説明

ナビゲーションプログラム、プログラム記憶媒体、ナビゲーション装置、及び携帯端末

【課題】ナビゲーション機能を有しつつ、ユーザの地図認識感覚の向上を目的とするナビゲーションプログラム、プログラム記憶媒体、ナビゲーション装置、及び携帯端末を提供すること。
【解決手段】ナビゲーションプログラムは、コンピュータ(1)を、目的地の入力に伴い、出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段(11)と、実際の移動ルートと前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段(13)と、前記ルート差異算出手段により算出された差異に応じて、得点を付与する得点付与手段(16)と、して機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの地図認識感覚の向上が可能なナビゲーションプログラム、プログラム記憶媒体、ナビゲーション装置、及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによって設定された目的地までの推奨経路を算出し、その推奨経路に従って走行するために、ドライバにとって必要な案内情報を報知する機能を備えたナビゲーション装置が提案されている。その中で、遠回りの度合いを算出し、許容度を超えた経路への侵入を回避させる報知を行うナビゲーション装置が示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−271231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、ナビゲーション装置はドライバの補助を行う目的で機能強化されており、ドライバが地図を見なくても目的地に着くことを基本機能としている。よって、ナビゲーション装置を用いることにより、ドライバは楽に目的地に到着できる。しかし、これらの機能を使い続ける弊害として、地図を見たり、道を覚えたりするというドライバの地図認識感覚を低下させてしまう。
【0004】
そこで、本発明は、ナビゲーション機能を有しつつ、ユーザの地図認識感覚の向上を目的とするナビゲーションプログラム、プログラム記憶媒体、ナビゲーション装置、及び携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、コンピュータ(1)を、目的地の入力に伴い、出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段(11)と、実際の移動ルートと前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段(13)と、前記ルート差異算出手段により算出された差異に応じて、得点を付与する得点付与手段(16)と、して機能させるためのナビゲーションプログラムである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記得点付与手段(16)を、前記ルート差異算出手段(13)により算出されたルートに関する差異の度合いがより小さいものについて、より高い得点を付与するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記コンピュータ(1)を、前記推奨ルート検索手段(11)により検索された推奨ルートを用いて到着予定時刻を算出する予定時刻算出手段(12)として機能させ、前記ルート差異算出手段(13)を、実際の到着時刻と前記予定時刻算出手段により算出された到着予定時刻との差異を算出するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記得点付与手段(16)を、前記ルート差異算出手段(13)により算出された時刻に関する差異の度合いがより小さいものについて、より高い得点を付与するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
【0008】
請求項5の発明は、コンピュータ(1)を、目的地の入力に伴い、出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段(11)と、実際の移動ルートと前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段(13)と、前記ルート差異算出手段により算出された差異の度合いがより大きいものについて、より警告度の高い警告を出力する警告出力手段(15)と、して機能させるためのナビゲーションプログラムである。
【0009】
請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記コンピュータ(1)を、前記推奨ルート検索手段(11)により検索された推奨ルートを用いて到着予定時刻を算出する予定時刻算出手段(12)として機能させ、移動途中の場合には、前記推奨ルート検索手段を、現在地から目的地までの修正推奨ルートを検索するように機能させ、前記ルート差異算出手段(13)を、前記修正推奨ルートに基づき前記予定時刻算出手段により算出される到着予定時刻と、前記推奨ルートに基づき前記予定時刻算出手段により算出された到着予定時刻との差異を算出するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記コンピュータ(1)を、前記実際の移動ルートを記憶する記憶手段(5)として機能させ、前記推奨ルート検索手段(11)を、前記記憶手段(5)に記憶された前記実際の移動ルートを前記推奨ルートとするように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラムである。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかに記載のナビゲーションプログラムにおいて、前記コンピュータ(1)を、前記推奨ルート検索手段(11)により検索された推奨ルートを案内するか否かを切り替える出力切替手段(14)として機能させるためのナビゲーションプログラムである。
