ナビゲーションシステム
【課題】ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合にユーザの不安感を軽減することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置11は、地図情報と現在位置情報と目的地情報に基づいて設定した案内経路を、ディスプレイ16に表示して交差点における自車両の進行方向を案内する。そして、目的地方面に存在する地名を地名情報として取得し、案内標識の方面案内情報の中に地名情報が少なくとも1つ含まれると共に、地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と案内経路に沿って案内する方向とが一致しない場合に、案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。
【解決手段】ナビゲーション装置11は、地図情報と現在位置情報と目的地情報に基づいて設定した案内経路を、ディスプレイ16に表示して交差点における自車両の進行方向を案内する。そして、目的地方面に存在する地名を地名情報として取得し、案内標識の方面案内情報の中に地名情報が少なくとも1つ含まれると共に、地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と案内経路に沿って案内する方向とが一致しない場合に、案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地までの経路を案内する種々のナビゲーションシステムが知られている。このようなナビゲーションシステムのうちには、例えば特許文献1に記載されるように、交差点付近の道路沿いに設置された案内標識を表示画面上に表示して、その案内標識に地名及び矢印により示された方面案内情報を経路の案内に利用しているものがある。すなわち、特許文献1のナビゲーションシステムでは、案内標識のある交差点に近づいた場合に、案内標識の画像と目的地名とを重ねて表示し、案内標識に記載された地名と目的地との位置関係を表示するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−63321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般にナビゲーションシステムが案内する経路は、目的地までの最短経路や一般道路もしくは有料道路を通る経路など、複数の経路のうちから一つの経路を選択するようになっている。そのため、その目的地に至るまでの経路上にある交差点を通過するときに、その交差点の手前に設置された案内標識が示す目的地の方向とナビゲーションシステムが案内する方向とが異なる場合があり、このような場合にはユーザに不安を感じさせてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合にユーザの不安感を軽減することができるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、地図情報を取得する地図情報取得手段と、移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記移動体の目的地を設定する目的地設定手段と、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、前記地図情報が示す地図を表示画面に表示させて前記案内経路上の交差点における前記移動体の進行方向を案内する案内手段と、前記現在位置において前記目的地方面に存在する地名を地名情報として取得する地名情報取得手段と、前記交差点からの方面案内情報が少なくとも1つ表示された案内標識の設置された位置から所定範囲内に前記移動体が位置するときに、前記案内標識が示す方面案内情報を取得する方面案内情報取得手段と、該方面案内情報取得手段が取得した前記案内標識の方面案内情報の中に前記地名情報が少なくとも1つ含まれるときに、前記案内標識が示す交差点において前記案内標識が表示する前記方面案内情報のうちで前記地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と前記案内手段が案内する方向とが一致するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が一致しないと判断した場合に、前記交差点から前記目的地までの前記案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行うように前記案内手段を制御する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、案内手段は交差点における移動体の進行方向の案内に加えて交差点から目的地までの案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。すなわち、ユーザは、交差点の案内標識が示す方向と案内経路に基づいて案内手段が案内する方向とが異なると、その案内経路に従って案内されることに不安を感じてしまう。そこで、案内する方向とは異なる方向を示す案内標識の所定範囲内に移動体が位置する場合には、ユーザが不安を感じているものと看做し、目的地まで設定されている案内経路に沿った道筋を保証案内により確認させる。したがって、ユーザは、案内経路に従った場合にも目的地に向かって進行しているということが確認でき、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記表示画面に表示させる表示内容を変更するために操作される操作手段をさらに備え、前記制御手段は、前記判断手段が一致しないと判断した場合であって且つ前記操作手段が操作された場合に、前記保証案内が行われるように前記案内手段を制御することを要旨とする。
【0009】
交差点の案内標識が示す方向と案内経路に基づいて案内手段が案内する方向とが異なる場合、通常、ユーザは不安になり、地図を表示している表示画面の表示内容を変更して案内経路に沿った道筋の確認をしようとする。この点、請求項2に記載の発明によれば、そうしたユーザによる表示画面の表示内容を変更させるための操作手段の操作があったときに案内経路に沿った道筋の保証案内が行われるので、的確にユーザの不安感を軽減することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内手段は、前記表示画面において前記地図を前記案内経路に沿ってスクロール表示させることにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、表示画面において地図を案内経路に沿ってスクロール表示させることにより、現時点では表示画面に表示されていない目的地近くの経路部分を含む案内経路全体が、表示画面において現在位置から目的地までの道筋を視認できるように表示される。すなわち、ユーザは、案内手段が案内する進行方向に従っても目的地に向かって進行しているということが確認でき、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内標識に表示された前記方面案内情報に基づいて、前記案内標識が設置された前記交差点から前記案内経路とは異なる経路で前記目的地へ到達する標識経路を設定する標識経路設定手段をさらに備え、前記案内手段は、前記表示画面における前記地図上に前記案内経路と前記標識経路とを同時に表示させることにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、案内手段は、交差点から目的地まで設定された標識経路を案内経路と共に表示して各経路を案内する。すなわち、案内手段が案内する方向に従う場合であっても、案内標識が示す方向に従う場合であっても目的地にたどり着けることがわかり、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記標識経路設定手段は、前記案内標識が設置された前記交差点において前記案内経路から分岐すると共に前記目的地又は前記案内経路の途中位置で前記案内経路と合流するように前記標識経路を設定することを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、標識経路を目的地又は案内経路の途中位置で該案内経路と合流するように設定する。すなわち、表示画面に表示される標識経路は、案内経路と重複することになる経路部分が表示されないため、案内経路と標識経路とが揃って表示されることなく視認性を高めることができる。さらに、標識経路が案内経路部分の途中位置で案内経路と合流する場合には、標識経路と案内経路が途中で合流することが視認できるため、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内手段は、前記表示画面における前記地図を広域表示させて前記案内経路と前記標識経路とを、該案内経路と該標識経路との合流位置又は前記目的地まで表示することにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、地図を広域表示させて案内経路と標識経路とを各経路の合流位置又は目的地まで表示する。すなわち、案内経路と標識経路のどちらの経路であっても目的地にたどり着けることが一目でわかるため、ユーザの不安をさらに軽減することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内標識を撮影する撮影手段をさらに備え、前記方面案内情報取得手段は、前記撮影手段により撮影された前記案内標識の画像認識を通じて前記案内標識が示す前記方面案内情報を取得することを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、撮影手段で案内標識を撮影し、撮影された画像から方面案内情報を取得することにより、例えば予め方面案内情報を記憶していない交差点においても、経路の案内が可能となる。したがって、新たに敷設された道路で案内標識が示す方向と案内手段が案内する方向が異なる場合であっても、ユーザの不安感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態におけるナビゲーションシステムのブロック図。
【図2】案内標識が設置された交差点を説明する説明図。
【図3】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図4】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図5】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図6】標識案内表示情報に基づいて表示されるディスプレイの説明図。
【図7】スクロール途中を説明するディスプレイの説明図。
【図8】スクロール終了を説明するディスプレイの説明図。
【図9】第2の実施形態における進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図10】広域標識経路表示情報に基づいて表示されるディスプレイの説明図。
【図11】別例におけるディスプレイの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明のナビゲーションシステムを車両に搭載される車載用のナビゲーション装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、ナビゲーションシステムとしてのナビゲーション装置11は、移動体としての自車両12(図2参照)の位置を検出する現在位置検出手段としての位置センサ13と、撮影手段としてのカメラ14とを備えている。さらに、ナビゲーション装置11は、位置センサ13及びカメラ14からの入力結果に基づいて走行案内の各種処理を行うナビゲーションユニット15と、画像を表示する表示画面としてのディスプレイ16と、操作手段としての操作パネル17とを備えている。
【0023】
位置センサ13は、GPS衛星からの信号を信号データとして受信するGPS受信部18と、自車両12の進行方向を示す方位角データを検出するジャイロセンサ19と、自車両12の走行速度を示す車速データを検出する車速センサ20等で構成されている。そして、位置センサ13が検出した信号データ、方位角データ、車速データ等の各データは、自車両12の現在位置を示す現在位置情報としてナビゲーションユニット15へ出力される。
【0024】
カメラ14は、カラー画像を連続して撮影可能なデジタルカメラであって、レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮像素子(いずれも図示略)とを備えている。そして、カメラ14は、自車両12の進行方向前方を撮影するように自車両12における前方位置に取り付けられている。また、ディスプレイ16は、例えば、液晶パネルまたは有機エレクトロルミネッサンスパネル等により構成され、例えば、位置センサ13によって検出された自車両12の位置(すなわち現在位置)を示すアイコン22が地図23と共に表示される(図6参照)。
【0025】
さらに、操作パネル17は、各種の情報の入力を受け付ける入力手段(操作ボタンやキーボード)であるが、本実施形態における操作パネル17は、ディスプレイ16と兼用されてタッチパネルとして構成されている。そして、この操作パネル17の操作により、ディスプレイ16に表示された地図23(図6参照)のスクロール表示や広域/狭域表示といった表示内容の変更や、目的地G(図8参照)の設定が可能になっている。したがって、操作パネル17は、目的地設定手段としても機能する。
【0026】
以下、ナビゲーションユニット15の構成について説明する。
図1に示すように、ナビゲーションユニット15は、ナビゲーション装置11の全体を総括的に制御する制御装置25と、制御装置25から出力された表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示させる表示制御部26とを備えている。そして、制御装置25は、情報を読み出し及び書き換え可能な記憶部27と、中央処理装置となるCPU28とにより構成されている。なお、記憶部27には制御装置25が各種の制御を行うためのプログラムが格納されている。
【0027】
さらにナビゲーションユニット15は、内蔵ハードディスク等の補助記憶装置である地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31を備えている。地図情報記憶部30には、全国の道路網を示した経路データ32と、ディスプレイ16に地図画面を出力するための地図データ33と、全国の主要な地名からなる地名データ34とが格納されている。なお、本実施形態において地名データ34として格納されている地名には、都市名、市町村名に加えて、駅名や公園名などの施設名が含まれている。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、標識情報記憶部31には、全国の道路36に設置された案内標識37の標識データ38が、各案内標識37毎に関連付けて格納されている。すなわち、この標識データ38には、案内標識37が設置された場所の位置座標を示す標識位置データ39と、案内標識37が案内する交差点の位置座標を示す交差点位置データ40とが含まれている。さらに、標識データ38には、案内標識37が示す方面案内データ41、及び案内標識37の画像データ42が含まれている。
【0029】
