説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、プログラム

【課題】ユーザが目的地を通り過ぎてしまった場合、その目的地と現在位置との位置関係をユーザに視覚的に把握させることを可能にする。
【解決手段】例えば、ナビゲーション装置を搭載した車両が目的地を通過した場合、ナビゲーション装置は、経路および地図に重畳させて鳥瞰図をディスプレイに表示する。このような鳥瞰図の重畳表示により、ナビゲーション装置では、車両の現在位置と目的地との位置関係をユーザに視覚的に把握させることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(例えば、車両)の多くには、目的地周辺までユーザを誘導するナビゲーション装置が搭載されている。このナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)衛星との無線通信により導出される位置情報や、ジャイロセンサによる方向情報に基づいて車両の現在位置を特定し、目的地周辺までの経路をディスプレイへ表示したり、音声により案内を行うことで、ユーザを誘導する。
【0003】
ここで、ユーザは、目的地の正確な場所(例えば、ビル名や目印となるもの)が分からないため、ナビゲーション装置を利用するのであるが、その正確な場所が分からない故、気づかないうちに目的地を通り過ぎてしまうことがある。
【0004】
このような場合を想定し、通り過ぎた目的地までの経路をディスプレイに再表示するナビゲーション装置がある。しかし、経路が再表示されたとしても、既に通り過ぎた目的地がディスプレイの表示領域外となる場合がある(ディスプレイに表示されない場合がある)。このため、ユーザは、通り過ぎた目的地と現在位置との位置関係を視覚的に把握することができず、再び、目的地を通り過ごしてしまうことがあった。
【0005】
これを解消すべく、特許文献1では、現在位置が目的地に近づいている場合と、遠ざかっている場合とで警告音を変えることにより、目的地を通り過ぎたことをユーザに報知可能なカーナビゲーションシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2578720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のナビゲーションシステムでは、目的地を通り過ぎたことは報知によってユーザに認識させることができる。しかし、通り過ぎた目的地と現在位置との位置関係をユーザに把握させることができない。このため、ユーザが再び、目的地を通り過ごしてしまうといったおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ユーザが目的地を通り過ぎてしまった場合、その目的地と現在位置との位置関係をユーザに把握させることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るナビゲーション装置は、
移動体に搭載され、
目的地を記憶する目的地記憶部と、
前記移動体の現在位置を特定する移動体位置特定部と、
前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置から前記目的地記憶部に記憶された目的地までの経路を地図と共にディスプレイへ表示する経路表示部と、
前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置が、前記目的地記憶部に記憶された目的地を通過したかを判定する通過判定部と、
前記通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含み、且つ、前記現在位置の上空から前記目的地を見下ろした鳥瞰図を、前記経路表示部により前記経路および地図の表示が行われている前記ディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示部と、
を備えていることを特徴とする。
【0010】
前記通過判定部は、例えば、
前記目的地記憶部に記憶された目的地と前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置との直線距離を算出する直線距離算出部と、
前記直線距離算出部により算出された前記直線距離が、最短距離となり、その後、増加した場合に、前記現在位置が前記目的地を通過したと判定する距離通過判定部と、
を備えていてもよい。
【0011】
例えば、前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置が、前記目的地記憶部に記憶された目的地を起点とする所定距離内に存在するかを判定する距離内判定部と、
前記移動体が停止状態であるかを判定する停止判定部と、
を備え、
前記距離通過判定部は、例えば、