【0010】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムを記憶したプログラム記憶媒体(5)である。
【0011】
請求項10の発明は、請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムが記憶された記憶部(5)と、前記ナビゲーションプログラムを実行する制御部(10)と、を備えるナビゲーション装置(1)である。
【0012】
請求項11の発明は、請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムが記憶された記憶部(5)と、前記ナビゲーションプログラムを実行する制御部(10)と、を備える携帯端末(100)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、入力された出発地から目的地までの推奨ルートを検索し、実際の移動ルートと推奨ルートとの差異を算出し、差異に応じて得点を付与するので、差異を得点という客観的な基準で示すことができる。また、出発地から目的地までの推奨ルートとの差異を、ユーザが認識することができる。よって、得点という客観的判断要素により、ユーザの一連の移動に対してゲーム性を持たせることができ、ユーザには、高得点を狙おうとする心理が働く。そのため、ユーザは、高得点を得るために推奨ルートをしっかりと認識してから移動するようになるので、ユーザの本機能の使用に対するモチベーションが向上し、地図認識感覚の向上に貢献する。
【0014】
(2)本発明は、ルート関する差異の度合いがより小さいものについてより高い得点を付与するので、ユーザには、より高得点を狙って推奨ルートと全く同じルートを移動して差異の度合いを小さくしようとする心理が働く。よって、ユーザは、推奨ルートをしっかりと認識してから移動するようになるので、ユーザの地図認識感覚の向上に貢献する。
【0015】
(3)本発明は、推奨ルートによる到着予定時刻を算出し、実際の到着時刻と到着予定時刻との差異を算出するので、ユーザは、到着予定時刻と、実際の到着時刻との両方を知ることができる。また、到着予定時刻と、実際の到着時刻との差異により、ルートの差異を認識することができる。さらに、時刻に関する差異の度合いがより小さいものについてより高い得点を付与するので、ユーザには、より高得点を狙って推奨ルートと全く同じルートを移動して時刻に関する差異の度合いを小さくしようとする心理が働く。よって、ユーザは、推奨ルートをしっかりと認識してから移動するようになるので、ユーザの地図認識感覚や時間感覚の向上に貢献する。
【0016】
(4)本発明は、入力された出発地から目的地までの推奨ルートを検索し、実際の移動ルートと推奨ルートとの差異を算出し、差異に応じて警告を出力する。そして、差異の度合いが大きいものについて、より警告度の高い警告を出力するので、例えば、文字や音声により出力された警告から、ユーザは、差異が発生していること、及び差異の度合いを知ることができる。また、警告が出力された場合には、ユーザが警告の指示に従うことにより、設定した時刻までに目的地に着くことを補助するので、ユーザが道に迷う等の問題を発生させるのを防ぐことができ、ユーザに安心感を与えることができる。さらに、ユーザには、警告を出力させずに移動しようとする心理が働き、事前に推奨ルートをしっかりと認識してから移動するようになるので、ユーザの本機能の使用に対するモチベーションが向上し、地図認識感覚の向上に貢献する。
【0017】
(5)本発明は、実際の移動ルートを記憶するので、移動に関する履歴を蓄積することができる。また、蓄積されたデータを、例えば、曜日や時間別の渋滞度合い等の分析等に用いることができる。さらに、以前移動したルートと同一のルートを移動する際に、以前のルートとの差異が明らかとなり、ユーザの地図認識力が向上をしたか否かの評価に用いることができる。さらにまた、記憶された実際の移動ルートを推奨ルートとするので、例えば、以前移動したある店舗までルートが、お気に入りのルートとなった場合のように、繰り返し同じルートを移動する際に、過去の移動ルートと同一のルートを推奨ルートとすることで、ユーザに地図認識を定着させる補助的な役割を果たすことができる。
【0018】
(6)本発明は、推奨ルートを案内するか否かを切り替えるので、推奨ルートを案内しないことにより、ユーザ自身の方向感覚や距離感を頼りに移動することができる。よって、ユーザの地図認識感覚や時間感覚を向上することができる。
【0019】
