説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】車両の運転者に対して適切なタイミングで案内することができる、ナビゲーション装置等を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、道路上の信号機を撮影するために車両に搭載されたカメラ20から画像を取得する画像取得部70cと、車両2の走行方向に沿った補正距離であって、カメラ20の撮影領域の中から信号機が消失する時点の車両2の位置と、運転者の視野の中から信号機が消失する時点の車両2の位置である案内出力基準位置との相違を補正するための補正距離を格納する補正距離テーブル80bと、画像取得部70cにて取得された画像と補正距離テーブル80bにて格納された補正距離とに基づいて、車両2が案内出力基準位置に到達したか否かを判定する判定部70fと、車両2が案内出力基準位置に到達したことが判定部70fによって判定された場合に、当該判定された案内出力基準位置を基準とした所定位置において信号機に関する案内を行う案内部70gとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路データや施設データ等を含む地図情報を記憶し、当該地図情報に基づき経路の案内を行うナビゲーション装置が用いられている。例えば、探索した経路に対応する地図データと現在位置検出装置にて検出される現在位置とのマップマッチングにより、地図上の車両位置を特定し、当該特定した車両位置に基づいて案内を行うナビゲーション装置が用いられている。
【0003】
しかしながら、このようなナビゲーション装置においては、現在位置検出装置にて検出される現在位置と実際の車両位置との誤差によって、本来案内すべき地点から数十m離れた手前の地点で案内したり、あるいは当該本来案内すべき地点を通過後に案内をしてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解消するものとして、自車両に搭載された撮像装置により取得した画像情報に含まれる対象地物の画像認識処理を行うとともに、その画像認識結果と予めデータベースに記憶された当該対象地物の地物情報とを照合することにより、GPS信号により取得した自車位置情報を補正し、当該補正した自車両位置情報に基づいて案内を行う自車位置認識装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−271568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の自車位置認識装置においては、撮像装置の画角と車両の運転者の視野角との相違により、撮像装置によって撮像された画像と車両の運転者の目に映る像とにズレが生じるので、当該運転者に対して適切なタイミングで案内を行うことが困難な場合があった。例えば、撮像装置の撮像領域の中から対象地物が消失したタイミングで案内を行う場合において、撮像装置の画角が運転者の視野角よりも狭い場合、運転者には当該対象地物が見えているにもかかわらず案内を行うことになるので、運転者に対して違和感を与えるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転者に対して適切なタイミングで案内することができる、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーション装置は、道路上の地物を撮影するために車両に搭載された撮影手段から画像を取得する画像取得手段と、前記車両の走行方向に沿った補正距離であって、前記撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失する時点の車両の位置である第1車両位置と、運転者の視野の中から前記地物が消失する時点の前記車両の位置である第2車両位置との相違を補正するための補正距離を格納する補正距離格納手段と、前記画像取得手段にて取得された画像と前記補正距離格納手段にて格納された補正距離とに基づいて、前記車両が前記第2車両位置に到達したか否かを判定する判定手段と、前記車両が前記第2車両位置に到達したことが前記判定手段によって判定された場合に、当該判定された第2車両位置を基準とした所定位置において前記地物に関する案内を行う案内手段とを備える。
【0009】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記補正距離は、前記第2車両位置から前記地物の位置に至る距離であり、前記判定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像に基づいて前記地物の位置を特定し、当該特定した前記地物の位置から前記車両の走行方向に沿って前記補正距離だけ手前の位置に前記車両が到達した場合に、前記車両が前記第2車両位置に到達したものと判定する。
【0010】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記補正距離は、前記第1車両位置から前記第2車両位置に至る距離であり、前記判定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像に基づいて前記撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失した位置を特定し、当該特定した位置から前記車両の走行方向に沿って前記補正距離だけ前方の位置に前記車両が到達した場合に、前記車両が前記第2車両位置に到達したものと判定する。
【0011】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記補正距離格納手段は、前記車両の走行速度に応じた補正距離を格納し、前記判定手段は、所定方法にて前記車両の走行速度を特定し、当該特定された走行速度に応じた補正距離を前記補正距離格納手段から取得し、当該取得した補正距離に基づいて判定を行う。
