ナビゲーション端末およびその方法
【課題】点在するICタグを用いて位置を特定するナビゲーションシステムにおいて、目的地を入力すると即座に正しいナビゲーションを開始できるナビゲーション端末およびその方法を提供する。
【解決手段】ICタグリーダ3は、ICタグ内蔵誘導ブロック4に内蔵されるICタグより、位置情報を読み取る。位置情報を読み取った時に、読み取った位置情報を携帯情報端末1へ送信する。方位センサ2は、方位を計測するセンサを内蔵しており、このセンサが計測する方位を示す値を方位情報として読み取り、方位情報を一定時間毎に携帯情報端末1へ送信する。携帯情報端末1は、ICタグリーダ3より位置情報を受信し、また、方位センサ2より方位情報を受信し、受信した位置情報と方位情報を用いて現在位置を特定し、入力された目的地までのナビゲーションを行う。
【解決手段】ICタグリーダ3は、ICタグ内蔵誘導ブロック4に内蔵されるICタグより、位置情報を読み取る。位置情報を読み取った時に、読み取った位置情報を携帯情報端末1へ送信する。方位センサ2は、方位を計測するセンサを内蔵しており、このセンサが計測する方位を示す値を方位情報として読み取り、方位情報を一定時間毎に携帯情報端末1へ送信する。携帯情報端末1は、ICタグリーダ3より位置情報を受信し、また、方位センサ2より方位情報を受信し、受信した位置情報と方位情報を用いて現在位置を特定し、入力された目的地までのナビゲーションを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点在するICタグにより位置を特定しナビゲーションを行うナビゲーション端末およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者である視覚障害者を、現在位置から目的地までナビゲーションするシステムが提案されている(特許文献1または特許文献2を参照)。これら文献によれば、通路上の視覚障害者用の誘導ブロックに位置情報を記憶させたICタグを埋め込み、使用者が用いる携帯情報端末に接続されたICタグリーダで、埋め込まれたICタグから位置情報を読み取り、読み取った位置情報に基づいて、携帯情報端末からの出力を通じて使用者を目的地までナビゲーションする。
【0003】
しかしながら、位置情報を記憶させたICタグは全ての誘導ブロックに埋め込まれているわけではなく、誘導ブロックが敷設された通路が交差する場所や横断歩道の手前など一部の誘導ブロックのみにICタグが埋め込まれている。つまり、ICタグは全ての誘導ブロックは、点在している。
上記のような点在するICタグを用いた位置を特定する技術を用いる場合、ICタグが設置されている場所と設置されている場所の間においては、ICタグが設置されていないので、ICタグが検知できない場所が存在することがある(図23)。そのため従来の技術では、使用者がこのようなICタグが検知できない場所において、使用者によって目的地が入力されると、使用者の現在の位置が正確に特定できないために、ナビゲーションの開始が即座にできないという問題がある。
【0004】
また、例えば、ICタグを読み取って位置情報を取得してから(図24(a)のT1の位置)、携帯情報端末に目的地を入力するまでに、使用者の現在位置が変わってしまっている場合がある(図24(b)のP1の位置)。または、ICタグが埋め込まれている誘導ブロック(図24(a)のT1の位置)から少し移動して(図24(b)のP1の位置)、目的地を入力する場合がある。このようにICタグが埋め込まれている誘導ブロックから離れた位置にいる時に目的地を入力した場合には、ICタグによる位置情報(図24(a)のT1の位置)が現在の位置(図24(b)のP1の位置)を正確に示していないので、正確なナビゲーションができないという問題がある。
例えば、図24(c)に示すように、現在位置がP1の位置で目的地P2を入力した場合、ICタグにより取得された現在位置がT1となっているので、誤ったナビゲーションをすることになる。もし、現在位置がT1であれば、目的地P2までの最適経路として、R1、R2、R3、R4と計算され、計算された最適経路によりナビゲーションが行われる。しかしながら、実際には現在位置がT1ではなくP1であるため、R1に相当するR5とナビゲーションが実行され、間違ったナビゲーションが行われてしまうという問題がある。
【0005】
また、即座には正しいナビゲーションを開始できず、隣接する隣のICタグが埋め込まれている誘導ブロックに到着し、新たな位置情報を取得してからしかナビゲーションが開始できないという問題がある。
例えば、図24(d)に示すように、使用者はICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT1からT2へ進んでおり、T1とT2の間の位置である位置P1で目的地P2を入力したとする。位置P1では、ICタグによる正確な位置が特定されないため、正確なナビゲーションを行うことが出来ない。そのため、使用者が更に進んでICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT2に到着した時点で、ICタグによりT2の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいてナビゲーションが行われる。この場合、取得したT2の位置情報より、目的地P2までの最適経路としてR10、R11、R12、R13、R14が計算され、計算された最適経路によりナビゲーションが行われる。
【0006】
このようにICタグにより位置情報が取得できるT1とT2の間の位置である位置情報が取得できない位置P1で目的地を入力した場合、隣接するICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT2に到着するまで正確なナビゲーションが出来ない問題がある。また、この場合、現在位置P1で目的地P2を入力した時点で、T1へ戻るようにナビゲーションを行い、その後R11、R12、R13、R14とナビゲーションすることが望ましい。しかしながら、現在位置がP1の位置であることを、ナビゲーションシステムが計測できないために、ナビゲーションシステムはこのようなナビゲーションが出来ないという問題がある。
このように、従来の技術においては、現在位置を正確に取得するために、隣接するICタグが埋め込まれている誘導ブロックに到着するまで、ナビゲーションシステムはナビゲーションできないという問題がある。
【0007】
以上のように、従来技術においては、位置情報を示すICタグが点在し、ICタグが設置されている場所と場所の間にICタグが検知できない場所が存在する場合には、正確な現在位置が特定できないため、次のICタグが設置されている場所に到着し位置情報を更新し、正確な現在位置を特定するまで正しいナビゲーションを開始できないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−165825号公報
【特許文献2】特開2000−266549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、点在するICタグを用いて位置を特定するナビゲーションシステムにおいて、目的地を入力すると即座に正しいナビゲーションを開始できるナビゲーション端末およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記位置情報履歴記憶手段に記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載のナビゲーション端末において、前記現在位置特定手段が、更に、前記マーカを最後に読み出してからの時間を計測し、前記計測した時間と予め決められた平均速度より平均移動距離を計算し、前記計算した平均移動距離を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の距離として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4に記載のナビゲーション端末において、前記通路情報記憶手段が、更に、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの距離に関する距離情報とを関連付けして記憶しており、前記ナビゲーション端末が、更に、目的地に関する目的地情報を入力する目的地情報入力手段と、前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記入力された目的地情報により特定される目的地までの最適経路を前記通路情報記憶手段に記憶されている方位情報と距離情報に基づいて計算する経路計算手段と、前記計算した最適経路に基づいて音声出力または画面出力によりナビゲーション情報を出力する経路計算結果出力手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5に記載のナビゲーション端末において、前記マーカとマーカリーダが、それぞれ、ICタグとICタグリーダ、または、赤外線マーカと赤外線受光器であることを特徴とするナビゲーション端末である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション方法である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末方法である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定し、前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、点在するICタグを用いて位置を特定するナビゲーションシステムを利用する際、使用者がICタグとICタグの間にいる場合においても、通過したICタグによる位置情報と方位情報の履歴をもとに、使用者の現在位置を特定することができるため、目的地を入力すると即座にナビゲーションシステムの案内を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態によるナビゲーション端末を用いたナビゲーションシステムの構成を示す概略ブロック図である。
ICタグ内蔵誘導ブロック4は、ICタグが埋め込まれており、後述のICタグリーダ3によりICタグに記憶されている情報が読み取られる。ICタグには、隣接するICタグ同士の相対的な位置関係により位置を特定するための情報である位置情報が記憶されている。例えば、ICタグには、それぞれのICタグを識別するための識別情報のみが記憶されており、識別情報に関連して相対的な位置関係の情報である位置情報が対応付けられている。また、識別情報と位置情報の対応が、例えば後述の通路情報記憶機能部14に予め記憶されている。携帯情報端末1は、検出したICタグIDにより通路情報記憶機能部14に記憶されているICタグID同士の相対的な位置関係の情報より、使用者の位置を特定する。
【0020】
ICタグリーダ3は、ICタグ内蔵誘導ブロック4に内蔵されるICタグより、位置情報を読み取る。位置情報を読み取った時に、読み取った位置情報を携帯情報端末1へ送信する。ICタグリーダ3は、例えば、使用者の杖の先に取り付けられるものでもよいし、使用者の靴に取り付けられるものでもよい。
方位センサ2は、方位を計測するセンサを内蔵しており、このセンサが計測する方位を示す値を方位情報として読み取り、方位情報を一定時間毎に携帯情報端末1へ送信する。この方位センサ2が計測する方位は水平方向の方位角度であり、例えば、方位角度として0度から359度の値を計測結果として出力する。方位センサ2は、例えば、使用者の腰などに取り付けられる。
携帯情報端末1は、ICタグリーダ3より位置情報を受信し、また、方位センサ2より方位情報を受信し、受信した位置情報と方位情報を用いて現在位置を特定し、入力された目的地までのナビゲーションを行う。携帯情報端末1は、例えば、専用の携帯小型情報端末や専用のソフトウェアを内蔵した携帯電話やパーソナルコンピュータであり、本発明のナビゲーション端末に相当する。
また、ICタグリーダ3と携帯情報端末1との間で、また、方位センサ2と携帯情報端末1との間では、例えば、有線通信または無線通信にて通信する機能を有する。
【0021】
次に、各装置の機能を、機能ブロック図2を用いて説明する。方位センサ2において、方位検知機能部21は、使用者が向く方位情報を定期的に検知し、検知した方位情報を携帯情報端末1に送信する。ICタグリーダ3において、ICタグ読取機能部31は、ICタグ機能部41に記憶されている位置情報を読み取り、読み取った位置情報を携帯情報端末1に送信する。ICタグ内蔵誘導ブロック4において、ICタグ機能部41は、誘導ブロックや床などに埋め込まれ、位置情報を記憶している。
【0022】