(7)本発明は、ナビゲーションプログラムを記憶したプログラム記憶媒体として提供できるので、様々なコンピュータに本機能を取り込むことができる。また、本機能を実現する自動車等のナビゲーション装置や、携帯電話機等の携帯端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、ナビゲーション機能を有しつつ、ユーザの地図認識感覚の向上を目的とするナビゲーションプログラム、プログラム記憶媒体、ナビゲーション装置、及び携帯端末を提供するという目的を、ナビゲーションプログラムが、コンピュータを、目的地の入力に伴い出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段と、実際の移動ルートと検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段と、算出された差異に応じて得点を付与する得点付与手段と、して機能させることによって実現した。
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
図1は、第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置1の機能を示す機能ブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御部10、入力部2、位置検出部3、出力部4、及び記憶部5を有する。
ナビゲーション装置1は、例えば、ユーザである自動車のドライバが視認可能な、かつ、運転の邪魔とならない車内の所定の位置に設置された、地図認識感覚の向上のための装置である。
【0022】
制御部10は、情報の演算、処理を行う情報演算処理装置であり、当該ナビゲーション装置1全体の制御を行う。制御部10は、記憶部5に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
また、制御部10は、推奨ルート検索手段11、予定時刻算出手段12、ルート差異算出手段13、出力切替手段14、警告出力手段15、及び得点付与手段16を有する。各機能の詳細については、後述するフローチャートで適宜説明する。
【0023】
入力部2は、ユーザの操作により入力を行う操作部であり、例えば、液晶ディスプレイ上に設けられたタッチパネルや、液晶ディスプレイの周囲に配置された操作ボタン、さらには、赤外線通信等によりナビゲーション装置1と通信する、ナビゲーション装置1と別体のリモコン等を用いた操作を含んでよい。
位置検出部3は、例えば、人工衛星を利用して、受信機が地球上のどこにあるのかを正確に割り出すGPS(Global Positioning System)を利用したものである。GPSは、人工衛星が発信する電波を利用することで、受信機であるナビゲーション装置1の緯度・経度・高度等を数cmから数十mの誤差で割り出すことができる。
出力部4は、例えば、地図等の画像データを出力する液晶ディスプレイ等であり、音声出力するスピーカを備えてもよい。
【0024】
記憶部5は、ナビゲーションプログラム等のアプリケーションを動作させるためのプログラム、各種データベース、及び各種のパラメータ等を記憶している。記憶部5は、無線等の通信インタフェース(図示せず)を介してネットワーク上に有するプログラムをダウンロードし、記憶するローカルディスクでもよいし、プログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体でもよい。コンピュータ可読媒体としては、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。記憶部5は、地図データベース51及び履歴データベース52を有する。この各データベースの用途については、後述するフローチャートで適宜説明する。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、ナビゲーション装置1は、記憶部5、制御部10等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0025】
図2は、第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置1の表示画面を示す図である。ナビゲーション装置1は、液晶ディスプレイ41と、その下方にスピーカ42とを備える。液晶ディスプレイ41は、タッチパネルの機能を有し、液晶ディスプレイ41上の所定の位置をユーザが指で選択することで、選択した場所に関連付けられた機能を実行する。スピーカ42は、ユーザの位置や、目的地への到着予定時刻に応じて、適宜音声によって案内する。
【0026】
図2に示す例は、ユーザが、出発地、目的地及び到着時刻を設定した際に表示される画面である。液晶ディスプレイ41には、右方の上部から下部に向かって順番に、出発地変更ボタン60、目的地変更ボタン61、時刻変更ボタン62、及び地図表示ボタン63が表示されている。ユーザが、所定の機能の名称が表示されるボタン位置を指でタッチ等することにより、ボタン位置に該当する機能が選択され、当該機能に関する画面が液晶ディスプレイ41に表示される。例えば、目的地を変更したい場合には、目的地変更ボタン61が表示される位置をユーザが選択することで、目的地を指定する画面に遷移する。また、地図表示ボタン63の位置を選択することで、後述の図3(a)に示す地図表示画面に遷移する。
【0027】
図3は、第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置1の画面例を示す。
