説明

ナビゲーション端末、ナビゲーションシステム、及び、ナビゲーション端末の制御方法

【課題】地図のデザインに対する制限を減らしつつ、現在位置の測位の精度を高める。
【解決手段】ナビゲーション端末10は現在地を取得し、ユーザーから目的地の指定を受け付ける。ナビゲーション端末10は現在地から目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データと、第1の地図画像データと同じ描画範囲であって経路を示す画像を含まない第2の地図画像データをサーバー装置20から取得し、第1の地図画像データと第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、生成した画像データのうち差分を表す画像部分内に現在地が含まれる場合、現在地に対応する位置にマーク画像を配置し、現在地が含まれない場合、現在地を新たに取得し、第1の地図画像データを新たに取得し、差分を表す画像データを新たに生成し、新たに取得した第1の地図画像データのうち新たに取得した現在地に対応する位置にマーク画像を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション端末、ナビゲーションシステム、及び、ナビゲーション端末の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが設定した出発地もしくは現在地から所望の目的地までの移動経路を案内するナビゲーションシステムが普及している。一般に、ナビゲーションシステムでは、全地球測位システム(GPS;Global Positioning System)によって計測された緯度と経度が用いられている。ユーザーが使用するナビゲーション端末は、典型的には車両等に搭載され、予めメモリに格納された道路・地形・施設などの位置を示す情報と、GPSによって得られた現在位置と、を用いて案内画面を生成してモニターへ表示する。
【0003】
GPSによる測量によって得られる位置情報には誤差が含まれる。そこで、例えば特許文献1に記載されるように、GPSによる位置情報と道路の位置や繋がりを表すデータとを照らし合わせて測位の精度を高める、いわゆるマップマッチングと呼ばれる手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1によれば、地図画像データ中の道路の色を所定の規則に従い予め所定の色で塗りつぶしておかねばならず、地図のデザインに制限を与えてしまうという問題があった。例えば、既に地図情報サービスがパーソナルコンピューター向けに提供されている場合には、ナビゲーション端末が行うマップマッチングのために、地図情報サービスプロバイダーにおいて道路の色を定義し直し、地図画像データを作り替えなければならないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するものであり、地図のデザインに対する制限を減らしつつ、現在位置の測位の精度を高めるために好適な、ナビゲーション端末、ナビゲーションシステム、及び、ナビゲーション端末の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るナビゲーション端末は、
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付部と、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを取得する第1の地図情報取得部と、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを取得する第2の地図情報取得部と、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成部と、
前記生成された合成画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記画像生成部は、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれない場合、前記第1の地図情報取得部により前記第1の地図画像データを新たに取得し、前記新たに取得した第1の地図画像データのうち現在位置に対応する位置に前記所定のマーク画像を配置してもよい。
【0009】
前記画像生成部により生成される前記差分を表す画像データは、前記取得された現在位置から前記受け付けられた目的地までの経路を示す画像であってもよく、
前記画像生成部は、前記経路を示す画像として、前記経路に相当する部分を第1の所定色に設定し、それ以外の部分を前記第1の所定色と異なる第2の所定色に設定した2値画像を生成してもよい。
【0010】
前記第1の地図情報取得部は、前記ナビゲーション端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバー装置から前記第1の地図画像データを取得し、
前記第2の地図情報取得部は、前記第1の地図画像データが取得された後、前記サーバー装置から前記第2の地図画像データを取得してもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーション端末とサーバー装置とを有するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション端末は、
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付部と、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
を備え、
前記サーバー装置は、
