説明

ナビゲーション装置、および目的方面誘導方法

【課題】ユーザが指定した目的の方面に向かうことができる幹線道路までユーザを誘導する。
【解決手段】目的方面探索部160は、入力受付部150を介して慣用地名の指定を受け付けると、目的方面探索部160は、まず、慣用地名データベース52を用いて、指定された慣用地名を通過する道路を特定する。また、特定した道路が通過する交差点ノードを全て抽出する。また、地図データベース51を用いて、抽出した交差点ノードのうち現在地から最小のコストで到達することのできる交差点ノードまでの推奨経路を探索する。このようにして、目的方面へ向かうことのできる道路までの経路を探索することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、およびナビゲーション装置における目的方面誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるナビゲーション装置において、車両から一定距離以上離れた行政区画の名称を地図データから抽出して画面上に表示し、表示した名称の指定をユーザから受け付け、指定された名称の行政区画の代表地点を仮の目的地に設定し、誘導経路を探索する技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−122435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザは、例えば、幹線道路から離れた駐車場などから出発しようとする場合や、幹線道路から離れた場所で道に迷った場合に、目的の方面の見当を付けられないことがある。また同時に、ユーザは、目的の地点は未定であるが、とりあえず目的の方面に向かって走行したい場合がある。
【0005】
このような状況において、ユーザは、即座に、目的の方面へ向かうことができる幹線道路までの経路を知ることができれば、目的の方面に向かって走行を開始できるため、便利である。
【0006】
しかしながら、上記のような従来のナビゲーション装置では、目的の方面を指定した場合、所定の代表地点までの経路が自動的に設定される。そのため、ユーザは、目的の地点を決めていない場合であっても、ユーザが意図しない地点に誘導されることがあり、不便である。
【0007】
また、上記のような従来のナビゲーション装置では、代表地点までの経路が自動的に探索されるため、代表地点の位置によっては経路探索に時間がかかる。そのため、ユーザは、目的の方面に向かって直ぐに走行を開始できないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザが指定した目的の方面に向かうことができる幹線道路まで、ユーザを誘導する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためのナビゲーション装置に係る発明は、地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置であって、地図上の道路ごとに、前記道路が通過する地域名および交差点のノード情報を関連付けた地域名情報を記憶する記憶手段と、地域名の指定を受け付ける入力受付手段と、現在地を算出する現在地算出手段と、前記地域名情報から、指定された地域名を通過する道路を特定し、特定した道路が通過する交差点を抽出し、前記地図情報を用いて、抽出した交差点のうち前記現在地からのコストが最小となる交差点までの経路を探索する目的方面探索手段と、前記経路を表示して、前記交差点までの経路を案内する目的方面誘導手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、上記のナビゲーション装置は、前記地図情報を用いて、前記現在地から指定された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路を表示して、前記目的地までの経路を案内する経路誘導手段と、を有し、前記入力受付手段は、前記目的方面誘導手段により前記交差点までの経路案内が開始された後、前記目的地の指定を受け付けること、を特徴とするものであってもよい。
【0011】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記目的方面誘導手段は、前記現在地が前記交差点に到達したか否かを判定し、前記入力受付手段は、前記現在地が前記交差点に到達したと判定された場合、前記目的地の指定を受け付けること、を特徴とするものであってもよい。
【0012】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記目的方面誘導手段は、現在地が前記交差点までの経路上で停止したか否かを判定し、前記入力受付手段は、現在地が停止していると判定された場合、前記目的地の指定を受け付けること、を特徴とするものであってもよい。
【0013】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記目的方面誘導手段は、指定された地域名の方面を案内すること、を特徴とするものであってもよい。
【0014】
上記の課題を解決するための方法に係る発明は、地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置における目的方面誘導方法であって、前記ナビゲーション装置は、地図上の道路ごとに、前記道路が通過する地域名および交差点のノード情報を関連付けた地域名情報を記憶し、地域名の指定を受け付ける入力受付ステップと、現在地を算出する現在地算出ステップと、前記地域名情報から、指定された地域名を通過する道路を特定し、特定した道路が通過するの交差点を抽出し、前記地図情報を用いて、抽出した交差点のうち前記現在地からのコストが最小となる交差点までの経路を探索する目的方面探索ステップと、前記経路を表示して、前記交差点までの経路を案内する目的方面誘導ステップと、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが指定した目的の方面に向かうことができる幹線道路まで、ユーザを誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示すブロック図。
