説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラム

【課題】地域の境界を通過する前に境界を通過することをユーザに通知することができるナビゲーション装置20を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置20は、予め定められた地図領域であるメッシュ毎に、当該メッシュに含まれる道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータ253、および、当該メッシュの領域に含まれる、地域の境界を示す情報である境界情報27を保持する地図情報保持部25と、車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出部24と、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置、および、地図情報保持部25内の境界情報27を参照して、車両の現在位置と、当該車両の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過する予定である旨を、音声または表示により運転者に通知する境界通知部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および方法に係り、特に、地域の境界を通過することを通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両が県境を越えた場合に、その旨を検出して運転者等に通知する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−14924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、米国では州毎に車の制限速度が異なる場合がある。また、米国に限らず、行政区画等の地域毎に、その地域の条例が異なる場合がある。このように、地域毎に条例が異なる場合、地域の境界を超える場合には、その境界の向こう側の地域の条例を遵守しているか否かを、その境界を越える前に確認しておくことが必要な場合がある。上記特許文献1では、境界を通過した後にその旨を通知しており、運転者が気づかない間に境界を通過して他の地域に進入してしまう場合がある。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、地域の境界を通過する前に境界を通過することをユーザに通知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータ、および、地域の境界を示す情報である境界情報を保持する地図情報保持手段と、現在位置および進行方向を算出する現在位置算出手段と、現在位置算出手段によって算出された現在位置と進行方向、および、地図情報保持手段に保持される境界情報を参照して、現在位置と、現在位置の進行方向の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過することを、音声または表示により通知する境界通知手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、地図情報保持手段を備えたナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、地図情報保持手段に保持された地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータを参照して、現在位置および進行方向を算出する現在位置算出ステップと、現在位置算出ステップにおいて算出した現在位置、および、地図情報保持手段に保持された地域の境界を示す情報である境界情報を参照して、現在位置と、当該現在位置の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過することを通知する境界通知ステップとを実行することを特徴とするナビゲーション方法を提供する。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータを参照して現在位置および進行方向を算出する現在位置算出機能、ならびに現在位置算出機能によって算出された現在位置、および、地域の境界を示す情報である境界情報を参照して、現在位置と、当該現在位置の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過することを通知する境界通知機能を備えたナビゲーション機能を実現させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のナビゲーション装置によれば、地域の境界を通過する前に境界を通過することをユーザに通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。ナビゲーションシステム10は、入力装置11、表示装置12、スピーカ13、センサ14、およびナビゲーション装置20を備える。ナビゲーション装置20は、経路探索部21、経路誘導部22、境界通知部23、現在位置算出部24、および地図情報保持部25を有する。
【0012】
地図情報保持部25は、予め定められた地図領域であるメッシュ毎に、当該メッシュに含まれる道路を示すリンクに関する情報を含むリンクテーブル、および、当該メッシュの領域に含まれる、地域の境界を示す情報である境界情報を保持する。また、地図情報保持部25は、リンクテーブルや境界情報の他に、地図データも保持している。
【0013】
リンクテーブル250には、例えば図2に示すように、道路を示すリンクに関する情報を含むメッシュデータ251が所定の地図領域を示すメッシュ毎に格納されている。それぞれのメッシュデータ251には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID252およびメッシュ内のリンクに関するデータであるリンクデータ253等が含まれる。
【0014】
それぞれのリンクデータ253には、それぞれのリンクを識別するリンクID254、当該リンクの開始ノード座標255、当該リンクの終了ノード座標256、当該リンクの道路種別257、当該リンクのリンク長258、当該リンクの開始ノードに接続されている他のリンクの識別情報である開始接続リンク259、当該リンクの終了ノードに接続されている他のリンクの識別情報である終了接続リンク260、および当該リンクの名称261等が格納されている。
【0015】
境界情報27には、例えば図3に示すように、それぞれの境界線を識別する境界ID270に対応付けて、当該境界線が含まれているメッシュのメッシュID271、当該境界線の始点272、当該境界線の終点273、当該境界線の始点から終点へ向かって左側にある地域の名称を示す左側地域274、および当該境界線の始点から終点へ向かって右側にある地域の名称を示す左側地域274が格納されている。
