説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションプログラム

【課題】現在位置の取得ができない場合において、消費電力の低減を図ると共に、通信料金の負担を軽減すること。
【解決手段】経路案内を行うナビゲーション装置100であって、GPSとの通信によって現在位置情報を取得するGPS部114と、ネットワーク200経路データや地図データを保存するナビゲーションサーバ300から選択された経路に関する経路データや地図データを受信するナビゲーション情報取得部160と、現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報を取得できた場合に、取得した現在位置情報に基づいて経路案内を行う案内制御部120と、現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、GPSとの通信を切断するGPS通信制御部150と、現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、ナビゲーションサーバ300との通信を切断するサーバ通信制御部170とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路に基づいてユーザを案内するナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションを実施するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両対する経路案内を行うカーナビゲーション装置などのナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路探索を行う機能を有している。このようなナビゲーション装置では、GPS(Global Positioning System)との通信によって測位された現在位置が、出発地点において探索され指定された経路から所定距離以上外れた場合に、自動的に外れた地点から目的地までの経路の再探索を行い(リルート)、経路案内を継続するのが一般的である。すなわち、車両を対象としたカーナビゲーションは、利用者が車両を運転中にナビゲーション装置を操作することは危険であるため、自動的に経路の再探索(オートリルート)を行うように制御されている。
【0003】
また、このような経路の自動再探索を行うナビゲーション装置では、経路探索に制限を課している技術も存在している。例えば、特許文献1には、車両が目的地までの経路を外れた場合に、目的地までの間の経由地点の周辺であるか否かを調べ、経由地点の周辺である場合には経路の自動的な再探索を行わない技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、車両が目的地までの経路を外れた場合に、オートリルートの設定の有無にかかわらず、経路の再探索を内部的に実行して再探索された経路を記憶しておき、ユーザからの再探索要求がなされた場合に、記憶されている再探索された経路を表示して最新の経路に切り替える技術が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、車両の現在位置が推奨経路上の分岐点付近にある場合には、車両の現在位置が推奨経路を外れた場合でも経路の再探索を行わないという技術が開示されている。
【0006】
一方、近年では、カーナビゲーション装置のように自動車等の車両を利用する場合の経路探索を行うのみならず、徒歩、電車やバスなどの交通機関を利用した場合の経路探索を行う技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−159797号公報
【特許文献2】特開平9−152352号公報
【特許文献3】特開2000−241182号公報
【特許文献4】特開2000−258184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような徒歩、電車やバスなどの交通機関を利用した場合の経路探索を行うナビゲーション装置は携帯電話に搭載されるものが一般的であり、このような携帯型ナビゲーション装置には、自動車等の車両のみを対象としたナビゲーションと異なり以下のような特有の問題がある。
【0009】
まず、現在位置をGPS等から取得する場合、利用者は歩道などの道路を経路とするため、GPSからの衛星電波が建物等に遮断されて受信不可能な状況となりやすく、この結果携帯型ナビゲーション装置の画面上で現在位置を示す指標に位置とびを生じる等、現在位置の表示を正確に行うことができない場合がある。
【0010】
また、携帯型ナビゲーション装置は、自律航法のセンサーを有していないので、車両の自律走行と異なって、蛇行する場合が多く、正確な自律歩行に関するデータを取得することが困難であり、不正確な現在位置を表示してしまう場合もある。
【0011】
さらに、利用者が歩行する歩道等は、車両用ナビゲーションの経路探索の対象となる道路に比べてより細かな小道も対象となるため、地図上の道路の間隔が狭く、正確なマップマッチングを行うことが困難である。
【0012】
このように、徒歩、電車やバスなどの交通機関を利用した場合の経路探索を行うナビゲーション装置には、現在位置を誤って認識する可能性が車両のみを対象とした一般的なカーナビゲーション装置に比べて高い。このため、このような状態でGPSとの通信を継続しても正確な経路案内を行うことができず、却ってGPS衛星との通信による電力消費が無駄になってしまう。特に携帯型ナビゲーション装置の場合には、バッテリー容量が少ないため、カーナビゲーション装置に比べて無駄な電力消費は重大な問題となる。
【0013】