すなわち、例えば第1の案内標識45に関する標識データ38としては、第1の案内標識45の位置座標(X1,Y1)が、標識位置データ39に格納されている。そして、第1の案内標識45が示す第1の交差点46の位置座標(X2,Y2)が、交差点位置データ40に格納されている。さらに、方面案内データ41には、第1の案内標識45に記載された方面(地名)と方向とからなる第1の方面案内情報47が格納されている。すなわち、方面案内データ41には、第1の案内標識45に矢印で示されたA駅は左折方向、B公園は直進方向、C市街は右折方向という第1の方面案内情報47がデジタルデータ化されて格納されている。さらに画像データ42には、図2の拡大図に示すように、第1の案内標識45の第1の画像情報48がデジタルデータ化されて格納されている。
【0030】
同様に、第2の案内標識50に関する標識データ38としては、第2の案内標識50の位置座標(X3,Y3)が、標識位置データ39に格納されている。そして、第2の案内標識50が方面を案内する第1の交差点46の位置座標(X2,Y2)が、交差点位置データ40に格納されている。すなわち、第1の案内標識45と第2の案内標識50は、同じ第1の交差点46における方面案内を異なる方角から示しているため、交差点位置データ40には同じ位置座標(X2,Y2)が格納されている。そして、方面案内データ41には、第2の案内標識50が示すB公園は左折方向、C市街は直進方向、D空港は右折方向という第2の方面案内情報51がデジタルデータ化されて格納されている。さらに、画像データ42には、図2の拡大図に示すように、第2の案内標識50の第2の画像情報52がデジタルデータ化されて格納されている。
【0031】
なお、本実施形態における案内標識37とは、分岐交差点や合流交差点を含む道路36と道路36とが交差する交差点付近の道路36上に設置されて方向と方面とを示す標識(例えば、105系統、108系統の案内標識)であって、各方面を矢印で示している。そして、一般道路に設定される案内標識は、青地に白文字で記載されているのに対し、高速道路に設置される案内標識は、緑地に白文字で記載されている。
【0032】
また、各案内標識37は、交差点に進入する際に確認可能なように設けられ、一方の面にのみ方面案内情報が記載されている。すなわち、図2に示すように、第1の案内標識45は、第1の交差点46に向かって走行する自車両12の運転者(ユーザ)が、実線で示す該第1の案内標識45の手前位置において、第1の方面案内情報47を視認(確認)可能に設けられている。そして、第2の案内標識50は、自車両12が第1の交差点46を左折して該交差点46を通過した後の、自車両12を二点鎖線で示す第2の案内標識50と第1の交差点46との間となる位置からは、運転者が第2の方面案内情報51を確認不可能なように設けられている。
【0033】
また、図1に示すように、制御装置25は、位置センサ13、カメラ14、操作パネル17からの入力に基づいて、地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31から各種データを取得すると共に、表示制御部26へ表示情報を出力する。したがって、制御装置25は、地図情報取得手段、地名情報取得手段及び方面案内情報取得手段として機能する。
【0034】
また、制御装置25は、操作パネル17の操作に基づいて入力された目的地を目的地情報として取得すると共に、位置センサ13から取得した現在位置情報に基づいて、現在位置から目的地までの案内経路54(図6参照)を設定する。したがって、制御装置25は案内経路設定手段としても機能する。
【0035】
さらに、制御装置25は、設定した案内経路54とアイコン22と地図23とからなる表示情報を表示制御部26に出力する。そして、表示制御部26は、表示情報に基づいて案内経路54をディスプレイ16に表示し、案内経路54上の交差点における自車両12の進行方向を案内する。したがって、制御装置25は、表示制御部26を制御する制御手段として機能すると共に、表示制御部26は案内手段として機能する。
【0036】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の制御装置25の処理手順を図3〜図5に従って説明する。なお、図3〜図5に示すフローチャートは、記憶部27に記憶された経路案内プログラムをCPU28が実行する場合の処理手順であって、自車両12のエンジンが駆動されてナビゲーション装置11が起動された場合に実行される。
【0037】
まず、制御装置25は、位置センサ13が検出した現在位置情報を取得すると共に(ステップS110)、地図情報記憶部30に格納された地図データ33の中から現在位置周辺の地図情報を取得する(ステップS120)。続いて制御装置25は、案内経路54が未設定であるか否かを判断し(ステップS130)、案内経路54が未設定である場合には(ステップS130:YES)、目的地G(図8参照)が入力されたか否かを判断する(ステップS140)。なお、目的地Gは、操作パネル17が操作されることにより設定され、目的地情報として記憶部27に一次記憶されるようになっている。
【0038】
そして、制御装置25は、記憶部27に目的地情報が記憶されておらず、目的地Gが入力されていないと判断した場合に(ステップS140:NO)、現在位置情報及び地図情報に基づいて現在位置表示情報を作成する(ステップS150)。さらに、制御装置25は、作成した現在位置表示情報を表示制御部26へ出力し(ステップS160)、その後ステップS110に戻って、再び現在位置情報を取得する。なお、現在位置表示情報を受け取った表示制御部26は、現在位置表示情報に基づいてディスプレイ16に地図23(図6参照)を表示すると共に、地図23上における自車両12の現在位置にアイコン22(図6参照)を表示する。
【0039】
また、制御装置25は、ステップS140において、記憶部27に目的地情報が記憶されており、目的地Gが入力されたと判断した場合には(ステップS140:YES)、記憶部27に記憶された目的地情報を取得する(ステップS170)。そして、制御装置25は、地図情報記憶部30に記憶された地名データ34の中から、現在位置において目的地方面に位置する地名を地名情報として取得する(ステップS180)。すなわち、本実施形態における地名情報とは、例えば、目的地の方角に位置する地名である。なお、地名情報には、目的地名が含まれている。
【0040】
さらに、制御装置25は、現在位置情報が示す現在位置から目的地情報が示す目的地までの案内経路54を、地図情報記憶部30に格納された経路データ32に基づいて設定する(ステップS190)。そして、制御装置25は、作成した案内経路54と地図情報及び現在位置情報とに基づいて案内表示情報を作成し(ステップS200)、作成した案内表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS210)。なお、案内表示情報を受け取った表示制御部26は、案内表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。すなわち、ディスプレイ16には、自車両12の現在位置を表すアイコン22と案内経路54とが地図23に重ねて表示される(図6参照)。
【0041】
一方、ステップS130において、案内経路設定済みと判断された場合には(ステップS130:NO)、制御装置25は、ステップS220において、後述する標識案内表示情報が作成済みであるか否かを判断する(ステップS220)。そして、標識表示案内情報が作成されている場合には(ステップS220:YES)、後述するステップS430へ移行する。また、標識案内表示情報が作成されていない場合には(ステップS220:NO)、前述したステップS200へ移行して案内表示情報を作成する。
【0042】
さらに、制御装置25は、ステップS210にて案内表示情報を出力すると、図4に示すように、ステップS310において、カメラ14が撮影した撮影情報を取得する。そして、制御装置25は、ステップS320において、撮影情報を画像認識し、案内標識37が撮影されているか否かを判断する(ステップS330)。
【0043】
なお、本実施形態の制御装置25は、カメラ14が撮影した画像に案内標識37に用いられる色(一般道路では青色)の領域が所定割合(例えば1%)以上存在する場合に、案内標識37がユーザによる視認が可能な所定範囲内にあると判断する(ステップS330:YES)。すなわち、例えば図2に示すように、自車両12が第1の案内標識45の手前まで走行した場合には、カメラ14が撮影する画像に第1の案内標識45が写り込むため、制御装置25は案内標識ありと判断する。
【0044】
一方、案内標識37に用いられる色の領域が所定割合(例えば1%)未満である場合には、制御装置25は案内標識なしと判断し(ステップS330:NO)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0045】
さて、制御装置25は、案内標識ありと判断すると(ステップS330:YES)、続いて、撮影情報に基づいて案内標識37が設けられた位置座標を解析し、標識位置情報として取得する(ステップS340)。すなわち、制御装置25は、カメラ14が撮影を行って標識情報を取得した時の自車両12の位置座標と画像中の案内標識37のサイズなどから標識位置情報を取得する。
【0046】
そして、ステップS350において、制御装置25は、撮影した案内標識37に関する標識データ38が標識情報記憶部31に記憶済みであるか否かを判断する。すなわち、制御装置25は、標識位置情報が示す位置座標が、既に標識位置データ39に格納されているか否かを判断する。
【0047】
そして、標識位置データ39に格納されている場合には、制御装置25は、撮影した案内標識37を記憶済みであると判断し(ステップS350:YES)、さらに撮影情報を解析して、画像に写った案内標識37が案内する方面と方向とを方面案内情報として取得する(ステップS360)。そして、制御装置25は、方面案内データ41のうち、ステップS340にて取得した標識位置情報に関連付けられて格納されている方面案内情報と、ステップS360にて取得した方面案内情報とが一致するか否かを判断する(ステップS370)。そして、方面案内情報が一致する場合には、記憶されている方面案内データ41を維持する(ステップS370:YES)。一方、方面案内情報が不一致である場合には(ステップS370:NO)、方面案内データ41をステップS360にて取得した方面案内情報で更新する(ステップS380)。
【0048】
一方、ステップS350において、撮影した案内標識37の標識データ38自体が標識情報記憶部31に記憶されていない場合には(ステップS350:NO)、制御装置25は、さらに撮影情報を解析して、案内標識37が示す交差点の位置座標(交差点位置情報)、案内標識37に記載された方面案内情報、案内標識37の画像情報を取得する。すなわち、制御装置25は、これらの交差点位置情報、方面案内情報、画像情報と、先に取得した標識位置情報とからなる標識情報を取得する(ステップS390)。さらに制御装置25は、取得した標識情報を標識データ38として標識情報記憶部31に追加する(ステップS400)。そして、制御装置25は、標識データ38の確認(ステップS310〜S400)が終了すると、交差点位置データ40及び画像データ42から、カメラ14が撮影した案内標識37の交差点位置情報と画像情報とをそれぞれ取得する(ステップS410,S420)。
【0049】
その後、制御装置25は、交差点位置情報と現在位置情報とに基づいて、自車両12が交差点を未通過であるか否かを判断する(ステップS430)。そして、交差点を未通過である場合には(ステップS430:YES)、制御装置25は、現在位置情報、地図情報、画像情報、案内経路に基づいて標識案内表示情報を作成し(ステップS440)、さらに表示制御部26へ出力する(ステップS450)。なお、標識案内表示情報を受け取った表示制御部26は、標識案内表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。すなわち、図6に示すように、ディスプレイ16には、自車両12の現在位置を表すアイコン22と案内経路54と標識画像55とが地図23に重ねて表示される。
【0050】
その一方、ステップS430において、自車両12が交差点を通過していると判断した場合には(ステップS430:NO)、制御装置25は、標識案内表示情報をリセットし(ステップS460)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0051】
さて、ステップS450にて標識案内表示情報を出力した後、図5に示すように、制御装置25は、方面案内情報に地名情報が含まれるか否かを判断する(ステップS510)。すなわち、地名情報として取得した地名のうち、少なくとも1つの地名が方面案内情報に含まれている場合には(ステップS510:YES)、制御装置25は、方面案内情報が示す地名情報として取得した地名の方向と案内経路54に沿った案内方向とが一致するか否かを判断する(ステップS520)。この点で、制御装置25は、判断手段として機能する。
【0052】
さらに、ステップS520の結果が不一致である場合には(ステップS520:YES)、制御装置25は、操作パネル17がスクロール操作されたか否かを判断する(ステップS530)。なお、制御装置25は、ステップS510〜S530のうち、いずれか1つのステップにおいて否定判定をした場合には(ステップS510,S520,S530:NO)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0053】
また、ユーザが操作パネル17を操作してスクロール操作を行った場合には(ステップS530:YES)、制御装置25は、スクロール表示情報を作成する(ステップS540)。なお、スクロール表示情報とは、ディスプレイ16に現在表示されている表示内容を、案内経路54に沿って若干ずらして表示させるための情報である。さらに、制御装置25は、作成したスクロール表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS550)。なお、スクロール表示情報を受け取った表示制御部26は、スクロール表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。
【0054】
続いて、制御装置25は、スクロール表示解除操作がされたか否かを判断する(ステップS560)。スクロール表示解除操作が行われていない場合には(ステップS560:NO)、制御装置25は、目的地Gが表示されたかを判断する(ステップS570)。そして、目的地Gが表示されていない場合(ステップS570:NO)、制御装置25は、再びステップS540に戻ってスクロール表示情報を作成し、さらにスクロール表示情報を出力する(ステップS550)。
【0055】
すなわち、スクロール表示情報を受け取った表示制御部26は、図6の地図を若干ずらしてディスプレイ16に表示する。したがって、ディスプレイ16に表示される地図23は、図6に示す状態から図7に示すように、案内経路54に沿って上方へスクロールされた後、図8に示すように案内経路54に沿って左方へスクロールされる。
【0056】
