説明

ナビゲーション用の装置及び方法

本装置は、偏光フィルターセルのアレイであって、各セルが第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを備えた、アレイと;偏光フィルターのアレイ上に光を向ける光学システムと;それぞれ第一及び第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成する第一及び第二の光センサーとを備える。また、本方法は、偏光フィルターセルのアレイ上に光を向けるステップであって、各セルが第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを有する第二の偏光フィルターを有する、ステップと;それぞれ第一及び第二の光センサーによって第一及び第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成するステップと;データに基づいて偏光パターンを導出するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
太陽の運動に基づいた単純で正確な位置測定は、長い間、ナビゲーション機器の目標である。同様に、‘真北’の高速で信頼できる決定は、場合によってはGPSから利用可能であるが、工学、軍事、土地測量、空運、スポーツ及び海運にとって面倒で時間のかかる作業のままである。太陽放射及び大気条件の検出は、長い間、天気予報及びグリーンエネルギー産業の目標である。同様に、太陽放射及び大気粒子の高速で低コストの測定は、場合によっては例えばアクティブレーザー機器によって提供可能であるが、気候学及びグリーンエネルギー工学にとって高価で時間のかかる作業のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第4577414号明細書
【特許文献2】米国特許第3917408号明細書
【特許文献3】米国特許第5424535号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/025805号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、装置を提供し得て、本装置は、偏光フィルターセルのアレイを含み得て、各セルは、第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを含み得て、第二の偏光方向は第一の偏光方向とは異なる。第二の偏光方向は、第一の偏光方向に実質的に垂直であり得る。フィルターセルは同心リング状に配置され得る。
【0004】
本装置は、偏光フィルターのアレイ上に光を向ける光学システムと;第一の偏光フィルター介して受光した光からデータを生成する第一の光センサー及び第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成する第二の光センサーとを更に含み得る。第一の及び第二の光線センサーは、各偏光フィルターに並置された少なくとも一つの光センサーを有する光センサーのアレイとして備わり得る。
【0005】
一部実施形態によると、本装置は、データに基づいて偏光パターンを導出する処理ユニットを更に備え得る。処理ユニットは、第一の偏光フィルターを介して受光した光の強度と第二の偏光フィルターを介して受光した光の強度との間の差を測定することによって、偏光の強度及び方向のうち少なくとも一方を計算し、その計算に基づいて偏光パターンを導出するためのものであり得る。処理ユニットは、偏光パターンに基づいて天体の位置データ(例えば、天体の方位角及び仰角の少なくとも一方)を計算するためのものであり得る。処理ユニットは、天体の位置データに基づいてナビゲーションデータを計算するものであり得る。処理ユニットは、メモリーに記憶された相補的データに更に基づいてナビゲーションデータを計算し得る。
【0006】
本発明の一部実施形態に係る装置は、光学システムによって向けられた光から少なくとも一つの波長帯を分離する波長分離器を更に含み得る。装置の処理ユニットは、波長分離器によって分離された少なくとも一つの波長帯の偏光のパターンを計算し得る。波長分離器は、少なくとも一つのカラーフィルターの組に配置されたカラーフィルターのアレイを含み得て、各組はカラーフィルターに並置される。
【0007】
本発明の一部実施形態によると、本装置は、太陽経路テーブル、星座チャート、暦チャート、天体暦チャート、時間標準、天空光の偏光のチャート、真北、磁北及び方眼北の較正チャートを備えたリストのうち少なくとも一つの相補的データを記憶するメモリーを含み得る。
【0008】
更に、本発明の一部実施形態によると、本装置は、装置の傾きを検出する傾斜計を備え得る。
【0009】
また、本発明の実施形態は方法を提供し得て、本方法は、偏光フィルターセルのアレイ上に光を向けるステップを含み得て、各セルは、第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを含み得る。第二の偏光方向は第一の偏光方向に実質的に垂直である。
【0010】
