説明

ナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラム

【課題】外部から得られる道路交通情報において、3段階で提供される渋滞度を、より細かい区分に分割して表示することにより、ユーザが必要とするより詳細な渋滞情報の提供が可能なナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】道路交通情報解析部32は、VICS情報からリンク旅行時間情報のみを抽出し、このリンク旅行時間情報に基づいて、記憶装置11に格納されている地図データベースにおける当該リンクのリンク長を読出す。さらにこのリンク旅行時間情報と対応するリンク長から、リンクの平均通過時間を算出する。渋滞度算出部33は、この結果から、リンクごとの平均通過時間を求め、これを細かく区分けして(例えば5区分)渋滞度を算出する。表示制御部34は、渋滞度のそれぞれについて、表示態様を変えて地図画面上へ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置において、外部から得られる道路交通情報をもとにより詳細でユーザに有用な渋滞情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用に代表されるナビゲーション装置は、安全で快適なドライブをアシストする装置として、広く普及しており、様々な機能を装備している。例えば、目的地までの誘導経路に関する交通情報(渋滞の場所や長さ)を取得して、これを画面に表示、もしくは音声で読み上げることにより、ユーザに報知する機能が設けられている。交通情報としては、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報がよく知られている。VICS情報の情報レベルとしては、文字による渋滞情報(レベル1)、主要国道の簡易図形情報(レベル2)、画面上に渋滞区間や緊急避難箇所を表示する情報(レベル3)がある。また、発信形態によって、FM多重による情報と、電波ビーコン又は光ビーコンによる情報とに大別されている。
【0003】
このようなVICS情報において、例えば、FM多重による交通情報などは、放送局が管轄するエリア全域に発信するので、車両の進行方向に関係なく、ユーザは広範囲の情報を取得可能である。反面、ユーザに不要な情報をも提供してしまうという短所がある。そこで、従来よりこのようなVICS情報を活用する技術として、例えば、取得した交通情報の中から、ユーザが選択した経路及び誘導経路に関わる交通情報のみを抽出し、抽出した交通情報に基づいて交通状況の変化を表示するものが提案されている(特許文献1参照)。また、車両の方向性を特定し、提供された交通情報の対象とする道路を適切に把握することにより、車両の進行方向に適した交通情報を提供する技術が提案されている(特許文献2参照)。これにより、ユーザが必要とする有益な交通情報だけを適切に提示することが可能となっている。
【特許文献1】特開2002−310694公報
【特許文献2】特開平5−120597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、VICSにより提供される情報のうち、渋滞情報に関しては、交通の渋滞状況をリンクごとに「渋滞」、「混雑」、「順調」の3段階に分け「渋滞度」として提供される。そして、ナビゲーション装置においては、この3段階の渋滞度を、上記レベル3の情報として、「渋滞」を赤線で、「混雑」をオレンジ線で、「順調」を緑線で地図画面上の道路に沿って表示することとしている。
【0005】
この各渋滞度は、平均通過速度により図7の表及び下記に示すように区分される。
(1) 渋滞:一般道は10km/h以下、都市内高速は20km/h以下、都市間高速は40km/h以下
(2) 混雑:一般道は10〜20km/h、都市内高速は20〜40km/h、都市間高速は40〜60km/h
(3) 順調:一般道は20km/h以上、都市内高速は40km/h以上、都市間高速は60km/h以上
なお、ここでいう、都市内高速とは都市内高速道路のことであり、例えば首都高速道路などを指標する。また、都市間高速とは都市間高速道路のことであり、例えば東名高速道路などを指標する。
【0006】
しかしながら、現状の3段階区分では、上記のとおり「渋滞」が0〜20km/h、「順調」が40km/h以上(都市内高速の場合)と平均速度の範囲が広い。そのため、例えば、事故等で通行止め(平均速度がほぼ0km/h)と交通集中渋滞(平均速度20km/h程度)が共に「渋滞(赤)」で表示されることがあったり、40km/hでも80km/hでも「順調(緑)」で表示されるなど、3段階区分では、実際の渋滞状況を正確に表現しきれないという課題があった。
【0007】
従来は、VICSから得られる情報からユーザが必要とする情報を抽出して提供することは行っていたが、得られる情報をさらに詳細な情報として取得するものではなかったため、上記のような従来技術では、この課題を解決するに至っていなかった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、外部から得られる道路交通情報において、3段階で提供される渋滞度を、より細かい区分に分割して表示することにより、ユーザが必要とするより詳細な渋滞情報の提供が可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備え、車両外部から得られる道路交通情報を受信する受信手段と、前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出し、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出する道路交通情報解析手段と、この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定する渋滞度決定手段と、前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明を方法という見方から捉えたもので、経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御方法において、車両外部から得られる道路交通情報を受信する処理と、前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