説明

ナビゲーション用通信システム、携帯端末、ナビゲーション装置、携帯端末用プログラム及びナビゲーション装置用プログラム

【課題】車両外でのユーザの行動に基づく情報をナビゲーション装置で利用できるようにする。
【解決手段】ナビゲーション用通信システムは、携帯端末1及びナビゲーション装置2を備える。携帯端末1は、ユーザが車両外で行動する際にも所持され、内部のGPS機能により現在位置を検出し、ユーザが立ち寄ったレストランやコンビニエンスストア等の施設(POI)に関する情報を年月日、曜日、時刻とともにユーザのTPO情報としてロギングし内部の記憶回路に格納する。携帯端末1は近距離通信によりナビゲーション装置2に対してTPO情報を送る。ナビゲーション装置2は、車両に搭載されており、携帯端末1から受け取ったTPO情報に従い、車両がPOIに近づくと車両運転者や同乗者に画面表示や音声案内・警告音等により当該POIに近づいた旨を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PHS、PDAなどの携帯端末と車両に搭載されたナビゲーション装置との間で通信を行うナビゲーション用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された状態で用いられるナビゲーション装置では、車両に乗車するユーザの嗜好に応じた情報の提供を行うことで利便性の向上を図っている。例えば、ユーザがよく利用する施設や過去に設定された目的地を記憶させておくことで、目的地の設定等を容易に行うことができる。
【0003】
なお、特許文献1では、携帯端末とナビゲーション装置との間で通信をするシステムが開示されている。このシステムでは、ユーザが入手したい商品を携帯端末を使って入力すると、その商品を在庫としてもつ店舗がナビゲーション装置で表示される。
【特許文献1】特開2007−78367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、ユーザの車両外での行動については把握することができなかった。すなわち、ナビゲーション装置のユーザは、車両を利用せずに、例えば徒歩や公共交通機関で行動することもある。これらの場合、ユーザが車両外で頻繁に利用している施設があったとしても、その施設に車両で行ったことがなければ、ナビゲーション装置では何ら反映されないことになる。つまり、従来のナビゲーション装置は、車両で行ったことがある施設についてユーザの行動を機能に反映させることはできても、車両外でのユーザの行動(動線)に基づく情報は、ユーザ自身がその施設を登録しない限り、ナビゲーションに反映させることはできないという問題があった。
【0005】
なお、特許文献1記載の発明は、携帯端末とナビゲーション装置との間で通信を行なうものであるが、車両外でのユーザの行動は全く反映されず、この問題を解決することはできない。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、車両外でのユーザの行動に基づく情報をナビゲーション装置で利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムである。
【0008】
この携帯端末は、現在位置検出手段、ログ情報格納手段及びログ情報送信手段を備える。そして、現在位置検出手段が現在位置を検出し、ログ情報格納手段は、その現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照してユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納する。こうして格納されたログ情報は、ログ情報送信手段により外部に送信される。
【0009】
一方、ナビゲーション装置は、ログ情報受信手段及び位置情報報知手段を備える。そして、ログ情報受信手段は、携帯端末から外部に送信されるログ情報を受信し、位置情報報知手段がそのログ情報に対応する施設の位置情報を報知する。
【0010】
このような請求項1記載の発明によれば、車両外でのユーザの行動(ユーザの動線)に関する情報をナビゲーション装置で有効に利用することができるという効果がある。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション用通信システムにおいて、ログ情報格納手段が、ログ情報として、ユーザが施設に立ち寄った時間に関する時間情報についても格納する。そして、位置情報報知手段は、そのログ情報に含まれる時間情報に基づき所定の時間帯にのみ施設の位置情報を報知する。
【0011】
