説明

ナビゲーション装置、および、ナビゲーション装置の制御方法

【課題】目的地や経由地として設定された地点でなくても、特定の地点に近づいた場合にユーザに報知できるようにする。
【解決手段】経路案内を行うナビゲーション装置1は、報知音の音声データを記憶する記憶部13を備え、現在の自車位置と予め登録された地点との間の距離が所定以下の場合に、記憶部13に記憶された報知音の音声データに基づいて報知音を出力し、新たに音声データを取得した場合に、この音声データの一部を抽出して、報知音の音声データとして記憶部13に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内を行うナビゲーション装置、および、ナビゲーション装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予め登録された登録地点を目的地として設定し、設定された目的地までの経路案内を音声によって行うナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなナビゲーション装置においては、登録地点として複数の地点を登録し、これら複数の登録地点から、経路案内時の目的地や経由地を選択できるようになっている。
【特許文献1】特開2005−201713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のナビゲーション装置は、目的地や経由地までの経路を音声で案内するもので、目的地や経由地として設定されていない登録地点は経路案内に利用されないため、これらの登録地点に接近しても何ら案内は行われない。
【0004】
そこで本発明は、目的地や経由地として設定された地点でなくても、特定の地点に近づいた場合にユーザに報知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、移動体の経路案内を行うナビゲーション装置において、経路案内中に出力する報知音の音声データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された音声データをもとに報知音を出力する音声出力手段と、予め登録された登録地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記音声出力手段により報知音を出力させる報知制御手段と、を備え、さらに、指定された音声データの一部を抽出し、新たな報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させる報知音取得手段を備えること、を特徴とするナビゲーション装置を提供する。
本発明によれば、予め登録された登録地点が移動体の近くにある場合に報知音が出力されるので、その登録地点が目的地や経由地に設定されていなくても、登録地点が近いことをユーザに知らせることが可能となる。また、報知音として出力する音声を、指定された音声データの一部を抽出することで新たに記憶させることができるので、例えばユーザが好む音楽の一部を報知音として用いることができ、利便性を高めるとともに興趣性の向上を図ることができる。
【0006】
本発明において、前記記憶手段には複数の前記報知音の音声データが記憶され、前記報知制御手段は、前記移動体の現在位置と前記登録地点との間の距離に応じて、異なる前記報知音を前記音声出力手段により出力させるものとしてもよい。
この場合、移動体と登録地点との間の距離に応じて異なる報知音が出力されるので、移動体と登録地点とが近いことを報知するだけでなく、報知音の種類によって、登録地点までの距離をユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0007】
本発明において、前記記憶手段は複数の前記報知音の音声データを記憶し、前記報知制御手段は、前記移動体が前記登録地点に接近している場合と、前記登録地点から離隔している場合とで、異なる前記報知音を前記音声出力手段によって出力させるものとしてもよい。
この場合、移動体が登録地点に接近している場合と離れている場合とで異なる報知音が出力されるので、移動体と登録地点とが近いことを報知するだけでなく、報知音の種類によって、登録地点に近づいているか遠ざかっているかをユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0008】
また、本発明において、前記記憶手段には複数の前記報知音の音声データが記憶され、前記報知制御手段は、前記登録地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、この前記登録地点の属性に応じた報知音を前記音声出力手段により出力させるものとしてもよい。
この場合、移動体に近い登録地点の属性に応じて異なる報知音が出力されるので、移動体と登録地点とが近いことを報知するだけでなく、報知音の種類によって、近くにある登録地点の属性をユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0009】
本発明において、前記報知音取得手段は、指定された音声データの再生開始から終了までの時間を視覚化して示すインジケータと、このインジケータ上の任意の点を指定するポインタとが配置された音声取得用画面を、表示画面に表示させる表示制御手段と、前記ポインタの位置に対応する前記音声データの一部を抽出して、前記報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させる抽出手段と、を備える構成としても良い。