そして、目的地Gがディスプレイ16に表示された場合には(ステップS570:YES)、制御装置25は、ステップS560へ戻り、スクロール表示解除操作がされたか否かを判断する。そして、スクロール表示解除操作がされると(ステップS560:YES)、制御装置25は、ステップS110に戻って図3〜図5に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0057】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の作用について説明する。なお、自車両12は、A駅を目的地Gとして、図6に太線で示す案内経路54に沿って案内されているものとする。すなわち、ディスプレイ16には、現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが表示されている。
【0058】
さて、図2に示すように、自車両12が第1の交差点46の付近に設置された第1の案内標識45の手前位置まで走行すると、図6に示すように、ディスプレイ16には、アイコン22と案内経路54に加えて第1の案内標識45の標識画像55が表示される。なお、第1の交差点46に設けられた第1の案内標識45には、A駅は左折方向と記載されているため、同様に標識画像55にもA駅は左折方向と表示されている。ところが、図6に示すように、ディスプレイ16に表示された案内経路54は、現在位置直前の第1の交差点46を直進すると共に、その次の交差点である第2の交差点56を左折するように案内している。
【0059】
すなわち、第1の交差点46の手前で、このように第1の案内標識45が示す目的地G(A駅)の方向と、ナビゲーション装置11が案内する方向が異なる場合において、ユーザが操作パネル17を操作すると、ディスプレイ16には、図6〜図8に示すように地図23がスクロール表示される。すなわち、ディスプレイ16上に地図23を案内経路54に沿ってスクロール表示させることにより、現時点ではディスプレイ16に表示されていない目的地G近くの経路部分を含む案内経路54全体が自動的に表示される。これにより、第1の交差点46から目的地Gまでの案内経路に沿った道筋の視認(確認)を可能ならしめる保証案内が行われる。
【0060】
一方、ユーザが操作パネル17を操作せずに第1の交差点46を直進すると、ディスプレイ16には新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする地図23上に表示される。すなわち、標識画像55の表示が中止され、ディスプレイ16から標識画像55の表示が消える。
【0061】
そして、自車両12が進行方向前方にある次の交差点である第2の交差点56の手前位置まで走行した場合において、例えば、第2の交差点56に第1の案内標識45と同じように、A駅は左折方向という案内標識37が設置されていた場合には、案内経路54と案内標識37が案内する方向が一致することになる。したがって、この場合には、第2の交差点56付近でユーザが操作パネル17を操作してスクロール表示操作を行ったとしても、ディスプレイ16には、操作に応じただけのスクロール表示が実行される。
【0062】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、表示制御部26は第1の交差点46における自車両12の進行方向の案内に加えて第1の交差点46から目的地Gまでの案内経路54に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。すなわち、ユーザは、第1の交差点46の第1の案内標識45が示す方向と、表示制御部26が案内経路54をディスプレイ16に表示して案内する方向とが異なると、その案内経路54に従って案内されることに不安を感じてしまう。そこで、案内経路54に沿って案内する方向とは異なる方向を示す第1の案内標識45の所定範囲内に自車両12が位置する場合には、ユーザが不安を感じているものと看做し、目的地Gまで設定されている案内経路54に沿った道筋を保証案内により確認させる。したがって、ユーザは、案内経路54に従った場合にも目的地Gに向かって進行しているということが確認でき、ナビゲーション装置11が案内する方向と案内標識37が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0063】
(2)上記実施形態では、第1の交差点46の第1の案内標識45が示す方向と、表示制御部26が案内経路54をディスプレイ16に表示して案内する方向とが異なる場合、通常、ユーザは不安になり、地図23を表示しているディスプレイ16の表示内容を変更して案内経路54に沿った道筋の確認をしようとする。この点、そうしたユーザによるディスプレイ16の表示内容を変更させるための操作パネル17の操作があったときに案内経路54に沿った道筋の保証案内が行われるので、的確にユーザの不安感を軽減することができる。
【0064】
(3)上記実施形態では、ディスプレイ16において地図23を案内経路54に沿ってスクロール表示させることにより、現時点ではディスプレイ16に表示されていない目的地G近くの経路部分を含む案内経路54全体が、ディスプレイ16において現在位置から目的地Gまでの道筋を視認できるように表示される。すなわち、ユーザは、表示制御部26が案内経路54を表示して案内する進行方向に従っても目的地Gに向かって進行しているということが確認でき、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0065】
(4)上記実施形態では、カメラ14で案内標識37を撮影し、撮影された画像から方面案内情報を取得する。そのため、例えば第1の案内標識45の方面案内情報47を記憶していない場合であっても、第1の交差点46において案内経路54に沿った道順の保証案内が可能となる。したがって、新たに敷設された道路で案内標識37が示す方向と、表示制御部26が案内経路54を表示して案内する方向が異なる場合であっても、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9,図10に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態における経路案内プログラムの一部を変更した点でのみ相違しており、その他の構成及び処理手順は共通しているため、同様の部分については同一符号を付すことにして、その詳細な重複説明を省略する。
【0067】
すなわち、自車両12のエンジンが駆動されてナビゲーション装置11が起動されると、まず制御装置25は、図3及び図4に示すステップS110〜S220、及びステップS310〜S460を実行する。そして、ステップS440において標識案内表示情報を作成すると共に、ステップS450において標識案内表示情報を表示制御部26へ出力すると、続いて図9に示すステップS610を実行する。
【0068】
さて、図9に示すように、制御装置25は、まずステップS610,S620において、ステップS510,S520と同様の処理を実行する。さらに、ステップS620の結果が不一致である場合には(ステップS620:YES)、制御装置25は、操作パネル17が広域表示操作されたか否かを判断する(ステップS630)。
【0069】
なお、制御装置25は、ステップS610〜ステップS630のうち、いずれか1つのステップにおいて否定判定をした場合には(ステップS610,S620,S630:NO)、ステップS110(図3参照)に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0070】
また、ユーザが広域表示操作を行った場合には(ステップS630:YES)、制御装置25は、現在位置情報、方面案内情報、目的地情報に基づいて、案内標識37の方面案内に従う標識経路57(図10参照)を、地図情報記憶部30に格納された経路データ32に基づいて設定する(ステップS640)。すなわち、標識経路57は、案内標識37に対応する交差点から案内標識37が示す方向に従って目的地Gへ到達する経路であって、案内経路54とは異なる経路で設定される。
【0071】
続いて、制御装置25は、ステップS120にて取得した地図情報に基づいて、ディスプレイ16に表示される地図23よりも広域の地図58(図10参照)を表示するための広域地図情報を地図データ33から取得する(ステップS650)。なお、広域地図情報は、現在位置情報及び目的地情報に基づいて現在位置と目的地とを同時にディスプレイ16に表示可能な程度の縮尺及び範囲の地図情報である。
【0072】
さらに制御装置25は、広域地図情報、現在位置情報、案内経路54、標識経路57に基づいて広域標識経路表示情報を作成する(ステップS660)。そして、制御装置25は、作成した広域標識経路表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS670)。なお、広域標識経路表示情報を受け取った表示制御部26は、広域標識経路表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。
【0073】
すなわち、図10に示すように、ディスプレイ16の表示は、地図23よりも広域の地図58に表示が変更されると共に、現在位置を示すアイコン22、案内経路54及び標識経路57が地図58上に同時に表示される。なお、標識経路57は、案内経路54とは色や線種で区別されて表示される。
【0074】
続いて、制御装置25は、操作パネル17が操作されて広域標識経路表示の解除操作がされたか否かを判断する(ステップS680)。広域標識経路表示の解除操作が行われていない場合(ステップS680:NO)、制御装置25は位置センサ13から現在位置情報を取得し(ステップS690)、再びステップS650に戻って現在位置周辺の広域地図情報を取得する。一方、広域標識経路表示の解除操作がされた場合には(ステップS680:YES)、制御装置25は、ステップS110に戻って図3,図4,図9に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0075】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の作用を説明する。なお、自車両12は、A駅を目的地Gとして、案内経路54に従って走行しているものとする。また、図2に示すように、自車両12が第1の交差点46の付近に設置された第1の案内標識45の手前位置まで走行すると、ディスプレイ16には、図6に示すように、地図23上にアイコン22、案内経路54、標識画像55が表示されるものとする。
【0076】
さて、このような状況の下、案内標識45が示す目的地G(A駅)の方向と、ナビゲーション装置11が案内する方向が異なる場合において、ユーザが操作パネル17を操作して広域表示操作をすると、案内経路54に沿った道筋の保証案内が行われる。すなわち、ディスプレイ16には、図10に示すように広域の地図58が表示されると共に、広域表示された地図58上に案内経路54と標識経路57とが表示される。なお、地図58、案内経路54、標識経路57は、広域標識経路表示が解除されるまで、現在位置を更新して表示される。
【0077】
そして、ユーザが操作パネル17を操作して広域標識経路表示を解除すると、ディスプレイ16には、新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする狭域の地図23上に表示される。
【0078】
一方、ユーザが操作パネル17を操作せずに第1の交差点46を直進すると、ディスプレイ16には新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする地図23上に表示される。すなわち、標識画像55の表示が中止され、ディスプレイ16から標識画像55の表示が消える。
【0079】
そして、自車両12が進行方向前方にある次の交差点である第2の交差点56の手前位置まで走行した場合において、例えば、第2の交差点56に第1の案内標識45と同じように、A駅は左折方向という案内標識37が設置されていた場合には、案内経路54と案内標識37が案内する方向が一致することになる。したがって、この場合には、第2の交差点56付近でユーザが操作パネル17を操作して広域表示操作を行ったとしても、ディスプレイ16には、目的地の位置に関わらず地図23よりも1段階広域の地図が現在位置を基準に表示される。
【0080】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(4)の効果に加えて、さらに以下のような効果を得ることができる。
(5)上記実施形態では、表示制御部26は、第1の交差点46から目的地Gまで設定された標識経路57を案内経路54と共に表示して各経路を案内する。すなわち、表示された案内経路54に従う場合であっても、案内標識37が示す方向に従う場合であっても目的地Gにたどり着けることがわかり、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0081】
(6)上記実施形態では、地図23を広域表示させて案内経路54と標識経路57とを目的地Gまで表示する。すなわち、案内経路54と標識経路57のどちらの経路であっても目的地Gにたどり着けることが一目でわかるため、ユーザの不安をさらに軽減することができる。
【0082】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第2の実施形態において、図11に示すように、標識経路57が案内経路54と重複する経路部分を有している場合には、その重複する経路部分の標識経路57を表示させないようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ16には、案内経路54と標識経路57とが同一経路上に重複表示されることなく視認性を高めることができる。また、標識経路57を案内経路54の途中位置で該案内経路と合流するように設定してもよい。これにより、標識経路57と案内経路54とが途中で合流することが視認できるため、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0083】
・第2の実施形態において、設定した標識経路57を案内経路54と共に狭域の地図23上に重ねて表示してもよい。さらに、案内経路54と標識経路57の未表示部分の経路が表示されるように、スクロール表示をさせるようにしてもよい。すなわち、例えば、ディスプレイ16に図6に示す画像が表示された状態において、操作パネル17が操作されてスクロール表示操作が行われると、制御装置25は、標識経路57を設定すると共に、地図情報、案内経路54、標識経路57とに基づいて標識経路表示情報を作成するようにしてもよい。そして、制御装置25から表示制御部26へ標識経路表示情報が出力されると、表示制御部26は、ディスプレイ16に地図23、案内経路54、標識経路57とを表示する。さらに制御装置25は、案内経路54に沿って若干ずらして表示させるスクロール表示情報の作成と出力を繰り返し実行し、図11に示すように目的地Gが表示されるまで案内経路54に沿って地図23をスクロール表示させるようにしてもよい。また、スクロール表示は、標識経路57に沿って行うようにしてもよい。
【0084】
・第2の実施形態において、標識経路57を設定せず、現在位置と目的地とが表示される程度に地図23を広域表示させて、案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。すなわち、案内経路54のうちディスプレイ16に表示されていなかった経路部分が広域表示に伴ってディスプレイ16に表示されるため、案内経路54に沿った道筋が保証案内される。
【0085】