このような請求項2記載の発明によれば、ユーザが施設に立ち寄った時間に関する情報も考慮され、ナビゲーション装置では所定の時間帯にのみ施設の位置情報を報知するので、ユーザの行動に合わせてより適切な情報が報知される。例えば、平日の昼食時にレストランに立ち寄ったという情報であれば、ナビゲーション装置では平日の昼食時間帯にのみ、そのレストランの報知を行うというように設定することができる。すなわち、ユーザに必要のない情報を除去し、ユーザの動線に関する情報をより的確にナビゲーションに生かすことができるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のナビゲーション用通信システムにおいて、携帯端末が施設情報格納手段を備える。そして、施設情報格納手段は、現在位置の位置情報をユーザの操作に従って施設の位置情報として格納する。
【0013】
このような請求項3記載の発明によれば、ユーザの操作によって現在位置の位置情報が施設の位置情報として格納されるので、あらかじめ携帯端末に施設についての位置情報が格納されていない場合であっても、新たに施設に対応する位置情報を格納することができる。すなわち、携帯端末に格納されていない施設であっても、ログ情報を作成してナビゲーションに生かすことができるという効果がある。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション用通信システムにおいて、位置情報報知手段が、ユーザが運転する車両がログ情報に対応する施設に近づいたと判断されることを条件にその施設の位置情報を報知する。
【0015】
このような請求項4記載の発明によれば、ユーザがナビゲーション装置を用いて車両を運転している際に、必要のない施設の情報を除外して、ユーザに必要な施設の情報のみを知ることができるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション用通信システムにおいて、位置情報報知手段が、ログ情報に対応する施設の位置を画面の地図上に表示して報知する。
【0017】
このような請求項5記載の発明によれば、施設の位置がナビゲーション装置の画面上の地図上に表示されるのでユーザは視覚的に施設の位置関係を知ることができるという効果がある。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のナビゲーション用通信システムにおいて、位置情報報知手段が、ログ情報に対応する施設の位置情報を音声又は警告音で報知するというものである。
【0019】
このような請求項6記載の発明によれば、ユーザは運転中でナビゲーション装置の表示に視線を向けることができなくても、あるいはナビゲーション装置の表示に注意していなかったとしても、施設の位置を耳で知ることができるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおいて用いられる携帯端末であり、現在位置検出手段が現在位置を検出し、ログ情報格納手段は、現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照してユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納する。そして、ログ情報送信手段がログ情報を外部に送信する。
【0021】
このような請求項7記載の携帯端末によれば、前述の請求項1記載のナビゲーション用通信システムを構築することができ、これにより同様の効果が得られる。
請求項8記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおいて用いられるナビゲーション装置であり、ログ情報受信手段及び位置情報報知手段を備えている。そして、ログ情報受信手段は、携帯端末から外部に送信される、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を受信し、位置情報報知手段がログ情報に対応する施設の位置情報を報知する。
【0022】
このような請求項8記載のナビゲーション装置によれば、前述の請求項1記載のナビゲーション用通信システムを構築することができ、これにより同様の効果が得られる。
請求項9記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおける携帯端末としてコンピュータを機能させるための携帯端末用プログラムであり、現在位置取得手段、ログ情報格納手段及びログ情報送信手段としてコンピュータを機能させる。具体的には、現在位置取得手段が、検出された現在位置を取得し、ログ情報格納手段が、現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照し、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納する。そして、ログ情報送信手段がログ情報を外部に送信する。
【0023】