【図2】地図データベースの構成例を説明するための図。
【図3】慣用地名データベースの構成例を説明するための図。
【図4】慣用地名データベースに格納されるデータと地点情報の関係を説明するための図。
【図5】ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図。
【図6】目的方面へ向かう道路までの経路を探索する手順を説明するための図。
【図7】目的方面への誘導を行う処理の流れを示すフロー図。
【図8】目的方面への誘導を行うための地図画面の遷移例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置のハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
【0019】
ナビゲーション装置1は、車両などに搭載され、地図情報、経路情報、渋滞情報などの交通情報を表示してユーザを誘導するナビゲーション処理を行うための装置である。
【0020】
もちろん、ナビゲーション装置1は、車両に備え付けられたものでなくてもよく、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)などであってもよい。また、車内LAN(Local Area Network)、CAN(Controller Area Network)などの車内通信回線を介して他の車載機器やセンサなどの車両機器と通信を行ってもよい。
【0021】
ナビゲーション装置1は、演算処理部10、表示装置20、入力装置30(タッチパネル31、ダイヤルスイッチ32)、音声入出力装置40(スピーカ41、マイクロフォン42)、記憶装置50、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS(Global Positioning System)受信装置64、FM多重放送受信装置66、ビーコン受信装置68を有する。
【0022】
もちろん、ナビゲーション装置1は、上記の構成に限られず、例えば、地上デジタル放送用のチューナーや、携帯電話回線やインターネットなどの通信ネットワークと接続する通信装置を有していてもよい。
【0023】
演算処理部10は、上記の各装置を制御し、様々な処理を行う中心的ユニットである。演算処理部10は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、実行するプログラムや必要なデータを格納するRAM(Random Access Memory)12やROM(Read Only Memory)13などのメモリと、他の装置を通信により制御するためのインタフェース(I/F)14とが、信号線15により接続されて構成される。
【0024】
演算処理部10は、例えば、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS受信装置64から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報を記憶装置50から読み出す。
【0025】
また、演算処理部10は、読み出した地図情報をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねて表示装置20へ表示する。また、地図情報を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を算出して、表示装置20へ表示する。
【0026】
また、演算処理部10は、例えば、スピーカ41を介してユーザを誘導するための音声や操作音を出力する。また、マイクロフォン42や入力装置30を介してユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。
【0027】
また、演算処理部10は、例えば、FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して、情報センターから交通情報などを受信して表示装置20へ表示する。
【0028】
表示装置20は、演算処理部10で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。表示装置20は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0029】
入力装置30は、ユーザの指示をユーザの操作により受け付けるためのユニットである。入力装置30は、タッチパネル31と、ダイヤルスイッチ32と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キー、キーボードなどで構成される。
【0030】
タッチパネル31は、表示装置20の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル31は、表示装置20に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して演算処理部10に出力する。タッチパネル31は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0031】
ダイヤルスイッチ32は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部10に出力する。演算処理部10では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ32の回転角度を求める。
【0032】
音声入出力装置40は、音声出力装置としてスピーカ41と、音声入力装置としてマイクロフォン42とを備える。スピーカ41は、演算処理部10で生成された音声信号を出力する。マイクロフォン42は、ユーザその他の搭乗者から発せられた音声などの、ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0033】