図3(a)は、出発地、目的地、及び到着時刻の設定に基づき算出された推奨する道順である推奨ルート66を示す図である。液晶ディスプレイ41には、出発地64、目的地65、推奨ルート66、及び到着予定時刻67が表示されている。推奨ルート66は点線で示されている。また、より詳細な拡大地図を表示する詳細ボタン68、及びより広い範囲の地図を表示する広域ボタン69を備えてもよい。この画面を用いて、ユーザは、出発地64から目的地65までの道順を覚えるのである。
図3(b)は、ユーザが実際に移動している際の画面を示す図である。液晶ディスプレイ41は、電源は入っているが何も表示していない。この例のように、ユーザの地図認識感覚の向上のために、移動開始後は、液晶ディスプレイ41には何も表示されない。すなわち、推奨ルートを案内しない。しかし、例えば、図3(a)に示す到着予定時刻67を表示してもよい。
【0028】
図3(c)は、警告を発している画面を示す図である。この場面は、実際に移動している通過ルート(移動ルート)が推奨ルートを外れて、到着予定時刻までに到着できない場合であり、液晶ディスプレイ41に警告画面70を表示し、スピーカ42からは、警告音や音声等のルートを外れている旨の案内情報を出力している。また、画面右下には地図表示ボタン63が表示される。ユーザが、地図表示ボタン63の位置を選択することで、現時点までの移動の軌跡と、現時点から目的地65までの推奨ルート66とを示す地図(図3(d))を表示する。
図3(d)は、移動途中で表示する画面を示す図である。液晶ディスプレイ41には、出発地64、目的地65の他、移動軌跡71及び現時点からの修正推奨ルート72が表示される。移動軌跡71及び修正推奨ルート72は異なる点線で示されている。なお、図3(d)のように、例えば、現在地(現地点)を分かりやすくするために旗の印を付してもよい。
【0029】
図3(e)は、目的地へ到着後に表示される画面を示す図である。液晶ディスプレイ41には、到着時刻73、出発地64、目的地65、推奨ルート66、及び通過ルート74が表示される。推奨ルート66と実際の通過ルート74とは、異なる点線で示されており、この画面で、ユーザがルート上の差異をa見ることができる。また、液晶ディスプレイ41の右下方には、得点表示ボタン75が表示される。この得点表示ボタン75の表示位置をユーザが選択することで、図3(f)に示される画面が表示される。
図3(f)は、得点表示された画面を示す図である。液晶ディスプレイ41は、得点表示画面76に、実際の移動にかかった「あなたの所要時間」、推奨ルートを標準速度で走行した場合の「推奨ルートによる所要時間」、実際に移動した「あなたの走行距離」、及び推奨ルートを移動した場合の「推奨ルートの走行距離」を表示する。なお、通過ルートと推奨ルートとの差異として、時間と距離とによる差異を表示してもよい。また、ルート及び時間の差異により算出した得点が、「あなたの今回の得点」として得点表示画面76に表示される。
【0030】
図4は、第1実施形態の一例に係るメイン処理のフローチャートを示す。
まず、ステップS1において、制御部10は、推奨ルート検索処理を行う。
ここで、推奨ルート検索処理について、図5を用いて説明する。
まず、図5のステップS11において、制御部10は、出発地を把握する。出発地の把握は、位置検出部3を用いて現在地を出発地と把握してもよいし、例えば、上述の図2で示す画面により入力される情報により把握してもよい。
その後、ステップS12で、制御部10は、目的地及び到着時刻の入力を受け付ける。目的地及び到着時刻の入力は、例えば、上述の図2で示す画面を用いて行う。
【0031】
その後、ステップS13で、制御部10(推奨ルート検索手段11)は、推奨ルートを検索し、到着予定時刻を算出する。この推奨ルートは、例えば、記憶部5に記憶された地図データベース51に基づいて、出発地から目的地までの最短のルートが算出される。高速道路の使用有無等をユーザに選択させてもよい。その他、過去の履歴が記憶された履歴データベース52を用いてもよい。その場合は、過去の実際の通過ルートを推奨ルートとする。このような設定は、例えば、以前移動したある店舗までルートが、お気に入りのルートとなり、そのお気に入りのルートを繰り返し移動したい場合に有効である。実際の通過ルートを新たに推奨ルートに設定することで、ユーザに地図認識を定着させる補助的な役割を果たすことができる。
【0032】
その後、ステップS14において、制御部10は、予定時刻算出手段12により目的地までの到着時刻を算出し、入力した到着時刻までに目的地に到着可能か否かを判断する。入力した到着時刻までに目的地に到着可能と判断される場合(ステップS14の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS16に移す。他方、入力した到着時刻までに目的地に到着不可と判断される場合(ステップS14の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS15に移す。
【0033】
ステップS15では、制御部10は、到着時刻の入力を再度受け付ける。具体的には、液晶ディスプレイ41に、到着時刻までに到着できるルートが存在しない旨を表示し、その後、到着時刻を修正可能な上述の図2に示す画面を表示する。そして、再度ユーザに到着可能な到着時刻の入力の設定を促す。その後、制御部10は、処理をステップS13に移す。
他方、ステップS16では、制御部10は、推奨ルートを記憶部5に記憶させる。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0034】