・第2の実施形態において、案内標識37が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致せず、さらに広域表示操作が行われた場合に、目的地の位置に関わらず表示させる地図の縮尺(例えば3段階分広域表示、もしくは例えば10万分の1縮尺)を予め設定しておいてもよい。さらに、例えば予め設定した縮尺の地図では目的地まで表示されていない場合には、広域表示と併せてスクロール表示を行ってもよい。
【0086】
・第1の実施形態において、スクロール表示は、現在位置周辺の地図23から目的地Gに向かって滑らかに表示させてもよい。すなわち、スクロール表示は、案内経路54がディスプレイ16に表示される程度に行われれば、案内経路54に従った場合にも目的地Gに向かって進行していることを確認させることができる。
【0087】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31に画像データ42を格納せず、ディスプレイ16に標識画像55を表示しなくてもよい。すなわち、ユーザには、道路36に設置された案内標識37を直接確認させるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態において、地図情報記憶部30に地名データ34を格納せず、入力された目的地情報を地名情報として取得するようにしてもよい。すなわち、案内標識37に目的地が記載されており、案内標識37が示す目的地の方向と、案内経路54が案内する方向とが異なる場合にのみ案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。
【0089】
・上記各実施形態において、さらにスピーカを備え、案内経路54に基づく進行方向の案内や案内経路54に沿った道筋の保証案内を音声にて行うようにしてもよい。また、バイブレータを備えて振動による案内を行うようにしてもよい。
【0090】
・上記各実施形態において、音声を取得するマイク(操作手段、目的地設定手段)を備え、音声認識によって表示内容の変更や目的地の設定を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態において、カメラ14を設けない構成としてもよい。そして、標識情報記憶部31に格納された標識位置データ39と現在位置情報とに基づいて、進行方向前方に案内標識37が設置されているか否かを判断するようにしてもよい。
【0091】
・上記各実施形態において、カメラ14は連続撮影せず、案内標識37が設置された道路36を自車両12が走行する際に、現在位置情報と標識位置情報とに基づく撮影タイミングで撮影するようにしてもよい。すなわち、自車両12が案内標識37を撮影可能な程度(例えば数十メートル手前)に位置すると、カメラ14に撮影させると共に、取得した撮影情報を検証するようにしてもよい。さらに、標識情報記憶部31には、方面案内データ41、画像データ42を格納せず、カメラ14が撮影した撮影情報から方面案内情報、画像情報を取得するようにしてもよい。
【0092】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31を設けず、カメラ14が撮影した撮影情報に基づいて交差点位置情報、方面案内情報、画像情報を、画像認識によりその都度取得するようにしてもよい。
【0093】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31に標識位置データ39を格納せず、交差点の位置座標を案内標識37の有無と関連付けて格納した交差点位置データ40に応じて案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うか否かを判断するようにしてもよい。すなわち、標識情報記憶部31には、交差点位置データ40と、方面案内データ41と、交差点から延びる各道路36の方位角及び該道路36の案内標識37の有無を示す標識有無情報とを含む標識有無データとを格納している。そして、例えば、カメラ14が撮影した画像に案内標識37が写り込んでいる場合に、進行方向の前方に位置して案内標識37が設置された交差点と走行中の道路36とを特定して標識有無情報を取得する。また、カメラ14を設けない場合には、まず案内経路54上に案内標識37が設置された交差点が存在するか否かを判断し、さらに現在位置から直近の交差点に対する方位角に基づいて標識有無情報を取得する。そして、標識有無情報に基づいて案内標識ありと判断した場合には、案内標識37の方面案内情報を取得するようにしてもよい。
【0094】
・上記各実施形態において、地名情報を定期的に更新するようにしてもよい。すなわち、例えば現在位置が目的地Gから離れている場合には、都市名や市町村名などの地名を地名情報として取得し、目的地Gに近づいた場合には、目的地周辺の詳細な施設名を地名情報として取得するようにしてもよい。
【0095】
・一般に、案内標識には、地名と併せて道路36を示す数字や道路36の通称名が記載されることがある。そこで、上記各実施形態において、撮影情報を解析して道路36を示す数字や道路36の通称名を検出し、交差点の特定に用いるようにしてもよい。案内標識37は、交差点によって設けられる位置(交差点からの距離)が異なるが、交差する道路の道路情報を取得することにより、交差点を誤検出する虞を低減することができる。
【0096】
・一般に、同じ記載の案内標識37を、交差点に進入する1つの道路36上に複数設けることがある。すなわち、交差点の手間150メートル以内に設けられる交差点案内標識に加え、該交差点案内標識よりも手前(例えば交差点の300メートル手前)に予告案内標識が設けられている場合がある。したがって、画像認識の結果、撮影した案内標識37が予告案内標識であった場合には、予告案内標識に記載されたメートル数から交差点を特定するようにしてもよい。また、予告案内標識と交差点案内標識の記載内容は同じであるため、予告案内標識の方面案内情報を取得し、さらに交差点案内標識の方面案内情報によって検証するようにしてもよい。また、予告案内標識、交差点案内標識に関わらず、案内標識37の方面案内情報を一次記憶し、一定距離(例えば、300メートル)走行する間に同じ方向情報の案内標識37があった場合にのみ、標識データ38を更新するようにしてもよい。すなわち、予告案内標識と交差点案内標識とを用いて方面案内情報を検証することにより、標識データ38の信頼性を高めることができる。
【0097】
・上記各実施形態において、案内経路54に沿って案内する方向と、案内標識37が示す地名情報の方向とが一致しないときに、案内経路54に沿って道筋の保証案内を開始させる操作ボタンをディスプレイ16に表示させるようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ16と操作パネル17はタッチパネルとして構成されているため、ユーザが操作ボタンをタッチして操作すると、目的地までのスクロール表示、目的地を表示する程度の広域表示、標識経路57の表示などを行う。また、各表示内容の変更を任意に選択できるように複数の操作ボタンを表示してもよい。
【0098】
・上記各実施形態において、案内標識37が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致しない場合において、ユーザの操作と案内経路54に沿った道筋の保証案内は任意に組み合わせることができる。すなわち、例えば、スクロール表示操作が実行された場合に、広域表示による保証案内もしくは標識経路57を表示させる保証案内を行うようにしてもよい。また、広域表示操作が実行された場合に、スクロール表示による保証案内を行うようにしてもよい。また、自車両12が案内標識37の手前位置まで走行した場合にディスプレイ16に表示される標識画像55がタッチされると、保証案内を行うようにしてもよい。また、自車両12が走行中であるか否かによって保証案内方法を変更してもよい。すなわち、例えば、自車両12が走行中に操作パネル17が操作された場合には広域表示させ、また自車両12が停止中に操作パネル17が操作された場合にはスクロール表示させてもよい。
【0099】
・上記各実施形態において、案内標識が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致しない場合には、操作パネル17の操作に関わらず案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、案内標識が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致するか否かを判断して案内経路54に沿った道筋の保証案内を行う位置は、案内標識37を通過するまでとしてもよい。また、交差点を通過してしばらくは保証案内可能としてもよい。すなわち、例えば、交差点通過後に設けられている確認案内標識(例えば106系統の案内標識)を通過するまでとしてもよい。
【0101】
・上記各実施形態において、ナビゲーション装置11は、ディスプレイ16を設けない構成としてもよい。すなわち、ナビゲーションシステムは、例えば、通信機能を持つ携帯電話などの情報機器に対し、ネットワークを通じて各種表示情報を送信して情報機器の表示画面に地図を表示させるためのサーバとしてもよい。
【0102】
・上記実施形態において、ネットワークに接続するための通信手段(例えばアンテナ)を備え、地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31に格納された各種情報をネットワークを介して取得するようにしてもよい。また、ナビゲーションシステムをサーバとして機能させる場合には、サーバと通信可能な複数の車両から送信された標識情報に基づいて標識情報を更新することにより、標識データ38の更新作業を簡素化することができる。
【0103】
・上記各実施形態において、ナビゲーションシステムを車両に搭載されるナビゲーション装置11に具体化したが、ナビゲーションシステムは、アプリケーションソフトを搭載した携帯電話や、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant、PND:Personal Navigation Deviceなど)、パーソナルコンピュータとしてもよい。さらに、これらの機器をユーザが持ち運んで使用する場合には、移動体をユーザとしてもよい。
【0104】
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)制御手段は、案内経路のうち少なくとも案内標識が設置された交差点から目的地側に向けて延びる経路部分であって表示画面に一連に表示される確認用経路部分の総距離が長くなるように、表示画面の表示内容を制御する。
【0105】
これによれば、表示画面に一連に表示される確認用経路部分の総距離が長くなるため、ユーザに案内経路に従った場合にも目的地に向かって進行しているということを視認させることができる。したがって、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0106】
すなわち、現在位置から目的地Gまで設定される案内経路54は、その一部分が確認用経路部分としてディスプレイ16に表示される。そこで、例えばスクロール表示を行って案内経路54の未表示の経路部分をディスプレイ16に表示させることにより、一時的にディスプレイ16に表示された確認用経路部分の総距離が長くなる。また、例えば広域表示を行うことにより、ディスプレイ16には広域の地図58に併せて案内経路54が表示されるため、ディスプレイ16に表示される確認用経路部分の総距離が長くなる。同様に、標識経路57を表示させる場合には、確認用経路部分の総距離はディスプレイ16に表示された案内経路54と標識経路57との合計距離になるため、案内経路54のみを表示する場合に比べて長くなる。したがって、確認用経路の総距離が長くなるように表示画面の表示内容を制御することにより、案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うことができる。
【符号の説明】
【0107】
11…ナビゲーション装置(ナビゲーションシステム)、12…自車両(移動体)、13…位置センサ(現在位置検出手段)、14…カメラ(撮影手段)、16…ディスプレイ(表示画面)、17…操作パネル(目的地設定手段、操作手段)、23,58…地図、25…制御装置(地図情報取得手段、案内経路設定手段、地名情報取得手段、方面案内情報取得手段、判断手段、制御手段、標識経路設定手段)、26…表示制御部(案内手段)、37,45,59…案内標識、46,56…交差点、47,51…方面案内情報、54…案内経路、57…標識経路、G…目的地。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在位置から目的地までの経路を案内する種々のナビゲーションシステムが知られている。このようなナビゲーションシステムのうちには、例えば特許文献1に記載されるように、交差点付近の道路沿いに設置された案内標識を表示画面上に表示して、その案内標識に地名及び矢印により示された方面案内情報を経路の案内に利用しているものがある。すなわち、特許文献1のナビゲーションシステムでは、案内標識のある交差点に近づいた場合に、案内標識の画像と目的地名とを重ねて表示し、案内標識に記載された地名と目的地との位置関係を表示するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−63321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般にナビゲーションシステムが案内する経路は、目的地までの最短経路や一般道路もしくは有料道路を通る経路など、複数の経路のうちから一つの経路を選択するようになっている。そのため、その目的地に至るまでの経路上にある交差点を通過するときに、その交差点の手前に設置された案内標識が示す目的地の方向とナビゲーションシステムが案内する方向とが異なる場合があり、このような場合にはユーザに不安を感じさせてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合にユーザの不安感を軽減することができるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、地図情報を取得する地図情報取得手段と、移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記移動体の目的地を設定する目的地設定手段と、前記現在位置から前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、前記地図情報が示す地図を表示画面に表示させて前記案内経路上の交差点における前記移動体の進行方向を案内する案内手段と、前記現在位置において前記目的地方面に存在する地名を地名情報として取得する地名情報取得手段と、前記交差点からの方面案内情報が少なくとも1つ表示された案内標識の設置された位置から所定範囲内に前記移動体が位置するときに、前記案内標識が示す方面案内情報を取得する方面案内情報取得手段と、該方面案内情報取得手段が取得した前記案内標識の方面案内情報の中に前記地名情報が少なくとも1つ含まれるときに、前記案内標識が示す交差点において前記案内標識が表示する前記方面案内情報のうちで前記地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と前記案内手段が案内する方向とが一致するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が一致しないと判断した場合に、前記交差点から前記目的地までの前記案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行うように前記案内手段を制御する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、案内手段は交差点における移動体の進行方向の案内に加えて交差点から目的地までの案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。すなわち、ユーザは、交差点の案内標識が示す方向と案内経路に基づいて案内手段が案内する方向とが異なると、その案内経路に従って案内されることに不安を感じてしまう。そこで、案内する方向とは異なる方向を示す案内標識の所定範囲内に移動体が位置する場合には、ユーザが不安を感じているものと看做し、目的地まで設定されている案内経路に沿った道筋を保証案内により確認させる。したがって、ユーザは、案内経路に従った場合にも目的地に向かって進行しているということが確認でき、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記表示画面に表示させる表示内容を変更するために操作される操作手段をさらに備え、前記制御手段は、前記判断手段が一致しないと判断した場合であって且つ前記操作手段が操作された場合に、前記保証案内が行われるように前記案内手段を制御することを要旨とする。
