説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】ユーザが地点に対して付与したコメントを利用して作成された地点情報に基づいて、走行ルートを適切に設定する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、ユーザが地点に付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段と、コメント情報から固有表現を抽出する固有表現抽出手段と、地点に対して固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段と、地点情報を用いて地点の特徴度を算出する特徴度算出手段と、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段と、ユーザが指定した条件に応じて、特徴度に基づいて走行ルート候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段と、を備える。これにより、ユーザが地点に対して付与したコメントにより作成された地点情報に基づいて、走行ルート候補を適切に順位付けすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに目的地までの走行ルートを案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、目的地までのルート探索を行い、表示画面に表示された地図上に目的地までの走行ルートを示すナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1には、地点情報のデータベースを用いてユーザの希望(嗜好)に一致した情報を検索して、その地点を経由するルートを設定する技術が提案されている。具体的には、当該技術では、ユーザより指定された第1地点と第2地点との間でユーザ情報に関連する広告提供者の施設を抽出し、抽出された複数の施設のいくつかを経由する複数の走行ルートのうち、ユーザの設定した条件に適合する走行ルートを設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4080649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、ユーザが地点に対して付与したコメントを利用して、特徴のある地点に関する情報を適切に生成し、当該情報に基づいて走行ルートを設定することが困難であった。つまり、ユーザより地域特有の表現が付与された地点を含めた走行ルートを案内することが困難であった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、ユーザが地点に対して付与したコメントを利用して作成された地点情報に基づいて、走行ルートを適切に設定することが可能なナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、ナビゲーション装置は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段と、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段と、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段と、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段と、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段と、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段と、前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段と、を備える。
【0007】
請求項7に記載の発明では、ナビゲーション方法は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得工程と、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出工程と、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶工程と、前記地点情報記憶工程で記憶された前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として記憶させる特徴度算出工程と、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得工程と、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索工程と、前記ユーザ条件取得工程で取得された前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け工程と、を備える。
【0008】
請求項8に記載の発明では、コンピュータを備える装置によって実行されるナビゲーションプログラムは、前記コンピュータを、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段、前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例に係るナビゲーション装置の概略構成を示す。
【図2】本実施例に係るナビゲーション装置の機能構成を示す。
【図3】コメント情報数値化部の機能構成を示す。
【図4】地点情報の一部の情報を示した具体例を示す。
【図5】付帯情報記憶処理部の処理を示すフローチャートである。
【図6】固有表現の抽出結果の具体例を示す。
【図7】固有表現及び出現回数を地点情報記憶部に記憶させるための処理を示すフローチャートである。
【図8】分布密度の算出方法を具体的に説明するための図を示す。
【図9】分布密度や特徴度などを有する地点情報の具体例を示す。
【図10】特徴度の算出処理を示すフローチャートである。
【図11】コメント情報数値化部の全体処理を示すフローチャートである。
【図12】ルート順位付け部の機能構成を示す。
【図13】範囲判定部が用いる選出範囲の具体例を示す。
【図14】地点情報の選出処理を示すフローチャートである。
【図15】優先度設定の具体例を説明するための図を示す。
【図16】優先度の設定処理を示すフローチャートである。
【図17】走行ルート候補の順位付けの具体例を示す。
【図18】走行ルート候補の順位付け処理を示すフローチャートである。
【図19】ルート順位付け部の全体処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの観点では、ナビゲーション装置は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段と、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段と、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段と、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段と、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段と、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段と、前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段と、を備える。
【0011】
上記のナビゲーション装置は、移動体に好適に搭載される。コメント情報取得手段は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得する。例えば、コメント情報取得手段は、ユーザが、キー、スイッチ、ボタン、リモコンや、タッチパネルや、音声などを用いて入力したコメントを含むコメント情報を取得する。固有表現抽出手段は、コメント情報を解析することで、地点における特有の表現を示す固有表現を抽出し、地点情報記憶手段は、このような固有表現を当該地点に対して対応付けた地点情報を記憶する。特徴度算出手段は、地点情報記憶手段が記憶している地点情報を用いて、つまり他の地点に関する地点情報の内容も考慮して、地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出する。そして、特徴度算出手段は、当該特徴度を地点情報として地点情報記憶手段に記憶させる。ユーザ条件取得手段は、ユーザが指定した、走行ルートの探索に関する条件を取得する。走行ルート探索手段は、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する。例えば、走行ルート探索手段は、出発地から経由地を経て目的地までの最短ルートを、走行ルート候補として探索する。走行ルート候補順位付け手段は、ユーザが指定した条件に応じて、地点情報記憶手段に記憶された特徴度に基づいて走行ルートの候補を順位付けする。上記のナビゲーション装置によれば、ユーザが地点に対して付与したコメントにより作成された地点情報に基づいて、走行ルート候補を適切に順位付けすることができる。
