説明

ナビゲーション装置、サーバ、及びナビゲーションプログラム

【課題】走行経路を適切に設定する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、目的地の入力を受け付けると、ノードデータを用いて走行経路を探索し、当該走行経路を案内する。ナビゲーション装置は、走行経路を案内している過程で、車両が経路の分岐点で案内した走行経路に進行しようとして中止したことを検出する。このように、一端進行しようとして中止したということは、当該走行経路が進入禁止であったためと考えられるため、ナビゲーション装置は、当該走行経路に対応するリンクに進入禁止の属性を付与してノードデータを更新する。このようなノードデータの更新内容は、次回からの走行経路の探索に反映され、ナビゲーション装置は、より適切な走行経路を案内することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ナビゲーション装置、サーバ、及びナビゲーションプログラムに関し、例えば、車両に走行経路を案内するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置によって車両を誘導することが盛んに行われている。
ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能、GPS(Global Positioning System)衛星やジャイロなどのセンサを用いて自車両の位置を検出する機能、及び目的地までの経路と自車両の現在位置を地図上に表示する機能などを備えている。
【0003】
ナビゲーション装置は、地図上の道路に対応するように構成されたリンクとノードからなるノードデータファイルを記憶しており、これを用いて現在位置から目的地までの走行経路を探索する。
リンクには、例えば、一方通行などの交通規制に関する属性が対応づけられており、ナビゲーション装置は、これら属性を用いて交通規制に適合した走行経路を探索するようになっている。
【0004】
また、例えば、次の特許文献1の「ナビゲーション装置」のように、ユーザの運転により学習を行うものもある。
この技術は、ユーザが探索したルートから逸脱した場合、ナビゲーション装置がその地点を記憶しておき、次回以降はその地点を誘導案内するものである。
【特許文献1】特開2006−64563公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、細街路などの細い道路では、車幅の大きい車両は走行が困難であったり、また、このような道路を含めると道路の数は膨大となるため、これらの全てに対して一方通行などの属性を適切に付与したり、あるいは、属性が変更された場合にこれを更新するのが困難であるという問題があった。
そのため、実際は通行が困難な走行経路を設定してしまう可能性もあった。
【0006】
そこで、本発明は、走行経路を適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載の発明では、車両に走行経路を案内する案内手段と、前記案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する中止検出手段と、前記検出した検出結果を記憶する記憶手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記記憶した検出結果を用いて、前記案内手段が前記分岐点から前記走行経路へ進む経路を案内することを制限する制限手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、目的地までの走行経路を、経路の接続関係を表した経路データにより探索する経路探索手段を具備し、前記案内手段は、前記探索した走行経路を案内し、前記制限手段は、前記分岐点から前記走行経路へ進む経路を、前記経路データによる探索対象外に設定することにより、前記制限を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記記憶した検出結果を所定のサーバに送信する検出結果送信手段を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、他の車両において案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記他の車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知を所定のサーバから受信する通知受信手段を具備し、前記制限手段は、前記案内手段が前記通知に係る分岐点から前記通知に係る走行経路へ進む経路を案内することを制限することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出した検出結果を請求項4に記載のナビゲーション装置から受信する検出結果受信手段と、前記受信した検出結果を用いて、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知を生成する通知生成手段と、前記生成した通知を請求項5に記載のナビゲーション装置に送信する通知送信手段と、を具備したことを特徴とするサーバを提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、車両に走行経路を案内する案内機能と、前記案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する中止検出機能と、前記検出した検出結果を記憶する記憶機能と、をコンピュータで実現するナビゲーションプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、車両が走行経路へ進行しようとして中止したことを検出することにより、当該走行経路が走行困難又は不可な経路であったと推定できる。
請求項2に記載の発明では、検出結果を用いて当該走行経路への案内を制限することができる。
請求項3に記載の発明では、経路データで当該走行経路を探索対象外とすることにより、検出結果を学習することができる。
請求項4に記載の発明では、検出結果をサーバに通知することにより、検索結果を第三者に提供することができる。