携帯情報端末1は、方位情報履歴記憶機能部12、位置情報履歴記憶機能部13、通路情報記憶機能部14、現在位置特定機能部15、目的地入力機能部16、経路計算機能部17、経路計算結果出力機能部18を有する。
方位情報履歴記憶機能部12は、方位検知機能部21から送信される方位情報を受信し、受信した方位情報の履歴を記憶する。位置情報履歴記憶機能部13は、ICタグ読取機能部31から送信される位置情報を受信し、受信した位置情報の履歴を記憶する。通路情報記憶機能部14は、通路情報を記憶している。通路情報とは、例えば、ICタグの識別情報と、そのICタグに隣接するICタグの情報と、方位と距離が関連付けられている情報である。この通路情報は、例えば、通路に埋め込まれたICタグ内蔵誘導ブロック4の配置に応じて予め決められているものである。
目的地入力機能部16は、ボタン、タッチパネルまたは音声入力などの入力手段を有しており、入力手段を用いて使用者が行こうとする目的地に関する目的地情報の入力を受け付ける。また、目的地入力機能部16は、入力された目的地情報を経路計算機能部17に送信する。
【0023】
現在位置特定機能部15は、目的地入力機能部16を用いて使用者より目的地が入力されると、方位情報履歴記憶機能部12と位置情報履歴記憶機能部13に記憶されている方位情報(の履歴である方位情報履歴)と位置情報(の履歴である位置情報履歴)と、通路情報記憶機能部14に保存されている通路情報を用いて、位置情報による位置を基準とした使用者の方位と距離を特定することにより、使用者の現在位置を特定する。
また、現在位置特定機能部15は、位置情報履歴記憶機能部13に記憶されている最後に読み出したICタグIDの識別情報が示すICタグに隣接する複数のICタグの方位情報を通路情報記憶機能部14より取得し、取得した複数のICタグの方位情報より複数のICタグのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、境界値により複数のICタグの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段を含む。
【0024】
経路計算機能部17は、現在位置特定機能部15で特定された使用者の現在位置から、目的地入力機能部16から受信した目的地情報により指定される目的地までの最適経路である最適経路情報を計算する。また、経路計算機能部17は、計算した最適経路情報を経路計算結果出力機能部18に送信する。
経路計算結果出力機能部18は、画面表示や音声出力などの出力手段を有しており、経路計算機能部17より受信した最適経路情報に基づき、出力手段を用いて使用者を目的地までナビゲーションする。
【0025】
図3に、位置情報履歴記憶機能部13が持つテーブルの一例を示す。テーブルには、時刻を示す時刻情報とICタグの識別情報であるICタグIDが対応付けて記憶されている。ICタグIDは、それぞれのICタグを一意に識別する情報である。
また、図4に、方位情報履歴記憶機能部12が持つテーブルの一例を示す。テーブルには時刻を示す時刻情報と方位を示す方位情報が対応付けて記憶されている。ここでは方位を表すために、図5に示すように、例えば、北を0(度)として、時計回りに0〜359(度)として表している。本実施の形態の説明における方位の定義は、以下同じである。
【0026】
図6に、通路情報記憶機能部14の持つテーブルの一例を示す。テーブルには、ICタグIDと、そのICタグIDのICタグが埋め込まれた誘導ブロックに隣接する誘導ブロックに埋め込まれたICタグのICタグIDと、ICタグIDのICタグが埋め込まれた誘導ブロックを中心とした隣接する誘導ブロックの方位(度)と距離(m)が関連付けて記憶されている。
【0027】
以下、説明のために、ICタグIDがBであるICタグIDをICタグID(B)と表記する。例えば、ICタグを内蔵する誘導ブロックが図7に示すように、ICタグID(B)を中心として、方位が0度であり距離が5mの位置にICタグID(E)が、方位が90度であり距離が5mの位置にICタグID(C)が、方位が180度であり距離が5mの位置にICタグID(D)が、方位が270度であり距離が5mの位置にICタグID(A)が隣接している。また、ICタグID(E)から、方位が90度であり距離が3mの位置にICタグID(F)が隣接している。また、ICタグID(F)から、方位が0度であり距離が3mの位置にICタグID(G)が隣接している。また、ICタグID(G)から、方位が90度であり距離が3mの位置にICタグID(H)が隣接している。ただし、ここで用いる方位とは、図5で説明した方位の定義と同じである。
【0028】
以上のようにICタグが配置されている場合、通路情報記憶機能部14の持つテーブルは図7に示すように、例えば、ICタグID(B)には、隣接するICタグIDとその方位と距離が、それぞれ、ICタグID(A)が270度と5m、ICタグID(C)が90度と5m、ICタグID(D)が180度と5m、ICタグID(E)が0度と5mとして登録される。
【0029】
本実施の形態においては、ICタグのある誘導ブロックは、使用者である視覚障害者の歩行のために重要となる位置に配置されている。例えば、ICタグのある誘導ブロックは、横断歩道の手前、交差点、道の角、バス停に乗り降りする場所、公共施設の前など、視覚障害者の歩行にとって重要な場所となる位置に点在して配置されている。
点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間は、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されており、ICタグのない誘導ブロックによる通路を形成している。また、直線状に長い通路においては、ICタグのある誘導ブロックが、例えば一定の間隔で配置されていてもよい。
以下の説明において、使用者である視覚障害者は、誘導ブロックのある通路に沿って歩行し、ICタグのある誘導ブロックよりICタグIDの情報を読み取りつつ歩行するものとする。
【0030】
次に、携帯情報端末1においてなされる処理を、図8を用いて説明する。まず、携帯情報端末1は位置情報を取得したか否かの判定を行う(ステップS401)。ステップS401にて、位置情報を取得した場合には、取得した位置情報と位置情報を取得した時刻とを位置情報履歴記憶機能部13に記憶する(ステップS402)。
ステップS401で位置情報を取得していない場合、または、ステップS402の次には、携帯情報端末1は方位情報を取得したか否かの判定を行う(ステップS403)。ステップS403にて、方位情報を取得した場合には、取得した方位情報と方位情報を取得した時刻とを方位情報履歴記憶機能部12に記憶する(ステップS404)。
ステップS403で方位情報を取得していない場合、または、ステップS404の次には、携帯情報端末1は目的地情報が入力されたか否かの判定を行う(ステップS405)。目的地情報の入力は、携帯情報端末1のボタン、タッチパネルまたは音声入力などの入力手段により、目的地に関する情報が入力されることにより行われる。目的地情報が入力されていない場合には、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0031】
ステップS405にて目的地情報が入力されている場合には、目的地入力開始時刻を取得し(ステップS406)、位置情報履歴記憶機能部13の保持してある位置情報の中から、最も新しい時刻に対応する位置情報である最新の位置情報を取得し(ステップS407)、方位情報履歴記憶機能部12から方位情報を取得し(ステップS408)、使用者が進んだ通路を求め(ステップS409)、使用者が進んだ距離を求め(ステップS410)、使用者の現在位置を求める(ステップS411)。
ステップS406からステップS411において成される各処理の詳細を、以下に説明する。
【0032】
まず、ステップS406からステップS408において成される処理を、図9と図10を用いて説明する。
まず、ステップS406の目的地入力開始時刻の取得として、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻tをt=d(例えばd=12:00:10)として取得する。
例えば、携帯情報端末1は現在時刻を計測するリアルタイムクロックなどの時計機能を有しており、時計機能より目的地が入力された時刻を取得する。また、例えば、位置情報履歴記憶機能部13および方位情報履歴記憶機能部12に記憶される時刻は、時計機能により取得した時刻であってもよい。
【0033】
次に、位置情報履歴記憶機能部13から、保存されている時刻と位置情報の履歴の中より、時刻の順序で最後の時刻の位置情報である最新の位置情報を取得する(ステップS407)。例えば、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている内容が、図9に示すように、ICタグを読み取った時刻とICタグIDとが時刻の順序で対として保存されているものとする。この場合、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時刻の順序で最後の時刻の情報である、例えば時刻12:00:00をt0として取得し、また、その時刻のICタグIDであるICタグID(B)を取得する。
【0034】
次に、方位情報履歴記憶機能部12より、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時間の順序で最後の時刻の情報である時刻t=t0から、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻t=dまでの方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得する(ステップS408)。例えば、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている内容が、図10に示すように時刻が11:59:57から12:00:10までの間の方位情報が1秒刻みで時間の順に保存されているとする。この場合、方位情報履歴記憶機能部12に保存されている時刻と方位情報より、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時間の順序で最後の時刻の情報である時刻t=t0(=12:00:00)から、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻t=d(=12:00:10)までの方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得する
【0035】
次に、ステップS409の使用者が進んだ通路を求める手順の概要を説明する。使用者は誘導ブロックに沿って歩行しているものとする。ここで、使用者はICタグのある誘導ブロックを通過し、ICタグが埋め込まれていない誘導ブロックの位置にいるとする。
この場合、従来の技術においては、ICタグのある誘導ブロックを通過したことを検知し、検知したICタグの位置を特定することは可能であるが、ICタグのある誘導ブロックを通過した後の使用者の現在の位置をICタグにより特定することはできない。
そこで、歩行者がICタグのある誘導ブロックを通過した後、まず、どの方位の誘導ブロックがある通路に沿って歩いたのかを、方位センサの情報より推定する。ここで推定の方法として、通過したICタグのある誘導ブロックに隣接する誘導ブロックの方位は、通路情報記憶機能部14に記憶されている方位情報より求められ、求められた方位情報と方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報の履歴より、使用者が進んだ通路を特定する。
【0036】
次に、このステップS409において使用者が進んだ通路を求める手順を図11と図12を用いて説明する。
まず、取得した最新位置を中心として、接続される通路の内角二等分線を境界として方位を分割する。これは、まず、位置情報履歴記憶機能部13より取得した最新位置より、取得した最新の位置に接続される通路を通路情報記憶機能部14より求める。次に、取得した最新位置に接続される通路の内角二等分線を求める。次に、取得した最新位置に接続される通路の内角二等分線を境界として分割した分割方位を求める。ここでいう「分割方位」とは、ある方位を中心とした方位の一定の範囲を示すものである。
例えば、図11に示すように、ICタグID(B)を中心として、ICタグID(B)からICタグID(B)に隣接するICタグID(A)とICタグID(D)とICタグID(C)とICタグID(E)の通路に対して、隣り合う通路の内角二等分線を境界として方位を分割する。
次に、使用者の方位センサ2が、例えば図12のB12に示すような矢印の向きを検知したとして説明する。図12のように、検知した方位センサ2の向きが、分割方位Cにより指定される範囲に含まれるとき、分割方位Cに含まれる通路が、使用者が進んだ通路として決定される。
