースに格納する対応情報変更手段9と、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路に沿って走行中に音声案内が必要になった場合に、音声データベースから、初期誘導音声データに対応付けられた録音音声データが存在する場合は該録音音声データを、存在しない場合は初期誘導音声データを取得する誘導音声取得手段7と、誘導音声取得手段で取得された初期誘導音声データまたは録音音声データに基づき案内音声を出力する音声出力手段10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーションシステムに関し、特にユーザが録音した音声で案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に搭載されて目的地まで運転者を地図と音声で案内する車載用ナビゲーションシステムが知られている。このような音声で案内を行う車載用ナビゲーションシステムの1つとして、走行中に予め設定した地点で音声出力される予め設定した音声データを任意の地点で確認できるナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このナビゲーション装置は、複数の目的地・経由地の位置を記憶する目的地・経由地メモリと、目的地・経由地のいずれか1つを選択する選択手段と、目的地・経由地の数だけ音声データを記憶可能な音声データメモリと、キー操作にて音声を録音する音声データ入力手段と、キー操作にて音声を再生させる音声データ出力手段と、目的地・経由地に近づいたとき音声を再生する音声誘導手段とを備えている。
【0004】
また、他の車載用ナビゲーションシステムとして、特許文献2は、車両のナビゲーションシステムを開示している。このナビゲーションシステムは、車両の現在位置および進行方向を検知して予め指定したチェックポイントに差し掛かるとテレビ画面の地図上に表示し、或いは音声によりドライバに警告するものであって、ドライバからの音声を受付状態として往路におけるチェックポイント付近の目印を録音し、同じ経路で帰還する際に往路と同じチェックポイントに差し掛かった時に録音した往路のチェックポイントを、往路と位置関係を逆にしてメッセージとして警告する道路案内手段を備えている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−232871号公報
【特許文献2】実開平2−55115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のものでは、録音した音声は、目的地、経由地、チェックポイントといった地点に対する対応付けしか行うことができない。「ユーザが録音した音声を再生する」という機能は、「システムにユーザ固有の色づけを行うことができる」という意味合いが強いが、音声を地点に対応付けることしかできない従来の装置では、その地点周辺以外の場所では予め録音された音声で案内が行われる。その結果、音声に対応付けられた地点周辺のみでしか、「システムにユーザ固有の色づけを行う」という効果は発揮されない。そこで、全ての音声案内について、ユーザが録音した音声で案内できるシステムの開発が望まれている。
【0007】
この発明は、上述した要請に応えるためになされたものであり、全ての音声案内について、ユーザが録音した音声で案内できるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るナビゲーションシステムは、録音音声データを入力する音声入力手段と、予め作成された初期誘導音声データと音声入力手段から入力された録音音声データとを記憶する音声データベースと、音声入力手段から入力された録音音声データを、音声データベースに記憶されている初期誘導音声データに対応付けて該音声データベースに格納する対応情報変更手段と、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路に沿って走行中に音声案内が必要であることが判断された場合に、音声データベースから、初期誘導音声データに対応付けられた録音音声データが存在する場合は該録音音声データを、存在しない場合は初期誘導音声データを取得する誘導音声取得手段と、誘導音声取得手段で取得された初期誘導音声データまたは録音音声データに基づき案内音声を出力する音声出力手段とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、音声データベースに予め格納されている初期誘導音声データに、ユーザが入力した音声を表す録音音声データを、対応付けテーブルを用いて対応付けて格納し、経路探索手段で探索された経路に沿って走行中に音声案内が必要になった場合に、音声データベースから、初期誘導音声データに対応付けられた録音音声データが存在する場合は該録音音声データを、存在しない場合は初期誘導音声データを取得して案内音声を出力するようにしたので、ユーザが音声を入力さえすれば、カーナビゲーションによる全ての音声案内に対しユーザが録音した全ての音声を発話させることが可能になる。その結果、運転で疲弊したユーザに対して精神的安堵感を与えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
