ナビゲーション端末
【課題】特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができるナビゲーション端末を提供する。
【解決手段】通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部12と、無線波受信部12で受信された無線波に含まれる他端末の位置情報、及び他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部15とを備える。これにより、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することが可能となる。
【解決手段】通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部12と、無線波受信部12で受信された無線波に含まれる他端末の位置情報、及び他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部15とを備える。これにより、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を有する携帯電話機等のナビゲーション端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者向けのナビゲーション端末が多数開発されている。このナビゲーション端末における位置確定技術は、GPS(Global Positioning System)信号を利用したものが主であり、地下街や施設内などでは、ナビゲーション機能を提供することができないという課題を有している。この課題を解決する提案として、WiFi(Wireless Fidelity)を利用した位置確定技術(特許文献1参照)、大規模な新規インフラ設備を利用した技術、ナビゲーション端末間で情報をやり取りする技術(特許文献2,3参照)、ナビゲーション端末自身が持つセンサ類により、どのように移動したかを類推して位置を確定する技術(特許文献4参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−547355号公報
【特許文献2】特開2004−156998号公報
【特許文献3】特開2004−179846号公報
【特許文献4】特開2009−229204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在提案されている技術には以下に列記する課題がある。
(1)インフラを使用するシステムでは、インフラ設備を整えるのに費用がかかりすぎて現実的ではない。
(2)ナビゲーション端末同士でやり取りを行って測位するシステムでは、位置情報が確定されている3台のナビゲーション端末と通信する必要があり、実際の有効条件が限られる。
(3)ナビゲーション端末自身のセンサ類で移動距離や移動方向から位置を類推するシステムでは誤差が積算されるため、長距離を移動した場合の測位に関しては現実的でない。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができるナビゲーション端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション端末は、通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部と、前記無線波受信部で受信された無線波に含まれる前記他端末の位置情報、及び前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部と、を備えた。
【0007】
上記構成によれば、通信可能な他端末から、該他端末の位置情報や該他端末と他端末との通信状況、および該他端末が他端末より受信した情報を取得し、取得した位置情報と、前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出するので、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することができる。
【0008】
上記構成において、地図情報が記憶された地図情報記憶部を備え、前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記地図情報に基づいて自端末の位置を算出する。
【0009】
上記構成によれば、地図情報が記憶された地図情報記憶部を備えることで、自端末の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0010】
上記構成において、自端末の移動状況を検知するセンサ部を備え、前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記自端末の移動状況に基づいて自端末の位置を算出する。
【0011】
上記構成によれば、自端末の移動状況を検知するセンサ部を備えることで、自端末の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0012】
上記構成において、前記位置算出部で自端末の位置が算出された後、該自端末の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部を備えた。
【0013】
上記構成によれば、自端末の位置を算出し、得られた位置情報を含めた無線波を送信するので、自端末と同様の位置算出機能を有する他端末が、該他端末の位置を高精度で算出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション端末の概略構成を示すブロック図
【図2】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(1)を説明するための図
【図3】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(2)を説明するための図
【図4】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図
【図5】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図
【図6】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(4)を説明するための図
【図7】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(5)を説明するための図
【図8】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(6)を説明するための図
【図9】位置確定方法(6)における、公開する情報とその利用方法を詳細に説明するための図
【図10】図1のナビゲーション端末の位置算出部の動作を説明するためのフローチャート
【図11】図1のナビゲーション端末の位置算出部の動作を説明するためのフローチャート
【図12】3台の位置確定端末でやり取りが可能な場合に位置を確定する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション端末の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態のナビゲーション端末(以下、“端末”又は“自端末”と呼ぶ)1は、GPS受信部10と、GPS受信管理部11と、無線波受信部12と、無線波送信部13と、通信情報管理部14と、位置算出部15と、地図情報管理部16と、地図情報記憶部17と、端末移動管理部18と、センサ部19とを備える。