出し、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出する道路交通情報解析処理と、この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定する渋滞度決定処理と、前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力する表示制御処理と、を制御部又はコンピュータが実行することを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1,4の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、このプログラムは、車両外部から得られる道路交通情報を受信させる受信処理と、前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出させ、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出させる道路交通情報解析処理と、この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定させる渋滞度決定処理と、前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力させる表示制御処理と、コンピュータ又は制御部に実行させることを特徴とする。
【0012】
以上のような態様では、道路交通情報解析手段が、VICS情報等の車両外部から得られる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報に基づいて、道路地図データに記憶された当該リンクのリンク長を読出し、ここから各リンクの平均通過時間を算出し、渋滞度算出手段が、この算出結果からリンクごとの平均通過時間をもとにリンクの通過速度を求め、これを細かく区分けして渋滞度を求める。この渋滞度に応じて表示制御手段が、得られた渋滞度のそれぞれについて、表示態様を変えて地図画面上へ表示する。これにより、従来3区分に分けられていた渋滞度をより細かい区分に分割して表示することにより、渋滞速度に応じたより詳細な渋滞情報をユーザに提供することができるようになる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記渋滞度決定手段は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項4の発明において、前記渋滞度決定処理は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定する処理を含むことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項2,5の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項7の発明において、前記渋滞度を決定させる処理は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定させるものであることを特徴とする。
【0014】
以上のような態様では、渋滞度を渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に分け、それぞれ表示態様を変えて表示することによって、従来3区分に分けられていた渋滞度をより細かい区分に分割して表示するができる。特に、VICS情報における都市内高速道路の渋滞情報の場合、「渋滞」が0〜20km/h、「順調」が40km/h以上と平均速度の範囲が広く、例えば、平均速度がほぼ0km/hの事故等での通行止めと、平均速度20km/h程度の交通集中渋滞が共に「渋滞」で表示されたり、40km/hでも80km/hでも「順調」で表示されることがあったが、5段階区分では、これらの平均速度範囲を半分ずつに分けることが可能である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定する渋滞度判定手段を備え、前記表示制御手段は、前記渋滞度判定手段によって、前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度を前記表示部に出力し、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項3の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項4又5の発明において、前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定する渋滞度判定処理を含み、前記表示制御処理は、前記渋滞度判定処理によって、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度を前記表示部に出力し、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力する処理を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項3,6の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項7又は8の発明において、前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、前記渋滞度を決定させる処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定させる渋滞度判定処理を含み、前記表示制御処理は、前記渋滞度判定処理によって、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度を前記表示部に出力させ、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力させるものであることを特徴とする。
【0018】