図4に戻って、制御部10は、ステップS2において、ナビゲーション起動処理を行う。ナビゲーション起動処理の詳細を、図6に基づき説明する。
図6のステップS21において、制御部10は、上述の図5のステップS16で記憶部5に記憶された推奨ルートを出力部4に出力する。具体的には、制御部10は、記憶部5に記憶された推奨ルートを、地図データベース51に記憶された地図上に表示するように制御し、液晶ディスプレイ41上に表示させる。
【0035】
その後、ステップS22で、制御部10は、ナビゲーションの起動を受け付けたか否かを判断する。ここで、ナビゲーションの起動とは、例えば、液晶ディスプレイ41の地図の表示を非表示にする選択をユーザが行ったり、移動を開始したことを位置検出部3が識別したりして、実際の移動の開始を受け付けることをいう。ナビゲーションの起動を受け付けた場合(ステップS22の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS23に移す。他方、ナビゲーションの起動を受け付けていない場合(ステップS22の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、引続きステップS22の処理を行い、ナビゲーションの起動を受け付けるのを待つ。
ステップS23では、制御部10は、液晶ディスプレイ41上の推奨ルートの表示を消す制御を行う。本処理により、推奨ルートの表示が行われなくなる。なお、後述するが、制御部10は、推奨ルートの表示を行わない場合でも、警告は行う。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0036】
図4に戻って、制御部10は、ステップS3において、差異算出処理を行う。差異算出処理を、図7に基づき説明する。
図7のステップS31において、制御部10は、推奨ルート検索手段11により、現在地から目的地への推奨ルート(修正推奨ルート)を更新し、予定時刻算出手段12により、現在地から目的地までの到着時刻を算出する。ここで、現在地は、位置検出部3により検出された位置データに基づき把握できる。また、制御部10により、修正推奨ルートは逐次更新される。
次に、ステップS32で、制御部10は(ルート差異算出手段13)、入力した到着時刻までに目的地に到着可能か否かを判断する。入力した到着時刻までに目的地に到着可能と判断する場合(ステップS32の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS34に移す。他方、入力した到着時刻までに目的地に到着不可と判断する場合(ステップS32の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS33に移す。
【0037】
ステップS33では、制御部10(警告出力手段15)は、出力部4に警告を出力する。制御部10により、警告を、例えば、上述の図3(c)に示すような画面を液晶ディスプレイ41に表示し、音声によりスピーカ42から案内する。この警告を、差異の度合いに応じて変化させる。例えば、図8のような警告レベルテーブル55を記憶部5に用意し、推奨ルートとの距離の差や、時間の差等の差異の度合いに応じて、制御部10が該当するレベルの警告を出力する。警告度が高いとは、図8の例では、表示される文字の色が赤であったり、音声によって案内される内容が緊迫感を表すものであったり、音量が大きかったりすることを示す。このように、制御部10は、推奨ルートの案内情報を停止していても、推奨ルートから外れた場合には、警告を出力することができる。
【0038】
その後、ステップS34では、制御部10(出力切替手段14)は、表示切替の入力を受け付けたか否かを判断する。表示切替の入力を受け付ける場合は、例えば、上述の図3(c)の画面で、地図表示ボタン63の表示位置が選択されたか否かにより判断される。表示切替の入力を受け付けた場合(ステップS34の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS35に移す。他方、表示切替の入力を受け付けていない場合(ステップS34の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、本処理を終了する。
【0039】
ステップS35では、制御部10は、推奨ルート検索手段11により、現在地からの目的地への推奨ルート(修正推奨ルート)を検索し、出力部4に所定の時間出力する。この警告を受けて、ユーザが、所定の時間表示される地図を見ることにより、道に迷うことを防ぐことができる。
その後、ステップS36では、制御部10は、所定の時間が到来したか否かを判断する。所定の時間が到来した場合(ステップS36の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS37に移す。他方、所定の時間が到来していない場合(ステップS36の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、所定の時間が到来するのを待つ。
【0040】
ステップS37では、制御部10は、推奨ルートの表示を消し、本処理を終了する。
なお、本処理では、所定の時間が到来したことで推奨ルートの表示を消すこととしているが、例えば、移動を開始したことを制御部10が検出することで消すこととしてもよいし、地図を画面から消すボタンを液晶ディスプレイ41上に設けてユーザに選択させてもよい。