加えて、携帯型ナビゲーション装置には、記憶領域の制限があることからナビゲーション装置自体に地図データを保持するのではなく、経路探索や画面上に表示する地図データをネットワークで接続されたナビゲーションサーバによって保存しておき、携帯型ナビゲーション装置が経路案内や地図表示を行う際には、ナビゲーションサーバと通信を行って、経路データや地図データをナビゲーションサーバから受信している。
【0014】
このため、このような携帯型ナビゲーション装置では、現在位置の誤認識が頻繁に生じたり、あるいは利用者の意思で目的地までの経路を大幅変更すると、上記従来技術における経路の再探索を行う技術では、その都度、ナビゲーションサーバとの通信が必要となるため、利用者はナビゲーションサーバとの通信料金が大幅な負担となるという問題がある。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、現在位置の取得ができない場合において、消費電力の低減を図ると共に、通信料金の負担を軽減することができるナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された経路に基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、GPS(Global Positioning System)との通信によって現在位置情報を取得する位置取得手段と、ネットワークに接続され、経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する情報を受信する案内情報取得手段と、前記位置取得手段によって現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報を取得できた場合に、取得した現在位置情報と前記案内情報取得手段によって取得された情報とに基づいて経路案内を行う案内制御手段と、前記案内制御手段によって現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された経路に基づいて経路案内を行うナビゲーション方法であって、GPS(Global Positioning System)との通信によって現在位置情報を取得する位置取得ステップと、ネットワークに接続され、経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する情報を受信する案内情報取得ステップと、前記位置取得ステップによって現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報を取得できた場合に、取得した現在位置情報と前記案内情報取得ステップによって取得された情報とに基づいて経路案内を行う案内制御ステップと、前記案内制御ステップによって現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された経路に基づいて経路案内を行うナビゲーションプログラムであって、ネットワークに接続され、経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する情報を受信する案内情報取得手順と、GPSとの通信によって現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報を取得できた場合に、取得した現在位置情報と前記案内情報取得手順によって取得された情報とに基づいて経路案内を行う案内制御手順と、前記案内制御手順によって現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御手順と、をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、GPSとの通信によって現在位置情報を取得し、ネットワークに接続され、経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する情報を受信し、現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報を取得できた場合に、取得した現在位置情報と取得された情報とに基づいて経路案内を行い、現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断することで、現在位置を取得できず経路案内が不可能となった場合には、サーバ装置から地図情報や経路情報などの経路に関する情報の受信を行う必要がなくなり、通信料金の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかるナビゲーション装置を含むネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内の全体処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置による経路案内処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】案内制御部による経路案内処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】終了メッセージの表示画面の一例を示す説明図である。
【図6】メニュー表示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーションプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態のナビゲーション装置は、携帯電話に本発明のナビゲーションプログラムをインストールしたものである。
【0022】