スピーカ41とマイクロフォン42とは、車両の所定の部位に、別個に配置されている。もちろん、スピーカ41とマイクロフォン42とは、一体の筐体に収納されていてもよい。また、ナビゲーション装置100は、スピーカ41およびマイクロフォン42を、それぞれ複数備えることができる。
【0034】
記憶装置50には、演算処理部10が各種処理を実行するために必要な、プログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報、音声認識に使用される音声辞書などが格納される。演算処理部10のCPU11によってRAM12上に読み出されて使用される。記憶装置50は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD-ROMなどにより構成される。
【0035】
ここで、図2〜4を参照して、記憶装置50に格納される地図データベース(DB)、慣用地名データベース(DB)について説明する。
【0036】
図2は、地図データベースの構成例を説明するための図である。
【0037】
本図に示すように、地図データベース51は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)5111ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ5120を含んでいる。リンクデータ5120は、リンクの識別コード(リンクID)5121ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報5122、リンクを含む道路の種別情報5123、リンクの長さを示すリンク長情報5124、リンク旅行時間5125、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)5126、リンクに含まれる車線の数を示す車線数5127、リンクを含む道路の識別コード(道路ID)5128などを含んでいる。リンクの道路種別には、有料道路か否かの情報が格納されている。道路ID5128は、当該道路の名称などと関連付けられていてもよい。
【0038】
もちろん、地図データベース51の構成は上記に限られない。
【0039】
図3は、慣用地名データベースの構成例を説明するための図である。
【0040】
本図に示すように、慣用地名データベース52は、地図上の道路の識別コード(道路ID)5211ごとに、その道路が通過する地域や地点を示す地点情報5212を含んでいる。
【0041】
道路ID5211は、例えば、いわゆる幹線道路ごとに予め割り当てられた、道路を特定するための情報である。道路ID5211は、地図データベース51に含まれる道路ID5128と対応する情報である。
【0042】
地点情報5212は、道路が通過する地域について慣用されている慣用地名5213、もしくは、道路が通過する交差点ノードの座標情報5214を示す情報である。地点情報5212は、例えば、道路の始点側もしくは終点側から順に格納される。慣用地名とは、例えば、「湘南」、「横浜」、「東京」、「信州」など、地域を示す名称として慣用されている名称である。
【0043】
例えば、図4に示すように、幹線道路Aが通過する地域や交差点を、始点側から終点側まで順に、地域A、交差点A、地域B、交差点B、交差点C、交差点D、地域Cと表現できる場合、幹線道路Aの地点情報5212は、地域Aの慣用地名、交差点Aのノードの座標情報、地域Bの慣用地名、交差点Bのノードの座標情報、交差点Cのノードの座標情報、交差点Dのノードの座標情報、地域Cの慣用地名、の順に格納される。
【0044】
もちろん、慣用地名データベース52の構成は上記に限られない。
【0045】
図1に戻って、車速センサ60、ジャイロセンサ62、及び、GPS受信装置64は、移動体(ナビゲーション装置1)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。
【0046】
車速センサ60は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ62は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置64は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0047】
上記のようにして検出されたデータは、演算処理部10に送られて、ナビゲーション処理に使用される。もちろん、各種センサは、車内LANやCANを介してナビゲーション装置1と接続されていてもよい。
【0048】
FM多重放送受信装置66は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などや、FM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0049】
ビーコン受信装置68は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0050】
次に、図5を参照して、ナビゲーション装置1の機能構成について説明する。図5は、ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図である。
【0051】
本図に示すように、ナビゲーション装置1は、経路誘導部110、現在地算出部120、経路探索部130、表示処理部140、入力受付部150、目的方面探索部160、目的方面誘導部170、記憶部180を有する。記憶部180は、地図データベース51、慣用地名データベース52を有する。
【0052】
経路誘導部110、現在地算出部120、経路探索部130、表示処理部140、入力受付部150、目的方面探索部160、目的方面誘導部170は、演算処理部10のCPU11が、記憶装置50やROM13から、所定のプログラムやデータをRAM12上にロードして実行することにより構築される。記憶部180は、記憶装置50やRAM12により構築される。
【0053】