【0012】
上記のナビゲーション装置の一態様では、前記特徴度算出手段は、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点を含む所定範囲内における同一の前記固有表現の分布密度を算出し、前記分布密度に基づいて前記特徴度を算出する。
【0013】
この態様によれば、同一の固有表現を有する地点の分布密度に基づいて特徴度を算出するため、抽出した固有表現がその地域特有の表現であることが明瞭となる。例えば固有表現の分布密度の高い範囲に位置する地点において特徴値が大きくなるため、その固有表現が地域固有の表現であるという判断が容易となる。これにより、ユーザより地域特有の表現が付与された地点を含めた走行ルートを、適切に案内することが可能となる。
【0014】
上記のナビゲーション装置において好適には、前記特徴度算出手段は、前記地点において同一の前記固有表現が出現した回数と前記分布密度とを積算することで得られた値、及び前記地点で出現した前記固有表現の種類数に基づいて前記特徴度を算出することができる。
【0015】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記ユーザ条件取得手段は、ユーザから、前記走行ルートを設定する場合に用いる前記地点情報を選出するための選出条件を取得し、前記走行ルート候補順位付け手段は、前記選出条件に応じて前記地点情報記憶手段から前記地点情報を選出し、当該地点情報が有する前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする。これにより、ユーザから指定された条件を満たす地点情報を適切に選出して、当該地点情報に基づいて、走行ルートの候補を順位付けすることができる。
【0016】
好適な例では、前記選出条件は、前記走行ルートの候補におけるルート上の位置から前記地点情報に対応する地点までの距離の範囲に関する条件と、前記地点情報の期間の範囲に関する条件と、走行ルートの設定時において過去に前記地点情報が選出された回数の範囲に関する条件と、を有する。
【0017】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記走行ルート探索手段は、前記走行ルートの候補を探索した際に、当該走行ルートの候補に対して順位を設定し、前記走行ルート候補順位付け手段は、選出した前記地点情報が有する前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補の各々について優先度を算出し、前記優先度及び前記走行ルート探索手段が設定した前記順位に基づいて、前記走行ルートの候補を順位付けする。
【0018】
この態様では、地点情報の特徴度に基づいて走行ルート候補に対して優先度を設定し、当該優先度及び走行ルート探索手段が設定した順位の両方を考慮して、走行ルート候補を順位付けする。これにより、例えば走行ルートの想定時間などに対して、地点情報の内容も加味して、走行ルート候補を適切に順位付けすることができる。
【0019】
本発明の他の観点では、ナビゲーション方法は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得工程と、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出工程と、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶工程と、前記地点情報記憶工程で記憶された前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として記憶させる特徴度算出工程と、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得工程と、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索工程と、前記ユーザ条件取得工程で取得された前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け工程と、を備える。
【0020】
本発明の更に他の観点では、コンピュータを備える装置によって実行されるナビゲーションプログラムは、前記コンピュータを、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段、前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段、前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段、ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段、地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段、前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段、として機能させる。
【0021】
上記のナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムによっても、ユーザが地点に対して付与したコメントにより作成された地点情報に基づいて、走行ルート候補を適切に順位付けすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0023】
[ナビゲーション装置]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0024】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備え、自立測位センサとして機能する。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0025】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0026】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0027】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0028】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0029】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0030】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。データ記憶ユニット36は、地図情報が記憶された地図データベースを有する。
【0031】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタなどから配信される情報を取得する。
【0032】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0033】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、又はBD−ROM、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0034】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0035】
[機能構成]
次に、図2を参照して、本実施例におけるナビゲーション装置1の機能構成について説明する。
【0036】
図2に示すように、ナビゲーション装置1は、コメント情報取得部101と、ユーザ条件取得部102と、位置・時間情報取得部103と、コメント情報数値化部105と、地点情報記憶部106と、走行ルート探索部107と、ルート順位付け部108と、を有する。ここでは、各構成要素の説明を簡単に行う。