請求項5に記載の発明では、他の車両における検出結果を用いて学習することができる。
請求項6に記載の発明では、1の車両による検出結果を他の車両に通知することができ、各車両の検出結果を全車両で共有することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載のナビゲーション機能を発揮するコンピュータプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)実施の形態の概要
ナビゲーション装置は、目的地の入力を受け付けると、ノードデータを用いて走行経路を探索し、車両に当該走行経路を案内する。
ノードデータは、経路の配置をリンクとノードで表したものであって、経路の分岐といった接続関係の他、例えば、進入禁止などの交通規制に関する属性も設定されている。
そして、ナビゲーション装置は、これら属性に適合するような走行経路を探索して設定するようになっている。
【0010】
ナビゲーション装置は、走行経路を案内している過程で、車両が経路の分岐点で案内した走行経路に進行しようとして中止したことを検出する。
このように、一旦進行しようとして中止したということは、当該走行経路が進入禁止であったと考えられるため、ナビゲーション装置は、当該走行経路に対応するリンクに進入禁止の属性を付与してノードデータを更新する。
【0011】
このようなノードデータの更新内容は、次回からの走行経路の探索に反映され、ナビゲーション装置は、より適切な走行経路を案内することができるようになる。
即ち、ナビゲーション装置は、車両がルート通りに走行しようとしたかどうかを判断し、走行しようとしたのに走行しなかったことを記録する。そして、ナビゲーション装置は、該当リンクに進入禁止規制を設定し、次回以降は学習結果を基にルートを設定する。
【0012】
(2)実施の形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置1のシステム構成図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、この図に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50を備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両が何れの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0013】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリュームあるいは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。
つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0014】
また、図示しないが、センサ入力インターフェイス23には、例えば、方向指示器の点灯状態を検出する方向指示器センサ、ハンドルの回転角度を検出するハンドルセンサ、ユーザの視線を検出する視線センサなどを接続することができる。
これらのセンサは、運転者が案内に従って走行経路を進行しようとし、これを中止したことを検出するのに用いられる。
【0015】
GPS受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。
特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、現在位置取得(検出)手段を備えている。
【0016】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0017】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43又はスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0018】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1ROM22は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、目的地までの経路を案内するのに必要な地点情報の検索、及び検索した地点情報を画像表示や音声出力するためにRAM24などに出力したり、地点情報データファイル58などを用いて地点の名称を読みから検索したりするナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0019】
RAM24は、目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、又は情報記憶装置50から読み込まれた地図情報(地点情報も含まれる)を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0020】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。
画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0021】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像や検索結果などを表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
【0022】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、地点情報データファイル58、その他のデータファイル59を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、書き換え可能な記憶媒体であるハードディスク、フラッシュメモリなどで構成されるが、CD−ROM、DVD−ROMなどのROMと併用してもよい。
【0023】
地図データファイル51には、全国道路地図、任意地域の道路地図又は住宅地図等の地図データが記憶されている。
