説明

ナビゲーションシステム

【課題】本発明は、GPSなどの位置測定手段や地図サーバを用いることなく、携帯電話に代表される汎用端末に対して簡易に実装することが可能な汎用性の高いナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】バーコードやICタグのような安価な記録媒体を案内空間の各所に配置する。記録媒体には、配置された位置から案内空間内に存在する全ての目的地に至るための進行方向を目的地毎に記録しておく。移動情報端末は、上記記録媒体から情報を読み取る度に、ユーザが選択した目的地に対応する進行方向を抽出してユーザに提示する。進行方向は、記録媒体から情報を読み取る際のユーザに対する相対方向として示され、ユーザは、自身が進むべき方向(絶対方向)を直感的に把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、より詳細には、サーバとの通信を要することなく簡単なプログラムで実行可能なナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般に多く用いられている移動情報端末(携帯電話・PDA等)を利用したナビゲーションシステムにおいては、以下の手順でナビゲーションを実現している。すなわち、GPSなどの位置測定手段を使用してユーザの現在地情報を取得し、当該現在地情報を目的地情報とともにサーバに送信する。地図情報を保有するサーバは、ユーザ端末から送信された上記情報に基づいてナビゲーションプログラムを実行し、目的地に対応したユーザの進行方向を導出してユーザ端末に送信する。しかしながら、上述した従来のナビゲーションシステムにおいては、地図情報を保有するサーバが必須であり、ユーザ端末は、常にサーバと通信する必要があった。
【0003】
一方、既存のカーナビゲーションシステムに採用されているような、ユーザ端末側に地図情報とナビゲーションプログラムの両方を搭載するシステムも存在する。このような構成においては、ユーザ端末がサーバと通信する必要はないが、移動情報端末側に搭載させるプログラムが大きくならざるを得ないため、適用可能な端末の種類が限定されるという問題があった。また、現在地の取得には依然としてGPSを使用しており、GPSの位置取得精度が低いため、例えば、屋内を細やかにナビゲーションするような用途に適用することは困難であった。
【0004】
この点につき、特開2003−156360号公報(特許文献1)は、案内対象エリア内の各所に、自身が配置された場所を示す情報を記録したバーコードを貼付しておき、移動情報端末がこのバーコードを読み取ることによって、ユーザの現在位置を取得するナビゲーションシステムを開示する。特許文献1のシステムは、GPSを用いないため、システムを簡易に構成することができ、また、ユーザの現在位置を精度よく取得することができるという利点がある。しかしながら、特許文献1のシステムにおいても、未だ移動情報端末側に地図情報を搭載する必要があり、案内対象エリアを拡大しようとすれば、当然に格納するデータ量(地図情報)を増加せざるを得ないため、適用可能な端末の種類が限定されるという上述した問題は依然として残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−156360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、GPSなどの位置測定手段や地図サーバを用いることなく、携帯電話に代表される汎用端末に対して簡易に実装することができる、汎用性の高い新規なナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、GPSなどの位置測定手段や地図サーバを用いることなく、携帯電話に代表される汎用端末に対して簡易に実装することができる、汎用性の高い新規なナビゲーションシステムにつき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。本発明においては、まず、バーコードやICタグのような安価な記録媒体を案内空間の各所に配置する。上記記録媒体には、自身が配置された位置から案内空間内に存在する全ての目的地に至るための進行方向を目的地毎に記録しておく。移動情報端末は、上記記録媒体から情報を読み取る度に、ユーザが選択した目的地に対応する進行方向を抽出してユーザに提示する。本発明においては、進行方向が記録媒体から情報を読み取る際のユーザに対する相対方向として示され、ユーザは、自身が進むべき方向(絶対方向)を直感的に把握する。
【0008】
すなわち、本発明によれば、案内空間内の各所に配置された記録媒体と、移動情報端末とを含むナビゲーションシステムであって、前記記録媒体には、前記案内空間内に存在する目的地と、該記録媒体の配置位置から各目的地に至る予め定められた仮想経路上の進行方向を内容とする進行方向情報とが関連付けて記録され、該進行方向は相対方向として記述され、前記移動情報端末は、前記記録媒体から情報を読み取るための手段と、読み取った情報の中から、予め入力された目的地に対応する前記進行方向情報を抽出し、該進行方向情報に基づいた案内を提示する手段とを含む、ナビゲーションシステムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明によれば、GPSなどの位置測定手段や地図サーバを用いることなく、携帯電話に代表される汎用端末に対して簡易に実装することが可能な汎用性の高いナビゲーションシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステムの利用態様を示す図。
【図2】本実施形態のナビゲーションシステムの動作を示す概念図。
【図3】本発明における案内空間の階層化を説明するための概念図
【図4】第1キャンパスの1号棟8階のフロアーを示す図。
【図5】バーコードに記録するデータ構造を示す図。
【図6】第1キャンパスの1号棟8階のフロアーを示す図。
【図7】「資料室」の内部を示す図。
【図8】第1キャンパス1号棟8階および3階を示す図。
【図9】第1キャンパス1号棟3階および1階を示す図。
【図10】第1キャンパス全体を示す図。
【図11】本実施形態における移動情報端末が実行するメイン処理のフローチャート。
【図12】本実施形態における移動情報端末が実行するサブ処理のフローチャート。
【図13】人工的な移動体をナビゲーションする実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0012】
本発明のナビゲーションシステムは、案内空間の各所に配置された、進行方向に関する情報(以下、進行方向情報として参照する)を記録する記録媒体と、当該記録媒体から進行方向情報を取得する手段を備えた移動情報端末とを含んで構成される。本発明においては、ユーザは、携帯電話やPDAで構成される移動情報端末から逐次案内を受け、これに従うことによって目的地に至る。本発明のナビゲーションシステムにおいては、上記記録媒体および移動情報端末の実装手段として、種々の構成を採用することができるが、以下の説明においては、便宜上、上記記録媒体として二次元バーコード(QRコード)を採用し、移動情報端末としてバーコードリーダ機能付きの携帯電話端末を採用した実施形態を例にとって説明する。
【0013】
図1は、ユーザ10が本実施形態のナビゲーションシステムを利用する際の態様を示す図である。本実施形態においては、案内空間内の各所にバーコード12が貼付される形で配置されており、ユーザ10は、案内空間内の構造物(たとえば、壁14)に貼付されたバーコード12を適宜選択し、このバーコード12を自身が携帯する携帯電話16を使用して読み取る。バーコード12は、丸で囲んで示すように、二次元バーコード(QRコード)として構成されており、携帯電話16は、バーコードリーダを備え、さらに読み取ったデータを処理するための情報処理手段を備えている。
【0014】
ユーザ10がバーコード12からデータを取得すると、携帯電話16の情報処理手段が所定の処理フローに基づいてこれを処理し、その結果を表示する。図1(b)は、処理結果(「右へ進んで下さい」)が携帯電話16のディスプレイ18に表示された状態を示す。本実施形態のナビゲーションシステムにおいては、図1(b)に示されるように、携帯電話16のディスプレイ18を介してユーザ10に進むべき方向を提示するが、当該方向は、バーコード12に対して正面で向かい合うユーザ10に対する相対方向として記述される。この点について、以下、詳細に説明する。
【0015】
壁14に貼付されたバーコード12を携帯電話16で読み取る際、ユーザ10の正面は、図1(a)に示されるようにバーコード12(すなわち、壁14)に対して向かい合う形になる。本実施形態のナビゲーションシステムが表示する進行方向は、この状態のユーザ10に対する相対方向として定義(表現)される。図1(a)に示す例においては、進行方向として、右、右前方、右後方、後、左後方、左、左前方の全7つの相対方向が定義されている。なお、以降の説明においては、便宜的に、ユーザ10の正面がバーコード12に対して向かい合うことを前提条件として進行方向を定義する態様についてのみ述べるが、この前提条件は、実際の実装態様に応じて適切なものを設定すればよく、種々の条件設定が可能であることはいうまでもない。要するに、本発明においては、予め設定された前提条件に則って、移動情報端末に提示する相対方向が指示すべき進行方向(絶対方向)に合致するように、当該相対方向を定義すればよい。
【0016】
ユーザ10は、ディスプレイ18に表示された相対方向から自身が進むべき方向(絶対方向)を直感的に把握し、これに従って進む。本実施形態においては、案内空間内のいたるところにバーコード12が貼付されており、ユーザ10は、移動した先の適切な位置に貼付されたバーコード12を再び読み取って、次の進行方向を取得し、これに従ってさらに進むといったことを繰り返して目的地に到着する。この点につき、図2を参照して具体的に説明する。
【0017】
仮に、ユーザ10を図2に示す施設内の出発点から目的地である「部屋20」へ案内するとする。ユーザ10は、携帯電話16に対して目的地を「部屋20」と入力した後、最寄りのバーコード12を携帯電話16で読み取る。ユーザ10が携帯電話16でバーコード12を読み取ると携帯電話16のディスプレイに進行方向情報が提示される。ユーザ10は、この進行方向情報にしたがって施設内の経路を進み、次のバーコード12を探す。次のバーコードを見つけると、再びこれを読み取り、進行方向情報を取得する。上述した手順を繰り返すことによって、最終的にユーザ10は、目的地である「部屋20」の前に到着する。なお、本発明における進行方向情報の提示は、図2に例示したような文字情報の表示に限定されるものではなく、相対方向をユーザに直感的に感得させることができる方法であればよく、静止画像や動画、あるいは、音声によって提示してもよい。
【0018】
また、本実施形態のナビゲーションシステムにおいては、全ての目的地候補のドアや壁の適切な位置にバーコード12を貼付することができる。ユーザ10は、目的地である「部屋20」の前のバーコード12を読み取ると、携帯電話16に「ここです」といった文言が示され、目的地に到着したことをユーザ10に教える。
【0019】
以上、本発明のナビゲーションシステムの動作について概説してきたが、本システムの特徴は、ユーザの現在地およびその進行経緯に関する情報、ならびに、案内空間の地図情報のいずれも使用することなくナビゲーションを実現する点にある。すなわち、本発明においては、記録媒体(バーコード12)の配置位置がこれを読み取っているユーザの現在地であることを前提とするため、ユーザの現在地を特定するための位置測定手段(GPS等)を用いる必要がなく、さらに、目的地ごとに予め定められた進行方向をユーザに対する相対方向に読み替えて直感的に提示する構成を採用するため、ユーザに対して絶対方位を示す場合には必須となる地図情報(案内空間を方位・座標などに還元した情報)が不要となる。したがって、本システムにおいては、地図情報を提供するためのサーバを設ける必要がなく、当然にして移動情報端末(携帯電話16)がサーバと通信する必要もない。さらに、本システムにおける移動情報端末(携帯電話16)には、ユーザの現在位置と地図情報に基づいて進行方向を導出処理する場合に必須となる大きなプログラムを搭載する必要がなく、非常に単純なアプリケーションを搭載しさえすれば足りるため、簡易に実装することができる。
【0020】
本発明のナビゲーションシステムを構築するにあたって、まず、バーコードに記録する情報を以下の様に構成する。すなわち、バーコードの配置位置を出発点とし、そこから目的地に至る経路(通常は、最短経路)を全ての目的地についてバーコードの配置位置毎に予め定めておく。本発明においては、このように予め定められた経路を仮想経路というものとする。図2には、各バーコード12から目的地20に至る仮想経路30が太い矢線で示されている。
【0021】
次に、仮想経路30に沿った方位を各バーコード12に進行方向として記録する。ここで進行方向は、図1を参照してすでに説明したように、バーコード12に対して正面で向かい合った状態のユーザ10に対する相対方向として記述される。各バーコード12には、このように記述された進行方向が全ての目的地に対応付けられて記録される。このような情報をバーコードに記録しておくことによって、本システムにおいては、携帯電話16(移動情報端末)で各バーコード12に記載された情報を読み取るだけで行き先に応じた進行方向を決定することができる。以上、本発明のナビゲーションシステムの基本構成について説明してきたが、続いて、本システムのバーコードに記録される情報および移動情報端末が実行する処理について、さらに詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明におけるバーコードに記録する情報について二次元バーコード(QRコード)を例にとって説明する。現在、最も普及している二次元バーコード(QRコード)に記録可能な情報量は、下記表1に示す通りである。
【0023】
【表1】

