説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、ナビゲーション方法を実行するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】道路混雑時、交差点を直進する車輌がよりスムーズに走行可能な走行レーンを案内可能なナビゲーション装置及びその方法を提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステムが探索した案内ルート上の交差点のうち、ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出し、当該対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定し、当該対象交差点が渋滞交差点であると判定されたとき、当該対象交差点に進入する進入リンクを構成するレーンから右折用レーンを除外してレーン設定し、当該レーンを案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路混雑時、交差点を直進する車輌がよりスムーズに走行可能な走行レーンを設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置による出発地から目的地までの経路案内に加え、当該経路を走行する車輌がスムーズに走行できるよう走行レーン(走行車線)を案内する装置が用いられるようになってきている。このようなナビゲーション装置として、例えば、車輌が交差点を右左折する際に、ディスプレイで交差点拡大図を表示したり、音声案内することにより、走行レーンを案内する装置等が挙げられる。
一方、交差点を直進する車輌への走行レーンの案内は十分でなく、特に道路混雑時において、混雑した走行レーンを回避した走行レーンを案内することが望まれていた。
本件発明に関連する従来技術を開示する特許文献1及び2も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−204514号公報
【特許文献2】特開2008−196968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、道路混雑時における交差点を直進する車輌に対して、交差点へ進入する道路(リンク)の走行レーンのうち混雑する走行レーンを回避した走行レーンを案内すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、直進走行が案内された交差点における渋滞を判断するとともに、渋滞と判定された場合に混雑する走行レーンを除外することにより、道路混雑時に対応した、よりスムーズに走行可能な走行レーンを案内できることに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
ナビゲーションシステムが探索した案内ルートを保存する案内ルート保存部と、
前記案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出部と、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定部と、
を備える、ナビゲーション装置。
【0006】
このように規定される第1の局面のナビゲーション装置によれば、案内ルートのうち直進走行が案内された交差点を抽出し、当該交差点について渋滞する交差点であるか否かを判定し、当該交差点が渋滞する交差点であると判定されたとき、当該交差点への進入リンクのうち右折用レーンを除外してレーン設定する。渋滞時においては、通行区分としての進行方向を示す路面ペイントが渋滞車輌に覆われてしまい、直進走行を案内された運転者はどのレーンを走行すれば良いか判断しづらい。したがって、上記のように、交差点における渋滞の判断とレーン設定の両方を行うことにより、ナビゲーション装置は、道路の混雑に対応した、スムーズに走行可能な走行レーンを案内することを可能にする。
【0007】
ここで、「直進走行」とは、車輌の進行方向に沿って交差点を直線的に進む場合に限られず、曲率の小さいカーブを道なりに走行する場合や、右左折を伴わない走行する場合を含むものである。
また、対象交差点が渋滞交差点であるか否の判断は、対象交差点の現在の渋滞状態に基づき判断することとしても良いし、当該対象交差点における過去の渋滞実績に基づき判断することとしても良い。現在の渋滞状態は、例えば、VICS(登録商標)データ等の渋滞情報に基づいて、判断することができる。現在の渋滞状態を判断するための他の例として、道路に設定された速度規制情報と当該道路を走行する車輌の走行速度との比較に基づく渋滞判断等が挙げられる。一方、過去の渋滞実績は、プローブデータ等に基づき予め得られた渋滞情報から判断することが可能である。また、現在の渋滞状態を蓄積すれば、過去の渋滞実績として渋滞の判断に用いることができる。
【0008】
また、「レーン」とは、道路上に描かれた白線、黄線等によって区分された通行帯を意味するものであり、「右折用レーン」とは、交差点における右折専用レーン、右折付加レーンの他、右折付加レーンに接続するレーンを含む概念である。
上記レーン設定部は、更に、左折用レーンを除外してレーン設定することとしても良い(第2の局面)。このようにレーン設定を行えば、交差点を直進する車輌のよりスムーズな走行を案内することが可能となる。
【0009】
ところで、特に道路に進路変更禁止等の交通規制が付されている場合等、当該交通規制が付されている箇所ではレーン変更ができないため、上記設定された走行レーンを案内するタイミングが重要となる。走行レーンを案内するタイミングとしては、例えば、自車位置から進路変更禁止規制の始点までの距離や到達時間に基づき、当該距離あるいは到達時間が所定閾値に達したとき、とすることができる。また、後述するように、現在の渋滞情報が得られる場合には、渋滞の始点も考慮してタイミングを決定することが好ましい。
そこで、この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定のナビゲーション装置において、前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定部と、