【0041】
図4に戻って、制御部10は、ステップS4において、目的地に到着したか否かを判断する。目的地に到着した場合(ステップS4の処理でYESが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS5に移す。他方、目的地に到着していない場合(ステップS4の処理でNOが判断される場合)には、制御部10は、処理をステップS3に戻し、差異算出処理を行う。
ステップS5では、制御部10は、評価処理を行う。この評価処理については、図9で説明する。
【0042】
図9のステップS51において、制御部10は、実際に移動した通過ルートを表示する。
その後、ステップS52で、制御部10は、当初の推奨ルートとの差異を表示する。例えば、上述の図3(e)に示すように、通過ルートと推奨ルートとを同時に示した画面を、液晶ディスプレイ41に表示してもよい。
【0043】
その後、ステップS53では、制御部10(ルート差異算出手段13、得点付与手段16)は、点数付けを行う。得点付与手段16による点数付けは、ルート差異算出手段13により算出される推奨ルートとの距離の差、ルートの外れ具合、時間の差等の差異の度合いに基づいて行われ、例えば、100点を満点として計算される。この点数付けは、差異の度合いが小さいほど、制御部10により高得点が付与される。
その後、ステップS54では、制御部10は、計算された得点を表示する。例えば、上述の図3(f)に示す画面を液晶ディスプレイ41に表示する。
【0044】
このように、本発明によれば、推奨ルートと実際の通過ルートとの差異の度合いを、得点という客観的な判断基準によりユーザに示すことができる。よって、ユーザには、得点アップの心理が働き、そのために地図を見る習慣を付けることができ、さらに繰り返し行うことで地図認識感覚や時間感覚の向上に貢献する。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、携帯端末100において、ナビゲーション機能を実現したものである。
なお、以下の説明及び図面において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0046】
図10は、第2実施形態の一例に係るナビゲーション装置の表示画面を示す図である。本実施形態のナビゲーション装置は、例えば、GPS機能を搭載した位置検出部3(図1参照)を備える携帯端末100であり、自動車等に設置されたナビゲーション装置と同様に実現できる。携帯端末100は、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末である。ディスプレイ141には、出発地164、目的地165、及び出発地164から目的地165までの推奨する道順である推奨ルート166が表示される。ユーザは、自動車等に設置されたナビゲーション装置の場合と同様に、まず、ディスプレイ141に表示された地図と地図上の推奨ルート166とを見て目的地165までのルートを覚え、その後、ユーザが覚えた地図の記憶を頼りに、目的地165まで移動する。なお、警告の出力は、携帯端末100の機能を生かし、例えば、バイブレーションによる報知であってもよい。
このように、本発明は、自動車等の乗物に関するナビゲーションに限らず、ユーザが携行する携帯端末100により実現ことができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0048】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態では、距離及び時間等による差異の度合いにより得点を付与している。しかし、これに限らず、距離又は時間の一方の差異の度合いによって得点を付与してもよい。また、自動車等の乗物の燃料消費量やユーザの歩数等の他の要素を用いて得点を付与してもよい。燃料消費量は、移動距離と標準的な燃料消費量とを用いて算出したり、実際の自動車の制御部と連携して燃料消費量のデータを受け取ることにより算出することができる。また、歩数は、例えば、歩数計機能を有するものにより、又は、歩幅を入力することにより用いることができる。そして、例えば、燃料消費量により得点を付与することにより、より燃料を消費しないで移動する契機となり、地球上への二酸化炭素の排出量や燃料の消費量を削減した移動をすることができる。また、ユーザに燃料消費を抑えた移動ができ、ユーザに得した気分を与えることができる。
(2)各実施形態では、推奨ルートを地図データベースや、履歴データベースに基づいて算出したが、渋滞情報等をVICS(Vehicle Information and Communication System)を利用して取得し、渋滞情報を加味して算出してもよい。また、推奨ルートは複数種類を表示して、その中からユーザに決定させるようにしてもよい。
(3)各実施形態では、距離及び時間等による差異の度合いにより警告の度合いを変化させている。しかし、これに限らず、距離又は時間の一方の差異の度合いによって警告の度合いを変化させてもよい。また、距離及び時間等に優先順位をつけて、優先順位を加味したうえで得点を付与してもよい。
(4)さらに、本発明のナビゲーションプログラムをDVD等の媒体に記憶することで、既存のナビゲーション装置にインストールすることができ、本機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図2】第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図3】第1実施形態の一例に係るナビゲーション装置の画面例を示す。