【0037】
コメント情報取得部101は、ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得する。ここで、コメント情報は、ユーザがコメントを付与した地点における対象地点名及び位置情報(緯度及び経度)を有する付帯情報と、ユーザが付与したコメント(例えばテキスト形式)及び時間情報(年月日時)を有するコメント内容と、を具備する。対象地点名は、地図データベースに記憶された地図情報が有する情報であり、位置情報及び時間情報は、GPS受信機18が受信した情報である。また、コメントは、ユーザが、例えば、キー、スイッチ、ボタン、リモコンや、タッチパネルや、音声などを用いて入力した情報である。コメント情報取得部101は、取得したコメント情報をコメント情報数値化部105に供給する。コメント情報取得部101は、前述した入力装置60を具備して構成される。なお、コメント情報取得部101は、コメント情報取得手段として機能する。
【0038】
ユーザ条件取得部102は、ユーザが指定した走行ルートの探索に関する条件(以下、「ユーザ指定条件」と呼ぶ。)を取得する。例えば、ユーザ条件取得部102は、ユーザが、キー、スイッチ、ボタン、リモコンや、タッチパネルや、音声などを用いて入力したユーザ指定条件を取得する。ここで、ユーザ指定条件には、ユーザが指定した経由地及び目的地などの条件が含まれる。ユーザ条件取得部102は、取得したユーザ指定条件に関する情報を走行ルート探索部107及びルート順位付け部108に供給する。ユーザ条件取得部102は、前述した入力装置60に相当する。なお、ユーザ条件取得部102は、ユーザ条件取得手段として機能する。
【0039】
位置・時間情報取得部103は、前述したGPS受信機18に相当し、現在位置の情報及び時間情報を取得する。位置・時間情報取得部103は、取得した現在位置の情報及び時間情報を走行ルート探索部107に供給する。
【0040】
コメント情報数値化部105は、コメント情報取得部101からコメント情報を取得し、当該コメント情報を数値化する処理を行い、地点情報記憶部106は、このように数値化することで得られた情報を含む地点情報を記憶する。この場合、コメント情報数値化部105は、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照して、コメント情報に関する統計的な処理を行う。コメント情報数値化部105の動作及び地点情報については、詳細は後述する。コメント情報数値化部105は前述したシステムコントローラ20に相当し、地点情報記憶部106は前述したデータ記憶ユニット36に相当する。なお、コメント情報数値化部105は固有表現抽出手段及び特徴度算出手段として機能し、地点情報記憶部106は地点情報記憶手段として機能する。
【0041】
走行ルート探索部107は、位置・時間情報取得部103から現在位置の情報及び時間情報を取得すると共に、ユーザ条件取得部102から経由地及び目的値の情報を取得する。そして、走行ルート探索部107は、地図データベースに記憶された地図情報に基づいて、公知の手法を用いて、出発地(現在地)から経由地を経由した目的地までの走行ルートの候補(以下、「走行ルート候補」とも呼ぶ。)を探索する。この場合、走行ルート探索部107は、走行ルート候補の他に、走行ルート候補の数、及び走行ルート候補の順位を含む情報(以下、「ルート情報」と呼ぶ。)を生成する。例えば、走行ルート探索部107は、出発地から経由地を経て目的地までの最短ルートを、走行ルート候補に設定する。走行ルート探索部107は、生成したルート情報をルート順位付け部108に供給する。走行ルート探索部107は、前述したシステムコントローラ20に相当する。なお、走行ルート探索部107は、走行ルート探索手段として機能する。
【0042】
ルート順位付け部108は、ユーザ条件取得部102からユーザ指定条件を取得すると共に、走行ルート探索部107からルート情報を取得する。ルート順位付け部108は、走行ルート探索部107が探索した走行ルート候補を順位付けする。具体的には、ルート順位付け部108は、ユーザ指定条件に応じて、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を選出し、選出された地点情報に基づいて走行ルート候補を順位付けする。ルート順位付け部108の動作については、詳細は後述する。ルート順位付け部108は、前述したシステムコントローラ20に相当する。なお、ルート順位付け部108は、走行ルート候補順位付け手段として機能する。
【0043】
[コメント情報数値化部の動作]
次に、上記したコメント情報数値化部105の動作について具体的に説明する。
【0044】
図3は、コメント情報数値化部105の機能構成を示す。図3に示すように、コメント情報数値化部105は、コメント情報分離部105aと、付帯情報記憶処理部105bと、固有表現抽出部105cと、特徴度算出部105dと、テキスト辞書部105eと、を有する。ここでは、各構成要素の説明を簡単に行う。
【0045】
コメント情報分離部105aは、コメント情報取得部101からコメント情報を取得し、当該コメント情報を付帯情報とコメント内容とに分離する処理を行う。具体的には、コメント情報分離部105aは、取得されたコメント情報を、対象地点名及び位置情報(緯度及び経度)を有する付帯情報と、コメント(テキスト形式)及び時間情報(年月日時)を有するコメント内容とに分離する。コメント情報分離部105aは、分離したコメント内容を固有表現抽出部105cに供給すると共に(矢印d1参照)、分離した付帯情報を付帯情報記憶処理部105bに供給する(矢印d2参照)。この場合、付帯情報のうち位置情報は、固有表現抽出部105cの固有表現特定部105c3及び特徴度算出部105dにも供給される(矢印d2a、d2b参照)。また、コメント内容が有する時間情報は、付帯情報記憶処理部105bにも供給される。
【0046】
付帯情報記憶処理部105bは、コメント情報分離部105aから付帯情報を取得し、付帯情報を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。具体的には、付帯情報記憶処理部105bは、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照しながら、付帯情報を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。
【0047】
図4は、地点情報記憶部106が記憶する地点情報の具体例を示している。図4に示すように、地点情報は、対象地点名及び位置情報を有する付帯情報と、時間情報を有するコメント内容とを具備する。なお、ここでは、地点情報の一部の情報のみを図示している。
【0048】
図3に戻って説明する。固有表現抽出部105cは、形態素解析部105c1と、係り受け解析部105c2と、固有表現特定部105c3と、を有する。固有表現抽出部105cは、主に、コメント情報分離部105aからコメント内容を取得し、当該コメント内容に含まれるコメントから、地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する処理を行う。
【0049】
具体的には、形態素解析部105c1は、コメントから単語を抽出し、係り受け解析部105c2は、文構造解析や関連(修飾)解析を行う。この場合、形態素解析部105c1及び係り受け解析部105c2は、テキスト辞書部105eに収録された単語や文やパターンを参照することで、このような解析を行う。そして、固有表現特定部105c3は、形態素解析部105c1及び係り受け解析部105c2での解析結果に基づいて、固有表現の抽出を行う。また、固有表現特定部105c3は、1つのコメント内に同一の固有表現が出現した回数(出現回数)を求める。固有表現特定部105c3は、得られた固有表現及び出現回数を、特徴度算出部105d及び地点情報記憶部106に供給する。この場合、固有表現特定部105c3は、コメント情報分離部105aから取得された位置情報に基づいて(矢印d2a参照)、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照することで、固有表現及び出現回数を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。
【0050】