このナビゲーションシステムは、メイン処理部1、音声入力手段2、記憶手段3、自車位置検出手段4、入力手段5、音声データベース6、誘導音声取得手段7、この誘導音声取得手段7に設けられた対応付けテーブル8、対応情報変更手段9、音声出力手段10、表示手段11および通信手段12から構成されている。
【0011】
メイン処理部1は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、ナビゲーションシステムの全体を制御する。この発明の経路探索手段は、メイン処理部1により実現されており、現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索処理を実行する。このメイン処理部1で行われる処理の詳細は後述する。
【0012】
音声入力手段2は、例えばマイクロフォンから構成されており、ユーザが音声を入力するために使用される。この音声入力手段2から入力された音声は電気信号に変換され、録音音声データとしてメイン処理部1に送られる。
【0013】
記憶手段3は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMといった記録媒体に記録された地図データやその他のデータを読み出すディスクドライブから構成されている。この記憶手段3に記憶されている地図データやその他のデータは、メイン処理部1によって読み出される。
【0014】
自車位置検出手段4は、車速センサ、GPS受信機、ジャイロ等から構成されており、車速センサで検出された車両の速度を表す速度データ、GPS受信機で検出された現在位置を表す現在位置データおよびジャイロで検出された車両の進行方位を表す方位データに基づいて自車位置を検出する。この自車位置検出手段4で検出された自車の現在位置を表す位置データは、メイン処理部1に送られる。
【0015】
入力手段5は、例えば表示手段11の表示画面上に載置されたタッチパネルから構成されており、ユーザがナビゲーションシステムに種々の指示を与えるために使用される。この入力手段5から入力されたデータは、メイン処理部1に送られる。なお、入力手段5としては、タッチパネルに限らず、例えば、リモートコントローラ、操作スイッチ等を用いることができる。
【0016】
音声データベース6は、音声データを記憶する。音声データには、当該ナビゲーションシステムで予め用意されている初期誘導音声データとユーザが音声入力手段2を用いて入力した録音音声データとが含まれる。録音音声データは、誘導音声取得手段7の内部に設けられた対応付けテーブル8によって、初期誘導音声データに対応付けられている。この対応付けテーブル8と音声データベース6との関係を、図2および図3を参照しながら説明する。
【0017】
図2は、初期状態の対応付けテーブル8および音声データベース6を示している。初期状態の対応付けテーブル8では、図2(a)に示すように、ID1に対し初期誘導音声データD1が、ID2に対し初期誘導音声データD2が、ID3に対し初期誘導音声データD3が、ID4に対し初期誘導音声データD4がそれぞれ対応付けられている。そして、音声データベース6には、図2(b)に示すように、初期誘導音声データD1として「右方向です」、初期誘導音声データD2として「左方向です」、初期誘導音声データD3として「まもなく」、初期誘導音声データD4として「その先」というフレーズがそれぞれ格納されている。
【0018】
図3は、ユーザにより録音音声データが入力された後の対応付けテーブル8および音声データベース6を示している。この状態における対応付けテーブル8では、図3(a)に示すように、ID1に対し録音音声データD5が、ID2に対し録音音声データD6が、ID3に対し録音音声データD7が、ID4に対し録音音声データD8がそれぞれ対応付けられている。そして、音声データベース6には、図2(b)に示すように、録音音声データD5として「右だよ」、録音音声データD6として「左だよ」、録音音声データD7として「もうすぐ」、録音音声データD8として「その先」というフレーズがそれぞれ格納されている。
【0019】
図1に示す誘導音声取得手段7は、メイン処理部1からの指示に応答して、対応付けテーブル8の内容に従って音声データベース6から初期誘導音声データまたは録音音声データを取得し、該取得した初期誘導音声データまたは録音音声データに基づいて音声信号を生成する。この誘導音声取得手段7で生成された音声信号は、音声出力手段10に送られる。
【0020】
対応情報変更手段9は、音声入力手段2からメイン処理部1を経由して送られてくる音声データを録音音声データとして音声データベース6に格納するとともに、この録音音声データの格納に伴って対応付けテーブル8の内容を変更する。この対応情報変更手段9において実行される処理の詳細は後述する。
【0021】
音声出力手段10は、例えばスピーカから構成されており、誘導音声取得手段7から送られてくる音声信号に基づき誘導音声を発生する。
【0022】
表示手段11は、例えば液晶パネルから構成されており、メイン処理部1から送られてくる表示データに従って地図や種々のメッセージを表示する。この表示手段11の画面上には、上述したように、入力手段11としてのタッチパネルが載置されている。
【0023】
通信手段12は、当該ナビゲーションシステムを、インターネットやその他の各種コンピュータネットワーク、VICSシステム、カーナビ向け情報提供サービス網(例えば「MONET」)といった情報配信源に接続するために使用される。