前記第2の判定部が進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定部と、を備える。
【0010】
このように規定される第3の局面のナビゲーション装置によれば、対象交差点に進入する進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定し、当該進路変更禁止規制が存在すると判定されたとき、当該進路変更禁止規制の始点に基づき、設定されたレーンを案内するタイミングを決定する。運転者は、進入リンクに進路変更禁止規制が付されている場合には当該規制に入る前に、レーン変更を行う必要がある。このように、進路変更禁止規制の始点を考慮して案内タイミングを決定すれば、運転者にとってより適切なタイミングでレーン案内することができる。
【0011】
上記進入リンクに敷かれた進路変更禁止規制の長さより、現在発生している渋滞の長さが長い場合、運転者は渋滞に入る前にレーン変更を行う必要がある。
そこで、この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第3の局面に規定のナビゲーション装置において、前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定部、を備え、
前記案内タイミング決定部は、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する。
このように規定される第4の局面のナビゲーション装置によれば、第1の地点に加え、渋滞に入る第2の地点を考慮して案内タイミングを決定するため、進路変更禁止規制及び現在における渋滞状態を考慮した、より実際に即したタイミングで運転者にレーン案内することができる。
【0012】
また、上記案内タイミング決定部は、更に、上記案内の対象となる車輌の現在位置から上記第1の地点又は上記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、上記案内するタイミングを決定することとできる(第5の局面)。このように案内タイミングを決定することにより、運転者の走行状況に対応した、運転者にとってより適切なタイミングでレーン案内することができる。
【0013】
また、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
ナビゲーションシステムが探索した案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出ステップと、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記第1の判定ステップが渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定ステップと、
を備える、ナビゲーション方法。
このように規定される第6の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0014】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
第6の局面に規定のナビゲーション方法において、前記レーン設定ステップは、更に、左折用レーンを除外してレーン設定する。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第6又は第7の局面に規定のナビゲーション方法において、前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップが進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定ステップと、を備える。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第8の局面に規定のナビゲーション方法において、前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定ステップ、を備え、
前記案内タイミング決定ステップは、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第8又は第9の局面に規定のナビゲーション方法において、前記案内タイミング決定ステップは、更に、前記案内の対象となる車輌の現在位置から前記第1の地点又は前記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、前記案内するタイミングを決定する。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
更に、この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
ナビゲーションするためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
ナビゲーションシステムが探索した案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出手段と、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記レーン設定手段は、更に、左折用レーンを除外してレーン設定する。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第11又は第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段が進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定手段、として機能させる。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定手段、として機能させ、
前記案内タイミング決定手段は、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第13又は第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記案内タイミング決定手段は、更に、前記案内の対象となる車輌の現在位置から前記第1の地点又は前記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、前記案内するタイミングを決定する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