この構成によれば、音声取得用画面に表示されるインジケータとポインタとを用いて、報知音として使用する部分を指定でき、指定した部分の音声データが報知音の音声データとして記憶されるので、簡単な操作によって、任意の音声データを新たな報知音として記憶させることができる。
【0010】
また、上記構成において、前記表示制御手段は、前記音声データ中の取得開始位置および取得終了位置を各々指定するための複数のポインタが配置された前記音声取得用画面を表示させ、前記抽出手段は、前記ポインタにより指定された取得開始位置から取得終了位置までの音声データを抽出するものとしてもよい。
この場合、音声取得用画面に表示されるインジケータ上で、ポインタによって報知音として使用する部分の取得開始位置と取得終了位置とを簡単に指定できる。このため、より簡単な操作によって、任意の音声データを新たな報知音として記憶させることができる。
【0011】
また、本発明において、前記登録地点として複数の地点を登録可能に構成され、前記報知制御手段は、登録された複数の前記登録地点のうち最も前記移動体に近い登録地点が、前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記音声出力手段により報知音を出力させるものとしてもよい。
この場合、複数の登録地点のうち最も移動体に近い登録地点が、移動体から所定距離以内ある場合に報知音を出力するので、予め登録された複数の登録地点について、目的地や経由地として設定されていなくても移動体から近いことをユーザに知らせることが可能となる。これにより、ユーザは、目的地や経由地とするか否かにかかわらず多数の登録地点を登録しておけばよいので、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明は、移動体の経路案内を行うナビゲーション装置の制御方法であって、前記ナビゲーション装置が報知音の音声データを記憶する記憶手段を備える場合に、予め登録された地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記記憶手段に記憶された報知音の音声データに基づいて報知音を出力し、新たに音声データを取得した場合に、この音声データの一部を抽出して、報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させること、を特徴とするナビゲーション装置の制御方法を提供する。
本発明によれば、予め登録された登録地点が移動体の近くにある場合に報知音が出力されるので、その登録地点が目的地や経由地に設定されていなくても、登録地点が近いことをユーザに知らせることが可能となる。また、報知音として出力する音声を、指定された音声データの一部を抽出することで新たに記憶できるので、例えばユーザが好む音楽の一部を報知音として用いることができ、利便性を高めるとともに興趣性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、目的地や経由地に設定されていない登録地点であっても、登録地点が近いことをユーザに知らせることが可能となり、また、指定された音声データの一部を報知音として利用できるので、利便性を高めるとともに興趣性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1は本発明を適用した第1の実施形態に係るナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、車両に搭載されて経路案内を行う装置であり、後述するように、地図表示装置として、複数の表示領域の各々に表示領域に地図を表示する機能を備える。
【0015】
ナビゲーション装置1は、制御プログラムを実行して各部を制御する制御部10、制御部10により実行されるプログラムや各種データ等を一時的に記憶するメインメモリ11、後述する各種画面を表示するための表示データを一時的に記憶する表示メモリ12、地図データや各種設定情報等を記憶する記憶部13、制御部10の制御に従って各種画面を表示する表示部15、ユーザの操作を検出する入力部16、表示部15における表示状態に基づいて入力部16の操作内容を取得するユーザインタフェース部14、光ディスク型記録媒体からデータを読み取るドライブ装置17、および、制御部10から入力される音声データに基づいてスピーカ19から音声を出力する音声出力手段としての音声出力部18等を備える。
【0016】
記憶部13は、例えばハードディスク装置を内蔵し、経路案内動作を実現するためのプログラムや地図データ、ユーザが設定した目的地やユーザの操作により指定された地点の座標データ、その他の各種設定に係るデータを記憶する。この記憶部13は、CD(コンパクトディスク)やDVD等のディスク型記録媒体からデータを読み取るものであってもよいし、通信回線(図示略)を介して接続されたサーバ装置(図示略)等から上記の各種データを取得するものとしてもよい。
記憶手段としての記憶部13には、後述するように、登録地点に係る情報を記憶する登録地点記憶領域31(図2)、および、報知音の音声データを記憶する報知音記憶領域32(図3)が設けられる。
