ナビゲーション装置、および経路の再探索方法
【課題】ナビゲーション装置において、推奨経路である高速道路から逸脱して一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにする。
【解決手段】リンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索するナビゲーション装置の演算処理部１に、現在位置を算出する手段と、推奨経路からの逸脱を検出する手段と、推奨経路から逸脱したと検出されると、現在位置から目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段とを設ける。リルート手段は、逸脱地点のリンクが高速道路であり、且つ逸脱した先のリンクが一般道路である場合、逸脱地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストをリンク情報のコストと比べて高く設定した上で、目的地までの経路を再探索する。
【解決手段】リンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索するナビゲーション装置の演算処理部１に、現在位置を算出する手段と、推奨経路からの逸脱を検出する手段と、推奨経路から逸脱したと検出されると、現在位置から目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段とを設ける。リルート手段は、逸脱地点のリンクが高速道路であり、且つ逸脱した先のリンクが一般道路である場合、逸脱地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストをリンク情報のコストと比べて高く設定した上で、目的地までの経路を再探索する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車載用のナビゲーション装置の技術に関し、特に、設定された推奨経路を逸脱した際に行うリルート処理の技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
ナビゲーション装置には、誘導中の推奨経路から、車両が逸脱した場合に、目的地までの経路を再度探索してユーザに提示するリルート処理の機能が設けられているものが多い。例えば、特許文献１には、リルート処理に関する技術が開示されている。特許文献１に記載のナビゲーション装置は、リルート処理で新たな経路を探索する場合、これまで通った経路のコストに重み付けを行い、既に通行した経路に逆戻りすることがないような経路を探索するようにしている。
【０００３】
【特許文献１】特開平１０−１９５９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、ナビゲーション装置に推奨経路として設定されている高速道路を走行中のユーザが、渋滞等の理由により、高速道路から一般道路に降りてしまうことがある。具体的には、推奨経路である高速道路のインターチェンジ（以下「ＩＣ」という）からユーザが一般道路に降りてしまうことがある。このような場合に、ナビゲーション装置が、リルート処理を行うと（例えば、ＩＣから降りてから数１０ｍを走行後にオートリルート処理を行うと）、再度、同じＩＣから高速道路に戻り、目的地に至る経路を探索して、ユーザを誘導してしまうことが多い。このように、ユーザの意思により、高速道路から一般道路に降りたにもかかわらず、ナビゲーション装置が、再度、同じＩＣから高速道路に戻るルートを設定してしまうと、ユーザにとり不便である。例えば、ユーザが高速道路の渋滞を避けるために、一般道路に降りたような場合であっても、再度、ユーザを混雑している高速道路に案内してしまう。また、高速道路が有料の場合、降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻ると費用が高くなるという問題もある。
【０００５】
したがって、推奨経路である高速道路を走行しているユーザが、推奨経路から逸脱して高速道路から一般道路に降りた場合におけるリルート処理において、高速道路から降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにできれば便利である。
【０００６】
ここで、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合における、従来技術による、リルート処理について図７を用いて説明する。図示するＡ１は、誘導中の推奨経路を示している。また、Ａ１は、高速道路を示し、ｒ１〜３は、一般道路を示している。さて、図７（ａ）に示すように、車両１０００が高速道路Ａ１を走行している場合において、ＩＣ１の出口４００から一般道路ｒ１を介して一般道路ｒ２に降りたとする。そして、ナビゲーション装置は、車両が一般道路ｒ２上を通行している際に、オートリルートにより、再度、目的地までの経路探索を行ったとする。この場合、図７（ｂ）に示すように、一般道路ｒ３を通り、再度、同じＩＣ１の入口４０１から高速道路Ａ１に乗り目的地に至る経路を探索してしまう可能性が高い。
【０００７】
特許文献１の技術によれば、リルート処理で新たな経路を探索する場合、既に通行したルートを逆戻りすることがないような経路を探索することはできる。しかしながら、特許文献１は、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにすることを考慮したものではない。例えば、図７に示すような場合、特許文献１では、既に通行した一般道路ｒ１を通行する経路を探索することはない。しかし、特許文献１の手法によれば、降りたＩＣ４１０の入口４０１に至る一般道路ｒ３から高速道道路Ａ１に戻る経路が探索されてしまう可能性がある。一般道路ｒ３やＩＣＡ入口４０１から先の高速道路Ａ1は、通行した道路ではないため、コストの重み付けが行われないからである。
【０００８】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ナビゲーション装置において、推奨経路である高速道路から逸脱して一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、高速道路から降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内を行うナビゲーション装置に適用される。ここで、前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられている。
【００１０】
そして、前記ナビゲーション装置は、所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定する手段と、前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記現在位置算出手段から現在位置を取得し、該取得した現在位置および前記リンク情報を用いて、該現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段と、を備え、前記リルート手段は、前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索する。
【発明の効果】
【００１１】
このように本発明では、推奨経路からの逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱した先のリンクの道路種別が一般道路である場合、すなわち、推奨経路である有料道路から逸脱して一般道路に降りた場合に、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを高く設定して目的地までの経路を再探索するようにしている。
【００１２】
そのため、本発明によれば、推奨経路である有料道路から一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、降りたＩＣから有料道路に戻る経路が設定されにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【００１４】
最初に第１実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成について図１を用いて説明する。
【００１５】
図１は、本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置（以下、単に「ナビゲーション装置」という）の概略構成図である。
【００１６】
図示するように、ナビゲーション装置は、演算処理部１と、ディスプレイ２と、地図データ等が記憶された記憶装置３と、音声入出力装置４と、入力装置５と、車速センサ６と、ジャイロ７と、ＧＰＳ（Global Positioning System）受信装置８とを有する。
【００１７】
演算処理部１は、ナビゲーション装置がユーザに提供する各種情報を処理するための中心的ユニットである。例えば、各種センサ６〜７やＧＰＳ受信装置８から出力される情報を基にして現在位置を算出する。演算処理部１は、算出した現在位置の周辺の地図データを記憶装置３から読み出して、その読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在位置を示すマーク２０００を重ねてディスプレイ２に表示する。また、演算処理部１は、現在位置（或いは、ユーザから指示された出発地）と、ユーザから指示された目的地とを結ぶ推奨経路を探索し、音声入出力装置４やディスプレイ２を用いてユーザを誘導する。
【００１８】
さらに、演算処理部１は、現在位置が推奨経路から逸脱しているか否かを判定する。そして、演算処理部１は、現在位置が推奨経路から逸脱している場合に、現在位置から目的地までの推奨経路の再探索（オートリルート）を行い、再探索された推奨経路にしたがいユーザを目的地まで誘導する。
