説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびナビゲーションプログラム

【課題】連続するカーブに対する運転操作を運転者は事前に心積もりしておくことができなかった。
【解決手段】自車両の経路を示す情報を取得し、前記自車両の位置を示す情報を取得し、前記経路において前記自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得し、連続する前記N個のカーブのうち最も手前のカーブから所定距離の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を運転者に伝達することによって経路案内を行うナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置等において経路案内を行う際に、振動によって各種の案内を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−221051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、短い距離の間に連続して交差点を右折または左折する経路が設定されている場合について考慮されていない。すなわち、従来の技術では、連続する交差点のうち2番目以降の交差点でどちらに曲がればよいかは、1番目の交差点を通過してから案内されるため、2番目以降の交差点に対する運転操作を運転者は予め心積もりしておくことができない。そのため、運転者は、2番目の交差点に対する運転操作を慌てて行わなければならない。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、自車両の前方に連続して存在するカーブに対する運転操作を、振動体の振動態様によって事前に運転者に案内することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明においては、経路において自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得し、最も手前のカーブから所定の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる。この構成によると、自車両の前方に複数のカーブが連続して存在することを、当該複数のカーブにさしかかる前に、運転者は認識することができる。また、運転者は、その振動態様からカーブの態様を連想することができる。その結果、運転者はカーブの態様から当該カーブを走行する際に行う運転操作を連想することができる。
【0006】
経路情報取得手段においては、自車両の経路を示す情報を取得することができればよく、種々の構成を採用可能である。自車両の経路を示す情報は、自車両が走行する可能性が高い経路を示す情報であればよく、経路探索の結果得られた推奨経路を示す情報であってもよいし、運転者が手動で設定した走行予定の経路を示す情報であってもよいし、過去の走行経路から学習処理によって得られる推定経路を示す情報であってもよい。ナビゲーション装置10が道なりと判定した道路を、自車両の経路を示す情報として扱ってもよい。
【0007】
自車位置情報取得手段においては、自車両の位置を示す情報を取得するための種々の構成を採用可能である。例えば、GPS衛星からの信号や車両に搭載された各種センサやカメラからの信号と地図情報とを用いて、地図上での軌跡を基に補正し、自車両の位置を特定する。車車間通信や路車間通信によって自車両の位置を取得してもよい。
【0008】
カーブ情報取得手段においては、経路において前記自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得する。カーブとは、道路の進行方向や自車両の進行方向が直進でない箇所を指し、例えば道なりのカーブやコーナー、経路として右折または左折が設定されている交差点などを指す。連続して存在するN個のカーブとは、経路上の通過順において隣り合うカーブ間の距離がそれぞれ予め決められた距離以下であるN個のカーブを指す。なお、カーブ間の距離は、カーブの端部やカーブの中央部などを起点として導出してもよいし、各カーブに予め設定された基準位置を起点として導出してもよい。カーブ情報取得手段は、自車両の位置から前方に連続する複数のカーブが存在するかどうかを、経路情報取得手段が取得した経路と、自車位置情報取得手段が取得した自車両の位置とを用いて判定し、存在している場合に、当該カーブの態様を示す情報を取得する。カーブの態様とは、各カーブと自車両との距離や、連続するカーブの個数、各カーブ間の距離、各カーブが曲がる向きなどである。各カーブの曲がりの程度などが含まれてもよい。
【0009】
振動体制御手段においては、カーブ情報取得手段が取得した複数のカーブの態様と振動体の振動態様とを対応付けて、振動体を振動させることができればよい。振動体制御手段は、自車両の運転者が接触しうる位置に設けられている1個以上の振動体を制御対象とする。振動の態様については、カーブの態様を運転者が直感的にあるいは学習により連想可能な態様で発生させることができればよく、種々の振動態様を採用可能である。
【0010】