ここでは、説明の簡略化のために、「取得した最新位置」や、「取得した最新位置に接続される通路」として説明を行っているが、これは後述する、最新のICタグIDと、最新のICタグIDに隣接するICタグIDに関連することであり、後に詳述する。
【0037】
次に、分割方位の求め方を、図13と図14を用いて詳細に説明する。まず、中心となるICタグIDと隣接するICタグIDとその方位が、一例として図14(a)に示すように、中心となるICタグIDがICタグID(B)であり、隣接するICタグIDと方位がそれぞれ、ICタグID(A)が方位270度、ICタグID(C)が方位90度、ICタグID(D)が方位180度、ICタグID(E)が方位0度である場合について、分割方位を求める方法を説明する。以下、説明の簡略のために、ICタグID(B)を中心としてICタグID(A)が方位270度である場合、BA(270)と簡略的に表記する。
【0038】
まず、隣接するICタグIDを方位情報の値で昇順にソートする(ステップS801)。その結果、例えば図14(b)に示すように、方位情報の値が小さいものから順にBE(0)、BC(90)、BD(180)、BA(270)となる。
次に、方位情報の値が最小の方位情報の値に360の値を加算したものを新たな方位情報とし、新たな方位情報を方位情報に追加する(ステップS802)。例えば、方位情報の値が最小のものであるBE(0)の方位の値に360を加算し、新たな方位情報としてBE(360(=0+360))を取得し、取得した新たな方位情報を方位情報に加える。その結果として、例えば図14(c)に示すように、方位情報は、方位情報の値が小さいものから順にBE(0)、BC(90)、BD(180)、BA(270)、BE(360(=0+360))となる。
次に、それぞれ隣り合う方位情報の値の平均値を求め、求めた平均値を境地値とする(ステップS803)。例えば、それぞれの境界値は、BE(0)とBC(90)に対して45度、BC(90)とBD(180)に対して135度、BD(180)とBA(270)に対して225度、BA(270)とBE(360)に対して315度となる。その結果としての境界値は、例えば図14(d)に示すように、45度、135度、225度、315度となる。
次に、境界値に下限の0度と上限の359度を追加する(ステップS804)。追加した結果の境界値は、例えば図14(e)に示すように、0度、45度、135度、225度、315度、359度となる。
【0039】
次に、境界値が重複しないように、分割方位の範囲を求める(ステップS805)。例えば、EとCの境界値が45度であることより、Eについては44度以下の範囲、Cについては45度以上の範囲とする。同様に他の境界についても範囲を求め、例えば図14(f)に示すように、0〜44度はEの範囲、45〜134度はCの範囲、135〜224度はDの範囲、225〜314度はAの範囲、315〜359度はEの範囲となる。
以上の処理より、例えば、図14(a)のICタグIDBを中心とした隣接するICタグと方位より、図14(g)に示すような分割方位とその方位の範囲が対となるテーブルが作成される。
【0040】
なお、ここでは、角度は1度きざみで測定されるものとして範囲の境界を考慮し、例えば、EとCの境界値が45度に対して、Eの範囲を「44度以下」でありCの範囲を「45度以上」としたが、範囲の境界はこれに限られるものではなく、例えば、Eの範囲を「45度未満」、Cの範囲を「45度以上」のようにして、分割方位の範囲を決めてもよい。
【0041】
次に、求めた分割方位を用いて、ステップ409の使用者が進んだ通路を求める処理の詳細を説明する。例えば、図15に示すように、使用者がICタグID(A)の方向から来て、更にICタグID(B)を読み取り、ICタグID(E)の方向に進んだ場合について説明する。
まず、ICタグID(B)に接続する通路ごとの分割方位を、先に説明したようにICタグID(B)に隣接するICタグIDとその方位より求める。例えば、図15のICタグID(B)の場合、方位情報履歴記憶機能部12に記憶された方位の値より、各分割方位は方位の値rについて次のように分割されるものとする。
分割方位A:225≦r<315、分割方位C:45≦r<135、分割方位D:135≦r<225、分割方位E:315≦r<360または0≦r<45。
次に、求めた分割方位と、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報より、ステップS410の使用者が進んだ通路を求める。使用者が進んだ通路を求める手法として、3つの手法を以下に説明する。
【0042】
使用者が進んだ通路を求める手法は、ここでは3の手法があり、以下順次説明する。使用者が進んだ通路を求める第1の手法は、図16に示すように、ステップ408で取得した分割方位のうち、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻に指している分割方位に含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS1601)。
例えば、図17に示すように、目的地入力が時刻t=d(=12:00:10)に開始されたとする。時刻t=dにおける、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報は方位4度であり、これは先に求めた分割方位の範囲から分割方位E(315≦r<360または0≦r<45)に含まれる。従って、使用者は分割方位Eに含まれる通路を選んだ、と決定する。
以上説明したように、使用者が進んだ通路を求める第1の手法は、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻における方位を方位情報履歴記憶機能部12より検索し、その検索した方位を含む分割方位を検索し、検索した分割方位の通路を歩行者は移動しているものと決定する手法である。
【0043】
次に、使用者が進んだ通路を求める第2の手法は、図18に示すように、ステップ408で取得した時刻t=t0からt=dまでの方位情報についてそれぞれ分割方位を求め、その分割方位Xに対応する評価値E(X)に定数(例えば1)を加算していく(ステップS1801)。次に、E(X)が最大となる分割方位Xを検出し、検出した分割方位Xに含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS1802)。
例えば、図19に示すように、時刻t=t0(=12:00:00)からt=d(=12:00:10)までの方位情報の履歴について、方位情報を含む分割方位を検出し、検出した分割方位に対応する評価値Eに定数(例えば1)を加算していく。
例えば、時刻12:00:00における方位は、89度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1を加算する。次の時刻12:00:01における方位は、72度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1を加算する。
以上の処理を、方位を決定する対象となる履歴の時刻である時刻t=t0からt=dまで繰り返すことにより、評価値Eとして、E(A)=0、E(C)=2、E(D)=0、E(E)=9を得る。
次に評価値Eの最大となる分割方位を求める。この場合、E(E)=9が最大であり、その分割方位はEとなる。従って、使用者が進んだ通路を求める第2の手法では、使用者は分割方位Eに含まれる通路に進んだ、と決定される。
【0044】
次に、使用者が進んだ通路を求める第3の手法は、図20に示すようにステップ408で取得した時刻t=t0からt=dまでの方位情報について、それぞれ分割方位を求め、その分割方位Xに対応する評価値E(X)に次の値を加算していく。その加算する値とは、使用者が方向転換をすると考えられるt=t0近辺、または使用者が目的地を入力するために方位を変えて立ち止まることが考えられるt=d近辺の比重を軽くする係数を定数(例えば1)に乗算したものである(ステップS2001)。
【0045】
【数1】
ここで用いる係数としては、例えば式(1)で示される関数f(t,t0,d)で特定される関数の値である。この関数のグラフを図22に図示する。図22に示されるように、関数f(t,t0,d)の特徴は、t=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなることである。
次に、E(X)が最大となる分割方位Xを検出し、検出した分割方位Xに含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS2002)。
第2の手法においては、定数(例えば1)が時刻に対して固定であるが、第3の手法においては、時刻に依存する関数f(t,t0,d)によって計算される値を係数として、定数(例えば1)に乗じる点が第2の手法と異なる。
【0046】
例えば、図21に示すように、時刻t=t0(=12:00:00)からt=d(=12:00:10)までの方位情報の履歴について、各方位情報を含む分割方位を検出し、検出した分割方位に対応する評価値Eに、例えば定数1に式A12で求められる係数f(t,t0,d)の値を乗じた値を加算していく。
例えば、時刻12:00:00における方位は、89度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1に係数f(12:00:00,12:00:00,12:00:10)乗じた値を加算する。次の時刻12:00:01における方位は、72度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1に係数f(12:00:01,12:00:00,12:00:10)の値を乗じた値を加算する。
以上の処理を時刻t=t0からt=dまで繰り返すことにより、評価値Eとして、E(A)=0、E(C)=0.095491503、E(D)=0、E(E)=0.904508497を得る。次に評価値Eの最大となる分割方位を求める。この場合、E(E)=0.904508497が最大であるので、分割方位はEとなる。従って、使用者が進んだ通路を求める第3の手法より、使用者は分割方位Eに含まれる通路に進んだ、と決定する。
【0047】
なお式(1)で示される関数は、図22に示されるようにt=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなる関数であるが、第3の手法に用いられる関数は式(1)に限られるものではなく、t=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなる関数であれば他の関数を用いることが可能である。例えば、ガウス関数を用いることも可能である。
【0048】
次に、ステップS410の使用者が進んだ距離を求める。使用者が進んだ距離は距離を求める手法である次の式により求める。
L=v×(d−t0)
ここで、使用者が進んだ距離をL、使用者の平均歩行速度をvとする。また、dとt0はこれまでの説明と同様に、dは目的地入力開始時刻、t0は最新の位置情報取得時刻である。
使用者の平均歩行速度vの値は、例えば、予め決められた値である。例えば、使用者の年齢や歩行の状態に合わせて、歩行する前に事前に設定しておくことにより決められる値である。
【0049】
または、使用者の平均歩行速度vの値は、本発明によるナビゲーション端末を使用する時に、自動的に設定されるようにしてもよい。例えば、使用者がICタグ間の移動に要した時間を位置情報履歴記憶機能部13から取得し、そのICタグ間の距離を通路情報記憶機能部14から取得し、取得した時間と距離より使用者の平均歩行速度vを算出してもよい。
または、更に、方位情報記憶機能部12より、使用者が進んだ分割方位を取得し、取得した分割方位に変化がなく使用者がICタグ間を直進した部分について、ICタグ間の移動に要した時間を位置情報履歴記憶機能部13から取得し、そのICタグ間の距離を通路情報記憶機能部14から取得し、取得した時間と距離より使用者の平均歩行速度vを算出してもよい。
【0050】
以上より、ステップS411の使用者の現在位置は次のようにして求める。使用者の現在位置は、最新の位置情報取得位置から、使用者が進んだ通路を求める第1の手法または第2の手法または第3の手法で求めた通路の方位に、先に求めた使用者が進んだ距離だけ移動した位置である。
【0051】
以上のように、現在位置特定機能部15により歩行者の現在位置に関する情報(現在位置情報)を決定した。その後、目的地入力機能16より入力された目的地情報と、現在位置特定機能部15により決定された現在位置情報と、通路情報記憶機能部14に記憶してある通路情報(方位情報と距離情報)とにより、経路計算機能部17が最適経路を計算し、計算された最適経路に基づき経路計算結果出力機能部18がナビゲーションを行う。これらの処理は、従来技術において成される処理と同様である。