【0012】
また、請求項5に記載のナビゲーション方法は、車両の走行方向に沿った補正距離であって、道路上の地物を撮影するために車両に搭載された撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失する時点の車両の位置である第1車両位置と、運転者の視野の中から前記地物が消失する時点の前記車両の位置である第2車両位置との相違を補正するための補正距離を記憶手段に格納する補正距離格納ステップと、前記撮影手段にて撮影された画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにて取得された画像と前記記憶手段から取得した補正距離とに基づいて、前記車両が前記第2車両位置に到達したか否かを判定する判定ステップと、前記車両が前記第2車両位置に到達したことが前記判定ステップによって判定された場合に、当該判定された第2車両位置を基準とした所定位置において前記地物に関する案内を行う案内ステップとを含む。
【0013】
また、請求項6に記載のナビゲーションプログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のナビゲーション装置、請求項5に記載のナビゲーション方法、及び請求項6に記載のナビゲーションプログラムによれば、車両が第2車両位置に到達したことが判定手段によって判定された場合に、案内手段が当該判定された第2車両位置を基準とした所定位置において地物に関する案内を行うので、撮影手段の画角が運転者の視野角と異なる場合であっても、運転者の視野の中から地物が消失するタイミングを基準として案内を行うことができ、運転者に対して適切なタイミングで案内することができる。
【0015】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、補正距離は、第2車両位置から地物の位置に至る距離であり、判定手段は、画像取得手段にて取得された撮影された画像に基づいて地物の位置を特定し、当該特定した地物の位置から車両の走行方向に沿って補正距離だけ手前の位置に車両が到達した場合に、車両が第2車両位置に到達したものと判定するので、車両が地物から遠く離れた手前の位置を走行している場合でも、第2車両位置を特定することができ、運転者に対して一層適切なタイミングで案内することができる。
【0016】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、補正距離は、第1車両位置から第2車両位置に至る距離であり、判定手段は、画像取得手段にて取得された画像に基づいて撮影手段の撮影領域の中から地物が消失した位置を特定し、当該特定した位置から車両の走行方向に沿って補正距離だけ前方の位置に車両が到達した場合に、車両が第2車両位置に到達したものと判定するので、車両が地物から遠く離れた手前の位置を走行している場合であって当該地物を撮影できないような場合(例えば、車両の前方を大型トラックが走行しているために、遠方の地物を撮影できないような場合等)でも、第2車両位置を特定することができ、運転者に対して一層適切なタイミングで案内することができる。
【0017】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、補正距離格納手段は、車両の走行速度に応じた補正距離を格納し、判定手段は、所定方法にて車両の走行速度を特定し、当該特定された走行速度に応じた補正距離を補正距離格納手段から取得し、当該取得した補正距離に基づいて判定を行うので、走行速度が運転者の視野角に与える影響を考慮した第2車両位置を特定することができ、運転者に対してさらに一層適切なタイミングで案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る補正距離テーブルに格納される情報の内容を例示した表である。
【図3】カメラの設置位置を示す図である。
【図4】実施の形態1に係るナビゲーション装置1による案内のタイミングを示す図であり、(a)は信号機を撮影する位置に車両が到達した状態を示す図、(b)は案内出力基準位置に車両が到達した状態を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る案内処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る補正距離テーブルに格納される情報の内容を例示した表である。
【図7】実施の形態2に係るナビゲーション装置1による案内のタイミングを示す図であり、(a)は撮影領域消失位置に車両が到達した状態を示す図、(b)は案内出力基準位置に車両が到達した状態を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る案内処理のフローチャートである。
【図9】実施の形態3に係る補正距離テーブルに格納される情報の内容を例示した表である。
【図10】実施の形態3に係る案内処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、地物の位置から車両の走行方向に沿って補正距離だけ手前の位置を基準とした所定位置において案内を行う形態である。
【0021】
(構成)
最初に、実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。図1に示すように、ナビゲーション装置1は例えば車両に搭載され、操作部10、カメラ20、現在位置検出処理部30、距離センサ40、スピーカ50、ディスプレイ60、制御部70、及びデータ記録部80を備えて構成されている。