【0018】
GPS受信部10は、GPS衛星(図示略)より送信されるGPS信号を受信する。GPS受信管理部11は、GPS衛星より受信したGPS信号を管理し、受信状況及び位置情報を位置算出部15経由で端末移動管理部18に通知する。無線波受信部12は、他端末(他のナビゲーション端末、図示略)からの無線波を受信し、通信情報管理部14に通知する。無線波送信部13は、通信情報管理部14より情報を受け取り、他端末へ無線波により送信する。通信情報管理部14は、無線波受信部12より情報を受け取り、端末間の距離を測定する。新規の通信が発生した場合には位置算出部15に通知する。また、通信情報管理部14は、位置算出部15より位置確定情報を受け取り、無線波受信部12より受け取った他端末(図示略)の情報とあわせて送信する。距離把握の方法としては、無線波の強度減衰により距離を類推する方法や、端末同士が互いに特定の周波数の無線波をやり取りし、無線波の遅延時間より距離を算出する方法がある。これらの方法は公知の技術である。位置算出部15は、通信情報管理部14、GPS受信管理部11、地図情報管理部16及び端末移動管理部18より情報を受け取り、位置を確定する。この位置を確定する処理の詳細については後述する。
【0019】
地図情報管理部16は、地図情報記憶部17に蓄積された地図データを参照し、指定された地点に自端末1が存在できるかどうか判定する。自端末1の位置候補が複数ある場合は、あり得ない位置(土の中など、人が存在することのできない位置)を候補から外す。端末移動管理部18は、センサ部19からのセンサ情報を参照し、自端末1がどのように移動したかを算出する。自端末1の移動に伴う他端末との距離の変化により、自端末1の位置を確定するのに使用する。地図情報記憶部17は、地下道、階段、エレベータ、歩行者専用道路等の歩行者が利用可能な道路情報を保持する。センサ部19は、3Dジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等の端末の挙動を監視することができるセンサを有する。
【0020】
次に、本実施の形態の端末1の位置を確定する方法について説明する。
ここで、ある端末が、GPSその他の方法により正確な位置を確定できている場合、その端末は、「自身の位置」を無線波により発信する。以降、位置が確定できており、自端末の位置を発信している端末を、“位置確定端末”と呼び、位置が確定できていない端末を“位置未確定端末”と呼ぶ。
【0021】
本発明の位置確定方法を説明するに先立ち、現在ある位置確定方法について説明する。
図12は、3台の位置確定端末でやり取りが可能な場合に位置を確定する方法を説明するための図である。同図において、端末X,Y,Zは位置確定端末、Aは位置未確定端末である。位置未確定端末Aは、位置未確定端末であるものの、位置確定端末X,Y,Zのそれぞれと通信できる距離にある。位置確定端末X,Y,Zの位置及び位置未確定端末Aとの間の距離を知ることで、位置未確定端末Aは自分の位置を知ることができる。位置把握の方法としては、上述したように無線波の強度減衰により3台の位置確定端末X,Y,Zそれぞれとの間の距離を算出して位置を確定する方法がある。また、お互いが特定の周波数の無線波をやり取りし、無線波の遅延時間より距離を算出して位置を確定する方法もある。3台の位置確定端末とのやり取りによる位置確定方法は、GPSを用いた測位と考え方が同等である。実際には、建物内や地下街で、位置確定できている3台の端末から無線波を受信できる環境というのは非常に少なく、この位置確定方法のみで位置を確定することは難しいと考えられる。本発明の位置確定方法は、通信可能な位置確定端末が3台揃っていなくても位置を確定することができる。以下、本発明の位置確定方法について説明する。
【0022】
(位置確定方法1)
図2は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(1)を説明するための図である。この位置確定方法(1)は、地図情報を使用することで、位置確定できるパターンである。同図において、端末X,Yは、位置確定端末である。端末Aは、位置未確定端末であるが、位置確定端末X,Yと通信できる距離に存在する。これにより、端末Aの位置は2点に絞られる。端末Aは、現在の地図情報を元に、2点のうち1点が地図情報的にあり得ない場合、1点に絞ることができる。例えば上記では位置未確定端末Aの候補点はAとA’の2点であるが、Aは歩行リンク30、つまり歩行者用道路上に存在するのに対し、A’の地点には道路情報が存在しない。したがって、位置未確定端末Aは、Aの地点に存在すると判断することができる。但し、実際には、店の中などにユーザがいる可能性もあり、地図情報だけではその地点がGPSを受信できない空間として実際に存在しているのかどうかの判別は付かない。したがって、ユーザに選択させる等の工夫が必要となる。以降、図2のX円50、Y円51の交点のように、位置未確定端Aの存在位置の候補を“候補点”と呼ぶ。
【0023】
(位置確定方法2)
図3は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(2)を説明するための図である。この位置確定方法(2)は、候補点間が非常に近いことで、位置確定できるパターンである。同図において、X円50とY円51の2つの交点の間の距離即ち候補点間の距離Lが一定距離以内であれば、端末Aは、2点間の中心に存在すると判断することができる。
【0024】
(位置確定方法3)
図4は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図である。この位置確定方法(3)は、位置確定端末が移動することにより、位置確定できるパターンである。同図において、2台の位置確定端末X,Yのうち、いずれか一方が移動し、移動先からの無線波を受信できた場合、それは3台の端末からの無線波の受信と同じ意味になるため、それにより位置未確定端末Aの位置を知ることができる。図4では、位置確定端末Xが移動することで、移動前のX円50aと移動後のX円50bと位置確定端末YのY円51の交点に位置未確定端末Aが存在すると判断することができる。
【0025】
図4の場合、移動前の位置確定端末Xの位置と距離、移動後の位置確定端末Xの位置と距離、位置確定端末Yとの距離を、位置未確定端末Aが知ることで、自端末Aの位置を算出することができる。これは、1台の位置確定端末としか通信できない場合も同様である。図5では、位置未確定端末Aは位置確定端末Xとしか通信できないが、位置確定端末Xが2回移動し、それぞれの移動先で通信することができれば、位置を確定することができる。即ち、X円50a、X円50b及びX円50cの交点に位置未確定端末Aが存在すると判断することができる。
【0026】
(位置確定方法4)
