説明

ナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラム

【課題】目的地までの経路探索における経路の終端とすべき道路リンクの選定において、有料道路のインターチェンジ間の区間など、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクを目的リンクの候補から除外すべきかどうかの判断を適切に行うことにより、的確な経路案内を行うことができるナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】経路計算部32の経路計算において、道路リンク読出部32aが目的地近傍の道路リンクを読出す。そして、この読み出した複数の道路リンクのそれぞれについて、隔離道路判定部32dが当該道路リンクが隔離道路か否か、つまり目的リンクとして設定できるか否かの判断を行う。隔離道路判定部32dは、目的地に対する距離が当該目的リンク候補よりも短い道路リンクに対して、当該道路リンクが隔離道路か否かの判断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによって指定される目的地への最適な経路案内を行うナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムに係り、特に、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路の近傍に目的地が設定された場合において目的地への的確な経路案内を行うナビゲーションの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と電子技術の発達に伴い、車両に搭載して道案内を行う車載用ナビゲーション装置が急速に普及している。ナビゲーション装置は、道路や各種施設などの情報に基づき、指定された目的地までの経路を計算・設定し、GPSなどで自車位置を検出しながら、経路に沿った地図や自車位置の画面表示などにより経路誘導を行うものである。
【0003】
ナビゲーション装置における経路探索においては、ダイクストラ法と呼ばれるロジックをもとに探索を行う方法が一般的に用いられている。ダイクストラ法を適用するにあたっては、まず、ユーザが指定した目的地の位置情報などをもとに、探索経路の終端とする目的リンクを選定する。
【0004】
目的リンクの選定基準としては、第1に、目的地位置と道路との二次元的な距離の短さを用いるのが一般的である。それに加えて例えば、当該道路の種別(都市間高速道路、都市高速道路、一般国道、市道など)を地図データに格納しておき、それらの情報を用いて特定の条件を満たす道路を目的リンクの候補から除外する方法も考えられている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−106742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のナビゲーション装置において、経路探索の基情報である地図データには、有料道路のインターチェンジ間の区間、高架道路、又はトンネルなど、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンク(以下、「隔離道路」という。)であることを表すような情報は格納されていない。高架道路やトンネルなど、当該リンクが隔離道路であるか否かの情報については、当該道路周辺の実際の様子を確認する必要があり、このような情報を収集して地図データに格納するには非常に大きなコストと時間を要するからである。
【0006】
一方で、ユーザが指定した目的地までの経路の探索を行う際の、目的リンクの選定において、このような隔離道路は、通常は目的リンクとすべきではない。なぜなら、従来のナビゲーション装置においては、このような情報を地図データに格納しないのであるから、経路探索処理では隔離道路か否かといった判別を行わないのであり、このような場合ユーザは、目的地を指定して探索された経路通りに進むと、たとえば目的地の建物を隣接して通過する高架道路上に案内され、実際には目的地に到着できないからである。
【0007】
具体的には、ダイクストラ法等のロジックでは、目的地に対して直線距離が最短の道路リンクが目的リンクとして選択される。しかし、この道路リンクが、例えば図3(a)のように、最短の道路リンクL1の両端に一般道路のリンクが接続されていないような場合や、道路リンクL1が高速道路であった場合には、リンクの途中から道路外施設への往来ができない。