図1は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置を含むネットワークシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、このネットワークシステムは、ナビゲーション装置100と、ネットワーク200と、ナビゲーションサーバ300とを備えている。
【0023】
ネットワーク200は、携帯電話網やインターネットなどのネットワークであり、かかるネットワーク200を介してナビゲーション装置100とナビゲーションサーバ300との間で種々のデータの授受を行うことができる。
【0024】
本実施の形態におけるナビゲーション装置100は、携帯電話としての機能を備えた携帯型のナビゲーション装置であり、表示部110と、音声出力部111と、音声入力部112と、GPS部114と、通信部115と、操作部116と、制御部117とを備える。ここで、GPS部114は本発明における位置取得手段を構成する。
【0025】
表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)などを有しており、制御部117から供給される表示用データに基づいて地図など種々の情報を表示する。音声出力部111は、スピーカを有しており、制御部117から供給される音声データに基づく音声を発する。音声入力部112は、マイクロホンを有しており、ユーザ等が発した音に対応する音声データを生成し、制御部117に出力する。かかる音声入力部112は、電話として利用される場合のユーザの音声入力などに用いられる。
【0026】
GPS部114は、GPSアンテナ等を有しており、衛星から受信した情報に基づく現在位置情報を制御部117の案内制御部120に出力する。ここで、GPS部114が現在の位置情報を取得できた場合には、現在の位置座標を含むデータを現在位置情報として案内制御部120に出力する。一方、GPS部114が通信不良等により現在の位置情報を取得できなかった場合には、エラー情報を案内制御部120に出力する。また、GPS部114は、GPS通信制御部150の制御によってGPSとの衛星電波による通信および通信切断が制御される。
【0027】
通信部115は、アンテナ等の一般的な携帯電話の通信部と同様の構成であり、制御部117の制御の下、ネットワーク200の携帯電話網を介して他の通信端末(携帯電話やWebサーバなど)との間で、音声データ、地図データやその他の種々のデータの授受を行う。操作部116は、テンキー等の入力手段を有しており、ユーザの操作内容に応じて操作信号を生成し、制御部117に出力する。また、通信部115は、制御部117のサーバ通信制御部170によってネットワークを介したナビゲーションサーバ300との通信の確立および通信切断が制御されるようになっている。
【0028】
制御部117は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部を有しており、記憶部に記憶されたナビゲーションプログラムを実行することで、当該ナビゲーション装置100の全体を制御する。すなわち、制御部117は、上述したように携帯電話として機能するよう装置各部を制御する。
【0029】
また、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の制御部117は、地図表示、案内等のナビゲーション機能を実施するために装置各部を制御する。より具体的には、制御部117は、案内制御部120と、表示制御部130と、案内音声制御部140と、ナビゲーション情報取得部160と、GPS通信制御部150と、サーバ通信制御部170とを有する。ここで、ナビゲーション情報取得部160は本発明における案内情報取得手段を構成する。
【0030】
表示制御部130は、ナビゲーションサーバ300から配信された地図データに基づいて地図を表示するための地図表示用データを生成し、かかる地図表示用データを表示部110する。また、表示制御部130は、案内用文字図形情報、その他ナビゲーションに関する情報を表示するための表示用データを生成し、表示部110に出力する。かかる表示制御部130により生成された表示用データに基づく表示がなされることで、案内すべき経路が表示された地図、「右方向に曲がる」等の経路案内文字情報などが表示部110に表示される。
【0031】
案内音声制御部140は、経路案内が実施されている状態で、予め決められたタイミングで音声出力部111から発すべき音声に対応する音声データを音声出力部111に出力することで、案内音声を発生させる。例えば、当該ナビゲーション装置100の所持者の位置が右に曲がるべき交差点の30m手前の地点となった時点で、「次の交差点を右です」等の案内音声を発生させるための音声データを出力する。
【0032】
以上のように本実施の形態では、表示部110、音声出力部111、表示制御部130、案内音声制御部140は、経路に沿ってユーザを案内するための経路案内を行い、これらの各部による経路案内は案内制御部120によって制御される。
【0033】
案内制御部120は、上述したように経路に沿ってユーザを案内するための各部を制御し、経路案内を実行させる。より具体的には、案内制御部120は、GPS部114から得られる現在の位置情報と、案内を実行するよう選択されている経路とに基づいて、上述したような各部を制御し、案内情報の表示、音声による案内などの案内が行われるようにする。
【0034】
また、案内制御部120は、GPS部114からの入力により、GPS部114が現在位置情報を取得できたか否かを判断する。すなわち、案内制御部120は、GPS部114からの入力が位置座標を含む場合には現在位置情報を取得できたと判断し、経路案内を実行する。一方、案内制御部120は、GPS部114からの入力がエラー情報である場合には、GPS部114が現在位置情報を取得できなかったと判断し、エラー回数を計数し、エラー回数が4回以上に達した場合に、GPS通信制御部150にGPSとの通信切断の要求を出力し、サーバ通信制御部170にナビゲーションサーバ300との通信切断の要求を出力する。