道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路(比較的狭い道路)等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形、及び道路名称等が表示される市街図である。
【0024】
交差点データファイル52には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。
道路データファイル54には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。
【0025】
ノードデータファイル53には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等を表したノードデータが記憶される。
例えば、交差点などの道路の接続点はノードにより表され、接続点の間の道路(即ち道路の内分岐しない領域)はリンクによって表される。このように、ノードデータ経路の接続関係を表した経路データとして機能している。
また、各リンクには、進入禁止や一方通行など、交通規制により走行が制限されるものに関しては、これを表す属性が付与されている。
【0026】
本実施の形態では、当該属性は、直接ノードデータに記憶するように構成したが、道路データファイル54などでリンクに対応して記憶してもよい。
ナビゲーション装置1は、現在位置から目的地までの走行経路を、ノードデータのリンクとノードを辿ることにより探索する。
この際に、ナビゲーション装置1は、属性を参照することにより、進入禁止や一方通行などで通行できないリンクを探索対象外とし、交通規制に則った走行経路を探索し案内する。
【0027】
写真データファイル55には、各種施設や観光地、又は主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データやコンピュータグラフィックス画像データなどが記憶されている。
目的地データファイル56には、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータが記憶されている。
案内地点データファイル57には、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等の案内が必要とされる地点の案内データが記憶されている。
【0028】
地点情報データファイル58は、地点情報を格納したファイルである。地点情報は、POI(Point of Interest)情報とも呼ばれ、例えば、競技場、劇場、レストランやデパートなどの店舗、学校、行政施設、福祉施設、民間会社の本支社や営業所、観光地など、ユーザが経路案内などで興味を持つと考えられる地点の、地点の名称の表示文字列、表示文字列の読み、表示文字列と読みの対応情報、座標、住所、電話番号、その他の事項に関する情報である。地点情報は、検索の対象として機能している。
また、情報記憶装置50には、その他のデータファイル59が記憶されている。
【0029】
以上のように構成されたナビゲーション装置1では、次のようにして運転者が走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する。
例えば、方向指示器センサを用いる場合、ナビゲーション装置1は、運転者が分岐点で案内した走行経路の方向へ方向指示器を点灯させたことを検知して、運転者が案内した方向に進行しようとしたことを検出する。
その後、ナビゲーション装置1は、運転者が方向指示器を消灯、又は反対方向の方向指示器を点灯して案内しない経路へ進行したことを検知して、運転者が案内した走行経路への進行を中止したことを検出する。
【0030】
また、ハンドルセンサを用いる場合、ナビゲーション装置1は、運転者が分岐点で案内した走行経路の方向へハンドルを所定角度以上回したことを検知して、運転者が案内した方向に進行しようとしたことを検出する。
その後、ナビゲーション装置1は、運転者がハンドルを戻すか、他の方向に回すなどして案内しない経路へ進行したことを検知して、運転者が案内した走行経路への進行を中止したことを検出する。
【0031】
視線センサを用いる場合、ナビゲーション装置1は、運転者が分岐点で案内した走行経路の方向へ視線を所定量(例えば、視線の位置を当該視線が維持された時間で重みづけして平均したもの)移動したことを検知して、運転者が案内した方向に進行しようとしたことを検出する。
その後、ナビゲーション装置1は、運転者が視線を走行経路からそらし、案内しない経路へ進行したことを検知して、運転者が案内した走行経路への進行を中止したことを検出する。
【0032】
また、ナビゲーション装置1は、ユーザが案内した走行経路に進入したことにより運転者が案内した方向に進行しようとしたことを検出し、その後、後退、又はUターンを行って他の経路へ進行したことを検知して、運転者が案内した走行経路への進行を中止したことを検出するように構成することもできる。
更に、分岐点で直進を案内したにも関わらず車両が分岐点で右左折を行った場合、分岐点で所定時間停車した後に右左折した場合に、ユーザが走行経路へ進行しようとして中止したと判断するように構成することもできる。
【0033】
ナビゲーション装置1は、ある走行経路を案内して、車両がその走行経路へ進行しようとして中止した場合、その回数を走行経路ごとに計数している。
そして、その回数が所定回数(例えば、3回)に達すると、ナビゲーション装置1は、次回にその走行経路を案内しないように、ノードデータファイル53において当該走行経路のリンクの属性を変更する。
【0034】
なお、本実施の形態では、所定の回数に達したことを条件としてリンクの属性を変更したが、例えば、1回で属性を変更したり、あるいは、例えば、ユーザに「この道は通れませんか?」などと問い合わせて、ユーザが「通れません」と回答した場合に変更するなど、各種の条件が適用可能である。
【0035】
図2(a)は、ナビゲーション装置1が車両を案内する例を説明するための図である。
この例では、ナビゲーション装置1は、車両65に搭載されており、矢線71の方向に進行し、交差点75(経路の分岐点)で矢線72の方向に右折するように走行経路を案内している。