第11〜第15のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第16の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の第1判定手段が渋滞判定に用いるための渋滞情報を生成する装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】渋滞情報生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施例のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施例のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施の形態のナビゲーション装置を説明する。
図1に、この発明の実施の形態のナビゲーション装置1の概略構成を示す。
図1に示すように、このナビゲーション装置1は、案内ルート保存部3、対象交差点抽出部5、対象交差点保存部7、第1判定手段9、第1保存部11、レーン設定部13及びレーン保存部15を備えている。
【0026】
案内ルート保存部3には、ナビゲーションシステムが探索した案内ルートが保存される。当該案内ルートには、リンク等の形状及びレーン情報が併せて保存されていることが好ましい。
対象交差点抽出部5は、案内ルート保存部3を参照し、案内ルート上の交差点のうち、ナビゲーションシステムで直進走行を案内されている交差点を対象交差点として抽出する。抽出された対象交差点は、対象交差点保存部7に保存される。
第1判定手段9は、案内ルート保存部3及び対象交差点保存部7を参照し、保存された対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する。例えば、第1判定手段9は、VICSデータの渋滞情報を参照し、対象交差点に進入するリンクの現在の渋滞状態を判定可能である。当該進入リンクにおいて、「渋滞」及び「混雑」のVICSデータが取得された場合、上記対象交差点を渋滞交差点と判定することができる。第1判定手段9で判定された結果は、第1保存部11に保存される。
【0027】
他の例として、第1判定手段9は、予め蓄積された対象交差点における過去の渋滞情報を参照して、対象交差点が渋滞交差点か否か判定することができる。
このような過去の渋滞実績に基づく交差点の渋滞情報は、例えば、以下のように生成することができる。
図2を用いて、渋滞情報生成装置101の一例を示す。
渋滞情報生成装置101は、地図データ保存部103、プローブ情報保存部105、右折プローブ情報選択部107、右折プローブ保存部109、右折待ち時間演算部111、右折待ち時間保存部113、比較部115、渋滞交差点判定部117及び渋滞交差点保存部119を備え、抽出された交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する。
【0028】
地図データ保存部103には地図情報が保存される。地図情報にはリンクやノードなど地図情報を規定するための道路要素に関する情報と地図に描画される情報等が含まれる。
プローブ情報保存部105には、車輌から得られるプローブ情報が保存される。当該プローブ情報には、少なくとも座標情報、速度情報、時間情報、プローブカーを特定するID情報が含まれる。GPS等の位置検出機能を有する車輌であればこれらの情報を特定することができる。
右折プローブ情報選択部107は、地図データ保存部103及びプローブ情報保存部105を参照して、交差点で右折したプローブ情報を選択する。右折したプローブ情報であるか否かは、プローブ情報が形成する走行軌跡に基づいて判定される。選択された右折プローブ情報は、右折プローブ情報保存部109に保存される。
【0029】
右折待ち時間演算部111は、選択された右折プローブ情報を形成した車輌が、交差点手前で停止した地点から交差点を通過するまでに要した時間を右折待ち時間として演算する。例えば、交差点の中心から所定距離手前(例えば、100m手前)までの区間で当該車輌が最初に停止した地点から、当該交差点の中心を通過するまでに要した時間を演算して行うことができる。演算された右折待ち時間は、右折待ち時間保存部113に保存される。
比較部115は、右折待ち時間保存部113に保存された右折待ち時間と予め設定された右折に要する上限時間とを比較する。当該上限時間としては、所定時間(例えば、1分)としても良いし、信号制御サイクルに応じて設定することとしても良い。
【0030】
渋滞交差点判定部117は、比較部115での比較結果を参照して、右折待ち時間が上限時間を超える場合、当該交差点は渋滞交差点であると判定する。判定結果は、渋滞交差点保存部119に保存される。当該渋滞交差点である旨の判定は、例えば、右折待ち時間が上限時間を超える車輌が存在する場合に判定することとしても良いし、該当する車輌が所定閾値以上である場合に当該判定を行うこととしても良い。また、対象交差点を右折した車輌の数に占める、右折待ち時間が上限を超える車輌の数が所定割合以上である場合に、渋滞交差点である旨判定することもできる。上記渋滞交差点であるか否かの情報は、時間帯、曜日、月日、季節等ごとに設定されていても良い。
上記渋滞交差点に関する情報を備えることにより、第1判定手段9は、渋滞交差点保存部119を参照し、対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定することができる。
【0031】
図1に戻り、レーン設定部13は、第1判定手段9が渋滞と判定した対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定する。上記レーン設定部13は、更に、左折用レーンを除外してレーン設定することとしても良い。設定されたレーンは、レーン保存部15に保存される。
【0032】
図3を用いて、図1に示すナビゲーション装置1の動作を説明する。
まず、ステップ1では、案内ルート保存部3を参照し、案内ルート上の交差点のうち、ナビゲーションシステムで直進走行が案内されている交差点を対象交差点として抽出し、保存する。
