説明

ナビゲーションシステム

【課題】車載用ナビゲーション装置の操作性を向上する。
【解決手段】車載用ナビゲーションシステムは、ユーザからの入力を受け付けるための操作パネルと、操作パネルを撮影するためのカメラと、カメラが撮影した画像を表示するためのディスプレイとを備える。ディスプレイは、車両のインストルメントパネルに設置することができる。または、ディスプレイは、車両のフロントガラスに設置されるヘッドアップディスプレイであってもよい。操作パネルへの物体(ユーザの手)の接近を検知する近接センサを備えていてもよい。そして、近接センサが物体の接近を検知した場合に、カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、特に、その操作性を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車載用ナビゲーション装置は、ユーザの操作性及び設置スペースの関係から、車内のセンターコンソール部分に配置される。ユーザは、ディスプレイ付近のボタンやディスプレイに貼り付けられたタッチパネルを介して入力操作を行うことができる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−161632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ユーザは、車載用ナビゲーション装置を操作するときに、いちいち視線をその方向に移動しなければならない。ユーザ(運転手)の視線方向は、通常、運転席からみて車両の前方にあるので、操作の度に車載用ナビゲーション装置の方を見るというのでは面倒である。
【0005】
そうかといって、スピードメータや燃料メータの設置されているインストルメントパネル部分に車載用ナビゲーション装置を設置しようとしても、そもそも設置可能なスペースは無いし、ハンドルが邪魔して容易に操作することはできない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、車載用ナビゲーション装置の操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、ナビゲーション装置の操作パネルを撮影するためのカメラを備え、そのカメラで撮影した画像を、ユーザにとって見やすい位置に設置したディスプレイに表示する。
【0008】
例えば、本発明の車載用ナビゲーションシステムは、ユーザからの入力を受け付けるための操作パネルと、前記操作パネルを撮影するためのカメラと、前記カメラが撮影した画像を表示するためのディスプレイとを備えている。
【0009】
前記ディスプレイは、車両のインストルメントパネルに設置することができる。
【0010】
前記ディスプレイは、車両のフロントガラスに設置されるヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0011】
前記ナビゲーションシステムは、前記ディスプレイに表示するか否かを決定する表示決定手段を備えていてもよい。そして、前記ディスプレイは、前記表示決定手段の決定に従って、前記カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。
【0012】
前記ディスプレイは、前記操作パネルへの入力を検知した場合に、前記カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。
【0013】
前記ナビゲーションシステムは、前記操作パネルへの物体の接近を検知する近接センサを備えていてもよい。そして、前記ディスプレイは、前記近接センサが物体の接近を検知した場合に、前記カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。
【0014】
また、前記ナビゲーションシステムは、車速を取得する手段を備えていてもよい。そして、前記ディスプレイは、前記車速が所定の条件を満たす場合に、前記カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。
【0015】
また、前記ナビゲーションシステムは、車間距離を取得する手段を備えていてもよい。そして、前記ディスプレイは、前記車間距離が所定の条件を満たす場合に、前記カメラが撮影した画像を表示するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーションシステムの概略図である。また、図2(A)および図2(B)は、図1に示すナビゲーションシステムの車両への設置例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と、入力装置2と、ビデオカメラ3と、ヘッドアップディスプレイ4と、センサ5と、を有する。
【0019】
入力装置2は、図2(A)および図2(B)に示すように、ナビゲーション装置1の前面に設けられ、ユーザからの指示を受け付ける操作パネル21を有している。操作パネル21は、スイッチ、キーボード、方向キーなどのハードスイッチであってもよいし、ナビゲーション装置1のディスプレイの上面に貼られたタッチパネルであってもよい。入力装置2は、ユーザから指示を受け付けて、指示内容をナビゲーション装置1に送信する。
【0020】
ビデオカメラ3は、図2(B)に示すように、その撮影レンズが入力装置2の方向に向けられ、入力装置2を含む範囲が撮影可能なように、車両6の内部の天井などに設置されている。ビデオカメラ3は、ナビゲーション装置1から撮影の開始を指示する信号を受信すると撮影を開始し、当該撮影して得た画像をヘッドアップディスプレイ4に出力する。
【0021】