経路誘導部110は、ナビゲーション装置1の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、交通情報の表示、現在位置の表示、経路の表示、経路誘導等)を行う。
【0054】
具体的には、経路誘導部110は、現在地算出部120が算出した現在地周辺の地図情報を記憶部180から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示処理部140に指示する。
【0055】
また、経路誘導部110は、経路探索部130が算出した経路情報がある場合は、その経路を表示するように表示処理部140に指示する。FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して取得した交通情報を表示するようにしてもよい。また、経路誘導部110は、スピーカ41を用いてユーザを案内する音声を出力する。また、入力受付部150を介して受け付けたユーザの操作に対応する処理を行う。
【0056】
現在地算出部120は、所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)に、車速センサ60、ジャイロセンサ62、GPS受信装置64から出力される情報を用いて現在地を算出する。算出された現在地情報は、経路誘導部110、経路探索部130、目的方面探索部160、目的方面誘導部170などに送られてそれらの処理に使用される。
【0057】
経路探索部130は、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路の探索を行う。
【0058】
具体的には、経路探索部130は、まず、入力受付部150を介してユーザにより指定された目的地を取得する。また、現在地算出部120から現在地を取得する。また、地図情報51を記憶部180から読み出す。そして、ダイクストラ法等を用いて、2地点(現在地と目的地)間を結ぶ経路を、所定の地点(ノード)を結ぶ道路(リンク)をリンクコスト(例えば、距離や旅行時間)に換算して、経路上の総コストが他の経路に対して最少となる経路を探索する。
【0059】
なお、FM多重放送受信装置66やビーコン受信装置68を介して取得した交通情報を用いて最適な経路を探索するようにしてもよい。
【0060】
表示処理部140は、他の機能部の指示を受け付け、表示装置20に画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定されたスケール、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、経由地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、ユーザの指示を受け付けるためのメニュー項目や、操作ボタンなどの画像を描画するように描画コマンドを生成する。
【0061】
入力受付部150は、入力装置30を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、マイクロフォン42を介して入力された音声から、音声認識により対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。
【0062】
例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、入力受付部150は、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログ、ウインドウなどを表示する処理を、経路探索部130に要求する。また、例えば、ユーザが慣用地名を指定して目的方面への誘導を要求したときは、入力受付部150は、慣用地名に対応する目的方面を探索する処理を目的方面探索部160に要求する。
【0063】
目的方面探索部160は、地図データベース51および慣用地名データベース52を用いて、ユーザが指定した慣用地名を目的方面として、当該目的方面へ向かうことのできる道路までの経路を探索する。
【0064】
すなわち、入力受付部150を介して慣用地名の指定を受け付けると、目的方面探索部160は、まず、慣用地名データベース52を用いて、指定された慣用地名を通過する道路を特定する。また、特定した道路が通過する交差点ノードを全て抽出する。また、地図データベース51を用いて、抽出した交差点ノードのうち現在地から最小のコストで到達することのできる交差点ノードまでの推奨経路を探索する。このようにして、目的方面へ向かうことのできる道路までの経路を探索することができる。なお、経路の探索方法は、経路探索部130と同様である。
【0065】
例えば、図6に示すように、地域Aの慣用地名が指定された場合、当該慣用地名を通過する幹線道路Aおよび幹線道路Bが特定される。また、特定された幹線道路Aおよび幹線道路Bを構成する交差点A〜Fのうち、現在地から最も近い交差点Bが特定され、交差点Bまでの経路が探索される。
【0066】
図5に戻って、目的方面誘導部170は、現在地、現在地周辺の地図情報、目的方面探索部160により算出された経路情報などを表示処理部140表示するように指示し、ユーザを目的方面へ誘導する処理を行う。また、目的方面誘導部170は、スピーカ41を介してユーザを目的方面へ案内する音声を出力する
【0067】
次に、上述のハードウェアおよび機能部により実現される処理について、図7、8を参照して説明する。
【0068】
図7は、目的方面への誘導を行う処理の流れを示すフロー図である。図8は、目的方面への誘導を行うための地図画面の遷移例を示す図である。
【0069】
本フロー(図7参照)は、例えば、イグニッションスイッチのオンなどによりナビゲーション装置1が起動すると開始される。ステアリングスイッチのオンなどにより開始するようにしてもよい。また、所定の語句の音声入力や、所定のボタン操作により開始するようにしてもよい。
【0070】