【0024】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を説明する。
【0025】
まず、対応情報変更手段9において実行される対応情報変更処理の詳細を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0026】
この対応情報変更処理では、まず、音声情報を生成すべき旨の要求があるかどうかが調べられる(ステップST11)。即ち、メイン処理部1は、入力手段5から音声情報を生成すべき旨の指示が入力されたかどうかを調べる。このステップST11で、音声情報を生成すべき旨の要求がないことが判断されると、以下、ステップST11の繰り返し実行による待機状態に入る。
【0027】
このステップST11の繰り返し実行による待機状態において、音声情報を生成すべき旨の要求が有ることが判断されると、対応付けテーブル8の内容がユーザに提示される(ステップST12)。具体的には、メイン処理部1は、入力手段5から入力された音声情報を生成すべき旨の要求を対応情報変更手段9に送る。対応情報変更手段9は、この要求に応答して、誘導音声取得手段7内の対応付けテーブル8からその内容を読み出し、メイン処理部1を介して表示手段11に送る。
【0028】
これにより、表示手段11に、例えば図5に示すような、対応付けテーブル8のID1〜ID4に割り当てられている初期誘導音声データD1〜D4のフレーズが表示され、音声入力の案内が行われる。ユーザは、この表示手段11に表示されたフレーズの中から、変更したいフレーズを選択することができる。従って、例えば、誤って「右方向です」という初期誘導音声データに「左方向です」という録音音声データを割り当てるといった危険な設定がなされ難くなる。
【0029】
次いで、フレーズが選択されたかどうかが調べられる(ステップST13)。ここで、選択されていないことが判断されると、このステップST13を繰り返し実行しながら待機する。このステップST13の繰り返し実行による待機状態で、フレーズが選択されたことが判断されると、次いで、音声データが入力されたかどうかが調べられる(ステップST14)。ここで、音声データが入力されていないことが判断されると、このステップST14を繰り返し実行しながら待機する。ユーザは、このステップST14の繰り返し実行による待機状態において、音声入力手段2を用いて音声を入力する。
【0030】
ステップST14の繰り返し実行による待機状態において、音声データが入力されたことが判断されると、その入力された音声データが、録音音声データとして音声データベース6に格納される(ステップST15)。今、ID1に対応する初期誘導音声データD1の「右方向です」というフレーズがステップST13において選択された状態で、ステップST14において「右だよ」というフレーズが音声入力手段2から入力されたとすると、対応情報変更手段9は、このフレーズに対応する音声データを、メイン処理部1を経由して取得し、録音音声データとして音声データベース6に格納する。
【0031】
次いで、対応付けテーブル8の内容が更新される(ステップST16)。即ち、対応情報変更手段9は、上記の例で言えば、図2(a)に示すように、初期状態においてID1に対し「右方向です」というフレーズの初期誘導音声データD1が対応付けられていた対応付けテーブル8の内容を、図3(a)に示すように、ID1に対し「右だよ」というフレーズの録音音声データD5を対応付けるように変更する。以上により、対応情報変更処理は終了する。
【0032】
次に、このナビゲーションシステムにおいて実行される経路案内処理を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0033】
経路案内処理では、まず、経路探索処理が実行される(ステップST21)。即ち、メイン処理部1は、自車位置検出手段4で検出された自車位置から、入力手段5によって入力された目的地までの経路を、記憶手段3から読み出した地図データに基づいて検索する。この検索により得られた経路を表す経路データは、メイン処理部1の内部に記憶される。その後、自車が移動を開始することにより、経路案内が開始される。
【0034】
経路案内が開始されると、まず、自車位置が検出される(ステップST22)。即ち、メイン処理部1は、自車位置検出手段4から自車の現在位置を表す位置データを取得する。次いで、誘導音声案内が必要であるかどうかが調べられる(ステップST23)。具体的には、メイン処理部1は、ステップST21で得られた経路データと、ステップST22で取得した位置データとを照合することにより、誘導音声案内を出力するべき地点に到達したかどうかを調べる。このステップST23で、誘導音声案内が必要でないことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0035】
上記ステップST22およびST23の繰り返し実行の途中で、ステップST23において、誘導音声案内が必要であることが判断されると、音声データのリストの生成が行われる(ステップST24)。即ち、メイン処理部1は、ステップST21で得られた経路データに基づき、現在位置で発生すべき誘導音声を構成する音声データのリストを生成する。例えば、現在位置において、「まもなく、右方向です。その先、左方向です」という誘導音声を発生すべき場合は、「ID3−ID1−ID4−ID2」というデータ列を音声データのリストとして生成する。この音声データのリストは、誘導音声取得手段7に送られる。