前記距離内判定部により前記所定距離内に前記現在位置が存在すると判定され、且つ、前記停止判定部により前記移動体が停止状態でないと判定された場合に、前記直線距離算出部により算出された前記直線距離が、前記最短距離となったかの判定を開始する判定開始部を備えていてもよい。
【0012】
前記重畳表示部は、例えば、
前記距離通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記直線距離算出部により算出される前記直線距離が増加するに連れて、前記ディスプレイに重畳表示される前記鳥瞰図の俯角を減少させる俯角調整手段を備えていてもよい。
【0013】
例えば、前記経路表示部により前記ディスプレイに表示されている前記地図の表示モードが、前記移動体の進行方向を前記ディスプレイの上側にして表示するヘディングアップモードであるかを判定する第1のモード判定部を備え、
前記重畳表示部は、例えば、
前記第1のモード判定部により前記ヘディングアップモードであると判定された場合には、前記鳥瞰図を、前記経路表示部により表示されている前記地図よりも小さい画面で、且つ、前記ディスプレイの下部に重畳表示する画面下部重畳表示部を備えていてもよい。
【0014】
前記画面下部重畳表示部は、例えば、
前記目的地記憶部に記憶された目的地が、前記移動体の進行方向に対して左側に位置するか右側に位置するかを判定する左右判定部と、
前記左右判定部により前記目的地が前記左側に位置すると判定された場合は、前記ディスプレイ下部の右側に前記鳥瞰図を重畳表示する一方、前記目的地が前記右側に位置すると判定された場合には、前記ディスプレイ下部の左側に前記鳥瞰図を重畳表示する左右切換表示部と、
を備えていてもよい。
【0015】
例えば、前記経路表示部により前記ディスプレイに表示されている前記地図の表示モードが、前記移動体の上空から進行方向に見える景色を俯瞰図形式で模擬した俯瞰図モードであるかを判定する第2のモード判定部を備え、
前記重畳表示部は、例えば、
前記第2のモード判定部により前記俯瞰図モードであると判定された場合には、前記鳥瞰図を、前記経路表示部により表示されている前記地図よりも小さい画面で、且つ、前記ディスプレイの上部に重畳表示する画面上部重畳表示部を備えていてもよい。
【0016】
前記重畳表示部は、例えば、
前記距離通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定され、且つ、前記距離内判定部により前記所定距離内に前記現在位置が存在しないと判定された場合に、前記ディスプレイに重畳表示されている前記鳥瞰図の表示を停止する表示停止部を備えていてもよい。
【0017】
また、本発明の第2の観点に係るナビゲーション方法は、
移動体の現在位置が目的地を通過したかを判定する通過判定工程と、
前記通過判定工程により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含む地図を、前記現在位置から目的地までの経路および地図が表示されているディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示工程と、
を含む。
【0018】
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
移動体の現在位置が目的地を通過したかを判定する通過判定機能と、
前記通過判定機能により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含む地図を、前記現在位置から目的地までの経路および地図が表示されているディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示機能と、
を実現させるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザが目的地を通り過ぎてしまった場合、その目的地と現在位置との位置関係をユーザに視覚的に把握させることを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すナビゲーション装置のメイン処理のフローチャートである。
【図3】図1に示すナビゲーション装置の重畳表示処理のフローチャートである。
【図4】車両、目的地、閾値および最小直線距離の関係を示す図である。
【図5】図1に示すナビゲーション装置の目的地通過後におけるディスプレイ表示を示す図である(ヘッドアップモード時)。
【図6】図1に示すナビゲーション装置の目的地通過後におけるディスプレイ表示を示す図である(俯瞰図モード時)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態のナビゲーション装置1の構成を図1を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、情報処理部2と、位置検出部3と、情報記憶部4と、ユーザインターフェイス部5と、を備え、車両、船舶等の移動体に搭載されるものである。なお、以後、ナビゲーション装置1は車両に搭載されているものとして説明を行う。