【0016】
センサ14は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機や方位センサ、距離センサ、車速センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離、車速等を測定し、測定情報を現在位置算出部24に供給する。
【0017】
現在位置算出部24は、センサ14から供給された測定情報および地図情報保持部25に格納されたリンクデータに基づいて、ナビゲーション装置20が搭載された車両が所定距離(例えば10m)移動する毎に、例えばマップマッチング等により当該車両の現在位置および進行方向を算出し、算出した車両の現在位置および進行方向を示す情報を経路探索部21、経路誘導部22、および境界通知部23に提供する。
【0018】
経路探索部21は、出発地点、目的地点、および経由地点の座標や、探索条件等を含む探索情報を、タッチパネル等の入力装置11を介してユーザから受け付けた場合に、地図情報保持部25内のリンクデータを参照し、当該探索情報に基づいて、例えばダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて、経由地点を通り出発地点から目的地点へ至る経路を探索し、探索結果を表示装置12に表示する。そして、経路探索部21は、探索した経路の中で、入力装置11を介してユーザから指定された経路を誘導経路として、当該誘導経路を境界通知部23へ送る。なお、経路探索部21は、車両の現在位置を出発地点として経路探索を実行してもよい。
【0019】
経路誘導部22は、経路探索部21から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、地図情報保持部25に格納されている、車両の現在位置付近の地図データを取得し、取得した地図データで示される地図上に車両の現在位置を示すカーマークを表示することにより経路誘導を開始する。また、経路誘導部22は、車両が目的地点に到着した場合に、その旨を境界通知部23に通知する。例えば、目的地点から所定距離(例えば100m)以内の範囲に車両の現在位置が進入した場合に、経路誘導部22は、車両が目的地点に到着したと判定する。
【0020】
また、経路誘導部22は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置および地図情報保持部25に格納されているリンクデータを参照して、誘導経路上において、車両の前方所定距離以内に、進行方向を指示すべき案内地点が存在する場合に、当該案内地点に関する画像を表示装置12に表示すると共に、誘導を示す音声をスピーカ13を介して再生することにより、進むべき方向を案内する。
【0021】
境界通知部23は、経路誘導部22から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、車両が目的地点に到着した旨を経路誘導部22から通知されるまで、経路誘導部22によって経路誘導が行われている旨を保持する。そして、境界通知部23は、所定のタイミング毎に、経路誘導が行われているか否かを判定する。経路誘導が行われている場合、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置および地図情報保持部25内のデータを参照して、誘導経路上において、車両の現在位置から当該車両の前方第1の距離以内(例えば10km以内)に境界線が存在するか否かを判定する。
【0022】
例えば図4(a)に示すように、車両の現在位置32から前方10km以内の誘導経路31上に境界線30が存在する場合、境界通知部23は、当該境界線30の境界IDが通知済みとして登録されていなければ、車両が当該境界線30を通過する予定である旨を運転者に通知し、当該境界線30の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録する。
【0023】
境界通知部23は、車両が境界線を通過する予定である旨を表示装置12に表示したり、スピーカ13を介して音声により運転者に通知する。また、このとき、境界通知部23は、地図情報保持部25内の境界情報を参照して、車両の現在位置から通過予定の境界線までの距離を算出し、車両が境界線を通過する予定である旨と共に、算出した距離を、例えば「***km先、地域の境界です。」というようにユーザに通知してもよい。
【0024】
また、境界通知部23は、車両が境界線を通過する予定である旨を通知する場合に、地図情報保持部25内の境界情報を参照して、例えば「***km先、Y町です。」、「***km先、X市とY町の境界です。」、あるいは「現在はX市です。***km先、Y町です。」等のような音声または表示によりユーザに通知してもよい。
【0025】
一方、経路誘導が行われていない場合、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置および地図情報保持部25内のデータを参照して、車両が走行中の道路と同一名称の道路上において、車両の現在位置から前方へ、第1の距離よりも短い第2の距離以内(例えば1km以内)に境界線が存在するか否かを判定する。
【0026】
例えば図4(b)に示すように、車両が走行中の道路33と同一名称の道路33上において、車両の現在位置32から前方へ1km以内に境界線30が存在する場合、境界通知部23は、当該境界線30の境界IDが通知済みとして登録されていなければ、車両が当該境界線30を通過する予定である旨を運転者に通知し、当該境界線30の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録する。
【0027】
なお、境界通知部23は、通知済みとして登録された境界IDを、登録されてから所定時間(例えば1時間)以上経過した後に、メモリから削除するようにしてもよい。これにより、運転者が境界線付近で寄り道した場合や、境界線を超えた後に再び同一の道路を通って同一の境界線を超える場合等に、境界通知部23は、再び境界線を通過する予定である旨を運転者に通知することができる。
【0028】
図5は、第1の実施形態におけるナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、車両のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0029】