【図4】第1実施形態の一例に係るメイン処理のフローチャートを示す。
【図5】第1実施形態の一例に係る推奨ルート検索処理のフローチャートを示す。
【図6】第1実施形態の一例に係るナビゲーション起動処理のフローチャートを示す。
【図7】第1実施形態の一例に係る差異算出処理のフローチャートを示す。
【図8】第1実施形態の一例に係る警告レベルテーブルを示す図である。
【図9】第1実施形態の一例に係る評価処理のフローチャートを示す。
【図10】第2実施形態の一例に係るナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ナビゲーション装置
2 入力部
3 位置検出部
4 出力部
5 記憶部
10 制御部
11 推奨ルート検索手段
12 予定時刻算出手段
13 ルート差異算出手段
14 出力切替手段
15 警告出力手段
16 得点付与手段
41 液晶ディスプレイ
42 スピーカ
51 地図データベース
52 履歴データベース
55 警告レベルテーブル
100 携帯端末
141 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
目的地の入力に伴い、出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段と、
実際の移動ルートと前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段と、
前記ルート差異算出手段により算出された差異に応じて、得点を付与する得点付与手段と、して機能させるためのナビゲーションプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記得点付与手段を、前記ルート差異算出手段により算出されたルートに関する差異の度合いがより小さいものについて、より高い得点を付与するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートを用いて到着予定時刻を算出する予定時刻算出手段として機能させ、
前記ルート差異算出手段を、実際の到着時刻と前記予定時刻算出手段により算出された到着予定時刻との差異を算出するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記得点付与手段を、前記ルート差異算出手段により算出された時刻に関する差異の度合いがより小さいものについて、より高い得点を付与するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項5】
コンピュータを、
目的地の入力に伴い、出発地からの推奨ルートを検索する推奨ルート検索手段と、
実際の移動ルートと前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートとの差異を算出するルート差異算出手段と、
前記ルート差異算出手段により算出された差異の度合いがより大きいものについて、より警告度の高い警告を出力する警告出力手段と、して機能させるためのナビゲーションプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートを用いて到着予定時刻を算出する予定時刻算出手段として機能させ、
移動途中の場合には、前記推奨ルート検索手段を、現在地から目的地までの修正推奨ルートを検索するように機能させ、
前記ルート差異算出手段を、前記修正推奨ルートに基づき前記予定時刻算出手段により算出される到着予定時刻と、前記推奨ルートに基づき前記予定時刻算出手段により算出された到着予定時刻との差異を算出するように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記実際の移動ルートを記憶する記憶手段として機能させ、
前記推奨ルート検索手段を、前記記憶手段に記憶された前記実際の移動ルートを前記推奨ルートとするように機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のナビゲーションプログラムにおいて、
前記コンピュータを、前記推奨ルート検索手段により検索された推奨ルートを案内するか否かを切り替える出力切替手段として機能させるためのナビゲーションプログラム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムを記憶したプログラム記憶媒体。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムが記憶された記憶部と、
前記ナビゲーションプログラムを実行する制御部と、を備えるナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載のナビゲーションプログラムが記憶された記憶部と、
前記ナビゲーションプログラムを実行する制御部と、を備える携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−36702(P2009−36702A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202755(P2007−202755)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】