【0009】
交差点の案内標識が示す方向と案内経路に基づいて案内手段が案内する方向とが異なる場合、通常、ユーザは不安になり、地図を表示している表示画面の表示内容を変更して案内経路に沿った道筋の確認をしようとする。この点、請求項2に記載の発明によれば、そうしたユーザによる表示画面の表示内容を変更させるための操作手段の操作があったときに案内経路に沿った道筋の保証案内が行われるので、的確にユーザの不安感を軽減することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内手段は、前記表示画面において前記地図を前記案内経路に沿ってスクロール表示させることにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、表示画面において地図を案内経路に沿ってスクロール表示させることにより、現時点では表示画面に表示されていない目的地近くの経路部分を含む案内経路全体が、表示画面において現在位置から目的地までの道筋を視認できるように表示される。すなわち、ユーザは、案内手段が案内する進行方向に従っても目的地に向かって進行しているということが確認でき、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内標識に表示された前記方面案内情報に基づいて、前記案内標識が設置された前記交差点から前記案内経路とは異なる経路で前記目的地へ到達する標識経路を設定する標識経路設定手段をさらに備え、前記案内手段は、前記表示画面における前記地図上に前記案内経路と前記標識経路とを同時に表示させることにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、案内手段は、交差点から目的地まで設定された標識経路を案内経路と共に表示して各経路を案内する。すなわち、案内手段が案内する方向に従う場合であっても、案内標識が示す方向に従う場合であっても目的地にたどり着けることがわかり、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記標識経路設定手段は、前記案内標識が設置された前記交差点において前記案内経路から分岐すると共に前記目的地又は前記案内経路の途中位置で前記案内経路と合流するように前記標識経路を設定することを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、標識経路を目的地又は案内経路の途中位置で該案内経路と合流するように設定する。すなわち、表示画面に表示される標識経路は、案内経路と重複することになる経路部分が表示されないため、案内経路と標識経路とが揃って表示されることなく視認性を高めることができる。さらに、標識経路が案内経路部分の途中位置で案内経路と合流する場合には、標識経路と案内経路が途中で合流することが視認できるため、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内手段は、前記表示画面における前記地図を広域表示させて前記案内経路と前記標識経路とを、該案内経路と該標識経路との合流位置又は前記目的地まで表示することにより前記保証案内を行うことを要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、地図を広域表示させて案内経路と標識経路とを各経路の合流位置又は目的地まで表示する。すなわち、案内経路と標識経路のどちらの経路であっても目的地にたどり着けることが一目でわかるため、ユーザの不安をさらに軽減することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記案内標識を撮影する撮影手段をさらに備え、前記方面案内情報取得手段は、前記撮影手段により撮影された前記案内標識の画像認識を通じて前記案内標識が示す前記方面案内情報を取得することを要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、撮影手段で案内標識を撮影し、撮影された画像から方面案内情報を取得することにより、例えば予め方面案内情報を記憶していない交差点においても、経路の案内が可能となる。したがって、新たに敷設された道路で案内標識が示す方向と案内手段が案内する方向が異なる場合であっても、ユーザの不安感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態におけるナビゲーションシステムのブロック図。
【図2】案内標識が設置された交差点を説明する説明図。
【図3】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図4】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図5】進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図6】標識案内表示情報に基づいて表示されるディスプレイの説明図。
【図7】スクロール途中を説明するディスプレイの説明図。
【図8】スクロール終了を説明するディスプレイの説明図。
【図9】第2の実施形態における進行方向の案内処理を示すフローチャート。
【図10】広域標識経路表示情報に基づいて表示されるディスプレイの説明図。
【図11】別例におけるディスプレイの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明のナビゲーションシステムを車両に搭載される車載用のナビゲーション装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、ナビゲーションシステムとしてのナビゲーション装置11は、移動体としての自車両12(図2参照)の位置を検出する現在位置検出手段としての位置センサ13と、撮影手段としてのカメラ14とを備えている。さらに、ナビゲーション装置11は、位置センサ13及びカメラ14からの入力結果に基づいて走行案内の各種処理を行うナビゲーションユニット15と、画像を表示する表示画面としてのディスプレイ16と、操作手段としての操作パネル17とを備えている。
【0023】
位置センサ13は、GPS衛星からの信号を信号データとして受信するGPS受信部18と、自車両12の進行方向を示す方位角データを検出するジャイロセンサ19と、自車両12の走行速度を示す車速データを検出する車速センサ20等で構成されている。そして、位置センサ13が検出した信号データ、方位角データ、車速データ等の各データは、自車両12の現在位置を示す現在位置情報としてナビゲーションユニット15へ出力される。
【0024】
カメラ14は、カラー画像を連続して撮影可能なデジタルカメラであって、レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮像素子(いずれも図示略)とを備えている。そして、カメラ14は、自車両12の進行方向前方を撮影するように自車両12における前方位置に取り付けられている。また、ディスプレイ16は、例えば、液晶パネルまたは有機エレクトロルミネッサンスパネル等により構成され、例えば、位置センサ13によって検出された自車両12の位置(すなわち現在位置)を示すアイコン22が地図23と共に表示される(図6参照)。
【0025】
さらに、操作パネル17は、各種の情報の入力を受け付ける入力手段(操作ボタンやキーボード)であるが、本実施形態における操作パネル17は、ディスプレイ16と兼用されてタッチパネルとして構成されている。そして、この操作パネル17の操作により、ディスプレイ16に表示された地図23(図6参照)のスクロール表示や広域/狭域表示といった表示内容の変更や、目的地G(図8参照)の設定が可能になっている。したがって、操作パネル17は、目的地設定手段としても機能する。
【0026】
以下、ナビゲーションユニット15の構成について説明する。
図1に示すように、ナビゲーションユニット15は、ナビゲーション装置11の全体を総括的に制御する制御装置25と、制御装置25から出力された表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示させる表示制御部26とを備えている。そして、制御装置25は、情報を読み出し及び書き換え可能な記憶部27と、中央処理装置となるCPU28とにより構成されている。なお、記憶部27には制御装置25が各種の制御を行うためのプログラムが格納されている。
【0027】
さらにナビゲーションユニット15は、内蔵ハードディスク等の補助記憶装置である地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31を備えている。地図情報記憶部30には、全国の道路網を示した経路データ32と、ディスプレイ16に地図画面を出力するための地図データ33と、全国の主要な地名からなる地名データ34とが格納されている。なお、本実施形態において地名データ34として格納されている地名には、都市名、市町村名に加えて、駅名や公園名などの施設名が含まれている。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、標識情報記憶部31には、全国の道路36に設置された案内標識37の標識データ38が、各案内標識37毎に関連付けて格納されている。すなわち、この標識データ38には、案内標識37が設置された場所の位置座標を示す標識位置データ39と、案内標識37が案内する交差点の位置座標を示す交差点位置データ40とが含まれている。さらに、標識データ38には、案内標識37が示す方面案内データ41、及び案内標識37の画像データ42が含まれている。
【0029】
すなわち、例えば第1の案内標識45に関する標識データ38としては、第1の案内標識45の位置座標(X1,Y1)が、標識位置データ39に格納されている。そして、第1の案内標識45が示す第1の交差点46の位置座標(X2,Y2)が、交差点位置データ40に格納されている。さらに、方面案内データ41には、第1の案内標識45に記載された方面(地名)と方向とからなる第1の方面案内情報47が格納されている。すなわち、方面案内データ41には、第1の案内標識45に矢印で示されたA駅は左折方向、B公園は直進方向、C市街は右折方向という第1の方面案内情報47がデジタルデータ化されて格納されている。さらに画像データ42には、図2の拡大図に示すように、第1の案内標識45の第1の画像情報48がデジタルデータ化されて格納されている。
【0030】
同様に、第2の案内標識50に関する標識データ38としては、第2の案内標識50の位置座標(X3,Y3)が、標識位置データ39に格納されている。そして、第2の案内標識50が方面を案内する第1の交差点46の位置座標(X2,Y2)が、交差点位置データ40に格納されている。すなわち、第1の案内標識45と第2の案内標識50は、同じ第1の交差点46における方面案内を異なる方角から示しているため、交差点位置データ40には同じ位置座標(X2,Y2)が格納されている。そして、方面案内データ41には、第2の案内標識50が示すB公園は左折方向、C市街は直進方向、D空港は右折方向という第2の方面案内情報51がデジタルデータ化されて格納されている。さらに、画像データ42には、図2の拡大図に示すように、第2の案内標識50の第2の画像情報52がデジタルデータ化されて格納されている。
【0031】
なお、本実施形態における案内標識37とは、分岐交差点や合流交差点を含む道路36と道路36とが交差する交差点付近の道路36上に設置されて方向と方面とを示す標識(例えば、105系統、108系統の案内標識)であって、各方面を矢印で示している。そして、一般道路に設定される案内標識は、青地に白文字で記載されているのに対し、高速道路に設置される案内標識は、緑地に白文字で記載されている。
【0032】
また、各案内標識37は、交差点に進入する際に確認可能なように設けられ、一方の面にのみ方面案内情報が記載されている。すなわち、図2に示すように、第1の案内標識45は、第1の交差点46に向かって走行する自車両12の運転者(ユーザ)が、実線で示す該第1の案内標識45の手前位置において、第1の方面案内情報47を視認(確認)可能に設けられている。そして、第2の案内標識50は、自車両12が第1の交差点46を左折して該交差点46を通過した後の、自車両12を二点鎖線で示す第2の案内標識50と第1の交差点46との間となる位置からは、運転者が第2の方面案内情報51を確認不可能なように設けられている。
【0033】
また、図1に示すように、制御装置25は、位置センサ13、カメラ14、操作パネル17からの入力に基づいて、地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31から各種データを取得すると共に、表示制御部26へ表示情報を出力する。したがって、制御装置25は、地図情報取得手段、地名情報取得手段及び方面案内情報取得手段として機能する。
【0034】
また、制御装置25は、操作パネル17の操作に基づいて入力された目的地を目的地情報として取得すると共に、位置センサ13から取得した現在位置情報に基づいて、現在位置から目的地までの案内経路54(図6参照)を設定する。したがって、制御装置25は案内経路設定手段としても機能する。
【0035】
さらに、制御装置25は、設定した案内経路54とアイコン22と地図23とからなる表示情報を表示制御部26に出力する。そして、表示制御部26は、表示情報に基づいて案内経路54をディスプレイ16に表示し、案内経路54上の交差点における自車両12の進行方向を案内する。したがって、制御装置25は、表示制御部26を制御する制御手段として機能すると共に、表示制御部26は案内手段として機能する。
【0036】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の制御装置25の処理手順を図3〜図5に従って説明する。なお、図3〜図5に示すフローチャートは、記憶部27に記憶された経路案内プログラムをCPU28が実行する場合の処理手順であって、自車両12のエンジンが駆動されてナビゲーション装置11が起動された場合に実行される。