以上のような態様では、渋滞度判定手段が、渋滞度算出手段によって独自に算出した渋滞度を、外部の道路交通情報から得られる渋滞度と比較し確認し、一致しない場合には、外部から得られた渋滞度を優先して表示することによって、渋滞度の情報表示の正確性を高めることができ、ユーザに対して、より正確な渋滞情報を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部から得られる道路交通情報において、3段階で提供される渋滞度を、より細かい区分に分割して表示することにより、ユーザが必要とするより詳細な渋滞情報の提供が可能なナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
〔1.構成〕
本実施形態は、目的地への経路を案内するナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1に示す。
【0022】
すなわち、1は、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。ここで、一般に道路交通情報通信システムセンターからは、エリアを約10km×10kmのサービスエリア(2次メッシュ)毎に区分し各メッシュの渋滞情報を、順に送信され、これをFM多重受信及び処理部1又はビーコン受信及び処理部2によって受信することとなる。このメッシュごとの渋滞情報には、(1) メッシュ内の各リンクのリンク旅行時間、(2) メッシュ内の各リンクの渋滞度(渋滞、混雑、順調の3区分別)、(3) メッシュ内の各リンクのリンク種別(都市間高速道、都市内高速道、一般道の別)等が含まれている。
【0023】
3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。メインメモリMを構成する4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。
【0024】
7は、地図などの情報を描画及び表示する表示部で、液晶表示パネルなどの表示画面を持つ。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部、10は、イルミネーション(計器盤等の照明)・車速パルス・パーキング等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。
【0025】
11は、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、道路地図データ(典型的には、経路探索用データや地図表示用データ)・その他の検索データや地図関連データなどを記録する地図データの記憶装置である。
【0026】
12は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、タッチキーなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示部7周囲の操作スイッチ類のほか、リモコンユニット、表示パネルと一体のタッチセンサなどを単独、又は自由に組み合わせて用いればよい。15は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、加速度センサ、車速パルスなど)により、現在位置、方位、速度など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。
【0027】
また、制御部3は、所定の制御プログラムにより、以下のような機能・作用に対応する処理手段(図1に示す30、31…)を実現・実行する。なお、従来と共通のナビゲーション処理(例えば、目的地の指定受付、経路探索、誘導案内出力など)は、案内地点出力を除いて本発明特有の要素ではないので、ナビゲーション部30として示し、詳細は省略する。
【0028】
〔2.作用効果〕
〔2−1.概略〕
本実施形態は、まず、FM多重受信及び処理部1及びビーコン受信及び処理部2からVICS情報を受信し、これを道路交通情報受信部31がメインメモリMに記憶する。ここでVICSでは上述のとおりリンクの渋滞度の他にリンクを通過する所要時間(リンク旅行時間)を提供している。
【0029】
より具体的には、道路交通情報通信システムセンターからのVICS情報は、エリアを約10km×10kmのサービスエリア(2次メッシュ)毎に区分し、各メッシュの渋滞情報として提供される。そしてこのメッシュごとの渋滞情報には、上述のとおり、(1) メッシュ内の各リンクのリンク旅行時間、(2) メッシュ内の各リンクの渋滞度(渋滞、混雑、順調の3区分の別)、(3) メッシュ内の各リンクのリンク種別(都市間高速道、都市内高速道、一般道の別)等の情報を含んでいる。
【0030】
そこで、道路交通情報解析部32は、上記VICS情報からリンク旅行時間のみを抽出し、このリンク旅行時間のリンクに当たるリンク長を、記憶装置11に格納されている地図データベースから読出す。そして、このリンク旅行時間情報と対応するリンク長から、リンクの平均通過時間を算出する。
【0031】
渋滞度算出部33は、この算出結果に基づいて、リンクごとの平均通過時間を求め、これを細かく区分けして渋滞度を算出する。この渋滞度算出部33による区分は、例えば、図3及び下記に示すように5段階で表すことが可能である。
(1) 渋滞1:一般道は5km/h以下、都市内高速は10km/h以下、都市間高速は20km/h以下
(2) 渋滞2:一般道は5〜10km/h、都市内高速は10〜20km/h、都市間高速は20〜40km/h
(3) 混雑 :一般道は10〜20km/h、都市内高速は20〜40km/h、 都市間高速は40〜60km/h
(4) 順調1:一般道は20〜30km/h、都市内高速は40〜60km/h、都市間高速は60〜80km/h
(5) 順調2:一般道は30km/h以上、都市内高速は60km/h以上、都市間高速は80km/h以上
【0032】
次に、表示制御部34が、上記の渋滞度(1)〜(5)のそれぞれについて、表示態様を変えて地図画面上へ表示する。ここで、この表示態様の例を示すと、通常のVICSの渋滞情報の表示が渋滞を「赤」、混雑を「黄」、順調を「緑」で行っていることから、これをベースとして、以下のように色彩を割り当てて表示することができる。
(1) 渋滞1:黒枠付き赤線
(2) 渋滞2:赤線
(3) 混雑 :オレンジ線
(4) 順調1:緑線
(5) 順調2:黒枠付き緑線
【0033】