【0017】
表示部15は、液晶ディスプレイパネル等からなる表示画面としての表示パネル15Aと、表示パネル15Aに対する描画処理等を行う周辺回路(図示略)とを含んで構成され、表示パネル15A上に、制御部10により生成された表示データに基づいて各種画面を表示させる。
また、入力部16は、表示パネル15Aの表示面に重ねて配設されたタッチパネル16Aと、タッチパネル16Aにおける接触または押圧を検出する周辺回路とを含んで構成され、接触操作または押圧操作を検出した場合に、操作位置の座標を出力する。
ユーザインタフェース部14は、制御部10により生成された表示データに基づいて、入力部16が出力した座標に対応する表示を解析することにより、入力部16における操作内容を取得して、制御部10に出力する。
【0018】
ドライブ装置17は、CDやDVD等の光ディスク型記録媒体を駆動し、光ディスク型記録媒体に記録されたデータを読み取る装置であり、読み取ったデータを制御部10へ出力する。なお、このドライブ装置17に代えて、半導体メモリ素子や薄型ICチップを用いたカード型記録媒体からデータを読み取るカードリーダ装置を設けてもよい。
【0019】
音声出力部18は、制御部10から入力される音声データをデコードして音声信号を生成するとともに、制御部10の制御に従って音声信号を増幅してスピーカ19に出力する。スピーカ19は、ナビゲーション装置1が搭載された車両(図示略)の各所に設けられた1または複数個のスピーカである。
【0020】
また、ナビゲーション装置1は、GPSアンテナ22を介して受信した衛星からの電波に基づいて、所定時間毎に上記車両の現在位置(自車位置)を検出するGPSユニット21、内蔵するジャイロセンサ等により上記車両の向き(方位)を検出する相対方位検出部23、上記車両から入力される車速パルス信号に基づいて車両の速度を検出する車速検出部25、道路上に設置された発信器からの光ビーコン信号または電波ビーコン信号を受信することによって交通情報を取得するビーコン受信部27、FM多重放送波を受信することにより交通情報を取得するFM多重受信部29等を備えている。制御部10は、これらの各部から入力される自車位置を示す情報、自車の向きを示す情報、車速を示す情報、および交通情報等をもとに、経路案内を実行する。
【0021】
図2は、上述した記憶部13に設けられる登録地点記憶領域31の構成例を模式的に示す図である。
登録地点記憶領域31には、入力部16の操作等により予め登録された登録地点について、属性、緯度データおよび経度データが対応づけて記憶される。登録地点記憶領域31には複数の登録地点に係る情報を記憶可能であり、この場合、図2に示すように登録地点1、登録地点2、…と順に番号が付される。
【0022】
また、図3は、記憶部13に設けられる報知音記憶領域32の構成例を模式的に示す図である。
報知音記憶領域32は、ナビゲーション装置1が報知音として出力する音声のでー他を記憶する領域であり、プリセット領域32Aとユーザ記憶領域32Bとに分かれている。プリセット領域32Aには、予めナビゲーション装置1の出荷時等に音声データが記憶され、ユーザ記憶領域32Bには、入力部16の操作等に従って後から取り込まれた音声データが記憶される。各々の音声データには名称が付されており、さらに、ナビゲーション装置1が使用する報知音として設定されているか否かを示すフラグが対応づけられている。
【0023】
図3に示す例では、プリセット領域32Aに3個の音声データ(アラーム音1〜3)が記憶され、ユーザ記憶領域32Bには、3個の音声データが記憶されている。そして、これら6個の音声データのうち、プリセット領域32Aに記憶された「アラーム音2」が、ナビゲーション装置1で使用する報知音1として設定され、ユーザ記憶領域32Bに記憶された音声データ「SOUND_03.wav」が報知音2として設定されている。
なお、プリセット領域32A、ユーザ記憶領域32Bに記憶可能な音声データの数は任意であり、ナビゲーション装置1で使用する報知音の数も任意である。
【0024】
ここで、ユーザ記憶領域32Bに音声データを記憶する場合の動作について説明する。
図4は、音声データを記憶する際に表示パネル15Aに表示される音声取得用画面40の一例を示す図である。
音声取得用画面40は、ナビゲーション装置1において新たな報知音の音声データを取得する際に表示される画面である。この音声取得用画面40では、ドライブ装置17にセットされたCDやDVDから読み取られた音声データ、或いは、楽曲再生用に記憶部13に記憶された音声データを一つ取り込み、この音声データの一部を報知音の音声データとして取得できる。
【0025】
音声取得用画面40には、後述するように各種のボタンやポインタ等が表示されている。これら各種ボタンやポインタに重なる位置において、表示パネル15Aの表示面に対する接触操作が行われると、この接触操作がタッチパネル16Aにより検出され、上記各種ボタンやポインタに対する操作として取得される。
【0026】
図4に示す音声取得用画面40には、取り込んでいる音声データのファイル名等を表示する音声データ表示部41が配される。
この音声取得用画面40を用いて処理される音声データは、上述のように、ドライブ装置17により読み取られ、或いは記憶部13に予め記憶されていた楽曲の音声データ等である。これら多数の音声データのうち、音声取得用画面40による処理の対象となる音声データは、タッチパネル16Aにより検出されるユーザの操作によって指定される。このため、例えば、音声データ表示部41への接触操作により、対象の音声データを変更する処理に移行するようにしてもよい。