特徴度算出部105dは、固有表現特定部105c3から固有表現及び出現回数を取得し、これらの情報に基づいて、ユーザよりコメントが付与された地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出する。この場合、特徴度算出部105dは、コメント情報分離部105aから取得された位置情報に基づいて(矢印d2b参照)、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照することで、コメントが付与された地点を含む所定範囲内における同一の固有表現の分布密度を算出し、当該分布密度に基づいて特徴度を算出する。分布密度は、コメントが付与された地点を含む所定範囲内において、当該コメントから抽出された固有表現と同一の固有表現が出現した回数を示す値である。そして、特徴度算出部105dは、算出した分布密度や特徴度を地点情報記憶部106に供給する。
【0051】
以下で、付帯情報記憶処理部105b、固有表現抽出部105c、及び特徴度算出部105dの動作を具体的に説明する。
【0052】
(付帯情報記憶処理部の動作)
図5を参照して、付帯情報記憶処理部105bの動作について具体的に説明する。図5は、付帯情報記憶処理部105bの処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS101では、付帯情報記憶処理部105bは、地点情報記憶部106から地点情報を取得すると共に、コメント情報分離部105aから付帯情報を取得する。そして、処理はステップS102に進む。
【0054】
ステップS102では、付帯情報記憶処理部105bは、付帯情報が有する対象地点名及び位置情報と同一の地点名及び位置情報を有する地点情報が、地点情報記憶部106に記憶されているか否かを判定する。
【0055】
同一の地点名及び位置情報を有する地点情報が地点情報記憶部106に記憶されている場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進む。ステップS103では、付帯情報記憶処理部105bは、地点情報記憶部106に記憶されている地点情報が有する対象地点名及び位置情報を維持する。なお、この場合、付帯情報記憶処理部105bは、時間情報については、固有表現を記憶させる際に用いる時間情報として保持する。そして、処理は終了する。
【0056】
これに対して、同一の地点名及び位置情報を有する地点情報が地点情報記憶部106に記憶されていない場合(ステップS102;No)、処理はステップS104に進む。ステップS104では、付帯情報記憶処理部105bは、コメント情報分離部105aから取得された対象地点名及び位置情報を、新規の地点情報として地点情報記憶部106に記憶させる。つまり、付帯情報記憶処理部105bは、番号を付与して地点情報を新たに作成して、対象地点名及び位置情報を当該地点情報の一部の情報として記憶させる。なお、この場合、付帯情報記憶処理部105bは、時間情報については、固有表現を記憶させる際に用いる時間情報として保持する。そして、処理は終了する。
【0057】
(固有表現抽出部の動作)
次に、図6及び図7を参照して、固有表現抽出部105cの動作を具体的に説明する。
【0058】
前述したように、固有表現抽出部105cは、コメント情報分離部105aからコメント内容を取得し、コメント内容に含まれるコメントから固有表現を抽出する。具体的には、形態素解析部105c1は、テキスト辞書部105eに収録された単語や文やパターンを参照することで、コメントから単語を抽出する。係り受け解析部105c2は、形態素解析部105c1で抽出された単語に対して、テキスト辞書部105eに収録された単語や文やパターンを参照することで、文の構造の解析や関連(修飾)の解析を行う。そして、固有表現特定部105c3は、形態素解析部105c1及び係り受け解析部105c2での解析結果に基づいて、固有表現の抽出を行う。
【0059】
なお、固有表現特定部105c3は、このような固有表現の抽出と同時に固有表現の出現回数の算出を行うが、固有表現と関連している表現はその固有表現と同義で扱い、出現回数もその固有表現に加える。
【0060】
図6は、固有表現抽出部105cによる固有表現の抽出結果の具体例を示している。ここでは、ユーザが「ここは春になると桜吹雪が綺麗だね」といったコメントを地点に対して付与した場合を一例として挙げる。この例では、テキスト辞書部105eに収録された「ここ」、「春」、「なる」、「桜」、「吹雪」、「綺麗」といった単語などが用いられることで、ユーザが付与したコメントは、「ここは/春/に/なる/と/桜/吹雪/が/綺麗/だ/ね」といった具合に解析が行われる。そして、このような解析結果より、「春」、「桜吹雪」、「綺麗」といった固有表現が抽出される。この場合、解析により得られた「桜」と「吹雪」とを結合する処理が固有表現特定部105c3によって行われることで、「桜吹雪」が固有表現として抽出される。更に、固有表現特定部105c3によって、抽出された各々の固有表現の出現回数が算出される。この例では、抽出された各々の固有表現は当該コメント内において1回しか出現していないため、全ての固有表現の出現回数は1回となる。
【0061】
なお、コメントから抽出された単語を全て固有表現として用いる必要はない。固有表現特定部105c3が、コメントから抽出された単語に対して、地点における特有の表現を示す単語であるか否かの判断を行い、地点における特有の表現を示す単語と決定されたもののみを固有表現として用いることができる。例えば、その地域に由来する単語や、ユーザの感情を表す単語などを、地点における特有の表現を示す単語として決定することができる。
【0062】
ここで、固有表現特定部105c3は、このようにして求められた固有表現及び出現回数を地点情報記憶部106に記憶させる。具体的には、固有表現特定部105c3は、前述した付帯情報記憶処理部105bが付帯情報を用いて新規の地点情報を作成した場合には、新規の地点情報に対して、固有表現及び出現回数を記憶させる。これに対して、固有表現特定部105c3は、付帯情報記憶処理部105bが新規で地点情報を作成していない場合には、地点情報記憶部106が既に記憶している地点情報に対して、つまり既存の地点情報に対して、固有表現及び出現回数を記憶させる処理を行う。
【0063】
より具体的には、固有表現特定部105c3は、抽出した固有表現と同一の固有表現を既存の地点情報が有していない場合には、抽出した固有表現及び当該固有表現の出現回数を既存の地点情報に対して新たに記憶させる。これに対して、固有表現特定部105c3は、抽出した固有表現と同一の固有表現を既存の地点情報が有している場合には、固有表現を記憶させる処理を行わずに、既存の地点情報が有する固有表現の出現回数に対して、抽出した固有表現の出現回数を加算する処理のみを行う。
【0064】
なお、固有表現特定部105c3によって求められる出現回数は、ユーザが付与した1つのコメント内において同一の固有表現が出現した回数であるが、地点情報記憶部106が記憶する地点情報が有する出現回数は、同一の地点において同一の固有表現が出現した回数である。
【0065】
図7は、固有表現特定部105c3が行う、固有表現及び出現回数を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS201では、固有表現特定部105c3は、地点情報記憶部106から地点情報を取得すると共に、抽出された固有表現及び当該固有表現の出現回数を取得する。そして、処理はステップS202に進む。
【0067】
ステップS202では、固有表現特定部105c3は、付帯情報記憶処理部105bにおいて付帯情報により新規の地点情報が作成されたか否かを判定する。新規の地点情報が作成された場合(ステップS202;Yes)、処理はステップS206に進む。ステップS206では、固有表現特定部105c3は、付帯情報記憶処理部105bが作成した新規の地点情報に対して、固有表現及び出現回数を記憶させると共に、付帯情報記憶処理部105bによって保持されていた時間情報を記憶させる。そして、処理は終了する。
【0068】
これに対して、新規の地点情報が作成されていない場合(ステップS202;No)、処理はステップS203に進む。ステップS203では、固有表現特定部105c3は、抽出した固有表現と同一の固有表現を有する地点情報を、地点情報記憶部106が記憶していないか否かを判定する。この場合、固有表現特定部105c3は、地点情報記憶部106が記憶している地点情報の中で、抽出した固有表現に対応する付帯情報と同一の付帯情報を有する地点情報に対して、このような判定を行う。
【0069】
抽出した固有表現と同一の固有表現が記憶されていない場合(ステップS203;Yes)、処理はステップS204に進む。ステップS204では、固有表現特定部105c3は、地点情報記憶部106が既に記憶している地点情報に対して、固有表現及び出現回数を新たに記憶させると共に、付帯情報記憶処理部105bによって保持されていた時間情報を記憶させる。そして、処理は終了する。