このように、(2) 〜(4) の3区分については、従来より提供されている渋滞情報と同様の配色とし、それよりも渋滞度の高い(1) 「渋滞1」と渋滞度の最も低い(5) 「順調2」について、中間の3区分とは表示態様を変更したものである。なお、このような表示態様は、あくまで例示であって、ユーザが渋滞度を認識可能な態様であればどのようなものであっても構わない。例えば、渋滞度の最も高い(1) と渋滞度の最も低い(5) について、「黒枠付き」に変えて(2) 又は(4) とそれぞれ同色の「波線」で構成するなども可能である。
【0034】
以上のような本実施形態では、道路交通情報解析部32が、VICS情報から得られるリンク旅行時間情報に基づいて、地図データベースにおける当該リンクのリンク長を読出し、ここから各リンクの平均通過時間を算出する。次に、渋滞度算出部33が、この算出結果からリンクごとの平均通過時間をもとにリンクの通過速度を求め、これを細かく区分けして渋滞度を求める。この渋滞度に応じて表示制御部34が、上記の渋滞度(1) 〜(5) のそれぞれについて、表示態様を変えて地図画面上へ表示する。
【0035】
これにより、従来3区分に分けられていた渋滞度を、例えば本実施形態のように5区分というより細かい区分に分割して表示することにより、渋滞速度に応じたより詳細な渋滞情報を提供することができる。
【0036】
〔2−2.処理手順の例〕
上記のような本実施形態における処理手順の一例を図2のフローチャートに示す。この例では、まず道路交通情報受信部31が、FM多重受信及び処理部1及びビーコン受信及び処理部2を介してVICSから受信してメインメモリMに記憶する(STEP1)。次に、道路交通情報解析部32は、上記VICS情報からリンク旅行時間情報のみを抽出し、このリンク旅行時間情報に基づいて、記憶装置11に格納されている地図データベースにおける当該リンクのリンク長を読出し、このリンク旅行時間情報と対応するリンク長から、リンクの平均通過時間を算出する(STEP2)。
【0037】
渋滞度算出部33は、リンク旅行時間と地図データベースから読み出したリンク長を用いて、リンクの平均通過速度を算出し、その値を区分けして5段階の渋滞度を求める(STEP3)。具体的には、平均通過速度を「平均通過速度=リンク長/リンク旅行時間」との式から算出し、図3の平均通過速度−渋滞度変換表から渋滞度を割り当てる。
【0038】
この処理を経路上のすべてのリンクについての渋滞度を算出するまで繰り返し(STEP4のNO)、すべてのリンクの渋滞度データを算出した場合には(YES)、そのデータを表示制御部34に引渡す。表示制御部34は、この渋滞度をもとに、渋滞度ごとの表示態様と関連付けて表示部7に渋滞度線を表示し(STEP5)、処理を終了する(END)。
【0039】
〔3.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記実施形態には限定されず、以下の例や他の例も含むものである。例えば、上記実施形態に示した構成、処理手順、実例などは概略的な例示であるから適宜具体化や変更が可能である。例えば、上記実施形態において、VICS情報から得られる渋滞情報の3つ(リンク旅行時間、リンクの渋滞度、リンク種別)を挙げ、このうちリンク旅行時間のみを用いて渋滞度の算出を行っている。本発明ではこのような態様に限らず、図4に示すように、上記実施形態の構成に加えて渋滞度判定部35を設け、ここにおいて、渋滞度算出部33によって得られたリンクごとの渋滞度を、VICS情報から得られる渋滞情報のうち「リンクの渋滞度」とすべてのリンクについて比較することも可能である。
【0040】
この場合の処理の流れは、図5に示すとおりであるが、STEP1〜STEP4までは図2において示した上記実施形態の処理と同様であるので、STEP5以降の処理を説明する。すなわち、渋滞度判定部35は、渋滞度算出部33によって算出された経路上のリンクごとの渋滞度が、VICS情報から得られる各リンクの渋滞度とが一致するか否かを確認する(STEP5)。
【0041】
この場合、上述のとおりVICS情報から得られる渋滞度は3段階に区分されているのに対して、渋滞度算出部33により算出された渋滞度は5段階であるので、図6の概念図に示すように、渋滞度算出部33により算出された渋滞度の「渋滞1」及び「渋滞2」のそれぞれがVICS情報から得られる渋滞度の「渋滞」と、同じく「順調1」及び「順調2」のそれぞれが「順調」と、「混雑」に関してはそのまま「混雑」と一致するか否かを確認する。
【0042】
そして、渋滞度算出部33により算出された渋滞度と、VICS情報から得られた渋滞度とが一致する場合には(STEP5のYES)、渋滞度算出部33により算出された渋滞度を表示制御部34に引渡し、表示制御部34がこの渋滞度をもとに渋滞度ごとの表示態様と関連付けて表示部7に渋滞度線を表示して(STEP6)処理を終了する(END)。
【0043】
一方、渋滞度算出部33により算出された渋滞度と、渋滞度算出部33により算出された渋滞度とが一致しない場合には(STEP5のNO)、渋滞度判定部35は、VICS情報から得られた渋滞度を表示制御部34に引渡し、表示制御部34がこの渋滞度をもとに渋滞度ごとの表示態様と関連付けて表示部7に渋滞度線を表示して(STEP7)処理を終了する(END)。
【0044】
なお、この場合、渋滞度算出部33により算出された渋滞度とVICS情報から得られた渋滞度との一致、不一致を各リンクについて確認し、一致するリンクについてのみ、渋滞度算出部33により算出された渋滞度を表示し、一致しないリンクはVICS情報から得られた渋滞度を表示することも可能である。
【0045】
このような渋滞度判定部の処理により、ユーザに対して、より正確な渋滞情報を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における処理を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態における渋滞度の区分を示す表。
【図4】本発明の他の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図5】本発明の他の実施形態における処理を示すフローチャート。
【図6】本発明の他の実施形態における渋滞度判定処理の一例を示す概念図。
【図7】VICS情報から得られる渋滞度の区分を示す表。
【符号の説明】
【0047】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
30…ナビゲーション部
31…道路交通情報受信部
32…道路交通情報解析部
33…渋滞度算出部
34…表示制御部
35…渋滞度判定部