【0027】
音声取得用画面40のほぼ中央部には、取り込んでいる音声データの全長を示すインジケータ42が配される。このインジケータ42の左端は音声データの先頭に相当し、インジケータ42の右端は音声データの終端に相当する。
そして、インジケータ42上の位置を示すポインタとして、開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44が配されている。開始位置ポインタ43は、報知音の音声データとして取得すべき範囲の開始位置を、インジケータ42上で示すポインタである。終了位置ポインタ44は、報知音の音声データとして取得すべき範囲の終了位置を、インジケータ42上で示すポインタである。
また、音声取得用画面40には、開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44で示される範囲の音声データの取得を指示する実行ボタン45が配置されている。この実行ボタン45が操作されると、開始位置ポインタ43から終了位置ポインタ44に至る範囲が切り出され、報知音の音声データとして、ユーザ記憶領域32B(図3)に記憶される。
【0028】
音声取得用画面40が表示された状態では、取り込んだ音声データを再生させることも可能であり、再生動作を指示するための再生指示部46、再生時間を表示する再生時間表示部47、および、インジケータ42における再生位置を示す再生位置ポインタ48が配されている。
【0029】
図5は、ナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートであり、詳細には、音声データの一部を報知音の音声データとして取得する動作を示す。この図5に示す動作の実行に際し、制御部10は、報知音取得手段、表示制御手段、および抽出手段として機能する。
【0030】
制御部10は、まず、音声取得用画面40(図4)を表示パネル15Aに表示させ(ステップS11)、表示パネル15Aの表示面に対する接触操作に応答して、開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44の移動、或いは、音声データの再生等を実行する(ステップS12)。そして、実行ボタン45の操作を検出すると(ステップS13;Yes)、制御部10は、開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44の位置を取得し(ステップS14)、これら開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44により示された範囲についてのみ音声データを抽出し(ステップS15)、所定の名称を付けて報知音記憶領域32のユーザ記憶領域32B(図3)に記憶する(ステップS16)。ここで、ユーザ記憶領域32Bに音声データを記憶する際の名称は、例えば、記憶順を示す番号や日付・時刻を用いればよい。
【0031】
この図5に示す動作により、ユーザは、任意の音声データの中から任意の部分を抽出させ、報知音として利用できる。また、抽出する部分を指定する際には開始位置ポインタ43、終了位置ポインタ44を移動させて実行ボタン45を操作すればよく、音声データを再生させる必要がないので、非常に短時間で手軽に操作を済ませられる。さらに、音声取得用画面40を用いることで、車載されたナビゲーション装置1という限られたサイズの装置でありながら、非常に簡単な操作を実現している。
【0032】
続いて、報知音記憶領域32に記憶された報知音を、登録地点と現在の自車位置との距離に応じて出力する位置報知動作について説明する。
図6は、ナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートであり、詳細には、位置報知動作を示す。この位置報知実行に際し、制御部10は、報知制御手段として機能する。
【0033】
図6に示す位置報知動作において、制御部10は、GPSユニット21から出力される信号をもとに現在の自車位置を検出し(ステップS21)、次いで、登録地点記憶領域31に記憶された各登録地点と現在の自車位置との間の距離を求める(ステップS22)。
そして、制御部10は、現在の自車位置から500m(メートル)以内の登録地点があるか否かを判別し(ステップS23)、該当する登録地点があれば、報知音1として設定された音声データを報知音記憶領域32から読み出し(ステップS24)、この音声データをもとに音声出力部18によって報知音を出力させる(ステップS27)。
【0034】
現在の自車位置から500m以内の登録地点がない場合(ステップS23;No)、制御部10は、現在の自車位置から1km(キロメートル)以内の登録地点があるか否かを判別し(ステップS25)、該当する登録地点があれば、報知音2として設定された音声データを報知音記憶領域32から読み出し(ステップS26)、この音声データをもとに音声出力部18によって報知音を出力させる(ステップS27)。また、現在の自車位置から1km以内の登録地点がない場合、制御部10はステップS21に戻る。