このように、ナビゲーション装置1は、走行経路を案内した後、車両65が、図2(b)の車両65aのように、矢線72で案内した走行経路に進行しようとしてこれを中止し、車両65bのように、走行経路とは異なる経路へ進行したとする。
【0036】
この場合、ナビゲーション装置1は、図3(a)のようにリンクの属性を変更する。
即ち、ノードデータでは、交差点75において、ノード81を交点としてリンク83〜86が設定されている。
リンク83〜86は、交差点75で交差する各経路に対応していおり、図2(a)で示した案内は、リンク86からリンク85へ走行するように案内するものである。
【0037】
車両65(図示せず)は、リンク86からリンク85へ進行しようとして中止し、リンク83へ進行したため、ナビゲーション装置1は、ノード81からリンク85へは進行できないという属性をリンク85に付与する。
これは、例えば、リンク85にノード81から進入禁止のフラグを追加することにより行うことができる。
図3(a)では、このフラグを進入禁止マーク87で模式的に表している。
【0038】
車両65はノード81からリンク85へ進行しようとして中止したため、例えば、リンク85の経路は交差点75において進入禁止になっていることが推定できる。
このため、ナビゲーション装置1は、この推定により学習し、交差点75からこの経路に進行しないようにリンク85の属性を変更するのである。
この場合、リンク85にノード81から進行する方向には進行できないため、ナビゲーション装置1は、ノードデータの更新後は、リンク85をノード81の方向へ進行できる一方通行路と解釈する。
【0039】
このように、ノードデータファイル53でリンクの属性が変更されると、当該変更は次回の経路探索に反映される。
図3(a)の場合は、ノード81からリンク85への進行ができないため、ナビゲーション装置1は、図3(b)に示したように、例えば、車両65に矢線71で示した経路を走行して交差点75を通過し、矢線73で示した経路へ直進するように走行経路を案内する。
【0040】
次に、図4のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置1が行う走行経路の案内処理手順について説明する。
まず、ナビゲーション装置1は、ユーザから目的地の入力を受け付けると共に、GPS受信装置14などを用いて現在位置を取得する。
そして、ナビゲーション装置1は、ノードデータファイル53のノードデータを参照し、現在位置から目的地までの走行経路を探索する(ステップ5)。
このように、ナビゲーション装置1は、目的地までの走行経路を、経路の接続関係を表した経路データ(ノードデータ)により探索する経路探索手段を備えている。
【0041】
そして、ナビゲーション装置1は、走行経路の案内を実行する(ステップ10)。
このように、ナビゲーション装置1は、車両に走行経路を案内する案内手段を備えている。
次に、ナビゲーション装置1は、車両が目的地に到着したか否かを判断し(ステップ15)、到着した場合は(ステップ15;Y)、案内処理を終了する。
車両が目的地に到着していない場合(ステップ15;N)、ナビゲーション装置1は、車両が分岐点に到達したか否かを判断する(ステップ20)。
【0042】
車両が分岐点に到達していない場合(ステップ20;N)、ナビゲーション装置1は、ステップ10に戻って引き続き走行経路の案内を継続する。
車両が分岐点に到達した場合(ステップ20;Y)、ナビゲーション装置1は、車両が案内した走行経路に進行しようとしたか否かを判断する(ステップ25)。
車両が案内した走行経路に進行しようとしなかった場合(ステップ25;N)、ナビゲーション装置1は、ステップ5に戻り、車両が進行しようとしている経路から目的地に至る走行経路の探索を行う。
【0043】
車両が案内した走行経路に進行しようとした場合(ステップ25;Y)、ナビゲーション装置1は、車両が進行を中止したか否かを判断する(ステップ30)。
このように、ナビゲーション装置1は、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、車両65が当該案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する中止検出手段を備えている。
進行の中止を検出しなかった場合(ステップ30;N)、ナビゲーション装置1は、ステップ10に戻って走行経路の案内を継続する。
【0044】
一方、進行の中止を検出した場合(ステップ30;Y)、ナビゲーション装置1は、検出結果をRAM24(図1)などに出力して記憶させる(ステップ35)。
この検出結果は、進行を中止したノードを特定する情報と、進行しようとした方向、及びその日時などから構成されている。
このように、ナビゲーション装置1は、中止検出手段で検出した検出結果を出力する出力手段を備えている。
【0045】
次に、ナビゲーション装置1は、記憶されている検出結果を用いて、ノードデータファイル53を更新し(ステップ40)、ステップ5に戻って、車両が進行した経路から目的地に至る走行経路を探索する。
ノードデータファイル53の更新は、検出結果に記録されているノードに対して、検出結果に記録されている方向に進行できない旨の属性を付与することにより行われる。
【0046】
このようにして更新されたノードデータファイル53の変更は、次回の経路探索の際に反映される。
より詳細には、次回の経路探索では、例えば、進入禁止となったリンクを探索対象外とすることにより走行経路に設定せず、これによってナビゲーション装置1は、当該走行経路に車両を案内することを制限する。
このように、ナビゲーション装置1は、RAM24などに出力した検出結果を用いて、案内手段が当該分岐点から当該走行経路へ進む経路を案内することを制限する制限手段を備えており、当該制限手段は、当該分岐点から当該走行経路へ進む経路を、経路データ(ノードデータ)による探索対象外に設定することにより、当該制限を行う。
【0047】
以上に説明した実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)ナビゲーション装置1は、センサなどを用いることにより、車両が分岐点において、走行経路に進行しようとして中止したことを検出することができる。
(2)ナビゲーション装置1は、車両が分岐点で走行経路に進行しようとして中止した場合は、当該走行経路が進入禁止となるようにノードデータファイル53を更新することができる。