【0022】
(構成−操作部)
操作部10は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段であり、例えば、ディスプレイ60の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段として構成されている。
【0023】
(構成−カメラ)
カメラ20は、道路上の地物を撮影するために車両に搭載された撮影手段であり、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の公知の撮影素子、及び魚眼レンズやプリズム等の公知の光学系部品として構成されている。ここで、「地物」とは、道路上に設置された信号機が含まれるが、これに限られず、例えば、道路標識、横断歩道、建物の看板等も含まれる。以下では、「地物」が、信号機である場合を例として説明を行う。なお、図1には、カメラ20をナビゲーション装置1の一部として示しているが、このカメラ20は車両2に搭載されていればよく、例えば、ナビゲーション装置1に対して接続された外付けのカメラであってもよい。このカメラ20の設置の詳細については後述する。
【0024】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部30は、ナビゲーション装置1が取り付けられた車両の現在位置を検出する現在位置検出手段であり、例えば、GPS、地磁気センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0025】
(構成−距離センサ)
距離センサ40は、車両の走行距離及び走行速度を検出するものであり、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号をナビゲーション装置1に対して出力する公知のパルスカウンタとして構成されている。
【0026】
(構成−スピーカ)
スピーカ50は、ナビゲーション装置1の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ50より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0027】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ60は、ナビゲーション装置1の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段であり、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイとして構成されている。
【0028】
(構成−制御部)
制御部70は、ナビゲーション装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーション装置1にインストールされることで、制御部70の各部を実質的に構成する。
【0029】
この制御部70は、機能概念的に、走行経路探索部70a、車両情報取得部70b、画像取得部70c、画像認識部70d、車両位置特定部70e、判定部70f、案内部70g、地物特定部70h、地物カウント部70i、及び地物判定部70jを備えて構成されている。走行経路探索部70aは、出発地から目的地までの走行経路を探索する走行経路探索手段である。車両情報取得部70bは、車両に関する情報(以下、車両情報と称する)を取得するための車両情報取得手段である。この「車両情報」とは、例えば車両の現在位置、走行距離、走行速度等を特定する情報を含むものである。画像取得部70cは、カメラ20にて撮影された画像を取得するための画像取得手段である。画像認識部70dは、画像取得部70cにて取得された画像に所定の画像処理を施し、当該画像から信号機を認識するための画像認識手段である。車両位置特定部70eは、画像認識部70dの認識結果及び後述する補正距離テーブル80bに格納された補正距離情報に基づいて、案内出力基準位置(第2車両位置)を特定する車両位置特定手段である。この「案内出力基準位置」とは、車両の運転者の視野の中から信号機が消失する時点の車両の位置を意味する。判定部70fは、車両位置特定部70eにて特定された案内出力基準位置に車両が到達したか否かを判定する判定手段である。案内部70gは、走行に関する案内や信号機に関する案内を行う案内手段である。地物特定部70hは、後述する地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)から、走行経路探索部70aにて探索された走行経路上の信号機の設置数を特定する地物特定手段である。地物カウント部70iは、車両が通過した信号機の数をカウントする地物カウント手段である。地物判定部70jは、地物カウント部70iにてカウントされた信号機の数が地物特定部70hにて特定された信号機の設置数と一致するか否かを判定する地物判定手段である。これらの制御部70の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
(構成−データ記録部)
データ記録部80は、ナビゲーション装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0031】
このデータ記録部80は、地図情報DB80a、及び補正距離テーブル80bを備えて構成されている。
【0032】
地図情報DB80aは、地図情報を格納する格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機の座標等)、地形データ、地図をディスプレイ60に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0033】