図6は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(4)を説明するための図である。この位置確定方法(4)は、位置未確定端末Aが移動することにより、位置確定できるパターンである。位置未確定端末Aが移動することによって、3台の端末から無線波を受信する場合と同様の効果を得ることができる。位置未確定端末Aは、自端末Aがどのような移動をしたかは、地磁気センサ及び加速度センサ(歩数等を計測)により分るため、その行為により位置確定端末との距離がどう変化したかにより、位置を確定させることができる。図6の場合、位置未確定端末Aは位置確定端末Xとしか通信できていない。最初、位置未確定端末Aは、円52上のどこかに存在することしか分らない。しかし、その後、A1の矢印に示される移動を位置未確定端末Aが行った結果、位置未確定端末Aは円50上のどこかに移動した。この時点で位置未確定端末Aの位置は2点に絞られる。A1の矢印に示される移動により、位置確定端末Xとの距離関係が円50となるポイントは2箇所しか存在しないためである。その後、位置未確定端末AがA2の矢印に示される移動を行った結果、位置確定端末Xとの距離関係は円51となった。この時点で位置未確定端末Aの位置が確定する。
【0027】
(位置確定方法5)
図7は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(5)を説明するための図である。この位置確定方法(5)は、位置確定端末と位置未確定端末の両方が移動することにより、位置確定できるパターンである。位置未確定端末Aは、ある位置確定端末との最初の通信で、円60上のどこかに存在することが判明する。次いで、位置未確定端末Aは、矢印Y1方向に移動することで、移動後の円61上のどこかに存在する。そして、位置未確定端末Aが前記位置確定端末と再度通信を行ったところ、前記位置確定端末も移動していて、現在円62上のどこかに存在することが分ったとすると、この時点で、候補点が2点(70,71)に絞られる。次いで、位置未確定端末Aが矢印Y2の方向に移動したとすると、位置未確定端末Aは、2点(72,73)のどちらかに存在することになる。位置未確定端末Aは、移動後に位置確定端末と通信することで位置を確定できる。この場合、確定した位置は点72となる。このように、位置確定端末と位置未確定端末の両方が移動した場合も位置を確定することができる。基本的な考えは位置確定方法(4)と同じであるため、詳細は割愛する。なお、位置確定端末と位置未確定端末が平行に同距離移動した場合、両者の関係に変化が生じないため、候補点を絞ることができない。
【0028】
(位置確定方法6)
図8は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(6)を説明するための図である。この位置確定方法(6)は、他端末の通信状態により、位置確定できるパターンである。自端末の位置が確定されていない場合でも他の端末と通信ができている場合、その情報をお互いに発信し合うことにより位置を確定することができる場合がある。図8のように、位置が確定している端末X,Y,Zと、位置が確定していない端末A,Bが存在するものとする。端末Aは端末Xと端末Bとの間で通信が可能である。端末Bは、端末Y,Zと端末Aとの間で通信が可能である。
よって、位置未確定端末Aは、円83上のどこかに存在する。一方、位置未確定端末Bは、位置確定端末Y,Zと通信ができているため、2点(B1,B2)のどちらかに存在する。また、位置未確定端末Bは、位置未確定端末AからDistABの距離に位置し、かつ位置確定端末Xの無線波を受信していないため、斜線を引いた部分81のどこかに存在する。そのため、位置未確定端末Bの位置がB1に確定する。ここで、符号82は位置確定端末Xの無線波が届く範囲を示している。そして、位置未確定端末Bの位置が確定したため、位置未確定端末Aの位置も2点(A1,A2)に絞られる。
このように、(1)通信ができている端末との距離、(2)通信ができている端末の位置確定情報、を公開することで、位置を確定する条件を広げることができる。
【0029】
図9は、上述した公開する情報とその利用方法を詳細に説明するための図である。同図において、各端末が共有している情報は以下になる。
・端末A(位置確定端末)の位置情報
・端末Aと端末Oの距離 Dist_aoとする。
・端末Oと端末Pの距離 Dist_opとする。
・端末Pと端末Qの距離 Dist_pqとする。
・端末Qと端末Bの距離 Dist_qbとする。
・端末B(位置確定端末)の位置情報
・端末Aは端末Oとしか通信できていない(端末P,端末Q,端末Bは端末Aの無線波範囲外に存在する)。
・端末Oは端末Aと端末Pとしか通信できていない(端末Q,端末Bは端末Oの無線波範囲外に存在する)。
・端末Pは端末Oと端末Qとしか通信できていない(端末A,端末Bは端末Pの無線波範囲外に存在する)。
・端末Qは端末Pと端末Bとしか通信できていない(端末A,端末Oは端末Qの無線波範囲外に存在する)。
・端末Bは端末Qとしか通信できていない(端末A,端末O,端末Pは端末Bの無線波範囲外に存在する)。
【0030】
無線波が届く距離をXとすると、位置未確定端末O及びPは以下の条件が成り立つ位置に存在することになる。
・端末Oは端末Aとの距離がDist_aoかつ端末Pとの距離がDist_opかつ端末Q,Bとの距離がXを超える。
・端末Pは端末Oとの距離がDist_opかつ端末Qとの距離がDist_pqかつ端末A,Bとの距離がXを超える。
・端末Qは端末Pとの距離がDist_pqかつ端末Bとの距離がDist_qbかつ端末A,端末Oとの距離がXを超える。
【0031】
上記条件だけでは、位置未確定端末O,P,Qの候補点は無限に存在する。上記の例では、確定端末に隣接する端末は線上のどこか、未確定端末に隣接する端末は面上のどこかに存在することになる。つまり、確定可能な線上、面上に存在することが明らかになるだけである。但し、新たな他端末との通信により候補点が生まれれば、上記条件より位置を確定できる可能性がある。
【0032】
次に、本実施の形態のナビゲーション端末1の動作について説明する。
図10及び図11は、本実施の形態のナビゲーション端末1の位置算出部15の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、位置算出部15は、まず通信情報管理部14で発生した新規の通信発生を受信する(ステップS1)。次いで、位置算出部15は、GPS受信管理部11の管理状況からGPS受信状態を確認する(ステップS2)。GPS受信状態がGPS受信中である場合、GPS情報より位置を確定する(ステップS3)。GPS情報より位置を確定した後、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対して、ステップS2の判定で、GPS受信状態がGPS未受信である場合、位置算出部15は、受信情報を確認し(ステップS5)、3台の位置確定端末間で通信中かどうかを確認する(ステップS6)。3台の位置確定端末間で通信中である場合、位置算出部15は、位置確定処理を実行し(ステップS7)、位置確定端末として動作する(ステップS4)。
【0033】
位置算出部15は、上記ステップS6の判定において、3台の位置確定端末間で通信中ではない場合、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中か否かを判定し(ステップS8)、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中でない場合、位置未確定端末として動作し(ステップS9)、本処理を終える。これに対して、ステップS8の判定で、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中である場合、候補点を算出する(ステップS10)。位置算出部15は、候補点を算出した後、地図情報管理部16を用いて候補点の地図情報を確認する(ステップS11)。該地図情報の確認後、候補点が、人が存在できる地点かどうかを確認する(ステップS12)。この確認において、一方の候補点のみ人が存在できる地点である場合、位置を確定する(ステップS13)。そして、位置確定を確認し(ステップS14)、位置確定の場合、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対し、位置未確定の場合、候補点間が近距離であるか否かを確認する(ステップS15)。