【0052】
以上の方法により、使用者が誘導ブロックに沿って歩いており、ICタグがない誘導ブロックの位置にいたとしても、使用者の現在の位置が特定されるようになったため、ICタグがない任意の場所においても、使用者により目的地を入力されたとき、即座にナビゲーションの提供が可能となる。
【0053】
なお、本発明の説明として、マーカとマーカリーダとして、ICタグとICタグリーダを用いて説明してきたが、本発明の適応はICタグとICタグリーダに限られるものではなく、マーカとマーカリーダとしてICタグとICタグリーダの代わりに、赤外線マーカと赤外線受光器を用いてもよい。また、点在するマーカにより位置が特定される任意の技術に対して、本発明による方法を適応することが可能である。
【0054】
なお、本発明の説明として、携帯情報端末1の通路情報記憶機能部14には、ICタグIDと、そのICタグIDに隣接するICタグのICタグIDと方位(度)と距離(m)の通路情報がテーブルとして予め記憶されているものとして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、携帯情報端末1がインターネット網または携帯電話網へ接続する有線または無線の通信機能を有し、前記通信機能を用いて通路情報を、通路情報を記憶しているサーバより、予めまたは随時取得するようにしてもよい。
なお、本発明の説明において、携帯情報端末1と方位センサ2を別装置として説明を行ったが、携帯情報端末1と方位センサ2とを一体として1つの装置とすることも可能である。また、携帯情報端末1と方位センサ2とICタグリーダ3とを一体として1つの装置とすることも可能である。
【0055】
なお、本実施の形態の説明として、ICタグによる位置を決定するための位置情報とは、通路情報記憶機能部14に予め記憶されているように、ICタグ同士の相対的な位置関係の情報であるものとして説明を行ってきたが、絶対的な位置情報として、例えば、緯度と経度により表してもよい。この場合にも、例えば、緯度と経度にICタグが関連付けして
予め記憶されている。また、本実施の形態の説明に用いたICタグを中心とした近傍のICタグについての相対的な位置情報を、予め記憶されている絶対的な位置情報より求め、本発明を適応してもよい。
【0056】
以上説明した実施の形態によれば、点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間は、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されており、ICタグのない誘導ブロックによる通路を形成しており、使用者が誘導ブロックのある通路に沿って歩行する場合において、使用者がICタグのない誘導ブロックの位置にいる時においても、使用者の現在位置を特定することができるようになり、そのため使用者がICタグのない誘導ブロックの位置において目的地を入力した場合、即座にナビゲーションの案内を提供することができるようになる。
なお、点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間に、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されていない場合においても、使用者がICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間を直進している場合においては、本発明は適応可能である。
例えば、横断歩道の手前にあるICタグのある誘導ブロックと、横断歩道を渡った先にあるICタグのある誘導ブロックの間において、ICタグのある誘導ブロックもICタグのない誘導ブロックもない横断歩道の上においても、ICタグのある誘導ブロックの間を直進している場合には、本発明は適応可能である。
【0057】
なお、本発明の実施の形態において、点在するICタグにより位置を決定したが、目的地に関しても、例えば、目的地の住所が入力された場合、その入力された住所に最も近いICタグを検索し、現在位置から最も近いICタグまでの最適経路を計算し、計算した最適経路に基づいて、通常のナビゲーションを行ってもよい。
目的地の入力の利便性のために、実際の住所、建物の名称、または公共施設などの目的地を示す目的地情報とICタグIDを予め、例えば、携帯情報端末1内の目的地情報−ICタグID記憶手段に関連付けて記憶しておき、目的地入力機能16により目的地情報が入力された時、目的地情報−ICタグID記憶手段を用いて、目的地情報から近くのICタグIDを検索するようにしてもよい。以上の説明のように、携帯情報端末1に、更に目的地情報−ICタグID記憶手段を追加することも可能である。
【0058】
なお、ステップS406において目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻を取得し、また、ステップS408において目的地入力開始時刻に基づいて方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得したが、方位情報履歴記憶機能部12に保存されている最後の時刻を目的地入力開始時刻としてもよい。
また、使用者が進んだ通路を求める3つの手法においても、目的地入力開始時刻を方位情報履歴記憶機能部12に保存されている最後の時刻としてもよい。
【0059】
なお、方位情報履歴機能部12または位置情報履歴機能部13は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
なお、この携帯情報端末1の各機能は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この各機能はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、携帯情報端末1の各機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0060】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は点在するマーカにより位置を特定する位置特定技術を用いたナビゲーションシステムに用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態による携帯情報端末とICタグリーダとICタグ内蔵誘導ブロックと方位センサの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】位置情報履歴記憶機能部13が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図4】方位情報履歴記憶機能部12が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図5】方位の計測方法を説明するための説明図である。
【図6】通路情報記憶機能部14が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図7】図6に示すテーブルに対応するICタグの配置を示す図である。
【図8】携帯情報端末1においてなされる処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】図8のフローチャート図のステップS407を説明する説明図である。
【図10】図8のフローチャート図のステップS408を説明する説明図である。
【図11】図8のフローチャート図のステップS409を説明する説明図その1である。
【図12】図8のフローチャート図のステップS409を説明する説明図その2である。
【図13】分割方位を求める処理の流れを示すフローチャート図である。
【図14】図13のフローチャート図による処理の例を示す説明図である。
【図15】使用者が進んだ通路を求める方法の概要を説明する説明図である。
【図16】使用者が進んだ通路を求める第1の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図17】第1の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図18】使用者が進んだ通路を求める第2の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図19】第2の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図20】使用者が進んだ通路を求める第3の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図21】第3の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図22】第3の手法に用いられる関数のグラフを示す図である。
【図23】ICタグありの誘導ブロックとICタグなしの誘導ブロックがある場合における位置特定の可否を説明する説明図である。
【図24】従来のナビゲーションにおける問題を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯情報端末
2 方位センサ
3 ICタグリーダ
4 ICタグ内蔵誘導ブロック
12 方位情報履歴記憶機能部
13 位置情報履歴記憶機能部
14 通路情報記憶機能部
15 現在位置特定機能部
16 目的地入力機能部
17 経路計算機能部
18 経路計算結果出力機能部
21 方位検知機能部
31 ICタグ読取機能部
41 ICタグ機能部
【技術分野】
【0001】
本発明は、点在するICタグにより位置を特定しナビゲーションを行うナビゲーション端末およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者である視覚障害者を、現在位置から目的地までナビゲーションするシステムが提案されている(特許文献1または特許文献2を参照)。これら文献によれば、通路上の視覚障害者用の誘導ブロックに位置情報を記憶させたICタグを埋め込み、使用者が用いる携帯情報端末に接続されたICタグリーダで、埋め込まれたICタグから位置情報を読み取り、読み取った位置情報に基づいて、携帯情報端末からの出力を通じて使用者を目的地までナビゲーションする。
【0003】
しかしながら、位置情報を記憶させたICタグは全ての誘導ブロックに埋め込まれているわけではなく、誘導ブロックが敷設された通路が交差する場所や横断歩道の手前など一部の誘導ブロックのみにICタグが埋め込まれている。つまり、ICタグは全ての誘導ブロックは、点在している。
上記のような点在するICタグを用いた位置を特定する技術を用いる場合、ICタグが設置されている場所と設置されている場所の間においては、ICタグが設置されていないので、ICタグが検知できない場所が存在することがある(図23)。そのため従来の技術では、使用者がこのようなICタグが検知できない場所において、使用者によって目的地が入力されると、使用者の現在の位置が正確に特定できないために、ナビゲーションの開始が即座にできないという問題がある。
【0004】
また、例えば、ICタグを読み取って位置情報を取得してから(図24(a)のT1の位置)、携帯情報端末に目的地を入力するまでに、使用者の現在位置が変わってしまっている場合がある(図24(b)のP1の位置)。または、ICタグが埋め込まれている誘導ブロック(図24(a)のT1の位置)から少し移動して(図24(b)のP1の位置)、目的地を入力する場合がある。このようにICタグが埋め込まれている誘導ブロックから離れた位置にいる時に目的地を入力した場合には、ICタグによる位置情報(図24(a)のT1の位置)が現在の位置(図24(b)のP1の位置)を正確に示していないので、正確なナビゲーションができないという問題がある。
例えば、図24(c)に示すように、現在位置がP1の位置で目的地P2を入力した場合、ICタグにより取得された現在位置がT1となっているので、誤ったナビゲーションをすることになる。もし、現在位置がT1であれば、目的地P2までの最適経路として、R1、R2、R3、R4と計算され、計算された最適経路によりナビゲーションが行われる。しかしながら、実際には現在位置がT1ではなくP1であるため、R1に相当するR5とナビゲーションが実行され、間違ったナビゲーションが行われてしまうという問題がある。
【0005】
また、即座には正しいナビゲーションを開始できず、隣接する隣のICタグが埋め込まれている誘導ブロックに到着し、新たな位置情報を取得してからしかナビゲーションが開始できないという問題がある。