したがって、この場合に、道路リンクL1を目的リンクとした場合には、ユーザは経路案内にしたがって目的地Dに到達することはできず、到達するには経路探索をやり直すか、自らノードA1かB1からランプを通じて一般道路に入り回り道をして目的地に向かう必要が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、目的地までの経路探索における経路の終端とすべき道路リンクの選定において、有料道路のインターチェンジ間の区間など、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクを目的リンクの候補から除外すべきかどうかの判断を適切に行うことにより、的確な経路案内を行うことができるナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、情報を表示するための表示手段と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶手段と、前記入力手段を介してユーザからの目的地の選択を受け付ける目的地受付手段と、この目的地への最適な経路を計算する経路計算手段と、前記最適な経路へ誘導案内を行う案内手段と、を備えたナビゲーション装置において、前記経路計算手段は、前記目的地受付部によって受け付けた目的地近傍の道路リンクを目的リンク候補として複数読み出す道路リンク読出手段と、前記複数読み出した道路リンクが、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路か否かを判断する隔離道路判定手段と、隔離道路であると判定されない道路リンクを目的リンクとして設定する目的リンク決定手段と、を備え、前記目的リンク決定手段によって決定された目的リンクに対して経路計算を実行することを特徴とする。
【0010】
なお、このナビゲーション装置を、ナビゲーション装置の制御方法及び制御プログラムの観点から捉えることも可能である。
【0011】
以上のような態様では、経路計算手段において、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路を目的リンクとする対象道路リンクから除くことにより、立体交差の有無を実際に調査した結果の情報を地図データに格納することなく、かつ、ユーザにナビゲーション装置以外の方法によって適切な経路終端道路を調査させる手間をかけさせることなしに、実際には目的地へたどりつけないような不適切な道路を目的リンクから除外して的確な経路案内を行うことができる
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記隔離道路判定手段は、隔離道路であると判定した道路リンクの両端のノードを読出し、これらのノードが分岐点又は属性変化点か否かを判定するものであり、前記目的リンク決定手段は、前記分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする。
【0013】
なお、このナビゲーション装置を、ナビゲーション装置の制御方法及び制御プログラムの観点から捉えることも可能である。
【0014】
以上のような態様では、隔離道路判定手段において、道路リンクの両端のノードの情報を読み出し、当該ノードについて分岐点又は属性変化点か否かを判定し、目的リンク決定手段が分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する道路リンクを、目的リンクとして設定する。ここで、ノードは交差点、行き止まり点又は属性変化点のいずれかであるから、分岐点でなく属性変化点でない、ということは、当該ノードは行き止まりということになる。
【0015】
一般に、道路リンクの一端が、行き止まりであるよう場合には、有料道路の行き止まり地点の近傍には経験則上、例えば観光地点等、目的地となり得べき施設が設けられているから、当該道路リンクの近傍に目的地が設定されたしたとしても問題はない。そこで、このような場合に、当該道路リンクを目的リンクに指定することで、より正確な目的リンクの設定が可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記隔離道路判定手段は、前記分岐点又は属性変化点であると判定されたノードに接続される接続道路リンクが、隔離道路であるか否かを判定するものであり、前記目的リンク決定手段は、隔離道路でないと判定された前記接続道路リンクに接続されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする。
【0017】
なお、このナビゲーション装置を、ナビゲーション装置の制御方法及び制御プログラムの観点から捉えることも可能である。
【0018】
以上のような態様では、道路リンクのノードに接続された道路リンクに隔離道路でない道路リンクを含む場合には、当該道路リンクの近傍に目的地を設定した際、仮に当該道路リンクから一般道路や道路外施設との往来が制限されているとしても、接続された道路リンクより遠回りにならない経路を選択して目的地へ到達することは可能であるので、当該道路リンクを目的リンクに指定する。これにより、目的リンク決定手段は当該道路リンクを目的リンクとして設定する。したがって、必要以上に目的リンクの候補を排除することがなくなり、結果として、より正確な目的リンクの設定が可能となる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記経路計算手段は、前記読み出した道路リンクと前記目的地との距離を算出する距離算出手段と、前記距離算出手段において算出された、前記複数読み出した道路リンクすべてについて、一つずつ距離を比較する距離比較手段とを備え、前記隔離道路判定手段は、前記距離比較手段において比較対象のうち距離が短いと判定された道路リンクについて、処理を行うものであることを特徴とする。
【0020】