【0035】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係るナビゲーション装置1によれば、予め登録地点記憶領域31に記憶された登録地点が、ナビゲーション装置1を搭載した車両の現在位置の近くにある場合に報知音が出力されるので、その登録地点が目的地や経由地に設定されていなくても、登録地点が近いことをユーザに知らせることが可能となる。
また、報知音として出力する音声としては、報知音記憶領域32に記憶された音声データが使用され、音声取得用画面40を用いることで、指定された音声データの一部を抽出して新たに報知音としてユーザ記憶領域32Bに記憶させることができるので、例えばユーザが好む音楽の一部を報知音として用いることができ、利便性を高めるとともに興趣性の向上を図ることができる。
【0036】
そして、音声取得用画面40を用いて新たな音声データを記憶させる際には、音声取得用画面40に表示されたインジケータ42に対し、開始位置ポインタ43および終了位置ポインタ44を移動させることで開始位置と終了位置とを指定し、実行ボタン45を操作するだけでよい。この簡単な操作によって、任意の音声データのうち、任意の部分を抽出させて、新たな報知音の音声データとして記憶させることができ、興趣性を高めるとともに、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0037】
また、報知音記憶領域32に記憶された複数の報知音の音声データを利用して、上記車両の現在位置と、登録地点との間の距離に応じて、例えば登録地点まで1km以内であれば報知音2を出力し、500m以内であれば報知音1を出力するので、登録地点が近いことを報知するだけでなく、報知音の種類によって、登録地点までの距離をユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0038】
さらに、登録地点記憶領域31に登録された複数の登録地点のうち、最も近い登録地点について、その登録地点までの距離が近い場合に報知音が出力されるので、予め登録された複数の登録地点について、目的地や経由地として設定されていなくても、上記車両から近いことをユーザに知らせることが可能となる。これにより、ユーザは、目的地や経由地とするか否かにかかわらず多数の登録地点を登録しておけばよいので、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0039】
[第2の実施形態]
図7は、本発明を適用した第2の実施形態に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートであり、詳細には、位置報知動作を示すフローチャートである。この位置報知動作の実行に際し、制御部10は、報知制御手段として機能する。
本第2の実施形態に係るナビゲーション装置1は、上記第1の実施形態で説明したナビゲーション装置1と同様に構成されるものであるから、ナビゲーション装置1を構成する各部については同符号を付して図示および説明を省略する。
【0040】
図7に示す位置報知動作において、制御部10は、GPSユニット21から出力される信号をもとに現在の自車位置を検出し(ステップS31)、次いで、登録地点記憶領域31に記憶された各登録地点と現在の自車位置との間の距離を求めることにより、最も現在の自車位置に近い登録地点を特定する(ステップS32)。ここで特定した登録地点と、その登録地点までの距離を、制御部10は、メインメモリ11に一時的に記憶させる(ステップS33)。
【0041】
続いて、制御部10は、例えば所定時間(1秒ないし数秒)後、再びGPSユニット21から出力される信号をもとに現在の自車位置を検出し(ステップS34)、次いで、最も現在の自車位置に近い登録地点を特定する(ステップS35)。
そして、制御部10は、ステップS35で特定した登録地点と、メインメモリ11に記憶した登録地点とが一致するか否かを判別する(ステップS36)。ここで、登録地点が一致しない場合には(ステップS36;No)、ステップS33に戻って同様の処理をやり直す。
ステップS35で特定した登録地点と、メインメモリ11に記憶した登録地点とが一致する場合(ステップS36;Yes)、制御部10は、現在の自車位置からステップS35で特定した登録地点までの距離が、メインメモリ11に記憶した距離よりも長いか否かを判別する(ステップS37)。
【0042】
現在の自車位置からステップS35で特定した登録地点までの距離が、メインメモリ11に記憶した距離よりも長い場合(ステップS37;Yes)、すなわち、上記車両が登録地点から遠ざかっている場合、制御部10は、現在の自車位置からステップS35で特定した登録地点までの距離が500m以内であるか否かを判別して(ステップS38)、500mより遠ければステップS33に戻って、メインメモリ11に登録地点と、その登録地点までの現在の距離を記憶させる。ここで、以前にメインメモリ11に記憶されていた登録地点と距離は、上書きされて消える。
また、登録地点までの距離が500m以内であれば、報知音2として設定された音声データを報知音記憶領域32から読み出し(ステップS39)、この音声データをもとに音声出力部18によって報知音を出力させて(ステップS40)、ステップS34に戻る。
【0043】