ヘッドアップディスプレイ4は、ビデオカメラ3から出力された画像を表示する。図示は省略するが、ヘッドアップディスプレイ4の表示素子の像が、ハーフミラーにより反射され、コンバイナ上に結像するようになっている。ヘッドアップディスプレイ4は、図2(A)に示すように、運転中のユーザにとって視線移動が少ない、例えば、ユーザ(運転手)の正面に位置する、車両6のフロントガラスの箇所に設置される。なお、本実施形態では、ヘッドアップディスプレイ4を用いているが、これに代えて、小型の液晶ディスプレイなどを用いてもよい。例えば、スピードメータなどが設置されているインストルメントパネル内または付近(例えば、上部)に設置する。
【0022】
センサ5は、入力装置2の操作パネル21にユーザの手が接近したことを検出するための装置である。センサ5は、例えば、LEDから放射された光の反射光量をフォト・ディテクタで検出することで、物体の近接を感知する近接センサで構成できる。センサ5は、図2(A)に示すように、操作しようとするユーザの手の接近を検知可能なように、入力装置2の操作パネル21に近接した位置に設置されている。センサ5は、定期的に操作パネル21付近にユーザの手が接近したか否か検知することを行う。そして、ユーザの手が接近したことを検知すると、そのことを示す信号をナビゲーション装置1に出力する。
【0023】
なお、入力装置2、ビデオカメラ3、ヘッドアップディスプレイ4およびセンサ5は、既存の機器により構成することができる。
【0024】
ナビゲーション装置1は、GPS受信装置を備え、現在位置を検出し、検出した現在位置を用いて現在位置周辺の地図表示や経路誘導などを行う。なお、ナビゲーション装置1の本来の機能である、ルート探索やルート誘導の機能の説明は省略する。
【0025】
ナビゲーション装置1は、図2(A)に示すように、車内のセンターコンソール部分に設置される。
【0026】
ナビゲーション装置1は、ヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3が撮影した画像を表示させるか否か判定する、表示判定部11を有する。
【0027】
上記構成のナビゲーション装置1は、例えばCPUと、メモリと、ROMやHDD等の外部記憶装置と、CD-ROMやDVD-ROM等の可搬性を有する記憶媒体から情報を読み出す読取装置と、入力装置と、出力装置と、これらの各構成要素を接続するバスと、を備えたコンピュータにより構成される。なお、表示判定部11は、CPUが所定のプログラムを外部記憶装置あるいは読取装置を介して記憶媒体からメモリ上にロードし実行することで実現できる。
【0028】
<動作の説明>
次に、上記構成のナビゲーションシステムの特徴的な動作について説明する。
【0029】
図3は、ナビゲーションシステムの動作の流れを示すフロー図である。
【0030】
まず、ナビゲーション装置1の表示判定部11は、定期的に、ヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3の撮影画像を表示すべきか否かの判定を行う(S31)。
【0031】
図4は、かかる表示判定処理のフロー図である。
【0032】
表示判定部11は、センサ5が物体(ユーザの手)の近接を検知したか否か判定する(S41)。ここで、センサ5が物体(ユーザの手)の近接を検知した場合(S41でYES)、撮影の実行を指示する撮影実行信号を出力し、撮影の開始をビデオカメラ3に指示する(S42)。一方、センサ5が物体(ユーザの手)の近接を検知しなかった場合(S41でNO)、撮影停止信号を出力し、撮影を実行しないことを指示する(S43)。
【0033】
図3に戻って説明する。ビデオカメラ3は、撮影実行信号を受け取った場合(S32でYES)、入力装置2へ撮影レンズが向けられた状態で撮影を実行し(S33)、撮影した画像データをヘッドアップディスプレイ4へ出力する(S34)。
【0034】
一方、ビデオカメラ3は、撮影を実行しないことを指示する信号を受け取った場合(S32でNO)、撮影を実行しない。また、現在撮影中であった場合は、撮影を停止する(S37)。
【0035】
ヘッドアップディスプレイ4は、ビデオカメラ3から画像データを受信した場合のみ(S35でYES)、ビデオカメラ3から出力された画像データを表示する(S36)。
【0036】
以上の処理によって、操作パネル21にユーザの手が接近すると、入力装置2の操作パネル21と、該操作パネル21を操作しようとするユーザの手が、ヘッドアップディスプレイ4に表示される。
【0037】
図5は、ヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3の画像が表示された様子を示す図である。
【0038】
図示するように、ヘッドアップディスプレイ4には、操作パネル21の周辺の画像が表示されている。すなわち、操作パネル21の像22と、該操作パネル21を操作しようとするユーザの手71の像72が表示されている。
【0039】
このように表示されることによって、ユーザは、実際の操作パネル21を度々見ることなく、操作パネル21を操作することができる。すなわち、視線移動が少ないので、容易に操作することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0041】
上記実施形態によれば、ユーザの視線移動が少なくて済むので、ナビゲーション装置の操作性が向上する。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。上記実施形態は、様々の変形が可能である。
【0043】
上記実施形態では、表示判定処理において、物体(ユーザの手)が操作パネル21に近づいたことを示す信号を受信したか否か判定し、受信した場合、撮影の実行を指示する信号を出力することとしているが、本発明はこれに限られない。
【0044】
例えば、操作パネル21への実際の操作を検知した場合に、ヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3の画像を表示するようにしてもよい。具体的には、表示判定部11は、操作パネル21へのユーザからの入力を監視し、入力を検知した場合に、撮影実行信号をビデオカメラ3に出力する。
【0045】