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…TV受信及び処理部
10…車両情報取得部
11…道路地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
12…入力部(タッチキー制御装置)
15…測位部
M…メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置において、
車両外部から得られる道路交通情報を受信する受信手段と、
前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出し、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出する道路交通情報解析手段と、
この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定する渋滞度決定手段と、
前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記渋滞度決定手段は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、
前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定する渋滞度判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記渋滞度判定手段によって、前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定手段によって決定された渋滞度を前記表示部に出力し、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御方法において、
車両外部から得られる道路交通情報を受信する処理と、
前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出し、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出する道路交通情報解析処理と、
この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定する渋滞度決定処理と、
前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力する表示制御処理と、
を制御部又はコンピュータが実行することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項5】
前記渋滞度決定処理は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定する処理を含むことを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項6】
前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、
前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定する渋滞度判定処理を含み、
前記表示制御処理は、前記渋滞度判定処理によって、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度を前記表示部に出力し、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力する処理を含むことを特徴とする請求項4又は5記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
経路探索及び地図表示のための道路地図データと施設の位置を含む施設データとを予め格納する記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えたナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
このプログラムは、
車両外部から得られる道路交通情報を受信させる受信処理と、
前記道路交通情報には少なくともリンク旅行時間が含まれ、前記受信手段により受信した前記リンク旅行時間に対応するリンクのリンク長を前記道路地図データから読み出させ、前記リンク旅行時間と前記リンク長とから当該リンクの平均通過時間を算出させる道路交通情報解析処理と、
この平均通過時間に基づいて複数段階の渋滞度を決定させる渋滞度決定処理と、
前記渋滞度ごとに区別できるように前記表示部に出力させる表示制御処理と、
をコンピュータ又は制御部に実行させることを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項8】
前記渋滞度を決定させる処理は、前記渋滞度を、渋滞1、渋滞2、混雑、順調1、順調2の5段階に決定させるものであることを特徴とする請求項7記載のナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項9】
前記道路交通情報には、渋滞度情報が含まれ、
前記渋滞度を決定させる処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度との相違を判定させる渋滞度判定処理を含み、
前記表示制御処理は、前記渋滞度判定処理によって、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度と、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致する場合には、前記渋滞度決定処理によって決定された渋滞度を前記表示部に出力させ、前記道路交通情報から得られる渋滞度とが一致しない場合には、前記道路交通情報から得られる渋滞度を前記表示部に出力させるものであることを特徴とする請求項7又は8記載のナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−263791(P2007−263791A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90084(P2006−90084)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】