【0036】
次いで、音声データの取得が行われる(ステップST25)。即ち、誘導音声取得手段7は、対応付けテーブル8を参照することにより、メイン処理部1から受け取った「ID3−ID1−ID4−ID2」というデータ列に対応する初期誘導音声データまたは録音音声データを音声データベース6から取得する。今、対応付けテーブル8の内容が、図2に示すような初期状態であるとすると、「まもなく、右方向です。その先、左方向です」というフレーズの初期誘導音声データが音声データベース6から取得される。
【0037】
一方、対応付けテーブル8の内容が、図3に示すように変更された状態であるとすると、「もうすぐ、右だよ。その先、左だよ」というフレーズの録音音声データが音声データベース6から取得される。誘導音声取得手段7は、音声データベース6から取得した初期誘導音声データまたは録音音声データに基づき音声信号を生成して音声出力手段10に送る。
【0038】
次いで、誘導音声の出力が行われる(ステップST26)。即ち、音声出力手段10は、誘導音声取得手段7から送られてくる音声信号に基づいて誘導音声を発生する。以上により、現在位置における誘導音声による経路案内が終了する。以上の経路案内処理は、所定周期で実行される。従って、自車が経路データで示される経路上の誘導音声案内を出力するべき地点に到達する毎に、その地点に応じた誘導音声による経路案内が行われる。
【0039】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムによれば、音声データベース6に予め格納されている初期誘導音声データに、ユーザが音声入力手段2を用いて入力した音声を表す録音音声データを、対応付けテーブル8を用いて対応付けて音声データベース6に格納し、経路探索手段で探索された経路に沿って走行中に音声案内が必要になった場合に、音声データベース6から、初期誘導音声データに対応付けられた録音音声データが存在する場合はその録音音声データを、存在しない場合は初期誘導音声データを取得して音声出力手段10で案内音声を出力するようにしたので、ユーザが音声を入力さえすれば、カーナビゲーションによる全ての音声案内に対しユーザが録音した全ての音声を発話させることが可能になる。
【0040】
その結果、そのナビゲーションシステムがユーサ固有のものであるという印象をよりユーザに与えることができ、既存のナレータの音声による誘導と比べて、より高い精神的安堵感(癒し効果)や満足感をユーザに与えることが可能になる。例えば、単身赴任中の会社員の場合、愛娘の声で録音した録音音声データを音声案内に使用するといった用途が考えられる。
【0041】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、音声入力手段2として、ユーザが音声を入力するマイクロフォン等を用いたが、予め録音音声データが記録されたCD−ROM、DVD−ROMといった記録媒体を用いることもできる。この場合、対応情報変更手段9は、記録媒体から入力された録音音声データを音声データベース6に格納する際に、対応付けテーブル8の内容を変更して、その録音音声データを初期誘導音声データに対応付ける。この構成によれば、例えばユーザが好むアニメーションのキャラクタやアイドルの声によって録音された記録媒体を利用することにより、ユーザは自己が好む音声で誘導案内を受けることが可能になる。また、記録媒体から録音音声データを取得する代わりに、ネットワーク上のサイトから通信手段12を介して録音音声データを取得するように構成することもできる。
【0042】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムは、実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいて、対応付けテーブル8の内容を初期状態に戻すことができるようにしたものである。
【0043】
実施の形態2に係るナビゲーションシステムの構成は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成と同じである。
【0044】
次に、この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの動作を説明する。実施の形態2に係るナビゲーションシステムの動作は、対応情報変更手段9において実行される対応情報変更処理の内容が実施の形態1に係るナビゲーションシステムのそれと異なるのみである。従って、以下では、異なる部分を主体に説明する。
【0045】
図7は、実施の形態2に係るナビゲーションシステムの対応情報変更手段9において実行される対応情報変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
この対応情報変更処理では、まず、音声情報を生成すべき旨の要求があるかどうかが調べられる(ステップST11)。ここで、音声情報を生成すべき旨の要求がないことが判断されると、次いで、初期化要求があるかどうかが調べられる(ステップST17)。即ち、メイン処理部1は、入力手段5から初期化すべき旨の指示が入力されたかどうかを調べる。このステップST17で、初期化すべき旨の要求がないことが判断されると、シーケンスはステップST11に戻り、以下、ステップST11およびST17の繰り返し実行による待機状態に入る。