補正距離テーブル80bは、後述する補正距離情報を格納する補正距離格納手段である。図2は、実施の形態1に係る補正距離テーブル80bに格納される情報の内容を例示した表である。図2に示すように、補正距離テーブル80bには、テーブル項目「車種」、及び「補正距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「車種」に対応して格納される情報は、車種を特定する車種特定情報であり、例えば「普通乗用車」、「軽自動車」、「ワゴン型乗用車」等が格納される。項目「補正距離」に対応して格納される情報は、補正距離に関する補正距離情報であり、例えば、「15m」等が格納される。ここで、「補正距離」とは、カメラ20の撮影領域の中から信号機が消失する時点の車両の位置(第1車両位置)と案内出力基準位置との相違を補正することを目的として設定された距離であり、具体的には、案内出力基準位置から信号機の位置に至る距離であって、車両の走行方向に沿った距離(以下、補正距離L2と称する)である。
【0034】
(カメラの設置位置について)
次に、カメラ20の設置位置について説明する。図3は、カメラ20の設置位置を示す図である。図3に示すように、カメラ20は、フロントガラス周辺に車両2の前方に向けて設けられている。また、このカメラ20は、例えば、当該カメラ20の画角が運転者の視野角よりも狭い場合において、当該カメラ20の撮影領域が当該運転者の視野の中に含まれる位置に配置されている。ここで、「運転者の視野」は、ドライバポイントを基準に定められる視野であり、例えば、車両2のシートの位置が一番前に設定されている場合において、車両2のルーフ端からフロントガラスの下端まで運転者が見通せる視野等が該当する。また、この「ドライバポイント」とは、運転者の目の位置であり、例えば、統計的な標準体型に基づいて定められる運転者の目の位置等が該当する。なお、カメラ20の設置は、これに限られず、例えば、当該カメラ20の画角が運転者の視野よりも広い場合において、当該運転者の視野が当該カメラ20の撮影領域の中に含まれる位置に配置されてもよい。
【0035】
(方法)
次に、実施の形態1に係るナビゲーション装置1の案内方法について説明する。図4は、実施の形態1に係るナビゲーション装置1による案内のタイミングを示す図であり、(a)は信号機を撮影する位置に車両2が到達した状態を示す図、(b)は案内出力基準位置に車両2が到達した状態を示す図である。
【0036】
図4(a)に示すように、まず、信号機の設置位置よりも車両2の走行方向における手前側の位置であって、カメラ20の撮影領域の中に信号機が含まれる任意の位置で、当該カメラ20で信号機を撮影する。次に、撮影された画像に所定の画像処理を施すことにより、当該画像から信号機を認識し、この認識結果に基づいて、信号機が撮影された位置から信号機の設置位置までの距離L1を計測する。続いて、補正距離テーブル80bに格納された補正距離情報に基づいて、上記計測された距離L1から補正距離L2を減算することにより、距離L1−L2を算定する。そして、図4(b)に示すように、車両2の走行距離が信号機の撮影位置から距離L1−L2に達した時点で、走行に関する案内や信号機に関する案内を行う。
【0037】
(処理)
次に、実施の形態1に係るナビゲーション装置1によって実行される案内処理について説明する。図5は、実施の形態1に係る案内処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この案内処理は、例えば、ナビゲーション装置1に電源が投入された後に実行される。なお、以下の説明においては、車両2が走行する前に、走行経路探索部70aが地図情報DB80aに基づいて走行経路を探索したものとする。
【0038】
図5に示すように、制御部70は、地図情報DB80aに格納されている地物データ及び走行経路探索部70aによって探索された走行経路に関する情報に基づいて、車両2の現在位置から案内交差点までの距離が所定距離(例えば700m)に達したか否かを監視する(SA1)。この「案内交差点」とは、車両2が走行経路において進路変更を行う交差点のことを意味する。
【0039】
ここで、車両2の現在位置から案内交差点までの距離が所定距離に達した場合(SA1、Yes)、地物特定部70hは、走行経路探索部70aによって探索された走行経路に関する情報、及び地図情報DB80aに格納されている地物データに基づいて、現在の車両位置から案内交差点までの信号機を特定し、当該特定された信号機の設置数を算定する(SA2)。なお、この説明では、信号機の設置数は3機とする。
【0040】
次いで、案内部70gは、現在の車両位置から案内交差点までの走行に関する案内と併せて、SA2にて算定された信号機の設置数に関する案内を行う(SA3)。例えば、この案内部70gは、「ポーン、およそ700m先、3つ目の信号を左方向です」のように、現在の車両位置から案内交差点までの走行距離であって、車両2の走行方向に沿った走行距離、進路方向、及び信号機の設置数を含んだ音声メッセージ等をスピーカ50によって出力させる。ただし、この案内は省略してもよい。
【0041】
次に、制御部70は、地図情報DB80aに格納されている地物データ及び走行経路探索部70aによって探索された走行経路に関する情報に基づいて、SA2にて数が算定された信号機のうち、車両2に最も近い位置にある信号機の設置位置よりも車両2の走行方向における手前側の位置であって、カメラ20の撮影領域の中に信号機が含まれる位置で(例えば、図4(a)に示す車両2の位置で)、車両2に最も近い位置にある信号機をカメラ20によって撮影させる(SA4)。これと同時に、車両情報取得部70bは、距離センサ40からパルス数を取得する(SA5)。なお、車両情報取得部70bは、車両2が案内出力基準位置に到達するまでの間、このパルス数を距離センサ40から継続的に取得する。
【0042】