まず、境界通知部23は、経路誘導部22によって経路誘導が行われているか否かを判定する(S100)。経路誘導が行われている場合(S100:Yes)、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置および地図情報保持部25内のデータを参照して、車両の現在位置から前方10km以内の誘導経路上に境界線が存在するか否かを判定する(S101)。
【0030】
車両の現在位置から前方10km以内の誘導経路上に境界線が存在する場合(S101:Yes)、境界通知部23は、当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されているか否かを判定する(S102)。当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されていない場合(S102:No)、境界通知部23は、車両が当該境界線を通過する予定である旨を、当該境界線までの距離と共に、音声または表示により運転者に通知する(S103)。そして、境界通知部23は、当該境界線の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録し(S104)、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0031】
車両の現在位置から前方10km以内の誘導経路上に境界線が存在しない場合(S101:No)、または、当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されている場合(S102:Yes)、境界通知部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0032】
ステップS100において経路誘導が行われていない場合(S100:No)、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置および地図情報保持部25内のデータを参照して、車両が走行中の道路と同一名称の道路上において、車両の現在位置から前方へ1km以内の間に境界線が存在するか否かを判定する(S105)。
【0033】
車両が走行中の道路と同一名称の道路上において、車両の現在位置から前方へ1km以内の間に境界線が存在する場合(S105:Yes)、境界通知部23は、ステップS102に示した処理を実行する。一方、車両が走行中の道路と同一名称の道路上において、車両の現在位置から前方へ1km以内の間に境界線が存在しない場合(S105:No)、境界通知部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0034】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0035】
上記説明から明らかなように、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、地域の境界を通過する前に境界を通過することをユーザに通知することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0037】
図6は、第2の実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。なお、以下に説明する点を除き、図6において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0038】
境界通知部23は、経路誘導部22から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、車両が目的地点に到着した旨を経路誘導部22から通知されるまで、経路誘導部22によって経路誘導が行われている旨を保持する。そして、境界通知部23は、所定のタイミング毎にセンサ14からの車速情報を参照して、車両の平均速度を算出する。そして、境界通知部23は、経路誘導が行われているか否かを判定する。
【0039】
経路誘導が行われている場合、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置、地図情報保持部25内のデータ、および算出した車両の平均速度を参照して、所定時間後(例えば30分後)に通過する誘導経路上の地点を算出する。そして、境界通知部23は、車両の現在位置から当該算出した地点までの誘導経路上に境界線が存在するか否かを判定する。
【0040】
例えば図7(a)に示すように、30分後に通過する予定の地点34までの誘導経路31上に境界線30が存在する場合、境界通知部23は、当該境界線30の境界IDが通知済みとして登録されていなければ、車両が当該境界線30を通過する予定である旨を運転者に通知し、当該境界線30の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録する。
【0041】
境界通知部23は、車両が境界線を通過する予定である旨を表示装置12に表示したり、スピーカ13を介して音声により運転者に通知する。また、このとき、境界通知部23は、算出した平均速度を用いて境界線30を通過するまでの所要時間を算出し、車両が境界線を通過する予定である旨と共に、算出した所要時間を、例えば「***分後、地域の境界です。」というようにユーザに通知してもよい。
【0042】
また、境界通知部23は、車両が境界線を通過する予定である旨を通知する場合に、地図情報保持部25内の境界情報を参照して、例えば「***分後、Y町です。」、「***分後、X市とY町の境界です。」、あるいは「現在はX市です。***分後、Y町です。」等のような音声または表示によりユーザに通知してもよい。
【0043】
一方、経路誘導が行われていない場合、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置、地図情報保持部25内のデータ、および算出した車両の平均速度を参照して、所定時間後(例えば10分後)に通過する誘導経路上の地点を算出する。そして、境界通知部23は、車両の現在位置から当該算出した地点までの誘導経路上に境界線が存在するか否かを判定する。
【0044】
例えば図7(b)に示すように、車両が走行中の道路33と同一名称の道路33上において、10分後に通過する予定の地点35までの間に境界線30が存在する場合、境界通知部23は、境界通知部23は、当該境界線30の境界IDが通知済みとして登録されていなければ、車両が当該境界線30を通過する予定である旨を運転者に通知し、当該境界線30の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録する。
【0045】
図8は、第2の実施形態におけるナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、車両のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0046】