【0070】
これに対して、抽出した固有表現と同一の固有表現が記憶されている場合(ステップS203;No)、処理はステップS205に進む。ステップS205では、固有表現特定部105c3は、地点情報記憶部106が既に記憶している地点情報に対して、当該地点情報が有する固有表現の出現回数を、抽出した固有表現の出現回数だけ加算して記憶させると共に、付帯情報記憶処理部105bによって保持されていた時間情報を記憶させる。そして、処理は終了する。
【0071】
(特徴度算出部の動作)
次に、図8乃至図9を参照して、特徴度算出部105dの動作を具体的に説明する。
【0072】
前述したように、特徴度算出部105dは、固有表現抽出部105cから固有表現及び出現回数を取得し、これらに基づいて、ユーザよりコメントが付与された地点についての特徴度を算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照することで、コメントが付与された地点を含む所定範囲内における同一の固有表現の分布密度を算出し、当該分布密度に基づいて特徴度を算出する。つまり、特徴度算出部105dは、地図上で規定された範囲において、同一の固有表現を有する地点(位置座標)の分布密度を算出する。
【0073】
詳しくは、地点情報記憶部106は、地図上で規定した範囲に関する情報(以下、「範囲情報」と呼ぶ。)を記憶しており、特徴度算出部105dは、コメントが付与された地点の位置情報(コメント情報分離部105aから取得される情報)を範囲情報と照合することで、当該地点が属する範囲を検索する。そして、特徴度算出部105dは、検索された範囲において同一の固有表現を有する地点情報を地点情報記憶部106から検索することで、当該範囲における当該固有表現の分布密度を算出する。
【0074】
ここで、ある地点の位置座標を「Pi(x、y)」と表記し、範囲情報を「Pn(xn−1〜x、yn−1〜y)」と表記すると、PiがPnに属する条件は「xn−1<x<x」かつ「yn−1<y<y」となる。また、PiがPnに属する場合において、Pnの範囲において同一の固有表現の分布密度Dは、以下の式(1)より算出される。
【0075】
【数1】

【0076】
図8は、分布密度の算出方法の具体例を説明するための図を示す。図8は、横軸にx(緯度)を示しており、縦軸にy(経度)を示している。ここでは、地点P1における分布密度の算出方法を例に挙げる。地点P1は、太線で表された範囲R1に属する。この例では、範囲R1内に、地点P1で付与されたコメントから抽出された固有表現と同一の固有表現を有する地点が、地点P1を含めて3つ存在する。つまり、範囲R1内には、地点P1で得られた固有表現と同一の固有表現を有する地点情報が3つ存在することとなる。そのため、地点P1においては、範囲R1内における同一の固有表現の分布密度Dは「3」となる。
【0077】
次に、このように求められた分布密度から特徴度を算出する方法について説明する。特徴度算出部105dは、特徴度を算出する対象となっている地点に関して、当該地点の分布密度で出現回数に重み付けを行うことで得られた値、及び当該地点で出現した固有表現の種類数に基づいて、当該地点における特徴度を算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、同一地点における固有表現の出現回数と分布密度とを積算することで得られた値(以下、「出現密度」と呼ぶ。)を求め、当該地点における出現密度の総和と固有表現の種類数とを加算することで、当該地点における特徴度を算出する。この後、特徴度算出部105dは、算出された分布密度や特徴度などの情報を地点情報記憶部106に供給することで、当該情報を地点情報として記憶させる。
【0078】
詳しくは、出現回数を「Oc」と表記し、分布密度を「D」と表記し、出現密度を「OD」と表記すると、出現密度ODは式(2)より算出される。そして、出現密度ODの総和を「Cnt_OD」と表記し、固有表現の種類数を「Cnt_Var」と表記し、特徴度を「X」と表記すると、特徴度Xは式(3)より算出される。なお、出現密度ODの総和Cnt_ODは、1つの地点情報が有する全ての固有表現について算出された出現密度ODの総和に相当する。
OD=Oc×D 式(2)
X=Cnt_OD+Cnt_Var 式(3)
図9は、算出された分布密度や特徴度などを有する地点情報の具体例を示している。図示のように、地点情報には、1つの地点に関して、固有表現の種類Varと、固有表現の出現回数Ocと、同一の固有表現の分布密度Dと、出現回数Ocと分布密度Dとを積算することで得られた出現密度ODと、固有表現が得られた時間情報と、が固有表現に対応付けて記憶されている。また、地点情報には、出現密度ODの総和Cnt_ODと、固有表現の種類数Cnt_Varと、特徴度Xとが記憶されている。
【0079】
図10は、特徴度算出部105dが行う、特徴度Xの算出処理を示すフローチャートである。
【0080】
まず、ステップS301では、特徴度算出部105dは、コメント情報分離部105aから位置情報Pi(x、y)を取得すると共に、固有表現抽出部105cから固有表現及び出現回数Ocを取得する。そして、処理はステップS302に進む。
【0081】
ステップS302では、特徴度算出部105dは、位置情報Pi(x、y)を地点情報記憶部106に記憶された範囲情報「Pn(xn−1〜x、yn−1〜y)」と照合することで、位置情報Pi(x、y)に対応する地点が属する範囲を検索する。そして、処理はステップS303に進む。
【0082】
ステップS303では、特徴度算出部105dは、ステップS302で検索された範囲に従って、地点情報記憶部106に記憶された地点情報が有する位置情報及び固有表現を参照することで、固有表現抽出部105cから得られた固有表現と同一の固有表現を有する地点情報を地点情報記憶部106から検索する。そして、特徴度算出部105dは、当該範囲内において同一の固有表現を有する地点の分布密度Dを算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、上記の式(1)を用いて分布密度Dを算出する。この後、処理はステップS304に進む。
【0083】
ステップS304では、特徴度算出部105dは、固有表現抽出部105cから取得された出現回数Oc、ステップS303で算出された分布密度D、地点情報記憶部106に記憶された地点情報(同一地点における地点情報)が有する固有表現の種類数Cnt_Varに基づいて、特徴度Xを算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、出現回数Ocと分布密度Dとを積算することで出現密度ODを求め、当該地点における出現密度ODの総和Cnt_ODと固有表現の種類数Cnt_Varとを加算することで、当該地点における特徴度Xを算出する。そして、処理は終了する。
【0084】
(全体処理)
次に、図11を参照して、コメント情報数値化部105の全体処理について説明する。図11は、コメント情報数値化部105の全体処理を示すフローチャートである。
【0085】
まず、ステップS401では、コメント情報数値化部105内のコメント情報分離部105aが、コメント情報取得部101からコメント情報を取得する。そして、処理はステップS402に進む。
【0086】
ステップS402では、コメント情報数値化部105内のコメント情報分離部105aが、取得したコメント情報を付帯情報とコメント内容とに分離する処理を行う。そして、コメント情報分離部105aは、分離した付帯情報を付帯情報記憶処理部105bに供給すると共に、分離したコメント内容を固有表現抽出部105cに供給する。この場合、コメント情報分離部105aは、付帯情報のうち位置情報については固有表現抽出部105c及び特徴度算出部105dにも供給する。そして、処理はステップS403及びステップS404に進む。
【0087】
ステップS403では、コメント情報数値化部105内の付帯情報記憶処理部105bが、コメント情報分離部105aから取得された付帯情報を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。具体的には、付帯情報記憶処理部105bは、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照して、付帯情報を地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。そして、処理は終了する。
【0088】