【００１９】
ディスプレイ２は、演算処理部１で生成された画像データを表示するユニットで、ＣＲＴや液晶ディスプレイ等により構成される。また、演算処理部１とディスプレイ２との間の信号Ｓ１は、ＲＧＢ信号やＮＴＳＣ（National TV Standards Committee）信号で接続するのが一般的である。
【００２０】
記憶装置３は、地図データ３１０（図２参照）等を記憶するユニットである。なお、記憶装置３には、例えば、ＤＶＤ装置やハードディスク装置を用いることができる。
【００２１】
ここで地図データの構成を説明する。
【００２２】
図２は、記憶装置３に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【００２３】
図示するように、地図データ３１０は、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に分類されている。地図データ３１０は、メッシュ領域を識別するためのメッシュＩＤ３１１、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ３１２を有する。
【００２４】
リンクデータ３１２は、リンクを識別するためのリンクＩＤ３１２１、リンクを構成する２つのノード（開始ノード、終了ノード）の座標情報３１２２、リンクが属する道路が「有料道路（或いは高速道路）」であるか「一般道路」であるかを示す道路種別３１２３、リンクの長さを示すリンク長情報３１２４、リンクの旅行時間（或いは移動時間）情報３１２５、および２つのノード（開始ノード、終了ノード）にそれぞれ接続するリンクのリンクＩＤ（接続リンクＤ）３１２６などを有する。また、記憶装置３には、座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュのメッシュＩＤを特定するためのテーブルが記憶されている。
【００２５】
図１に戻り、説明を続ける。音声入出力装置４は、演算処理部１で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換して出力すると共に、ユーザが発した声を認識し、認識した内容を演算処理部１に転送する。
【００２６】
入力装置５は、ナビゲーション装置の各種機能選択、目的地設定等のユーザからの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイステック、ディスプレイ２上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【００２７】
センサ６〜7およびＧＰＳ受信装置８は、ナビゲーション装置が現在位置を算出するために使用するものである。車速センサ６は、車輪の円周と計測される車輪の回転数から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロ７は、光ファイバジャイロや振動ジャイロで構成され、車両（移動体）が回転した角度を検出する。ＧＰＳ受信装置８は、ＧＰＳ衛星からの信号（ＧＰＳ信号）を受信し移動体とＧＳＰ衛星間の距離および距離の変化率を３個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行方向および進行方位を測定する。
【００２８】
続いて、上述したナビゲーション装置の演算処理部１が有する特徴的な機能について図３を用いて説明する。
【００２９】
図３は、本実施形態の演算処理部１の機能ブロック図である。
【００３０】
図示するように、演算処理部１は、ＵＩ（User Interface）制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０を有する。
【００３１】
ＵＩ制御部１００は、入力装置５或いは音声入出力装置４に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求された内容に対応する処理が実行されるように演算処理部１を制御する。また、ＵＩ制御部１００は、各種操作を誘導するための画像データを生成して、ディスプレイ２に表示する。また、ＵＩ制御部１００は、表示処理部１４０が生成する、地図上に現在位置を示した画像データをディスプレイ２に表示する。
【００３２】
現在位置算出部１１０は、車速センサ６で計測される距離パルスデータＳ５およびジャイロセンサ７で計測される角速度データＳ６を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用いて、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期値（Ｘ,Ｙ）から自車走行後の位置である現在位置（Ｘ´,Ｙ´）を定期的に（所定走行間隔毎に）演算する。
【００３３】
また、現在位置算出部１１０は、車速センサ６のデータＳ５およびジャイロ７のデータＳ６を各々積分していくと、誤差が蓄積するため、ある時間でＧＰＳ受信装置８から得られた位置データＳ７をもとに蓄積した誤差をキャンセルする処理を施し、現在位置を求める。
【００３４】
経路探索部１２０は、ユーザからの出発地および目的地の指定を受け付け、ダイクストラ法等を用いて、ユーザから指定された２地点（出発地、および目的地）を最適なコストで結ぶ推奨経路を探索する。本実施形態の経路探索部１４０は、地図データ３１０（図２）を用いて、目的地までの推奨経路を探索する。なお、本実施形態では、コストとして、地図データ３１０の中でリンク毎に登録されている「旅行時間情報３１２５」を用いる場合を例にする。
【００３５】
経路探索部１２０は、探索された推奨経路を経路誘導部１３０に出力する。経路探索部１２０は、新たな、目的地の指定を受け付けるまで、指定された目的地を示す情報を保持する（例えば、ＲＡＭ２２（図４参照）の所定領域に格納しておく）。
【００３６】
また、経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの経路の再探索要求（オートリルート処理の要求）を受け付けると、現在位置算出部１１０から現在位置を取得し、取得した現在位置から目的地までの推奨経路を再探索し、再探索された推奨経路を経路誘導部１３０に出力する。なお、経路探索部１２０は、上記同様、ダイクストラ法等を用いて、現在位置から目的地に最適なコストで到達する経路を再探索する。
【００３７】
なお、本実施形態の経路探索部１２０は、推奨経路からの逸脱が「高速道路（有料道路）から一般道路への逸脱」の場合、既存のリルート処理とは異なる手順により、目的地までの経路を再探索する。具体的には、経路探索部１２０は、「高速道路（或いは有料道路）から一般道路への逸脱」の場合、後述する図５に示す処理手順にしたがい、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻らない経路を探索する。
【００３８】
経路誘導部１３０は、探索された推奨経路を通って目的地に到達するようにユーザを誘導する。具体的には、経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０から定期的に現在位置を取得する。経路誘導部１３０は、経路探索部１２０から推奨経路を示すデータを取得する。そして、経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０から取得した現在位置と、経路探索部１２０から取得した推奨経路を示すデータと、記憶装置３から読み出した地図データとを用いてユーザを目的地まで誘導する。なお、本実施形態では、経路誘導部１３０が行う目的地までユーザを誘導する具体的方法について特に限定しない。例えば、経路誘導部１３０は、表示処理部１４０を制御して、推奨経路を地図上に重ねた画面をディスプレイ２に表示しておいて、車両が推奨経路上を走行するために必要な情報（たとえば、次の交差点を曲がるべきか否かなどの情報）を画面上で表示したり、音声入出力装置４を介してユーザに知らせたりにする。
【００３９】
また、経路誘導部１３０は、現在位置、推奨経路、および地図データを用いて推奨経路から車両が逸脱したか否かを判定する。経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０が算出した現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱したと判定すると、経路探索部１２０に目的地までの推奨経路の再探索要求（オートリルート処理の要求）を行う。
【００４０】
なお、経路誘導部１３０は、車両が推奨経路から逸脱したと判定する際に、地図データおよび推奨経路を示す情報を用いて、推奨経路上の逸脱地点と、逸脱地点の推奨経路上での進行方向（逸脱地点を逸脱しないで推奨経路に沿って進んだ場合の方向）と、逸脱した推奨経路の道路種別（逸脱地点の道路の道路種別）、および逸脱して進んだ先の道路の道路種別とを特定する。経路誘導部１３０は、オートリルート処理の要求の中に、上記の特定した逸脱情報（推奨経路上の逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向、逸脱した推奨経路の道路種別および逸脱して進んだ先の道路の道路種別）を含める。
【００４１】
表示処理部１４０は、ディスプレイ２に表示が要求される領域にある地図データ３１０を記憶装置３から読み出す。また、表示処理部１４０は、経路探索部１３０から探索した推奨経路を受け取ると共に、現在位置算出部１１０から現在位置を受け取る。そして、地図表示処理部１４０は、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、および経路誘導のための矢印といったマーク等をディスプレイ２の画面に表示する画像データを生成し、ＵＩ制御部１００に出力する。ＵＩ制御部１００は、地図表示処理部１５０が生成した画像データをディスプレイ２に表示する。