本方法は、第一の光センサーによって第一の偏光フィルターを介し、第二の偏光センサーによって第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成するステップと;そのデータに基づいて偏光パターンを導出するステップとを更に含み得る。
【0011】
一部実施形態によると、本方法は、第一の偏光フィルターを介して受光した光の強度と第二の偏光フィルターを介して受光した光の強度との間の差を測定することによって偏光の強度及び方向のうち少なくとも一方を計算し、その計算に基づいて偏光パターンを生成するステップを更に含み得る。
【0012】
本発明の一部実施形態によると、本方法は、向けられた光から少なくとも一つの波長帯を分離するステップを更に含み得る。偏光のパターンの計算は、少なくとも一つの分離された波長帯におけるものであり得る。
【0013】
本発明の一部実施形態によると、本方法は、装置の傾斜を検出するステップを更に含み得る。
【0014】
本発明の一部実施形態によると、本方法は、偏光パターンに基づいて天体の位置データを計算するステップを更に含み得る。位置データは、天体の方位角及び仰角のうち少なくとも一方を含み得る。
【0015】
本発明の一部実施形態によると、本方法は、天体の位置データに基づいてナビゲーションデータを計算するステップを更に含み得る。本発明の一部実施形態では、ナビゲーションデータの計算は、メモリーに記憶された相補的データに更に基づいたものであり得る。
【0016】
本発明に関する主題は、明細書の結論部分に具体的に指摘されており、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、組織及び動作方法に関して、その対象、特徴、及び利点と共に、最も良く理解可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一部実施形態に係るナビゲーション用の装置の概略的な断面図である。
【図2】本発明の一部実施形態に係る例示的な偏光子の概略図である。
【図3】本発明の一部実施形態に係る偏向検出ユニット装置の部分的な概略図である。
【図4A】本発明の一部実施形態に係る処理ユニットによって導出可能な偏光パターンの概略図である。
【図4B】本発明の一部実施形態に係る処理ユニットによって導出可能な偏光パターンの概略図である。
【図5】本発明の一部実施形態に係るナビゲーション用の方法を示す概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明の簡略化及び明確性のため、図面に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれている訳ではない。例えば、一部要素の寸法は、明確性のため、他の要素と比較して誇張され得る。更に、適切な場合、参照符号は、対応する又は類似の要素を示すために複数の図面にわたって繰り返され得る。
【0019】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、そうした具体的な詳細がなくとも、本発明が実施可能であることを当業者は理解されたい。他の例では、本発明を曖昧にしないために、周知の方法、手順、構成要素は、詳細には説明されない。
【0020】
図1を参照すると、図1は、本発明の一部実施形態に係るナビゲーション用の装置10の概略的な断面図である。装置10は、光学システム110と、偏光子120と、光センサー220と、処理ユニット200とを含み得る。
【0021】
光学システム110は、偏光子120上に光を向ける及び/又は集束させる。光学システム110は、単一の又は複数の光学素子を含み得て、その光学素子として、例えば、レンズ、小型レンズアレイ、マイクロレンズ、ピンホール、光ファイバー、導波路、他の適切な光学素子が挙げられる。一部実施形態では、装置10は、光学ズーム、可動光学素子、及び/又は集束システムを更に含み得る。
【0022】
偏光子120は、偏光フィルターのアレイを含み得る(図2に示す)。偏光子120は、偏光子120の設計に従った方向に直線偏光している光成分を通過させ、実質的にすべての又は他の角度の偏光をブロックし得る。偏光子120を通過する偏光は、光センサー220上に反射され得る吸収光の偏光強度及び/又は方向のパターンを生成し得る。本明細書において、“パターン”との用語は、数値ベクトル、スケールマップ、又は“パターン”との用語の他の従来の意味を含み得るが、これらに限られるものではない。
【0023】
光学システム110が、天空光(skylight,つまり、太陽等の天体に起因する放射であって、地球に向けて大気によって反射及び/又は散乱された放射)、又は地物反射光(earthlight,つまり、地球から反射及び/又は散乱された天空光)を偏光子120上に向ける及び/又は集束すると、偏光のパターンは、装置10によってナビゲーションデータを得ることを可能にし得る。
【0024】