【0023】
情報処理部2は、位置検出部3、情報記憶部4およびユーザインターフェイス部5から送信された各種情報を受信し、その受信した情報に処理を施して、その処理後の情報を情報記憶部4やユーザインターフェイス部5へ送信するものである。
【0024】
情報処理部2は、演算装置21と、センサインターフェイス22と、通信インターフェイス23と、画像音声処理装置24と、これらを相互に接続するバスライン等の通信回路を備える。
【0025】
演算装置21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、センサインターフェイス22や通信インターフェイス23を介して受信した各種情報を利用して、演算処理(例えば、後述するメイン処理(図2))を実行する装置である。
【0026】
センサインターフェイス22は、位置検出部3からの情報をバスラインを介して受信し、演算装置21に適宜供給するインターフェイスである。通信インターフェイス23は、情報記憶部4およびユーザインターフェイス部5との相互通信をバスラインを介して行うインターフェイスである。画像音声処理装置24は、スピーカ51から出力される音声やディスプレイ52に表示される情報を処理する装置である。
【0027】
位置検出部3は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置や車速、道路情報を検出するものであり、GPSセンサ31と、ジャイロセンサ32と、速度センサ33と、道路情報受信センサ34と、を備える。
【0028】
GPSセンサ31は、車両の現在位置を座標情報(例えば、緯度および経度からなる情報)で示すセンサである。ジャイロセンサ32は、車両の角度や角速度を検出するセンサである。速度センサ33は、車両の速度を検出するセンサである。道路情報受信センサ34は、道路状況を示す情報を受信するセンサである。
【0029】
情報記憶部4は、ディスプレイ52に表示される地図やユーザが設定した目的地を記憶するものであり、地図情報記憶装置41と、目的地記憶メモリ42と、を備える。
【0030】
地図情報記憶装置41は、地図、道路標識、信号、交差点名称、著名な建物等の指標、メイン処理(図2)で使用する閾値Rなどを記憶する装置である。なお、地図情報記憶装置41に記憶される地図は、通常のナビゲーションや、車両の上空(例えば、車両から30mの高さ)から進行方向に見える景色を俯瞰図形式で表示する場合や、ユーザが設定した目的地を車両が通過した際に、その目的地を車両の上空から見下ろした鳥瞰図を表示する場合に、演算装置21が使用する地図である。また、地図は、緯度、経度、高度情報を含んでいる。更に、地図は、主要な建物等を立体的に表示させるために必要となる各情報を含んでいる。目的地記憶メモリ42は、ユーザにより設定された目的地の座標情報を記憶するメモリである。
【0031】
ユーザインターフェイス部5は、ユーザにより指示された操作を受け付けると共に、ユーザへ情報を提供するインターフェイスであり、スピーカ51と、ディスプレイ52と、コントロール装置53と、を備える。
【0032】
スピーカ51は、ユーザが必要とする情報を音声や電子音で出力するものである。ディスプレイ52は、現在位置から目的地までの経路や地図等を表示するものである。コントロール装置53は、ユーザからの設定変更や目的地設定を受け付ける装置である。
【0033】
次に、図1に示す構成を有するナビゲーション装置1の動作を説明する。
【0034】
コントロール装置53を用いてユーザが目的地を設定すると、演算装置21は、その目的地の座標情報を、地図情報記憶装置41に記憶された地図から特定して、目的地記憶メモリ42に記憶する。その後、演算装置21は、現在位置の座標情報、目的地の座標情報、および、地図情報記憶装置41に記憶された地図を用いて、現在位置から目的地までの経路を算出し、目的地までの経路誘導を開始する。なお、経路誘導では、演算装置21は、道路情報受信センサ34で受信した道路情報を用いて、渋滞エリアや工事エリアを検出すると共に、スピーカ51を用いて、検出した内容をユーザへ報知する。
【0035】
経路誘導開始後、演算装置21は、経路誘導と並行して、図2に示すメイン処理を実行する。
【0036】
このメイン処理では、まず、演算装置21は、GPSセンサ31が取得した現在位置と目的地記憶メモリ42に記憶した目的地の座標情報とから、車両の現在位置と目的地との直線距離Lを算出する(ステップS1)。次に、演算装置21は、算出した直線距離Lが、地図情報記憶装置41に記憶されている閾値R以下であるかを判定する(ステップS2)。
【0037】