例えば、図24(d)に示すように、使用者はICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT1からT2へ進んでおり、T1とT2の間の位置である位置P1で目的地P2を入力したとする。位置P1では、ICタグによる正確な位置が特定されないため、正確なナビゲーションを行うことが出来ない。そのため、使用者が更に進んでICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT2に到着した時点で、ICタグによりT2の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいてナビゲーションが行われる。この場合、取得したT2の位置情報より、目的地P2までの最適経路としてR10、R11、R12、R13、R14が計算され、計算された最適経路によりナビゲーションが行われる。
【0006】
このようにICタグにより位置情報が取得できるT1とT2の間の位置である位置情報が取得できない位置P1で目的地を入力した場合、隣接するICタグが埋め込まれている誘導ブロックであるT2に到着するまで正確なナビゲーションが出来ない問題がある。また、この場合、現在位置P1で目的地P2を入力した時点で、T1へ戻るようにナビゲーションを行い、その後R11、R12、R13、R14とナビゲーションすることが望ましい。しかしながら、現在位置がP1の位置であることを、ナビゲーションシステムが計測できないために、ナビゲーションシステムはこのようなナビゲーションが出来ないという問題がある。
このように、従来の技術においては、現在位置を正確に取得するために、隣接するICタグが埋め込まれている誘導ブロックに到着するまで、ナビゲーションシステムはナビゲーションできないという問題がある。
【0007】
以上のように、従来技術においては、位置情報を示すICタグが点在し、ICタグが設置されている場所と場所の間にICタグが検知できない場所が存在する場合には、正確な現在位置が特定できないため、次のICタグが設置されている場所に到着し位置情報を更新し、正確な現在位置を特定するまで正しいナビゲーションを開始できないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−165825号公報
【特許文献2】特開2000−266549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、点在するICタグを用いて位置を特定するナビゲーションシステムにおいて、目的地を入力すると即座に正しいナビゲーションを開始できるナビゲーション端末およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記位置情報履歴記憶手段に記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載のナビゲーション端末において、前記現在位置特定手段が、更に、前記マーカを最後に読み出してからの時間を計測し、前記計測した時間と予め決められた平均速度より平均移動距離を計算し、前記計算した平均移動距離を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の距離として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4に記載のナビゲーション端末において、前記通路情報記憶手段が、更に、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの距離に関する距離情報とを関連付けして記憶しており、前記ナビゲーション端末が、更に、目的地に関する目的地情報を入力する目的地情報入力手段と、前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記入力された目的地情報により特定される目的地までの最適経路を前記通路情報記憶手段に記憶されている方位情報と距離情報に基づいて計算する経路計算手段と、前記計算した最適経路に基づいて音声出力または画面出力によりナビゲーション情報を出力する経路計算結果出力手段と、を有することを特徴とするナビゲーション端末である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5に記載のナビゲーション端末において、前記マーカとマーカリーダが、それぞれ、ICタグとICタグリーダ、または、赤外線マーカと赤外線受光器であることを特徴とするナビゲーション端末である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション方法である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末方法である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定し、前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、ことを特徴とするナビゲーション端末方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、点在するICタグを用いて位置を特定するナビゲーションシステムを利用する際、使用者がICタグとICタグの間にいる場合においても、通過したICタグによる位置情報と方位情報の履歴をもとに、使用者の現在位置を特定することができるため、目的地を入力すると即座にナビゲーションシステムの案内を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態によるナビゲーション端末を用いたナビゲーションシステムの構成を示す概略ブロック図である。
ICタグ内蔵誘導ブロック4は、ICタグが埋め込まれており、後述のICタグリーダ3によりICタグに記憶されている情報が読み取られる。ICタグには、隣接するICタグ同士の相対的な位置関係により位置を特定するための情報である位置情報が記憶されている。例えば、ICタグには、それぞれのICタグを識別するための識別情報のみが記憶されており、識別情報に関連して相対的な位置関係の情報である位置情報が対応付けられている。また、識別情報と位置情報の対応が、例えば後述の通路情報記憶機能部14に予め記憶されている。携帯情報端末1は、検出したICタグIDにより通路情報記憶機能部14に記憶されているICタグID同士の相対的な位置関係の情報より、使用者の位置を特定する。
【0020】
ICタグリーダ3は、ICタグ内蔵誘導ブロック4に内蔵されるICタグより、位置情報を読み取る。位置情報を読み取った時に、読み取った位置情報を携帯情報端末1へ送信する。ICタグリーダ3は、例えば、使用者の杖の先に取り付けられるものでもよいし、使用者の靴に取り付けられるものでもよい。
方位センサ2は、方位を計測するセンサを内蔵しており、このセンサが計測する方位を示す値を方位情報として読み取り、方位情報を一定時間毎に携帯情報端末1へ送信する。この方位センサ2が計測する方位は水平方向の方位角度であり、例えば、方位角度として0度から359度の値を計測結果として出力する。方位センサ2は、例えば、使用者の腰などに取り付けられる。
携帯情報端末1は、ICタグリーダ3より位置情報を受信し、また、方位センサ2より方位情報を受信し、受信した位置情報と方位情報を用いて現在位置を特定し、入力された目的地までのナビゲーションを行う。携帯情報端末1は、例えば、専用の携帯小型情報端末や専用のソフトウェアを内蔵した携帯電話やパーソナルコンピュータであり、本発明のナビゲーション端末に相当する。
また、ICタグリーダ3と携帯情報端末1との間で、また、方位センサ2と携帯情報端末1との間では、例えば、有線通信または無線通信にて通信する機能を有する。
【0021】
次に、各装置の機能を、機能ブロック図2を用いて説明する。方位センサ2において、方位検知機能部21は、使用者が向く方位情報を定期的に検知し、検知した方位情報を携帯情報端末1に送信する。ICタグリーダ3において、ICタグ読取機能部31は、ICタグ機能部41に記憶されている位置情報を読み取り、読み取った位置情報を携帯情報端末1に送信する。ICタグ内蔵誘導ブロック4において、ICタグ機能部41は、誘導ブロックや床などに埋め込まれ、位置情報を記憶している。
【0022】
携帯情報端末1は、方位情報履歴記憶機能部12、位置情報履歴記憶機能部13、通路情報記憶機能部14、現在位置特定機能部15、目的地入力機能部16、経路計算機能部17、経路計算結果出力機能部18を有する。
方位情報履歴記憶機能部12は、方位検知機能部21から送信される方位情報を受信し、受信した方位情報の履歴を記憶する。位置情報履歴記憶機能部13は、ICタグ読取機能部31から送信される位置情報を受信し、受信した位置情報の履歴を記憶する。通路情報記憶機能部14は、通路情報を記憶している。通路情報とは、例えば、ICタグの識別情報と、そのICタグに隣接するICタグの情報と、方位と距離が関連付けられている情報である。この通路情報は、例えば、通路に埋め込まれたICタグ内蔵誘導ブロック4の配置に応じて予め決められているものである。
目的地入力機能部16は、ボタン、タッチパネルまたは音声入力などの入力手段を有しており、入力手段を用いて使用者が行こうとする目的地に関する目的地情報の入力を受け付ける。また、目的地入力機能部16は、入力された目的地情報を経路計算機能部17に送信する。
【0023】
現在位置特定機能部15は、目的地入力機能部16を用いて使用者より目的地が入力されると、方位情報履歴記憶機能部12と位置情報履歴記憶機能部13に記憶されている方位情報(の履歴である方位情報履歴)と位置情報(の履歴である位置情報履歴)と、通路情報記憶機能部14に保存されている通路情報を用いて、位置情報による位置を基準とした使用者の方位と距離を特定することにより、使用者の現在位置を特定する。
また、現在位置特定機能部15は、位置情報履歴記憶機能部13に記憶されている最後に読み出したICタグIDの識別情報が示すICタグに隣接する複数のICタグの方位情報を通路情報記憶機能部14より取得し、取得した複数のICタグの方位情報より複数のICタグのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、境界値により複数のICタグの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段を含む。
【0024】
経路計算機能部17は、現在位置特定機能部15で特定された使用者の現在位置から、目的地入力機能部16から受信した目的地情報により指定される目的地までの最適経路である最適経路情報を計算する。また、経路計算機能部17は、計算した最適経路情報を経路計算結果出力機能部18に送信する。
経路計算結果出力機能部18は、画面表示や音声出力などの出力手段を有しており、経路計算機能部17より受信した最適経路情報に基づき、出力手段を用いて使用者を目的地までナビゲーションする。
【0025】
図3に、位置情報履歴記憶機能部13が持つテーブルの一例を示す。テーブルには、時刻を示す時刻情報とICタグの識別情報であるICタグIDが対応付けて記憶されている。ICタグIDは、それぞれのICタグを一意に識別する情報である。
また、図4に、方位情報履歴記憶機能部12が持つテーブルの一例を示す。テーブルには時刻を示す時刻情報と方位を示す方位情報が対応付けて記憶されている。ここでは方位を表すために、図5に示すように、例えば、北を0(度)として、時計回りに0〜359(度)として表している。本実施の形態の説明における方位の定義は、以下同じである。
【0026】
図6に、通路情報記憶機能部14の持つテーブルの一例を示す。テーブルには、ICタグIDと、そのICタグIDのICタグが埋め込まれた誘導ブロックに隣接する誘導ブロックに埋め込まれたICタグのICタグIDと、ICタグIDのICタグが埋め込まれた誘導ブロックを中心とした隣接する誘導ブロックの方位(度)と距離(m)が関連付けて記憶されている。
【0027】
以下、説明のために、ICタグIDがBであるICタグIDをICタグID(B)と表記する。例えば、ICタグを内蔵する誘導ブロックが図7に示すように、ICタグID(B)を中心として、方位が0度であり距離が5mの位置にICタグID(E)が、方位が90度であり距離が5mの位置にICタグID(C)が、方位が180度であり距離が5mの位置にICタグID(D)が、方位が270度であり距離が5mの位置にICタグID(A)が隣接している。また、ICタグID(E)から、方位が90度であり距離が3mの位置にICタグID(F)が隣接している。また、ICタグID(F)から、方位が0度であり距離が3mの位置にICタグID(G)が隣接している。また、ICタグID(G)から、方位が90度であり距離が3mの位置にICタグID(H)が隣接している。ただし、ここで用いる方位とは、図5で説明した方位の定義と同じである。
【0028】