本フローが開始されると、入力受付部150は、目的地域の入力を受け付ける(S110)。具体的には、目的地域の慣用地名を指定する音声が入力されたか否かを音声認識により監視する。音声認識は、例えば、音声辞書に予め登録された慣用地名を示す語句およびそれらの音声モデルと、入力されたユーザの音声とを比較することにより実現される。そして、慣用地名が入力されたと判定した場合(S110でYES)、S120へ進む。一方、慣用地名が入力されていないと判定した場合(S110でNO)、監視を継続する。なお、入力装置30を介した文字入力により、目的地域の慣用地名の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0071】
ここで、地図画面は、例えば、図8(A)のように表示される。本図に示すように、地図画面には、地図情報700、現在地マーク704などが表示される。また、幹線道路701の名称を示す道路名712と、交差点の名称を示す交差点名710、711などが表示される。もちろん、地図画面の構成は上記に限られない。
【0072】
図7に戻って、目的地域が入力されると(S110でYES)、目的方面探索部160は、目的地域へ向かう幹線道路の抽出を行う(S120)。具体的には、目的方面探索部160は、慣用地名データベース52を参照し、入力された慣用地名(S110)と一致する地点情報5212を含む道路の道路ID5211を全て特定する。
【0073】
それから、目的方面探索部160は、特定した幹線道路上の交差点を全て抽出する(S130)。具体的には、目的方面探索部160は、特定した道路ID5211(S120)の地点情報5212の中から、交差点のノードの座標情報を全て取得する。
【0074】
その後、目的方面探索部160は、抽出した交差点のうち現在地に最も近い交差点までの経路を探索する(S140)。具体的には、目的方面探索部160は、まず、現在地算出部120から現在地を取得する。また、地図データベース51を用いて、取得した交差点ノード(S130)ごとに、現在地からのリンクコストを算出し、コストが最小となる交差点ノードまでの推奨経路の探索を行う。また、推奨経路の目的地として特定した交差点ノードを含む道路の道路ID5211を特定する。
【0075】
経路情報が算出されると、目的方面誘導部170は、目的方面への経路誘導を行う(S150)。具体的には、目的方面誘導部170は、現在地算出部120が算出した現在地周辺の地図情報を記憶部180から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示処理部140に指示する。また、目的方面探索部160が算出した経路情報(S140)を表示するように表示処理部140に指示する。また、スピーカ41を用いてユーザを案内する音声を出力するようにしてもよい。
【0076】
ここで、地図画面は、例えば、図8(A)から(B)に示すように遷移して表示される。本図に示すように、地図画面には、現在地と交差点ノード間を結ぶ経路情報706が表示される。入力された慣用地名(S110)に対応する地域の方面を示す方面表示マーク713を表示してもよい。
【0077】
目的の地域の方面は、例えば次のように特定することができる。まず、目的方面探索部160は、S140で特定した道路ID5211の道路の地点情報5212を参照し、S140において特定した交差点ノードの地点情報5212の格納位置から、入力された慣用地名の地点情報5212の格納位置の方向に格納されている、少なくとも1つの交差点ノードの地点情報5212を取得する。そして、地図データベース51を参照し、S140で特定した交差点ノードの座標位置から、取得した交差点ノードの座標位置へ向かう方向を、目的の地域の方面として特定する。目的方面誘導部170は、特定された方面を示すように、方面表示マーク713を表示する。
【0078】
図7に戻って、目的方面誘導部170は、特定した交差点を通過したか否かを判定する(S160)。具体的には、目的方面誘導部170は、現在地算出部120が算出した現在地が、特定した交差点ノードに到達したか否かを判定する。そして、交差点ノードに到達していないと判定した場合(S160でNO)、S150に戻る。
【0079】
一方、交差点ノードに到達したと判定した場合(S160でYES)、本フローを終了する。
【0080】
なお、現在地が、交差点ノードに到達したと判定した場合、例えば、図8(C)に示すように、「このまま道なりで地域A方面です。」などと、目的方面へ向かっていることを示すメッセージ714を表示して、もしくは、メッセージをスピーカ41から音声出力して、本フローを終了するようにしてもよい。または、現在地が、交差点ノードを通過し、S140で特定した道路ID5211の道路に含まれるリンク上に位置する場合に、メッセージを出力するようにしてもよい。もちろん、上記の条件に係わらず、目的方面誘導中にメッセージを出力するようにしてもよい。
【0081】
また、目的方面への誘導(S150)が開始され後、目的方面にある本来の目的地の入力をユーザに促すメッセージを表示したり音声出力したりして、目的地の入力を受け付け、通常の経路検索および経路誘導を行うようにしてもよい。
【0082】
例えば、現在地がS140で特定した交差点ノードに到達したか否かを判定し、到達したと判定された場合に、目的地の入力を受け付けるようにすることができる。また、車両が、S140で特定した交差点ノードまでの推奨経路上で、もしくは、S140で特定した道路上で停車したか否かを判定し、停車したと判定された場合に、目的地の入力を受け付けるようにすることができる。また、現在地が、交差点ノードを通過し、S140で特定した道路上に位置する場合に、目的地の入力を受け付けるようにすることができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、ユーザが指定した目的の方面に向かうことができる幹線道路まで、ユーザを誘導することができる。
【0084】
すなわち、ユーザは、目的の方面の見当を付けられない場合や、目的の地点は未定であるがとりあえず目的の方面に向かって走行したい場合などに、即座に、目的の方面へ向かうことができる幹線道路まで、走行を開始することができる。
【0085】