【0047】
このステップST11およびST17の繰り返し実行による待機状態で、ステップST11において、音声情報を生成すべき旨の要求が有ることが判断されると、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムと同様に、録音音声データの音声データベース6への格納および対応付けテーブル8の更新が行われる(ステップST12〜ST16)。一方、ステップST11およびST17の繰り返し実行による待機状態で、ステップST17において、初期化すべき旨の要求が有ることが判断されると、対応付けテーブル8を初期化する初期化処理(ステップST18〜ST20)が行われる。この初期化処理は、この発明の初期化手段に対応する。
【0048】
初期化処理では、まず、問い合わせが行われる(ステップST18)。具体的には、メイン処理部1は、初期化すべき旨の要求を対応情報変更手段9に送る。対応情報変更手段9は、この要求に応答して、問い合わせ画面用の表示データを生成し、メイン処理部1を介して表示手段11に送る。これにより、例えば図8に示すような、「音声データを初期化しますか?」という問い合わせメッセージと、「はい」および「いいえ」というボタンとが含まれた問い合わせ画面が表示手段11に表示される。ユーザは、この問い合わせ画面上の「はい」または「いいえ」のボタンを押すことにより、対応付けテーブル8を初期化するかどうかを指示する。
【0049】
次いで、初期化指示があったかどうかが調べられる(ステップST19)。即ち、対応情報変更手段9は、初期化の指示があるかどうかを調べる。ここで、初期化の指示がない、つまり、「いいえ」のボタンが押されたことが判断されると、対応付けテーブル8の初期化は行われずに初期化処理は終了する。
【0050】
一方、ステップST19において、初期化の指示が有る、つまり、「はい」のボタンが押されたことが判断されると、対応付けテーブル8の初期化が行われる(ステップST20)。この初期化により、対応付けテーブル8および音声データベース6は、例えば図3に示すようなユーザにより録音音声データが入力された状態から、図2に示すような初期状態に戻される。以上により初期化処理は終了する。
【0051】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムによれば、ユーザの指示によって対応付けテーブル8および音声データベース6を初期状態に戻すことができる。従って、万が一「右方向です」というID1の初期誘導音声データに対して「左方向です」という録音音声データを娯って登録してしまった場合などは、初期化を行うことにより、安全な音声案内を行うようにすることが可能になる。
【0052】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムは、実施の形態2に係るナビゲーションシステムにおいて、録音音声データを編集できるようにしたものである。
【0053】
実施の形態3に係るナビゲーションシステムの構成は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成と同じである。
【0054】
次に、この発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムの動作を説明する。実施の形態3に係るナビゲーションシステムの動作は、対応情報変更手段9において実行される対応情報変更処理の内容が実施の形態1および実施の形態2に係るナビゲーションシステムのそれと異なるのみである。従って、以下では、異なる部分を主体に説明する。
【0055】
図9は、実施の形態3に係るナビゲーションシステムの対応情報変更手段9において実行される対応情報変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【0056】
この対応情報変更処理では、まず、音声情報を生成すべき旨の要求があるかどうかが調べられる(ステップST11)。このステップST11で、音声情報を生成すべき旨の要求がないことが判断されると、次いで、初期化要求があるかどうかが調べられる(ステップST17)。このステップST17で、初期化要求がないことが判断されると、次いで、編集要求があるかどうかが調べられる(ステップST31)。即ち、メイン処理部1は、入力手段5から編集を行う旨の指示が入力されたかどうかを調べる。このステップST31で、編集要求がないことが判断されると、シーケンスはステップST11に戻り、以下、ステップST11、ST17およびST31の繰り返し実行による待機状態に入る。
【0057】
このステップST11、ST17およびST31の繰り返し実行による待機状態で、ステップST11において、音声情報を生成すべき旨の要求が有ることが判断されると、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムと同様に、録音音声データの音声データベース6への格納および対応付けテーブル8の更新が行われる(ステップST12〜ST16)。上記ステップST11,ST17およびST31の繰り返し実行による待機状態で、ステップST17において、初期化すべき旨の要求が有ることが判断されると、上述した実施の形態2に係るナビゲーションシステムと同様に、初期化処理が行われる(ステップST18〜ST20)。
【0058】