まず、境界通知部23は、センサ14からの車速情報を参照して、車両の平均速度を算出する(S200)。そして、境界通知部23は、経路誘導中であるか否かを判定する(S201)。経路誘導中である場合(S201:Yes)、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置、地図情報保持部25内のデータ、および算出した車両の平均速度を参照して、30分後に通過する誘導経路上の地点を算出する(S202)。
【0047】
次に、境界通知部23は、車両の現在位置から当該算出した地点までの間の誘導経路上に境界線が存在するか否かを判定する(S203)。車両の現在位置から当該算出した地点までの間の誘導経路上に境界線が存在する場合(S203:Yes)、境界通知部23は、当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されているか否かを判定する(S204)。
【0048】
当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されていない場合(S204:No)、境界通知部23は、車両の平均速度を用いて当該境界線を通過するまでの所要時間を算出し、車両が当該境界線を通過する予定である旨を、算出した所要時間と共に、音声または表示により運転者に通知する(S205)。そして、境界通知部23は、当該境界線の境界IDを通知済みの境界IDとしてナビゲーション装置20内のメモリに登録し(S206)、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0049】
車両の現在位置から、算出した地点までの間に境界線が存在しない場合(S203:No)、または、当該境界線の境界IDが通知済みとしてメモリに登録されている場合(S204:Yes)、境界通知部23は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0050】
ステップS201において、経路誘導中でない場合(S201:No)、境界通知部23は、現在位置算出部24によって算出された車両の現在位置、地図情報保持部25内のデータ、および算出した車両の平均速度を参照して、10分後に通過する誘導経路上の地点を算出し(S207)、ステップS203に示した処理を実行する。
【0051】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0052】
上記説明から明らかなように、本実施形態のナビゲーション装置20においても、地域の境界を通過する前に境界を通過することをユーザに通知することができる。
【0053】
なお、上記した第1または第2の実施形態におけるナビゲーション装置20は、例えば図9に示すような構成のコンピュータ40によって実現される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、入力インターフェイス(I/F)45、出力インターフェイス(I/F)46、およびメディアインターフェイス(I/F)47を備える。
【0054】
CPU41は、ROM43またはHDD44に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。HDD44は、CPU41によって実行されるプログラムやデータ等を格納する。
【0055】
入力インターフェイス45は、入力装置11またはセンサ14からの信号を受信してCPU41へ送る。CPU41は、入力インターフェイス45を介して、入力装置11およびセンサ14を制御し、入力インターフェイス45を介して、入力装置11またはセンサ14から信号を取得する。出力インターフェイス46は、CPU41から取得したデータを、表示装置12またはスピーカ13へ出力する。CPU41は、出力インターフェイス46を介して、表示装置12およびスピーカ13を制御し、生成したデータを、出力インターフェイス46を介して表示装置12またはスピーカ13へ出力する。
【0056】
メディアインターフェイス47は、記録媒体48に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM42を介してCPU41に提供する。CPU41は、当該プログラムを、メディアインターフェイス47を介して記録媒体48からRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体48は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0057】
コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、経路探索部21、経路誘導部22、境界通知部23、現在位置算出部24、および地図情報保持部25の各機能を実現する。また、ROM43またはHDD44には、地図情報保持部25内のデータが格納される。
【0058】
コンピュータ40は、これらのプログラムを、記録媒体48から読み取って実行するが、他の例として、コンピュータ40に通信機能を設け、コンピュータ40は、有線または無線の通信回線を介してこれらのプログラムを取得するようにしてもよい。
【0059】
また、第2の実施形態において、車両の現在位置から、所定時間後に通過する誘導経路上の地点を算出する場合、境界通知部23は、車両の平均速度だけでなく、前方の渋滞情報を考慮して所定時間後に通過する誘導経路上の地点を算出するようにしてもよい。
【0060】
また、上記した第1の実施形態では、経路誘導が行われている場合には前方10km以内に境界線が存在するか否か、経路誘導が行われていない場合には前方1km以内に境界線が存在するか否かをそれぞれ判定するが、本発明はこれに限られず、走行中の道路の種別に応じて、距離の閾値を変えるようにしてもよい。
【0061】
例えば、高速道路を走行中の場合、経路誘導が行われているならば前方30km以内に境界線が存在するか否か、経路誘導が行われていないならば前方10km以内に境界線が存在するか否かをそれぞれ判定し、市街地の生活道路を走行中の場合、経路誘導が行われているならば前方1km以内に境界線が存在するか否か、経路誘導が行われていないならば前方300m以内に境界線が存在するか否かをそれぞれ判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】地図情報保持部25に格納されているリンクテーブル250のデータの構造の一例を示す図である。
【図3】地図情報保持部25に格納されている境界情報27のデータの構造の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態において境界の存在を通知する場面の一例を説明するための概念図である。