このような請求項9記載の発明によれば、前述の請求項7記載の携帯端末としてコンピュータを機能させることができ、これにより同様の効果が得られる。
請求項10記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおけるナビゲーション装置としてコンピュータを機能させるためのナビゲーション装置用プログラムであり、ログ情報受信手段及び位置情報報知手段としてコンピュータを機能させる。具体的には、ログ情報受信手段が、携帯端末から外部に送信される、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に関するログ情報を受信し、位置情報報知手段が、ログ情報に対応する施設の位置情報を報知する。
【0024】
このような請求項10記載の発明によれば、前述の請求項8記載のナビゲーション装置としてコンピュータを機能させることができ、これにより同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1 第1実施形態]
[1−1 構成]
図1は、第1実施形態としてのナビゲーション用通信システムの全体構成を示す説明図である。
【0026】
このナビゲーション用通信システムは、携帯端末1及びナビゲーション装置2を備えており、携帯端末1がインターネット上のケータイアプリダウンロードサイト3及びクローズドNWサイト4と通信を行い、システムに必要な情報のダウンロードを行なう。
【0027】
携帯端末1は、ユーザが車両の内外を問わず行動する際には常時持ち歩いている携帯電話であり、ナビゲーション装置2との間では、BluetoothやIrDA(Infrared Data Association)などの近距離通信によりデータの送受信を行なう。
【0028】
ナビゲーション装置2は、車両に搭載され、現在地周辺の地図や目的地までの道路を画面による表示、音声による案内及び警告音により、車両運転者や同乗者に報知するカーナビゲーション装置である。
【0029】
ケータイアプリダウンロードサイト3及びクローズドNWサイト4は、いずれもインターネットを通じて携帯端末1とデータの送受信を行なうサイトであり、各々サーバコンピュータ内の記憶領域にデータが格納されている。ユーザは、携帯端末1を操作して、ケータイアプリダウンロードサイト3から本実施形態で必要とされるアプリケーションプログラムである動線情報アプリをダウンロードすることができる。また、クローズドNW(Net Work)サイト4には、レストラン、コンビニエンスストア、ホテル、ジム、プール、図書館、役所などの施設(POI;Point Of Interest)についての情報が格納されており、ユーザは、最新の情報をダウンロードすることができる。
【0030】
図2は、携帯端末1の内部構成を示すブロック図である。携帯端末1は、通信回路5、GPS回路6、記憶回路7、表示回路8、操作・入力回路9及び制御部10を備える。
通信回路5は、ユーザがナビゲーション装置2と近距離通信(Bluetooth(登録商標)又はIrDA)により、データの送受信を行なうための電気回路である。また、この近距離通信とは別に、ユーザは、携帯端末1が備える図示しないブラウザ機能を使ってケータイアプリダウンロードサイト3やクローズドNWサイト4にアクセスすることもできる。
【0031】
GPS回路6は、複数の人工衛星からの電波を受信し、地球上の現在位置を緯度及び経度で把握するための全地球測位システムである。
記憶回路7は、ユーザが行動した際に立ち寄った施設(POI)に関する情報をユーザログ情報として格納するための記憶領域である。この他にも、ダウンロードしたアプリケーションプログラムや各種データなどが格納される。
【0032】
表示回路8は、ユーザが携帯端末1を操作する際に画面を表示するための液晶ディスプレイである。また、操作・入力回路9は、ユーザが情報を検索したり、入力したりする際に利用する携帯電話用キーボードである。さらに、制御部10は、携帯端末1内部の各回路に制御信号を送り、演算やデータの授受等の制御を行なう電子回路である。
【0033】
図3は、ナビゲーション装置2の内部構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置2は、TPO情報受け取り部11、TPO情報格納部12、比較部13、POI強調部14、簡易POIアイコン作成部15及び一般ナビシステム構成16を備える。
【0034】
TPO情報受け取り部11は、携帯端末1から短距離通信を用いて送られるログ情報をユーザのTPO情報として受信するための電気回路である。TPO情報受け取り部11を通じて受信したユーザのTPO情報は、TPO情報格納部12に格納される。
【0035】