なお、このナビゲーション装置を、ナビゲーション装置の制御方法及び制御プログラムの観点から捉えることも可能である。
【0021】
以上のような態様では、読み出された道路リンクのうち、他の道路リンクに比較して距離が短く、かつ、「隔離道路でない」又は「隔離道路であっても一般道路や道路外施設との往来が制限されない」あるいは「多少の回り道によって目的地に到達が可能な道路リンク」を目的リンクとして設定することが可能となり、不適切な道路をより細かい基準で目的リンクから除外することによってより正確な経路案内が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、目的地までの経路探索における経路の終端とすべき道路リンクの選定において、有料道路のインターチェンジ間の区間など、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクを目的リンクの候補から除外すべきかどうかの判断を適切に行うことにより、的確な経路案内を行うことができるナビゲーション装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
〔1.構成〕
本実施形態は、目的地への経路を案内するナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1に示す。
【0024】
すなわち、1は、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。メインメモリMを構成する4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。
【0025】
7は、地図などの情報を描画及び表示する表示部で、液晶表示パネルなどの表示画面を持つ。本発明では、タッチパネル機能を備えたディスプレイを用いる。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部、10は、イルミネーション(計器盤等の照明)・車速パルス・パーキング等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。
【0026】
11は、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、道路地図データ(典型的には、経路探索用データや地図表示用データ)・その他の検索データや地図関連データなどを記録する地図データの記憶装置である。
【0027】
12は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、タッチキーやタッチパネルなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示部7の表示パネルと一体のタッチセンサのほか、周囲の操作スイッチ類、リモコンユニット、などを単独、又は自由に組み合わせて用いればよい。13は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、加速度センサ、車速パルスなど)により、現在位置、方位、速度など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。
【0028】
また、制御部3は、所定の制御プログラムにより、以下のような機能・作用に対応する処理手段(図1に示す30、31…)を実現・実行する。なお、自車位置検出部30、目的地受付部31、案内部33、表示制御部34の基本的な機能は、本発明特有の要素ではなく従来と共通のナビゲーション処理を実行するものであるので、本実施形態に顕著な点以外の説明は場合により省略する。
【0029】
〔2.作用効果〕
ユーザが入力部12を介して、目的地の設定を行うと、これを目的地受付部31が受け付ける。経路計算部32は、目的地受付部31により受け付けた目的地と、自車位置検出部30によって検出される自車位置とに基づいて、自車位置から目的地までの最適な経路を算出する。この最適経路の計算について、以下詳しく説明する。
【0030】
〔2−1.概略的作用〕
本実施形態の経路計算部32における経路計算では、まず、道路リンク読出部32aが目的地近傍の道路リンクを読出す。そして、この読み出した複数の道路リンクのそれぞれについて、隔離道路判定部32dが当該道路リンクが隔離道路か否か、すなわち、目的リンクとして設定できるか否かの判断を行う。目的リンクとして設定可能な道路リンクについては、目的リンク決定部32fが目的リンク候補としてメモリに記憶する。
【0031】
次に、距離算出部32b及び距離比較部32cが、他の読み出された道路リンクと目的地との距離を、この目的リンク候補として記憶した道路リンクと目的地との距離と比較する。続いて、隔離道路判定部32dは、当該道路リンクの目的地への距離が当該目的リンク候補よりも短い場合において、当該道路リンクが隔離道路か否かの判断を行う。
【0032】
このような処理を繰り返し、目的リンク決定部32fが、複数読み出された道路リンクから目的リンクを特定し、この特定された目的リンクを用いて経路探索処理を行い、その結果により案内部33及び表示制御部34が経路誘導案内を行うものである。
【0033】