光センサー220は、例えばイメージセンサーを含み得る。光センサー220は、光学信号を電気信号に変換する光センサーセルのアレイを含み得て、例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)のアレイ、電荷結合素子(CCD,charge−coupled device)、相補型金属酸化物半導体(CMOS,complementary metal−oxide−semiconductor)、アクティブピクセルセンサー(APS)、又は他の適切な光センサー等が挙げられる。光センサー220は、データ(例えば、画像データや、受光した光に関する他のデータ)を生成して、そのデータを処理ユニット200に送信し得て、その処理ユニット200は、生成されたデータに基づいて、データを記録、分析、処理、記憶、圧縮、送信、再構築、変換、及び/又は導出し得る。一部実施形態では、生成されたデータが画像を含まず、例えば、光強度、偏光強度の方向、又は画像を生成するのには不十分な限定された情報に限定され得る。
【0025】
例えば、偏光子120は、対応する二つの異なる偏光方向(例えば、互いに実質的に垂直、又は他の識別可能な角度)を有する二種以上の偏光フィルター(図3に示されるようなもの等)を含み得る。偏光子120を通過する偏光は、光センサー220上に投影される光の偏光強度及び/又は方向のパターンを生成し得る。光センサー220によって生成されるデータに基づいて、処理ユニット200は、光センサー220上の異なる領域によって吸収される偏光の偏光方向及び/又は強度を計算し得る。例えば、処理ユニット200は、光センサー220上の二つ以上の異なる領域の各々によって二つの異なる種類の偏光フィルターを介して受光された光の強度間の差を測定して、例えば偏光パターンを導出することによって、偏光の方向及び/又は強度を計算し得る。偏光パターンに基づいて、処理ユニット200は、例えば、時間、真北、位置、方向、及び/又は他の有用なデータ等のナビゲーションデータを得ることができる。処理ユニット200は、例えば、一つ以上の導出された偏光パターンに基づいて、例えば、太陽、星、又は月等の天体の位置を決定することによって、ナビゲーションデータを得ることができる。
【0026】
一部実施形態では、光学システム110が偏光子120上に天空光を向ける及び/又は集束させるように、装置10を向け得る。装置10は、例えば、腕時計、ヘルメット、サングラス、携帯型デバイス、車両、マッピング及び/又は測量設備、通信及び/又は時間管理ハードウェア、又は他の適切なプラットフォーム等の方向付け可能なプラットフォームに設置され得る。例えば、偏光子120上に天空の全景を向ける及び/又は集束させるために、及び/又は、位置及びナビゲーションデータを得ることを容易にするために、光学システム110を天頂に向け得る。代わりに、例えば空運用の場合、光学システム110は、空運プラットフォームの下方及び/上方の天底に向けられ得て、例えば、地上からの天空光の反射及び/又は散乱を偏光子120上に向ける及び/又は集束させる。追加的に又は代替的に、一部例示的実施形態では、装置10は、センサーモジュール240を含み得て、そのセンサーモジュール240は、例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)、慣性計測装置(IMU,inertial measurement unit)、加速度計、ジャイロメーター、傾斜計、磁気コンパス、高度計、速度計、他の適切なセンサー等の少なくとも一つの方位センサーを含み得て、装置10の空間中の方位及び/又は運動情報(加速度、速度、及び/又は、装置10の空間中の進行距離)を確立する。方位の確立は、6自由度のベアリングを含み得る。他の実施形態では、機械センサー、電子センサー、光学センサー、及び/又は視覚オドメーターセンサー等の外部方位センサーを用い得て、これは、例えば、装置10が、動いている車両に取り付けられながら、天頂‐天底ベクトルと揃えられた回転軸で、シャフトエンコーダー上を回転する場合である。処理ユニット200は、光センサー220から受信したデータに基づいてナビゲーションデータを計算する際に、空間中の装置10の向きを補償するために、装置10の感知された向き及び/又は運動の情報を用い得る。例えば、装置10の傾きが天頂又は天底に向かうものからずれている場合、処理ユニット200は、天体の位置を計算する際に、及び/又は、デッドレコニングの計算を処理する際に、つまり、以前に求めた位置に基づいて現在の位置を見積もる際に、ずれた傾きを補償し得る。
【0027】
一部実施形態では、装置10は、例えば、水中で天空光を受光して、上述のように天空光の偏光パターンを分析することによって、水中で使用され得る。
【0028】
光センサー220から受信したデータに加えて、処理ユニット200は、ナビゲーションデータを計算するのに相補的データを用い得る。相補的データは、例えば、太陽経路テーブル、星座チャート、暦チャート、天体暦チャート、時間標準、天空光の偏光のチャート、真北、磁北及び方眼北の較正チャート、及び/又は、処理ユニット200によるナビゲーションデータの計算を容易にし得る他のデータ等のナビゲーション及び/又は天文データを含み得る。相補的データは、例えば装置10の外部のソースから、処理ユニット200によって受信され得る。追加的に又は代替的に、処理ユニット200は、内部メモリーから、及び/又は、装置10に含まれる若しくは装置10に関連したメモリー(相補的データを記憶することができる)から相補的データを受信し得る。