【0024】
ナビゲーションの対象となる案内空間を拡張していくに従って、当該空間内に存在する目的地数が増加する。しかしながら、上記表1に示されるように二次元バーコード(QRコード)の記録容量は決して大きいものとは言えず、各バーコードに対して案内空間内に存在する全ての目的地に対応する進行方向情報を記録しようとしても、記録しきれない場合がある。この点につき、本発明においては、案内空間を階層化することよってこれを解決することができる。ここで、本発明における案内空間の階層化とバーコードに記録する情報の関係について、図3および図4を参照して以下説明する。
【0025】
図3は、本発明における案内空間の階層化の概念を説明するための図であり、「大学」を案内空間として例示する。図3に示す例においては、案内空間である大学を、「キャンパス」、「棟」、「階(フロアー)」というように三段階の深さに階層化しており、各階層について目的地を定義する。具体的には、「第1キャンパス」という階層においては、各棟(1〜3号棟)を目的地として定義し、その中の「1号棟」という階層においては、各階(フロアー)を目的地として定義し、さらにその中の「8階」という階層においては、各部屋を目的地として定義する。上述したように、案内空間を階層化し、階層毎に目的地を定義することによって、バーコードに記録する情報量を記録容量内に抑えることができる。この点につき、図4を参照して以下説明する。
【0026】
図4(a)は、第1キャンパスの1号棟8階のフロアーを示す。8階においては、「研究室(7部屋)」、「トイレ(男女)」、「自販機コーナ」、「資料室」、「給湯室」、および「エレベータ」の計13箇所が目的地として定義されている。バーコードに記録する情報を設定するにあたり、まず、同じ階層に存在する全ての目的地に一意の識別子を付与する。この識別子としては、例えば、整数を1から昇順で付与することができる。図4(a)に示す例においては、全13箇所の目的地に対し、1〜13までの整数が識別子として付与されている(図中の丸囲み数字がこれに該当する)。ここで、「識別子3」が付与された「木村研究室」のドアに貼るバーコードaに記録する情報について考える。
【0027】
「木村研究室」のドアに貼るバーコードaには、8階フロアーに存在する全目的地について、ユーザに提示するための進行方向が目的地毎に記録される。当該進行方向は、既に説明したようにバーコードaに対して正面で向かい合った状態のユーザ10に対する相対方向として記述される。例えば、バーコードaに対して正面で向かい合ったユーザ10が「識別子1:田中研究室」を目的地とする場合、ユーザ10から見て「左」方向に進行する必要がある。したがって、バーコードaには、目的地である「識別子1:田中研究室」と進行方向「左」が対応付けられて記録される。同様の手順で、識別子1〜13で示される全ての目的地に対して進行方向を対応付けてバーコード12に記録する。
【0028】
図4(b)は、バーコードaに記録する進行方向情報の意味内容を示す。ここで、「識別子3:木村研究室」に着目すると、「木村研究室」に対応づけられた進行方向情報は「ここ」となっている。このように、本発明における進行方向情報には、ユーザ10に対する相対方向のみならず、目的地に到着したことを意味する情報を符号化して記録しておくことができる。このように構成すれば、ユーザ10が目的地に貼付されたバーコードaを読み取ることによって、自身が目的地に到着したことを知ることができる。さらに、本発明における進行方向情報には、「中に入る」などといった指示を意味する情報を符号化して記録しておくこともできる。
【0029】
さらに、バーコードaには、ユーザ10の行き先(目的地)が同じ1号棟内の別の階に存在する場合(階違い)、ならびに、別棟に存在する場合(棟違い)に、ユーザ10に階層を移動させるための情報が記録される。例えば、ユーザ10が「木村研究室」の前にいる場合、ユーザ10の行き先が、同じ1号棟内の別の階に存在する場合(階違い)には、「識別子13:エレベータ」に向う必要がある(ユーザ10はエレベータで別の階に移動する必要がある)。従って、「木村研究室」のドアに貼付するバーコードaには、このような場合に対応付けて進行方向「右」が記録される(すなわち、階層の出口であるエレベータに向う方向)。また、当該バーコードaには、同様の理由により、ユーザ10の行き先が別棟に存在する場合(棟違い)に対応付けて進行方向「右」が記録される(同じく、階層の出口であるエレベータに向う方向)。
【0030】
以上、説明したように、本発明におけるバーコードには、それが貼付される階層に存在する目的地に関する進行方向情報のみを記録し、他の階層に存在する目的地(たとえば別のフロアーに存在する研究室など)に関する進行方向情報は記録しない。つまり、本発明においては、案内空間を適切にグループ分けして階層化し各階層内の目的地の数を制限することによって、バーコードに記録する情報量をバーコードの記録容量の範囲内に収めることができる。このようにすれば、比較的小さな記録容量した持たないバーコードをもってしても、相当数の目的地についてナビゲーションが可能になる。
【0031】
なお、同じ階層内の全目的地について識別子を付与することは既に述べたが、本発明においては、階層についても一意の識別子を付与する。以下の説明においては、理解を容易にするため、各階層の定義に含まれる整数(例えば、「8階」という定義に含まれる整数「8」)をそのまま階層の識別子として付与する例をとって述べるが、本発明はこれに限定されるものではなく、階層について、どのような定義をしてもよく、また、どのような識別子を付与してもよい(例えば、「工学部:識別子26」、「南棟:識別子14」などのように)。この場合、携帯電話(移動情報端末)側が一意な識別子に関連付けて各階層の定義を管理することになる。本実施形態においては、各階層ならびに各目的地に識別子を付与した上で、以下に示すアルゴリズムに基づいて、図4(b)に示した意味内容をコンピュータが理解できるデータに変換する。ここでは、テキスト形式のデータに変換する場合について説明する。
【0032】
まず、各目的地をそれが属する全ての階層の識別子を使用してテキストデータ化する。例えば、ここで、「第1キャンパス」の識別子を「1」、「1号棟」の識別子を「1」、「8階」の識別子を「8」とした場合、「識別子1:田中研究室」を「1.1.8.1」とデータ化することができる。なお、階層および目的地に付与した識別子が二桁以上の整数である場合には、BASE64等のエンコード方式と同様の考え方に基づいて、二桁以上の整数を一文字の英字・記号に変換することが好ましい。そのようにすることによって、「1.1.8.1」において識別子を区切るのに用いているカンマ「.」を省略することができる。次に、「識別子1:田中研究室」に対応付けられる進行方向「左」については、これを「L」という英字に変換することができる。この進行方向情報についても、同様に、一文字の英数字・記号を適切に対応させて変換することが好ましい。
【0033】
同様の手順で、識別子1〜13で示される全ての目的地とこれに対応付けられる進行方向について符号化することによって、図4(b)に示した意味内容を図4(c)に示す英数字・記号に置き換えることができる。なお、図4(c)に示す例においては、目的地到着を意味する情報(ここ)を「T」と符号化し、進行方向「右」を「R」と符号化している。なお、他の進行方向、「右前方」、「右後方」、「後」、「左後方」、「左前方」については、図1(a)に示すように、それぞれ、「M」、「N」、「B」、「K」、「J」と符号化したものとして以下の説明を参照されたい。
【0034】
さらに、本発明においては、図4(c)に示す情報を所定のアルゴリズムに基づいて圧縮してデータ化した上でバーコードに記述することが好ましい。以下、本発明におけるバーコードのデータ構造について、その好適な実施形態をもって説明する。図5は、バーコードaに記録するデータ構造を示す。本実施形態のバーコードのデータは、図5に示されるように、階層情報部、進行方向情報部、および階層移動情報部を含んで構成することができる。
【0035】
階層情報部には、バーコードaが貼付されている階層とその上位に位置する全ての階層の識別子が階層の上位順に記述されている。すなわち、図4(c)に示したバーコードaは、「8階:識別子8」に貼付されており、「8階」の上位階層は「1号棟:識別子1」であり、「1号棟」の上位階層は「第1キャンパス:識別子1」であるので、階層情報部には、これら各階層の識別子を上位順に記述した「118」が格納される。
【0036】
上述した階層情報部に続いて進行方向情報部が記述される。進行方向情報部には、バーコードaが貼付されている階層の目的地毎に対応付けられた進行方向情報が当該目的地の識別子の昇順に記述されている。すなわち、図4(c)に示したバーコードaが貼付されている「8階」には、識別子1〜13で示される13箇所の目的地があり、各目的地に対応付けられた進行方向は図4(c)に示した通りなので、進行方向情報部には、これら進行方向情報が目的地の識別子の昇順で格納される。
【0037】
上述した進行方向情報部に続いて階層移動情報部が記述される。階層移動情報部には、ユーザの行き先(目的地)が、バーコードaが貼付されている階層とは別の階層にある場合に、ユーザがその別の階層へ移動するための進行方向情報が記述されている。本発明においては、このような進行方向情報を進行方向情報部に格納される進行方向情報と区別するため、以下、階層移動情報として参照する。階層移動情報部においては、階層移動情報が移動先の階層の上位順に記述されている。すなわち、図4(c)に示したバーコードaが貼付されている「8階」とは別の階に移動する場合の進行方向は「R」であり、さらにその上位階層である別の棟に移動する場合の進行方向は「R」であるため、階層移動情報部には、これらの階層移動情報を移動先の階層の上位順に記述した「/RR」が格納される。ここで、スラッシュ「/」は、階層移動情報が存在しないことを示す符号として定義されているものとする。すなわち、図3に示した階層構造においては、ユーザが最上位階層である「第1キャンパス」の外へ移動することを案内の範囲外と定義しているので階層移動情報部の最上位階層に対応する場所にはスラッシュ「/」が格納される。
【0038】
なお、本実施形態においては、コロン「:」が階層情報部と進行方向情報部の境界を示す符号として定義され、セミコロン「;」が進行方向情報部と階層移動情報部の境界を示す符号として定義されているものとする。以上、本発明におけるバーコードのデータ構造について説明してきたが、続いて、このように記述されたバーコード・データを取得した移動情報端末(携帯電話)が実行する情報処理について、具体的な実施形態をもって以下詳細に説明する。
【0039】
図6は、第1キャンパス1号棟8階を示す。ここで、8階の「木村研究室:識別子3」の前にはユーザ10が立っており、同じ8階にある「資料室」に書籍を探しに行こうとしているものとする。以下、本実施形態のナビゲーションシステムがユーザ10を「木村研究室」の前から「資料室」へと案内する態様について、図11および図12に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、同時に、図6を適宜参照するものとする。
【0040】