〔2−2.具体的な作用の例〕
経路計算部32の経路計算においては、目的地受付部31がユーザからの目的地の入力を受け付けると、この受け付けた目的地に基づいて、道路リンク読出部32aが、目的地の周辺区域の道路データを記憶装置11から複数読み出し、これらを目的リンク候補としてメモリMに記憶する(S201)。
【0034】
ここで、このとき、すでに一つの道路リンクLnについて、上記の隔離道路か否かの判定処理が終了し、当該道路リンクLnが目的リンク候補としメモリに記録されているものとし、この道路リンクLnと比較する対象として、道路リンクLm(m=1,2,3,・・・)を取り上げて説明する。
【0035】
次に、距離算出部32bが、この道路リンクL1と、目的地との最近傍点を算出するとともに(S202)、目的地と当該最近傍点の距離を算出する(S203)。すなわち、目的地をDとした場合、目的地Dからの道路リンクL1への最近傍点P1と、この道路リンクL1から最近傍点P1までの距離D1を求める。なお、上述のとおり、道路リンクLnについては、このとき上記の処理を終え、道路リンクLnにおける道路リンクと目的地との距離Dxが算出され、メモリMに記憶された状態とする。
【0036】
次に、距離比較部32cは、道路リンクLnにおける道路リンクと目的地の距離Dxと、目的地D1との距離を比較する。すなわち、距離D1が、道路リンクLnの距離Dxより短いか否かを判定し(S204)、距離が短くない場合は道路リンクL1を目的リンク候補とせず(NOの処理)、他の道路リンクを読み出し、道路リンクから目的地までの距離が距離Dxより短い道路リンクを検出するまで上記処理を繰り返す。一方、距離比較部32cは、距離D1が距離Dxより短いと判定した場合に(S204のYES)、S205に進む。
【0037】
本実施形態では、S205〜S211の処理を経て、隔離道路であるか否かの判断を行う。すなわち、隔離道路の要素となるべき事象の判断を段階的に実行することで、隔離道路を目的リンク候補としないような処理とする。
【0038】
ここで、上述のとおり、隔離道路とは、有料道路のインターチェンジ間の区間、高架道路、又はトンネルなど、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクのことをいう。そこで、以下では、隔離道路であるとして目的リンク候補として指定し得ない例、並びに隔離道路と判断された場合でも指定可能な例を以下に示す。
【0039】
まず、図3(a)及び(b)に示すように、道路リンクの一端に単数又は複数の道路リンクが接続され、いずれも有料道路リンクである場合には、当該道路リンクの近傍に目的地を設定しても、当該目的地に最短経路を通過して到達することは不可能である。したがって、このような場合には、当該道路リンクを隔離道路であって目的リンク候補には指定し得ないものとして扱う。
【0040】
一方、図3(c)に示すように、道路リンクの一端に、一般道路リンクが接続されている場合には、当該道路リンクの近傍に目的地を設定した際、当該目的地に最短経路を通過して到達することは可能である。そこで、このような場合には、当該道路リンクを目的リンク候補に指定可能なものとして扱う。
【0041】
さらに、図3(d)に示すように、道路リンクの一端が、行き止まりであるよう場合には、有料道路の行き止まり地点の近傍には経験則上、例えば観光地点等、目的地となり得べき施設が設けられているから、当該道路リンクの近傍に目的地が設定されたしたとしても問題はない。そこで、このような場合には、当該道路リンクを目的リンク候補に指定可能なものとして扱う。
【0042】
図3(a)〜(d)に挙げた基準に基づいて、本実施形態ではS205〜S211の処理によって、隔離道路であるか否かの判断を行う。まず、隔離道路判定部32dは、道路リンクL1が有料道路のリンクであるかどうかを判定する(S205)。道路リンクL1が、有料道路リンクでなかった場合は(NO)、当該道路リンクL1を目的リンク候補として記憶された道路リンクLnに代えて目的リンク候補として設定する(S212)。
【0043】
一方、隔離道路判定部32dにおいて道路リンクL1が、有料道路リンクであったと判断された場合には、さらに、この道路リンクL1が隔離道路であっても目的リンク候補として設定して良いリンクであるか否かを他の基準により判断する必要がある。
【0044】
なお、S205の判断においては、道路リンクL1が、有料道路リンクであるか否かの判断に限定して記載しているが、これは最も簡易に判断可能な一例を示したに過ぎず、本発明としては、有料道路のほか、高架道路やトンネル等、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクを広く含むものであって、S205の判断においては、本来的にはこれら隔離道路に当たるものすべてを判断するのが最も好ましい。
【0045】
次に、道路リンクL1が隔離道路であっても目的リンク候補として設定して良いリンクであるか否かを他の基準による判断について説明する。概略すれば、S207及びS210において行き止まりか否かを判定し(図3(d)の例)、S208及びS211において一般道路リンクに対する接続の有無を判定し(図3(c)の例)、これによって、図3(a)又は(b)に示す道路リンクの一端に単数又は複数の道路リンクが接続され、いずれも有料道路リンクである場合のみを抽出する処理である。