地図データを予め記憶する記憶部と、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを生成して前記ナビゲーション端末へ送信する第1の地図情報生成部と、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを生成して前記ナビゲーション端末へ送信する第2の地図情報生成部と、
を備え、
前記ナビゲーション端末は、
前記生成された第1の地図画像データを前記サーバー装置から取得する第1の地図情報取得部と、
前記生成された第2の地図画像データを前記サーバー装置から取得する第2の地図情報取得部と、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成部と、
前記生成された合成画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の観点に係るナビゲーション端末の制御方法は、
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付ステップと、
現在位置を取得する現在位置取得ステップと、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを取得する第1の地図情報取得ステップと、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを取得する第2の地図情報取得ステップと、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成ステップと、
前記生成された合成画像を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、地図のデザインに対する制限を減らしつつ、現在位置の測位の精度を高めるために好適な、ナビゲーション端末、ナビゲーションシステム、及び、ナビゲーション端末の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ナビゲーションシステムの概要構成を示す図である。
【図2】ナビゲーション端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】サーバー装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】経路付き地図データの構成例を示す図である。
【図5】経路無し地図データの構成例を示す図である。
【図6】経路データの構成例を示す図である。
【図7】ナビゲーション処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】現在地補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】(a)経路付き地図データの構成例を示す図である。(b)経路無し地図データの構成例を示す図である。(c)経路データの構成例を示す図である。
【図10】ナビゲーション画面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態のナビゲーションシステム100の概要構成を示す図である。ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション端末10、サーバー装置20、通信ネットワーク30から構成される。
【0016】
ナビゲーション端末10は、移動経路、地図、交通情報などをユーザーに提供する端末である。ナビゲーション端末10は、典型的にはユーザーが搭乗する車両に設置され、車両の現在位置と地図データを用いて、出発地(現在地)から目的地までの経路を画像と音声により案内する。また、ナビゲーション端末10は、ユーザーからの要求に応じて店舗や施設等の案内や観光案内を提供したり、交通情報を受信してユーザーに知らせたりする。
【0017】
サーバー装置20は、指定された(地理的な)位置周辺の地図データを送信する旨の要求をナビゲーション端末10から受け付けると、要求された位置周辺の地図データをそのナビゲーション端末10へ送信する。サーバー装置20は、様々な地域の地形図、地域図、道路、施設等のデータを予め記憶しており、ナビゲーション端末10からの要求に応じて適宜データを送信する。サーバー装置20に記憶されるデータは、管理者の指示により更新される。
【0018】
ナビゲーション端末10とサーバー装置20は、通信ネットワーク30を介して接続されている。通信ネットワーク30は典型的にはインターネットである。ナビゲーション端末10は無線通信で通信ネットワーク30にアクセスする。
【0019】
本図にはナビゲーション端末10が1つしか記載されていないが、サーバー装置20は複数のナビゲーション端末10に並行してデータを送受信することができる。以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、ナビゲーションシステム100にナビゲーション端末10が1つだけ接続されているものとする。
【0020】
次に、本実施形態のナビゲーション端末10のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。ナビゲーション端末10は、制御部201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、通信部205、走行センサー206、音声処理部207、画像処理部208、入力装置209を備える。
【0021】
