説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラム

【課題】複数の階層を有する場所での経路案内の利便性を向上させるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】入力された、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部112と、設定された選択位置が位置する階層を決定する階層決定部114と、表示装置13に出発地点から目的地点までの経路を表示する経路案内出力部115とを備え、経路案内出力部115は、経路が複数階層を通っている場合には、選択位置が位置する階層の経路部分を、選択位置の階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、第1の態様と異なる第2の態様で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムのような専用端末のみならず、携帯電話、携帯情報端末等のGPS機能を搭載した携帯端末を用いたナビゲーションシステムが急激に普及している。ナビゲーションシステムでは、端末の画面に地図情報や経路情報が表示され、ユーザは、地図上の経路を確認しながら目的地まで進むことができる。また、ナビゲーションシステムは、屋外の経路案内のみならず、地下や屋内などの経路案内も行うようになっている。
【0003】
特許文献1には、通行経路や地点の案内のための固定情報を発信する情報発信装置を案内地点ごとに設置し、携帯情報端末が、案内地点で情報発信装置より発信された固定情報を受信することにより、地下や屋内などGPS電波の届かない場所でも案内を行うことが可能な歩行者用のナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたシステムでは、複数階を有する地下や屋内(例えば地下街と繋がった駅ビル)で、出発地点と目的地点が異なる階にある場合、使用者が出発地点から目的地点までの道のりを把握しながら、なおかつ階毎の経路を判別できるような案内を行うことができなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数の階層を有する場所での経路案内の利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーション装置は、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部と、ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する階層決定部と、表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する経路案内出力部と、を備え、前記経路案内出力部は、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する。
【0008】
また、ユーザ操作による位置選択が行われたか否かを確認し、行われた場合にはその位置を選択位置として設定する選択位置設定部を備え、前記階層決定部は、前記選択位置が位置する階層を前記選択階層として決定する、ようにしてもよい。
【0009】
また、ユーザの現在位置を選択位置として設定する選択位置設定部を備え、前記階層決定部は、前記選択位置が位置する階層を前記選択階層として決定する、ようにしてもよい。
【0010】
また、前記階層決定部は、ユーザ操作によって選択された階層を前記選択階層として決定するようにしてもよい。
【0011】
本発明に係るナビゲーション方法は、出発地点から目的地点までの経路を探索する工程と、ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する工程と、表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する工程と、を備え、前記経路を表示する工程では、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する。
【0012】
本発明に係るプログラムは、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部と、ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する階層決定部と、表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する経路案内出力部と、して機能させ、前記経路案内出力部は、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の階層を有する場所での経路案内の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の動作のフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の表示画面の例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の表示画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、携帯電話機、携帯情報端末、携帯型ナビゲーション装置、ノートパソコン、その他の携帯可能な端末装置である。なお、ナビゲーション装置1は、ナビゲーションの専用端末でもよい。
【0016】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御装置11、入力装置12、表示装置13を備える。制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置11は、機能的には、位置検出部111、経路探索部112、選択位置設定部113、階層決定部114、経路案内出力部115、地図データ記憶部116を備える。位置検出部111、経路探索部112、選択位置設定部113、階層決定部114、経路案内出力部115は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。地図データ記憶部116は、外部記憶装置により実装される。
【0017】