【0046】
具体的には、ノード検出部32eが、道路リンクL1の一方の端点ノードからリンクを辿り、この道路リンクの一端のノードA1を求め(S206)、このノードA1が分岐点又は属性変化点であるか確認する(S207)。すなわち、ノードA1は交差点、行き止まり点又は属性変化点のいずれかであるから、分岐点でなく属性変化点でない、ということは、当該ノードA1は行き止まりということになる。したがって、ここで、ノードA1が分岐点又は属性変化点でないと判断された場合(S207のNO)には、S212に進んで、目的リンク決定部32fは当該道路リンクL1を目的リンク候補として設定する。一方、ノードA1が分岐点又は属性変化点であると判断された場合(S207のYES)には、道路リンクL1が接続されているリンクに一般道路リンクが含まれるか否かを確認する(S208)。
【0047】
道路リンクL1に一般道路リンクが含まれる場合(S208のYES)には、図3(b)に示したとおり、当該道路リンクの近傍に目的地を設定した際、最短経路を通過して当該目的地に到達することは可能であるので、S212に進んで、目的リンク決定部32fは当該道路リンクL1を目的リンク候補として設定する。一方、道路リンクL1に一般道路リンクを含まない場合(S208のNO)には、S212に進む。
【0048】
なお、S208の判断においては、道路リンクL1が、一般道路リンクであるか否かの判断するものとし、一般道路とに限定して記載しているが、本発明における「一般道路」とは、高架道路やトンネル等、他の道路や道路外施設との往来が制限されている道路リンクを除いた道路リンクを広く含むものであって、S208の判断においては、本来的にはこれら隔離道路に当たらない道路リンクすべてを判断するものである。
【0049】
続いて、ノード検出部32eは、道路リンクL1の一方の端点ノードからリンクを辿り、この道路リンクの一端のノードB1を求める(S209)。そして、ノードA1の場合と同様、まず、このノードB1が分岐点又は属性変化点であるか確認する(S210)。
【0050】
ノードB1が分岐点又は属性変化点でないと判断された場合(S210のNO)には、S211に進んで、目的リンク決定部32fは当該道路リンクL1を目的リンク候補として設定する(S212)。一方、ノードB1が分岐点又は属性変化点であると判断された場合(S210のYES)には、道路リンクL1が接続されているリンクに一般道路リンクが含まれるか否かを確認する(S211)。
【0051】
道路リンクL1の接続リンクに一般道路リンクが含む場合(S211のYES)には、図3(b)に示したとおり、当該道路リンクの近傍に目的地を設定した際、仮に当該道路リンクから一般道路や道路外施設との往来が制限されているとしても、接続された道路リンクより遠回りにならない経路を選択して目的地へ到達することは可能である。そこで、このような場合には、S212に進んで、目的リンク決定部32fは当該道路リンクL1を目的リンク候補として設定する。
【0052】
一方、道路リンクL1に一般道路リンクが含まない場合(S211のNO)には、道路リンクL1は目的リンク候補とはしないものとし、他の道路リンクLmについて、S204以降の処理を繰り返す。
【0053】
S201において、道路リンク読出部32aが読み出したすべての道路リンクLmについてS202〜212の処理を行った場合には、この特定された目的リンク候補を目的リンクとしてこれを用いて経路探索処理を行う(S213)。以上のような経路計算部32の処理の結果出力される誘導案内用の経路が、案内部33及び表示制御部34に入力され、この案内部33及び表示制御部34を介して表示部7等に表示されることにより、ユーザへの経路誘導案内を行う。
【0054】
〔2−3.効果〕
以上のような本実施形態によれば、経路計算部の隔離道路判定部32dにおいて、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路を目的リンクとする対象道路リンクから除くことができる。これにより、立体交差の有無を実際に調査した結果の情報を地図データに格納することなく、かつ、ユーザにナビゲーション装置以外の方法によって適切な経路終端道路を調査させる手間をかけさせることなしに、実際には目的地へたどりつけないような不適切な道路を目的リンクから除外して的確な経路案内を行うことができる
【0055】
また、ノード検出部32eにおいて、道路リンクの両端のノードの情報を読み出し、当該ノードについて分岐点又は属性変化点か否かを判定し、目的リンク決定部32fが分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する道路リンクを、目的リンクとして設定する。
【0056】
ここで、ノードは交差点、行き止まり点又は属性変化点のいずれかであるから、分岐点でなく属性変化点でない、ということは、当該ノードは行き止まりということになる。一般に、道路リンクの一端が、行き止まりであるよう場合には、有料道路の行き止まり地点の近傍には経験則上、例えば観光地点等、目的地となり得べき施設が設けられているから、当該道路リンクの近傍に目的地が設定されたしたとしても問題はない。そこで、このような場合に、当該道路リンクを目的リンクに指定することで、より正確な目的リンクの設定が可能となる。