【００４２】
続いて、本実施形態の演算処理部１のハードウェア構成を説明する。
【００４３】
図４は、演算処理部１のハードウェア構成図である。
【００４４】
図示するように、演算処理部１は、ＣＰＵ（中央演算処理装置）２１と、ＣＰＵ２１が実行するプログラムや各種データを一時的に記憶するＲＡＭ（Random Access Memory）２２と、上記の各部（ＵＩ制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０）の機能を実行するためのプログラムが予め記憶されているＲＯＭ（Read Only Memory）２３と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータを転送するＤＭＡ（Direct Memory Access）２４と、グラフィック描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ２５と、グラフィックスイメージデータを蓄えるＶＲＡＭ（Video Random Access Memory）２６と、イメージデータをＲＧＢ信号に変換するカラーパレット２７と、アナログ信号をデジタル信号に変換するＡ/Ｄ変換器２８と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するＳＣI(Serial Communication Interface)２９と、パラレル信号をバスに同期させてバス上に載せるＰＩＯ（Parallel Input/Output）３０と、パルス信号を積分するカウンタ３１とを有する。
【００４５】
そして、ＵＩ制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０の機能は、ＣＰＵ２１が、ＲＯＭ２３に記憶されている上記の各部の機能を実行するためのプログラムをＲＡＭ２２にロードして実行することにより実現される。
【００４６】
続いて、本実施形態のナビゲーション装置が行う、オートリルート処理について、図５を用いて説明する。
【００４７】
図５は、本発明の実施形態のリルート処理のフローチャートである。
【００４８】
なお、図示する処理は、現在位置算出部１１０が算出する現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱した場合に、経路探索部１２０により行われるオートリルート処理である。すなわち、経路誘導部１３０は、現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱したと判定すると、経路探索部１２０に、オートリルート処理を要求する。そして、オートリルート処理の要求を受け付けた経路探索部１２０は、以下の処理ステップを実行する。なお、以下では、地図データ３１０（図２参照）の「有料道路」が「高速道路」である場合を例にする。
【００４９】
具体的には、経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「オートリルート処理の要求」を受信する（Ｓ１０）。なお、「オートリルート処理の要求」には、逸脱情報（少なくとも、推奨経路上の逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向、逸脱した推奨経路の道路種別および逸脱して進んだ先の道路の道路種別を含む情報）が含まれているものとする。
【００５０】
つぎに、経路探索部１２０は、受信した「オートリルート処理の要求」に含まれる逸脱情報を用いて、高速道路から一般道路へ逸脱したケースであるか否かを判定する(Ｓ１１)。判定の結果、高速道路から一般道路に逸脱したケースと判定するとＳ１２の処理に進む。一方、高速道路から一般道路へ逸脱したケースではないと判断した場合には、Ｓ２０に進む。
【００５１】
具体的には、経路探索部１２０は、「逸脱情報」を参照して、「逸脱した推奨経路の道路種別が高速道路」であり、且つ「逸脱して進んだ先の道路の道路種別が一般道路」である場合にＳ１２に進み、それ以外の場合にはＳ２０に進む。
【００５２】
Ｓ２０では、公知施術のオートリルート処理が行われ、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する。なお、Ｓ２０の処理は、公知技術により実現される処理であるため、ここでの説明は省略する。
【００５３】
続いて、高速道路から一般道路に逸脱した場合に行われるＳ１２以降の処理について説明する。
【００５４】
Ｓ１２では、経路探索部１２０は、受信した「逸脱情報」に含まれる逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向を記憶して（ＲＡＭ２２の所定領域に記憶する）、Ｓ１３に進む。
【００５５】
Ｓ１３では、経路探索部１２０は、逸脱地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクのコスト（ここでは旅行時間を用いる）を、地図データに登録されているコストと比べて高く設定する（例えば、地図データに登録されているコストの１０倍に設定する）。具体的には、経路探索部１２０は、地図データを用いて、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出する。経路探索部１２０は、抽出したリンク毎に、地図データのコストより高いコストを求める。
【００５６】
つぎに、経路探索部１２０は、Ｓ１３で求めたリンク毎のコストと、地図データに登録されているリンク（Ｓ１３で求めたリンクは除く）のコストとを用いて、現在位置から目的地までの経路を再探索する（Ｓ１４）。そして、経路探索部１２０は、再探索された経路を経路誘導部１３０に出力して処理を終了する。
【００５７】
このように、本実施形態では、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した場合、逸脱した地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、地図データに登録されているコストと比べて高く設定し、その上で、目的地までの経路をリルートするようにしている。そのため、本実施形態によれば、オートリルートを行った場合、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減できる。
【００５８】
続いて、図５に示した、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理（Ｓ１０〜１４）について、図６に示す例を挙げて説明する。
【００５９】
図６は、本実施形態のナビゲーション装置が行う、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理を説明するための図である。
【００６０】
なお、図示する例では、Ｒ１〜Ｒ５が、出発地から目的地に至る推奨経路を示している（推奨経路の中の一部の経路を示している）。また、Ｒ１〜５は、道路種別が高速道路（有料道路）のリンクを示している。ｒ１〜ｒ７は、道路種別が一般道路のリンクを示している。また、４００は、インターチェンジ１（ＩＣ１）の出口を示し、４０１は、インターチェンジ１（ＩＣ１）の入口を示している。４０２は、インターチェンジ２（ＩＣ２）の出口を示し、４０３は、インターチェンジ２（ＩＣ２）の入口を示している。
【００６１】
以下は、高速道路のリンクＲ１を走行中の車両１０００が、ＩＣ１の出口４００から一般道路ｒ１に降りて、その後、一般道路ｒ２を通行している際、オートリルート処理、すなわち、図５のＳ１０〜Ｓ１４の処理が行われた場合の例を示している。
【００６２】
まず、経路誘導部１３０は、車両が高速道路Ｒ１から一般道路ｒ１、２に降りた場合に、推奨経路を構成する高速道路Ｒ１から所定距離以上の逸脱したものと判定したとする。この場合、経路誘導部１３０は、経路探索部１２０に「オートリルート処理の要求」を送信する。
【００６３】
経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「オートリルート処理の要求」を受け付けると、受け付けた「オートリルート処理の要求」の中の「逸脱情報」を用いて、高速道路から一般道路への逸脱か否かを判定する（Ｓ１０、１１）。ここでは、高速道路Ｒ１から一般道路ｒ１へ逸脱しているので、Ｓ１２の処理に進む。
【００６４】
つぎに、経路探索部１２０は、逸脱情報の中に「逸脱地点（図示する４００）」および「逸脱地点での進行方向（図示する例では、Ｘ１方向）」を記憶する（Ｓ１２）。
【００６５】
そして、経路探索部１２０は、現在位置算出部１１０から現在位置を取得し、現在位置から目的地に至る経路を再探索する。なお、経路探索部１２０は、上述したように、推奨経路（Ｒ１〜Ｒ５を含む推奨経路）を探索した際の目的地を保持している（ＲＡＭ２２の所定領域に記憶されている）。
【００６６】
具体的には、経路探索部１２０は、記憶している逸脱地点および「逸脱地点での進行方向（図示する例では、Ｘ１方向）」と、地図データとを用いて、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出する。経路探索部１２０は、抽出したリンクにコストを地図データに記憶されているコストに比べて高く設定した上で、現在位置から目的地までの経路を再探索する（Ｓ１３〜１４）。
【００６７】
図示する例では、逸脱地点４００につながる高速道路のリンク（Ｒ１、２、３、４、５）の中から、逸脱地点４００から推奨経路上の進行方向Ｘ１に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出することになる。ここでは、逸脱地点４００から進行方向Ｘ１に向けて所定距離以内のリンクがＲ２、３、４であるものとする。経路探索部１２０は、リンクＲ２、３、４のコストを地図データのコストに比べて高くした上で（例えば、地図データに登録されているコストに比べて１０倍のコストにする）、現在位置から目的地までの経路を再探索する。