比較部13は、TPO情報格納部12に格納されたTPO情報と予めナビゲーション装置2に格納されている施設(POI)のローカルデータベース(DB)とを比較する。その比較により一定の条件をみたす場合に、POI強調部14により表示中の地図上の当該施設(POI)の強調表示がされる。また、簡易POIアイコン作成部15は、TPO情報格納部12に格納されたTPO情報が施設(POI)のローカルデータベースにないときに、簡易なアイコンを作成する。
【0036】
一般ナビシステム構成16は、車両用ナビゲーション装置が通常備えているシステム構成であり、例えば、ナビゲーションを画面に表示するためのディスプレイ装置、音声ガイドに必要な音声合成装置やスピーカ、センタから最新のデータを受信するための通信回路、車両の位置を検出するためのGPS装置などを備える。
[1−2 処理手順]
以下、第1実施形態の処理手順を説明する。
【0037】
図1は、ユーザが第1実施形態のナビゲーション用通信システムを利用するために必要となる準備手順を示している。まず、ユーザは、携帯端末1からケータイアプリダウンロードサイト3にアクセスすることにより、Java(登録商標)やBREW(登録商標)等の言語で書かれたアプリケーションプログラムである動線情報アプリをダウンロードする(1)。次に、ユーザは、レストラン、コンビニエンスストア、ホテルなど各施設(POI)の情報が格納されたクローズドNWサイト4にアクセスして、施設名、施設の種類、位置情報(GPS情報)、ホームページアドレスなどを取得する(2)。これら施設(POI)に関するPOI情報は携帯端末1の記憶回路7に格納される。
【0038】
ユーザは携帯端末1を車両外でも所持して行動しており、施設(POI)の検出条件をみたす場合にユーザログ情報がとられ(3)、ユーザが車両に乗車した際に携帯端末1からナビゲーション装置2に近距離通信(Bluetooth(登録商標)又はIrDA)でTPO情報として送られる(4)。ナビゲーション装置2では、受け取ったTPO情報をもとに最寄の施設(POI)を表示又は音声等により報知する(5)。携帯端末1及びナビゲーション装置2が行なう処理についてはフローチャートを用いてさらに説明する。
【0039】
図4は、携帯端末1が実行する処理を示すフローチャートである。ユーザは、車両外でも携帯端末1を所持して行動しており、ユーザの行動(動線)からユーザログ情報をとり、車両に乗った際にはそのユーザログ情報をTPO情報として、ナビゲーション装置2に送信する。ユーザがこのような処理をさせるために携帯端末1を操作し、動線情報アプリを起動すると、携帯端末1の制御部10による処理が開始される。
【0040】
まず、S101で、ユーザの現在位置が携帯端末1のGPS回路6により検出される。この現在位置の検出については一定の時間間隔(例えば、1分毎)で行なわれる。
つぎに、S102で、ユーザが自ら立ち寄った施設(POI)の位置情報(GPS情報)を、自らの操作で登録しようとしているかが判断される。すなわち、ユーザがある施設(POI)に立ち寄り、その施設(POI)をユーザログ情報として残したいと認識していたとしても、その施設(POI)が比較的新しいものであったりすると、必ずしもクローズドNWサイト4に登録されているとは限らず、記憶回路7にPOI情報として格納されているとは限らない。そのため、ユーザは自らの操作によりPOI情報を更新することができる。
【0041】
ユーザによるこの操作がされたと判断した場合(S102;YES)、S103で、その施設(POI)の位置情報が新たなPOI情報として記憶回路7に格納され、その後S104に進む。一方、S102で、ユーザによる操作がされていないと判断した場合(S103;NO)、そのまま次のS104に進む。
【0042】
S104では、記憶回路7に格納されたPOI情報からユーザが立ち寄ったと判断される施設(POI)の有無が検出される。ここでは、まずユーザの現在位置から一定距離内(例えば、5メートル範囲内)にある施設(POI)がPOI情報の中にあるか否かを判断し、そのような施設(POI)がある場合は、さらにユーザがその施設(POI)に一定時間(例えば、3分程度)留まっているか否かが判断される。ユーザが一定時間その施設(POI)に留まっている場合にその施設(POI)に立ち寄ったと検出する。この設定条件については、ユーザの行動様式に合わせて、距離・時間などを変更することもできる。
【0043】
S104でユーザが立ち寄ったと判断される施設(POI)がある場合(S104;YES)、S105で、その施設(POI)がユーザログ情報として記憶回路7に格納され、その後S106に進む。この場合、立ち寄った年月日、曜日、時刻も同じくユーザログ情報として格納される。一方、S104で立ち寄ったと判断される施設(POI)がない場合(S104;NO)、そのまま次のS106に進む。
【0044】