【0034】
位置算出部15は、上記ステップS12の確認において、一方の候補点のみ人が存在できる地点以外であれば、候補点間が近距離であるか否かを確認する(ステップS15)。候補点間が近距離であれば、位置確定し(ステップS16)、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対して、ステップS15の確認において、近距離でなければ、位置確定端末から前回受信データを得ているか否かを判定する(ステップS17)。この判定において、受信データが有る場合、前回受信データと前回受信時からの自端末の移動状態を確認する(ステップS18)。次いで、位置確定端末が移動しているかどうか判定する(ステップS19)。移動していると判定すると、位置を確認する(ステップS20)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS21)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。
【0035】
これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、自端末1が移動しているかどうか確認し(ステップS22)、自端末1が移動している場合、位置確定する(ステップS23)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS24)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置確定端末と自端末1が移動しているかどうか確認し(ステップS25)、位置確定端末と自端末1が移動している場合、位置確定する(ステップS26)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS27)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。
【0036】
これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置未確定端末からの情報の有無を確認する(ステップS28)。この判定において、位置未確定端末からの情報がある場合、位置確定する(ステップS29)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS30)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置未確定端末として動作し(ステップS9)、本処理を終える。上記ステップS17の判定において、受信データが無い場合は、上記同様に位置未確定端末からの情報有無を確認する(ステップS28)。ステップS28から先の処理は上記同様である。
【0037】
このように本実施の形態のナビゲーション端末1によれば、無線波受信部12が、位置が確定された他端末から、該他端末の位置情報を取得し、位置算出部15が、無線波受信部12で取得された位置情報と、他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末1の位置を算出するので、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することができる。
【0038】
また、地図情報が記憶された地図情報記憶部17を備えるので、自端末1の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0039】
また、自端末1の移動状況を検知するセンサ部19を備え、位置算出部15が、他端末の位置情報、他端末からの距離を示す距離情報、及び自端末1の移動状況に基づいて自端末1の位置を算出するので、高精度で自端末の位置を算出すことができる。
【0040】
また、位置算出部15で自端末1の位置が算出された後、該自端末1の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部13を備えるので、自端末1と同様の位置算出機能を有する他端末が、該他端末の位置を高精度で算出することができる。
【0041】
なお、本実施の形態のナビゲーション端末1では、自端末1が持つセンサ類や地図データと、上記位置算出の仕組みを組み合わせることで、より効果的な測位やナビゲーションが可能となる。例えば、自端末1が静止中に他端末からの無線波が途絶え、位置未確定状態に移行した場合、自端末1のセンサ類が振動や加速度を全く検知していなければ、位置は移動していないと考えられる。そのため、一定時間、位置確定端末として無線波を発し続けてもよい。自端末1の移動中に、急に他端末からの無線波が途絶えた場合、近くに階段リンクやエレベータリンクがあれば、階を移動した可能性が考えられる。したがって、階段リンクやエレベータリンクに測位させてもよい。
【0042】
他端末から無線波が途絶えた場合、相手が電源を切ったのか、自端末1の移動によるものなのか不明なため、電源OFF時に、電源OFFを通知する無線波を発してもよい。
端末が、位置確定状態から非位置確定状態に移行するタイミングは、通信している他端末との距離や移動方向によりある程度類推することができる。そのため、非位置確定状態に移行する可能性がある場合、例えば端末距離が離れる方向にユーザが歩いている場合、端末位置がまだ確定できる状態でユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは端末位置が非測位になる前に、自身の位置及び周辺の地図を確認することができる。
【0043】
また、本実施の形態の図10及び図11で示した各処理をプログラムで記述して、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができるといった効果を有し、ナビゲーション機能を有する携帯電話機等の無線通信端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ナビゲーション端末
10 GPS受信部
11 GPS受信管理部
12 無線波受信部
13 無線波送信部
14 通信情報管理部
15 位置算出部
16 地図情報管理部
17 地図情報記憶部
18 端末移動管理部
19 センサ部
30 歩行リンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を有する携帯電話機等のナビゲーション端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行者向けのナビゲーション端末が多数開発されている。このナビゲーション端末における位置確定技術は、GPS(Global Positioning System)信号を利用したものが主であり、地下街や施設内などでは、ナビゲーション機能を提供することができないという課題を有している。この課題を解決する提案として、WiFi(Wireless Fidelity)を利用した位置確定技術(特許文献1参照)、大規模な新規インフラ設備を利用した技術、ナビゲーション端末間で情報をやり取りする技術(特許文献2,3参照)、ナビゲーション端末自身が持つセンサ類により、どのように移動したかを類推して位置を確定する技術(特許文献4参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−547355号公報