【００６８】
このように、本実施形態では、逸脱した地点につながる、高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを高くした（地図データのコストの重み付けをした上）上で、目的地までの経路を再探索するようにしている。したがって、一般道路ｒ２上にある現在位置から一般道路ｒ３を通り、高速道路Ｒ３に入り目的地に向かう経路が探索される可能性を軽減することができる。すなわち、本実施形態によれば、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合に行うオートリルート処理において、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【００６９】
なお、オートリルートで再探索された経路にしたがい、或いは、再探索された経路とは関係なく、車両が高速道路（推奨経路であった高速道路）に戻ったとする。この場合、経路探索部１２０が記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」は、必要ないデータとなる。本実施形態では、再探索された経路を車両が再び逸脱した場合に、経路探索部１２０が記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を新たな「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」に更新していくものとする。
【００７０】
すなわち、車両が再び、高速道路から逸脱した場合、経路誘導部１３０が経路探索部１２０に「オートリルート処理の要求」を行う。経路探索部１２０は、記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を、受け付けた「オートリルート処理の要求」に含まれる「逸脱情報」の中の「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」に置き換える（上書きする）。
【００７１】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【００７２】
例えば、上記実施形態の説明では、ナビゲーション装置がオートリルートを行う場合について説明したが、ユーザからの指示により、目的地までの経路を再探索する場合についても、同様に適用することができる。この場合、経路探索部１２０は、ユーザから経路の再探索を受け付けることが可能に構成されているものとする（例えば、入力装置５を介して受け付ける）。また、経路誘導部１３０は、車両が推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した場合、「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を経路探索部１２０に出力する。経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を記憶する（例えば、ＲＡＭ２２の所定領域に格納しておく）。そして、経路探索部１２０は、経路の再探索を受け付けると、記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を利用して、図５のＳ１３〜１４の処理を行う。
【００７３】
このように構成することにより、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合において、ユーザからの操作で経路を再探索しても、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【００７４】
或いは、ナビゲーション装置がオートリルートにより、経路を再探索した場合だけ、図５のＳ１２〜１４の処理を行い、ユーザからの操作を受け付けて、目的地までの経路を再探索する場合には、Ｓ１２〜Ｓ１４を行わずに、既存技術のリルート処理を行うようにしてもよい。高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻りたいとの要求に対応するようにするためである。
【００７５】
また、上記実施形態の説明では、経路探索に地図データのリンク毎のコストを利用する場合を例にしたが、あくまでもこれは例示に過ぎない。例えば、ナビゲーション装置に、外部から渋滞情報を取得する手段を設けておいて、地図データのコストに加えて、さらに、渋滞情報とを利用して経路を探索するようにしてもよい。この場合、図５のＳ１３において、渋滞情報に含まれるリンクのコスト（旅行時間）についても、地図データのリンクのコストと同様に重み付けを行うようにする。
【００７６】
また、上記実施形態では、推奨経路である高速道路から逸脱して、一般道路へ降りた場合に、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクのコストを上げて、経路を探索するようにしているが特にこれに限定するものではない。例えば、進行方向に関係なく、逸脱地点から所定距離以内の高速道路のリンクのコストを上げて、経路の再探索を行うようにしてもよい。
【００７７】
或いは、地図データを用いて、逸脱地点であるＩＣの出口と、同じＩＣの入口を特定して、特定した入口に直接接続されているリンク（道路種別が高速道路のリンク）のコストにだけ重み付けをして、目的地までの経路の再探索を行うようにしてもよい。このようにしても、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【００７８】
【図１】本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図２】本発明の実施形態の記憶装置３に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図３】本発明の実施形態の演算処理部１の機能ブロック図である。
【図４】本発明の実施形態の演算処理部１のハードウェア構成図である。
【図５】本発明の実施形態のリルート処理のフローチャートである。
【図６】本発明の実施形態のナビゲーション装置が行う、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理を説明するための図である。
【図７】従来技術における、高速道路から一般道路に降りた場合のリルート処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【００７９】
１…演算処理部、２…ディスプレイ、３…記憶装置、４…音声入出力装置、５…入力装置、６…車速センサ、７…ジャイロ、８…ＧＰＳ受信装置、２１…ＣＰＵ、２２…ＲＡＭ、２３…ＲＯＭ、２４…ＤＭＡ、２５…描画コントローラ、２６…ＶＲＡＭ、２７…カラーパレット、２８…Ａ/Ｄ変換器、２９…ＳＣＩ、３０…ＰＩＯ、３１…カウンタ、１００…ＵＩ制御部、１１０…現在位置算出部、１２０…現在位置表示処理部、１３０…データ処理部、１４０…マップマッチング処理部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車載用のナビゲーション装置の技術に関し、特に、設定された推奨経路を逸脱した際に行うリルート処理の技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
ナビゲーション装置には、誘導中の推奨経路から、車両が逸脱した場合に、目的地までの経路を再度探索してユーザに提示するリルート処理の機能が設けられているものが多い。例えば、特許文献１には、リルート処理に関する技術が開示されている。特許文献１に記載のナビゲーション装置は、リルート処理で新たな経路を探索する場合、これまで通った経路のコストに重み付けを行い、既に通行した経路に逆戻りすることがないような経路を探索するようにしている。
【０００３】
【特許文献１】特開平１０−１９５９０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、ナビゲーション装置に推奨経路として設定されている高速道路を走行中のユーザが、渋滞等の理由により、高速道路から一般道路に降りてしまうことがある。具体的には、推奨経路である高速道路のインターチェンジ（以下「ＩＣ」という）からユーザが一般道路に降りてしまうことがある。このような場合に、ナビゲーション装置が、リルート処理を行うと（例えば、ＩＣから降りてから数１０ｍを走行後にオートリルート処理を行うと）、再度、同じＩＣから高速道路に戻り、目的地に至る経路を探索して、ユーザを誘導してしまうことが多い。このように、ユーザの意思により、高速道路から一般道路に降りたにもかかわらず、ナビゲーション装置が、再度、同じＩＣから高速道路に戻るルートを設定してしまうと、ユーザにとり不便である。例えば、ユーザが高速道路の渋滞を避けるために、一般道路に降りたような場合であっても、再度、ユーザを混雑している高速道路に案内してしまう。また、高速道路が有料の場合、降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻ると費用が高くなるという問題もある。
【０００５】
したがって、推奨経路である高速道路を走行しているユーザが、推奨経路から逸脱して高速道路から一般道路に降りた場合におけるリルート処理において、高速道路から降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにできれば便利である。
【０００６】