【0033】
ステップ3では、案内ルート保存部3及び対象交差点保存部7を参照し、保存された対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定し、判定結果を保存する。例えば、ステップ3は、第1判定手段9が、VICSデータの渋滞情報を参照することにより、対象交差点に進入するリンクの現在の渋滞状態を判定可能である。当該進入リンクにおいて、「渋滞」及び「混雑」のVICSデータが取得された場合、上記対象交差点を渋滞交差点と判定することができる。
ここで、対象交差点が渋滞交差点であるか否の判断は、当該対象交差点の現在の渋滞状態に基づき判断することとしても良いし、当該対象交差点における過去の渋滞実績に基づき判断することとしても良い。
【0034】
また、他の例として、ステップ3は、過去の渋滞実績に基づいて、対象交差点が渋滞交差点であるか否かの判定を行うこともできる。
図4を用いて、図2に示す渋滞情報生成装置101の動作を説明する。
ステップ31では、右折プローブ情報選択部107は、地図データ保存部103及びプローブ情報保存部105を参照して、交差点で右折したプローブ情報を選択し、保存する。
【0035】
ステップ33では、右折待ち時間演算部111は、ステップ31で選択された右折プローブ情報を形成した車輌が、交差点手前で停止した地点から交差点を通過するまでに要した時間を右折待ち時間として演算し、保存する。
ステップ35では、ステップ33で演算された右折待ち時間と予め設定された右折に要する上限時間とを比較する。当該比較の結果、右折待ち時間が上限時間を超えるとき(ステップ37:Yes)、ステップ39へ進み、当該交差点を渋滞交差点と判定し、保存する(ステップ39)。
そこで、ステップ3では、第1判定手段9は、渋滞交差点保存部119を参照し、対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定することとできる。
【0036】
図3に戻り、ステップ5では、ステップ3の判定結果に基づき、対象交差点が渋滞交差点であると判定されたとき(ステップ5:Yes)、ステップ7へ進む。
ステップ7では、レーン設定部13は、ステップ3で渋滞交差点であると判定された交差点へ進入する進入リンクのレーンのうち、右折用レーンを除外してレーン設定し、保存する。当該ステップ7において、更に、左折用レーンを除外してレーン設定することとしても良い。
なお、進入リンク上の直進車が対象交差点を退出する際の退出リンクにおいて、渋滞状態が判定可能であり、当該退出リンクに渋滞が認められる場合には、上記処理をキャンセルすることとしても良い。
【0037】
図5に、この発明の実施例のナビゲーション装置41を示す。
このナビゲーション装置41は、制御部410、メモリ部411、入力部412、出力部413、インターフェース部414、自車位置特定部415、車輌情報検出部416、探索部418、ナビゲーション情報保存部419及び案内ルート保存部3を備えている。
制御部410はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、ナビゲーション装置41を構成する他の要素を制御する。
メモリ部411にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部410に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムはDVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0038】
入力部412は出発地や目的地の設定、日照状態に関するモードの選択等に用いられる。入力部412としてディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル式の入力装置を用いることができる。
出力部413はディスプレイを含み、ナビゲーションに必要な地図情報、その他の情報を表示する。すなわち、出力部413は、レーン保存部15に保存されたレーンを案内する。当該案内は、渋滞を考慮して設定されたレーンを強調して表示することにより行うことができる。また、この出力部413は音声案内装置を含むこともできる。例えば、「まもなく、進路変更禁止区間に入ります。左から2番目のレーンを走行してください。」等の音声案内を行うこととできる。
インターフェース部414はナビゲーション装置41を無線ネットワーク等へ連結させる。
自車位置特定部415はGPS装置やジャイロ装置を用いて利用者端末の現在の位置を特定する。
【0039】
車輌情報検出部416は自車の走行状態を表す車輌情報を検出する。車輌情報としては、例えば、速度情報を備えることが好ましい。更には、エンジン回転数、アクセル開度、ストップランプ、シフトレバー情報、プローブカーを特定するID情報、座標情報、時間情報、方位情報、高度情報、前後加速度、ヨーレイト、ABSウォーニングランプ、燃料消費量、舵角(ハンドルの回転角度情報)、バッテリ残量等を備えていてもよい。
探索部418は指定された出発地から目的地までの経路を探索する。車輌利用者が目的地を設定すると、ナビゲーション装置が作動して目的地までの案内ルートが探索される。当該探索された案内ルートは、後述する案内ルート保存部3に保存される。
【0040】
ナビゲーション情報保存部419は、地図情報保存部421、道路情報保存部423、レーン保存部15を備える。
地図情報保存部421には地図情報が保存される。地図情報にはリンクやノードなど地図情報を規定するための道路要素に関する情報と地図に描画される情報等が含まれる。
道路情報保存部423には道路や交差点など各道路要素の特性を規定する道路情報が保存される。例えば、道路(リンク)の特性を規定する道路情報として、道路種別、道路幅、車線数、走行規制及びその他がある。ここでは、走行規制のうち、特に、進路変更禁止規制に関する情報が保存される。進路変更禁止規制に関する情報としては、当該規制の有無の他、進路変更禁止規制が敷かれている距離等が挙げられる。
【0041】
レーン保存部15には、前述した案内の対象となるレーンが進入リンクと関連付けられて保存されている。