【0035】
なお、かかるエラー回数の上限値は4回に限られるものではなく任意に設定することが可能である。
【0036】
さらに、案内制御部120は、GPS部114から入力された現在位置座標が目的地までの経路のうち利用者に選択された経路から所定距離以上(例えば100m以上)であるか否かを、経路中の位置座標と現在位置情報の位置座標とを比較することにより判断する。
【0037】
ここで、現在位置が経路から所定距離以上離れた場合とは、利用者が意図的に経路から離れた位置に移動した場合の他、GPSから現在位置の正確な位置座標を取得できず現在位置の誤認を生じた場合、現在位置を取得して地図データ上に現在位置を表示する際のマップマッチング処理時において座標位置が誤って表示された場合も含まれる。
【0038】
案内制御部120は、GPS部114から入力された現在位置情報が利用者が選択した経路から所定距離以上離れている位置であると判断した場合には、エラー回数を計数し、エラー回数が4回以上に達した場合に、GPS通信制御部150にGPSとの通信切断の要求を出力し、サーバ通信制御部170にナビゲーションサーバ300との通信切断の要求を出力する。
【0039】
なお、かかるエラー回数の上限値は4回に限られるものではなく任意に設定することが可能である。また、経路と現在位置との距離も100mに限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0040】
ナビゲーション情報取得部160は、通信部115およびネットワーク200を介してナビゲーションサーバ300にアクセスし、表示部110に地図を表示するための地図データ、出発地から目的地までの経路探索結果を示すデータなどのナビゲーションに必要な情報の送信を要求する。
【0041】
より具体的には、ナビゲーション情報取得部160は、現在位置を含む地図表示をなす場合には、ナビゲーション情報取得部160は、GPS部114から定期的に現在位置を示す情報を取得し、かかる現在位置を示す情報を含む地図データの配信要求をナビゲーションサーバ300に送信する。なお、配信要求は、現在位置を含む地図データの配信を既に受けている場合は行わないようにし、現在位置を含む地図データがない場合にのみ配信要求を行うようにする。また、出発地(現在位置を自動的に出発地としてもよいし、ユーザが入力して設定してもよい)、目的地、その他の探索条件(例えば、所要時間の短いもの、所要コストの低いものといった条件や、途中経由地点の情報など)などの経路探索に必要な情報を含む経路探索要求をナビゲーションサーバ300に送信する。そして、このような要求に応じてナビゲーションサーバ300から送信される地図データや経路探索結果を取得し、表示制御部130等に供給する。
【0042】
GPS通信制御部150は、経路案内の初期メニュー(図示せず)によって経路案内が開始された場合に、GPSとの通信を開始する。一方、案内制御部120からの通信切断要求を入力した場合、GPSとの通信を切断し、GPS部114によるGPSからの衛星電波を受信しない。
【0043】
サーバ通信制御部170は、経路案内の初期メニュー(図示せず)によって経路案内が開始された場合に、ナビゲーションサーバとの通信を確立する。一方、案内制御部120からの通信切断要求を入力した場合、GPSとの通信を切断し、ナビゲーションサーバ300からの各種データの受信を拒否する。
【0044】
次に、ナビゲーションサーバ300について説明する。ナビゲーションサーバ300は、図1に示すように、地図配信部310と、地図データベース(DB)320と、経路探索部330とを備えている。
【0045】
地図データベース320は、地図データを蓄積するデータベースである。地図配信部310は、ナビゲーション装置100(他のナビゲーション装置でもよい)から配信要求を受けた場合、地図データベースから当該配信要求に含まれる現在位置情報に示される地点を含む地図データを取得し、当該地図データをネットワーク200を介して要求元であるナビゲーション装置100に送信する。
【0046】
経路探索部330は、ナビゲーション装置100から経路探索要求を受けた場合、当該要求に含まれる出発地から目的地までの経路を複数探索し、経路探索結果をネットワーク200を介して要求元であるナビゲーション装置100に送信する。本実施の形態におけるナビゲーションサーバ300の経路探索部330は、出発地から目的地までの経路として、自動車を利用する経路の探索が可能であるとともに、徒歩経路、バスや電車などの公共交通機関を利用する経路、徒歩や公共交通機関の組合せを利用する経路など自動車を利用する経路以外の経路の探索を行うことができるようになっている。なお、自動車を利用する経路とは、自家用車などユーザの意図するよう自由に動くことができる自動車(オートバイを含む)を利用する場合を意味し、予め運行経路が決められたバスなどを利用する経路は含まれない。
【0047】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかるナビゲーション装置100、ナビゲーションサーバ300とを含むナビゲーションシステムによる経路案内処理について説明する。図2は、本実施の形態のナビゲーションシステムによる経路案内の全体処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