上記ステップST11,ST17およびST31の繰り返し実行による待機状態で、ステップST31において、編集要求が有ることが判断されると、編集処理が行われる(ステップST32)。この編集処理は、この発明の編集手段に対応する。編集処理では、音声データベース6に格納されている録音音声データの編集が行われる。この編集では、音声レベルの均一化、雑音除去、音声合成などを行うことができる。
【0059】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムによれば、通常に録音した録音音声データより高品質な音声データを誘導音声データとして使用することが可能になる。例えば、音声レベルの均一化を行うことにより、録音音声データを収録した際に音声の出カレベルに多少の差があっても、違和感の無い誘導音声を発生させることができる。また、雑音除去を行うことにより、録音音声データを収録した際に多少の雑音があっても、違和感の無い誘導音声を発生させることができる。さらに、音声合成を行うことにより、発話者が照れくさくて収録すべき内容を発話できないといった場合でも、違和感の無い誘導音声を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの初期状態における対応付けテーブルおよび音声データベースを説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの音声入力が行われた後の対応付けテーブルおよび音声データベースを説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの対応情報変更手段において実行される対応情報変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいて対応情報変更に使用される画面例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいて実行される経路案内処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの対応情報変更手段において実行される対応情報変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムにおいて初期化処理に使用される画面例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムの対応情報変更手段において実行される対応情報変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 メイン処理部、2 音声入力手段、3 記憶手段、4 自車位置検出手段、5 入力手段、6 音声データベース、7 誘導音声取得手段、8 対応付けテーブル、9 対応情報変更手段、10 音声出力手段、11 表示手段、12 通信手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
録音音声データを入力する音声入力手段と、
予め作成された初期誘導音声データと前記音声入力手段から入力された録音音声データとを記憶する音声データベースと、
前記音声入力手段から入力された録音音声データを、前記音声データベースに記憶されている初期誘導音声データに対応付けて該音声データベースに格納する対応情報変更手段と、
現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索された経路に沿って走行中に音声案内が必要であることが判断された場合に、前記音声データベースから、初期誘導音声データに対応付けられた録音音声データが存在する場合は該録音音声データを、存在しない場合は初期誘導音声データを取得する誘導音声取得手段と、
前記誘導音声取得手段で取得された初期誘導音声データまたは録音音声データに基づき案内音声を出力する音声出力手段
とを備えたナビゲーションシステム。
【請求項2】
音声入力手段は、音声を入力するためのマイクロフォンから成り、
前記対応情報変更手段は、音声データベースに格納されている初期誘導音声データを提示して前記マイクロフォンによる音声入力の案内を行うことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
音声入力手段は、予め録音音声データが記録された記録媒体から成り、
前記対応情報変更手段は、前記記録媒体から入力された録音音声データを音声データベースに格納する際に、該録音音声データを初期誘導音声データに対応付ける
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
対応情報変更手段によって対応付けられた音声データベースの中の初期誘導音声データと録音音声データとの対応付けを初期化する初期化手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
音声データベースに格納されている録音音声データを編集する編集手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−10509(P2006−10509A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188231(P2004−188231)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】