ここで、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合における、従来技術による、リルート処理について図７を用いて説明する。図示するＡ１は、誘導中の推奨経路を示している。また、Ａ１は、高速道路を示し、ｒ１〜３は、一般道路を示している。さて、図７（ａ）に示すように、車両１０００が高速道路Ａ１を走行している場合において、ＩＣ１の出口４００から一般道路ｒ１を介して一般道路ｒ２に降りたとする。そして、ナビゲーション装置は、車両が一般道路ｒ２上を通行している際に、オートリルートにより、再度、目的地までの経路探索を行ったとする。この場合、図７（ｂ）に示すように、一般道路ｒ３を通り、再度、同じＩＣ１の入口４０１から高速道路Ａ１に乗り目的地に至る経路を探索してしまう可能性が高い。
【０００７】
特許文献１の技術によれば、リルート処理で新たな経路を探索する場合、既に通行したルートを逆戻りすることがないような経路を探索することはできる。しかしながら、特許文献１は、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにすることを考慮したものではない。例えば、図７に示すような場合、特許文献１では、既に通行した一般道路ｒ１を通行する経路を探索することはない。しかし、特許文献１の手法によれば、降りたＩＣ４１０の入口４０１に至る一般道路ｒ３から高速道道路Ａ１に戻る経路が探索されてしまう可能性がある。一般道路ｒ３やＩＣＡ入口４０１から先の高速道路Ａ1は、通行した道路ではないため、コストの重み付けが行われないからである。
【０００８】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ナビゲーション装置において、推奨経路である高速道路から逸脱して一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、高速道路から降りたＩＣから高速道路に戻る経路が設定されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内を行うナビゲーション装置に適用される。ここで、前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられている。
【００１０】
そして、前記ナビゲーション装置は、所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定する手段と、前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記現在位置算出手段から現在位置を取得し、該取得した現在位置および前記リンク情報を用いて、該現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段と、を備え、前記リルート手段は、前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索する。
【発明の効果】
【００１１】
このように本発明では、推奨経路からの逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱した先のリンクの道路種別が一般道路である場合、すなわち、推奨経路である有料道路から逸脱して一般道路に降りた場合に、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを高く設定して目的地までの経路を再探索するようにしている。
【００１２】
そのため、本発明によれば、推奨経路である有料道路から一般道路に降りた場合に行うリルート処理において、降りたＩＣから有料道路に戻る経路が設定されにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【００１４】
最初に第１実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成について図１を用いて説明する。
【００１５】
図１は、本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置（以下、単に「ナビゲーション装置」という）の概略構成図である。
【００１６】
図示するように、ナビゲーション装置は、演算処理部１と、ディスプレイ２と、地図データ等が記憶された記憶装置３と、音声入出力装置４と、入力装置５と、車速センサ６と、ジャイロ７と、ＧＰＳ（Global Positioning System）受信装置８とを有する。
【００１７】
演算処理部１は、ナビゲーション装置がユーザに提供する各種情報を処理するための中心的ユニットである。例えば、各種センサ６〜７やＧＰＳ受信装置８から出力される情報を基にして現在位置を算出する。演算処理部１は、算出した現在位置の周辺の地図データを記憶装置３から読み出して、その読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在位置を示すマーク２０００を重ねてディスプレイ２に表示する。また、演算処理部１は、現在位置（或いは、ユーザから指示された出発地）と、ユーザから指示された目的地とを結ぶ推奨経路を探索し、音声入出力装置４やディスプレイ２を用いてユーザを誘導する。
【００１８】
さらに、演算処理部１は、現在位置が推奨経路から逸脱しているか否かを判定する。そして、演算処理部１は、現在位置が推奨経路から逸脱している場合に、現在位置から目的地までの推奨経路の再探索（オートリルート）を行い、再探索された推奨経路にしたがいユーザを目的地まで誘導する。
【００１９】
ディスプレイ２は、演算処理部１で生成された画像データを表示するユニットで、ＣＲＴや液晶ディスプレイ等により構成される。また、演算処理部１とディスプレイ２との間の信号Ｓ１は、ＲＧＢ信号やＮＴＳＣ（National TV Standards Committee）信号で接続するのが一般的である。
【００２０】
記憶装置３は、地図データ３１０（図２参照）等を記憶するユニットである。なお、記憶装置３には、例えば、ＤＶＤ装置やハードディスク装置を用いることができる。
【００２１】
ここで地図データの構成を説明する。
【００２２】
図２は、記憶装置３に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【００２３】
図示するように、地図データ３１０は、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に分類されている。地図データ３１０は、メッシュ領域を識別するためのメッシュＩＤ３１１、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ３１２を有する。
【００２４】
リンクデータ３１２は、リンクを識別するためのリンクＩＤ３１２１、リンクを構成する２つのノード（開始ノード、終了ノード）の座標情報３１２２、リンクが属する道路が「有料道路（或いは高速道路）」であるか「一般道路」であるかを示す道路種別３１２３、リンクの長さを示すリンク長情報３１２４、リンクの旅行時間（或いは移動時間）情報３１２５、および２つのノード（開始ノード、終了ノード）にそれぞれ接続するリンクのリンクＩＤ（接続リンクＤ）３１２６などを有する。また、記憶装置３には、座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュのメッシュＩＤを特定するためのテーブルが記憶されている。
【００２５】
図１に戻り、説明を続ける。音声入出力装置４は、演算処理部１で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換して出力すると共に、ユーザが発した声を認識し、認識した内容を演算処理部１に転送する。
【００２６】
入力装置５は、ナビゲーション装置の各種機能選択、目的地設定等のユーザからの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイステック、ディスプレイ２上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【００２７】
センサ６〜7およびＧＰＳ受信装置８は、ナビゲーション装置が現在位置を算出するために使用するものである。車速センサ６は、車輪の円周と計測される車輪の回転数から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロ７は、光ファイバジャイロや振動ジャイロで構成され、車両（移動体）が回転した角度を検出する。ＧＰＳ受信装置８は、ＧＰＳ衛星からの信号（ＧＰＳ信号）を受信し移動体とＧＳＰ衛星間の距離および距離の変化率を３個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行方向および進行方位を測定する。
【００２８】
続いて、上述したナビゲーション装置の演算処理部１が有する特徴的な機能について図３を用いて説明する。
【００２９】
図３は、本実施形態の演算処理部１の機能ブロック図である。
【００３０】
図示するように、演算処理部１は、ＵＩ（User Interface）制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０を有する。
【００３１】
ＵＩ制御部１００は、入力装置５或いは音声入出力装置４に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求された内容に対応する処理が実行されるように演算処理部１を制御する。また、ＵＩ制御部１００は、各種操作を誘導するための画像データを生成して、ディスプレイ２に表示する。また、ＵＩ制御部１００は、表示処理部１４０が生成する、地図上に現在位置を示した画像データをディスプレイ２に表示する。
【００３２】