次いで、画像取得部70cは、SA4にて撮影された画像を取得する(SA6)。そして、画像認識部70dは、画像取得部70cにて取得された画像に所定の画像処理を施し、当該処理された画像から信号機が認識されるか否かを判定する(SA7)。この認識の具体的なロジックは任意であり、例えば、撮影された画像の輝度処理を施し、信号機の輝度と合致する範囲の輝度の分布を有する領域であって、信号機の形状範囲に合致する範囲の輝度の分布が見られる領域を、信号機として認識する。
【0043】
ここで、画像認識部70dにて処理された画像から信号機が認識されなかった場合(SA7、No)、制御部70はSA4に戻り、以降、信号機が認識される迄、信号機の撮影や画像の処理を繰り返す。なお、SA4に戻った際には、車両情報取得部70bはそれ迄に取得したパルス数を初期化する(なお、後述するSA10にて車両2が案内出力基準位置に到達したと判定された場合(SA10、Yes)も同様)。
【0044】
一方、画像認識部70dにて処理された画像から信号機が認識された場合(SA7、Yes)、制御部70は、補正距離テーブル80bから車種情報に対応する補正距離情報(例えば、普通乗用車の場合には、「13m」)を取得する(SA8)。この車種情報の決定方法は任意であるが、例えば、制御部70は、あらかじめ運転者によって操作部10を介して設定された車種情報を、SA8にて使用される車種情報として決定する。
【0045】
次いで、車両位置特定部70eは、SA7の認識結果及びSA8にて取得された補正距離情報に基づいて、案内出力基準位置(例えば、図4(b)に示す車両2の位置)を特定する(SA9)。具体的には、車両位置特定部70eは、SA7の認識結果に基づいて、カメラ20によって信号機が撮影された位置から信号機の設置位置までの距離L1を所定方法により計測する。次いで、SA8にて取得された補正距離情報に基づいて上記計測された距離L1から補正距離L2を減算することにより、距離L1−L2を算定する。そして、SA4で信号機を撮影した位置から、車両2の走行方向に沿って距離L1−L2だけ進んだ位置(信号機の位置から車両2の走行方向に沿って補正距離L2だけ手前の位置)を、案内出力基準位置として特定する。
【0046】
ここで、距離L1の具体的な計測方法は任意であり、例えば、カメラ20がステレオカメラである場合、撮影された2枚の画像に対してステレオマッチング(例えば、2枚の画像間の輝度値を減算してマッチングを行う手法等)を行い、画像間の視差を求め、信号機までの奥行き距離を計測する方法が該当する。あるいは、カメラ20が単眼カメラ20である場合、少なくとも2つの異なる位置で撮影された画像間における同一の信号機の画像部分の大きさの変化等に基づいて、車両2から信号機までの距離を計測する方法が該当する。
【0047】
続いて、判定部70fは、SA5にて取得されたパルス数に基づいて、車両2がSA9にて特定された案内出力基準位置に到達したか否かを判定する(SA10)。例えば、SA5にて取得されたパルス数の積算数が距離L1−L2に相当するパルス数と合致する場合に、車両2がSA9にて特定された案内出力基準位置に到達したものと判定する。
【0048】
その結果、車両2がSA9にて特定された案内出力基準位置に到達したと判定された場合(SA10、Yes)、地物カウント部70iは、車両2が通過した信号機の数をカウントする(SA11)。例えば、SA2で数を算定した3つの信号機のうち、車両2の走行方向において最も手前側の信号機のみを通過した場合、車両2が通過した信号機は1機であるので、地物カウント部70iは「1」とカウントする。
【0049】
次いで、案内部70gは、走行に関する案内を行う(SA12)。例えば、この案内部70gは、「ポーン、1つ目の信号を通過しました」のように、SA11でカウントした信号機の数を含んだ音声メッセージ等をスピーカ50によって出力させる。ただし、案内交差点に設置された信号機以外の信号機を車両2が通過した際の案内出力については、省略してもよい。
【0050】
そして、地物判定部70jは、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致するか否かを判定する(SA13)。その結果、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致しないと判定された場合(SA13、No)、制御部70はSA4に移行する。
【0051】
次に、SA4−SA9の処理後に、車両2がSA9にて特定された案内出力基準位置に到達した場合において(SA10、Yes)、地物カウント部70iが、車両2が通過した信号機の数を「2」とカウントした場合(SA11)、案内部70gは、走行に関する案内を行う(SA12)。例えば、この案内部70gは、「ポーン、2つ目の信号を通過しました。およそ200m先、次の信号を左方向です」のように、現在の車両位置から案内交差点までの走行距離であって、車両2の走行方向に沿った走行距離、進路方向、及びSA11でカウントした信号機の数を含んだ音声メッセージ等をスピーカ50によって出力させる。
【0052】
次いで、地物判定部70jは、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致するか否かを判定する(SA13)。その結果、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致しないと判定された場合(SA13、No)、制御部70はSA4に移行する。
【0053】
次に、SA4−SA9の処理後に、車両2がSA9にて特定された案内出力基準位置に到達した場合(SA10、Yes)、地物カウント部70iは、車両2が通過した信号機の数を「3」とカウントした場合(SA11)、案内部70gは、走行に関する案内を行う(SA12)。例えば、この案内部70gは、「左です」のように、車両2の進路方向を含んだ音声メッセージ等をスピーカ50によって出力させる。