以上のようにICタグが配置されている場合、通路情報記憶機能部14の持つテーブルは図7に示すように、例えば、ICタグID(B)には、隣接するICタグIDとその方位と距離が、それぞれ、ICタグID(A)が270度と5m、ICタグID(C)が90度と5m、ICタグID(D)が180度と5m、ICタグID(E)が0度と5mとして登録される。
【0029】
本実施の形態においては、ICタグのある誘導ブロックは、使用者である視覚障害者の歩行のために重要となる位置に配置されている。例えば、ICタグのある誘導ブロックは、横断歩道の手前、交差点、道の角、バス停に乗り降りする場所、公共施設の前など、視覚障害者の歩行にとって重要な場所となる位置に点在して配置されている。
点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間は、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されており、ICタグのない誘導ブロックによる通路を形成している。また、直線状に長い通路においては、ICタグのある誘導ブロックが、例えば一定の間隔で配置されていてもよい。
以下の説明において、使用者である視覚障害者は、誘導ブロックのある通路に沿って歩行し、ICタグのある誘導ブロックよりICタグIDの情報を読み取りつつ歩行するものとする。
【0030】
次に、携帯情報端末1においてなされる処理を、図8を用いて説明する。まず、携帯情報端末1は位置情報を取得したか否かの判定を行う(ステップS401)。ステップS401にて、位置情報を取得した場合には、取得した位置情報と位置情報を取得した時刻とを位置情報履歴記憶機能部13に記憶する(ステップS402)。
ステップS401で位置情報を取得していない場合、または、ステップS402の次には、携帯情報端末1は方位情報を取得したか否かの判定を行う(ステップS403)。ステップS403にて、方位情報を取得した場合には、取得した方位情報と方位情報を取得した時刻とを方位情報履歴記憶機能部12に記憶する(ステップS404)。
ステップS403で方位情報を取得していない場合、または、ステップS404の次には、携帯情報端末1は目的地情報が入力されたか否かの判定を行う(ステップS405)。目的地情報の入力は、携帯情報端末1のボタン、タッチパネルまたは音声入力などの入力手段により、目的地に関する情報が入力されることにより行われる。目的地情報が入力されていない場合には、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0031】
ステップS405にて目的地情報が入力されている場合には、目的地入力開始時刻を取得し(ステップS406)、位置情報履歴記憶機能部13の保持してある位置情報の中から、最も新しい時刻に対応する位置情報である最新の位置情報を取得し(ステップS407)、方位情報履歴記憶機能部12から方位情報を取得し(ステップS408)、使用者が進んだ通路を求め(ステップS409)、使用者が進んだ距離を求め(ステップS410)、使用者の現在位置を求める(ステップS411)。
ステップS406からステップS411において成される各処理の詳細を、以下に説明する。
【0032】
まず、ステップS406からステップS408において成される処理を、図9と図10を用いて説明する。
まず、ステップS406の目的地入力開始時刻の取得として、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻tをt=d(例えばd=12:00:10)として取得する。
例えば、携帯情報端末1は現在時刻を計測するリアルタイムクロックなどの時計機能を有しており、時計機能より目的地が入力された時刻を取得する。また、例えば、位置情報履歴記憶機能部13および方位情報履歴記憶機能部12に記憶される時刻は、時計機能により取得した時刻であってもよい。
【0033】
次に、位置情報履歴記憶機能部13から、保存されている時刻と位置情報の履歴の中より、時刻の順序で最後の時刻の位置情報である最新の位置情報を取得する(ステップS407)。例えば、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている内容が、図9に示すように、ICタグを読み取った時刻とICタグIDとが時刻の順序で対として保存されているものとする。この場合、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時刻の順序で最後の時刻の情報である、例えば時刻12:00:00をt0として取得し、また、その時刻のICタグIDであるICタグID(B)を取得する。
【0034】
次に、方位情報履歴記憶機能部12より、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時間の順序で最後の時刻の情報である時刻t=t0から、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻t=dまでの方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得する(ステップS408)。例えば、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている内容が、図10に示すように時刻が11:59:57から12:00:10までの間の方位情報が1秒刻みで時間の順に保存されているとする。この場合、方位情報履歴記憶機能部12に保存されている時刻と方位情報より、位置情報履歴記憶機能部13に保存されている時間の順序で最後の時刻の情報である時刻t=t0(=12:00:00)から、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻t=d(=12:00:10)までの方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得する
【0035】
次に、ステップS409の使用者が進んだ通路を求める手順の概要を説明する。使用者は誘導ブロックに沿って歩行しているものとする。ここで、使用者はICタグのある誘導ブロックを通過し、ICタグが埋め込まれていない誘導ブロックの位置にいるとする。
この場合、従来の技術においては、ICタグのある誘導ブロックを通過したことを検知し、検知したICタグの位置を特定することは可能であるが、ICタグのある誘導ブロックを通過した後の使用者の現在の位置をICタグにより特定することはできない。
そこで、歩行者がICタグのある誘導ブロックを通過した後、まず、どの方位の誘導ブロックがある通路に沿って歩いたのかを、方位センサの情報より推定する。ここで推定の方法として、通過したICタグのある誘導ブロックに隣接する誘導ブロックの方位は、通路情報記憶機能部14に記憶されている方位情報より求められ、求められた方位情報と方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報の履歴より、使用者が進んだ通路を特定する。
【0036】
次に、このステップS409において使用者が進んだ通路を求める手順を図11と図12を用いて説明する。
まず、取得した最新位置を中心として、接続される通路の内角二等分線を境界として方位を分割する。これは、まず、位置情報履歴記憶機能部13より取得した最新位置より、取得した最新の位置に接続される通路を通路情報記憶機能部14より求める。次に、取得した最新位置に接続される通路の内角二等分線を求める。次に、取得した最新位置に接続される通路の内角二等分線を境界として分割した分割方位を求める。ここでいう「分割方位」とは、ある方位を中心とした方位の一定の範囲を示すものである。
例えば、図11に示すように、ICタグID(B)を中心として、ICタグID(B)からICタグID(B)に隣接するICタグID(A)とICタグID(D)とICタグID(C)とICタグID(E)の通路に対して、隣り合う通路の内角二等分線を境界として方位を分割する。
次に、使用者の方位センサ2が、例えば図12のB12に示すような矢印の向きを検知したとして説明する。図12のように、検知した方位センサ2の向きが、分割方位Cにより指定される範囲に含まれるとき、分割方位Cに含まれる通路が、使用者が進んだ通路として決定される。
ここでは、説明の簡略化のために、「取得した最新位置」や、「取得した最新位置に接続される通路」として説明を行っているが、これは後述する、最新のICタグIDと、最新のICタグIDに隣接するICタグIDに関連することであり、後に詳述する。
【0037】
次に、分割方位の求め方を、図13と図14を用いて詳細に説明する。まず、中心となるICタグIDと隣接するICタグIDとその方位が、一例として図14(a)に示すように、中心となるICタグIDがICタグID(B)であり、隣接するICタグIDと方位がそれぞれ、ICタグID(A)が方位270度、ICタグID(C)が方位90度、ICタグID(D)が方位180度、ICタグID(E)が方位0度である場合について、分割方位を求める方法を説明する。以下、説明の簡略のために、ICタグID(B)を中心としてICタグID(A)が方位270度である場合、BA(270)と簡略的に表記する。
【0038】
まず、隣接するICタグIDを方位情報の値で昇順にソートする(ステップS801)。その結果、例えば図14(b)に示すように、方位情報の値が小さいものから順にBE(0)、BC(90)、BD(180)、BA(270)となる。
次に、方位情報の値が最小の方位情報の値に360の値を加算したものを新たな方位情報とし、新たな方位情報を方位情報に追加する(ステップS802)。例えば、方位情報の値が最小のものであるBE(0)の方位の値に360を加算し、新たな方位情報としてBE(360(=0+360))を取得し、取得した新たな方位情報を方位情報に加える。その結果として、例えば図14(c)に示すように、方位情報は、方位情報の値が小さいものから順にBE(0)、BC(90)、BD(180)、BA(270)、BE(360(=0+360))となる。
次に、それぞれ隣り合う方位情報の値の平均値を求め、求めた平均値を境地値とする(ステップS803)。例えば、それぞれの境界値は、BE(0)とBC(90)に対して45度、BC(90)とBD(180)に対して135度、BD(180)とBA(270)に対して225度、BA(270)とBE(360)に対して315度となる。その結果としての境界値は、例えば図14(d)に示すように、45度、135度、225度、315度となる。
次に、境界値に下限の0度と上限の359度を追加する(ステップS804)。追加した結果の境界値は、例えば図14(e)に示すように、0度、45度、135度、225度、315度、359度となる。
【0039】
次に、境界値が重複しないように、分割方位の範囲を求める(ステップS805)。例えば、EとCの境界値が45度であることより、Eについては44度以下の範囲、Cについては45度以上の範囲とする。同様に他の境界についても範囲を求め、例えば図14(f)に示すように、0〜44度はEの範囲、45〜134度はCの範囲、135〜224度はDの範囲、225〜314度はAの範囲、315〜359度はEの範囲となる。
以上の処理より、例えば、図14(a)のICタグIDBを中心とした隣接するICタグと方位より、図14(g)に示すような分割方位とその方位の範囲が対となるテーブルが作成される。
【0040】
なお、ここでは、角度は1度きざみで測定されるものとして範囲の境界を考慮し、例えば、EとCの境界値が45度に対して、Eの範囲を「44度以下」でありCの範囲を「45度以上」としたが、範囲の境界はこれに限られるものではなく、例えば、Eの範囲を「45度未満」、Cの範囲を「45度以上」のようにして、分割方位の範囲を決めてもよい。
【0041】
次に、求めた分割方位を用いて、ステップ409の使用者が進んだ通路を求める処理の詳細を説明する。例えば、図15に示すように、使用者がICタグID(A)の方向から来て、更にICタグID(B)を読み取り、ICタグID(E)の方向に進んだ場合について説明する。
まず、ICタグID(B)に接続する通路ごとの分割方位を、先に説明したようにICタグID(B)に隣接するICタグIDとその方位より求める。例えば、図15のICタグID(B)の場合、方位情報履歴記憶機能部12に記憶された方位の値より、各分割方位は方位の値rについて次のように分割されるものとする。
分割方位A:225≦r<315、分割方位C:45≦r<135、分割方位D:135≦r<225、分割方位E:315≦r<360または0≦r<45。
次に、求めた分割方位と、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報より、ステップS410の使用者が進んだ通路を求める。使用者が進んだ通路を求める手法として、3つの手法を以下に説明する。
【0042】