現在位置算出部１１０は、車速センサ６で計測される距離パルスデータＳ５およびジャイロセンサ７で計測される角速度データＳ６を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用いて、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期値（Ｘ,Ｙ）から自車走行後の位置である現在位置（Ｘ´,Ｙ´）を定期的に（所定走行間隔毎に）演算する。
【００３３】
また、現在位置算出部１１０は、車速センサ６のデータＳ５およびジャイロ７のデータＳ６を各々積分していくと、誤差が蓄積するため、ある時間でＧＰＳ受信装置８から得られた位置データＳ７をもとに蓄積した誤差をキャンセルする処理を施し、現在位置を求める。
【００３４】
経路探索部１２０は、ユーザからの出発地および目的地の指定を受け付け、ダイクストラ法等を用いて、ユーザから指定された２地点（出発地、および目的地）を最適なコストで結ぶ推奨経路を探索する。本実施形態の経路探索部１４０は、地図データ３１０（図２）を用いて、目的地までの推奨経路を探索する。なお、本実施形態では、コストとして、地図データ３１０の中でリンク毎に登録されている「旅行時間情報３１２５」を用いる場合を例にする。
【００３５】
経路探索部１２０は、探索された推奨経路を経路誘導部１３０に出力する。経路探索部１２０は、新たな、目的地の指定を受け付けるまで、指定された目的地を示す情報を保持する（例えば、ＲＡＭ２２（図４参照）の所定領域に格納しておく）。
【００３６】
また、経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの経路の再探索要求（オートリルート処理の要求）を受け付けると、現在位置算出部１１０から現在位置を取得し、取得した現在位置から目的地までの推奨経路を再探索し、再探索された推奨経路を経路誘導部１３０に出力する。なお、経路探索部１２０は、上記同様、ダイクストラ法等を用いて、現在位置から目的地に最適なコストで到達する経路を再探索する。
【００３７】
なお、本実施形態の経路探索部１２０は、推奨経路からの逸脱が「高速道路（有料道路）から一般道路への逸脱」の場合、既存のリルート処理とは異なる手順により、目的地までの経路を再探索する。具体的には、経路探索部１２０は、「高速道路（或いは有料道路）から一般道路への逸脱」の場合、後述する図５に示す処理手順にしたがい、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻らない経路を探索する。
【００３８】
経路誘導部１３０は、探索された推奨経路を通って目的地に到達するようにユーザを誘導する。具体的には、経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０から定期的に現在位置を取得する。経路誘導部１３０は、経路探索部１２０から推奨経路を示すデータを取得する。そして、経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０から取得した現在位置と、経路探索部１２０から取得した推奨経路を示すデータと、記憶装置３から読み出した地図データとを用いてユーザを目的地まで誘導する。なお、本実施形態では、経路誘導部１３０が行う目的地までユーザを誘導する具体的方法について特に限定しない。例えば、経路誘導部１３０は、表示処理部１４０を制御して、推奨経路を地図上に重ねた画面をディスプレイ２に表示しておいて、車両が推奨経路上を走行するために必要な情報（たとえば、次の交差点を曲がるべきか否かなどの情報）を画面上で表示したり、音声入出力装置４を介してユーザに知らせたりにする。
【００３９】
また、経路誘導部１３０は、現在位置、推奨経路、および地図データを用いて推奨経路から車両が逸脱したか否かを判定する。経路誘導部１３０は、現在位置算出部１１０が算出した現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱したと判定すると、経路探索部１２０に目的地までの推奨経路の再探索要求（オートリルート処理の要求）を行う。
【００４０】
なお、経路誘導部１３０は、車両が推奨経路から逸脱したと判定する際に、地図データおよび推奨経路を示す情報を用いて、推奨経路上の逸脱地点と、逸脱地点の推奨経路上での進行方向（逸脱地点を逸脱しないで推奨経路に沿って進んだ場合の方向）と、逸脱した推奨経路の道路種別（逸脱地点の道路の道路種別）、および逸脱して進んだ先の道路の道路種別とを特定する。経路誘導部１３０は、オートリルート処理の要求の中に、上記の特定した逸脱情報（推奨経路上の逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向、逸脱した推奨経路の道路種別および逸脱して進んだ先の道路の道路種別）を含める。
【００４１】
表示処理部１４０は、ディスプレイ２に表示が要求される領域にある地図データ３１０を記憶装置３から読み出す。また、表示処理部１４０は、経路探索部１３０から探索した推奨経路を受け取ると共に、現在位置算出部１１０から現在位置を受け取る。そして、地図表示処理部１４０は、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、および経路誘導のための矢印といったマーク等をディスプレイ２の画面に表示する画像データを生成し、ＵＩ制御部１００に出力する。ＵＩ制御部１００は、地図表示処理部１５０が生成した画像データをディスプレイ２に表示する。
【００４２】
続いて、本実施形態の演算処理部１のハードウェア構成を説明する。
【００４３】
図４は、演算処理部１のハードウェア構成図である。
【００４４】
図示するように、演算処理部１は、ＣＰＵ（中央演算処理装置）２１と、ＣＰＵ２１が実行するプログラムや各種データを一時的に記憶するＲＡＭ（Random Access Memory）２２と、上記の各部（ＵＩ制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０）の機能を実行するためのプログラムが予め記憶されているＲＯＭ（Read Only Memory）２３と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータを転送するＤＭＡ（Direct Memory Access）２４と、グラフィック描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ２５と、グラフィックスイメージデータを蓄えるＶＲＡＭ（Video Random Access Memory）２６と、イメージデータをＲＧＢ信号に変換するカラーパレット２７と、アナログ信号をデジタル信号に変換するＡ/Ｄ変換器２８と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するＳＣI(Serial Communication Interface)２９と、パラレル信号をバスに同期させてバス上に載せるＰＩＯ（Parallel Input/Output）３０と、パルス信号を積分するカウンタ３１とを有する。
【００４５】
そして、ＵＩ制御部１００、現在位置算出部１１０、経路探索部１２０、経路誘導部１３０、および表示処理部１４０の機能は、ＣＰＵ２１が、ＲＯＭ２３に記憶されている上記の各部の機能を実行するためのプログラムをＲＡＭ２２にロードして実行することにより実現される。
【００４６】
続いて、本実施形態のナビゲーション装置が行う、オートリルート処理について、図５を用いて説明する。
【００４７】
図５は、本発明の実施形態のリルート処理のフローチャートである。
【００４８】
なお、図示する処理は、現在位置算出部１１０が算出する現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱した場合に、経路探索部１２０により行われるオートリルート処理である。すなわち、経路誘導部１３０は、現在位置が推奨経路から所定距離以上逸脱したと判定すると、経路探索部１２０に、オートリルート処理を要求する。そして、オートリルート処理の要求を受け付けた経路探索部１２０は、以下の処理ステップを実行する。なお、以下では、地図データ３１０（図２参照）の「有料道路」が「高速道路」である場合を例にする。
【００４９】
具体的には、経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「オートリルート処理の要求」を受信する（Ｓ１０）。なお、「オートリルート処理の要求」には、逸脱情報（少なくとも、推奨経路上の逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向、逸脱した推奨経路の道路種別および逸脱して進んだ先の道路の道路種別を含む情報）が含まれているものとする。
【００５０】
つぎに、経路探索部１２０は、受信した「オートリルート処理の要求」に含まれる逸脱情報を用いて、高速道路から一般道路へ逸脱したケースであるか否かを判定する(Ｓ１１)。判定の結果、高速道路から一般道路に逸脱したケースと判定するとＳ１２の処理に進む。一方、高速道路から一般道路へ逸脱したケースではないと判断した場合には、Ｓ２０に進む。
【００５１】
具体的には、経路探索部１２０は、「逸脱情報」を参照して、「逸脱した推奨経路の道路種別が高速道路」であり、且つ「逸脱して進んだ先の道路の道路種別が一般道路」である場合にＳ１２に進み、それ以外の場合にはＳ２０に進む。
【００５２】
Ｓ２０では、公知施術のオートリルート処理が行われ、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する。なお、Ｓ２０の処理は、公知技術により実現される処理であるため、ここでの説明は省略する。
【００５３】
続いて、高速道路から一般道路に逸脱した場合に行われるＳ１２以降の処理について説明する。
【００５４】