以上までの処理でユーザの行動(動線)はユーザログ情報として記憶回路7に格納されているが、次の処理では、ユーザが車両に搭載されたナビゲーション装置2にこのユーザログ情報をTPO情報として送信する。
【0045】
すなわち、S106では、ユーザによりユーザログ情報をTPO情報としてナビゲーション装置2に送信する操作があったか否かがが判断される。送信する操作があったと判断される場合(S106;YES)、S107で、Bluetooth(登録商標)又はIrDAの近距離通信により、記憶回路7に格納されたユーザログ情報がTPO情報として、ナビゲーション装置2へと送信され、その後S108に進む。一方、S106で、ユーザによる操作がなかった場合(S106;NO)、そのまま次のS108に進む。
【0046】
最後のS108では、ユーザにより動線情報アプリの実行を終了する操作がなされたか否かが判断される。ユーザによる動線実行アプリの実行を終了する操作がなされたと判断された場合(S108;YES)、ユーザ動線情報アプリの処理を終了する。操作がなされたと判断されなければ(S108;NO)、S101の処理に戻る。
【0047】
また、ナビゲーション装置2は、携帯端末1から送られたTPO情報をもとにユーザの嗜好に合わせたナビゲーションを実行する。図5は、第1実施形態のナビゲーション装置2が実行する処理を示すフローチャートである。ユーザが運転席や助手席に乗車し、ナビゲーション装置2が起動すると、この処理が開始する。
【0048】
まずS201では、TPO情報を受信したか否かが判断される。TPO情報を受信したと判断される場合(S201;YES)、ナビゲーション装置2はTPO情報受け取り部11がTPO情報を受信し、そのTPO情報をTPO情報格納部12に格納した後、S203に進む。すなわち、携帯端末1と、Bluetooth(登録商標)やIrDAの近距離通信を行い、携帯端末1の記憶回路7に格納されているユーザログ情報がTPO情報として送られる(図4、S107)。一方、TPO情報を受信したと判断されない場合(S201;NO)、そのまま次のS203に進む。
【0049】
ナビゲーション装置2は、携帯端末1から受信したTPO情報をもとにユーザの嗜好に合わせたナビゲーションを行なう。S203では、車両の近くにTPO情報に含まれる施設(POI)があるか否かが判断される。すなわち、一般ナビシステム構成16としてのGPS機能により車両の現在位置が検出され、その車両の現在位置とTPO情報格納部12に格納されたTPO情報の位置情報(GPS情報)とを比較し、車両の近くに施設(POI)があるか否かを判断する。近接か否かの判断としては、例えば、1キロメートルの範囲内にあるか否かを判断するように設定することができる。この条件についてはユーザにより変更することもできる。
【0050】
また、ユーザのTPO情報に含まれる年月日、曜日、時刻等の時間に関する情報を考慮して、条件を設定することもできる。すなわち、一日の時間帯をいくつかのブロックに分け、そのブロック内にあるTPO情報についてのみ報知するように設定することができる。例えば、一日の24時間を12個に区切り、2時間毎の範囲内でTPO情報があるかないかを判断して、その範囲内にあるTPO情報だけをユーザに報知するように設定することが考えられる。より具体的には、平日の昼食に立ち寄ったレストランがログとして登録されていたような場合であれば、車両を運転している際にも平日の昼間の時間帯として午前11時から午後1時に限定して当該施設(POI)を報知するように設定することができる。
【0051】
S203でTPO情報の中から条件をみたすものがない場合(S203;NO)、施設(POI)の報知は行なわず、S207の処理へと飛ぶ。条件をみたすものがある場合(S203;YES)、次のS204へ進む。
【0052】
S204では、条件をみたす施設(POI)についての情報が、ナビゲーション装置2内のローカルデータベース(DB)に存在するか否かが判断される。
ローカルデータベース内に施設(POI)の情報が存在する場合(S204;YES)、S205に進む。S205では、POI強調部14により、その施設(POI)が画面上の地図に強調して表示される。また、ユーザはナビゲーション装置2のモードを変更することにより、その施設(POI)が近くに存在することを音声によるガイド案内や何らかの警告音を鳴らすことで報知するように設定することもできる。このS205の処理の後、S207に進む。
【0053】
一方、ナビゲーション装置2のローカルデータベース内に施設(POI)の情報が存在しない場合(S204;NO)、S206に進む。S206では、簡易POIアイコン作成部15により、その施設を表す簡易なアイコンが作成され、画面上の地図に表示される。この場合も、音声による案内や警告音による報知にすることもできる。このS206の処理の後、S207に進む。
【0054】