一方、ステップS404では、コメント情報数値化部105内の固有表現抽出部105cが、コメント情報分離部105aから取得されたコメント内容に含まれるコメントから、固有表現を抽出する処理を行う。これと同時に、固有表現抽出部105cは、当該固有表現の出現回数Ocを算出する。固有表現抽出部105cは、こうして得られた固有表現及び出現回数Ocを特徴度算出部105dに供給する。また、固有表現抽出部105cは、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照して、固有表現及び出現回数Ocを地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。そして、処理はステップS405に進む。
【0089】
ステップS405では、コメント情報数値化部105内の特徴度算出部105dが、固有表現抽出部105cから取得された固有表現に関して分布密度Dを算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、コメント情報分離部105aから取得された位置情報Piを用いて、地点情報記憶部106に記憶された地点情報及び範囲情報Pnを参照することで、コメントが付与された地点を含む所定範囲内における同一の固有表現の分布密度Dを算出する。そして、処理はステップS406に進む。
【0090】
ステップS406では、コメント情報数値化部105内の特徴度算出部105dが、地点情報記憶部106に記憶された地点情報(同一地点における地点情報)を参照して、ステップS405で算出された分布密度Dに基づいて特徴度Xを算出する。具体的には、特徴度算出部105dは、ユーザよりコメントが付与された地点に関して、固有表現の出現回数Ocと分布密度Dとを積算することで出現密度ODを求め、当該地点における出現密度ODの総和Cnt_ODと固有表現の種類数Cnt_Varとを加算することで、当該地点における特徴度Xを算出する。そして、処理はステップS407に進む。
【0091】
ステップS407では、コメント情報数値化部105内の特徴度算出部105dが、上記のようにして求められた分布密度D、種類数Cnt_Var、及び特徴度Xなどを、地点情報記憶部106に記憶させるための処理を行う。そして、処理は終了する。
【0092】
(効果)
以上説明したコメント情報数値化部105によれば、同一の固有表現を有する地点の分布密度に基づいて特徴度を算出しているため、抽出した固有表現がその地域特有の表現であることが明瞭となる。つまり、固有表現の分布密度の高い範囲に位置する地点において特徴値が大きくなるため、その固有表現が地域固有の表現であるという判断が容易となる。これにより、ユーザより地域特有の表現が付与された地点を含めた走行ルートを、適切に案内することが可能となる。
【0093】
[ルート順位付け部の動作]
次に、上記したルート順位付け部108の動作について具体的に説明する。
【0094】
図12は、ルート順位付け部108の機能構成を示す。図12に示すように、ルート順位付け部108は、範囲判定部108a及び順位判定部108bを有する。ここでは、各構成要素の説明を簡単に行う。
【0095】
範囲判定部108aは、ユーザ条件取得部102からユーザ指定条件を取得すると共に、走行ルート探索部107からルート情報を取得する。範囲判定部108aは、ユーザ指定条件に応じて、走行ルート探索部107が探索した走行ルート候補に対して用いるべき地点情報を地点情報記憶部106から選出する。つまり、範囲判定部108aは、走行ルート候補及びユーザ指定条件に基づいて地点情報の選出範囲を判定し、地点情報記憶部106から該当する地点情報を選出する。範囲判定部108aは、選出した地点情報を順位判定部108bに供給する。
【0096】
順位判定部108bは、範囲判定部108aによって選出された地点情報を取得し、当該地点情報に基づいて、走行ルート探索部107が探索した走行ルート候補を順位付けする。具体的には、順位判定部108bは、選出された地点情報が有する特徴度に基づいて走行ルート候補の各々に対して優先度を算出する。そして、順位判定部108bは、算出された優先度と、走行ルート探索部107が走行ルート候補の各々に対して設定した順位(ルート情報に含まれる情報)とに基づいて、走行ルート候補を順位付けする。
【0097】
以下で、範囲判定部108a及び順位判定部108bの動作を具体的に説明する。
【0098】
(範囲判定部の動作)
範囲判定部108aは、ユーザ指定条件として、例えば距離、期間、履歴に関する条件を取得して、これらの条件に基づいて地点情報の選出範囲を判定する。この場合、距離に関する条件は、走行ルート候補におけるルート(線)上の位置から地点情報に対応する地点までの距離(最短距離)の範囲に関する条件である。また、期間に関する条件は、地点情報の期間の範囲に関する条件であり、例えば選出する地点情報(時間情報)の季節や年月や日時の範囲を示す。また、履歴に関する条件は、走行ルートの設定時において過去に地点情報が選出された回数(以下、「選出回数」と呼ぶ。)の範囲に関する条件である。このような選出回数は、地点情報記憶部106に記憶されている。範囲判定部108aは、これらの3つの条件を全て具備するような地点情報を、地点情報記憶部106から選出する。
【0099】
図13は、範囲判定部108aが用いる選出範囲の具体例を示す。図13において、「距離L」に関する条件は、走行ルート候補の中心ルート座標で規定される、半径Lの範囲の地点情報(位置)を選出することを意味している。また、「期間T」に関する条件は、現在日時から期間Tの範囲の地点情報(時間)を選出することを意味している。また、「履歴H」に関する条件は、過去に地点情報を選出した回数Hの範囲の地点情報(選出回数)を選出することを意味している。この場合、選出範囲は、「(距離)AND(期間)AND(履歴)」といった具合に表現される。図13に示す例では、ユーザは、距離L、期間T、及び履歴Hのそれぞれについて提示された複数の候補の中から条件の選択を行うことで、地点情報の選出範囲を指定する。
【0100】
図14は、範囲判定部108aによる地点情報の選出処理の具体例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、ステップS501では、範囲判定部108aは、ユーザ指定条件の指定をユーザに依頼する。具体的には、距離L、期間T、及び履歴Hに関する条件の指定をユーザに依頼する。そして、処理はステップS502に進む。
【0102】
ステップS502では、範囲判定部108aは、ユーザより距離Lが指定されているか否かを判定する。距離Lが指定されている場合(ステップS502;Yes)、処理はステップS503に進み、距離Lが指定されていない場合(ステップS502;No)、処理はステップS501に戻る。
【0103】
ステップS503では、範囲判定部108aは、走行ルート候補のルート座標を中心にして、距離Lを半径とする範囲の位置座標に基づいて、地点情報記憶部106から地点情報を選出する。そして、処理はステップS504に進む。
【0104】
ステップS504では、範囲判定部108aは、ユーザより期間Tが指定されているか否かを判定する。期間Tが指定されている場合(ステップS504;Yes)、処理はステップS505に進み、期間Tが指定されていない場合(ステップS504;No)、処理はステップS501に戻る。
【0105】
ステップS505では、範囲判定部108aは、期間Tを範囲とする期間情報に基づいて、地点情報記憶部106から地点情報を選出する。この場合、範囲判定部108aは、ステップS503で選出された地点情報の中から、地点情報の選出を行う。そして、処理はステップS506に進む。
【0106】
ステップS506では、範囲判定部108aは、ユーザより履歴Hが指定されているか否かを判定する。履歴Hが指定されている場合(ステップS506;Yes)、処理はステップS507に進み、履歴Hが指定されていない場合(ステップS506;No)、処理はステップS501に戻る。
【0107】
ステップS507では、範囲判定部108aは、履歴Hの選出回数を範囲とする選出回数に基づいて、地点情報記憶部106から地点情報を選出する。この場合、範囲判定部108aは、ステップS503及びステップS505で選出された地点情報の中から、地点情報の選出を行う。これにより、距離L、期間T、及び履歴Hの3つの条件を全て具備するような地点情報が選出されることとなる。そして、処理はステップS508に進む。
【0108】
ステップS508では、範囲判定部108aは、ステップS507で選出された地点情報に関して、当該地点情報の選出回数を1つ加算して地点情報記憶部106に記憶させる。そして、処理は終了する。