【0054】
次いで、地物判定部70jは、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致するか否かを判定する(SA13)。その結果、SA11にてカウントされた信号機がSA2にて算定された信号機の設置数と一致すると判定された場合(SA13、Yes)、制御部70はこの処理を終了する。
【0055】
(効果)
このように実施の形態1によれば、車両2が案内出力基準位置に到達したことが判定部70fによって判定された場合に、案内部70gが当該判定された案内出力基準位置を基準とした所定位置において地物に関する案内を行うので、カメラ20の画角が運転者の視野角と異なる場合であっても、運転者の視野の中から信号機が消失するタイミングを基準として案内を行うことができ、運転者に対して適切なタイミングで案内することができる。
【0056】
また、補正距離L2は、案内出力基準位置から信号機の位置に至る距離であり、判定部70fは、画像取得70cにて取得された画像に基づいて信号機の位置を特定し、当該特定した信号機の位置から車両2の走行方向に沿って補正距離L2だけ手前の位置に車両2が到達した場合に、車両2が案内出力基準位置に到達したものと判定するので、車両2が信号機から遠く離れた手前の位置を走行している場合でも、案内出力基準位置を特定することができ、運転者に対して一層適切なタイミングで案内することができる。
【0057】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、撮影手段の撮影領域の中から地物が消失する時点の位置から補正距離だけ前方の位置を基準とした所定位置において案内を行う形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0058】
(構成−データ記録部)
まず、実施の形態2に係るナビゲーション装置1の構成について説明する。データ記録部80は、地図情報DB80a及び補正距離テーブル80bを備えて構成されている。図6は、実施の形態2に係る補正距離テーブル80bに格納される情報の内容を例示した表である。図6に示すように、補正距離テーブル80bには、テーブル項目「車種」、及び「補正距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「車種」に対応して格納される情報は、図2に示す補正距離テーブル80bの同一項目に対応する情報と同じである。項目「補正距離」に対応して格納される情報は、補正距離に関する補正距離情報であり、例えば「5m」等が格納される。ここで、「補正距離」とは、具体的には、カメラ20の撮影領域の中から信号機が消失する時点の車両2の位置(以下、撮影領域消失位置(第1車両位置)と称する)から案内出力基準位置に至る距離であって、車両2の走行方向に沿った距離(以下、補正距離L3と称する)が該当する。
【0059】
(方法)
次に、実施の形態2に係るナビゲーション装置1の案内方法について説明する。図7は、実施の形態2に係るナビゲーション装置1による案内のタイミングを示す図であり、(a)は撮影領域消失位置に車両2が到達した状態を示す図、(b)は案内出力基準位置に車両2が到達した状態を示す図である。
【0060】
図7(a)に示すように、まず、信号機の設置位置よりも車両2の走行方向における手前側の位置であって、カメラ20の撮影領域の中に信号機が含まれる任意の位置で、当該カメラ20で信号機を撮影する。次に、撮影された画像に所定の画像処理を施すことにより、当該画像から信号機の有無を認識し、この認識結果に基づいて、撮影された画像から信号機が消失した位置を、撮影領域消失位置として特定する。続いて、補正距離テーブル80bに格納された補正距離情報に基づいて、撮影領域消失位置から車両2の走行方向に沿って補正距離L3を取得する。そして、図7(b)に示すように、車両2の走行距離が撮影領域消失位置から補正距離L3だけ進んだ位置に到達した場合に、走行に関する案内や信号機に関する案内を行う。
【0061】
(処理)
次に、実施の形態2に係るナビゲーション装置1によって実行される案内処理について説明する。図8は、実施の形態2に係る案内処理のフローチャートである。ここで、この案内処理におけるSB1−SB6、SB10−SB13は、図5に示した実施の形態1の処理のSA1−SA6、SA10−SA13と同じであるため、その説明を省略する。
【0062】
SB6の処理後、画像認識部70dは、画像取得部70cにて取得された画像に所定の画像処理を施し、当該処理された画像から信号機が消失したと認識されたか否かを判定する(SB7)。ここで、画像認識部70dにて処理された画像から信号機が消失したと認識されなかった場合(SB7、No)、制御部70はSB4に移行する。
【0063】
一方、画像認識部70dにて処理された画像から信号機が消失したと認識された場合(SB7、Yes)、制御部70は、補正距離テーブル80bから補正距離情報を取得する(SB8)。次いで、車両位置特定部70eは、SB7の認識結果及びSB8にて取得された補正距離情報に基づいて、案内出力基準位置(例えば、図7(b)に示す車両2の位置)を特定する(SB9)。具体的には、車両位置特定部70eは、SB7の認識結果に基づいて、撮影された画像から信号機が消失した位置を、撮影領域消失位置(例えば、図7(a)に示す車両2の位置)として特定する。そして、SB8にて取得された補正距離情報に基づいて、撮影領域消失位置から車両2の走行方向に沿って補正距離L3だけ前方の位置を、案内出力基準位置として特定する。
【0064】
(効果)