ここで、演算装置21が算出した直線距離Lと閾値Rとの関係について、図4を参照して説明する。まず、閾値Rは、目的地101を中心とする半径Rの円周上を示している。図4に示すように、道路100上を走行する車両102の現在位置が目的地101を中心とする半径Rの円内である場合には、演算装置21が算出する直線距離Lは閾値R以下となる。一方、車両102の現在位置が半径Rの円外である場合には、演算装置21が算出する直線距離Lは閾値Rを超える。
【0038】
なお、図4中の直線Lは、車両102に搭載されたナビゲーション装置1と目的地101までの直線距離を示しており、演算装置21は、この直線距離をステップS1で算出する。また、補足ではあるが、図4中の符号103は、中央分離線を示しており、符号104は、路側帯を示している。
【0039】
図2の説明に戻る。演算装置21は、算出した直線距離Lが閾値R以下である場合には(ステップS2:Yes)、車両102が目的地101周辺に存在すると判定し、GPSセンサ31と速度センサ33との情報から車両102が停止したか否かを判定する(ステップS4)。
【0040】
具体的には、演算装置21は、GPSセンサ31が取得する座標情報に変化がなく、且つ、速度センサ33が取得する車速がゼロである場合には、車両102が目的地101周辺で停車したと判定して(ステップS4:Yes)、メイン処理を終了する。
【0041】
一方、演算装置21は、GPSセンサ31が取得する座標情報に変化があるか、或いは速度センサ33が取得する車速がゼロでない場合には、車両102が走行中であると判定して(ステップS4:No)、車両102が、目的地101を通過した後、目的地101から離れているかを判定する(ステップS5)。具体的には、演算装置21は、ステップS1で算出される直線距離Lを演算装置21内のRAMに順次記憶し、その記憶した直線距離Lが、最小値となった後、増加しているかを判定する(ステップS5)。
【0042】
このように、ステップS5では、演算装置21は、ステップS1で算出した直線距離Lが、最小値となった後、増加しているかを判定することにより、車両102が目的地101を通過したか否かを判定する。よって、演算装置21は、車両102の目的地101通過を検出することができる。
【0043】
演算装置21は、ステップS1で算出した直線距離Lが、最小値となった後に増加してることが未だ検出されない場合、具体的には、車両102が目的地101を未だ通過していない場合、或いは、車両102が目的地101に最接近した状態である場合には、ステップS1へ戻る(ステップS5:No)。
【0044】
一方、演算装置21は、ステップS1で算出した直線距離Lが、最小値となった後、増加している場合(ステップS5:Yes)、車両102が目的地101を通過したと判定して、図3に詳細を示す重畳表示処理を実行する(ステップS6)。
【0045】
ここで、重畳表示処理の説明の前に、発明の理解を容易にするため、重畳表示処理が実行された場合のディスプレイ52の表示内容について、図5および図6を参照して説明する。なお、図5では、ナビゲーション装置1の地図表示モードが、車両102の進行方向をディスプレイ52の上側にして表示するヘディングアップモードである場合を図示している。また、図6では、ナビゲーション装置1の地図表示モードが、車両102の上空から進行方向に見える景色を俯瞰図形式で模擬した俯瞰図モードである場合を図示している。ユーザは、コントロール装置53を用いることで、ヘディングアップモード、俯瞰図モードの切り換えを行うことができる。
【0046】
演算装置21は、重畳表示処理を実行すると、図5または図6に示すように、ディスプレイ52に既に表示されている基本情報(具体的には、目的地101に対応する設定目的地61、車両102の現在位置に対応する車両位置62、道路縁情報63、および、経路64)に加えて、鳥瞰図521を生成して子画面としてディスプレイ52へ表示する。
【0047】
この鳥瞰図521は、通過した設定目的地61と車両位置62とを含み、且つ、車両位置62の前方(進行方向)上空から設定目的地61を見下ろした模式図である。
【0048】
ここで、重畳表示処理を図3を参照して説明する。この処理では、まず、演算装置21は、ステップS1で算出した直線距離Lが閾値Rの1/3以下であるかを判定する(ステップS10)。演算装置21は、前述の直線距離Lが閾値Rの1/3以下であると判定した場合には(ステップS10:Yes)、鳥瞰図521の俯角を30度に設定し、設定した俯角で且つ画角内に目的地と車両が入って所定の縮尺となるように視点および画角を設定し、画像音声処理装置24を用いて鳥瞰図521を生成する(ステップS11)。
【0049】