【0109】
(順位判定部の動作)
次に、順位判定部108bの動作について具体的に説明する。順位判定部108bは、上記のように範囲判定部108aで選出された地点情報に基づいて、走行ルート候補の各々に対して優先度を設定する。具体的には、順位判定部108bは、選出された地点情報が有する特徴度の総和を算出し、当該総和に基づいて優先度を設定する。例えば、順位判定部108bは、特徴度の総和が大きくなるほど、大きな値を有する優先度を設定する。一例としては、順位判定部108bは、特徴度の総和の大きさに応じて優先度を段階的に設定する。
【0110】
図15は、優先度設定の具体例を説明するための図を示す。図15において、「ΣX」は特徴度の総和を示し、「K」は一定数を示し、「Y」は優先度を示している。一定数Kは「K1<K2<K3<・・・<Kn」といった具合に規定されており、優先度Yは「Y1<Y2<Y3<・・・<Yn」といった具合に規定されている。この場合、優先度Ynは、特徴度の総和ΣX及び一定数Knより、「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係に基づいて設定される。つまり、一定数Knによって規定された範囲において、特徴度の総和ΣXが含まれる範囲に応じて、優先度Ynが設定される。
【0111】
なお、このような範囲を規定する一定数Knは、例えばユーザにより予め設定される。この場合、一定数Knをユーザ指定条件の1つとして用いて、ユーザに指定させることとしても良い。また、優先度Ynも予め設定されている。
【0112】
図16は、順位判定部108bによる優先度の設定処理の具体例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、ステップS601では、順位判定部108bは、範囲判定部108aで選出された地点情報が有する特徴度より、当該特徴度の総和ΣXを算出する。そして、処理はステップS602に進む。
【0114】
ステップS602では、順位判定部108bは、優先度を設定する際に用いるインクリメント演算子nを「1」に設定する。そして、処理はステップS603に進む。
【0115】
ステップS603では、順位判定部108bは、ステップS602で設定されたインクリメント演算子nを用いて、特徴度の総和ΣXと一定数Knとの間に「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係が成立するか否かを判定する。具体的には、順位判定部108bは、「K0≦ΣX<K1」といった関係が成立するか否かを判定する。なお、一定数Knは予めユーザなどにより設定されており、また、例えば「K0」は「0」に設定される。
【0116】
「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係が成立する場合には(ステップS603;Yes)、処理はステップS604に進む。これに対して、「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係が成立しない場合には(ステップS603;No)、処理はステップS605に進む。ステップS605では、順位判定部108bは、インクリメント演算子nをインクリメントする。そして、処理はステップS603に戻り、順位判定部108bは、「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係が成立するか否かの判定を行う。つまり、順位判定部108bは、「Kn−1≦ΣX<Kn」といった関係が成立するまで、インクリメント演算子nをインクリメントして、このような判定を繰り返し行う。
【0117】
ステップS604では、順位判定部108bは、優先度を、現在設定されているインクリメント演算子nに対応する優先度Ynに設定する。なお、優先度Ynは、「n」に対応付けられた値が予め設定されている。そして、処理は終了する。
【0118】
次に、上記のように設定された優先度Ynに基づいて、走行ルート候補を順位付けする方法について説明する。順位判定部108bは、設定された優先度Ynと、走行ルート探索部107が走行ルート候補の各々に対して設定した順位(ルート情報に含まれる情報)とに基づいて、走行ルート候補を順位付けする。具体的には、順位判定部108bは、走行ルート候補の各々について、ルート情報に含まれる順位を得点化して、この得点と優先度Ynとに基づいて総得点を算出する。そして、順位判定部108bは、総得点が高い順に走行ルート候補の順位を割り振る。
【0119】
なお、走行ルート探索部107は、走行ルート候補に対して、それぞれの到着時間や、出発地(現在地)から経由地を経由した目的地までの総距離などに応じて、順位を設定する。
【0120】
図17は、順位判定部108bによる走行ルート候補の順位付けの具体例を示している。図17において、「m」は走行ルート候補のルート数を示しており、「p」は走行ルート候補の順位を示しており、「R」は順位pに対する得点を示している。ルート数m及び順位pは、ルート情報に含まれる情報である。この例では、得点Rは「R=m−p+1」より算出している。また、図17において、「S」は得点Rと優先度Ynとに基づいて算出される総得点を示している。この例では、総得点Sは「S=R+Yn」より算出している。
【0121】
図17に示す例では、順位判定部108bによって総得点Sが高い順に走行ルート候補が順位付けられることで、当該順位が、走行ルート探索部107が当初に設定した順位pから変わっていることがわかる。
【0122】
図18は、順位判定部108bによる走行ルート候補の順位付け処理の具体例を示すフローチャートである。
【0123】
まず、ステップS701では、順位判定部108bは、走行ルート探索部107が設定したルート情報(ルート数m及び順位p)を取得すると共に、設定した優先度Ynを取得する。そして、処理はステップS702に進む。
【0124】
ステップS702では、順位判定部108bは、走行ルート探索部107が設定した走行ルート候補に対して得点Rを付与する。具体的には、順位判定部108bは、走行ルート候補の順位pに基づいて得点Rを算出する。例えば、順位判定部108bは、得点Rを「R=m−p+1」より算出する。そして、処理はステップS703に進む。
【0125】
ステップS703では、順位判定部108bは、走行ルート候補の得点R及び優先度Ynに基づいて、総得点Sを算出する。例えば、順位判定部108bは、総得点Sを「S=R+Yn」より算出する。そして、処理はステップS704に進む。
【0126】
ステップS704では、順位判定部108bは、全ての走行ルート候補について算出された総得点Sを比較して、総得点Sが高い順に走行ルート候補を順位付けする。そして、処理は終了する。
【0127】
(全体処理)
次に、図19を参照して、ルート順位付け部108の全体処理について説明する。図19は、ルート順位付け部108の全体処理を示すフローチャートである。
【0128】
まず、ステップS801では、ルート順位付け部108内の範囲判定部108aが、ユーザ条件取得部102からユーザ指定条件を取得する。具体的には、範囲判定部108aは、ユーザ指定条件として、地点情報の選出範囲を規定する距離L、期間T、履歴Hを取得すると共に、優先度Ynを設定する際に用いる一定数Knを取得する。そして、処理はステップS803に進む。
【0129】
このようなステップS801の処理と同時に、ステップS802では、ルート順位付け部108内の範囲判定部108aが、走行ルート探索部107からルート情報を取得する。そして、処理はステップS803及びS807に進む。
【0130】
ステップS803では、ルート順位付け部108内の範囲判定部108aが、ステップS801で取得された距離L、期間T、履歴Hに関する条件を用いて、地点情報記憶部106に記憶された地点情報を参照することで、地点情報の選出範囲を判定する。つまり、範囲判定部108aは、走行ルート探索部107が設定した走行ルート候補の各々に対して、これらの3つの条件を全て具備するような地点情報を地点情報記憶部106から選出する。この場合、範囲判定部108aは、走行ルート探索部107が設定した走行ルート候補に関する位置情報も用いて、地点情報の選出を行う。そして、処理はステップS804及びS805に進む。ステップS805では、範囲判定部108aは、ステップS803で選出された地点情報に関して、当該地点情報の選出回数を1つ加算して地点情報記憶部106に記憶させる。
【0131】