位置検出部111は、現在位置を検出する位置検出手段としての機能を備える。位置検出部111は、GPS受信機によりGPS衛星信号を受信し、ナビゲーション装置1の現在位置(緯度及び経度)を測位する。また、位置検出部111は、ジャイロセンサ、地磁気センサなどを備えることにより自律航法によってナビゲーション装置1の現在位置を測位することもできる。これにより、GPS受信機がGPS衛星信号から測位できない場合にも現在位置を測位することができる。
【0018】
また、位置検出部111は、屋内や地下などでは、近くに設置されているアクセスポイントと通信し、アクセスポイントの位置情報によって現在位置を検知することができる。また、屋内に設置されたRFID等の情報発信装置の信号を受信して屋内の現在位置を検知してもよい。
【0019】
経路探索部112は、入力された経路探索条件に従い、地図データ等を参照して、出発地から目的地までの最適経路を探索する機能を備える。このとき、出発地点のノードから目的地点のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるリンクをたどって案内経路とすることによって、最適経路を探索することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法などの周知の手法を利用することができる。「最適な」経路とは、出発地点から目的地点までのコスト情報が最小であることをいう。リンクのコスト情報は、距離、所要時間、料金、その他のパラメータ、及び各種パラメータを任意に組み合わせたもの等、目的に応じて設定可能である。
【0020】
選択位置設定部113は、ユーザ操作による位置選択が行われたか否かを確認し、行われた場合にはその位置を選択位置として設定する。位置選択操作は、例えば、ユーザが表示装置13に表示された経路上の位置を選択することにより行われる。また、ユーザによる位置選択以外にも、例えばユーザがシミュレーションの実行を指示した場合にも行われる。シミュレーションの実行が指示されると、制御装置11が、例えばスタート地点から経路上のポイントを移動させ、このポイント位置が選択位置として設定される。さらに、ユーザ操作による選択位置の代わりに、例えば歩数計を用いて推定したユーザの現在位置を選択位置として設定してもよい。また、ユーザが直接階層情報を選択するようにしてもよい。
【0021】
階層決定部114は、地図データや経路データを参照し、選択位置設定部113によって設定された選択位置が位置する階層を決定する。また、ユーザが直接階層情報を選択した場合には、選択された階層に決定する。
【0022】
経路案内出力部115は、探索された経路に基づいて、表示装置13に出発地点から目的地点までの経路を表示する。このとき、出発地点から目的地点までの経路が複数階層を通っている場合には、選択位置が位置する階層の経路部分を他の階層の経路部分と容易に区別できるように表示する。例えば、選択位置が位置する階層の経路部分を太い線(第1の態様)などで強調表示し、それ以外の階層の経路部分は細い線(第2の態様)などで表示する。なお、表示の方法は線の太さに限られず、例えば、線の色を変える、線の種類を変える(破線、点線等)などの方法で強調してもよいし、アニメーション効果(線を点滅させる等)により強調するようにしてもよい。
【0023】
地図データ記憶部116には、屋外及び屋内の地図データ、道路ネットワークデータ等が記憶されている。地図データは、ベクタ方式やラスタ方式等で構成される地図データである。道路ネットワークデータは、道路の交差点、屈曲点、端点などをノードとし、各ノード間を結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ(ノードの緯度及び経度)と、リンクデータ(リンク番号)と、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)に関するリンクコストデータとを含むデータベースとして構成される。なお、地図データや道路ネットワークデータは、通信ネットワーク上のデータベース等から取得するようにしてもよい。
【0024】
入力装置12は、ユーザによる操作及び入力のためのものであり、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどを操作して種々の入力操作を行うキーボードや、出力手段である表示装置13に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択するタッチパネルとすることができる。
【0025】
表示装置13には、メニュー画面や探索された経路などが表示される。利用者が経路案内を利用する場合、入力装置12を操作し、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示装置13に表示して、出発地や目的地などの経路探索条件を入力する。
【0026】
次に、ナビゲーション装置1の動作について説明する。
図2は、ナビゲーション装置1の屋内の経路案内時の動作のフローチャートである。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0027】
まず、ステップS11で、経路探索部112は、ユーザ操作によって出発地点と目的地点が設定されるまで待機する。出発地点と目的地点が設定されると、ステップS12に移行する。出発地点と目的地点は、ユーザが入力装置12を介して地図上の地点を指定したり、施設名、住所等を入力したりすることにより設定することができる。また、出発地点として現在位置が選択されると、位置検出部111が測位した現在位置が出発地点として設定される。
【0028】
ステップS12では、ステップS11で設定された出発地点から目的地点までの経路が探索される。このとき、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるリンクをたどって案内経路とすることによって、最適経路を探索することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法などの周知の手法を利用することができる。
【0029】
次に、ステップS13では、選択位置設定部113が、ユーザ操作による位置選択が行われたか否かを確認し、行われた場合にはステップS14でその位置を選択位置として設定する。ユーザによる位置選択は、例えばユーザが表示装置13に表示されている地図上で所望の地点を指定することにより行われる。なお、ユーザ操作による選択位置の代わりに、例えば歩数計を用いて推定したユーザの現在位置を選択位置として設定してもよい。また、シミュレーションの実行によって得られたポイント位置を選択位置として設定してもよい。