一方、演算装置21は、ステップS10でNoと判定した場合、前述の直線距離L(現在位置と目的地との直線距離)が閾値Rの2/3以下であるかを判定する(ステップS12)。演算装置21は、前述の直線距離Lが閾値Rの2/3以下であると判定した場合には(ステップS12:Yes)、鳥瞰図521の俯角を25度に設定し、設定した俯角で且つ画角内に目的地と車両が入って所定の縮尺となるように視点および画角を設定し、画像音声処理装置24を用いて鳥瞰図521を生成する(ステップS13)。
【0050】
一方、演算装置21は、ステップS12でNoと判定した場合には、鳥瞰図521の俯角を20度に設定し、設定した俯角で且つ画角内に目的地と車両が入って所定の縮尺となるように視点および画角を設定し、画像音声処理装置24を用いて鳥瞰図521を生成する(ステップS14)。なお、ステップS11,S13,S14の処理においては、演算装置21は、鳥瞰図521の俯角を変更するのみで、鳥瞰図521の縮尺は変更しない(固定とする)。
【0051】
ステップS10〜S14の処理で示すように、演算装置21は、ステップS1で算出した直線距離Lが伸びるに連れて、即ち、現在位置と目的地とが離れるに連れて、鳥瞰図521の俯角を減少させることで、設定目的地61と車両位置62とを鳥瞰図521へ確実に表示する。これにより、ユーザは、現在位置と目的地との位置関係を視覚的に把握することができる。
【0052】
演算装置21は、ステップS11,S13,S14のいずれかの実行後、地図表示モードがヘディングアップモードであるかを判定する(ステップS15)。演算装置21は、地図表示モードがヘディングアップモードであると判定した場合には(ステップS15:Yes)、設定目的地61が進行方向に対して右側にあるかを判定する(ステップS16)。演算装置21は、設定目的地61が進行方向に対して右側にあると判定した場合には(ステップS16:Yes)、図5に示すように、ディスプレイ52の左下に鳥瞰図521を表示する(ステップS17)。
【0053】
また、演算装置21は、設定目的地61が進行方向に対して右側にないと判定した場合(ステップS16:No)、設定目的地61が進行方向に対して左側にあると判定し、ディスプレイ52の右下に鳥瞰図521を表示する(ステップS18)。
【0054】
なお、演算装置21は、地図表示モードがヘディングアップモードでないと判定した場合には(ステップS15:Yes)、地図表示モードは俯瞰図モードであると判定し、図6に示すように、ディスプレイ52の左上に鳥瞰図521を表示する(ステップS19)。
【0055】
演算装置21は、ステップS17〜S19のいずれかの処理実施後、重畳表示処理を終了する。なお、ステップS11,S13,S14で行われる鳥瞰図521の生成(更新)に使用される情報は、経路誘導によって更新が行われる基本情報の情報と同期したものが用いられる。この鳥瞰図521や俯瞰図モード時に表示俯瞰図を生成する際、演算装置21は、ジャイロセンサ32を用いて車両102の進行方向を検出し、視点の向きを決定する。
【0056】
上述した通り、ステップS15:Yes〜S19の一連の処理により、演算装置21は、ユーザへ提供する情報の重要度が低い領域に、言い換えれば、ユーザが必要とする情報(例えば、設定目的地61や経路64)の表示を妨げない領域に、鳥瞰図521を重畳表示する。よって、ナビゲーション装置1によれば、ディスプレイ52を有効活用することができる。
【0057】
また、鳥瞰図521はディスプレイ52へ重畳表示されるので、車両102が目的地101を通過した場合に、ディスプレイ52の全画面に鳥瞰図521を表示するナビゲーション装置と比較して、ユーザへ提供する情報の著しい変化を防止することができる。
【0058】
図2の説明に戻る。演算装置21は、ステップS6の実行後、再び、ステップS1の処理を実行し、ステップS2の判定を実行する。演算装置21は、算出した直線距離Lが閾値Rを超えていると判定した場合には(ステップS2:Yes)、車両102が目的地101周辺に存在しないと判定し、ディスプレイ52に、鳥瞰図521が表示されていればその鳥瞰図521を非表示とし、鳥瞰図521が表示されていなければその状態を維持する(ステップS3)。その後、演算装置21は、再び、ステップS1以降の処理を実行し、車両102が目的地101周辺で停車するまでメイン処理を実行する。
【0059】
このように、演算装置21は、車両102と目的地101との直線距離Lが閾値Rを超えていれば(車両102が目的地101から直線距離で閾値Rを超えて離れていれば)、鳥瞰図521の重畳表示を行わない。よって、ナビゲーション装置1によれば、ユーザが必要とする状況下で適切に、鳥瞰図521の重畳表示を行うことができる。
【0060】
また、演算装置21は、ステップS2,S4の処理から明らかな通り、車両102と目的地101との直線距離Lが閾値R以下となり、且つ、車両102が走行中である場合に、即ち、車両102が目的地101を通過するおそれが発生した場合に、ステップS5の判定を実行する。よって、常時に亘ってステップS5の判定を行うナビゲーション装置と比較して、演算装置21の処理負担を軽減することができる。