図11は、本実施形態のナビゲーションシステムにおける移動情報端末(好ましくは、携帯電話)が実行するメイン処理のフローチャートである。最初に、ユーザ10が自身の携帯電話を操作し、本実施形態のナビゲーションを実行するプログラムである「部屋探しアプリケーション」を起動すると、ステップ101において所定の初期化処理が実行された後、ステップ102に進んで目的地情報の入力があるまで待機する(S102,No)。
【0041】
ユーザ10は、目的地である「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]を任意の方法でセットする。例えば、総合案内板に印刷された「資料室」を示すバーコードを携帯電話で読み取ったり、予め携帯電話に記憶されていた「資料室」の目的地コードを選択して読み出したりすることが考えられる。ステップ102において目的地情報が入力されると(S102,Yes)、ステップ103に進み、値[N]に「1」がセットされる。ここで[N]は階層の深さを示す値であり、N=1は最上位の階層を意味する。
【0042】
ステップ103において値[N]に「1」がセットされると、ステップ104に進み、バーコード・データの取得を監視する。なお、この監視には所定のタイムアウト時間を設定することもでき、タイムアウト時間を過ぎた場合には(S105,Yes)、処理を終了する。
【0043】
ここで、ユーザ10は上記タイムアウト時間内に「木村研究室」の前に貼付されたバーコードaを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードaのデータを下記表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106に進む。ステップ106においては、予めセットされた「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]のN(=1)番目の値「X1(=1)」と表2に示すデータの階層情報部の先頭からN(=1)番目の値「X2(=1)」が照合され、ステップ107において両者の異同が判断される。ここで、「X1=X2=1」であるので(S107,Yes)、ステップ108に進む。
【0046】
ステップ108においては、階層情報部の全ての値について照合が終了したか否かが判断される。この場合、未だ照合が終了していない階層情報部の値が残っているので(S108,No)、ステップ109に進み、値[N]を1インクリメントして(N=2)、ステップ106に戻る。ステップ106では、再び、「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]のN(=2)番目の値「X1(=1)」と表2に示すデータの階層情報部の先頭からN(=2)番目の値「X2(=1)」が照合され、ステップ107において両者が同じである(X1=X2=1)と判断されて(S107,Yes)、ステップ108に進む。ステップ108においては、未だ照合が終了していない階層情報部の値が残っているので(S108,No)、再び、ステップ109に進み、値[N]を1インクリメントして(N=3)、ステップ106に戻る。ステップ106では、再び、「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]のN(=3)番目の値「X1(=8)」と表2に示すデータの階層情報部の先頭からN(=3)番目の値「X2(=8)」が照合され、ステップ107において両者が同じである(X1=X2=8)と判断されて(S107,Yes)、ステップ108に進む。
【0047】
これまでの処理で上記表2に示すデータの階層情報部の値「118」について照合が全て終了しているので(S108,Yes)、ステップ110に進む。上述した一連のステップによって、バーコードaが貼付された階層(8階)に入力された目的地が存在すると判断される。ステップ110においては、「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]の先頭から「N+1」番目の値「Y」が抽出される。ここで、N+1=3+1=4 であるので、「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]の先頭から「4」番目の値「Y=9」が抽出されてステップ111に進む。
【0048】
ステップ111においては、上記表2に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y(=9)」番目の値「α」が抽出され、値「α」に基づいた案内を携帯電話のディスプレイに表示する。この場合、上記表2に示すデータの進行方向情報部には、「LLTRRRRRRLLLR」が格納されており、先頭から9番目の値「α」は、「R」である。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「R」に基づいた案内、例えば「右に進んでください」が表示される。なお、情報処理手段は、上記表2に示すデータの中のコロン「:」を基準にして階層情報部の末端ならびに進行方向情報部の先端を判断することができる。ステップ111において案内表示が終了すると、ステップ103に戻って値[N]を再び「1」にセットし、ステップ104に戻って再びバーコード・データの取得を待機する。
【0049】
ユーザ10は、携帯電話に表示された「右に進んでください」の案内に従って、右方向に進む。次に、ユーザ10は、廊下の壁に貼付されたバーコードbを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードbのデータを下記表3に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
バーコードから新規データを取得した後(S104,Yes)、ステップ108までは上述したのと同様の処理が実行され、ステップ110に進む。ステップ110においては、再び、「資料室」の目的地コード[1.1.8.9]の先頭から「N+1=4」番目の値「Y(=9)」が抽出されてステップ111に進む。
【0052】
ステップ111においては、上記表3に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y(=9)」番目の値「α」が抽出される。この場合、上記表3に示すデータの進行方向情報部の先頭から9番目の値「α」は、「B」である。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「B」に基づいた案内、例えば「後ろに進んでください」が表示される。ステップ111において案内表示が終了すると、ステップ103に戻って値[N]を再び「1」にセットし、ステップ104に戻って再びバーコード・データの取得を待機する。
【0053】
ユーザ10は、携帯電話に表示された「後ろに進んでください」の案内に従って、後方に進む。次に、ユーザ10は、廊下の壁に貼付されたバーコードcを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードcのデータを下記表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
バーコードから新規データを取得した後(S104,Yes)、ステップ110までは上述したのと同様の処理が実行され、ステップ111に進む。ステップ111においては、上記表4に示すデータの進行方向情報部の先頭から9番目の値「M」が抽出される。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「M」に基づいた案内、例えば「右前方に進んでください」が表示される。ステップ111において案内表示が終了すると、ステップ103に戻って値[N]を再び「1」にセットし、ステップ104に戻って再びバーコード・データの取得を待機する。
【0056】
ユーザ10は、携帯電話に表示された「右前方に進んでください」の案内に従って、右前方に進む。次に、ユーザ10は、ドアに貼付されたバーコードdを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードdのデータを下記表5に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
バーコードから新規データを取得した後(S104,Yes)、ステップ110までは上述したのと同様の処理が実行され、ステップ111に進む。ステップ111においては、上記表5に示すデータの進行方向情報部の先頭から9番目の値「T」が抽出される。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「T」に基づいた案内、例えば「この部屋です」が表示される。ステップ111において案内表示が終了すると、ステップ103に戻って値[N]を再び「1」にセットし、ステップ104に戻って再びバーコード・データの取得を待機するが、所定時間を経過してもバーコード入力がない場合には(S105,Yes)、処理を終了する。なお、本実施形態においては、ユーザ10の操作によってナビゲーションを強制終了することができるように構成してもよい。本実施形態のナビゲーションシステムによれば、上述した手順によって、ユーザを「資料室」まで案内することができる。
【0059】
なお、本実施形態のナビゲーションシステムによれば、上述したような施設内の部屋の案内のみならず、例えば、図書館ユーザに対し所望の書籍が収納されている位置を案内することもできる。このような実施形態について、図7を参照して、以下説明する。
【0060】
図7は、「資料室」の内部を示す。図7に示す例においては、案内空間である資料室内に「書棚」という階層を4つ設け、各書棚の列を目的地として定義している。なお、図7においては、各階層(書棚)および目的地(列)に付与された識別子を丸囲み数字で示す。ここでは、「資料室」に到着したユーザ10が「生物学入門」という書籍を探そうとしているものとする。なお、以下の説明は、図11および図12のフローチャートを適宜参照して行なう。
【0061】
ここでは、ユーザ10が携帯電話を操作し、新たに「書籍探しアプリケーション」を起動する。当該アプリケーションが起動されると、ステップ101において所定の初期化処理が実行された後、ステップ102に進んで目的の書籍情報の入力があるまで待機する(S102,No)。
【0062】
ユーザ10は、目的の書籍である「生物学入門」の書架コード[9.3.5]を任意の方法でセットする。例えば、カウンタ50に備え付けられた書籍検索コンピュータ52からプリントアウトされた検索結果に印刷された「生物学入門」の書架コードを表すバーコードを携帯電話で読み取ったり、予め検索して携帯電話に記憶しておいた「生物学入門」の書架コードを選択して読み出したりすることが考えられる。ステップ102において書架コードが入力されると(S102,Yes)、ステップ103において、値[N]に「1」がセットされ、ステップ104に進んでバーコード・データの取得を監視する。
【0063】
ここで、ユーザ10は、「化学:識別子2」の書棚に貼付されたバーコードeを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードeのデータを下記表6に示す。
【0064】
【表6】