まず、本実施の形態のナビゲーション装置100の利用者が出発地、目的地等の探索条件を操作部116を介してナビゲーション装置100に入力し経路探索要求を指示する。これによりナビゲーション装置100は、入力された出発地、目的地等の探索条件を含む経路探索要求をネットワーク200を介してナビゲーションサーバ300に送信する(ステップS201)。
【0049】
ナビゲーション装置100からの経路探索要求を受けたナビゲーションサーバ300は、経路探索要求に含まれる探索条件にしたがって経路探索を行い(ステップS202)、その経路探索結果をネットワーク200を介してナビゲーション装置100に送信する(ステップS203)。
【0050】
かかる経路探索結果の配信を受けたナビゲーション装置100では、経路探索結果が表示部110に表示される(ステップS204)。
【0051】
利用者は、ナビゲーション装置100の操作部116を操作してかかる探索結果から、「ルート案内開始」または「ルート地図確認」等のような指示を入力することができる。
【0052】
次に、本実施の形態にかかるナビゲーション装置100によって実行される経路案内処理について説明する。図3は、ナビゲーション装置100による経路案内処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
経路案内の初期メニュー(図示せず)により経路案内を開始させ、まず表示制御部130によって表示部110に開始メッセージを表示する(ステップS301)。すると、GPS部114がGPS衛星から現在位置情報を受信し案内制御部120に出力するので、案内制御部120はこの現在位置情報を取得する(ステップS302)。
【0054】
次に、案内制御部120は取得した情報がエラー情報か位置座標を含む現在位置情報かを調べ、現在位置情報の取得に失敗したか否かを判断する(ステップS303)。そして、案内制御部120は、GPS部114からエラー情報を取得した場合には、現在位置情報の取得を失敗したと判断し(ステップS303:Yes)、エラー回数を1だけ増加する(ステップS304)。
【0055】
次に、案内制御部120は、かかるエラー回数が4回以上に達するまで(ステップS305)、ステップS302の現在位置情報の取得、取得失敗か否か、エラー回数の増加を繰り返し行う(ステップS305:No)。そして、エラー回数が4回以上に達した場合(ステップS305:Yes)、すなわち、GPS衛星からの現在位置情報の取得に4回連続して失敗した場合には、GPS通信制御部150に通信切断要求を出力し、これを受けたGPS通信制御部150はGPSとの通信を切断する(ステップS306)。これによって、ナビゲーション装置100は衛星電波の受信を行わないようになる。
【0056】
次に、案内制御部120は、サーバ通信制御部170に通信切断要求を出力し、これを受けたサーバ通信制御部170はネットワーク200上のナビゲーションサーバ300との通信を切断する(ステップS307)。これによって、ナビゲーション装置100は、ナビゲーションサーバ300からの経路データや地図データの受信を行わないようになる。
【0057】
そして、最後に表示制御部130によって表示部110に終了メッセージを出力し(ステップS308)、経路案内処理を終了する。
【0058】
図5は、終了メッセージの表示画面の一例を示す説明図である。図5に示すように、終了メッセージ表示画面では、現在位置を確認できなかった旨のメッセージが表示される。
【0059】
従って、現在位置情報を取得できない状況が連続して続いた場合には、GPSとの通信が切断され、かつナビゲーションサーバ300からの経路データや地図データの受信ができないため、経路案内処理が行われないことになる。
【0060】
ステップS303において、案内制御部120がGPS部114から位置座標を含む現在位置情報を取得できた場合には(ステップS303:No)、案内制御部120は、取得した現在位置情報の位置座標と利用者が選択した経路の位置座標とを比較して現在位置が経路から所定距離(例えば100m)以上離れているか否かを判断する(ステップS309)。そして、所定距離以上離れていると判断した場合には(ステップS309:Yes)、案内制御部120はエラーと判断し、エラー回数を1だけ増加する(ステップS310)。
【0061】
所定距離については任意の距離を定めることができる。携帯型ナビゲーションの場合、現在地が位置とびを起こしたり、隣接する道にマップマッチングされやすく、現在地が揺らぎやすい。一方、徒歩は移動速度が遅く、経路を誤ったと利用者が気づくと、その位置から正確な経路に戻ることが可能である。また、利用者が画面に注視して経路を誤ったか否かを判断する時間も十分とることができる。このため、直ちに経路の自動再探索を行う必要がない。経路と、経路から外れた現在位置がナビゲーション装置の表示部110に表示されていれば、利用者の判断によって正確な経路に復帰することが可能となる。また、利用者は車両の運転者と違って周囲の状況を良く確認することができるので、明らかに一時的に現在位置を誤って表示している場合など、表示に留意しながら歩行を継続することができるため、直ちに経路の自動再探索を行う必要がない。従って、経路から外れているか否かを判断する距離は100m程度が好ましい。
【0062】
次に、案内制御部120は、かかるエラー回数が4回以上に達するまで(ステップS311)、現在位置情報の取得、現在位置情報取得の失敗か否かの判断、現在位置が経路から所定距離離れているか否かの判断、エラー回数の増加を繰り返し行う(ステップS311:No)。そして、エラー回数が4回以上に達した場合(ステップS311:Yes)、すなわち、所定距離以上離れていると4回連続して判断された場合には、GPS通信制御部150に通信切断要求を出力し、これを受けたGPS通信制御部150はGPSとの通信を切断する(ステップS312)。これによって、ナビゲーション装置100は衛星電波の受信を行わないようになる。