例えば振動体制御手段は、経路上において自車両の位置から近いM(Mは1以上N−1以下の整数)番目のカーブに対応する振動をM+1番目のカーブに対応する振動より先に発生させてもよい。すなわち、各カーブに対応する振動を同時に発生させるのではなく振動発生時間をずらして、自車両の位置を基準として手前に存在するカーブに対応する振動から順に発生させる。この構成によると、M+1番目に感じた振動に対応するカーブがM番目に感じた振動に対応するカーブよりも、経路上において自車両の位置を基準として奥に存在することを運転者は直感的に連想することができる。
【0011】
また、振動体制御手段は、M番目のカーブとM+1番目のカーブとの間の距離が長いほど、M番目のカーブに対応する振動とM+1番目のカーブに対応する振動との間隔を長くしてもよい。すなわち、振動の発生間隔と連続するカーブ間の距離とを対応付ける。この構成によると、各カーブ間の距離の長短を運転者は直感的に連想することができる。
【0012】
さらに、振動体制御手段は、M番目のカーブに対応する振動を、M+1番目のカーブに対応する振動より強い振動として発生させてもよい。すなわち、経路上において自車両を基準にして自車両から近い位置にあるカーブに対応する振動ほど強く、遠い位置にあるカーブに対応する振動ほど弱く発生させる。この構成によると、強い振動に対応するカーブは弱い振動に対応するカーブよりも経路上において自車両に近いことを運転者は直感的に連想することができる。なお、強い振動とは、振動数が多い振動や、振幅が大きい振動を指す。
【0013】
さらに、振動体制御手段は、M番目のカーブの案内を、予め決められた単位振動をM回発生させることにより行ってもよい。この構成によると、運転者は、M回の単位振動が自車両の位置からM番目のカーブに対応する振動であることを容易に連想することができる。なお、単位振動は、予め決められた単位時間内での振動であればよく、振動の態様は限定されない。すなわち、回数を数えられるように特定の期間内で特定の振動を生じさせればよく、振動は連続的であってもよいし離散的であってもよい。
【0014】
さらに、振動体制御手段は、カーブについて右折を案内する場合は運転者にとって右側に設けられた振動体を振動させ、左折を案内する場合は左側に設けられた振動体を振動させてもよい。この構成によると、運転者は右側に設けられた振動体の振動を感じると右に曲がるカーブを、左側に設けられた振動体の振動を感じると左に曲がるカーブを、直感的に連想することができる。
【0015】
さらに、振動体制御手段は、自車両の位置に対するN個のカーブの各位置に対応するN個の振動体を選択し、選択された前記振動体を振動させてもよい。例えば運転席に着座している状態の運転者の頭部に近い位置に設けられた振動体ほど自車両の位置から近いカーブを、運転者の腿前部に近い位置に設けられた振動体ほど自車両の位置から遠いカーブを対応付けるようにしてもよい。この場合、頭部に近い振動体による振動が自車両の位置から近いカーブに対応するものであることを運転者は認識することができる。なお、自車両の位置に対するN個のカーブの各位置と、運転者が着座する座席の基準位置に対する振動体の各位置とを対応付けることができる限りにおいて、振動体の配置や数量、当該各位置との対応付け方に特に限定はない。
【0016】
さらに、本発明のように経路において自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得し、最も手前のカーブから所定の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなナビゲーション装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、ナビゲーション装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)振動体制御処理:
(2−1)振動態様の例1:
(2−2)振動態様の例2:
(2−3)振動態様の例3:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備えるコンピュータである制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたナビゲーションプログラム21を制御部20で実行することができる。
【0019】
自車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)には、ナビゲーションプログラム21によって振動体の振動を制御する機能を実現するために、GPS受信部40とジャイロセンサ41と車速センサ42と振動体43a〜43fとを備えており、これらの各部とナビゲーションプログラム21とが協働することによって振動体を制御して経路案内する機能が実現される。
【0020】
GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。ジャイロセンサ41は、車両の角速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両が動いた向きを示す情報を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。
【0021】