案内ルート保存部3には、上述したように、探索部418で探索された経路が保存される。当該案内ルートには、リンク等の形状及びレーン情報が併せて保存されていることが好ましい。
【0042】
図6に、他の実施例のナビゲーション装置51を示す。図6において、図1及び図5と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図6に示すのは、設定されたレーンを運転者に案内するためのタイミングを決定可能なナビゲーション装置51である。すなわち、当該ナビゲーション装置51は、図5に示すナビゲーション装置41において、直進交差点特定部23、第2判定部25、第2保存部27、案内タイミング決定部29及びレーン案内部31を更に備えている。
【0043】
直進交差点特定部23は、自車位置特定部415、案内ルート保存部3及び第1保存部11を参照して、自車が走行中のリンクに接続する渋滞交差点であって、直進走行が案内されている交差点を特定する。当該直進交差点は、直進走行が案内されている渋滞交差点であれば良く、進行方向前方の直近の交差点の他、直近の交差点の一つ先の交差点等を特定可能である。
【0044】
第2判定部25は、第1保存部11及び道路情報保存部423を参照して、上記直進交差点への進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する。第2判定部25で判定された結果は、第2保存部27に保存される。
案内タイミング決定部29は、運転者に対してレーン案内を実行するタイミングを決定する。すなわち、道路情報保存部423及び第2保存部27を参照して、直進交差点への進入リンクに敷かれた進路変更禁止規制に入る第1の地点に基づき、案内タイミングを決定する。
【0045】
案内タイミング決定部29は、さらに、案内対象となる車輌の現在位置から第1の地点又は第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づいて、案内タイミングを決定することも可能である。このように案内タイミングを決定することにより、運転者の走行状況に対応した、運転者にとってより適切なタイミングでレーン案内を行うことができる。
また、他にも、案内タイミング決定部29は、当該進入リンクにおける、現在の渋滞状態を判定し、渋滞に入る第2の地点に基づき、案内タイミングを決定することもできる。更には、案内タイミング決定部29は、第1の地点及び第2の地点の両方を参照して案内タイミングを決定することとしても良い。
レーン案内部31は、案内タイミング決定部29において案内タイミングが決定されると、レーン保存部15に保存されたレーンを参照して、予め設定されたメッセージとともに、レーン変更のための案内を行う。
【0046】
図7を用いて、図6に示すナビゲーション装置51の動作を説明する。図7において、図3と同一のステップには同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
ステップ51では、直進交差点特定部23は、自車位置特定部415及び案内ルート保存部3を参照し、自車が走行中のリンクに接続する交差点を特定する。さらに、第1保存部11を参照し、ステップ51で特定された交差点が直進案内された渋滞交差点である場合(ステップ53:Yes)、ステップ55へ進む。
【0047】
ステップ55では、第2判定部25は、道路情報保存部423を参照し、ステップ51及びステップ53で特定された交差点(直進交差点)への進入リンクに進路変更禁止規制が付されているか否かを判定し、保存する。進入リンクに進路変更禁止規制があると判定されたとき(ステップ55:Yes)、ステップ57へ進む。
ステップ57では、案内タイミング決定部29は、自車の現在位置から進路変更禁止規制の始点までの距離Kを演算する。
【0048】
ステップ59では、ステップ57で演算された距離Kと閾値距離hとを比較する。閾値距離hは、車輌運転者がレーン変更するために要する距離(例えば、150m)を予め設定しておくことができる。
上記比較により、距離Kが閾値距離h以下であるとき(ステップ59:Yes)、案内タイミング決定部29は、レーン保存部15を参照して、当該レーンへの変更案内を行うための信号をレーン案内部31へ出力する(ステップ60)。
【0049】
図8に示すのは、図6に示すナビゲーション装置51が、上記第1の地点及び第2の地点の両方を参照して案内タイミングを決定する場合の動作を示すフローチャートである。図8において、図3及び図7と同一のステップには同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
ステップ61では、ステップ51及びステップ53で特定された直進交差点について、第2判定部25は、現在の渋滞情報(例えば、VICSデータ等)を参照し、直進交差点において、現在渋滞が発生しているか否かを判定し、保存する。直進交差点に渋滞が発生していると判定されたとき(ステップ61:Yes)、ステップ63へ進む。
ステップ63では、案内タイミング決定部29は、自車の現在位置から渋滞に入る地点までの距離Lを演算する。
【0050】
ステップ65では、ステップ57で演算された距離Kとステップ63で演算された距離Lとを比較する。当該比較の結果、距離Kが距離L以下であるとき(ステップ65:Yes)、ステップ67へ進む。この場合、上記案内タイミングは、進路変更禁止規制の始点より、渋滞へ入る地点を考慮して決定されることが好ましい。
ステップ67では、ステップ63で演算された距離Lと閾値距離hとを比較する。
上記比較により、距離Lが閾値距離h以下であるとき(ステップ67:Yes)、案内タイミング決定部29は、レーン保存部15を参照して、当該レーンへの変更案内を行うための信号をレーン案内部31へ出力する(ステップ60)。
【0051】
一方、ステップ65の比較の結果、距離Kが距離Lを超えるとき(ステップ65:No)、ステップ59へ進む。この場合、上記案内タイミングは、渋滞へ入る地点より、進路変更禁止規制の始点を考慮して決定されることが好ましい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0053】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 41 51 ナビゲーション装置
3 対象交差点抽出部