【0029】
処理ユニット200は、天空光又は地物反射光の導出された偏光パターンに基づいて、太陽、星又は月等の天体の位置を求め得る。例えば、処理ユニット200は、導出された偏光パターンに基づいて、例えば天体(例えば太陽や月)の方位角及び/又は仰角等の天体座標における天体の位置を求め得る。例えば、処理ユニット200は、求められた天体の位置を天体の経路テーブル並びに日付及び/又は時間のデータと組み合わせることによって、真北を導出し得る。日付及び/又は時間のデータは、装置10の外部のソースから、又は、センサーモジュール240から処理ユニット200によって受信され得て、そのセンサーモジュール240は、例えば、時計、実時間コンピューター時計、クロック発信器、並びに/又は、機械、電子、光学及び/若しくは原子クロノメーター等の時間管理デバイスも含み得る。天体の経路テーブルは、例えば、一年における異なる時期及び地球上の複数の位置での天体の一日の経路、例えば日中の太陽の仰角及び方位角を含み得る。
【0030】
天体の経路テーブル、日付情報、及び処理ユニット200によって求められた天体の位置に基づいて、処理ユニット200は、装置10の地球上の位置を計算し得る。代わりに、処理ユニット200は、例えば、GPS、ユーザーインターフェース、及び/又は、装置10の外部若しくは内部の通信リンクから、装置10の地球上の位置のデータを受信し得る。例えば、処理ユニット200が他のソースから日付の情報を受信又は入手できない場合、地球上の位置のデータ、天体の経路テーブル、及び処理ユニット200によって求められた天体の位置に基づいて、処理ユニット200は、時期(例えば日付情報)を導出し得る。
【0031】
追加的に又は代替的に、処理ユニット200は、例えば、少なくとも特定の期間にわたって求められた天体の位置を集めることによって、天体の位置の時系列を得ることができる。得られた時系列に基づいて、処理ユニット200は、天体の近似的な経路を導出し得て、その経路は、時刻、日付、真北及び又は装置10の地球上の位置を求めるために処理ユニットによって用いられ得る。
【0032】
本発明の一部実施形態では、装置10は波長分離器130を含み得る。波長分離器130は偏光から一以上の波長帯を分離し得る。従って、偏光子120及び波長分離器130を通過する偏光は、特定の一波長帯、又は複数の波長帯に対して偏光強度及び/又は方向のパターンを生成し得て、そのようなパターンが光センサー220上に投影され得る。波長分離器130は、例えば、ベイヤーフィルター等のカラーフィルターアレイを含み得る。追加的に又は代替的に、波長分離器130は、三色ビームスプリッタープリズム、バンドパス及び/若しくはロングパス及び/若しくはエッジパス色フィルター、誘電体ミラー、並びに/又は、適切な波長分離器を含み得る。図1の例は、偏光子120と光センサー220の間に波長分離器130を示しているが、本発明の他の実施形態は他の構成を含み得て、例えば、偏光子120が、波長分離器130を通過したフィルタリングされた光を受光し得て、その波長分離器130の上に、光学システム110によって、光が向けられ及び/又は集束され得る。
【0033】
波長分離器130によって分離され得る異なる波長帯は、大気条件、汚染レベル、雲の密度、湿度等の情報を得るために処理ユニット200によって用いられ得る。処理ユニット200は、多種の情報を比較し、並びに/又は、例えば、偏光パターンに対する汚染、雲、湿度及び/若しくは他の現象の影響を排除及び/若しくは測定して、例えば検出された偏光パターンに基づいて、より正確なナビゲーションデータを得ることができる。例えば、晴れた空の偏光パターンは、略450nmの波長帯、つまり青色及び紫色において最も良く見える。しかしながら、典型的には汚染や雲によるものであり得る大きな粒子は、赤色及び近赤外波長帯、つまり略650nmにおいて散乱し、偏光され得る。
【0034】
装置10は、内部又は外部電源(図示せず)によって電力供給され得て、例えば、バッテリー、太陽電池及び/又は他の適切な電源等が挙げられる。また、装置10は、少なくとも一つのアンテナ及び/又は有線及び/又は無線回路(図示せず)を含み得て、例えば、外部電源、データリンク、データベース及び/又は追加のセンサー及びデバイスから電力及び/又は情報を受け取る。
【0035】