次のS207では、ユーザによりナビゲーション装置2の処理を終了させる操作がなされたか否かが判断される。ユーザがナビゲーション装置2の処理を終了させる操作がなされた場合(S207;YES)、ナビゲーション装置2は処理を終了する。ユーザにより処理を終了させる操作がなされない場合(S207;NO)、S201に戻る。
[1−3 効果]
以上説明したとおり、第1実施形態のナビゲーション用通信システムによれば、車両外でユーザが立ち寄った施設(POI)の情報が携帯端末1にユーザログ情報として格納され、TPO情報として近距離通信でナビゲーション装置2に送信される。そして、ナビゲーション装置2は、TPO情報を利用しユーザの嗜好に合わせたナビゲーションを実行する。この第1実施形態のナビゲーション用通信システムによれば、車両外でのユーザの行動(ユーザの動線)に関する情報をナビゲーション装置2で有効に利用することができるという効果が得られる。
【0055】
また、携帯端末1に格納されるユーザログ情報には、施設(POI)の種別や位置に関する情報だけでなく、ユーザが施設(POI)に立ち寄った年月日、曜日、時刻といった時間に関する情報も含まれる。そのためナビゲーション装置2では所定の時間帯にのみ施設(POI)の位置情報を報知することができ、ユーザの嗜好に合わせたより適切な情報を報知できる。すなわち、一日の時間帯をいくつかのブロックに分け、そのブロック内にあるTPO情報についてのみ条件をみたすと設定することができる。例えば、一日の24時間を8個に区切り、3時間毎の範囲内でTPO情報があるかないかを判断して、その範囲内にあるTPO情報だけをユーザに報知するように設定することが考えられる。このことにより、ユーザにとって必要のない情報を除去し、ユーザの動線(動線)に関する情報をより的確にナビゲーションに生かすことができるという効果が得られる。
【0056】
さらに、ある施設についてPOI情報が携帯端末1に格納されていない場合、ユーザの操作によって新たにPOI情報を格納できる(S102及びS103)。このことにより、あらかじめ携帯端末1にPOI情報が格納されていない場合であっても、新たに施設の位置情報(POI情報)を格納することができる。すなわち、携帯端末1に格納されていない施設(POI)であっても、TPO情報としてナビゲーションに生かすことができるという効果が得られる。
【0057】
また、ナビゲーション装置2のPOI強調部14や簡易POIアイコン作成部15が、ユーザが運転する車両がTPO情報に対応する施設(POI)に近づいたと判断される場合にその施設(POI)の位置情報を報知する(S203)。このことにより、ユーザがナビゲーション装置2を用いて車両を運転している際に、必要のない施設(POI)に関する情報を除外して、ユーザに必要な施設(POI)の情報のみを知ることができるという効果を得ることができる。
【0058】
さらに、ナビゲーション装置2によれば、S205又はS206により、施設(POI)に対応する施設の位置を画面の地図上に表示して報知する。このことによりユーザは視覚的に施設の位置関係を知ることができるという効果が得られる。
【0059】
また、S205又はS206では、ユーザのモード設定により、施設(POI)の位置情報を音声又は警告音で報知することもできる。このことにより、ユーザは運転中でナビゲーション装置2の表示に視線を向けることができなくても、あるいはナビゲーション装置2の表示に注意していなかったとしても、施設(POI)の位置を耳で知ることができるという効果が得られる。
[1−4 特許請求の範囲との関係]
なお、第1実施形態としてのナビゲーション用通信システムでは、携帯端末1が備える、GPS回路6が現在位置検出手段、S105を実行する制御部10がログ情報格納手段、S107を実行する制御部10がログ情報送信手段に相当し、また、ナビゲーション装置2が備える、TPO情報受け取り部11がログ情報受信手段、POI強調部14及び簡易POIアイコン作成部15が位置情報報知手段に相当する。また携帯端末1について、S103を実行する制御部10が施設情報格納手段にも相当する。
[2 第2実施形態]
次に、第2実施形態のナビゲーション用通信システムについて説明する。
[2−1 第1実施形態との相違点]
第2実施形態のナビゲーション用通信システムは、第1実施形態のナビゲーション用通信システムと対比すると、携帯端末1とナビゲーション装置2とが近距離通信を行なうのではなく、携帯端末1及びナビゲーション装置2がそれぞれ図示しないセンタのサーバとHTTP(Hypertext Transfer Protocol、ハイパーテキスト転送プロトコル)方式による通信を行なう点が異なる。つまり、第2実施形態のナビゲーション用通信システムでは、携帯端末1がTPO情報をナビゲーション装置2に直接送信するのではなく、図示しないセンタのサーバを介して間接的に送信する。