【0065】
バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106に進み、予めセットされた「生物学入門」の書架コード[9.3.5]のN(=1)番目の値「X1(=9)」と表6に示すデータの階層情報部の先頭からN(=1)番目の値「X2(=9)」が照合される。ここで、「X1=X2=9」であるので(S107,Yes)、ステップ108に進み、未だ照合が終了していない階層情報部の値が残っているので(S108,No)、ステップ109に進んで値[N]を1インクリメントして(N=2)、ステップ106に戻る。ステップ106では、再び、「生物学入門」の書架コード[9.3.5]のN(=2)番目の値「X1(=3)」と表6に示すデータの階層情報部の先頭からN(=2)番目の値「X2(=2)」が照合される。
【0066】
ここでは、両者の値が異なるので、ステップ107において、(X1≠X2)と判断され(S107,No)、丸囲み数字1が示すサブ処理に進む。図12は、階層の移動をナビゲートするためのサブ処理のフローチャートである。値「X1」と値「X2」が異なる場合、バーコードeが貼付された階層(化学の書棚)に入力された目的地(「生物学入門」が収納されている列)が存在しないと判断され、サブ処理のステップ201に進む。ステップ201においては、上記表6に示すデータの中の階層移動情報部に階層移動情報が有るか否かが判断される。この場合、上記表6に示すデータの中の階層移動情報部には、「//」が格納されている。スラッシュ「/」は、別階層へ移動するための階層移動情報が存在しないことを示す符号であるので(S201,No)、ステップ202に進む。
【0067】
ステップ202においては、値「X1」が示す階層への移動を促す案内を行なう。この場合、「X1=3=生物」であるので、「書棚が違います。『生物』と書かれた書棚に移動して下さい。」等のメッセージを携帯電話に表示した後、サブ処理を終了して図11における丸囲み数字2が示す位置からメイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を監視する。なお、携帯電話の情報処理手段は、上記表6に示すデータの中のセミコロン「;」を基準にして階層移動情報部のデータ領域を判断することができる。
【0068】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、生物の書棚に移動し、生物の書棚に貼付されたバーコードfを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードfのデータを下記表7に示す。
【0069】
【表7】