【0037】
まず、制御装置25は、位置センサ13が検出した現在位置情報を取得すると共に(ステップS110)、地図情報記憶部30に格納された地図データ33の中から現在位置周辺の地図情報を取得する(ステップS120)。続いて制御装置25は、案内経路54が未設定であるか否かを判断し(ステップS130)、案内経路54が未設定である場合には(ステップS130:YES)、目的地G(図8参照)が入力されたか否かを判断する(ステップS140)。なお、目的地Gは、操作パネル17が操作されることにより設定され、目的地情報として記憶部27に一次記憶されるようになっている。
【0038】
そして、制御装置25は、記憶部27に目的地情報が記憶されておらず、目的地Gが入力されていないと判断した場合に(ステップS140:NO)、現在位置情報及び地図情報に基づいて現在位置表示情報を作成する(ステップS150)。さらに、制御装置25は、作成した現在位置表示情報を表示制御部26へ出力し(ステップS160)、その後ステップS110に戻って、再び現在位置情報を取得する。なお、現在位置表示情報を受け取った表示制御部26は、現在位置表示情報に基づいてディスプレイ16に地図23(図6参照)を表示すると共に、地図23上における自車両12の現在位置にアイコン22(図6参照)を表示する。
【0039】
また、制御装置25は、ステップS140において、記憶部27に目的地情報が記憶されており、目的地Gが入力されたと判断した場合には(ステップS140:YES)、記憶部27に記憶された目的地情報を取得する(ステップS170)。そして、制御装置25は、地図情報記憶部30に記憶された地名データ34の中から、現在位置において目的地方面に位置する地名を地名情報として取得する(ステップS180)。すなわち、本実施形態における地名情報とは、例えば、目的地の方角に位置する地名である。なお、地名情報には、目的地名が含まれている。
【0040】
さらに、制御装置25は、現在位置情報が示す現在位置から目的地情報が示す目的地までの案内経路54を、地図情報記憶部30に格納された経路データ32に基づいて設定する(ステップS190)。そして、制御装置25は、作成した案内経路54と地図情報及び現在位置情報とに基づいて案内表示情報を作成し(ステップS200)、作成した案内表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS210)。なお、案内表示情報を受け取った表示制御部26は、案内表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。すなわち、ディスプレイ16には、自車両12の現在位置を表すアイコン22と案内経路54とが地図23に重ねて表示される(図6参照)。
【0041】
一方、ステップS130において、案内経路設定済みと判断された場合には(ステップS130:NO)、制御装置25は、ステップS220において、後述する標識案内表示情報が作成済みであるか否かを判断する(ステップS220)。そして、標識表示案内情報が作成されている場合には(ステップS220:YES)、後述するステップS430へ移行する。また、標識案内表示情報が作成されていない場合には(ステップS220:NO)、前述したステップS200へ移行して案内表示情報を作成する。
【0042】
さらに、制御装置25は、ステップS210にて案内表示情報を出力すると、図4に示すように、ステップS310において、カメラ14が撮影した撮影情報を取得する。そして、制御装置25は、ステップS320において、撮影情報を画像認識し、案内標識37が撮影されているか否かを判断する(ステップS330)。
【0043】
なお、本実施形態の制御装置25は、カメラ14が撮影した画像に案内標識37に用いられる色(一般道路では青色)の領域が所定割合(例えば1%)以上存在する場合に、案内標識37がユーザによる視認が可能な所定範囲内にあると判断する(ステップS330:YES)。すなわち、例えば図2に示すように、自車両12が第1の案内標識45の手前まで走行した場合には、カメラ14が撮影する画像に第1の案内標識45が写り込むため、制御装置25は案内標識ありと判断する。
【0044】
一方、案内標識37に用いられる色の領域が所定割合(例えば1%)未満である場合には、制御装置25は案内標識なしと判断し(ステップS330:NO)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0045】
さて、制御装置25は、案内標識ありと判断すると(ステップS330:YES)、続いて、撮影情報に基づいて案内標識37が設けられた位置座標を解析し、標識位置情報として取得する(ステップS340)。すなわち、制御装置25は、カメラ14が撮影を行って標識情報を取得した時の自車両12の位置座標と画像中の案内標識37のサイズなどから標識位置情報を取得する。
【0046】
そして、ステップS350において、制御装置25は、撮影した案内標識37に関する標識データ38が標識情報記憶部31に記憶済みであるか否かを判断する。すなわち、制御装置25は、標識位置情報が示す位置座標が、既に標識位置データ39に格納されているか否かを判断する。
【0047】
そして、標識位置データ39に格納されている場合には、制御装置25は、撮影した案内標識37を記憶済みであると判断し(ステップS350:YES)、さらに撮影情報を解析して、画像に写った案内標識37が案内する方面と方向とを方面案内情報として取得する(ステップS360)。そして、制御装置25は、方面案内データ41のうち、ステップS340にて取得した標識位置情報に関連付けられて格納されている方面案内情報と、ステップS360にて取得した方面案内情報とが一致するか否かを判断する(ステップS370)。そして、方面案内情報が一致する場合には、記憶されている方面案内データ41を維持する(ステップS370:YES)。一方、方面案内情報が不一致である場合には(ステップS370:NO)、方面案内データ41をステップS360にて取得した方面案内情報で更新する(ステップS380)。
【0048】
一方、ステップS350において、撮影した案内標識37の標識データ38自体が標識情報記憶部31に記憶されていない場合には(ステップS350:NO)、制御装置25は、さらに撮影情報を解析して、案内標識37が示す交差点の位置座標(交差点位置情報)、案内標識37に記載された方面案内情報、案内標識37の画像情報を取得する。すなわち、制御装置25は、これらの交差点位置情報、方面案内情報、画像情報と、先に取得した標識位置情報とからなる標識情報を取得する(ステップS390)。さらに制御装置25は、取得した標識情報を標識データ38として標識情報記憶部31に追加する(ステップS400)。そして、制御装置25は、標識データ38の確認(ステップS310〜S400)が終了すると、交差点位置データ40及び画像データ42から、カメラ14が撮影した案内標識37の交差点位置情報と画像情報とをそれぞれ取得する(ステップS410,S420)。
【0049】
その後、制御装置25は、交差点位置情報と現在位置情報とに基づいて、自車両12が交差点を未通過であるか否かを判断する(ステップS430)。そして、交差点を未通過である場合には(ステップS430:YES)、制御装置25は、現在位置情報、地図情報、画像情報、案内経路に基づいて標識案内表示情報を作成し(ステップS440)、さらに表示制御部26へ出力する(ステップS450)。なお、標識案内表示情報を受け取った表示制御部26は、標識案内表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。すなわち、図6に示すように、ディスプレイ16には、自車両12の現在位置を表すアイコン22と案内経路54と標識画像55とが地図23に重ねて表示される。
【0050】
その一方、ステップS430において、自車両12が交差点を通過していると判断した場合には(ステップS430:NO)、制御装置25は、標識案内表示情報をリセットし(ステップS460)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0051】
さて、ステップS450にて標識案内表示情報を出力した後、図5に示すように、制御装置25は、方面案内情報に地名情報が含まれるか否かを判断する(ステップS510)。すなわち、地名情報として取得した地名のうち、少なくとも1つの地名が方面案内情報に含まれている場合には(ステップS510:YES)、制御装置25は、方面案内情報が示す地名情報として取得した地名の方向と案内経路54に沿った案内方向とが一致するか否かを判断する(ステップS520)。この点で、制御装置25は、判断手段として機能する。
【0052】
さらに、ステップS520の結果が不一致である場合には(ステップS520:YES)、制御装置25は、操作パネル17がスクロール操作されたか否かを判断する(ステップS530)。なお、制御装置25は、ステップS510〜S530のうち、いずれか1つのステップにおいて否定判定をした場合には(ステップS510,S520,S530:NO)、ステップS110に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0053】
また、ユーザが操作パネル17を操作してスクロール操作を行った場合には(ステップS530:YES)、制御装置25は、スクロール表示情報を作成する(ステップS540)。なお、スクロール表示情報とは、ディスプレイ16に現在表示されている表示内容を、案内経路54に沿って若干ずらして表示させるための情報である。さらに、制御装置25は、作成したスクロール表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS550)。なお、スクロール表示情報を受け取った表示制御部26は、スクロール表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。
【0054】
続いて、制御装置25は、スクロール表示解除操作がされたか否かを判断する(ステップS560)。スクロール表示解除操作が行われていない場合には(ステップS560:NO)、制御装置25は、目的地Gが表示されたかを判断する(ステップS570)。そして、目的地Gが表示されていない場合(ステップS570:NO)、制御装置25は、再びステップS540に戻ってスクロール表示情報を作成し、さらにスクロール表示情報を出力する(ステップS550)。
【0055】
すなわち、スクロール表示情報を受け取った表示制御部26は、図6の地図を若干ずらしてディスプレイ16に表示する。したがって、ディスプレイ16に表示される地図23は、図6に示す状態から図7に示すように、案内経路54に沿って上方へスクロールされた後、図8に示すように案内経路54に沿って左方へスクロールされる。
【0056】
そして、目的地Gがディスプレイ16に表示された場合には(ステップS570:YES)、制御装置25は、ステップS560へ戻り、スクロール表示解除操作がされたか否かを判断する。そして、スクロール表示解除操作がされると(ステップS560:YES)、制御装置25は、ステップS110に戻って図3〜図5に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0057】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の作用について説明する。なお、自車両12は、A駅を目的地Gとして、図6に太線で示す案内経路54に沿って案内されているものとする。すなわち、ディスプレイ16には、現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが表示されている。
【0058】
さて、図2に示すように、自車両12が第1の交差点46の付近に設置された第1の案内標識45の手前位置まで走行すると、図6に示すように、ディスプレイ16には、アイコン22と案内経路54に加えて第1の案内標識45の標識画像55が表示される。なお、第1の交差点46に設けられた第1の案内標識45には、A駅は左折方向と記載されているため、同様に標識画像55にもA駅は左折方向と表示されている。ところが、図6に示すように、ディスプレイ16に表示された案内経路54は、現在位置直前の第1の交差点46を直進すると共に、その次の交差点である第2の交差点56を左折するように案内している。
【0059】
すなわち、第1の交差点46の手前で、このように第1の案内標識45が示す目的地G(A駅)の方向と、ナビゲーション装置11が案内する方向が異なる場合において、ユーザが操作パネル17を操作すると、ディスプレイ16には、図6〜図8に示すように地図23がスクロール表示される。すなわち、ディスプレイ16上に地図23を案内経路54に沿ってスクロール表示させることにより、現時点ではディスプレイ16に表示されていない目的地G近くの経路部分を含む案内経路54全体が自動的に表示される。これにより、第1の交差点46から目的地Gまでの案内経路に沿った道筋の視認(確認)を可能ならしめる保証案内が行われる。
【0060】
一方、ユーザが操作パネル17を操作せずに第1の交差点46を直進すると、ディスプレイ16には新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする地図23上に表示される。すなわち、標識画像55の表示が中止され、ディスプレイ16から標識画像55の表示が消える。
【0061】
そして、自車両12が進行方向前方にある次の交差点である第2の交差点56の手前位置まで走行した場合において、例えば、第2の交差点56に第1の案内標識45と同じように、A駅は左折方向という案内標識37が設置されていた場合には、案内経路54と案内標識37が案内する方向が一致することになる。したがって、この場合には、第2の交差点56付近でユーザが操作パネル17を操作してスクロール表示操作を行ったとしても、ディスプレイ16には、操作に応じただけのスクロール表示が実行される。
【0062】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、表示制御部26は第1の交差点46における自車両12の進行方向の案内に加えて第1の交差点46から目的地Gまでの案内経路54に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行う。すなわち、ユーザは、第1の交差点46の第1の案内標識45が示す方向と、表示制御部26が案内経路54をディスプレイ16に表示して案内する方向とが異なると、その案内経路54に従って案内されることに不安を感じてしまう。そこで、案内経路54に沿って案内する方向とは異なる方向を示す第1の案内標識45の所定範囲内に自車両12が位置する場合には、ユーザが不安を感じているものと看做し、目的地Gまで設定されている案内経路54に沿った道筋を保証案内により確認させる。したがって、ユーザは、案内経路54に従った場合にも目的地Gに向かって進行しているということが確認でき、ナビゲーション装置11が案内する方向と案内標識37が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0063】