【特許文献2】特開2004−156998号公報
【特許文献3】特開2004−179846号公報
【特許文献4】特開2009−229204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在提案されている技術には以下に列記する課題がある。
(1)インフラを使用するシステムでは、インフラ設備を整えるのに費用がかかりすぎて現実的ではない。
(2)ナビゲーション端末同士でやり取りを行って測位するシステムでは、位置情報が確定されている3台のナビゲーション端末と通信する必要があり、実際の有効条件が限られる。
(3)ナビゲーション端末自身のセンサ類で移動距離や移動方向から位置を類推するシステムでは誤差が積算されるため、長距離を移動した場合の測位に関しては現実的でない。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができるナビゲーション端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション端末は、通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部と、前記無線波受信部で受信された無線波に含まれる前記他端末の位置情報、及び前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部と、を備えた。
【0007】
上記構成によれば、通信可能な他端末から、該他端末の位置情報や該他端末と他端末との通信状況、および該他端末が他端末より受信した情報を取得し、取得した位置情報と、前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出するので、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することができる。
【0008】
上記構成において、地図情報が記憶された地図情報記憶部を備え、前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記地図情報に基づいて自端末の位置を算出する。
【0009】
上記構成によれば、地図情報が記憶された地図情報記憶部を備えることで、自端末の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0010】
上記構成において、自端末の移動状況を検知するセンサ部を備え、前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記自端末の移動状況に基づいて自端末の位置を算出する。
【0011】
上記構成によれば、自端末の移動状況を検知するセンサ部を備えることで、自端末の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0012】
上記構成において、前記位置算出部で自端末の位置が算出された後、該自端末の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部を備えた。
【0013】
上記構成によれば、自端末の位置を算出し、得られた位置情報を含めた無線波を送信するので、自端末と同様の位置算出機能を有する他端末が、該他端末の位置を高精度で算出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション端末の概略構成を示すブロック図
【図2】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(1)を説明するための図
【図3】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(2)を説明するための図
【図4】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図
【図5】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図
【図6】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(4)を説明するための図
【図7】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(5)を説明するための図
【図8】位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(6)を説明するための図
【図9】位置確定方法(6)における、公開する情報とその利用方法を詳細に説明するための図
【図10】図1のナビゲーション端末の位置算出部の動作を説明するためのフローチャート
【図11】図1のナビゲーション端末の位置算出部の動作を説明するためのフローチャート
【図12】3台の位置確定端末でやり取りが可能な場合に位置を確定する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション端末の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施の形態のナビゲーション端末(以下、“端末”又は“自端末”と呼ぶ)1は、GPS受信部10と、GPS受信管理部11と、無線波受信部12と、無線波送信部13と、通信情報管理部14と、位置算出部15と、地図情報管理部16と、地図情報記憶部17と、端末移動管理部18と、センサ部19とを備える。
【0018】
GPS受信部10は、GPS衛星(図示略)より送信されるGPS信号を受信する。GPS受信管理部11は、GPS衛星より受信したGPS信号を管理し、受信状況及び位置情報を位置算出部15経由で端末移動管理部18に通知する。無線波受信部12は、他端末(他のナビゲーション端末、図示略)からの無線波を受信し、通信情報管理部14に通知する。無線波送信部13は、通信情報管理部14より情報を受け取り、他端末へ無線波により送信する。通信情報管理部14は、無線波受信部12より情報を受け取り、端末間の距離を測定する。新規の通信が発生した場合には位置算出部15に通知する。また、通信情報管理部14は、位置算出部15より位置確定情報を受け取り、無線波受信部12より受け取った他端末(図示略)の情報とあわせて送信する。距離把握の方法としては、無線波の強度減衰により距離を類推する方法や、端末同士が互いに特定の周波数の無線波をやり取りし、無線波の遅延時間より距離を算出する方法がある。これらの方法は公知の技術である。位置算出部15は、通信情報管理部14、GPS受信管理部11、地図情報管理部16及び端末移動管理部18より情報を受け取り、位置を確定する。この位置を確定する処理の詳細については後述する。
【0019】
地図情報管理部16は、地図情報記憶部17に蓄積された地図データを参照し、指定された地点に自端末1が存在できるかどうか判定する。自端末1の位置候補が複数ある場合は、あり得ない位置(土の中など、人が存在することのできない位置)を候補から外す。端末移動管理部18は、センサ部19からのセンサ情報を参照し、自端末1がどのように移動したかを算出する。自端末1の移動に伴う他端末との距離の変化により、自端末1の位置を確定するのに使用する。地図情報記憶部17は、地下道、階段、エレベータ、歩行者専用道路等の歩行者が利用可能な道路情報を保持する。センサ部19は、3Dジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等の端末の挙動を監視することができるセンサを有する。