【0070】
次に、上述したのと同様にステップ106〜109〜107が実行され、上記表7に示すデータの階層情報部の値「93」について照合が全て終了したことがステップ108において判断されると、(S108,Yes)、ステップ110に進む。ステップ110においては、「生物学入門」の書架コード[9.3.5]の先頭から「N+1」番目の値「Y」が抽出される。ここで、N+1=2+1=3 であるので、「生物学入門」の書架コード[9.3.5]の先頭から「3」番目の値「5」が抽出されてステップ111に進む。
【0071】
ステップ111においては、上記表7に示すデータの進行方向情報部の先頭から「5」番目の値「α」が抽出され、値「α」に基づいた案内を携帯電話のディスプレイに表示する。この場合、上記表7に示すデータの進行方向情報部の先頭から「5」番目の値「α」は、「L」である。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「L」に基づいた案内、例えば「左に進んでください」が表示される。ステップ111において案内表示が終了すると、再び、バーコード・データの取得を監視する。
【0072】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、生物の書棚を左に移動し、バーコードgを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードgのデータを下記表8に示す。
【0073】
【表8】

【0074】
次に、上述したのと同様にステップ106〜110が実行され、「生物学入門」の書架コード[9.3.5]の先頭から「3」番目の値「Y=5」が抽出されてステップ111に進む。
【0075】
ステップ111においては、上記表8に示すデータの進行方向情報部の先頭から「5」番目の値「α(=T)」が抽出される。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「T」に基づいた案内、例えば「お探しの本はこの列にあります」が表示される。本実施形態のナビゲーションシステムによれば、上述した手順によって、ユーザ10を「生物学入門」が収納された書棚の位置まで案内することができる。
【0076】
上述した実施形態においては、3階層(キャンパス・棟・階)に基づいた「部屋探しアプリケーション」と2階層(部屋・棚)に基づいた「書籍探しアプリケーション」を用途に応じて起動する態様について示した。本態様においては、両アプリケーションは、同一階層内で進行方向を表示するための基本アルゴリズムについては共有するが、各アプリケーションは、階層の定義(意味)に対応した固有のメッセージ(「階が違います」「棚が違います」等)を呼び出すように構成されている。このように目的に応じて異なるアプリケーションを起動させる構成を採用することによって、目的に即したメッセージの拡張が可能になる。
【0077】
一方、上述した例において、「部屋探し」と「書籍探し」を区別せず、案内空間を5階層(キャンパス・棟・階・部屋・棚)で捉えることで、単一のアプリケーションでナビゲーションを実行することもできる。さらに、メッセージの拡張について特段の要請がないような用途においては、各階層に一切の定義(意味)を持たせず、全ての階層において共通するメッセージのみを使用してナビゲーションを実行するように構成することによって、システムの汎用性をより向上させることができる。
【0078】
次に、同一階層間の移動をナビゲートする場合について説明する。ここでは、上述した資料室で「生物学入門」の貸出を受けたユーザ10が、第1キャンパス1号棟3階の「西村研究室:識別子3」にその書籍を届けに行くものとする。以下、ユーザ10を「資料室」から「西村研究室」へと案内する手順について、図11および図12に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、同時に、図8を参照するものとする。図8(a)は、第1キャンパス1号棟8階を示し、図8(b)は、第1キャンパス1号棟3階を示す。
【0079】
ユーザ10は携帯電話を操作して、再び、「部屋探しアプリケーション」を起動し、目的地情報である「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]を任意の方法でセットする(ステップ101〜103)。
【0080】
ここで、ユーザ10は、「資料室」のドア前の壁に貼付されたバーコードhを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードhのデータを下記表9に示す。
【0081】
【表9】