【0061】
上述した通り、本実施形態のナビゲーション装置1は、車両102が目的地101を通過した場合に鳥瞰図521をディスプレイ52に重畳表示することで、車両102の現在位置と目的地101との位置関係をユーザに視覚的に把握させることを可能とする。よって、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、ユーザが目的地を再び通り過ごすおそれを低減可能にすることができる。
【0062】
以上この発明の実施形態を説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。例えば、上記実施形態では、ナビゲーション装置1は、車両に搭載されているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、オートバイや自転車、船舶に搭載してもよい。また、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants)、携帯電話に携帯情報端末機能が付いたスマートフォン、携帯音楽プレーヤー等の移動体端末に搭載してもよい。
【0063】
また、メイン処理のステップS2等で使用した閾値Rは、固定値としても、コントロール装置53を利用してユーザが任意の値に設定する構成としてもよい。ユーザが閾値Rを任意に設定できる構成の場合には、ユーザは、閾値Rを大きく設定することで、目的地101通過後に表示された鳥瞰図521が非表示となるまでの走行距離を長くすることができる。一方、ユーザは、閾値Rを小さく設定することで、目的地101通過後に表示された鳥瞰図521が非表示となるまでの走行距離を短くすることができる。
【0064】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、重畳表示処理(図3)において、車両位置と目的地との直線距離Lが、閾値Rの1/3以下か、閾値Rの1/3を超えて2/3以下か、閾値Rの2/3を超えたか、の3パターンに応じて、鳥瞰図521の俯角を3段階で切り換えたが、これに限られるものではない。即ち、鳥瞰図521の俯角変更を閾値Rに対応させず、ステップS1で演算装置21により算出される直線距離Lが増加するに連れて(車両102が目的地101から離れるに連れて)、連続的に、鳥瞰図521の俯角を減少させる構成としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1においては、直線距離Lの増加に連れて(車両102が目的地101から離れるに連れて)、鳥瞰図521における視点の位置を車両位置62から離してもよい。
【0066】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、車両102の進行方向に対して前方となる位置に視点を定めて鳥瞰図を生成したが、これに限られず、車両102の進行方向に対して後方となる位置に視点を定めて、画角内に目的地と車両が入った所定の縮尺となる鳥瞰図を生成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、直線距離Lが、最小値となり、その後、増加していると判定された場合に、演算装置21は、ステップS5の処理で通過と判定したが、これに限られるものではない。即ち、鳥瞰図521の誤表示防止の観点から、ステップS5の処理において、演算装置21は、直線距離Lが最小値となり、その後、直線距離Lの増加が複数回連続して検出された場合に、車両102が目的地101を通過したと判定する構成としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1においては、基本情報が表示されるレイヤとは別のレイヤに鳥瞰図521を生成してもよく、或いは、基本情報が表示されるレイヤと同一のレイヤに鳥瞰図521を合成して生成してもよい。即ち、ディスプレイ52を見たユーザが、基本情報と鳥瞰図521が重畳表示されていると認識できる表示であればよい。
【0069】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、地図表示モードが俯瞰図モードである場合、鳥瞰図521を左上に表示したが(ステップS19)、これに限定されず、鳥瞰図521の表示は、右上でも、中央上でも、ユーザが必要とする情報(例えば、設定目的地61や経路64)の表示を妨げない領域であれば、何処でもよい。
【0070】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、ヘディングアップモードおよび俯瞰図モードの何れかのモードをユーザが設定可能として説明したが、これに限定されず、ディスプレイ52の上側に北が位置するように地図を表示するノースアップモードを設定可能としても良い。ナビゲーション装置1がノースアップモードに設定されている場合であっても、当然、鳥瞰図521を表示可能である。このモードの場合でも、ユーザが必要とする情報(例えば、設定目的地61や経路64)の表示を妨げない領域へ鳥瞰図521を表示すればよい。