【0020】
次に、本実施の形態の端末1の位置を確定する方法について説明する。
ここで、ある端末が、GPSその他の方法により正確な位置を確定できている場合、その端末は、「自身の位置」を無線波により発信する。以降、位置が確定できており、自端末の位置を発信している端末を、“位置確定端末”と呼び、位置が確定できていない端末を“位置未確定端末”と呼ぶ。
【0021】
本発明の位置確定方法を説明するに先立ち、現在ある位置確定方法について説明する。
図12は、3台の位置確定端末でやり取りが可能な場合に位置を確定する方法を説明するための図である。同図において、端末X,Y,Zは位置確定端末、Aは位置未確定端末である。位置未確定端末Aは、位置未確定端末であるものの、位置確定端末X,Y,Zのそれぞれと通信できる距離にある。位置確定端末X,Y,Zの位置及び位置未確定端末Aとの間の距離を知ることで、位置未確定端末Aは自分の位置を知ることができる。位置把握の方法としては、上述したように無線波の強度減衰により3台の位置確定端末X,Y,Zそれぞれとの間の距離を算出して位置を確定する方法がある。また、お互いが特定の周波数の無線波をやり取りし、無線波の遅延時間より距離を算出して位置を確定する方法もある。3台の位置確定端末とのやり取りによる位置確定方法は、GPSを用いた測位と考え方が同等である。実際には、建物内や地下街で、位置確定できている3台の端末から無線波を受信できる環境というのは非常に少なく、この位置確定方法のみで位置を確定することは難しいと考えられる。本発明の位置確定方法は、通信可能な位置確定端末が3台揃っていなくても位置を確定することができる。以下、本発明の位置確定方法について説明する。
【0022】
(位置確定方法1)
図2は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(1)を説明するための図である。この位置確定方法(1)は、地図情報を使用することで、位置確定できるパターンである。同図において、端末X,Yは、位置確定端末である。端末Aは、位置未確定端末であるが、位置確定端末X,Yと通信できる距離に存在する。これにより、端末Aの位置は2点に絞られる。端末Aは、現在の地図情報を元に、2点のうち1点が地図情報的にあり得ない場合、1点に絞ることができる。例えば上記では位置未確定端末Aの候補点はAとA’の2点であるが、Aは歩行リンク30、つまり歩行者用道路上に存在するのに対し、A’の地点には道路情報が存在しない。したがって、位置未確定端末Aは、Aの地点に存在すると判断することができる。但し、実際には、店の中などにユーザがいる可能性もあり、地図情報だけではその地点がGPSを受信できない空間として実際に存在しているのかどうかの判別は付かない。したがって、ユーザに選択させる等の工夫が必要となる。以降、図2のX円50、Y円51の交点のように、位置未確定端Aの存在位置の候補を“候補点”と呼ぶ。
【0023】
(位置確定方法2)
図3は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(2)を説明するための図である。この位置確定方法(2)は、候補点間が非常に近いことで、位置確定できるパターンである。同図において、X円50とY円51の2つの交点の間の距離即ち候補点間の距離Lが一定距離以内であれば、端末Aは、2点間の中心に存在すると判断することができる。
【0024】
(位置確定方法3)
図4は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(3)を説明するための図である。この位置確定方法(3)は、位置確定端末が移動することにより、位置確定できるパターンである。同図において、2台の位置確定端末X,Yのうち、いずれか一方が移動し、移動先からの無線波を受信できた場合、それは3台の端末からの無線波の受信と同じ意味になるため、それにより位置未確定端末Aの位置を知ることができる。図4では、位置確定端末Xが移動することで、移動前のX円50aと移動後のX円50bと位置確定端末YのY円51の交点に位置未確定端末Aが存在すると判断することができる。
【0025】
図4の場合、移動前の位置確定端末Xの位置と距離、移動後の位置確定端末Xの位置と距離、位置確定端末Yとの距離を、位置未確定端末Aが知ることで、自端末Aの位置を算出することができる。これは、1台の位置確定端末としか通信できない場合も同様である。図5では、位置未確定端末Aは位置確定端末Xとしか通信できないが、位置確定端末Xが2回移動し、それぞれの移動先で通信することができれば、位置を確定することができる。即ち、X円50a、X円50b及びX円50cの交点に位置未確定端末Aが存在すると判断することができる。
【0026】
(位置確定方法4)
図6は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(4)を説明するための図である。この位置確定方法(4)は、位置未確定端末Aが移動することにより、位置確定できるパターンである。位置未確定端末Aが移動することによって、3台の端末から無線波を受信する場合と同様の効果を得ることができる。位置未確定端末Aは、自端末Aがどのような移動をしたかは、地磁気センサ及び加速度センサ(歩数等を計測)により分るため、その行為により位置確定端末との距離がどう変化したかにより、位置を確定させることができる。図6の場合、位置未確定端末Aは位置確定端末Xとしか通信できていない。最初、位置未確定端末Aは、円52上のどこかに存在することしか分らない。しかし、その後、A1の矢印に示される移動を位置未確定端末Aが行った結果、位置未確定端末Aは円50上のどこかに移動した。この時点で位置未確定端末Aの位置は2点に絞られる。A1の矢印に示される移動により、位置確定端末Xとの距離関係が円50となるポイントは2箇所しか存在しないためである。その後、位置未確定端末AがA2の矢印に示される移動を行った結果、位置確定端末Xとの距離関係は円51となった。この時点で位置未確定端末Aの位置が確定する。
【0027】
(位置確定方法5)
図7は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(5)を説明するための図である。この位置確定方法(5)は、位置確定端末と位置未確定端末の両方が移動することにより、位置確定できるパターンである。位置未確定端末Aは、ある位置確定端末との最初の通信で、円60上のどこかに存在することが判明する。次いで、位置未確定端末Aは、矢印Y1方向に移動することで、移動後の円61上のどこかに存在する。そして、位置未確定端末Aが前記位置確定端末と再度通信を行ったところ、前記位置確定端末も移動していて、現在円62上のどこかに存在することが分ったとすると、この時点で、候補点が2点(70,71)に絞られる。次いで、位置未確定端末Aが矢印Y2の方向に移動したとすると、位置未確定端末Aは、2点(72,73)のどちらかに存在することになる。位置未確定端末Aは、移動後に位置確定端末と通信することで位置を確定できる。この場合、確定した位置は点72となる。このように、位置確定端末と位置未確定端末の両方が移動した場合も位置を確定することができる。基本的な考えは位置確定方法(4)と同じであるため、詳細は割愛する。なお、位置確定端末と位置未確定端末が平行に同距離移動した場合、両者の関係に変化が生じないため、候補点を絞ることができない。