【0060】
図6及び図7は、第2実施形態のナビゲーション用通信システムにおいて、携帯端末1及びナビゲーション装置2が各々実行するフローチャートである。
図6は、第2実施形態の携帯端末1が実行する処理を示したフローチャートである。ここで、S306までの処理は、第1実施形態(S101〜S106)と同じであり、図4で説明したとおりである。
【0061】
携帯端末1の記憶回路7に格納されたユーザログ情報は、S307で、センタのサーバにHTTP方式により、TPO情報としてアップロードされる。
図7は、第2実施形態のナビゲーション装置2が実行する処理を示したフローチャートである。ここでも、S402以降の処理は、第1実施形態(S202〜S207)と同じであり、図5で説明したとおりである。ユーザが運転席や助手席に乗車し、ナビゲーション装置2が起動すると、この処理が開始する。
【0062】
まずS401では、TPO情報を受信したか否かが判断される。TPO情報を受信したと判断される場合(S401;YES)、ナビゲーション装置2はTPO情報受け取り部11がTPO情報を受信し、S402で、ナビゲーション装置2は、センタのサーバに格納されたユーザのTPO情報をTPO情報格納部12に格納する。この際、近距離通信ではなく、HTTP方式によりダウンロードを行なう。
[2−2 効果]
以上、第2実施形態のナビゲーション用通信システムでは、携帯端末1とナビゲーション装置2が近距離通信ではなく、センタのサーバを通じてHTTP方式によるデータ通信が行なわれるため、例えば、携帯端末1の記憶回路7に格納したユーザログ情報をTPO情報としていつでもセンタのサーバに送ることができる。このことにより、ユーザログ情報が携帯端末1の記憶容量を超えた場合でも、格納しているユーザログ情報をTPO情報としてセンタに送ってしまえば、その分の記憶容量が空きとなり新たなユーザログ情報を蓄積できる。また、センタのサーバに格納されたTPO情報を複数のユーザで共有して利用することもできる。
[3 他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態に拘束されるものではなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0063】
例えば、上記実施形態では携帯端末として携帯電話を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、PHS、PDA又はノートパソコンなどを用いてもよい。また、施設(POI)としても、レストラン、コンビニエンスストアなどに限らず、さまざまな施設が考えられ、ユーザがよく立ち寄る建物として、事務所や個人宅を登録してもよい。さらに、ユーザが利用する時期として年月日だけでなく、季節やイベントの日程などあらゆる行動パターンを反映させることができる。例えば、季節に応じてよく行く施設として、夏であればプール、冬であれば温泉、誕生日や記念日に立ち寄る店舗やレストラン、盆や正月に立ち寄る親戚の家、野球やサッカーの試合のチケットを購入するために行くプレイガイドといった設定も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態のナビゲーション用通信システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】携帯端末の内部構成を示すブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の携帯端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のナビゲーション装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の携帯端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のナビゲーション装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1…携帯端末、2…ナビゲーション装置、3…ケータイアプリダウンロードサイト、4…クローズドNWサイト、5…通信回路、6…GPS回路、7…記憶回路、8…表示回路、9…操作・入力回路、10…制御部、11…TPO情報受け取り部、12…TPO情報格納部、13…比較部、14…POI強調部、15…簡易POIアイコン作成部、16…一般ナビシステム構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムであって、
前記携帯端末は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照し、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納するログ情報格納手段と、