振動体43a〜43fは、図示しないインタフェースを介して制御部20が出力する制御信号を取得して当該制御信号にて指示された複数のパターンの振動数や振幅にて振動することが可能な振動体(例えば、偏心モータ等)であり、運転者に接触しうる位置に設けられている。本実施形態においては、運転者が運転姿勢をとっている状態において運転者に接触しうるシートに対して設けられている。図2は、本実施形態における運転者のシート50を示す模式図であり、同図2においては、振動体が組み込まれている位置を丸によって示している。すなわち、本実施形態においては、座面の前部における左右の部位50a、50bと、座面の後部における左右の部位50c、50dと、背もたれの上部における左右の部位50e、50fとに振動体43a〜43fが組み込まれている。
【0022】
従って、本実施形態においては、運転者の左右の腿前部が接触しうる位置と、左右の腿後部が接触しうる位置と、左右の肩が接触しうる位置とに振動体が設けられている。なお、運転者は座面の中央に着座するため、部位50a、50bに設けられた振動体43a、43bは運転者の身体の中心に対して略対称の位置に設けられており、振動体43aは運転者の身体の中心から見て左側、振動体43bは運転者の身体の中心から見て右側に位置する。同様に、部位50c、50dに設けられた振動体43c、43dは運転者の身体の中心に対して略対称の位置に設けられており、振動体43cは運転者の身体の中心から見て左側、振動体43dは運転者の身体の中心から見て右側に位置する。同様に、部位50e、50fに設けられた振動体43e、43fは運転者の身体の中心に対して略対称の位置に設けられており、振動体43eは運転者の身体の中心から見て左側、振動体43fは運転者の身体の中心から見て右側に位置する。
【0023】
本実施形態において、ナビゲーションプログラム21は、上述の各部と協働して振動体を振動させることによって経路案内を行うため、経路情報取得部21aと自車位置情報取得部21bとカーブ情報取得部21cと振動体制御部21dとを備えている。また、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による経路案内機能を実施するための地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、目標物を示すデータ等を含み、自車両の位置の特定や目的地への案内等に利用される。道路のカーブ地点やコーナー地点、交差点の位置は、ノードデータとして記憶されている。
【0024】
経路情報取得部21aは、地図情報30aと自車両の位置を示す情報(以降、自車位置情報という)とに基づいて自車両の位置から目的地までの推奨経路を探索によって取得し、自車両の経路を示す情報(以降、経路情報という)として出力するモジュールである。経路情報は、例えば、経路上にある交差点などに設定されたノードを示すノードデータと、ノード同士の連結を示すリンクデータとを含む。なお、目的地が設定されていない場合は、道なりと判定された道路を自車両の経路として扱ってもよい。
【0025】
自車位置情報取得部21bは、自車位置情報を特定し、当該自車位置情報を出力するモジュールである。自車位置情報取得部21bは、GPS受信部40が出力する信号とジャイロセンサ41が出力する信号と車速センサ42が出力する信号とから取得した位置情報を、地図情報30aを用いて地図上での軌跡を基に補正し、自車両の位置を特定する。車車間通信や路車間通信によって位置情報を取得してもよい。
【0026】
カーブ情報取得部21cは、経路において自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得するモジュールである。本明細書においてカーブとは、道路の進行方向や自車両の進行方向が直進でない箇所を指し、例えば道なりのカーブやコーナー、経路として右折または左折が設定されている交差点などを指す。連続して存在するN個のカーブとは、経路上の通過順において隣り合うカーブ間の距離がそれぞれ予め決められた距離以下であるN個のカーブを指す。なお、カーブ間の距離は、カーブの端部やカーブの中央部などを起点として導出してもよいし、各カーブに予め設定された基準位置を起点として導出してもよい。カーブ情報取得部21cは、自車両の位置から前方に連続する複数のカーブが存在するかどうかを、経路情報と自車位置情報とを用いて判定し、存在している場合に当該カーブの態様を示す情報を取得する。なお、カーブの態様とは、各カーブと自車両との距離や、連続するカーブの個数、各カーブ間の距離、各カーブが曲がる向き(各カーブにおける旋回方向)などである。各カーブの曲がりの程度などが含まれてもよい。
【0027】
振動体制御部21dは、カーブ情報取得部21cが取得した複数のカーブの態様と振動体の振動態様とを対応付けて、振動体を振動させるための信号を出力するモジュールである。振動体制御部21dは、自車両の運転者が接触しうる位置に設けられている1個以上の振動体を制御対象とする。振動の態様については、カーブの態様を運転者が直感的にあるいは学習により連想可能な態様にて振動を発生することができればよい。
以上、ナビゲーション装置10の構成を説明した。
【0028】
(2)振動体制御処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実行する振動体制御処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行されているとき、経路情報取得部21aと自車位置情報取得部21bとカーブ情報取得部21cと振動体制御部21dとは図3に示す処理を行う。この振動体制御処理は、所定時間経過ごとに繰り返し実行される。この振動体制御処理が実行される前に、経路情報取得部21aは経路情報を取得する。