【0028】
(位置確定方法6)
図8は、位置を確定した2台の端末若しくは位置を確定した1台の端末とのやり取りが可能な場合に位置を確定する方法(6)を説明するための図である。この位置確定方法(6)は、他端末の通信状態により、位置確定できるパターンである。自端末の位置が確定されていない場合でも他の端末と通信ができている場合、その情報をお互いに発信し合うことにより位置を確定することができる場合がある。図8のように、位置が確定している端末X,Y,Zと、位置が確定していない端末A,Bが存在するものとする。端末Aは端末Xと端末Bとの間で通信が可能である。端末Bは、端末Y,Zと端末Aとの間で通信が可能である。
よって、位置未確定端末Aは、円83上のどこかに存在する。一方、位置未確定端末Bは、位置確定端末Y,Zと通信ができているため、2点(B1,B2)のどちらかに存在する。また、位置未確定端末Bは、位置未確定端末AからDistABの距離に位置し、かつ位置確定端末Xの無線波を受信していないため、斜線を引いた部分81のどこかに存在する。そのため、位置未確定端末Bの位置がB1に確定する。ここで、符号82は位置確定端末Xの無線波が届く範囲を示している。そして、位置未確定端末Bの位置が確定したため、位置未確定端末Aの位置も2点(A1,A2)に絞られる。
このように、(1)通信ができている端末との距離、(2)通信ができている端末の位置確定情報、を公開することで、位置を確定する条件を広げることができる。
【0029】
図9は、上述した公開する情報とその利用方法を詳細に説明するための図である。同図において、各端末が共有している情報は以下になる。
・端末A(位置確定端末)の位置情報
・端末Aと端末Oの距離 Dist_aoとする。
・端末Oと端末Pの距離 Dist_opとする。
・端末Pと端末Qの距離 Dist_pqとする。
・端末Qと端末Bの距離 Dist_qbとする。
・端末B(位置確定端末)の位置情報
・端末Aは端末Oとしか通信できていない(端末P,端末Q,端末Bは端末Aの無線波範囲外に存在する)。
・端末Oは端末Aと端末Pとしか通信できていない(端末Q,端末Bは端末Oの無線波範囲外に存在する)。
・端末Pは端末Oと端末Qとしか通信できていない(端末A,端末Bは端末Pの無線波範囲外に存在する)。
・端末Qは端末Pと端末Bとしか通信できていない(端末A,端末Oは端末Qの無線波範囲外に存在する)。
・端末Bは端末Qとしか通信できていない(端末A,端末O,端末Pは端末Bの無線波範囲外に存在する)。
【0030】
無線波が届く距離をXとすると、位置未確定端末O及びPは以下の条件が成り立つ位置に存在することになる。
・端末Oは端末Aとの距離がDist_aoかつ端末Pとの距離がDist_opかつ端末Q,Bとの距離がXを超える。
・端末Pは端末Oとの距離がDist_opかつ端末Qとの距離がDist_pqかつ端末A,Bとの距離がXを超える。
・端末Qは端末Pとの距離がDist_pqかつ端末Bとの距離がDist_qbかつ端末A,端末Oとの距離がXを超える。
【0031】
上記条件だけでは、位置未確定端末O,P,Qの候補点は無限に存在する。上記の例では、確定端末に隣接する端末は線上のどこか、未確定端末に隣接する端末は面上のどこかに存在することになる。つまり、確定可能な線上、面上に存在することが明らかになるだけである。但し、新たな他端末との通信により候補点が生まれれば、上記条件より位置を確定できる可能性がある。
【0032】
次に、本実施の形態のナビゲーション端末1の動作について説明する。
図10及び図11は、本実施の形態のナビゲーション端末1の位置算出部15の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、位置算出部15は、まず通信情報管理部14で発生した新規の通信発生を受信する(ステップS1)。次いで、位置算出部15は、GPS受信管理部11の管理状況からGPS受信状態を確認する(ステップS2)。GPS受信状態がGPS受信中である場合、GPS情報より位置を確定する(ステップS3)。GPS情報より位置を確定した後、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対して、ステップS2の判定で、GPS受信状態がGPS未受信である場合、位置算出部15は、受信情報を確認し(ステップS5)、3台の位置確定端末間で通信中かどうかを確認する(ステップS6)。3台の位置確定端末間で通信中である場合、位置算出部15は、位置確定処理を実行し(ステップS7)、位置確定端末として動作する(ステップS4)。
【0033】
位置算出部15は、上記ステップS6の判定において、3台の位置確定端末間で通信中ではない場合、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中か否かを判定し(ステップS8)、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中でない場合、位置未確定端末として動作し(ステップS9)、本処理を終える。これに対して、ステップS8の判定で、1台の位置確定端末又は2台の位置確定端末と通信中である場合、候補点を算出する(ステップS10)。位置算出部15は、候補点を算出した後、地図情報管理部16を用いて候補点の地図情報を確認する(ステップS11)。該地図情報の確認後、候補点が、人が存在できる地点かどうかを確認する(ステップS12)。この確認において、一方の候補点のみ人が存在できる地点である場合、位置を確定する(ステップS13)。そして、位置確定を確認し(ステップS14)、位置確定の場合、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対し、位置未確定の場合、候補点間が近距離であるか否かを確認する(ステップS15)。
【0034】
位置算出部15は、上記ステップS12の確認において、一方の候補点のみ人が存在できる地点以外であれば、候補点間が近距離であるか否かを確認する(ステップS15)。候補点間が近距離であれば、位置確定し(ステップS16)、位置確定端末として動作する(ステップS4)。これに対して、ステップS15の確認において、近距離でなければ、位置確定端末から前回受信データを得ているか否かを判定する(ステップS17)。この判定において、受信データが有る場合、前回受信データと前回受信時からの自端末の移動状態を確認する(ステップS18)。次いで、位置確定端末が移動しているかどうか判定する(ステップS19)。移動していると判定すると、位置を確認する(ステップS20)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS21)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。
【0035】
これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、自端末1が移動しているかどうか確認し(ステップS22)、自端末1が移動している場合、位置確定する(ステップS23)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS24)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置確定端末と自端末1が移動しているかどうか確認し(ステップS25)、位置確定端末と自端末1が移動している場合、位置確定する(ステップS26)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS27)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。