Ｓ１２では、経路探索部１２０は、受信した「逸脱情報」に含まれる逸脱地点、逸脱地点の推奨経路上での進行方向を記憶して（ＲＡＭ２２の所定領域に記憶する）、Ｓ１３に進む。
【００５５】
Ｓ１３では、経路探索部１２０は、逸脱地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクのコスト（ここでは旅行時間を用いる）を、地図データに登録されているコストと比べて高く設定する（例えば、地図データに登録されているコストの１０倍に設定する）。具体的には、経路探索部１２０は、地図データを用いて、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出する。経路探索部１２０は、抽出したリンク毎に、地図データのコストより高いコストを求める。
【００５６】
つぎに、経路探索部１２０は、Ｓ１３で求めたリンク毎のコストと、地図データに登録されているリンク（Ｓ１３で求めたリンクは除く）のコストとを用いて、現在位置から目的地までの経路を再探索する（Ｓ１４）。そして、経路探索部１２０は、再探索された経路を経路誘導部１３０に出力して処理を終了する。
【００５７】
このように、本実施形態では、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した場合、逸脱した地点につながる高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、地図データに登録されているコストと比べて高く設定し、その上で、目的地までの経路をリルートするようにしている。そのため、本実施形態によれば、オートリルートを行った場合、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減できる。
【００５８】
続いて、図５に示した、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理（Ｓ１０〜１４）について、図６に示す例を挙げて説明する。
【００５９】
図６は、本実施形態のナビゲーション装置が行う、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理を説明するための図である。
【００６０】
なお、図示する例では、Ｒ１〜Ｒ５が、出発地から目的地に至る推奨経路を示している（推奨経路の中の一部の経路を示している）。また、Ｒ１〜５は、道路種別が高速道路（有料道路）のリンクを示している。ｒ１〜ｒ７は、道路種別が一般道路のリンクを示している。また、４００は、インターチェンジ１（ＩＣ１）の出口を示し、４０１は、インターチェンジ１（ＩＣ１）の入口を示している。４０２は、インターチェンジ２（ＩＣ２）の出口を示し、４０３は、インターチェンジ２（ＩＣ２）の入口を示している。
【００６１】
以下は、高速道路のリンクＲ１を走行中の車両１０００が、ＩＣ１の出口４００から一般道路ｒ１に降りて、その後、一般道路ｒ２を通行している際、オートリルート処理、すなわち、図５のＳ１０〜Ｓ１４の処理が行われた場合の例を示している。
【００６２】
まず、経路誘導部１３０は、車両が高速道路Ｒ１から一般道路ｒ１、２に降りた場合に、推奨経路を構成する高速道路Ｒ１から所定距離以上の逸脱したものと判定したとする。この場合、経路誘導部１３０は、経路探索部１２０に「オートリルート処理の要求」を送信する。
【００６３】
経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「オートリルート処理の要求」を受け付けると、受け付けた「オートリルート処理の要求」の中の「逸脱情報」を用いて、高速道路から一般道路への逸脱か否かを判定する（Ｓ１０、１１）。ここでは、高速道路Ｒ１から一般道路ｒ１へ逸脱しているので、Ｓ１２の処理に進む。
【００６４】
つぎに、経路探索部１２０は、逸脱情報の中に「逸脱地点（図示する４００）」および「逸脱地点での進行方向（図示する例では、Ｘ１方向）」を記憶する（Ｓ１２）。
【００６５】
そして、経路探索部１２０は、現在位置算出部１１０から現在位置を取得し、現在位置から目的地に至る経路を再探索する。なお、経路探索部１２０は、上述したように、推奨経路（Ｒ１〜Ｒ５を含む推奨経路）を探索した際の目的地を保持している（ＲＡＭ２２の所定領域に記憶されている）。
【００６６】
具体的には、経路探索部１２０は、記憶している逸脱地点および「逸脱地点での進行方向（図示する例では、Ｘ１方向）」と、地図データとを用いて、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出する。経路探索部１２０は、抽出したリンクにコストを地図データに記憶されているコストに比べて高く設定した上で、現在位置から目的地までの経路を再探索する（Ｓ１３〜１４）。
【００６７】
図示する例では、逸脱地点４００につながる高速道路のリンク（Ｒ１、２、３、４、５）の中から、逸脱地点４００から推奨経路上の進行方向Ｘ１に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクを抽出することになる。ここでは、逸脱地点４００から進行方向Ｘ１に向けて所定距離以内のリンクがＲ２、３、４であるものとする。経路探索部１２０は、リンクＲ２、３、４のコストを地図データのコストに比べて高くした上で（例えば、地図データに登録されているコストに比べて１０倍のコストにする）、現在位置から目的地までの経路を再探索する。
【００６８】
このように、本実施形態では、逸脱した地点につながる、高速道路のリンクであって、逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを高くした（地図データのコストの重み付けをした上）上で、目的地までの経路を再探索するようにしている。したがって、一般道路ｒ２上にある現在位置から一般道路ｒ３を通り、高速道路Ｒ３に入り目的地に向かう経路が探索される可能性を軽減することができる。すなわち、本実施形態によれば、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合に行うオートリルート処理において、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【００６９】
なお、オートリルートで再探索された経路にしたがい、或いは、再探索された経路とは関係なく、車両が高速道路（推奨経路であった高速道路）に戻ったとする。この場合、経路探索部１２０が記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」は、必要ないデータとなる。本実施形態では、再探索された経路を車両が再び逸脱した場合に、経路探索部１２０が記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を新たな「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」に更新していくものとする。
【００７０】
すなわち、車両が再び、高速道路から逸脱した場合、経路誘導部１３０が経路探索部１２０に「オートリルート処理の要求」を行う。経路探索部１２０は、記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を、受け付けた「オートリルート処理の要求」に含まれる「逸脱情報」の中の「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」に置き換える（上書きする）。
【００７１】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【００７２】
例えば、上記実施形態の説明では、ナビゲーション装置がオートリルートを行う場合について説明したが、ユーザからの指示により、目的地までの経路を再探索する場合についても、同様に適用することができる。この場合、経路探索部１２０は、ユーザから経路の再探索を受け付けることが可能に構成されているものとする（例えば、入力装置５を介して受け付ける）。また、経路誘導部１３０は、車両が推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した場合、「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を経路探索部１２０に出力する。経路探索部１２０は、経路誘導部１３０からの「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を記憶する（例えば、ＲＡＭ２２の所定領域に格納しておく）。そして、経路探索部１２０は、経路の再探索を受け付けると、記憶している「逸脱地点」および「逸脱地点での進行方向」を利用して、図５のＳ１３〜１４の処理を行う。
【００７３】
このように構成することにより、推奨経路である高速道路から一般道路に降りた場合において、ユーザからの操作で経路を再探索しても、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【００７４】
或いは、ナビゲーション装置がオートリルートにより、経路を再探索した場合だけ、図５のＳ１２〜１４の処理を行い、ユーザからの操作を受け付けて、目的地までの経路を再探索する場合には、Ｓ１２〜Ｓ１４を行わずに、既存技術のリルート処理を行うようにしてもよい。高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻りたいとの要求に対応するようにするためである。
【００７５】
また、上記実施形態の説明では、経路探索に地図データのリンク毎のコストを利用する場合を例にしたが、あくまでもこれは例示に過ぎない。例えば、ナビゲーション装置に、外部から渋滞情報を取得する手段を設けておいて、地図データのコストに加えて、さらに、渋滞情報とを利用して経路を探索するようにしてもよい。この場合、図５のＳ１３において、渋滞情報に含まれるリンクのコスト（旅行時間）についても、地図データのリンクのコストと同様に重み付けを行うようにする。