また、例えば、車速に応じて、表示するか否かを判定してもよい。具体的には、ナビゲーション装置1は、車両の走行時速を計測する車速センサを備えている。そして、表示判定部11は、車速センサが計測した車両の走行時速が所定値を超え、且つ、物体(ユーザの手)が操作パネル21に近づいたことを示す信号を受信した場合に、撮影の実行を指示する信号をビデオカメラ3に出力する。こうすれば、高速移動している場合にヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3の画像が表示される。
【0046】
また、車間距離に応じてヘッドアップディスプレイ4に表示するか否かを判定してもよい。具体的には、ナビゲーション装置1は、他の車両との車間距離を測定するための車間距離測定センサを備えている。車間距離センサは、例えば、車両の前方の物体までの距離を測定する超音波距離センサやレーザ距離センサにより構成できる。そして、表示判定部11は、車間距離センサが測定した車間距離が所定値以内であり、且つ、物体(ユーザの手)が操作パネル21に近づいたことを示す信号を受信した場合に、撮影の実行を指示する信号を出力する。こうすれば、車間距離が短い場合にヘッドアップディスプレイ4にビデオカメラ3の画像が表示される。
【0047】
また、操作パネル21の撮影画像を表示するディスプレイは、運転席側に限らず、助手席側に設けてもよい。
【0048】
また、ビデオカメラ3の撮影範囲(ズーム)をユーザの要求に従って変更可能としてもよい。例えば、ナビゲーション装置1は、操作パネル21を介して、撮影範囲(ズームレベル)の変更要求を受け付け、受け付けた要求に従って、ビデオカメラ3に撮影範囲(ズームレベル)を変更させる信号を送信する。これを受けて、ビデオカメラ3の制御部は、撮影範囲(ズームレベル)を変化させる。こうすれば、ユーザの好みに応じて、撮影範囲を変更することができる。
【0049】
また、ヘッドアップディスプレイ4に表示されるユーザの手71の像72を、半透明で表示することとしてもよい。具体的には、ビデオカメラ3は、定期的に撮影を行い、撮影した画像を記憶する。そして、センサ5が、物体(ユーザの手)の近接を検知した場合、ビデオカメラ3は、その検知の前後の画像を比較する。次に、ビデオカメラ3は、当該前後の画像において、異なる箇所が存在した場合、当該検知後の画像データの当該異なる箇所を半透明にする透過処理を施す。次に、ビデオカメラ3は、当該透過処理が施された半透明である当該箇所の画像と、当該検知前の画像と、を重ね合わせた画像データをヘッドアップディスプレイ4に出力する。こうすれば、ユーザの手71の像72が半透明で表示されるため、操作パネル21のどのボタンを押そうとしているのか分かりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ナビゲーションシステムの概略構成図。
【図2】図2(A)は、ナビゲーションシステムの設置例(コンソール部分)を示す図。図2(B)は、ナビゲーションシステムの設置例(車両の側面からみたところ)を示す図。
【図3】ナビゲーションシステムの動作のフロー図。
【図4】表示判定処理(図3のS31)のフロー図。
【図5】ヘッドアップディスプレイ4の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1…ナビゲーション装置、2…入力装置、3…ビデオカメラ、4…ヘッドアップディスプレイ、5…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用ナビゲーションシステムであって、
ユーザからの入力を受け付けるための操作パネルと、
前記操作パネルを撮影するためのカメラと、
前記カメラが撮影した画像を表示するためのディスプレイとを備える
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記ディスプレイは、車両のインストルメントパネルに設置されている
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記ディスプレイは、車両のフロントガラスに設置されるヘッドアップディスプレイである
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記ディスプレイに表示するか否かを決定する表示決定手段を備え、
前記ディスプレイは、前記表示決定手段の決定に従って、前記カメラが撮影した画像を表示する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記ディスプレイは、
前記操作パネルへの入力を検知した場合に、前記カメラが撮影した画像を表示する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
前記操作パネルへの物体の接近を検知する近接センサを備え、
前記ディスプレイは、
前記近接センサが物体の接近を検知した場合に、前記カメラが撮影した画像を表示する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
車速を取得する手段を備え、
前記ディスプレイは、
前記車速が所定の条件を満たす場合に、前記カメラが撮影した画像を表示する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、
車間距離を取得する手段を備え、
前記ディスプレイは、
前記車間距離が所定の条件を満たす場合に、前記カメラが撮影した画像を表示する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−237954(P2007−237954A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64099(P2006−64099)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】