【0082】
バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106〜109が実行され、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の値と表9に示すデータの階層情報部の値が先頭から順番に照合される。ここで、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の先頭から3番目(N=3)の値「X1=3」と表9に示すデータの階層情報部の先頭から3番目(N=3)の値「X2=8」が異なるので、ステップ107において、(X1≠X2)と判断され(S107,No)、丸囲み数字1が示すサブ処理のステップ201に進む。ステップ201においては、上記表9に示すデータの中の階層移動情報部に階層移動情報が有るか否かが判断される。この場合、上記表9に示すデータの中の階層移動情報部には「/LL」が格納されており、階層移動情報が記述されているので(S201,Yes)、ステップ203に進む。
【0083】
ステップ203においては、階層移動情報部の先頭からN番目の値「β」が抽出される。この場合、N=3であるので、上記表9に示すデータの中の階層移動情報部に格納された「/LL」の先頭から3番目の値「β」は「L」である。また、値「X1」が示す移動先の階層は、「X1=3=3階」であるので、これらの情報(3階、「L」)を統合して、例えば、「フロアーが違います。3階に移動するには左に進んでください。」といったメッセージを生成し携帯電話に表示する。その後、サブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を監視する。
【0084】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、廊下を左に移動し、壁に貼付されたバーコードiを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードiのデータを下記表10に示す。
【0085】
【表10】

【0086】
次に、上述したのと同様にステップ106〜109〜107、ならびに、図12に示すサブ処理(ステップ201、203)が実行される。ステップ203においては、階層移動情報部の先頭からN=3番目の値「β」が抽出される。この場合、上記表10に示すデータの中の階層移動情報部「/JJ」の先頭から3番目の値「β」は「J」である。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイに、例えば「フロアーが違います。3階に移動するには左前方に進んでください。」を表示してサブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を監視する。
【0087】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、角を左前方に移動し、エレベータ前に貼付されたバーコードjを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードjのデータを下記表11に示す。
【0088】
【表11】

【0089】
次に、上述したのと同様にステップ106〜109〜107、ならびに、図12に示すサブ処理(ステップ201、203)が実行される。ステップ203においては、階層移動情報部の先頭からN=3番目の値「β」が抽出される。この場合、上記表11に示すデータの中の階層移動情報部「/II」の先頭から3番目の値「β」は「I」である。ここで「I」は、「エレベータに乗る」という意味を表す符号である。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイに、「I」に基づいた案内、例えば「エレベータに乗って3階に移動して下さい」を表示してサブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を監視する。
【0090】
続いて、ユーザ10は、携帯電話の表示に従って、図8(b)に示す3階に降りたものとする。ユーザ10は、エレベータ前の壁に貼付されたバーコードkを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードkのデータを下記表12に示す。
【0091】
【表12】