【0057】
さらに、道路リンクのノードに接続された道路リンクに隔離道路でない道路リンクを含む場合には、当該道路リンクの近傍に目的地を設定した際、仮に当該道路リンクから一般道路や道路外施設との往来が制限されているとしても、接続された道路リンクより遠回りにならない経路を選択して目的地へ到達することは可能であるので、当該道路リンクを目的リンクに指定する。これにより、目的リンク決定部32fは当該道路リンクを目的リンク候補として設定する。したがって、必要以上に目的リンク候補を排除することがなくなり、結果として、より正確な目的リンクの設定が可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、道路リンク読出部32aにおいて読み出された道路リンクのうち、他の道路リンクに比較して距離が短く、かつ、「隔離道路でない」又は「隔離道路であっても一般道路や道路外施設との往来が制限されない」あるいは「多少の回り道によって目的地に到達が可能な道路リンク」を目的リンクとして設定することが可能となり、不適切な道路をより細かい基準で目的リンクから除外することによってより正確な経路案内が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【図3】本発明の実施形態における隔離道路の判定事例を示す模式図。
【符号の説明】
【0060】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
30…自車位置検出部
31…目的地受付部
32…経路計算部
32a…道路リンク読出部
32b…距離算出部
32c…距離比較部
32d…隔離道路判定部
32e…ノード検出部
32f…目的リンク決定部
33…案内部
34…表示制御部
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…TV受信及び処理部
10…車両情報取得部
11…道路地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
12…入力部(タッチキー制御装置)
13…測位部
M…メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、情報を表示するための表示手段と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶手段と、前記入力手段を介してユーザからの目的地の選択を受け付ける目的地受付手段と、この目的地への最適な経路を計算する経路計算手段と、前記最適な経路へ誘導案内を行う案内手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記経路計算手段は、
前記目的地受付部によって受け付けた目的地近傍の道路リンクを目的リンク候補として複数読み出す道路リンク読出手段と、
前記複数読み出した道路リンクが、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路か否かを判断する隔離道路判定手段と、
隔離道路であると判定されない道路リンクを目的リンクとして設定する目的リンク決定手段と、を備え、
前記目的リンク決定手段によって決定された目的リンクに対して経路計算を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記隔離道路判定手段は、隔離道路であると判定した道路リンクの両端のノードを読出し、これらのノードが分岐点又は属性変化点か否かを判定するものであり、
前記目的リンク決定手段は、前記分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記隔離道路判定手段は、前記分岐点又は属性変化点であると判定されたノードに接続される接続道路リンクが、隔離道路であるか否かを判定するものであり、
前記目的リンク決定手段は、隔離道路でないと判定された前記接続道路リンクに接続されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路計算手段は、前記読み出した道路リンクと前記目的地との距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段において算出された、前記複数読み出した道路リンクすべてについて、一つずつ距離を比較する距離比較手段とを備え、
前記隔離道路判定手段は、前記距離比較手段において比較対象のうち距離が短いと判定された道路リンクについて、処理を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、情報を表示するための表示手段と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶手段と、を備え、前記入力手段を介してユーザからの目的地の選択を受け付ける目的地受付処理と、この目的地への最適な経路を計算する経路計算処理と、前記最適な経路へ誘導案内を行う案内処理と、を実行するナビゲーション装置の制御方法において、