【0063】
このように現在位置が経路から所定距離以上離れていることが4回以上判断して初めてGPS通信の切断およびナビゲーションサーバ300との通信切断を行うのは、利用者が意図的に経路を外れたのではなく、GPSから正確な現在位置情報を取得することができず、現在位置を誤認識して表示部110の画面上で現在位置が正確な現在位置とずれて表示されている場合に、再度正確な現在位置情報の取得を試みるためである。
【0064】
次に、案内制御部120は、サーバ通信制御部170に通信切断要求を出力し、これを受けたサーバ通信制御部170はネットワーク200上のナビゲーションサーバ300との通信を切断する(ステップS313)。これによって、ナビゲーション装置100は、ナビゲーションサーバ300からの経路データや地図データの受信を行わないようになる。
【0065】
次に、表示制御部130は、表示部110にメニュー表示を行う(ステップS314)。図6は、メニュー表示画面の一例を示す説明図である。図6に示すように、メニュー表示画面には、現在位置がルート(経路)から外れているため、リルート(経路の再探索)を行うか否かのメッセージが表示される。
【0066】
次に、案内制御部120は、メニュー表示画面からの利用者の入力により経路の再探索が指定されたか否かを判断する(ステップS315)。利用者がかかるメニュー表示画面で「はい」を選択した場合には、経路の再探索が指定されたことになるので(ステップS315:Yes)、案内制御部120は経路を外れた現在位置から目的地まで経路の再探索処理を実行し(ステップS316)、その後、ステップS301に戻る。
【0067】
一方、利用者がメニュー表示画面で「いいえ」を選択した場合には、経路の再探索が指定されなかったことになるので(ステップS315:No)、経路の再探索を行わず、処理を終了する。
【0068】
ステップS309において、案内制御部120によって現在位置が経路から所定距離以上離れていないと判断された場合には(ステップS309:No)、案内制御部120による経路案内処理を実行する(ステップS317)。
【0069】
図4は、このステップS317の経路案内処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、表示制御部130は、表示部110に表示されている地図上に現在位置を重畳表示する(ステップS401)。次いで、案内制御部120による経路案内が行われ(ステップS402)、現在位置取得失敗のエラー回数および現在位置が経路から所定距離以上離れている場合のエラー回数が初期化される(ステップS403)。そして、案内制御部120は、目的地に到達したか否かを判断する(ステップS404)。目的地に到達したと判断された場合には(ステップS404:Yes)、表示制御部130によって表示部110に終了メッセージ(図示せず)を表示する(ステップS405)。
【0071】
まだ目的地に到達していないと判断された場合には(ステップS404:No)、図3のステップS301に戻り、現在位置情報の取得処理から処理を繰り返す。
【0072】
このように本実施の形態にかかるナビゲーション装置100では、GPS部114によってGPSとの通信によって現在位置情報を取得し、案内制御部120によって現在位置情報を取得できたか否かを判断し、現在位置情報が取得できなかったと判断された場合に、GPS通信制御部150によってGPSとの通信を切断し、サーバ通信制御部170によってナビゲーションサーバ300との通信を切断しているので、現在位置を取得できず経路案内が不可能となった場合には、無駄な電力消費を低減することができ、またナビゲーションサーバ300から地図データの受信を行う必要がなくなり、通信料金の負担を軽減することができる。
【0073】
また、本実施の形態にかかるナビゲーション装置100では、現在位置を誤認識したり、利用者が意図的に目的地までの経路から外れて、現在位置が経路から所定距離以上離れた場合に、GPS通信制御部150によってGPSとの通信を切断し、サーバ通信制御部170によってナビゲーションサーバ300との通信を切断しているので、無駄な電力消費を低減することができ、またナビゲーションサーバ300から地図データの受信を行う必要がなくなり、通信料金の負担を軽減することができる。
【0074】
なお、本実施の形態のナビゲーション装置100では、現在位置の取得失敗および現在位置が所定距離以上離れている場合のエラーをそれぞれ4回以上行って、GPSとの通信およびナビゲーション装置100との通信を切断しているが、エラー回数をカウントせずに、現在位置の取得失敗または現在位置が所定距離以上離れていると判断した場合に直ちにGPSとの通信およびナビゲーションサーバ300との通信を切断するように構成してもよい。特に、現在位置が所定距離以上離れていると判断した場合に直ちにGPSとの通信およびナビゲーション装置100との通信を切断するように構成することで、利用者が意図的に経路を外れた場合における処理の効率を向上させることが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態においては、制御部のCPUがROM等の記憶部に格納されたプログラムにしたがって上述したような案内制御を含む処理を実行するようにしていたが、同様の処理をコンピュータに実行させるためのプログラムをインターネット等の通信回線を介してユーザに提供するようにしてもよいし、当該プログラムをCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してユーザに提供するようにしてもよい。また、上記のような処理を行う専用のハードウェア回路によって実現するナビゲーション装置として構成し、ユーザに提供等するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムは、携帯型のナビゲーションに有用である。