【0092】
バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106〜109が実行され、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の値と表12に示すデータの階層情報部の値が先頭から順番に照合される。ここで、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の先頭から1〜3番目の値「X1」と表12に示すデータの階層情報部の先頭から1〜3番目の値「X2」は全て合致するので、照合を終了し(S108,Yes)、ステップ110に進む。ステップ110においては、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の先頭から「N+1」番目の値「Y」が抽出される。ここで、N+1=3+1=4
であるので、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の先頭から「4」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進む。
【0093】
ステップ111においては、上記表12に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α=L」であるので、「L」に基づいた案内、例えば「左に進んでください」を表示したのち、再び、バーコード・データの取得を待機する。
【0094】
ユーザ10は、先ほどの表示に従って、廊下を左に移動し、ドア前に貼付されたバーコードlを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードlのデータを下記表13に示す。
【0095】
【表13】

【0096】
次に、上述したのと同様にステップ106〜110が実行され、「西村研究室」の目的地コード[1.1.3.3]の先頭から「4」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進み、上記表13に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α」=「T」であるので、「T」に基づいた案内、例えば「この部屋です」を表示する。本実施形態のナビゲーションシステムによれば、上述した手順によって、ユーザ10を第1キャンパス1号棟8階の「資料室」から同じく3階の「西村研究室」まで案内することができる。
【0097】
次に、異なる階層間の移動をナビゲートする場合について説明する。ここでは、ユーザ10が、「西村研究室」から第1キャンパス3号棟6階の「スミス研究室」へ資料を届けるよう命じられたものとする。以下、本実施形態のナビゲーションシステムがユーザ10を第1キャンパス1号棟3階の「西村研究室」から、深さが異なる階層である「3号棟」へと案内する手順について、図11および図12に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、同時に、図9および図10を参照するものとする。図9(a)は、第1キャンパス1号棟3階を示し、図9(b)は、第1キャンパス1号棟1階を示し、図10は、第1キャンパス全体を示す。
【0098】
ユーザ10は携帯電話を操作して、「部屋探しアプリケーション」を起動し、目的地情報である「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]を任意の方法でセットする(ステップ101〜103)。
【0099】
ここで、「西村研究室」を出たユーザ10は、エレベータ前の壁に貼付されたバーコードk(上記表12)再びを見つけてこれを携帯電話で読み取る。バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106〜109が実行され、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の値と表12に示すデータの階層情報部の値が先頭から順番に照合される。ここで、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から2番目(N=2)の値「X1=3」と表12に示すデータの階層情報部の先頭から2番目(N=2)の値「X2=1」が異なるので、ステップ107において、(X1≠X2)と判断され(S107,No)、丸囲み数字1が示すサブ処理のステップ201に進む。
【0100】
ステップ201においては、上記表12に示すデータの中の階層移動情報部に「/II」が格納されていることが判断された後(S201,Yes)、ステップ203に進み、階層移動情報部の先頭からN(=2)番目の値「β」=「I」が抽出される。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイに、例えば「棟が違います。3号棟に移動するにはエレベータに乗ってください。」を表示してサブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を待機する。
【0101】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、エレベータに乗って1階で降り、図9(b)に示すように、エレベータ前の壁に貼付されたバーコードmを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードmのデータを下記表14に示す。
【0102】
【表14】

【0103】
次に、上述したのと同様にステップ106〜109〜107、ならびに、図12に示すサブ処理(ステップ201、203)が実行される。ステップ203においては、階層移動情報部の先頭からN=2番目の値「β」が抽出される。この場合、上記表14に示すデータの中の階層移動情報部に格納された「/LB」の先頭から2番目の値「β」は「L」であるので、「L」に基づいた案内、例えば「棟が違います。3号棟に移動するには左に進んでください。」を表示してサブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を待機する。
【0104】
次に、ユーザ10は、先ほどの表示に従って、廊下を左に移動し、廊下の壁に貼付されたバーコードnを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードnのデータを下記表15に示す。
【0105】
【表15】

【0106】
次に、上述したのと同様にステップ106〜109〜107、ならびに、図12に示すサブ処理(ステップ201、203)が実行される。ステップ203においては、階層移動情報部の先頭からN=2番目の値「β」が抽出される。この場合、上記表15に示すデータの中の階層移動情報部に格納された「/RB」の先頭から2番目の値「β」は「R」であるので、「R」に基づいた案内、例えば「棟が違います。3号棟に移動するには右に進んでください」を表示してサブ処理を終了し、メイン処理に戻って、再び、バーコード・データの取得を待機する。
【0107】
ユーザ10は、先ほどの表示に従って、廊下を右に進むと出入口に到着し、ここから1号棟の外に出る。1号棟を出たユーザ10は、1号棟の玄関の壁に貼付されたバーコードoを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードoのデータを下記表16に示す。
【0108】
【表16】

【0109】
バーコードから新規データを取得すると(S104,Yes)、ステップ106〜109が実行され、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の値と表16に示すデータの階層情報部の値が先頭から順番に照合される。ここで、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6] の先頭から1番目の値「X1」と表16に示すデータの階層情報部の先頭から13番目の値「X2」は合致するので、照合を終了し(S108,Yes)、ステップ110に進む。ステップ110においては、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から「N+1」番目の値「Y」が抽出される。ここで、N+1=1+1=2 であるので、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から「2」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進む。
【0110】
ステップ111においては、上記表12に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α=R」が抽出され、「R」に基づいた案内、例えば「右に進んでください」を表示した後、再び、バーコード・データの取得を待機する。
【0111】
ユーザ10は、先ほどの表示に従って、遊歩道を右に移動し、バーコードpを見つけてこれを携帯電話で読み取る。屋外においては、例えば、看板等を立設しこれにバーコードを貼付することができる。取得されたバーコードpのデータを下記表17に示す。
【0112】
【表17】

【0113】
次に、上述したのと同様にステップ106〜110が実行され、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から「2」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進み、上記表8に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α=L」が抽出され、「L」に基づいた案内、例えば「左に進んでください」が表示される。
【0114】
ユーザ10は、「左に進んでください」という表示に従って、遊歩道を左に移動し、遊歩道に立設された看板に貼付されたバーコードqを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードqのデータを下記表18に示す。
【0115】
【表18】

【0116】
次に、上述したのと同様にステップ106〜110が実行され、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から「2」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進み、上記表18に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α=B」が抽出され、「B」に基づいた案内、例えば「後ろに進んでください」が表示される。
【0117】
ユーザ10は、「後ろに進んでください」という表示に従って、遊歩道を後ろに移動し3号棟の玄関に貼付されたバーコードrを見つけてこれを携帯電話で読み取る。取得されたバーコードrのデータを下記表19に示す。
【0118】
【表19】