【0036】
これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置未確定端末からの情報の有無を確認する(ステップS28)。この判定において、位置未確定端末からの情報がある場合、位置確定する(ステップS29)。次いで、位置確定を確認する判定を行い(ステップS30)、位置確定できた場合、位置確定端末として動作し(ステップS4)、本処理を終える。これに対して、位置確定できなかった場合即ち位置未確定の場合、位置未確定端末として動作し(ステップS9)、本処理を終える。上記ステップS17の判定において、受信データが無い場合は、上記同様に位置未確定端末からの情報有無を確認する(ステップS28)。ステップS28から先の処理は上記同様である。
【0037】
このように本実施の形態のナビゲーション端末1によれば、無線波受信部12が、位置が確定された他端末から、該他端末の位置情報を取得し、位置算出部15が、無線波受信部12で取得された位置情報と、他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末1の位置を算出するので、特別なインフラ設備を必要とすることなく、ナビゲーション端末間のやり取りのみで位置を確定することができる。
【0038】
また、地図情報が記憶された地図情報記憶部17を備えるので、自端末1の位置を更に高精度で算出すことができる。
【0039】
また、自端末1の移動状況を検知するセンサ部19を備え、位置算出部15が、他端末の位置情報、他端末からの距離を示す距離情報、及び自端末1の移動状況に基づいて自端末1の位置を算出するので、高精度で自端末の位置を算出すことができる。
【0040】
また、位置算出部15で自端末1の位置が算出された後、該自端末1の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部13を備えるので、自端末1と同様の位置算出機能を有する他端末が、該他端末の位置を高精度で算出することができる。
【0041】
なお、本実施の形態のナビゲーション端末1では、自端末1が持つセンサ類や地図データと、上記位置算出の仕組みを組み合わせることで、より効果的な測位やナビゲーションが可能となる。例えば、自端末1が静止中に他端末からの無線波が途絶え、位置未確定状態に移行した場合、自端末1のセンサ類が振動や加速度を全く検知していなければ、位置は移動していないと考えられる。そのため、一定時間、位置確定端末として無線波を発し続けてもよい。自端末1の移動中に、急に他端末からの無線波が途絶えた場合、近くに階段リンクやエレベータリンクがあれば、階を移動した可能性が考えられる。したがって、階段リンクやエレベータリンクに測位させてもよい。
【0042】
他端末から無線波が途絶えた場合、相手が電源を切ったのか、自端末1の移動によるものなのか不明なため、電源OFF時に、電源OFFを通知する無線波を発してもよい。
端末が、位置確定状態から非位置確定状態に移行するタイミングは、通信している他端末との距離や移動方向によりある程度類推することができる。そのため、非位置確定状態に移行する可能性がある場合、例えば端末距離が離れる方向にユーザが歩いている場合、端末位置がまだ確定できる状態でユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは端末位置が非測位になる前に、自身の位置及び周辺の地図を確認することができる。
【0043】
また、本実施の形態の図10及び図11で示した各処理をプログラムで記述して、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、特別なインフラ設備を必要とすることなく、位置が確定されている1台のナビゲーション端末とのやり取りのみで位置を確定することができるといった効果を有し、ナビゲーション機能を有する携帯電話機等の無線通信端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ナビゲーション端末
10 GPS受信部
11 GPS受信管理部
12 無線波受信部
13 無線波送信部
14 通信情報管理部
15 位置算出部
16 地図情報管理部
17 地図情報記憶部
18 端末移動管理部
19 センサ部
30 歩行リンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部と、
前記無線波受信部で受信された無線波に含まれる前記他端末の位置情報、及び前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部と、
を備えたナビゲーション端末。
【請求項2】
地図情報が記憶された地図情報記憶部を備え、
前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記地図情報に基づいて自端末の位置を算出する請求項1に記載のナビゲーション端末。
【請求項3】
自端末の移動状況を検知するセンサ部を備え、
前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記自端末の移動状況に基づいて自端末の位置を算出する請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション端末。
【請求項4】
前記位置算出部で自端末の位置が算出された後、該自端末の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション端末。
【請求項1】
通信可能な他端末から送信された、該他端末の位置情報を含む無線波を受信する無線波受信部と、
前記無線波受信部で受信された無線波に含まれる前記他端末の位置情報、及び前記他端末からの距離を示す距離情報に基づいて自端末の位置を算出する位置算出部と、
を備えたナビゲーション端末。
【請求項2】
地図情報が記憶された地図情報記憶部を備え、
前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記地図情報に基づいて自端末の位置を算出する請求項1に記載のナビゲーション端末。
【請求項3】
自端末の移動状況を検知するセンサ部を備え、
前記位置算出部は、前記他端末の位置情報、前記他端末からの距離を示す距離情報、及び前記自端末の移動状況に基づいて自端末の位置を算出する請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション端末。
【請求項4】
前記位置算出部で自端末の位置が算出された後、該自端末の位置情報を含む無線波を送信する無線波送信部を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−207996(P2012−207996A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73449(P2011−73449)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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