(2)上記実施形態では、第1の交差点46の第1の案内標識45が示す方向と、表示制御部26が案内経路54をディスプレイ16に表示して案内する方向とが異なる場合、通常、ユーザは不安になり、地図23を表示しているディスプレイ16の表示内容を変更して案内経路54に沿った道筋の確認をしようとする。この点、そうしたユーザによるディスプレイ16の表示内容を変更させるための操作パネル17の操作があったときに案内経路54に沿った道筋の保証案内が行われるので、的確にユーザの不安感を軽減することができる。
【0064】
(3)上記実施形態では、ディスプレイ16において地図23を案内経路54に沿ってスクロール表示させることにより、現時点ではディスプレイ16に表示されていない目的地G近くの経路部分を含む案内経路54全体が、ディスプレイ16において現在位置から目的地Gまでの道筋を視認できるように表示される。すなわち、ユーザは、表示制御部26が案内経路54を表示して案内する進行方向に従っても目的地Gに向かって進行しているということが確認でき、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0065】
(4)上記実施形態では、カメラ14で案内標識37を撮影し、撮影された画像から方面案内情報を取得する。そのため、例えば第1の案内標識45の方面案内情報47を記憶していない場合であっても、第1の交差点46において案内経路54に沿った道順の保証案内が可能となる。したがって、新たに敷設された道路で案内標識37が示す方向と、表示制御部26が案内経路54を表示して案内する方向が異なる場合であっても、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9,図10に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態における経路案内プログラムの一部を変更した点でのみ相違しており、その他の構成及び処理手順は共通しているため、同様の部分については同一符号を付すことにして、その詳細な重複説明を省略する。
【0067】
すなわち、自車両12のエンジンが駆動されてナビゲーション装置11が起動されると、まず制御装置25は、図3及び図4に示すステップS110〜S220、及びステップS310〜S460を実行する。そして、ステップS440において標識案内表示情報を作成すると共に、ステップS450において標識案内表示情報を表示制御部26へ出力すると、続いて図9に示すステップS610を実行する。
【0068】
さて、図9に示すように、制御装置25は、まずステップS610,S620において、ステップS510,S520と同様の処理を実行する。さらに、ステップS620の結果が不一致である場合には(ステップS620:YES)、制御装置25は、操作パネル17が広域表示操作されたか否かを判断する(ステップS630)。
【0069】
なお、制御装置25は、ステップS610〜ステップS630のうち、いずれか1つのステップにおいて否定判定をした場合には(ステップS610,S620,S630:NO)、ステップS110(図3参照)に戻って再び現在位置情報を取得する。
【0070】
また、ユーザが広域表示操作を行った場合には(ステップS630:YES)、制御装置25は、現在位置情報、方面案内情報、目的地情報に基づいて、案内標識37の方面案内に従う標識経路57(図10参照)を、地図情報記憶部30に格納された経路データ32に基づいて設定する(ステップS640)。すなわち、標識経路57は、案内標識37に対応する交差点から案内標識37が示す方向に従って目的地Gへ到達する経路であって、案内経路54とは異なる経路で設定される。
【0071】
続いて、制御装置25は、ステップS120にて取得した地図情報に基づいて、ディスプレイ16に表示される地図23よりも広域の地図58(図10参照)を表示するための広域地図情報を地図データ33から取得する(ステップS650)。なお、広域地図情報は、現在位置情報及び目的地情報に基づいて現在位置と目的地とを同時にディスプレイ16に表示可能な程度の縮尺及び範囲の地図情報である。
【0072】
さらに制御装置25は、広域地図情報、現在位置情報、案内経路54、標識経路57に基づいて広域標識経路表示情報を作成する(ステップS660)。そして、制御装置25は、作成した広域標識経路表示情報を表示制御部26へ出力する(ステップS670)。なお、広域標識経路表示情報を受け取った表示制御部26は、広域標識経路表示情報に基づいてディスプレイ16に画像を表示する。
【0073】
すなわち、図10に示すように、ディスプレイ16の表示は、地図23よりも広域の地図58に表示が変更されると共に、現在位置を示すアイコン22、案内経路54及び標識経路57が地図58上に同時に表示される。なお、標識経路57は、案内経路54とは色や線種で区別されて表示される。
【0074】
続いて、制御装置25は、操作パネル17が操作されて広域標識経路表示の解除操作がされたか否かを判断する(ステップS680)。広域標識経路表示の解除操作が行われていない場合(ステップS680:NO)、制御装置25は位置センサ13から現在位置情報を取得し(ステップS690)、再びステップS650に戻って現在位置周辺の広域地図情報を取得する。一方、広域標識経路表示の解除操作がされた場合には(ステップS680:YES)、制御装置25は、ステップS110に戻って図3,図4,図9に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0075】
次に、ナビゲーション装置11が自車両12の進行方向を案内する場合の作用を説明する。なお、自車両12は、A駅を目的地Gとして、案内経路54に従って走行しているものとする。また、図2に示すように、自車両12が第1の交差点46の付近に設置された第1の案内標識45の手前位置まで走行すると、ディスプレイ16には、図6に示すように、地図23上にアイコン22、案内経路54、標識画像55が表示されるものとする。
【0076】
さて、このような状況の下、案内標識45が示す目的地G(A駅)の方向と、ナビゲーション装置11が案内する方向が異なる場合において、ユーザが操作パネル17を操作して広域表示操作をすると、案内経路54に沿った道筋の保証案内が行われる。すなわち、ディスプレイ16には、図10に示すように広域の地図58が表示されると共に、広域表示された地図58上に案内経路54と標識経路57とが表示される。なお、地図58、案内経路54、標識経路57は、広域標識経路表示が解除されるまで、現在位置を更新して表示される。
【0077】
そして、ユーザが操作パネル17を操作して広域標識経路表示を解除すると、ディスプレイ16には、新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする狭域の地図23上に表示される。
【0078】
一方、ユーザが操作パネル17を操作せずに第1の交差点46を直進すると、ディスプレイ16には新たに取得した現在位置を示すアイコン22と案内経路54とが、現在位置を基準とする地図23上に表示される。すなわち、標識画像55の表示が中止され、ディスプレイ16から標識画像55の表示が消える。
【0079】
そして、自車両12が進行方向前方にある次の交差点である第2の交差点56の手前位置まで走行した場合において、例えば、第2の交差点56に第1の案内標識45と同じように、A駅は左折方向という案内標識37が設置されていた場合には、案内経路54と案内標識37が案内する方向が一致することになる。したがって、この場合には、第2の交差点56付近でユーザが操作パネル17を操作して広域表示操作を行ったとしても、ディスプレイ16には、目的地の位置に関わらず地図23よりも1段階広域の地図が現在位置を基準に表示される。
【0080】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(4)の効果に加えて、さらに以下のような効果を得ることができる。
(5)上記実施形態では、表示制御部26は、第1の交差点46から目的地Gまで設定された標識経路57を案内経路54と共に表示して各経路を案内する。すなわち、表示された案内経路54に従う場合であっても、案内標識37が示す方向に従う場合であっても目的地Gにたどり着けることがわかり、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0081】
(6)上記実施形態では、地図23を広域表示させて案内経路54と標識経路57とを目的地Gまで表示する。すなわち、案内経路54と標識経路57のどちらの経路であっても目的地Gにたどり着けることが一目でわかるため、ユーザの不安をさらに軽減することができる。
【0082】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第2の実施形態において、図11に示すように、標識経路57が案内経路54と重複する経路部分を有している場合には、その重複する経路部分の標識経路57を表示させないようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ16には、案内経路54と標識経路57とが同一経路上に重複表示されることなく視認性を高めることができる。また、標識経路57を案内経路54の途中位置で該案内経路と合流するように設定してもよい。これにより、標識経路57と案内経路54とが途中で合流することが視認できるため、さらにユーザの不安感を軽減することができる。
【0083】
・第2の実施形態において、設定した標識経路57を案内経路54と共に狭域の地図23上に重ねて表示してもよい。さらに、案内経路54と標識経路57の未表示部分の経路が表示されるように、スクロール表示をさせるようにしてもよい。すなわち、例えば、ディスプレイ16に図6に示す画像が表示された状態において、操作パネル17が操作されてスクロール表示操作が行われると、制御装置25は、標識経路57を設定すると共に、地図情報、案内経路54、標識経路57とに基づいて標識経路表示情報を作成するようにしてもよい。そして、制御装置25から表示制御部26へ標識経路表示情報が出力されると、表示制御部26は、ディスプレイ16に地図23、案内経路54、標識経路57とを表示する。さらに制御装置25は、案内経路54に沿って若干ずらして表示させるスクロール表示情報の作成と出力を繰り返し実行し、図11に示すように目的地Gが表示されるまで案内経路54に沿って地図23をスクロール表示させるようにしてもよい。また、スクロール表示は、標識経路57に沿って行うようにしてもよい。
【0084】
・第2の実施形態において、標識経路57を設定せず、現在位置と目的地とが表示される程度に地図23を広域表示させて、案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。すなわち、案内経路54のうちディスプレイ16に表示されていなかった経路部分が広域表示に伴ってディスプレイ16に表示されるため、案内経路54に沿った道筋が保証案内される。
【0085】
・第2の実施形態において、案内標識37が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致せず、さらに広域表示操作が行われた場合に、目的地の位置に関わらず表示させる地図の縮尺(例えば3段階分広域表示、もしくは例えば10万分の1縮尺)を予め設定しておいてもよい。さらに、例えば予め設定した縮尺の地図では目的地まで表示されていない場合には、広域表示と併せてスクロール表示を行ってもよい。
【0086】
・第1の実施形態において、スクロール表示は、現在位置周辺の地図23から目的地Gに向かって滑らかに表示させてもよい。すなわち、スクロール表示は、案内経路54がディスプレイ16に表示される程度に行われれば、案内経路54に従った場合にも目的地Gに向かって進行していることを確認させることができる。
【0087】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31に画像データ42を格納せず、ディスプレイ16に標識画像55を表示しなくてもよい。すなわち、ユーザには、道路36に設置された案内標識37を直接確認させるようにしてもよい。
【0088】
・上記各実施形態において、地図情報記憶部30に地名データ34を格納せず、入力された目的地情報を地名情報として取得するようにしてもよい。すなわち、案内標識37に目的地が記載されており、案内標識37が示す目的地の方向と、案内経路54が案内する方向とが異なる場合にのみ案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。
【0089】
・上記各実施形態において、さらにスピーカを備え、案内経路54に基づく進行方向の案内や案内経路54に沿った道筋の保証案内を音声にて行うようにしてもよい。また、バイブレータを備えて振動による案内を行うようにしてもよい。
【0090】
・上記各実施形態において、音声を取得するマイク(操作手段、目的地設定手段)を備え、音声認識によって表示内容の変更や目的地の設定を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態において、カメラ14を設けない構成としてもよい。そして、標識情報記憶部31に格納された標識位置データ39と現在位置情報とに基づいて、進行方向前方に案内標識37が設置されているか否かを判断するようにしてもよい。
【0091】
・上記各実施形態において、カメラ14は連続撮影せず、案内標識37が設置された道路36を自車両12が走行する際に、現在位置情報と標識位置情報とに基づく撮影タイミングで撮影するようにしてもよい。すなわち、自車両12が案内標識37を撮影可能な程度(例えば数十メートル手前)に位置すると、カメラ14に撮影させると共に、取得した撮影情報を検証するようにしてもよい。さらに、標識情報記憶部31には、方面案内データ41、画像データ42を格納せず、カメラ14が撮影した撮影情報から方面案内情報、画像情報を取得するようにしてもよい。
【0092】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31を設けず、カメラ14が撮影した撮影情報に基づいて交差点位置情報、方面案内情報、画像情報を、画像認識によりその都度取得するようにしてもよい。
【0093】
・上記各実施形態において、標識情報記憶部31に標識位置データ39を格納せず、交差点の位置座標を案内標識37の有無と関連付けて格納した交差点位置データ40に応じて案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うか否かを判断するようにしてもよい。すなわち、標識情報記憶部31には、交差点位置データ40と、方面案内データ41と、交差点から延びる各道路36の方位角及び該道路36の案内標識37の有無を示す標識有無情報とを含む標識有無データとを格納している。そして、例えば、カメラ14が撮影した画像に案内標識37が写り込んでいる場合に、進行方向の前方に位置して案内標識37が設置された交差点と走行中の道路36とを特定して標識有無情報を取得する。また、カメラ14を設けない場合には、まず案内経路54上に案内標識37が設置された交差点が存在するか否かを判断し、さらに現在位置から直近の交差点に対する方位角に基づいて標識有無情報を取得する。そして、標識有無情報に基づいて案内標識ありと判断した場合には、案内標識37の方面案内情報を取得するようにしてもよい。
【0094】
・上記各実施形態において、地名情報を定期的に更新するようにしてもよい。すなわち、例えば現在位置が目的地Gから離れている場合には、都市名や市町村名などの地名を地名情報として取得し、目的地Gに近づいた場合には、目的地周辺の詳細な施設名を地名情報として取得するようにしてもよい。