制御部201は、ECU(Electronic Control Unit)あるいはCPU(Central Processing Unit)から構成され、ROM202に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、ナビゲーション端末10の全体を制御する。制御部201は、レジスターという高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。
【0022】
ROM202は、オペレーティングシステム(OS)、プログラム、その他のデータ等を予め記憶する不揮発性メモリである。
【0023】
RAM203は、データやプログラムを一時的に記憶する。RAM203には、記憶装置204から読み出したプログラムやデータが記憶される。また、制御部201は、RAM203に変数領域を設け、この変数領域に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM203に格納された値を一旦レジスターに格納してからレジスターに対して演算を行ったりして、演算結果をRAM203に書き戻す、などの処理を行う。
【0024】
記憶装置204は、ハードディスクドライブもしくはフラッシュメモリーを備え、サーバー装置20から受信した地図情報や、ナビゲーション端末10を動作させるための各種設定データ、画像データ、音声データ、OS、ユーザーが保存を指示した任意のデータなどを記憶する。
【0025】
通信部205は、GPS(Global Positioning System)モジュールを備える。GPSモジュールは、複数のGPS衛星からのGPS電波を受信し、受信結果を制御部201に入力する。制御部201は、GPSモジュールを制御して、ナビゲーション端末10の現在位置(以下「現在地」とも言う。)を取得することができる。また、通信部205は、通信ネットワーク30に接続するためのNIC(Network Interface Card)を備える。
【0026】
走行センサー206は、速度センサー、加速度センサー、もしくは、ジャイロセンサー等を備え、ナビゲーション端末10が搭載された車両の走行スピード、移動距離、進行方向などを計測する。
【0027】
音声処理部207は、記憶装置204から読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、音声をスピーカー251から出力する。制御部201は、音声処理部207を制御して、任意のタイミングで音声データを再生してスピーカー251から再生音を出力することができる。また、音声処理部207は、マイクロフォン252で集音した音声をデジタル音声信号に変換し、制御部201に入力する。制御部201は、音声処理部207を制御して、マイクロフォン252で集音した音声を取り込み、得られた音声データを用いて音声認識を行い、ユーザーが発した言葉に応じた処理を行うことができる。
【0028】
画像処理部208は、記憶装置204から読み出された画像データを、制御部201や画像処理部208が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、画像処理部208が備えるフレームメモリーに記録する。フレームメモリーに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され、画像処理部208に接続されるモニター253へ出力される。
【0029】
入力装置209は、電源ボタン、カーソルボタン等を備え、ボタンが押圧されることによるユーザーからの指示を受け付ける。例えば、制御部201は、入力装置209がユーザーから受け付けた指示に基づいて、目的地等を設定する。また、入力装置209は、モニター253の表面に貼り付けられるタッチセンサーを備え、ユーザーによるタッチ操作を、タッチセンサーを用いて検知することにより、ユーザーから指示を受け付けてもよい。液晶パネル等の薄型モニターの表面にタッチセンサーが重畳された装置全体を一般にタッチパネルという。
【0030】
次に、サーバー装置20のハードウェア構成などについて、図3〜図6を用いて説明する。サーバー装置20は、典型的にはメインフレームと呼ばれる大型のコンピュータである。サーバー装置20は、制御部301、通信部302、記憶部303を備える。
【0031】
制御部301は、CPUなどから構成され、記憶部303に記憶されるOSやプログラム等に従ってサーバー装置20全体を制御する。例えば、制御部301は、ナビゲーション端末10から送信を要求された地図情報を記憶部303から読み出し、読み出した地図情報を、通信部302を制御してナビゲーション端末10へ送信する。制御部301は、ナビゲーション端末10から要求された条件に応じて、適宜地図情報を送信する。
【0032】
通信部302は、NICやルータ、モデム等といった通信用デバイスから構成される。通信部302は、制御部301の制御により、通信ネットワーク30に接続されたナビゲーション端末10と通信する。
【0033】
記憶部303は、ハードディスク装置、ワークエリアとなるRAMなどの記憶装置、ROMなどといった記憶装置から構成される。例えば、記憶部303は、サーバー装置20全体を制御するためのプログラムやOSをROMに予め記憶するほか、ナビゲーション端末10へ送信する地図情報を予め記憶している。
【0034】
ここで、制御部301がナビゲーション端末10へ送信する地図情報について詳しく説明する。制御部301は、記憶装置303に記憶されている地図情報の中から、出発地(現在地)周辺、目的地周辺、及び、出発地から目的地までの経路沿いの地図情報を検索してナビゲーション端末10へ送信したり、出発地と目的地に応じて加工した地図情報をナビゲーション端末10へ送信したりする。例えば、制御部301は、記憶装置303から読み出した地図を表す画像に、出発地から目的地までの経路を強調して描く、という加工を施す。