(3)ノードデータファイル53の更新結果は、次回からの経路探索に反映されるため、更新を重ねるごとに、経路探索の精度を高めることができる。
【0048】
(変形例1)
本変形例は、各車両の検出結果をサーバで収集して集計した後、その結果をサーバから各車両に配信することにより、各車両の検出結果を全体の車両で共有するものである。
図5は、本変形例に係る情報配信システムの構成の一例を示した図である。
車両65、65、・・・(以下、車両65)は、複数台存在し、各車両65は、それぞれナビゲーション装置1を搭載している。ナビゲーション装置1は、データ送受信装置16(図1)を用いて、基地局3と通信することができる。
【0049】
基地局3は、例えば、携帯電話網の基地局であり、図では1台だけ示してあるが、実際は、複数台が携帯電話の通信エリアを網羅するように通信エリアに渡って分布している。
そして、車両65のナビゲーション装置1は、例えば、最寄りの基地局3と通信するように、移動しながら通信する基地局3を切り替えていく。
【0050】
ネットワーク4は、携帯電話網やインターネットなどで構成された通信ネットワークであり、基地局3とサーバ5を接続している。
このように、サーバ5とナビゲーション装置1は、ネットワーク4と基地局3を介して通信することができる。
サーバ5は、ナビゲーション装置1と通信してナビゲーション装置1から検出結果の送信を受け付け、これを記憶する。
【0051】
そして、サーバ5は、記憶したこれら検出結果を集計して通知情報を生成し、これを全てのナビゲーション装置1に送信する。
通知情報は、ノードと、当該ノードに例えば進入禁止などの属性を設定したものであり、各ナビゲーション装置1の検出結果を含んだものとなっている。
【0052】
ナビゲーション装置1は、サーバ5から通知情報を受信すると、これを用いてノードデータファイル53を更新する。
即ち、通知情報では、ノードに対して属性が付与されているので、ナビゲーション装置1は、ノードデータファイル53において、通知情報に記録されているノードに対応するノードを検索し、検索したノードの属性を通知情報に記録されている属性に変更することにより更新する。
【0053】
例えば、通知情報であるノードの属性がある方向へ進入禁止となっていた場合、ナビゲーション装置1は、当該ノードに対応するノードをノードデータファイル53で検索し、検索したノードの属性を当該方向へ進入禁止に設定する。
このように、通知情報を介して、ナビゲーション装置1は、他の車両65の学習結果を学習することができる。
【0054】
図6は、サーバ5のハードウェア的な構成の一例を示した図である。
サーバ5は、CPU121、ROM122、RAM124、情報記憶装置123、通信インターフェイス125などがバスラインで接続されて構成されている。
CPU121は、例えば、情報記憶装置123、ROM122、RAM124などに記憶されたプログラム、パラメータ、及びデータなどを用いて各種の情報処理を行う中央処理装置であって、本変形例では、ナビゲーション装置1から検出結果の受信、通知情報の生成、通知情報のナビゲーション装置1への送信などを行う。
【0055】
ROM122は、読み取り専用メモリであって、サーバ5が動作するための基本的なプログラムやパラメータなどが記憶されている。
RAM124は、読み書きが可能なメモリであって、CPU121が情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
【0056】
情報記憶装置123は、例えば、ハードディスクなどの大容量の記憶媒体を備えており、CPU121が、ナビゲーション装置1から検出結果の受信、通知情報の生成、通知情報のナビゲーション装置1への送信などを行うためのコンピュータプログラムや、ナビゲーション装置1から受信した検出結果を蓄積するためのデータベースなどが記憶されている。
【0057】
図7は、ナビゲーション装置1がサーバ5に検出結果を送信する手順を説明するためのフローチャートである。
ナビゲーション装置1は、図4に示した案内処理を終了すると(ステップ50)、サーバ5と通信回線を確立し、今回の案内で検出した検出結果をサーバ5に送信する(ステップ55)。
このように、ナビゲーション装置1は、RAM24などに出力した検出結果を所定のサーバ(サーバ5)に送信する検出結果送信手段を備えている。
【0058】
サーバ5は、ナビゲーション装置1から検出結果を受信し(ステップ60)、これを情報記憶装置123(図6)のデータベースに記憶する。
このように、サーバ5は、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出した検出結果をナビゲーション装置1から受信する検出結果受信手段を備えている。
【0059】
図8は、サーバ5がナビゲーション装置1に通知情報を送信する手順を説明するためのフローチャートである。
サーバ5は、データベースに記憶した検出結果を集計して(ステップ70)通知情報を生成し、情報記憶装置123に記憶する(ステップ75)。
サーバ5は、この通知情報の集計を、例えば、1日に1回程度バッチ処理にて行う。
このように、サーバ5は、各ナビゲーション装置1から受信した検出結果を用いて、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、当該案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知(通知情報)を生成する通知生成手段を備えている。
【0060】
次に、サーバ5は、記憶しておいた通知情報をナビゲーション装置1に対して送信する(ステップ80)。
このように、サーバ5は、生成した通知(通知情報)を各ナビゲーション装置1に送信する通知送信手段を備えている。
この送信処理は、サーバ5からナビゲーション装置1に接続して通信回線を確立して行ってもよいし、あるいは、ナビゲーション装置1がサーバ5に接続して通信回線を確立した際に行ってもよい。
【0061】
後者の場合、例えば、ナビゲーション装置1は電源がオンとなった場合に自動的にサーバ5に接続して、通知情報をサーバ5からダウンロードするように構成することができる。