【0030】
ステップS15では、階層決定部114が、ステップS14で設定された選択位置に応じて選択階層を決定する。選択階層は、地図上で選択位置が位置する階層である。また、ユーザによって直接選択された階層を選択階層としてもよい。
【0031】
ステップS16では、経路案内出力部115が、ステップS12で探索された経路に基づいて、表示装置13に出発地点から目的地点までの経路を地図データと共に表示する。このとき、出発地点から目的地点までの経路が複数階層を通っている場合には、ステップS15で決定された選択階層の経路部分は太い線で強調表示し、それ以外の階層の経路部分は細い線で表示する。また、地図データは、選択階層のもののみ表示するようにしてもよい。
【0032】
次に、ステップS17では、選択位置設定部113が、目的地点に到着したか否かを判断し、到着している場合には処理を終了する。一方、目的地点に到着していない場合には、ステップS13に戻る。
【0033】
図3(a)〜(c)は、出発地点Sが地下1階、目的地点Gが地上階にあり、途中地下2階を通る経路Rが探索された場合の、表示画面の例を示す図である。
図3(a)は、選択位置が地下1階にあるときの表示画面である。図に示すように、出発地点Sから目的地点Gまでの経路Rが表示されており、地下1階部分の経路部分は太線で表示され、他の階層の経路部分は細線で表示されている。また、地図画像は、地下1階の地図のみが表示されている。
【0034】
図3(b)は、選択位置が地下2階にあるときの表示画面である。図に示すように、出発地点Sから目的地点Gまでの経路Rが表示されており、地下2階部分の経路部分は太線で表示され、他の階層の経路部分は細線で表示されている。また、地図画像は、地下2階の地図のみが表示されている。
【0035】
図3(c)は、選択位置が地上にあるときの表示画面である。図に示すように、出発地点Sから目的地点Gまでの経路Rが表示されており、地上部分の経路部分は太線で表示され、他の階層の経路部分は細線で表示されている。また、地図画像は、地上の地図のみが表示されている。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、複数の階層を有する場所で経路案内をする場合に、出発地点から目的地点までの全経路を表示しながらも、選択されている位置(ユーザが選択した位置または実際の現在位置)が属する階層の経路部分は強調表示するようにした。これにより、ユーザが出発地点から目的地点までの全体の経路を把握しながら、なおかつ階毎の経路部分を判別できるような案内を行うことができる。さらに、シミュレーションやユーザの操作により選択位置の階層が変われば、変化後の階層の経路部分が強調表示される。すなわち、常に、その時点での選択位置の階層の経路部分が強調表示されるので、複数の階層を有する場所での経路案内の利便性が向上する。
【0037】
本実施形態によれば、例えば図4に示すように、選択位置が属する階層の経路部分Rが他の階層の経路部分rを挟んで離れて存在する場合にも、同一階層の全経路が強調表示されるので、ユーザにとって同一階層の経路部分を把握しやすいという利点がある。
【符号の説明】
【0038】
1 ナビゲーション装置、11 制御装置、12 入力装置、13 表示装置、111 位置検出部、112 経路探索部、113 選択位置設定部、114 階層決定部、115 経路案内出力部、116 地図データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部と、
ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する階層決定部と、
表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する経路案内出力部と、を備え、
前記経路案内出力部は、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する、ナビゲーション装置。
【請求項2】
ユーザ操作による位置選択が行われたか否かを確認し、行われた場合にはその位置を選択位置として設定する選択位置設定部を備え、
前記階層決定部は、前記選択位置が位置する階層を前記選択階層として決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
ユーザの現在位置を選択位置として設定する選択位置設定部を備え、
前記階層決定部は、前記選択位置が位置する階層を前記選択階層として決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記階層決定部は、ユーザ操作によって選択された階層を前記選択階層として決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
出発地点から目的地点までの経路を探索する工程と、
ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する工程と、
表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する工程と、を備え、
前記経路を表示する工程では、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する、ナビゲーション方法。
【請求項6】
コンピュータを、
出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部と、
ユーザ操作に基づいて選択階層を決定する階層決定部と、
表示装置に前記出発地点から前記目的地点までの前記経路を表示する経路案内出力部と、して機能させ、
前記経路案内出力部は、前記経路が複数階層を通っている場合には、前記選択階層の経路部分を、前記選択階層であることを示す第1の態様で表示し、他の階層の経路部分を、前記第1の態様と異なる第2の態様で表示する、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104724(P2013−104724A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247530(P2011−247530)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】