【0035】
地図情報には、地図を表す地図画像データと、地図の描画範囲を緯度と経度によって表す描画範囲データと、が含まれる。また、地図情報には、図4に示すような経路付き地図情報400と、図5に示すような経路無し地図情報500の2種類がある。ここで言う経路とは、ナビゲーション端末10を搭載した車両が出発地から目的地まで移動するための、ナビゲーション端末10がユーザーに提示する道筋のことである。ユーザーには、この経路が示す通りに移動するように案内される。
【0036】
ナビゲーションシステム100の提供側は、道路を所定色で塗らなければならないといったような制限を設けることなく地図情報を作成することができ、オリジナルのデザインの地図画像を作成し記憶部303に記憶させることができる。
【0037】
経路付き地図情報400の地図画像データ410には、制御部301が探索した経路を示すライン430が含まれる。例えば、制御部301は、探索した経路に沿って道路の表示色を他の色に変更したり、経路に含まれない部分よりも相対的に太く道路を描いたりすることによってライン430を表現し、経路の部分と経路でない部分とを区別して表示する。変更する色あるいは線の太さは任意である。
【0038】
描画範囲データ420(本図では420A,420Bの2つ)は、地図画像データ410が表す領域を、緯度と経度を用いて示すデータである。本実施形態では、地図画像データ410の左上の頂点451における緯度と経度を示す第1の描画範囲データ420Aと、地図画像データ410の右下の頂点452における緯度と経度を示す第2の描画範囲データ420Bと、が設定される。地図画像データ410は長方形又は正方形であるので、これら2点の緯度と経度が定まれば、残りの頂点453,454の緯度と経度や、描画領域内の任意の位置の緯度と経度を簡単に得ることができる。
【0039】
一方、経路無し地図情報500の地図画像データ510には、経路を示すラインは含まれない。地図画像データ510は、記憶部303に予め記憶される全地域の地図画像データの中から、指定された領域を抽出して得られるデータである。
【0040】
描画範囲データ420と同様、描画範囲データ520(本図では520A,520Bの2つ)は、地図画像データ510が表す領域を、緯度と経度を用いて示すデータである。本実施形態では、地図画像データ510の左上の頂点551における緯度と経度を示す第1の描画範囲データ520Aと、地図画像データ510の右下の頂点552における緯度と経度を示す第2の描画範囲データ520Bと、が設定される。地図画像データ510は長方形又は正方形であるので、これら2点の緯度と経度が定まれば、残りの頂点553,554の緯度と経度や、描画領域内の任意の位置の緯度と経度も簡単に得られる。
【0041】
ナビゲーション端末10の制御部201は、描画範囲データ420と描画範囲データ520を一致させた2つの地図画像データ410,510の差分から、図6に示すように、探索した経路を示すライン430を抜き出したデータ(経路画像データ)610を得ることができる。描画範囲データ620は、描画範囲データ420,520と同一である。経路画像データ610と描画範囲データ620を合わせて経路情報600と呼ぶ。後述するように、制御部201は、地図画像データ410,510及び経路画像データ610を用いて、効率よくマップマッチングを行うことができる。
【0042】
また、2つの地図画像データ410,510の差分を求めることにより、探索した経路の位置や形状を取得することができるので、ナビゲーションシステム100の提供側で道路の色などを予め固定しておかなければならないといった制限を設ける必要はなく、地図画像データを作成する手間を軽減することができる。
【0043】
次に、ナビゲーション端末10とサーバー装置20が連携して行うナビゲーション処理について、図7,図8のフローチャートを用いて説明する。ナビゲーション端末10は、目的地の入力をユーザーから受け付け、受け付けられた目的地とナビゲーション端末20の現在地とを示すデータをサーバー装置20へ送信する。ナビゲーション端末10は、サーバー装置20が検索した現在地から目的地までの経路を含む経路付き地図情報400と、経路を含まない経路無し地図情報500を、ナビゲーション端末10へ送信する。ナビゲーション端末10は、受信したこれらの情報を用いて、ユーザーに道案内等のサービスを提供する。以下、詳述する。
【0044】
ナビゲーション端末10の電源が投入されると、制御部201は、通信部205のGPSモジュールを制御して、ナビゲーション端末10の現在地を取得する。ナビゲーション端末10の現在地は、緯度と経度の組み合わせによって表される。制御部201が現在地を取得するタイミングは任意であるが、本実施形態では、制御部201は、ナビゲーション端末10の電源が入っているとき、所定の定期的なタイミングで、バックグラウンドで現在地を繰り返し取得する。
【0045】
制御部201は、目的地の入力を受け付ける画面をモニター253に表示し、ユーザーから入力を受け付ける。例えばユーザーは、モニター253に表示された目的地の候補のリストの中からタッチパネルで目的地を選択したり、住所、電話番号、緯度と経度、地名などを入力したりすることにより、所望の目的地を入力する。なお、ナビゲーション端末10は、目的地の候補のリストを記憶装置204等に予め記憶していてもよいし、サーバー装置20から都度取得するようにしてもよい。
【0046】
制御部201は、通信部205を制御して、ナビゲーション端末10の現在地と受け付けられた目的地を示すデータをサーバー装置20へ送信する(ステップS701)。
【0047】