又は、例えば、ナビゲーション装置1が検出結果をサーバ5に送信した際に、サーバ5が回線の接続を維持したままナビゲーション装置1に通知情報を送信するように構成することもできる。
【0062】
ナビゲーション装置1は、サーバ5から通知情報を受信し、これを用いてノードデータファイル53を更新する(ステップ85)。
このように、ナビゲーション装置1は、他の車両において案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記他の車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知(通知情報)を所定のサーバ(サーバ5)から受信する通知受信手段を備えている。
また、ナビゲーション装置1は、ノードデータファイル53を更新することにより、通知に係る分岐点から当該通知に係る走行経路へ進む経路を案内することを制限している。
【0063】
(変形例2)
先に説明した実施の形態、及び変形例1では、ナビゲーション装置1がノードデータファイル53を有し、ナビゲーション装置1が経路探索、及び走行経路の案内を行ったが、これらの機能をサーバ5が行うように構成することもできる。
この場合、サーバ5は、ノードデータファイル53を含め、図1の情報記憶装置50に記憶してあるデータファイルを記憶している。
【0064】
ナビゲーション装置1は、現在位置や目的地、及び現在位置や車速などの車両の状態をサーバ5に送信し、サーバ5が経路探索や車両の案内を行う。
また、ナビゲーション装置1は、例えば、方向指示器センサ、ハンドルセンサ、視線センサなどの検出値をサーバ5に送信するようになっており、サーバ5は、当該検出値を用いて、車両65が案内した走行経路に進行しようとして中止したことを検出する。
そして、サーバ5は、当該検出結果を用いてノードデータを更新する。
更新後のノードデータは、全車両65で共有されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】車両の案内例などを説明するための図である。
【図3】リンクの属性の付与などを説明するための図である。
【図4】走行経路案内処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】情報配信システムの構成の一例を示した図である。
【図6】サーバのハードウェア的な構成の一例を示した図である。
【図7】検出結果の送信手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】通知情報の送信手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 ナビゲーション装置
3 基地局
4 ネットワーク
5 サーバ
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
23 センサ入力インターフェイス
40 入出力装置
50 情報記憶装置
53 ノードデータファイル
65 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に走行経路を案内する案内手段と、
前記案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する中止検出手段と、
前記検出した検出結果を記憶する記憶手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記記憶した検出結果を用いて、前記案内手段が前記分岐点から前記走行経路へ進む経路を案内することを制限する制限手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
目的地までの走行経路を、経路の接続関係を表した経路データにより探索する経路探索手段を具備し、
前記案内手段は、前記探索した走行経路を案内し、
前記制限手段は、前記分岐点から前記走行経路へ進む経路を、前記経路データによる探索対象外に設定することにより、前記制限を行うことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記記憶した検出結果を所定のサーバに送信する検出結果送信手段を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
他の車両において案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記他の車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知を所定のサーバから受信する通知受信手段を具備し、
前記制限手段は、前記案内手段が前記通知に係る分岐点から前記通知に係る走行経路へ進む経路を案内することを制限することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出した検出結果を請求項4に記載のナビゲーション装置から受信する検出結果受信手段と、
前記受信した検出結果を用いて、案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記案内した走行経路へ進行しようとして中止した旨の通知を生成する通知生成手段と、
前記生成した通知を請求項5に記載のナビゲーション装置に送信する通知送信手段と、
を具備したことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
車両に走行経路を案内する案内機能と、
前記案内した走行経路が他の経路と分岐する分岐点で、前記車両が前記案内した走行経路へ進行しようとして中止したことを検出する中止検出機能と、
前記検出した検出結果を記憶する記憶機能と、
をコンピュータで実現するナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−42186(P2009−42186A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210388(P2007−210388)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】