前記経路計算処理は、
前記目的地受付部によって受け付けた目的地近傍の道路リンクを目的リンク候補として複数読み出す道路リンク読出処理と、
前記複数読み出した道路リンクが、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路か否かを判断する隔離道路判定処理と、
隔離道路であると判定されない道路リンクを目的リンクとして設定する目的リンク決定処理と、を実行し、
前記目的リンク決定処理によって決定された目的リンクに対して経路計算を実行するものであることを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項6】
前記隔離道路判定処理は、隔離道路であると判定した道路リンクの両端のノードを読出し、これらのノードが分岐点又は属性変化点か否かを判定するものであり、
前記目的リンク決定処理は、前記分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
前記隔離道路判定処理は、前記分岐点又は属性変化点であると判定されたノードに接続される接続道路リンクが、隔離道路であるか否かを判定するものであり、
前記目的リンク決定処理は、隔離道路でないと判定された前記接続道路リンクに接続されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定するものであることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項8】
前記経路計算処理は、前記読み出した道路リンクと前記目的地との距離を算出する距離算出処理と、
前記距離算出処理において算出された、前記複数読み出した道路リンクすべてについて、一つずつ距離を比較する距離比較処理と、を実行し、
前記隔離道路判定処理は、前記距離比較処理において比較対象のうち距離が短いと判定された道路リンクについて、処理を行うものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項9】
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、情報を表示するための表示手段と、経路探索及び地図表示のための道路地図データを予め格納する記憶手段と、を備えたナビゲーション装置に、前記入力手段を介してユーザからの目的地の選択を受け付させる目的地受付処理と、この目的地への最適な経路を計算させる経路計算処理と、前記最適な経路へ誘導案内を行う案内処理と、を実行させるナビゲーション装置の制御プログラムにおいて、
前記経路計算処理は、
前記目的地受付部によって受け付けた目的地近傍の道路リンクを目的リンク候補として複数読み出す道路リンク読出処理と、
前記複数読み出した道路リンクが、一般道路や道路外施設との往来が制限されている隔離道路か否かを判断する隔離道路判定処理と、
隔離道路であると判定されない道路リンクを目的リンクとして設定する目的リンク決定処理と、を実行させるものであり、
前記目的リンク決定処理によって決定された目的リンクに対して経路計算を実行させることを特徴とするナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項10】
前記隔離道路判定処理は、隔離道路であると判定した道路リンクの両端のノードを読出し、これらのノードが分岐点又は属性変化点か否かを判定させるものであり、
前記目的リンク決定処理は、前記分岐点又は属性変化点でないと判定されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定させるものであることを特徴とする請求項9記載のナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項11】
前記隔離道路判定処理は、前記分岐点又は属性変化点であると判定されたノードに接続される接続道路リンクが、隔離道路であるか否かを判定させるものであり、
前記目的リンク決定処理は、隔離道路でないと判定された前記接続道路リンクに接続されたノードを有する前記道路リンクを、目的リンクとして設定させるものであることを特徴とする請求項10記載のナビゲーション装置の制御プログラム。
【請求項12】
前記経路計算処理は、前記読み出した道路リンクと前記目的地との距離を算出させる距離算出処理と、
前記距離算出処理において算出された、前記複数読み出した道路リンクすべてについて、一つずつ距離を比較させる距離比較処理と、を実行させ、
前記隔離道路判定処理は、前記距離比較処理において比較対象のうち距離が短いと判定された道路リンクについて、処理を行うものであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のナビゲーション装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−42014(P2009−42014A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206095(P2007−206095)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】