【符号の説明】
【0077】
100 ナビゲーション装置
110 表示部
111 音声出力部
112 音声入力部
114 GPS部
115 通信部
116 操作部
117 制御部
120 案内制御部
130 表示制御部
140 案内音声制御部
150 GPS通信制御部
160 ナビゲーション情報取得部
170 サーバ通信制御部
200 ネットワーク
300 ナビゲーションサーバ
310 地図配信部
320 地図データベース
330 経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された前記経路に基づいて経路案内を行うナビゲーション装置であって、
現在位置情報を取得する位置取得手段と、
ネットワークに接続され、前記経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する前記情報を受信する案内情報取得手段と、
前記位置取得手段によって取得された前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて、現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であるか否かを判断し、前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置ではないと判断した場合に、前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて前記経路案内を行う案内制御手段と、
前記案内制御手段によって前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であると判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記案内制御手段は、前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であると判断した回数であるエラー回数を算出し、前記エラー回数が所定回数以上であるか否かを判断し、
前記サーバ通信制御手段は、前記案内制御手段によって前記エラー回数が前記所定回数以上であると判断された場合に、前記サーバとの通信を切断することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された前記経路に基づいて経路案内を行うナビゲーション方法であって、
現在位置情報を取得する位置取得ステップと、
ネットワークに接続され、前記経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する前記情報を受信する案内情報取得ステップと、
前記位置取得ステップにて取得された前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて、現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であるか否かを判断し、前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置ではないと判断した場合に、前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて前記経路案内を行う案内制御ステップと、
前記案内制御ステップにて前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であると判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御ステップと、
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項4】
徒歩経路を含む目的地までの経路の探索結果のうち、案内開始が選択された前記経路に基づいて経路案内を行うナビゲーションプログラムであって、
現在位置情報を取得する位置取得手順と、
ネットワークに接続され、前記経路に関する情報を保存するサーバ装置から前記選択された経路に関する前記情報を受信する案内情報取得手順と、
前記位置取得手順にて取得された前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて、現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であるか否かを判断し、前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置ではないと判断した場合に、前記現在位置情報、および、前記選択された経路に関する情報に基づいて前記経路案内を行う案内制御手順と、
前記案内制御手順にて前記現在位置が前記選択された経路上の最も近い位置から所定距離以上離れた位置であると判断された場合に、前記サーバ装置との通信を切断するサーバ通信制御手順と、
をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−271326(P2010−271326A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152238(P2010−152238)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2007−291244(P2007−291244)の分割
【原出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】