【0071】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、車両102が目的地101を通過した場合に、鳥瞰図521をディスプレイ52へ重畳表示したが、これに加え、画像音声処理装置24を用いて、音声案内を行ってもよい。この場合、ステップS1で演算装置21が算出した直線距離Lを用いて、例えば、「目的地は、後方約30mです」等、車両102の現在位置と目的地101との位置関係をユーザへ把握させるのに有用な音声案内が好ましい。
【0072】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、車両102が目的地101を通過した場合に、鳥瞰図521をディスプレイ52へ重畳表示したが、これに限られるものではなく、鳥瞰図521に代えて、通過した目的地と現在位置とを含む平面状の地図(2次元の地図)を、ディスプレイ52へ重畳表示してもよい。
【0073】
また、上記実施形態のナビゲーション装置1では、車両102の現在位置を、GPSセンサ31を用いて特定したが、これに限られるものではなく、道路情報受信センサ34を用いて、車両102の現在位置を特定してもよい。具体的には、道路情報受信センサ34を用いて、道路上に設置されたビーコン(Beacon)から送信される電波または赤外線を受信して、車両102の現在位置を特定してもよい。或いは、ユーザが携帯電話を持っている場合、道路情報受信センサ34を用いて、少なくとも3個所以上の携帯電話基地局からの電界強度情報を受信し、それらの電界強度情報を演算装置21で分析することによって、車両102の現在位置を特定してもよい。
【0074】
なお、上記実施形態において、メイン処理を実行するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto−Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムを、GPS等を備えたコンピュータ等にインストールすることにより、上述のメイン処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0075】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0076】
また、上述のメイン処理を、OS(Operating System)が分担して実現する場合、又は、OSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ナビゲーション装置
2 情報処理部
3 位置検出部
4 情報記憶部
5 ユーザインターフェイス部
21 演算装置
22 センサインターフェイス
23 通信インターフェイス
24 画像音声処理装置
31 GPSセンサ
32 ジャイロセンサ
33 速度センサ
34 道路情報受信センサ
41 地図情報記憶装置
42 目的地記憶メモリ
51 スピーカ
52 ディスプレイ
53 コントロール装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、
目的地を記憶する目的地記憶部と、
前記移動体の現在位置を特定する移動体位置特定部と、
前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置から前記目的地記憶部に記憶された目的地までの経路を地図と共にディスプレイへ表示する経路表示部と、
前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置が、前記目的地記憶部に記憶された目的地を通過したかを判定する通過判定部と、
前記通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含み、且つ、前記現在位置の上空から前記目的地を見下ろした鳥瞰図を、前記経路表示部により前記経路および地図の表示が行われている前記ディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示部と、
を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記通過判定部は、
前記目的地記憶部に記憶された目的地と前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置との直線距離を算出する直線距離算出部と、