前記ログ情報を外部に送信するログ情報送信手段と、を備え、
前記ナビゲーション装置は、
前記ログ情報を受信するログ情報受信手段と、
前記ログ情報に対応する施設の位置情報を報知する位置情報報知手段と、を備えること
を特徴とするナビゲーション用通信システム。
【請求項2】
前記ログ情報格納手段は、前記ログ情報として、ユーザが施設に立ち寄った時間に関する時間情報についても格納し、
前記位置情報報知手段は、前記ログ情報に含まれる時間情報に基づき所定の時間帯にのみ施設の位置情報を報知すること
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション用通信システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、現在位置の位置情報をユーザの操作に従い前記施設の位置情報として格納する施設情報格納手段を備えること
を特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション用通信システム。
【請求項4】
前記位置情報報知手段は、前記車両が、前記ログ情報に対応する施設に近づいたと判断されることを条件にその施設の位置情報を報知すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション用通信システム。
【請求項5】
前記位置情報報知手段は、前記ログ情報に対応する施設の位置を画面の地図上に表示して報知すること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション用通信システム。
【請求項6】
前記位置情報報知手段は、前記ログ情報に対応する施設の位置情報を音声又は警告音で報知すること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のナビゲーション用通信システム。
【請求項7】
ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおいて用いられる前記携帯端末であって、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照し、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納するログ情報格納手段と、
前記ログ情報を外部に送信するログ情報送信手段と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおいて用いられる前記ナビゲーション装置であって、
前記携帯端末から外部に送信される、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を受信するログ情報受信手段と、
前記ログ情報に対応する施設の位置情報を報知する位置情報報知手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおける前記携帯端末としてコンピュータを機能させるための携帯端末用プログラムであって、
検出された現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記現在位置と予め格納された施設の位置情報とを対照し、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を格納するログ情報格納手段と、
前記ログ情報を外部に送信するログ情報送信手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とする携帯端末用プログラム。
【請求項10】
ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載されたナビゲーション装置とを備えたナビゲーション用通信システムにおける前記ナビゲーション装置としてコンピュータを機能させるためのナビゲーション装置用プログラムであって、
前記携帯端末から外部に送信される、ユーザが立ち寄ったと判断される施設に対応するログ情報を受信するログ情報受信手段と、
前記ログ情報に対応する施設の位置情報を報知する位置情報報知手段としてコンピュータを機能させること
を特徴とするナビゲーション装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−222503(P2009−222503A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66134(P2008−66134)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】