【図5】第1の実施形態におけるナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図7】第2の実施形態において境界の存在を通知する場面の一例を説明するための概念図である。
【図8】第2の実施形態におけるナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】ナビゲーション装置20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0063】
10・・・ナビゲーションシステム、11・・・入力装置、12・・・表示装置、13・・・スピーカ、14・・・センサ、20・・・ナビゲーション装置、21・・・経路探索部、22・・・経路誘導部、23・・・境界通知部、24・・・現在位置算出部、25・・・地図情報保持部、27・・・境界情報、40・・・コンピュータ、41・・・CPU、42・・・RAM、43・・・ROM、44・・・HDD、45・・・入力インターフェイス、46・・・出力インターフェイス、47・・・メディアインターフェイス、48・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータ、および、地域の境界を示す情報である境界情報を保持する地図情報保持手段と、
現在位置および進行方向を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置算出手段によって算出された前記現在位置と進行方向、および、前記地図情報保持手段に保持される境界情報を参照して、前記現在位置と、前記現在位置の進行方向の前方に存在する前記境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、前記境界を通過することを、音声または表示により通知する境界通知手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記リンクデータを参照して、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索手段と、
前記現在位置に基づいて前記経路探索手段によって探索された経路の誘導を行う経路誘導手段と
をさらに備え、
前記境界通知手段は、
前記経路誘導手段によって経路の誘導が行われている場合に、前記経路上において、前記現在位置の進行方向前方の第1の距離以内に前記境界が存在するならば、当該境界を通過することを通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記境界通知手段は、
前記経路誘導手段によって経路の誘導が行われていない場合に、前記現在位置の進行方向前方へ、前記第1の距離よりも短い第2の距離以内に前記境界が存在するならば、当該境界を通過することを通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記境界通知手段は、
境界を通過することと共に、前記現在位置から当該境界までの距離をさらに運転者に通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記リンクデータを参照して、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索手段と、
前記現在位置に基づいて前記経路探索手段によって探索された経路の誘導を行う経路誘導手段と、
前記現在位置の移動速度を算出する速度算出手段と、
前記経路上に存在する前記境界を検出する経路上境界検出手段と
をさらに備え、
前記境界通知手段は、
前記経路誘導手段によって経路の誘導が行われている場合に、前記速度算出手段によって算出された移動速度を用いて前記現在位置から前記経路上の境界までの移動時間が第1の時間よりも短いと判断したとき、当該境界を通過することを通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置であって、
前記境界通知手段は、
前記経路誘導手段によって経路の誘導が行われていない場合に、前記速度算出手段によって算出された移動速度を用いて前記現在位置から前記経路上の境界までの移動時間が前記第1の時間よりも短い第2の時間よりも短いと判断したとき、当該境界を通過することを通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のナビゲーション装置であって、
前記境界通知手段は、
前記境界を通過することと共に、算出した前記経路上の境界までの移動時間を通知することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記地図情報保持手段が保持する境界情報は、行政区分上の境界に関する情報であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
地図情報保持手段を備えたナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、
前記地図情報保持手段に保持された地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータを参照して、現在位置および進行方向を算出する現在位置算出ステップと、
前記現在位置算出ステップにおいて算出した前記現在位置、および、前記地図情報保持手段に保持された地域の境界を示す情報である境界情報を参照して、前記現在位置と、当該現在位置の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過することを通知する境界通知ステップと
を実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項10】
地図上の道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータを参照して現在位置および進行方向を算出する現在位置算出機能、ならびに
前記現在位置算出機能によって算出された前記現在位置、および、地域の境界を示す情報である境界情報を参照して、前記現在位置と、当該現在位置の前方に存在する境界との位置関係が予め定められた条件を満たす場合に、境界を通過することを通知する境界通知機能を備えたナビゲーション機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122003(P2010−122003A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294486(P2008−294486)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】