ステップS804では、ルート順位付け部108内の順位判定部108bが、走行ルート候補の各々について、ステップS803で選出された地点情報が有する特徴度の総和ΣXを算出する。そして、処理はステップS806に進む。ステップS806では、順位判定部108bは、ステップS804で算出された特徴度の総和ΣXに基づいて、走行ルート候補の各々に対して優先度Ynを設定する。この場合、順位判定部108bは、ステップS801で取得された一定数Knによって規定された範囲を用いて、特徴度の総和ΣXが含まれる範囲に応じて優先度Ynを設定する。そして、処理はステップS808に進む。
【0132】
一方、ステップS807では、ルート順位付け部108内の順位判定部108bが、走行ルート候補の各々に対して得点Rを付与する。具体的には、順位判定部108bは、走行ルート候補の順位p及びルート数mに基づいて得点Rを算出する。そして、処理はステップS808に進む。
【0133】
ステップS808では、ルート順位付け部108内の順位判定部108bが、ステップS806で設定された優先度Ynと、ステップS807で算出された得点Rに基づいて、走行ルート候補の各々に対して総得点Sを算出する。例えば、順位判定部108bは、総得点Sを「S=R+Yn」より算出する。そして、処理はステップS809に進む。
【0134】
ステップS809では、ルート順位付け部108内の順位判定部108bが、全ての走行ルート候補について算出された総得点Sを比較して、総得点Sが高い順に走行ルート候補を順位付けする。そして、処理は終了する。
【0135】
(効果)
以上説明したルート順位付け部108によれば、地点情報の特徴度に基づいて走行ルート候補に対して優先度を設定し、当該優先度及び走行ルート探索部107が設定した順位の両方を考慮して、走行ルート候補を順位付けする。これにより、走行ルートの想定時間等と共に、地点情報の内容も考慮に入れて、走行ルート候補を適切に順位付けすることができる。
【0136】
[変形例]
なお、地点情報の選出において、走行ルート候補のルート上(ユーザが指定した距離範囲を含む)には位置しないが、特徴度が一定数(例えばユーザが指定)を超えるような地点情報があれば、その情報をユーザに提示することとしても良い。また、そのような地点情報に対応する地点を、経由地として追加指定させても良い。当該指定があった場合には走行ルートの再設定を行って、そこから得られたルート情報によって順位付けを再度行っても良い。なお、この場合には、経由地を追加する前とは走行ルートが異なるため、経由地を追加する前に通過することになっていた地点(ユーザが指定した経由地を除く)を通らないといった可能性や、到着時間が変わるといった可能性があるため、そのような旨を経由地の追加時にユーザに提示することが望ましい。
【符号の説明】
【0137】
1 ナビゲーション装置
20 システムコントローラ
36 データ記憶ユニット
60 入力装置
101 コメント情報取得部
102 ユーザ条件取得部
105 コメント情報数値化部
105a コメント情報分離部
105c 固有表現抽出部
105d 特徴度算出部
106 地点情報記憶部
107 走行ルート探索部
108 ルート順位付け部
108a 範囲判定部
108b 順位判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段と、
前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段と、
前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段と、
前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段と、
ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段と、
地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段と、
前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特徴度算出手段は、前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点を含む所定範囲内における同一の前記固有表現の分布密度を算出し、前記分布密度に基づいて前記特徴度を算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特徴度算出手段は、前記地点において同一の前記固有表現が出現した回数と前記分布密度とを積算することで得られた値、及び前記地点で出現した前記固有表現の種類数に基づいて前記特徴度を算出することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ユーザ条件取得手段は、ユーザから、前記走行ルートを設定する場合に用いる前記地点情報を選出するための選出条件を取得し、
前記走行ルート候補順位付け手段は、前記選出条件に応じて前記地点情報記憶手段から前記地点情報を選出し、当該地点情報が有する前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選出条件は、
前記走行ルートの候補におけるルート上の位置から前記地点情報に対応する地点までの距離の範囲に関する条件と、
前記地点情報の期間の範囲に関する条件と、
走行ルートの設定時において過去に前記地点情報が選出された回数の範囲に関する条件と、を有することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記走行ルート探索手段は、前記走行ルートの候補を探索した際に、当該走行ルートの候補に対して順位を設定し、
前記走行ルート候補順位付け手段は、選出した前記地点情報が有する前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補の各々について優先度を算出し、前記優先度及び前記走行ルート探索手段が設定した前記順位に基づいて、前記走行ルートの候補を順位付けすることを特徴とする請求項4又は5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得工程と、
前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出工程と、
前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶工程と、
前記地点情報記憶工程で記憶された前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として記憶させる特徴度算出工程と、
ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得工程と、
地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索工程と、
前記ユーザ条件取得工程で取得された前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け工程と、を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
コンピュータを備える装置によって実行されるナビゲーションプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザが地点に対して付与したコメントを含むコメント情報を取得するコメント情報取得手段、
前記コメント情報から、前記地点における特有の表現を示す固有表現を抽出する固有表現抽出手段、
前記地点に対して少なくとも前記固有表現の情報を対応付けた地点情報を記憶する地点情報記憶手段、
前記地点情報記憶手段が記憶している前記地点情報を用いて、前記地点が特徴ある場所であることを示す度合いを表した特徴度を算出し、前記特徴度を前記地点情報の1つの情報として前記地点情報記憶手段に記憶させる特徴度算出手段、
ユーザから、走行ルートの探索に関する条件を取得するユーザ条件取得手段、
地図情報に基づいて、目的地までの走行ルートの候補を探索する走行ルート探索手段、
前記ユーザ条件取得手段が取得した前記条件に応じて、前記特徴度に基づいて前記走行ルートの候補を順位付けする走行ルート候補順位付け手段、として機能させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−127960(P2011−127960A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285296(P2009−285296)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】