9 第1判定手段
13 レーン設定部
23 直進交差点特定部
25 第2判定部
29 案内タイミング決定部
31 レーン案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステムが探索した案内ルートを保存する案内ルート保存部と、
前記案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出部と、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定部と、
を備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記レーン設定部は、更に、左折用レーンを除外してレーン設定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定部と、
前記第2の判定部が進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定部と、
を備える、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定部、を備え、
前記案内タイミング決定部は、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する、
請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内タイミング決定部は、更に、前記案内の対象となる車輌の現在位置から前記第1の地点又は前記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、前記案内するタイミングを決定する、請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
ナビゲーションシステムが探索した案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出ステップと、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記第1の判定ステップが渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定ステップと、
を備える、ナビゲーション方法。
【請求項7】
前記レーン設定ステップは、更に、左折用レーンを除外してレーン設定する、請求項6に記載のナビゲーション方法。
【請求項8】
前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップが進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定ステップと、
を備える、請求項6又は7に記載のナビゲーション方法。
【請求項9】
前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定ステップ、を備え、
前記案内タイミング決定ステップは、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する、
請求項8に記載のナビゲーション方法。
【請求項10】
前記案内タイミング決定ステップは、更に、前記案内の対象となる車輌の現在位置から前記第1の地点又は前記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、前記案内するタイミングを決定する、請求項8又は9に記載のナビゲーション方法。
【請求項11】
ナビゲーションするためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
ナビゲーションシステムが探索した案内ルート上の交差点のうち、前記ナビゲーションシステムが直進走行を案内する交差点を対象交差点として抽出する対象交差点抽出手段と、
前記対象交差点が渋滞交差点であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が渋滞と判定した前記対象交差点に進入する進入リンクにおいて、右折用レーンを除外してレーン設定するレーン設定手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
前記レーン設定手段は、更に、左折用レーンを除外してレーン設定する、請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、更に、
前記進入リンクに進路変更禁止規制が存在するか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段が進路変更禁止規制ありと判定したとき、前記進路変更禁止規制が始まる第1の地点に基づき、設定された前記レーンを案内するタイミングを決定する案内タイミング決定手段、
として機能させる、請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、更に、
前記進入リンクにおいて、現在渋滞が発生しているか否かを判定する第3の判定手段、として機能させ、
前記案内タイミング決定手段は、前記第1の地点及び現在において渋滞に入る第2の地点のうち、前記案内の対象となる車輌の現在位置からいずれか近い方の地点に基づき、前記タイミングを決定する、
請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記案内タイミング決定手段は、更に、前記案内の対象となる車輌の現在位置から前記第1の地点又は前記第2の地点までの到達距離及び/又は到達時間に基づき、前記案内するタイミングを決定する、請求項13又は14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項11〜請求項15のいずれかに記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198043(P2012−198043A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60794(P2011−60794)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】