使用者が進んだ通路を求める手法は、ここでは3の手法があり、以下順次説明する。使用者が進んだ通路を求める第1の手法は、図16に示すように、ステップ408で取得した分割方位のうち、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻に指している分割方位に含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS1601)。
例えば、図17に示すように、目的地入力が時刻t=d(=12:00:10)に開始されたとする。時刻t=dにおける、方位情報履歴記憶機能部12に記憶されている方位情報は方位4度であり、これは先に求めた分割方位の範囲から分割方位E(315≦r<360または0≦r<45)に含まれる。従って、使用者は分割方位Eに含まれる通路を選んだ、と決定する。
以上説明したように、使用者が進んだ通路を求める第1の手法は、目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻における方位を方位情報履歴記憶機能部12より検索し、その検索した方位を含む分割方位を検索し、検索した分割方位の通路を歩行者は移動しているものと決定する手法である。
【0043】
次に、使用者が進んだ通路を求める第2の手法は、図18に示すように、ステップ408で取得した時刻t=t0からt=dまでの方位情報についてそれぞれ分割方位を求め、その分割方位Xに対応する評価値E(X)に定数(例えば1)を加算していく(ステップS1801)。次に、E(X)が最大となる分割方位Xを検出し、検出した分割方位Xに含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS1802)。
例えば、図19に示すように、時刻t=t0(=12:00:00)からt=d(=12:00:10)までの方位情報の履歴について、方位情報を含む分割方位を検出し、検出した分割方位に対応する評価値Eに定数(例えば1)を加算していく。
例えば、時刻12:00:00における方位は、89度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1を加算する。次の時刻12:00:01における方位は、72度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1を加算する。
以上の処理を、方位を決定する対象となる履歴の時刻である時刻t=t0からt=dまで繰り返すことにより、評価値Eとして、E(A)=0、E(C)=2、E(D)=0、E(E)=9を得る。
次に評価値Eの最大となる分割方位を求める。この場合、E(E)=9が最大であり、その分割方位はEとなる。従って、使用者が進んだ通路を求める第2の手法では、使用者は分割方位Eに含まれる通路に進んだ、と決定される。
【0044】
次に、使用者が進んだ通路を求める第3の手法は、図20に示すようにステップ408で取得した時刻t=t0からt=dまでの方位情報について、それぞれ分割方位を求め、その分割方位Xに対応する評価値E(X)に次の値を加算していく。その加算する値とは、使用者が方向転換をすると考えられるt=t0近辺、または使用者が目的地を入力するために方位を変えて立ち止まることが考えられるt=d近辺の比重を軽くする係数を定数(例えば1)に乗算したものである(ステップS2001)。
【0045】
【数1】
ここで用いる係数としては、例えば式(1)で示される関数f(t,t0,d)で特定される関数の値である。この関数のグラフを図22に図示する。図22に示されるように、関数f(t,t0,d)の特徴は、t=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなることである。
次に、E(X)が最大となる分割方位Xを検出し、検出した分割方位Xに含まれる通路を、使用者が進んだ通路として決定する(ステップS2002)。
第2の手法においては、定数(例えば1)が時刻に対して固定であるが、第3の手法においては、時刻に依存する関数f(t,t0,d)によって計算される値を係数として、定数(例えば1)に乗じる点が第2の手法と異なる。
【0046】
例えば、図21に示すように、時刻t=t0(=12:00:00)からt=d(=12:00:10)までの方位情報の履歴について、各方位情報を含む分割方位を検出し、検出した分割方位に対応する評価値Eに、例えば定数1に式A12で求められる係数f(t,t0,d)の値を乗じた値を加算していく。
例えば、時刻12:00:00における方位は、89度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1に係数f(12:00:00,12:00:00,12:00:10)乗じた値を加算する。次の時刻12:00:01における方位は、72度であり、これは分割方位Cに含まれる。従って、評価値E(C)に定数1に係数f(12:00:01,12:00:00,12:00:10)の値を乗じた値を加算する。
以上の処理を時刻t=t0からt=dまで繰り返すことにより、評価値Eとして、E(A)=0、E(C)=0.095491503、E(D)=0、E(E)=0.904508497を得る。次に評価値Eの最大となる分割方位を求める。この場合、E(E)=0.904508497が最大であるので、分割方位はEとなる。従って、使用者が進んだ通路を求める第3の手法より、使用者は分割方位Eに含まれる通路に進んだ、と決定する。
【0047】
なお式(1)で示される関数は、図22に示されるようにt=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなる関数であるが、第3の手法に用いられる関数は式(1)に限られるものではなく、t=t0近辺とt=d近辺で値が小さくなり、その中間のt=(t0+d)/2付近で値が大きくなる関数であれば他の関数を用いることが可能である。例えば、ガウス関数を用いることも可能である。
【0048】
次に、ステップS410の使用者が進んだ距離を求める。使用者が進んだ距離は距離を求める手法である次の式により求める。
L=v×(d−t0)
ここで、使用者が進んだ距離をL、使用者の平均歩行速度をvとする。また、dとt0はこれまでの説明と同様に、dは目的地入力開始時刻、t0は最新の位置情報取得時刻である。
使用者の平均歩行速度vの値は、例えば、予め決められた値である。例えば、使用者の年齢や歩行の状態に合わせて、歩行する前に事前に設定しておくことにより決められる値である。
【0049】
または、使用者の平均歩行速度vの値は、本発明によるナビゲーション端末を使用する時に、自動的に設定されるようにしてもよい。例えば、使用者がICタグ間の移動に要した時間を位置情報履歴記憶機能部13から取得し、そのICタグ間の距離を通路情報記憶機能部14から取得し、取得した時間と距離より使用者の平均歩行速度vを算出してもよい。
または、更に、方位情報記憶機能部12より、使用者が進んだ分割方位を取得し、取得した分割方位に変化がなく使用者がICタグ間を直進した部分について、ICタグ間の移動に要した時間を位置情報履歴記憶機能部13から取得し、そのICタグ間の距離を通路情報記憶機能部14から取得し、取得した時間と距離より使用者の平均歩行速度vを算出してもよい。
【0050】
以上より、ステップS411の使用者の現在位置は次のようにして求める。使用者の現在位置は、最新の位置情報取得位置から、使用者が進んだ通路を求める第1の手法または第2の手法または第3の手法で求めた通路の方位に、先に求めた使用者が進んだ距離だけ移動した位置である。
【0051】
以上のように、現在位置特定機能部15により歩行者の現在位置に関する情報(現在位置情報)を決定した。その後、目的地入力機能16より入力された目的地情報と、現在位置特定機能部15により決定された現在位置情報と、通路情報記憶機能部14に記憶してある通路情報(方位情報と距離情報)とにより、経路計算機能部17が最適経路を計算し、計算された最適経路に基づき経路計算結果出力機能部18がナビゲーションを行う。これらの処理は、従来技術において成される処理と同様である。
【0052】
以上の方法により、使用者が誘導ブロックに沿って歩いており、ICタグがない誘導ブロックの位置にいたとしても、使用者の現在の位置が特定されるようになったため、ICタグがない任意の場所においても、使用者により目的地を入力されたとき、即座にナビゲーションの提供が可能となる。
【0053】
なお、本発明の説明として、マーカとマーカリーダとして、ICタグとICタグリーダを用いて説明してきたが、本発明の適応はICタグとICタグリーダに限られるものではなく、マーカとマーカリーダとしてICタグとICタグリーダの代わりに、赤外線マーカと赤外線受光器を用いてもよい。また、点在するマーカにより位置が特定される任意の技術に対して、本発明による方法を適応することが可能である。
【0054】
なお、本発明の説明として、携帯情報端末1の通路情報記憶機能部14には、ICタグIDと、そのICタグIDに隣接するICタグのICタグIDと方位(度)と距離(m)の通路情報がテーブルとして予め記憶されているものとして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、携帯情報端末1がインターネット網または携帯電話網へ接続する有線または無線の通信機能を有し、前記通信機能を用いて通路情報を、通路情報を記憶しているサーバより、予めまたは随時取得するようにしてもよい。
なお、本発明の説明において、携帯情報端末1と方位センサ2を別装置として説明を行ったが、携帯情報端末1と方位センサ2とを一体として1つの装置とすることも可能である。また、携帯情報端末1と方位センサ2とICタグリーダ3とを一体として1つの装置とすることも可能である。
【0055】
なお、本実施の形態の説明として、ICタグによる位置を決定するための位置情報とは、通路情報記憶機能部14に予め記憶されているように、ICタグ同士の相対的な位置関係の情報であるものとして説明を行ってきたが、絶対的な位置情報として、例えば、緯度と経度により表してもよい。この場合にも、例えば、緯度と経度にICタグが関連付けして
予め記憶されている。また、本実施の形態の説明に用いたICタグを中心とした近傍のICタグについての相対的な位置情報を、予め記憶されている絶対的な位置情報より求め、本発明を適応してもよい。
【0056】
以上説明した実施の形態によれば、点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間は、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されており、ICタグのない誘導ブロックによる通路を形成しており、使用者が誘導ブロックのある通路に沿って歩行する場合において、使用者がICタグのない誘導ブロックの位置にいる時においても、使用者の現在位置を特定することができるようになり、そのため使用者がICタグのない誘導ブロックの位置において目的地を入力した場合、即座にナビゲーションの案内を提供することができるようになる。
なお、点在して配置されているICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間に、ICタグのない誘導ブロックが直線状に連続して配置されていない場合においても、使用者がICタグのある誘導ブロックとそれに隣接するICタグのある誘導ブロックの間を直進している場合においては、本発明は適応可能である。
例えば、横断歩道の手前にあるICタグのある誘導ブロックと、横断歩道を渡った先にあるICタグのある誘導ブロックの間において、ICタグのある誘導ブロックもICタグのない誘導ブロックもない横断歩道の上においても、ICタグのある誘導ブロックの間を直進している場合には、本発明は適応可能である。
【0057】
なお、本発明の実施の形態において、点在するICタグにより位置を決定したが、目的地に関しても、例えば、目的地の住所が入力された場合、その入力された住所に最も近いICタグを検索し、現在位置から最も近いICタグまでの最適経路を計算し、計算した最適経路に基づいて、通常のナビゲーションを行ってもよい。
目的地の入力の利便性のために、実際の住所、建物の名称、または公共施設などの目的地を示す目的地情報とICタグIDを予め、例えば、携帯情報端末1内の目的地情報−ICタグID記憶手段に関連付けて記憶しておき、目的地入力機能16により目的地情報が入力された時、目的地情報−ICタグID記憶手段を用いて、目的地情報から近くのICタグIDを検索するようにしてもよい。以上の説明のように、携帯情報端末1に、更に目的地情報−ICタグID記憶手段を追加することも可能である。
【0058】
なお、ステップS406において目的地が入力された時刻である目的地入力開始時刻を取得し、また、ステップS408において目的地入力開始時刻に基づいて方位情報を方位情報履歴記憶機能部12から取得したが、方位情報履歴記憶機能部12に保存されている最後の時刻を目的地入力開始時刻としてもよい。