次に、図2を参照すると、図2は本発明の一部実施形態に係る例示的な偏光子120の概略図である。偏光子120は、偏光フィルターセル121のアレイを含み得る。各セル121は、例えば実質的に互いに垂直な異なる偏光方向をそれぞれ有する少なくとも二つの偏光フィルター125及び126を含み得る。偏光フィルターセル121は、例えばディスク状の同心リング122に配置され得る。他の形状及び構成も使用可能である。偏光フィルター125及び126のうち一つ以上は、図1に関して上述した光センサー220を構成し得る光センサーセルのアレイ中の少なくとも一つの光センサーセルに並置され得る。従って、光センサー220は、各セル121の偏光フィルター125及び126を介して受光した光からデータを生成し得る。セル121は、フィルター125及び126の角度において互いに同一のもの、又は変化を含むものであり得る。偏光子120中のより多い数のセル121は、光センサー220の最大解像度によって制限される光センサー220によるより高いイメージング解像度を可能にする。偏光子120中のセル121の数は、セル121の寸法及び/又はリング122の数によって決められ得る。また、各リング122において、セル121の位置は、他のリング122のセル121に対して、例えば寸法129でずらされ得て、光センサー220による偏光パターンのイメージング解像度を増強し得る。
【0036】
本発明の一部実施形態では、偏光子120は、例えば偏光子ディスク120の少なくとも一部の上に、光学遅延板(位相差板)及び/又はデポラライザーを含み得て、コルニュ(Cornu)デポラライザー、ライオット(Lyot)デポラライザー、ウェッジ(Wedge)デポラライザー、及び/又は、他の適切なデポラライザー等が挙げられる。追加的に又は代替的に、一部実施形態では、偏光子120は、アクティブ及び/又はパッシブ光学素子を含み得て、波長板、位相差板、四分の一波長板、二分の一波長板、ファラデー回転子、液晶(LC)、及び/又は、光ファイバー、又は、光の偏光パターンのイメージング解像度を増大させるのに使用可能な他の適切な素子等が挙げられる。本発明の他の実施形態は他の構成を含み得て、例えば、偏光子120は、波長板を通過したフィルタリングされた光を受光し得て、その波長板の上に、光が光学システム110によって向けられ及び/又は集束され得る。
【0037】
光の偏光パターンを導出するため、処理ユニット200は、例えば、各セル121の偏光フィルター125及び126を介して受光した光強度間の差を測定することによって、各セル121を介して受光した光の偏光の強度及び/又は方向を計算し得る。
【0038】
次に、図3を参照すると、図3は、本発明の一部実施形態に係る装置10の偏光検出素子300の概略的な部分図である。偏光検出ユニット300は、偏光フィルター125及び126を含むセル121と、波長分離器130に含まれ得るカラーフィルターアレイ135と、光センサー220に含まれ得る光センサーセル225とを含み得る。カラーフィルターアレイ135は、互いに同一であり得る。各カラーフィルターアレイ135は、複数のカラーフィルター137を含み得て、例えば少なくとも三つの異なる色のカラーフィルターを含む四つのカラーフィルター137(例えばベイヤーフィルター等)を含み得る。他の実施形態では、カラーフィルターアレイは、他の数のカラーフィルター137、及び/又は他の数又は異なる色を含み得る。カラーフィルターアレイ135は、偏光フィルター125及び126の一方と並置され得る。従って、例えば、各センサーセル225は、特定の方向、強度及び波長の偏光を吸収し得る。
【0039】
従って、例えば、処理ユニット200は、波長分離器130によって分離された各波長に対して別々に、吸収光の偏光の強度及び/又は方向を計算し得て、図1を参照して詳細に説明したようにデータを用いられ得る。
【0040】
次に図4A及び図4Bを参照すると、図4A及び図4Bは、本発明の一部実施形態に係る処理ユニット200によって導出され得る偏光パターンの概略図である。矢印410は、光のeベクトル、つまり、処理ユニット200によって導出された光の偏光の方向及び強度を示し、矢印410の長さ及び幅は直線偏光の強度を表し、矢印410の方向は直線偏光の方向を表す。この例示的実施形態では、光センサー220の中心は天頂450と揃えられて、180度の視野が、光センサー220によってキャプチャーされる。図4Aは、太陽の仰角480が地平線の下であり、太陽の方位角490が西を向いている場合における、夜明けに処理ユニット200によって導出される偏光パターンを示す。図4Bは、太陽の仰角480が日中において天頂450に最も近く空において最高であり、太陽の方位角490が南を向いている場合における、正午に処理ユニット200によって導出される偏光パターンを示す。
【0041】
太陽の方位線490は、例えば、全ての大気評価リング430を通過し、それが通過する全てのeベクトルに垂直な天頂450において回転させた線を見つけることによって、処理ユニット200によって導出され得る。結果として、方位線490は、最高強度を有するeベクトルに垂直であり、これを等分する。従って、処理ユニット200は、方位線490に沿った最高強度を有するeベクトルを見つけることができる。
【0042】
仰角480は、例えば天頂450と、最高強度を有するeベクトルの中点との間の距離を測定することによって、処理ユニット200によって導出され得る。上述のように、両方の天は方位線490上に位置している。代わりに、太陽が装置10の視野内に存在する場合、仰角480は、直射日光の検出から導出され得る。本発明の他の実施形態は追加のeベクトル表示を含み得て、例えば、処理ユニット200が、ストークスパラメータ描写及び/又は関連した大気及び一般的な散乱理論を用いて、偏光情報を導出し得る。