サーバー装置20の制御部301は、ナビゲーション端末10の現在地と受け付けられた目的地を示すデータをナビゲーション端末10から受信する(ステップS702)。
【0048】
制御部301は、受信した現在地と目的地を示すデータに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索する(ステップS703)。
【0049】
なお、ナビゲーション端末10が最短距離モードや有料道路優先モードなど複数の経路探索方法の中からいずれか1つを指定する入力をユーザーから更に受け付け、受け付けた結果をサーバー装置20へ送信し、また、サーバー装置20がユーザーによって指定された経路探索方法を用いて現在地から目的地までの経路を探索するようにしてもよい。
【0050】
制御部301は、探索した経路に基づいて、経路付き地図情報400を生成する(ステップS704)。すなわち、制御部301は、現在地から目的地までの経路周辺の地図画像データを記憶部303から読み出して取得する。そして、制御部301は、取得した地図画像データに含まれる道路のうち探索した経路上にあたる道路に相当する画像部分の色を変更することにより、図4に例示されるような経路付き地図情報400の地図画像データ410を生成する。制御部301は、生成した地図画像データ410の2つの頂点451,452の緯度と経度を示すデータを、それぞれ描画範囲データ420A,420Bとする。
【0051】
制御部301は、通信部302を制御して、ステップS704で生成した経路付き地図情報400をナビゲーション端末10へ送信する(ステップS705)。
【0052】
ナビゲーション端末10の制御部201は、経路付き地図情報400をサーバー装置20から受信して(ステップS706)、RAM203に記憶する。
【0053】
ここで受信した経路付き地図情報400に含まれる地図画像データ410に、ナビゲーション端末10の現在地(つまりユーザーが搭乗している車両の現在地)を示すマーク画像を合成し、得られた合成画像をモニター253に表示することにより、ユーザーにナビゲーションサービスを提供することも可能なのであるが、GPSによる測量の誤差や走行センサー206による測量の誤差などにより、まるで“車両が道路上を走っていない”ように表示されてしまうことがある。そこで、制御部201は、以下に述べるように、経路付き地図情報400だけでなく、経路なし地図情報500を取得して、現在地を補正し、測位の精度を高め、表示上の不具合が起きないようにしているのである。
【0054】
制御部201は、ステップS706で受信した経路付き地図情報400に含まれる描画範囲データ420が示す描画範囲と同一の描画範囲の経路無し地図情報500の送信を、サーバー装置20に要求する(ステップS707)。
【0055】
サーバー装置20の制御部301は、経路無し地図情報500の送信の要求をナビゲーション端末10から受信し、経路無し地図情報500を生成する(ステップS708)。すなわち、制御部301は、描画範囲データ420が示す描画範囲と同一描画範囲の地図画像データを記憶部303から読み出して取得し、経路無し地図情報500の地図画像データ510とする。描画範囲データ520は、描画範囲データ420と同一である。
【0056】
制御部301は、ステップS708で生成した経路無し地図情報500をナビゲーション端末10へ送信する(ステップS709)。ナビゲーション端末10の制御部201は、経路無し地図情報500をサーバー装置20から受信する(ステップS710)。
【0057】
ナビゲーション端末10の制御部201は、ステップS706で受信した経路付き地図情報400と、ステップS710で受信した経路無し地図情報500とから、経路情報600を生成する(ステップS711)。制御部201は、経路付き地図情報400の地図画像データ410と、経路無し地図情報500の地図画像データ510との差分を、経路画像データ610とする。制御部201は、図6に例示するような経路情報600を得る。
【0058】
経路画像データ610を得る手法の概要を、図9(a)〜(c)を用いて簡単に説明する。経路付き地図情報400の地図画像データ410は、図9(a)に示すように複数の画素(ピクセル、ドットとも言う。)から構成されている。同様に、経路無し地図情報500の地図画像データ510は、図9(b)に示すように複数の画素から構成されている。地図画像データ410の画素数と地図画像データ510の画素数は同じとする。制御部201は、経路付き地図情報400の地図画像データ410を構成する各画素に対応付けられる色などを指定するパラメータ(図面ではR1,G1,B1などと記載。以下「画素値」という。)が、経路無し地図情報500の地図画像データ510を構成する全画素のうち同じ座標に相当する画素の画素値と同じか否かを判別する。
【0059】
例えば、図9(a)に示す地図画像データ410と、図9(b)に示す地図画像データ510とを比較すると、X方向の4列目の画素値が異なっている。従って、制御部201は、図9(c)に示すように、X方向の4列目の画素値を地図画像データ410と同値(R4,G4,B4)とし、残りの1〜3列目及び5列目の画素値をすべて所定の既定値(R0,G0,B0)とした、経路画像データ610を得る。すなわち、経路画像データ610は、第1の所定色(ここでは(R4,G4,B4)で表される色)と、第1の所定色と異なる第2の所定色(ここでは(R0,G0,B0)で表される色)とにより構成される2値画像である。
【0060】
次に、ナビゲーション端末10とサーバー装置20は、現在地補正処理を実行する(ステップS712)。
【0061】