また、使用者が進んだ通路を求める3つの手法においても、目的地入力開始時刻を方位情報履歴記憶機能部12に保存されている最後の時刻としてもよい。
【0059】
なお、方位情報履歴機能部12または位置情報履歴機能部13は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
なお、この携帯情報端末1の各機能は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この各機能はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、携帯情報端末1の各機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0060】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は点在するマーカにより位置を特定する位置特定技術を用いたナビゲーションシステムに用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態による携帯情報端末とICタグリーダとICタグ内蔵誘導ブロックと方位センサの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】位置情報履歴記憶機能部13が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図4】方位情報履歴記憶機能部12が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図5】方位の計測方法を説明するための説明図である。
【図6】通路情報記憶機能部14が保持する一例としてのテーブルを示す図である。
【図7】図6に示すテーブルに対応するICタグの配置を示す図である。
【図8】携帯情報端末1においてなされる処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】図8のフローチャート図のステップS407を説明する説明図である。
【図10】図8のフローチャート図のステップS408を説明する説明図である。
【図11】図8のフローチャート図のステップS409を説明する説明図その1である。
【図12】図8のフローチャート図のステップS409を説明する説明図その2である。
【図13】分割方位を求める処理の流れを示すフローチャート図である。
【図14】図13のフローチャート図による処理の例を示す説明図である。
【図15】使用者が進んだ通路を求める方法の概要を説明する説明図である。
【図16】使用者が進んだ通路を求める第1の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図17】第1の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図18】使用者が進んだ通路を求める第2の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図19】第2の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図20】使用者が進んだ通路を求める第3の手法による処理の流れを示すフローチャート図である。
【図21】第3の手法による分割方位の求め方を説明する説明図である。
【図22】第3の手法に用いられる関数のグラフを示す図である。
【図23】ICタグありの誘導ブロックとICタグなしの誘導ブロックがある場合における位置特定の可否を説明する説明図である。
【図24】従来のナビゲーションにおける問題を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯情報端末
2 方位センサ
3 ICタグリーダ
4 ICタグ内蔵誘導ブロック
12 方位情報履歴記憶機能部
13 位置情報履歴記憶機能部
14 通路情報記憶機能部
15 現在位置特定機能部
16 目的地入力機能部
17 経路計算機能部
18 経路計算結果出力機能部
21 方位検知機能部
31 ICタグ読取機能部
41 ICタグ機能部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記位置情報履歴記憶手段に記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項2】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項3】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載のナビゲーション端末において、
前記現在位置特定手段が、更に、
前記マーカを最後に読み出してからの時間を計測し、
前記計測した時間と予め決められた平均速度より平均移動距離を計算し、
前記計算した平均移動距離を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の距離として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載のナビゲーション端末において、
前記通路情報記憶手段が、更に、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの距離に関する距離情報とを関連付けして記憶しており、
前記ナビゲーション端末が、更に、
目的地に関する目的地情報を入力する目的地情報入力手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記入力された目的地情報により特定される目的地までの最適経路を前記通路情報記憶手段に記憶されている方位情報と距離情報に基づいて計算する経路計算手段と、
前記計算した最適経路に基づいて音声出力または画面出力によりナビゲーション情報を出力する経路計算結果出力手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載のナビゲーション端末において、
前記マーカとマーカリーダが、それぞれ、ICタグとICタグリーダ、または、赤外線マーカと赤外線受光器であることを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項7】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、
前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、
前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末方法。
【請求項9】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定し、
前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末方法。
【請求項1】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記位置情報履歴記憶手段に記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項2】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項3】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶している通路情報記憶手段と、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶する位置情報履歴記憶手段と、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶する方位情報記憶手段と、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定する方位範囲計算手段と、
前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する現在位置特定手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載のナビゲーション端末において、
前記現在位置特定手段が、更に、
前記マーカを最後に読み出してからの時間を計測し、
前記計測した時間と予め決められた平均速度より平均移動距離を計算し、
前記計算した平均移動距離を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の距離として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載のナビゲーション端末において、
前記通路情報記憶手段が、更に、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの距離に関する距離情報とを関連付けして記憶しており、
前記ナビゲーション端末が、更に、
目的地に関する目的地情報を入力する目的地情報入力手段と、
前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記入力された目的地情報により特定される目的地までの最適経路を前記通路情報記憶手段に記憶されている方位情報と距離情報に基づいて計算する経路計算手段と、
前記計算した最適経路に基づいて音声出力または画面出力によりナビゲーション情報を出力する経路計算結果出力手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載のナビゲーション端末において、
前記マーカとマーカリーダが、それぞれ、ICタグとICタグリーダ、または、赤外線マーカと赤外線受光器であることを特徴とするナビゲーション端末。
【請求項7】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、
前記方位情報記憶手段の最後に記憶してある方位情報である進行方位情報を取得し、前記取得した進行方位情報の方位が含まれる範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカのそれぞれの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位のそれぞれが含む方位の範囲を決定し、
前記最後にマーカを読み出した時の方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末方法。
【請求項9】
位置情報に関する複数のマーカが点在し、前記複数のマーカがそれぞれのマーカを識別するための識別情報を有しており、前記マーカの識別情報を読み出すマーカリーダを用いてナビゲーションを行うナビゲーション端末において用いられる方法であって、
前記複数のマーカの識別情報と前記マーカのそれぞれに隣接する複数のマーカの方位に関する方位情報とを関連付けして記憶し、
少なくとも最後に読み出したマーカの識別情報を記憶し、
前記ナビゲーション端末の使用者が向く方位に関する方位情報を方位センサより取得し、前記取得した方位情報の履歴を記憶し、
前記記憶されている最後に読み出したマーカの識別情報が示すマーカに隣接する複数のマーカの方位情報を前記通路情報記憶手段より取得し、前記取得した複数のマーカの方位情報より前記複数のマーカの方位を中心とする境界値を計算し、前記境界値により前記複数のマーカの方位が含む方位の範囲を決定し、
前記最後にマーカを読み出した方位情報から最後に記憶してある方位情報までの方位情報を前記方位情報記憶手段より取得し、前記取得した方位のそれぞれが前記複数のマーカの方位の範囲に含まれる評価値を前記最後にマーカを読み出した直後と前記最後に記憶してある直前の方位について比重を軽くする係数を乗じて計算し、前記含まれる評価値が最大となるマーカの方位の範囲を前記複数のマーカの方位の範囲より検索し、前記検索した範囲の中心となるマーカの方位を特定し、前記特定したマーカの方位を前記最後に読み出したマーカの位置を基準とした現在位置の方位として現在位置を特定する、
ことを特徴とするナビゲーション端末方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−271309(P2007−271309A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94109(P2006−94109)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
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