このように実施の形態2によれば、補正距離L3は、撮影領域消失位置から案内出力基準位置に至る距離であり、判定部70fは、画像取得70cにて取得された画像に基づいてカメラ20の撮影領域の中から信号機が消失した位置を特定し、当該特定した位置から車両2の走行方向に沿って補正距離L3だけ前方の位置に車両2が到達した場合に、車両2が案内出力基準位置に到達したものと判定するので、車両2が信号機から遠く離れた手前の位置を走行している場合であって当該信号機を撮影できないような場合(例えば、車両2の前方を大型トラックが走行しているために、遠方の信号機を撮影できないような場合等)でも、案内出力基準位置を特定することができ、運転者に対して一層適切なタイミングで案内することができる。
【0065】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、車両の走行速度に応じた補正距離を使用する形態である。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0066】
(構成−データ記録部)
まず、実施の形態3に係るナビゲーション装置1の構成について説明する。データ記録部80は、地図情報DB80a及び補正距離テーブル80bを備えて構成されている。図9は、実施の形態3に係る補正距離テーブル80bに格納される情報の内容を例示した表である。図9に示すように、補正距離テーブル80bには、テーブル項目「車種」、「走行速度」、及び「補正距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。項目「車種」に対応して格納される情報は、図2に示す補正距離テーブル80bの同一項目に対応する情報と同じである。項目「走行速度」に対応して格納される情報は、車両2の走行速度を特定する走行速度特定情報であり、例えば、時速0km/h以上から時速20km/h未満の走行速度範囲を示す「0−20km/h」等が格納される。項目「補正距離」に対応して格納される情報は、図2に示す補正距離テーブル80bの同一項目に対応する情報と同じである。
【0067】
(処理)
次に、実施の形態3に係るナビゲーション装置1によって実行される案内処理について説明する。図10は、実施の形態3に係る案内処理のフローチャートである。ここで、この案内処理におけるSC1−SC6、SC10−SC14は、図5に示した実施の形態1の処理のSA1−SA6、SA9−SA13と同じであるため、その説明を省略する。
【0068】
SC7の処理において、画像認識部70dにて処理された画像から信号機が認識された場合(SC7、Yes)、車両情報取得部70bは、車両2の走行速度を公知の方法により取得する(SC8)。次いで、制御部70は、補正距離テーブル80bから車種情報に対応する補正距離情報であり、かつSC8にて取得された車両2の走行速度に対応する補正距離情報(例えば、普通乗用車で、走行速度が時速60km/hの場合には、「18m」)を取得する(SC9)。
【0069】
(効果)
このように実施の形態3によれば、補正距離テーブル80bは、車両2の走行速度に応じた補正距離L2を格納し、判定部70fは、所定方法にて車両2の走行速度を特定し、当該特定された走行速度に応じた補正距離L2を補正距離テーブル80bから取得し、当該取得した補正距離L2に基づいて判定を行うので、走行速度が運転者の視野角に与える影響を考慮した案内出力基準位置を特定することができ、運転者に対してさらに一層適切なタイミングで案内することができる。
【0070】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0071】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0072】
(各実施の形態の組み合わせについて)
また、各実施の形態において説明した構成は、任意の組み合わせで、相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態3では、車両2の走行速度に応じた補正距離情報を格納する補正距離テーブルを実施の形態1に適用した場合について説明したが、例えば、この補正距離テーブルを実施の形態2に適用してもよい。
【0073】
また、各実施の形態において説明した処理は、任意の組み合わせで、相互に組み合わせることができる。例えば、制御部70は、図示しない通信部によってVICS(Vehicle Information and Communication System)やインターネット等を介して渋滞情報を取得し、当該取得した渋滞情報に基づいて、車両2が渋滞に巻き込まれていない場合には、実施の形態1の案内処理を実行し、車両2が渋滞に巻き込まれている場合には、実施の形態2の案内処理を実行するように、制御してもよい。
【0074】
(補正距離情報について)
また、各実施の形態において、補正距離に関する補正距離情報は補正距離テーブル80bに格納されていると説明したが、これに限られない。例えば、運転者が操作部10を介して補正距離を設定できるようにしてもよい。あるいは、ドライバモニタカメラの計測結果に基づいて補正距離を設定できるようにしてもよい。例えば、制御部70は、車両2に設置された図示しないドライバモニタカメラによって運転者のドライバポイントを取得させ、当該取得したドライバポイントから公知の方法により当該運転者の視野角を算出する。そして、当該算出した当該運転者の視野角に基づいて、公知の方法により補正距離を算出して設定する。これにより、運転者の体型や車両2のシートの位置に応じた補正距離に基づいて、案内出力基準位置を特定することができ、運転者に対してさらに一層適切なタイミングで案内することができる。
【0075】