一方、現在の自車位置からステップS35で特定した登録地点までの距離が、メインメモリ11に記憶した距離よりと同じか短い場合(ステップS37;No)、すなわち、上記車両が登録地点に近づいている場合、制御部10は、現在の自車位置からステップS35で特定した登録地点までの距離が500m以内であるか否かを判別して(ステップS41)、500mより遠ければステップS34に戻り、500m以内であれば、報知音1として設定された音声データを報知音記憶領域32から読み出し(ステップS42)、ステップS40に移行して、報知音1の音声データをもとに音声出力部18によって報知音を出力させ、ステップS34に戻る。
【0044】
このように、本発明を適用した第2の実施形態に係るナビゲーション装置1により、位置報知動作を行えば、ナビゲーション装置1を搭載した車両が登録地点に近づいているか、遠ざかっているかに応じて、異なる報知音を出力する。これにより、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、登録地点が近いことだけでなく、報知音の種類によって、登録地点に近づいているか遠ざかっているかをユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0045】
[第3の実施形態]
図8は、本発明を適用した第3の実施形態に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートであり、詳細には、位置報知動作を示すフローチャートである。この位置報知実行に際し、制御部10は、報知制御手段として機能する。
本第3の実施形態に係るナビゲーション装置1は、上記第1の実施形態で説明したナビゲーション装置1と同様に構成されるものであるから、ナビゲーション装置1を構成する各部については同符号を付して図示および説明を省略する。
【0046】
本第3の実施形態に係るナビゲーション装置1においては、登録地点記憶領域31(図2)に記憶された登録地点の属性に、報知音が対応づけられている。例えば、登録地点の属性「自宅」に対して、報知音1が対応づけられ、登録地点の属性「出身地」に対して、報知音2が対応づけられ、登録地点の属性「コンビニ」に対して報知音3が対応づけられるものとする。
【0047】
図8に示す位置報知動作において、制御部10は、GPSユニット21から出力される信号をもとに現在の自車位置を検出し(ステップS51)、次いで、登録地点記憶領域31に記憶された各登録地点と現在の自車位置との間の距離を算出する(ステップS52)。
そして、制御部10は、現在の自車位置から500m以内の登録地点があるか否かを判別し(ステップS53)、該当する登録地点がない場合(ステップS53;No)、制御部10はステップS51に戻る。
【0048】
また、現在の自車位置から500m以内の登録地点がある場合(ステップS53;Yes)、制御部10は、その登録地点について、登録地点記憶領域31に対応づけて記憶された属性を取得し、その属性に対応づけられた報知音の音声データを報知音記憶領域32から取得する(ステップS54)。
その後、制御部10は、取得した音声データをもとに音声出力部18によって報知音を出力させる(ステップS55)。
【0049】
このように、本発明を適用した第3の実施形態に係るナビゲーション装置1により、位置報知動作を行えば、ナビゲーション装置1を搭載した車両の近くにある登録地点の属性に応じて、異なる報知音を出力する。これにより、上記第1の実施形態で得られる効果に加えて、登録地点が近いことだけでなく、報知音の種類によって、登録地点の属性をユーザに報知でき、より一層の利便性の向上を図ることができる。
【0050】
なお、上記第1から第3の実施形態においては、現在の自車位置と登録地点との間の距離の基準を、500mあるいは1kmとしたが、これはあくまで一例であり、任意に変更可能であり、例えば、入力部16による操作に応じて変更されるものとしてもよい。
また、上記第1から第3の実施形態で説明した態様において、報知音の出力時に、表示パネル15Aに映像を表示出力するようにしてもよい。この映像としては、例えば、予め報知音に対応づけて記憶部13に記憶した映像を用いてもよいし、光ディスク等の記録メディアに記録されたマルチメディア動画像(映画やTV録画映像、コンサート映像、ライブ映像等)をドライブ装置17によって読み取って用いる構成としてもよい。或いは、ナビゲーション装置1に地上デジタル放送等を受信するチューナーを設けた構成として、このチューナーにより受信した映像を記憶部13に記録し、この記録した映像を上記映像として用いてもよい。さらには、チューナーにより受信した音声を記憶部13に記録し、この記録した音声を、音声取得用画面40を用いた操作により報知音記憶領域32に記憶し、報知音として用いてもよい。
また、報知音の出力時に、表示パネル15A上に表示する地図に重ねて、登録地点の位置を強調表示してもよい。
さらに、本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置1だけでなく、移動体の位置を検出するとともに音声出力機能を備えた可搬側のナビゲーション装置にも適用可能であり、その他、表示パネル15Aの種類等を含むナビゲーション装置1の細部構成等についても、勿論、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】登録地点記憶領域の構成例を模式的に示す図である。
【図3】報知音記憶領域の構成例を模式的に示す図である。