より詳細には、ナビゲーション端末10の制御部201は、通信部205のGPSモジュールを制御して、ナビゲーション端末10の現在地を取得する(図8;ステップS801)。現在地は緯度と経度で表される。現在地は通信部205によってバックグラウンドで繰り返し取得されるのであるが、ここでは最新の現在地が用いられるという意味であえてステップS801を記載している。
【0062】
制御部201は、ステップS801で取得した現在地と、ステップS711で生成した経路画像データ610とに基づいて、現在地の周囲に設定される想定誤差範囲内に、探索した経路が存在するか否かを判別する(ステップS802)。想定誤差範囲は、例えば、経路画像データ610中の現在地に対応する画素を中心とする所定半径の円内である。
【0063】
なお、制御部201は、この半径の大きさを任意の値に設定することができる。また、制御部201は、この半径の大きさを地図の縮尺あるいは経路画像データ610の解像度に応じて変化させてもよい。
【0064】
想定誤差範囲内にライン430が存在しないと判別された場合(ステップS802;NO)、制御部201は、ステップS801で取得した現在地と、ユーザーによって入力された目的地と、ステップS706で受信した経路付き地図情報400に含まれる描画範囲データ420が示す描画範囲と、を示すデータを、サーバー装置20へ送信する(ステップS803)。サーバー装置20の制御部301は、現在地と目的地とを示すデータをナビゲーション端末10から受信する(ステップS804)。
【0065】
制御部301は、受信した現在地と目的地を示すデータに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索する(ステップS805)。
【0066】
更に、制御部301は、ステップS805で探索した経路に基づいて、新たな経路付き地図情報400を生成する(ステップS806)。
【0067】
そして、制御部301は、ステップS806で生成した新たな経路付き地図情報400をナビゲーション端末10へ送信する(ステップS807)。
【0068】
ナビゲーション端末10の制御部201は、新たな経路付き地図情報400をサーバー装置20から受信する(ステップS808)。
【0069】
ナビゲーション端末10の制御部201は、ステップS808で受信した新たな経路付き地図情報400と、ステップS710で受信した経路無し地図情報500とから、新たな経路情報600を生成する(ステップS809)。
【0070】
制御部201は、ステップS808で新たに受信した経路付き地図情報400の地図画像データ410のうち、ステップS801で取得した現在地に対応する画像部分に、ナビゲーション端末10の現在地を示す所定のマーク画像を配置する(ステップS810)。
【0071】
例えば、図10に示すように、制御部201は、探索された経路1060を含む地図画像データ410の再生画像に、ナビゲーション端末10の現在地を示す所定のマーク画像1050を配置する。
【0072】
一方、ステップS802において、想定誤差範囲内に経路が存在すると判別された場合(ステップS802;YES)、制御部201は、ステップS706で受信した経路付き地図情報400のうち、ステップS801で取得された現在地の、想定誤差範囲内で最寄りの道路上に、ナビゲーション端末10の現在地を示す所定のマーク画像を配置する(ステップS811)。
【0073】
制御部201は、ステップS810で現在地を示すマーク画像が配置された地図画像データ、もしくは、ステップS811で現在地を示すマーク画像が配置された地図画像データを用いて、ナビゲーション画面を生成する(ステップS812)。
【0074】
そして、制御部201は、ステップS812で生成したナビゲーション画面をモニター250へ表示する(図7;ステップS713)。ユーザーは、表示されたナビゲーション画面に従って移動すれば、効率よく目的地に到達することができる。
【0075】
制御部201は、ナビゲーション端末10が目的地に到達したか否かを判別する(ステップS714)。目的地に到達していないと判別した場合(ステップS714;NO)、ナビゲーション端末10とサーバー装置20は、ステップS712〜S714の処理を繰り返す。目的地に到達したと判別した場合(ステップS714;YES)、ナビゲーション端末10とサーバー装置20は、ナビゲーション処理を終了する。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、地図画像を作成する際の制限をなるべく抑えつつ、現在位置の測位の精度を高めることができる。例えば、ナビゲーションシステム100によるサービスの提供者は、ナビゲーション端末10にマップマッチングを適切に行わせることができ且つ独自性のあるデザインの地図画像を作成することができ、ユーザーに提供できるサービスの自由度を高めることができる。
【0077】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0078】
ナビゲーション装置10の全部又は一部、もしくはサーバー装置20の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0079】
さらに、インターネット上のサーバー装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、地図のデザインに対する制限を減らしつつ、現在位置の測位の精度を高めるために好適なナビゲーション端末、ナビゲーションシステム、及び、ナビゲーション端末の制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 ナビゲーション端末
20 サーバー装置
30 通信ネットワーク
100 ナビゲーションシステム