【0095】
・一般に、案内標識には、地名と併せて道路36を示す数字や道路36の通称名が記載されることがある。そこで、上記各実施形態において、撮影情報を解析して道路36を示す数字や道路36の通称名を検出し、交差点の特定に用いるようにしてもよい。案内標識37は、交差点によって設けられる位置(交差点からの距離)が異なるが、交差する道路の道路情報を取得することにより、交差点を誤検出する虞を低減することができる。
【0096】
・一般に、同じ記載の案内標識37を、交差点に進入する1つの道路36上に複数設けることがある。すなわち、交差点の手間150メートル以内に設けられる交差点案内標識に加え、該交差点案内標識よりも手前(例えば交差点の300メートル手前)に予告案内標識が設けられている場合がある。したがって、画像認識の結果、撮影した案内標識37が予告案内標識であった場合には、予告案内標識に記載されたメートル数から交差点を特定するようにしてもよい。また、予告案内標識と交差点案内標識の記載内容は同じであるため、予告案内標識の方面案内情報を取得し、さらに交差点案内標識の方面案内情報によって検証するようにしてもよい。また、予告案内標識、交差点案内標識に関わらず、案内標識37の方面案内情報を一次記憶し、一定距離(例えば、300メートル)走行する間に同じ方向情報の案内標識37があった場合にのみ、標識データ38を更新するようにしてもよい。すなわち、予告案内標識と交差点案内標識とを用いて方面案内情報を検証することにより、標識データ38の信頼性を高めることができる。
【0097】
・上記各実施形態において、案内経路54に沿って案内する方向と、案内標識37が示す地名情報の方向とが一致しないときに、案内経路54に沿って道筋の保証案内を開始させる操作ボタンをディスプレイ16に表示させるようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ16と操作パネル17はタッチパネルとして構成されているため、ユーザが操作ボタンをタッチして操作すると、目的地までのスクロール表示、目的地を表示する程度の広域表示、標識経路57の表示などを行う。また、各表示内容の変更を任意に選択できるように複数の操作ボタンを表示してもよい。
【0098】
・上記各実施形態において、案内標識37が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致しない場合において、ユーザの操作と案内経路54に沿った道筋の保証案内は任意に組み合わせることができる。すなわち、例えば、スクロール表示操作が実行された場合に、広域表示による保証案内もしくは標識経路57を表示させる保証案内を行うようにしてもよい。また、広域表示操作が実行された場合に、スクロール表示による保証案内を行うようにしてもよい。また、自車両12が案内標識37の手前位置まで走行した場合にディスプレイ16に表示される標識画像55がタッチされると、保証案内を行うようにしてもよい。また、自車両12が走行中であるか否かによって保証案内方法を変更してもよい。すなわち、例えば、自車両12が走行中に操作パネル17が操作された場合には広域表示させ、また自車両12が停止中に操作パネル17が操作された場合にはスクロール表示させてもよい。
【0099】
・上記各実施形態において、案内標識が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致しない場合には、操作パネル17の操作に関わらず案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、案内標識が示す地名情報の方向と案内経路54に沿って案内する方向とが一致するか否かを判断して案内経路54に沿った道筋の保証案内を行う位置は、案内標識37を通過するまでとしてもよい。また、交差点を通過してしばらくは保証案内可能としてもよい。すなわち、例えば、交差点通過後に設けられている確認案内標識(例えば106系統の案内標識)を通過するまでとしてもよい。
【0101】
・上記各実施形態において、ナビゲーション装置11は、ディスプレイ16を設けない構成としてもよい。すなわち、ナビゲーションシステムは、例えば、通信機能を持つ携帯電話などの情報機器に対し、ネットワークを通じて各種表示情報を送信して情報機器の表示画面に地図を表示させるためのサーバとしてもよい。
【0102】
・上記実施形態において、ネットワークに接続するための通信手段(例えばアンテナ)を備え、地図情報記憶部30及び標識情報記憶部31に格納された各種情報をネットワークを介して取得するようにしてもよい。また、ナビゲーションシステムをサーバとして機能させる場合には、サーバと通信可能な複数の車両から送信された標識情報に基づいて標識情報を更新することにより、標識データ38の更新作業を簡素化することができる。
【0103】
・上記各実施形態において、ナビゲーションシステムを車両に搭載されるナビゲーション装置11に具体化したが、ナビゲーションシステムは、アプリケーションソフトを搭載した携帯電話や、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant、PND:Personal Navigation Deviceなど)、パーソナルコンピュータとしてもよい。さらに、これらの機器をユーザが持ち運んで使用する場合には、移動体をユーザとしてもよい。
【0104】
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)制御手段は、案内経路のうち少なくとも案内標識が設置された交差点から目的地側に向けて延びる経路部分であって表示画面に一連に表示される確認用経路部分の総距離が長くなるように、表示画面の表示内容を制御する。
【0105】
これによれば、表示画面に一連に表示される確認用経路部分の総距離が長くなるため、ユーザに案内経路に従った場合にも目的地に向かって進行しているということを視認させることができる。したがって、ナビゲーションシステムが案内する方向と案内標識が示す方向とが異なる場合でも、ユーザの不安感を軽減することができる。
【0106】
すなわち、現在位置から目的地Gまで設定される案内経路54は、その一部分が確認用経路部分としてディスプレイ16に表示される。そこで、例えばスクロール表示を行って案内経路54の未表示の経路部分をディスプレイ16に表示させることにより、一時的にディスプレイ16に表示された確認用経路部分の総距離が長くなる。また、例えば広域表示を行うことにより、ディスプレイ16には広域の地図58に併せて案内経路54が表示されるため、ディスプレイ16に表示される確認用経路部分の総距離が長くなる。同様に、標識経路57を表示させる場合には、確認用経路部分の総距離はディスプレイ16に表示された案内経路54と標識経路57との合計距離になるため、案内経路54のみを表示する場合に比べて長くなる。したがって、確認用経路の総距離が長くなるように表示画面の表示内容を制御することにより、案内経路54に沿った道筋の保証案内を行うことができる。
【符号の説明】
【0107】
11…ナビゲーション装置(ナビゲーションシステム)、12…自車両(移動体)、13…位置センサ(現在位置検出手段)、14…カメラ(撮影手段)、16…ディスプレイ(表示画面)、17…操作パネル(目的地設定手段、操作手段)、23,58…地図、25…制御装置(地図情報取得手段、案内経路設定手段、地名情報取得手段、方面案内情報取得手段、判断手段、制御手段、標識経路設定手段)、26…表示制御部(案内手段)、37,45,59…案内標識、46,56…交差点、47,51…方面案内情報、54…案内経路、57…標識経路、G…目的地。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記移動体の目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置から前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、
前記地図情報が示す地図を表示画面に表示させて前記案内経路上の交差点における前記移動体の進行方向を案内する案内手段と、
前記現在位置において前記目的地方面に存在する地名を地名情報として取得する地名情報取得手段と、
前記交差点からの方面案内情報が少なくとも1つ表示された案内標識の設置された位置から所定範囲内に前記移動体が位置するときに、前記案内標識が示す方面案内情報を取得する方面案内情報取得手段と、
該方面案内情報取得手段が取得した前記案内標識の方面案内情報の中に前記地名情報が少なくとも1つ含まれるときに、前記案内標識が示す交差点において前記案内標識が表示する前記方面案内情報のうちで前記地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と前記案内手段が案内する方向とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が一致しないと判断した場合に、前記交差点から前記目的地までの前記案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行うように前記案内手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記表示画面に表示させる表示内容を変更するために操作される操作手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判断手段が一致しないと判断した場合であって且つ前記操作手段が操作された場合に、前記保証案内が行われるように前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記案内手段は、前記表示画面において前記地図を前記案内経路に沿ってスクロール表示させることにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記案内標識に表示された前記方面案内情報に基づいて、前記案内標識が設置された前記交差点から前記案内経路とは異なる経路で前記目的地へ到達する標識経路を設定する標識経路設定手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記表示画面における前記地図上に前記案内経路と前記標識経路とを同時に表示させることにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記標識経路設定手段は、前記案内標識が設置された前記交差点において前記案内経路から分岐すると共に前記目的地又は前記案内経路の途中位置で前記案内経路と合流するように前記標識経路を設定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記案内手段は、前記表示画面における前記地図を広域表示させて前記案内経路と前記標識経路とを、該案内経路と該標識経路との合流位置又は前記目的地まで表示することにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記案内標識を撮影する撮影手段をさらに備え、
前記方面案内情報取得手段は、前記撮影手段により撮影された前記案内標識の画像認識を通じて前記案内標識が示す前記方面案内情報を取得することを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項1】
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記移動体の目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置から前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、
前記地図情報が示す地図を表示画面に表示させて前記案内経路上の交差点における前記移動体の進行方向を案内する案内手段と、
前記現在位置において前記目的地方面に存在する地名を地名情報として取得する地名情報取得手段と、
前記交差点からの方面案内情報が少なくとも1つ表示された案内標識の設置された位置から所定範囲内に前記移動体が位置するときに、前記案内標識が示す方面案内情報を取得する方面案内情報取得手段と、
該方面案内情報取得手段が取得した前記案内標識の方面案内情報の中に前記地名情報が少なくとも1つ含まれるときに、前記案内標識が示す交差点において前記案内標識が表示する前記方面案内情報のうちで前記地名情報に対応した方面案内情報が示す方向と前記案内手段が案内する方向とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が一致しないと判断した場合に、前記交差点から前記目的地までの前記案内経路に沿った道筋の確認を可能ならしめる保証案内を行うように前記案内手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記表示画面に表示させる表示内容を変更するために操作される操作手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判断手段が一致しないと判断した場合であって且つ前記操作手段が操作された場合に、前記保証案内が行われるように前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記案内手段は、前記表示画面において前記地図を前記案内経路に沿ってスクロール表示させることにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記案内標識に表示された前記方面案内情報に基づいて、前記案内標識が設置された前記交差点から前記案内経路とは異なる経路で前記目的地へ到達する標識経路を設定する標識経路設定手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記表示画面における前記地図上に前記案内経路と前記標識経路とを同時に表示させることにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記標識経路設定手段は、前記案内標識が設置された前記交差点において前記案内経路から分岐すると共に前記目的地又は前記案内経路の途中位置で前記案内経路と合流するように前記標識経路を設定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記案内手段は、前記表示画面における前記地図を広域表示させて前記案内経路と前記標識経路とを、該案内経路と該標識経路との合流位置又は前記目的地まで表示することにより前記保証案内を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記案内標識を撮影する撮影手段をさらに備え、
前記方面案内情報取得手段は、前記撮影手段により撮影された前記案内標識の画像認識を通じて前記案内標識が示す前記方面案内情報を取得することを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−102732(P2011−102732A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257189(P2009−257189)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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