【００７６】
また、上記実施形態では、推奨経路である高速道路から逸脱して、一般道路へ降りた場合に、逸脱地点につながるリンクのうち、道路種別が高速道路のリンクであって、且つ逸脱地点から推奨経路上の進行方向に向けて、所定距離以内（例えば、２ｋｍ以内）のリンクのコストを上げて、経路を探索するようにしているが特にこれに限定するものではない。例えば、進行方向に関係なく、逸脱地点から所定距離以内の高速道路のリンクのコストを上げて、経路の再探索を行うようにしてもよい。
【００７７】
或いは、地図データを用いて、逸脱地点であるＩＣの出口と、同じＩＣの入口を特定して、特定した入口に直接接続されているリンク（道路種別が高速道路のリンク）のコストにだけ重み付けをして、目的地までの経路の再探索を行うようにしてもよい。このようにしても、高速道路から降りたＩＣと同じＩＣから高速道路に戻る経路が探索される可能性を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【００７８】
【図１】本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図２】本発明の実施形態の記憶装置３に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図３】本発明の実施形態の演算処理部１の機能ブロック図である。
【図４】本発明の実施形態の演算処理部１のハードウェア構成図である。
【図５】本発明の実施形態のリルート処理のフローチャートである。
【図６】本発明の実施形態のナビゲーション装置が行う、推奨経路である高速道路から一般道路に逸脱した際に行われるオートリルート処理を説明するための図である。
【図７】従来技術における、高速道路から一般道路に降りた場合のリルート処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【００７９】
１…演算処理部、２…ディスプレイ、３…記憶装置、４…音声入出力装置、５…入力装置、６…車速センサ、７…ジャイロ、８…ＧＰＳ受信装置、２１…ＣＰＵ、２２…ＲＡＭ、２３…ＲＯＭ、２４…ＤＭＡ、２５…描画コントローラ、２６…ＶＲＡＭ、２７…カラーパレット、２８…Ａ/Ｄ変換器、２９…ＳＣＩ、３０…ＰＩＯ、３１…カウンタ、１００…ＵＩ制御部、１１０…現在位置算出部、１２０…現在位置表示処理部、１３０…データ処理部、１４０…マップマッチング処理部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内を行うナビゲーション装置であって、
前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、
前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定する判定手段と、
前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記現在位置算出手段から現在位置を取得し、該取得した現在位置および前記リンク情報を用いて、該現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段と、を備え、
前記リルート手段は、
前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項２】
請求項１に記載のナビゲーション装置であって、
前記判定手段は、前記推奨経路から逸脱したと判定した場合、前記逸脱地点における前記推奨経路上の進行方向を特定し、
前記リルート手段は、前記逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から前記特定した進行方向に向かうリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項３】
請求項１または２に記載のナビゲーション装置であって、
前記有料道路とは高速道路であって、
前記逸脱地点とは、高速道路のインターチェンジの出口であること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項４】
道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内をするナビゲーション装置が行う経路の再探索方法であって、
前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出するステップと、
前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定するステップと、
前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記リンク情報を用いて、前記算出した現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するステップと、を有し、
前記再探索するステップは、
前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱した先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のリンクのコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索すること
を特徴とする経路の再探索方法。
【請求項１】
道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内を行うナビゲーション装置であって、
前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、
前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定する判定手段と、
前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記現在位置算出手段から現在位置を取得し、該取得した現在位置および前記リンク情報を用いて、該現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するリルート手段と、を備え、
前記リルート手段は、
前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項２】
請求項１に記載のナビゲーション装置であって、
前記判定手段は、前記推奨経路から逸脱したと判定した場合、前記逸脱地点における前記推奨経路上の進行方向を特定し、
前記リルート手段は、前記逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から前記特定した進行方向に向かうリンクのコストを、前記リンク情報のコストと比べて高く設定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項３】
請求項１または２に記載のナビゲーション装置であって、
前記有料道路とは高速道路であって、
前記逸脱地点とは、高速道路のインターチェンジの出口であること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項４】
道路を構成するリンク情報を用いて目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いてユーザへの経路案内をするナビゲーション装置が行う経路の再探索方法であって、
前記リンク情報は、リンク毎にコストおよび道路種別が対応付けられていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出するステップと、
前記探索した推奨経路、前記順次算出される現在位置、および前記リンク情報を用いて、該現在位置が前記推奨経路から逸脱したか否かを判定し、該逸脱したと判定した場合に逸脱地点および逸脱先のリンクを特定するステップと、
前記現在位置が推奨経路から逸脱したと判定されると、前記リンク情報を用いて、前記算出した現在位置から前記目的地に最適なコストで到達する経路を再探索するステップと、を有し、
前記再探索するステップは、
前記逸脱地点のリンクの道路種別が有料道路であり、且つ逸脱した先のリンクの道路種別が一般道路である場合、該逸脱地点につながる道路種別が有料道路のリンクであって、且つ該逸脱地点から所定距離以内のリンクのコストを、前記リンク情報のリンクのコストと比べて高く設定した上で、前記目的地までの経路を再探索すること
を特徴とする経路の再探索方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−１４７５３（Ｐ２００８−１４７５３Ａ）
【公開日】平成２０年１月２４日（２００８．１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１８５３３９（Ｐ２００６−１８５３３９）
【出願日】平成１８年７月５日（２００６．７．５）
【出願人】（５９１１３２３３５）株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１月２４日（２００８．１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年７月５日（２００６．７．５）
【出願人】（５９１１３２３３５）株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Ｆターム（参考）】
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