【0043】
次に図5を参照すると、図5は、本発明の一部実施形態に係るナビゲーション用の方法を示す概略的なフローチャートである。ブロック510に示されるように、本方法は、偏光フィルターセル121のアレイ上に光を向けるステップを含み得る。上述のように、光フィルターセル121は、第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター125と、第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルター126とを備え得る。例えば、フィルター125及び126の偏光方向は、互いに実質的に垂直であり得る。ブロック520に示されるように、本方法は、偏光フィルター125及び126を介して受光した光からデータを生成するステップを含み得る。ブロック530に示されるように、本方法は、生成されたデータに基づいて偏光パターンを導出するステップを含み得る。偏光パターンの導出は、偏光フィルター125及び126を介して受光した光強度間の差を測定することにより、偏光の強度及び方向の少なくとも一方を計算することによって、実行され得る。導出された偏光パターンに基づいて、例えば天空光の散乱理論を用いることによって、天体の位置データ(例えば、天体の方位角及び/又は仰角等)を計算し得る。計算された天体の位置データに基づき、任意で上述のようにメモリーに記憶された相補的データも用いることによって、ナビゲーションデータが計算され得る。
【0044】
一部実施形態によると、本方法は、例えば上述のように異なる波長帯から情報を導出するために、向けられた光から少なくとも一つの波長帯を分離するステップを更に含み得る。従って、偏光のパターンを、分離された波長帯の少なくとも一つにおいて計算し得る。
【0045】
また、本発明の一部実施形態によると、本方法は、装置10の傾き及び/又は運動を検出するステップを含み得て、例えば、天体の位置を計算する際に装置10の逸脱した傾きを補償することができる。一部実施形態では、例えば、デバイスは、例えば天体系に関する6自由度のうち一つ等の一以上の軸に沿って動かされ得て、天体に対するデバイスの運動の計算がなされ得る。例えば、装置10は移動している車両に取り付けられ得て、車両の方向、運動又は位置が、車両が動いている間の多様な時間における偏光パターンの変化を比較することによって、導出され得る。
【0046】
本発明の特定の特徴について本願で示して説明してきたが、多様な修正、置換、変更及び等価物が当業者には明らかである。従って、添付の特許請求の範囲は、そのような全ての修正及び変更を本発明の真の精神内に落とし込まれるものとしてカバーするものである。
【符号の説明】
【0047】
10 装置
110 光学システム
120 偏光子
130 波長分離器
200 処理ユニット
220 光センサー
240 センサーモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光フィルターセルのアレイであって、各セルが第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び前記第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを備えた、アレイと、
前記偏光フィルターセルのアレイ上に光を向ける光学システムと、
前記第一の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成する第一の光センサー及び前記第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成する第二の光センサーとを備えた装置。
【請求項2】
前記データに基づいて偏光パターンを導出する処理ユニットを更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二の偏光方向が前記第一の偏光方向に実質的に垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記処理ユニットが、前記第一の偏光フィルターを介して受光した光の強度と前記第二の偏光フィルターを介して受光した光の強度との間の差を測定することによって偏光の強度及び方向のうち少なくとも一方の計算を行い、該計算に基づいて前記偏光パターンを導出するためのものである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記光学システムによって向けられた光から少なくとも一つの波長帯を分離する波長分離器を更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記波長分離器によって分離された少なくとも一つの波長帯における偏光のパターンを計算する処理ユニットを更に備えた請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記波長分離器が、少なくとも一つのカラーフィルターの組に配置されたカラーフィルターのアレイを備え、各組が偏光フィルターに並置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第一の光センサー及び前記第二の光センサーが、各偏光フィルターに並置された少なくとも一つの光センサーを有する光センサーのアレイとして備わっている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記偏光フィルターセルが同心リング状に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