前記直線距離算出部により算出された前記直線距離が、最短距離となり、その後、増加した場合に、前記現在位置が前記目的地を通過したと判定する距離通過判定部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記移動体位置特定部により特定された前記現在位置が、前記目的地記憶部に記憶された目的地を起点とする所定距離内に存在するかを判定する距離内判定部と、
前記移動体が停止状態であるかを判定する停止判定部と、
を備え、
前記距離通過判定部は、
前記距離内判定部により前記所定距離内に前記現在位置が存在すると判定され、且つ、前記停止判定部により前記移動体が停止状態でないと判定された場合に、前記直線距離算出部により算出された前記直線距離が、前記最短距離となったかの判定を開始する判定開始部を備えていることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記重畳表示部は、
前記距離通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記直線距離算出部により算出される前記直線距離が増加するに連れて、前記ディスプレイに重畳表示される前記鳥瞰図の俯角を減少させる俯角調整手段を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路表示部により前記ディスプレイに表示されている前記地図の表示モードが、前記移動体の進行方向を前記ディスプレイの上側にして表示するヘディングアップモードであるかを判定する第1のモード判定部を備え、
前記重畳表示部は、
前記第1のモード判定部により前記ヘディングアップモードであると判定された場合には、前記鳥瞰図を、前記経路表示部により表示されている前記地図よりも小さい画面で、且つ、前記ディスプレイの下部に重畳表示する画面下部重畳表示部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記画面下部重畳表示部は、
前記目的地記憶部に記憶された目的地が、前記移動体の進行方向に対して左側に位置するか右側に位置するかを判定する左右判定部と、
前記左右判定部により前記目的地が前記左側に位置すると判定された場合は、前記ディスプレイ下部の右側に前記鳥瞰図を重畳表示する一方、前記目的地が前記右側に位置すると判定された場合には、前記ディスプレイ下部の左側に前記鳥瞰図を重畳表示する左右切換表示部と、
を備えていることを特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記経路表示部により前記ディスプレイに表示されている前記地図の表示モードが、前記移動体の上空から進行方向に見える景色を俯瞰図形式で模擬した俯瞰図モードであるかを判定する第2のモード判定部を備え、
前記重畳表示部は、
前記第2のモード判定部により前記俯瞰図モードであると判定された場合には、前記鳥瞰図を、前記経路表示部により表示されている前記地図よりも小さい画面で、且つ、前記ディスプレイの上部に重畳表示する画面上部重畳表示部を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記重畳表示部は、
前記距離通過判定部により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定され、且つ、前記距離内判定部により前記所定距離内に前記現在位置が存在しないと判定された場合に、前記ディスプレイに重畳表示されている前記鳥瞰図の表示を停止する表示停止部を備えていることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
移動体の現在位置が目的地を通過したかを判定する通過判定工程と、
前記通過判定工程により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含む地図を、前記現在位置から目的地までの経路および地図が表示されているディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示工程と、
を含むナビゲーション方法。
【請求項10】
コンピュータに、
移動体の現在位置が目的地を通過したかを判定する通過判定機能と、
前記通過判定機能により前記現在位置が前記目的地を通過したと判定された場合に、前記現在位置と前記通過した目的地とを含む地図を、前記現在位置から目的地までの経路および地図が表示されているディスプレイに前記経路および地図の表示に重畳して表示する重畳表示機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29330(P2013−29330A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163720(P2011−163720)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】