【図4】ナビゲーション装置により表示される音声取得用画面の構成例を示す図である。
【図5】ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 ナビゲーション装置
10 制御部(報知制御手段、報知音取得手段、表示制御手段、抽出手段)
11 メインメモリ
12 表示メモリ
13 記憶部(記憶手段)
14 ユーザインタフェース部
15 表示部
15A 表示パネル
16 入力部
16A タッチパネル
17 ドライブ装置
18 音声出力部(音声出力手段)
19 スピーカ(音声出力手段)
40 音声取得用画面
41 音声データ表示部
42 インジケータ
43 開始位置ポインタ(ポインタ)
44 終了位置ポインタ(ポインタ)
45 実行ボタン
46 再生指示部
47 再生時間表示部
48 再生位置ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の経路案内を行うナビゲーション装置において、
経路案内中に出力する報知音の音声データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された音声データをもとに報知音を出力する音声出力手段と、
予め登録された登録地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記音声出力手段により報知音を出力させる報知制御手段と、を備え、さらに、
指定された音声データの一部を抽出し、新たな報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させる報知音取得手段を備えること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記記憶手段には複数の前記報知音の音声データが記憶され、
前記報知制御手段は、前記移動体の現在位置と前記登録地点との間の距離に応じて、異なる前記報知音を前記音声出力手段により出力させること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記記憶手段は複数の前記報知音の音声データを記憶し、
前記報知制御手段は、前記移動体が前記登録地点に接近している場合と、前記登録地点から離隔している場合とで、異なる前記報知音を前記音声出力手段によって出力させること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記記憶手段には複数の前記報知音の音声データが記憶され、
前記報知制御手段は、前記登録地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、この前記登録地点の属性に応じた報知音を前記音声出力手段により出力させること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記報知音取得手段は、
指定された音声データの再生開始から終了までの時間を視覚化して示すインジケータと、このインジケータ上の任意の点を指定するポインタとが配置された音声取得用画面を、表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記ポインタの位置に対応する前記音声データの一部を抽出して、前記報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させる抽出手段と、を備えること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記音声データ中の取得開始位置および取得終了位置を各々指定するための複数のポインタが配置された前記音声取得用画面を表示させ、
前記抽出手段は、前記ポインタにより指定された取得開始位置から取得終了位置までの音声データを抽出すること、
を特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記登録地点として複数の地点を登録可能に構成され、前記報知制御手段は、登録された複数の前記登録地点のうち最も前記移動体に近い登録地点が、前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記音声出力手段により報知音を出力させること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
移動体の経路案内を行うナビゲーション装置の制御方法であって、
前記ナビゲーション装置が報知音の音声データを記憶する記憶手段を備える場合に、
予め登録された地点が前記移動体の現在位置から所定距離以内にある場合に、前記記憶手段に記憶された報知音の音声データに基づいて報知音を出力し、
新たに音声データを取得した場合に、この音声データの一部を抽出して、報知音の音声データとして前記記憶手段に記憶させること、
を特徴とするナビゲーション装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−82814(P2008−82814A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262017(P2006−262017)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】