太陽経路テーブル、星座チャート、暦チャート、天体暦チャート、時間標準、天空光の偏光のチャート、真北、磁北及び方眼北の較正チャートのうち少なくとも一つの相補的データを記憶するメモリーを更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置の傾きを検出する傾斜計を更に備えた請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記処理ユニットが、前記偏光パターンに基づいて天体の位置データを計算するためのものである、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記位置データが前記天体の方位角及び仰角のうち少なくとも一方を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記処理ユニットが、前記天体の位置データに基づいてナビゲーションデータを計算するためのものである、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記処理ユニットが、更にメモリーに記憶された相補的データに基づいてナビゲーションデータを計算するためのものである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
偏光フィルターセルのアレイ上に光を向けるステップであって、各セルが第一の偏光方向を有する第一の偏光フィルター及び前記第一の偏光方向とは異なる第二の偏光方向を有する第二の偏光フィルターを有する第二の偏光フィルターを備える、ステップと、
第一の光センサーによって前記第一の偏光フィルターを介し、第二の光センサーによって前記第二の偏光フィルターを介して受光した光からデータを生成するステップと、
前記データに基づいて偏光パターンを導出するステップとを備えた方法。
【請求項17】
前記第二の偏光方向が前記第一の偏光方向に実質的に垂直である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の偏光フィルターを介して受光した光の強度と前記第二の偏光フィルターを介して受光した光の強度との間の差を測定することによって偏光の強度及び方向のうち少なくとも一方の計算を行い、該計算に基づいて前記偏光パターンを生成するステップを更に備えた請求項16に記載の方法。
【請求項19】
向けられた前記光から少なくとも一つの波長帯を分離するステップを更に備えた請求項16に記載の方法。
【請求項20】
偏光のパターンの計算が少なくとも一つの分離された波長帯のおいて行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
装置の傾きを検出するステップを更に備えた請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記偏光パターンに基づいて天体の位置データを計算するステップを更に備えた請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記位置データが前記天体の方位角及び仰角のうち少なくとも一方を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記天体の位置データに基づいてナビゲーションデータを計算するステップを更に備えた請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ナビゲーションデータの計算が、メモリーに記憶された相補的データに更に基づいている、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505459(P2013−505459A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530405(P2012−530405)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000780
【国際公開番号】WO2011/036662
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512072603)ヴォロテック・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】