201 制御部
202 ROM
203 RAM
204 記憶装置
205 通信部
206 走行センサー
207 音声処理部
208 画像処理部
209 入力装置
251 スピーカー
252 マイクロフォン
253 モニター
301 制御部
302 通信部
303 記憶部
400 経路付き地図情報
410 地図画像データ
420,420A,420B 描画範囲データ
430 ライン
451〜454 頂点
500 経路無し地図情報
510 地図画像データ
520,520A,520B 描画範囲データ
551〜554 頂点
600 経路情報
610 経路画像データ
620,620A,620B 描画範囲データ
651〜654 頂点
1050 経路
1060 ナビゲーション端末の現在地を示すマーク画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付部と、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを取得する第1の地図情報取得部と、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを取得する第2の地図情報取得部と、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成部と、
前記生成された合成画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれない場合、前記第1の地図情報取得部により前記第1の地図画像データを新たに取得し、前記新たに取得した第1の地図画像データのうち現在位置に対応する位置に前記所定のマーク画像を配置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション端末。
【請求項3】
前記画像生成部により生成される前記差分を表す画像データは、前記取得された現在位置から前記受け付けられた目的地までの経路を示す画像であり、
前記画像生成部は、前記経路を示す画像として、前記経路に相当する部分を第1の所定色に設定し、それ以外の部分を前記第1の所定色と異なる第2の所定色に設定した2値画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション端末。
【請求項4】
前記第1の地図情報取得部は、前記ナビゲーション端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバー装置から前記第1の地図画像データを取得し、
前記第2の地図情報取得部は、前記第1の地図画像データが取得された後、前記サーバー装置から前記第2の地図画像データを取得する、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のナビゲーション端末。
【請求項5】
ナビゲーション端末とサーバー装置とを有するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション端末は、
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付部と、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
を備え、
前記サーバー装置は、
地図データを予め記憶する記憶部と、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを生成して前記ナビゲーション端末へ送信する第1の地図情報生成部と、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを生成して前記ナビゲーション端末へ送信する第2の地図情報生成部と、
を備え、
前記ナビゲーション端末は、
前記生成された第1の地図画像データを前記サーバー装置から取得する第1の地図情報取得部と、
前記生成された第2の地図画像データを前記サーバー装置から取得する第2の地図情報取得部と、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成部と、
前記生成された合成画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
ユーザーから目的地を指定する入力を受け付ける入力受付ステップと、
現在位置を取得する現在位置取得ステップと、
前記取得された現在位置から前記目的地までの経路を示す画像を含む第1の地図画像データを取得する第1の地図情報取得ステップと、
前記第1の地図画像データと同じ描画範囲であって前記経路を示す画像を含まない第2の地図画像データを取得する第2の地図情報取得ステップと、
前記取得された第1の地図画像データと前記取得された第2の地図画像データとの差分を表す画像データを生成し、前記差分を表す画像データに前記取得された現在位置が含まれる場合、前記第1の地図画像データのうち前記取得された現在位置に対応する位置に所定のマーク画像を合成した合成画像を生成する画像生成ステップと、
前記生成された合成画像を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とするナビゲーション端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−211862(P2012−211862A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78357(P2011−78357)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】