また、ユーザは、即座に目的の方面へ向かうことができるとともに、ユーザが意図しない目的地に誘導されることがなくなる。
【0086】
また、目的の方面へ向かうことができる幹線道路上の交差点までの経路探索が行われるため、経路探索時間が短くなり、ユーザは、目的の方面に向かって即座に走行を開始できる。
【0087】
また、ユーザは、おおざっぱな方面(慣用地名)を指定すれば、即座に、目的の方面へ向かうことができる。
【0088】
また、ユーザは、目的方面への誘導により走行を開始した後、本来の目的地までの通常の経路探索を行うことができるため、即座に目的方面へ向かうことができるとともに、本来の目的地をゆっくり考えて決定することができる。
【0089】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【0090】
例えば、本発明は、首都高速や高速道路などの有料道路についても適用できる。具体的には、慣用地名データベース52の、交差点ノードの地点情報5212の代わりに、有料道路の入り口ノード(入り口ランプ)の地点情報5212を格納する。このようにすれば、慣用地名が指定されると、慣用地名が示す地域に向かうことのできる有料道路の入り口ノードまでの経路が算出される。そして、ユーザは、即座に、目的の方面へ向かう有料道路まで走行を開始し、目的の方面へ向かうことができる。
【符号の説明】
【0091】
1:ナビゲーション装置、10:演算処理部、11:CPU、12:RAM、13:ROM、14:I/F、15:信号線、20:表示装置、30:入力装置、31:タッチパネル、32:ダイヤルスイッチ、40:音声入出力装置、41:スピーカ、42:マイクロフォン、50:記憶装置、51:地図DB、52:慣用地名DB、60:車速センサ、62:ジャイロセンサ、64:GPS受信装置、66:FM多重放送受信装置、68:ビーコン受信装置、
5111:メッシュID、5120:リンクデータ、5121:リンクID、5122:座標情報、5123:種別情報、5124:リンク長情報、5125:リンク旅行時間、5126:接続リンクID、5127:車線数、5128:道路ID、
5211:道路ID、5212:地点情報、5213:慣用地名、5214:座標情報、
110:経路誘導部、120:現在地算出部、130:経路探索部、140:表示処理部、150:入力受付部、160:目的方面探索部、170:目的方面誘導部、180:記憶部、
700:地図情報、701:幹線道路、704:現在地マーク、706:経路情報、710:交差点名、711:交差点名、712:道路名、713:方面表示マーク、714:メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置であって、
地図上の道路ごとに、前記道路が通過する地域名および交差点のノード情報を関連付けた地域名情報を記憶する記憶手段と、
地域名の指定を受け付ける入力受付手段と、
現在地を算出する現在地算出手段と、
前記地域名情報から、指定された地域名を通過する道路を特定し、特定した道路が通過する交差点を抽出し、前記地図情報を用いて、抽出した交差点のうち前記現在地からのコストが最小となる交差点までの経路を探索する目的方面探索手段と、
前記経路を表示して、前記交差点までの経路を案内する目的方面誘導手段と、を有すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記地図情報を用いて、前記現在地から指定された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路を表示して、前記目的地までの経路を案内する経路誘導手段と、を有し、
前記入力受付手段は、
前記目的方面誘導手段により前記交差点までの経路案内が開始された後、前記目的地の指定を受け付けること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記目的方面誘導手段は、
前記現在地が前記交差点に到達したか否かを判定し、
前記入力受付手段は、
前記現在地が前記交差点に到達したと判定された場合、前記目的地の指定を受け付けること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記目的方面誘導手段は、
現在地が前記交差点までの経路上で停止したか否かを判定し、
前記入力受付手段は、
現在地が停止していると判定された場合、前記目的地の指定を受け付けること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4いずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記目的方面誘導手段は、指定された地域名の方面を案内すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
地図情報を用いて経路誘導を行うナビゲーション装置における目的方面誘導方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
地図上の道路ごとに、前記道路が通過する地域名および交差点のノード情報を関連付けた地域名情報を記憶し、
地域名の指定を受け付ける入力受付ステップと、
現在地を算出する現在地算出ステップと、
前記地域名情報から、指定された地域名を通過する道路を特定し、特定した道路が通過する交差点を抽出し、前記地図情報を用いて、抽出した交差点のうち前記現在地からのコストが最小となる交差点までの経路を探索する目的方面探索ステップと、
前記経路を表示して、前記交差点までの経路を案内する目的方面誘導ステップと、を行うこと、
を特徴とする目的方面誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−281618(P2010−281618A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133717(P2009−133717)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】