また、実施の形態3において、補正距離テーブル80bには、車両2の走行速度に対応する補正距離情報が格納されていると説明したが、補正距離情報としては、運転者の視野角に影響を与えるパラメータに応じた補正距離情報を格納できればよく、例えば曇天時、雨天時、霧時等の走行環境に応じた補正距離情報や、所定時間あたりのワイパーの可動範囲に応じた補正距離情報等を格納してもよい。この場合、SC8の処理において、制御部70は、上述した走行環境やワイパーの可動範囲を公知の方法で必要に応じて取得し、補正距離テーブル80bから当該取得した走行環境やワイパー可動範囲に対応する補正距離情報を取得し、当該取得した補正距離情報に基づいて、上記と同様に処理を行うことができる。
【0076】
(案内処理について)
また、実施の形態1において、SA12の処理において、案内部70gは、走行に関する案内をスピーカ50によって出力させると説明したが、例えば、走行に関する案内をディスプレイ60によって出力させてもよい。
【0077】
また、実施の形態1において、SA12の処理において、案内部70gは、案内出力基準位置において走行に関する案内を行うものとして説明したが、SA9にて特定された案内出力基準位置を基準とした所定位置で案内を出力できればよく、車両2が案内出力基準位置から所定距離だけ進んだ位置で(例えば、車両2が信号機を通過した後の位置で)、案内部70gが走行に関する案内を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ナビゲーション装置
2 車両
10 操作部
20 カメラ
30 現在位置検出処理部
40 距離センサ
50 スピーカ
60 ディスプレイ
70 制御部
70a 走行経路探索部
70b 車両情報取得部
70c 画像取得部
70d 画像認識部
70e 車両位置特定部
70f 判定部
70g 案内部
70h 地物特定部
70i 地物カウント部
70j 地物判定部
80 データ記録部
80a 地図情報DB
80b 補正距離テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の地物を撮影するために車両に搭載された撮影手段から画像を取得する画像取得手段と、
前記車両の走行方向に沿った補正距離であって、前記撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失する時点の車両の位置である第1車両位置と、運転者の視野の中から前記地物が消失する時点の前記車両の位置である第2車両位置との相違を補正するための補正距離を格納する補正距離格納手段と、
前記画像取得手段にて取得された画像と前記補正距離格納手段にて格納された補正距離とに基づいて、前記車両が前記第2車両位置に到達したか否かを判定する判定手段と、
前記車両が前記第2車両位置に到達したことが前記判定手段によって判定された場合に、当該判定された第2車両位置を基準とした所定位置において前記地物に関する案内を行う案内手段と、
を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記補正距離は、前記第2車両位置から前記地物の位置に至る距離であり、
前記判定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像に基づいて前記地物の位置を特定し、当該特定した前記地物の位置から前記車両の走行方向に沿って前記補正距離だけ手前の位置に前記車両が到達した場合に、前記車両が前記第2車両位置に到達したものと判定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記補正距離は、前記第1車両位置から前記第2車両位置に至る距離であり、
前記判定手段は、前記画像取得手段にて取得された画像に基づいて前記撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失した位置を特定し、当該特定した位置から前記車両の走行方向に沿って前記補正距離だけ前方の位置に前記車両が到達した場合に、前記車両が前記第2車両位置に到達したものと判定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記補正距離格納手段は、前記車両の走行速度に応じた補正距離を格納し、
前記判定手段は、所定方法にて前記車両の走行速度を特定し、当該特定された走行速度に応じた補正距離を前記補正距離格納手段から取得し、当該取得した補正距離に基づいて判定を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
車両の走行方向に沿った補正距離であって、道路上の地物を撮影するために車両に搭載された撮影手段の撮影領域の中から前記地物が消失する時点の車両の位置である第1車両位置と、運転者の視野の中から前記地物が消失する時点の前記車両の位置である第2車両位置との相違を補正するための補正距離を記憶手段に格納する補正距離格納ステップと、
前記撮影手段にて撮影された画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにて取得された画像と前記記憶手段から取得した補正距離とに基づいて、前記車両が前記第2車両位置に到達したか否かを判定する判定ステップと、
前記車両が前記第2車両位置に到達したことが前記判定ステップによって判定された場合に、当該判定された第2車両位置を基準とした所定位置において前記地物に関する案内を行う案内ステップと、
を含むナビゲーション方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141154(P2012−141154A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292199(P2010−292199)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】