【0119】
次に、上述したのと同様にステップ106〜110が実行され、「スミス研究室」の目的地コード[1.3.6.6]の先頭から「2」番目の値「Y=3」が抽出されてステップ111に進み、上記表19に示すデータの進行方向情報部の先頭から「Y=3」番目の値「α=T」が抽出される。したがって、ユーザ10の携帯電話のディスプレイには、「T」に基づいた案内、例えば「この棟です」が表示される。この表示を受けたユーザは3号棟に入る。その後は、ユーザ10が屋内に貼付されたバーコードを適宜読み取ることによって、適切な進行方向が表示されることは、既に上述した通りであるのでこれ以上の説明は省略する。本実施形態のナビゲーションシステムによれば、上述した手順によって、ユーザ10を第1キャンパス1号棟の部屋から別棟(3号棟)の部屋まで案内することができる。
【0120】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。例えば、本発明における記録媒体として、上述したバーコードに代えてICタグを採用し、移動情報端末としてICタグリーダ機能付きの携帯電話を採用することもできる。この場合、ICタグは、提示する進行方向をユーザに対する相対方向として定義し得るように、通信距離の短いパッシブ型のものを採用することが好ましいであろう。また、記録媒体であるバーコードを蓄光性夜光塗料を使用して印刷すれば、例えば、夜間停電時や地下街の停電時などに、本発明のナビゲーションシステムの有効性がさらに発揮されるであろう。なお、実際の運用に際しては、記録媒体の配置位置に、適宜必要な表記を自然言語(絵文字や記号を含む)で併記してもよい。
【0121】
また、上述した実施形態においては、人間をナビゲートする態様についてのみ示したが、本発明のナビゲートシステムは、図13に例示するように、人工的な移動体60のナビゲーションに適用することも可能である。図13に示す実施形態においては、移動体60の側面にバーコードリーダ62が固設されており、バーコード12を読み取る際、通路の壁14に対して移動体60の側面が向かい合うことが前提条件となる。したがって、本実施形態においては、移動体60の進行方向が壁14に対して側面で向かい合った状態の移動体60に対する相対方向として定義されている。すなわち、バーコード12には、目的地Xに対応する進行方向情報として「前」が記録されており、当該進行方向情報「前」に基づいて、移動体60に搭載されたコンピュータ64(本発明における移動情報端末に相当)が移動体60の駆動部を制御して前進させる。その他、当業者が推考しうる実施態様は、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上、説明したように、本発明によれば、GPSなどの位置測定手段や地図サーバを用いることなく、携帯電話に代表される汎用端末に対して簡易に実装することが可能な汎用性の高いナビゲーションシステムが提供される。本発明によれば、ユーザの現在位置を精度よく取得することができるので、屋内を高精度にナビゲーションするような用途に適用することが可能になる。また、本発明においては、移動情報端末側に地図情報を搭載させる必要がなく、単に上記記録媒体の配置範囲を拡大するだけで、移動情報端末側に何らの変更を加えることなく案内空間を拡大することができ、また、移動情報端末側に単純なアプリケーションを搭載させるだけで非常に簡易に実装することができるため、広汎な応用展開が期待できる。
【符号の説明】
【0123】
10…ユーザ、12…バーコード、14…壁、16…携帯電話、18…ディスプレイ、20…目的地、30…仮想経路、50…カウンタ、52…書籍検索コンピュータ、60…移動体、62…バーコードリーダ、64…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内空間内の各所に配置された記録媒体と、移動情報端末とを含むナビゲーションシステムであって、
前記記録媒体には、
前記案内空間内に存在する目的地と、該記録媒体の配置位置から各目的地に至る予め定められた仮想経路上の進行方向を内容とする進行方向情報とが関連付けて記録され、該進行方向は相対方向として記述され、
前記移動情報端末は、
前記記録媒体から情報を読み取るための手段と、
読み取った情報の中から、予め入力された目的地に対応する前記進行方向情報を抽出し、該進行方向情報に基づいた案内を提示する手段と
を含む、ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記案内空間が階層化され、前記記録媒体には、配置される階層を示す階層情報と、該階層に存在する目的地に関連付けられた前記進行方向情報とが記録され、
前記移動情報端末は、前記記録媒体から読み取った前記階層情報に基づいて、該記録媒体が配置される階層に予め入力された目的地が存在するか否かを判断し、存在しない場合には、該目的地が属する階層への移動を指示する案内を提示する手段を備える、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記記録媒体には、該記録媒体の配置位置から階層の出口に至る予め定められた仮想経路上の進行方向を内容とする階層移動情報がさらに記録され、
前記移動情報端末は、前記記録媒体から読み取った前記階層情報に基づいて、該記録媒体が配置される階層に予め入力された目的地が存在するか否かを判断し、存在しない場合には、前記階層移動情報を抽出し、該階層移動情報に基づいた案内を提示する手段をさらに備える、
請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記記録媒体に記録される情報は、階層情報部と進行方向情報部とを含んで構成され、
前記階層情報部には、前記記録媒体が配置されている階層およびその上位階層の識別子が上位順に記述され、
階層に存在する各目的地には識別子として整数が昇順で付与され、前記進行方向情報部には、前記記録媒体が配置されている階層に存在する目的地毎に対応付けられた前記進行方向情報が該目的地の識別子である整数の昇順に記述されており、
前記移動情報端末は、
目的地が存在する階層およびその上位に位置する全ての階層の識別子が上位順に記述され、その末尾に該目的地の識別子である整数nが記述されてなる目的地情報の入力を受付ける手段と、
入力された前記目的地情報と前記階層情報部とを照合して前記記録媒体が配置される階層に入力された前記目的地情報に対応する目的地が存在するか否かを判断し、該目的地が存在する場合には、前記進行方向情報部の先頭から前記整数n番目に記述された前記進行方向情報を抽出する手段とを含む、
請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記記録媒体に記録される情報は、階層の上位順に前記階層移動情報が記述された階層移動情報部を含んで構成され、
前記移動情報端末は、前記記録媒体が配置される階層に入力された前記目的地情報に対応する目的地が存在しない場合には、前記階層移動情報部から移動先の階層に対応する前記階層移動情報を抽出する手段を含む、
請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
目的地に配置される前記記録媒体には、該目的地と到着した旨を内容とする情報とが関連付けて記録され、
前記移動情報端末は、
読み取った情報の中から、予め入力された目的地に対応する前記到着した旨を内容とする情報を抽出し、該到着した旨を内容とする情報に基づいた案内を提示する手段を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記記録媒体は、バーコードである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記記録媒体は、ICタグである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記移動情報端末は、バーコードリーダ機能付き携帯電話である、
請求項7に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記移動情報端末は、ICタグリーダ機能付き携帯電話である、
請求項8に記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−122967(P2011−122967A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281662(P2009−281662)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(391022614)学校法人幾徳学園 (19)
【Fターム(参考)】