【0029】
はじめに、自車位置情報取得部21bは、自車位置情報を取得する(ステップS100)。具体的には、GPS受信部40が出力する信号とジャイロセンサ41が出力する信号と車速センサ42が出力する信号とから取得した位置情報を、地図情報30aを用いて地図上での軌跡を基に補正し、自車両の位置を特定する。
【0030】
次に、経路情報取得部21aは、経路案内中であるか判定する(ステップS105)。本実施形態では、目的地がユーザによって設定され、当該目的地までの経路案内を実施中であるかどうかを判定する。経路案内中でない場合は、振動体制御処理を終了する。次に、カーブ情報取得部21cは、経路上において自車両の前方Xメートル以内にカーブが存在するかどうか判定する(ステップS110)。具体的には例えば、500メートル以内にカーブが存在するかどうか判定する。
【0031】
Xメートル以内にカーブが存在するとき、カーブ情報取得部21cは、自車両の位置から見て最も手前の1番目のカーブのカーブ情報を取得する(ステップS115)。具体的には例えば、自車両の位置から1番目のカーブまでの距離と、1番目のカーブにおける自車両の旋回方向を示す情報(例えば、右旋回または左旋回)を取得する。ステップS110にてXメートル以内にカーブが存在すると判定されない場合は、振動体制御処理を終了する。
【0032】
次に、カーブ情報取得部21cは、1番目のカーブからYメートル以内に2番目のカーブが存在するか判定する(ステップS120)。具体的には例えば、経路上において1番目のカーブから先の200メートル以内に次のカーブが存在するかを判定する。2番目のカーブが存在する場合は、カーブ情報取得部21cは、2番目のカーブのカーブ情報を取得する(ステップS125)。具体的には例えば、1番目のカーブから2番目のカーブまでの距離と、2番目のカーブにおける自車両の旋回方向を示す情報を取得する。2番目のカーブが存在しないと判定されたときは、ステップS140の処理に移行する。
【0033】
次に、カーブ情報取得部21cは、2番目のカーブからYメートル以内に3番目のカーブが存在するかどうか判定する(ステップS130)。具体的には例えば、経路上において2番目のカーブから200メートル以内に次のカーブが存在するか判定する。3番目のカーブが存在する場合、3番目のカーブのカーブ情報を取得する(ステップS135)。具体的には例えば、2番目のカーブから3番目のカーブまでの距離と、3番目のカーブにおける自車両の旋回方向を示す情報を取得する。3番目のカーブが存在しない場合は、ステップS140の処理に移行する。最後に、振動体制御部21dは、取得したカーブ情報に対応する振動態様で振動体を振動させる(ステップS140)。
【0034】
この振動体制御処理は、所定時間経過ごとに繰り返し実行される処理であり、従って自車両の現在位置は所定時間経過ごとに更新される。本実施形態では、経路上において2個以上の右左折案内交差点が、経路上の通過順において隣り合う交差点間の各距離が200メートル以内で連続する場合であって、それら連続する交差点の1番手前の交差点を自車両の500メートル以内の前方に控えたときに、ステップS140において設定される振動態様で振動体が制御される。なお、ステップS140で設定された振動態様による振動案内は、1番目の交差点を通過するまでの間繰り返し実施されてもよいし、1番目の交差点を通過する前に1回だけ実施されてもよい。
【0035】
以上、図3に示す振動体制御処理の流れを説明した。次に、以上の処理が実行されたときステップS140にて実施される振動体の振動態様を説明する。図4は振動体制御処理による動作例を説明するための図であり、自車両の経路を示している。経路上において自車両の位置Pの前方には、まず距離D先に右折交差点である1番目の交差点Iがあり、交差点Iから距離D先に左折交差点である2番目の交差点Iがある。さらに交差点Iから距離D先に右折交差点である3番目の交差点Iがある。また、距離Dを500メートル、距離Dを200メートル、距離Dを150メートルであるとして、振動態様の例を説明する。
【0036】
(2−1)振動態様の例1:
図5Aは上記のような経路を案内する場合の振動態様の一例を示す図である。横軸は時間軸を示している。上段は座面前部右側の振動体43b、下段は座面前部左側の振動体43aの振動のタイミングを示している。交差点I・Iを右折する旨を運転席に着座する運転者にとって右側の振動体の振動で、交差点Iを左折する旨を左側の振動体の振動で伝達することにより、運転者は右側に設けられた振動体の振動を感じると右に曲がることを、左側に設けられた振動体の振動を感じると左に曲がることを、直感的に連想することができる。
【0037】
また、各カーブに対応する振動を同時に発生させるのではなく振動発生時間をずらして、自車両の位置を基準として手前に存在する交差点に対応する振動から順に発生させることにより、2番目に感じた振動に対応する交差点が1番目に感じた振動に対応する交差点よりも、経路上において自車両の位置を基準として奥に存在することを運転者は直感的に連想することができる。また、3番目に感じた振動に対応する交差点はさらに奥にあることを連想することができる。
【0038】
さらに、交差点Iに対応する振動と交差点Iに対応する振動との間隔(時間T)、交差点Iに対応する振動と交差点Iに対応する振動との間隔(時間T)をそれぞれ、距離D、距離Dと対応させることにより、各カーブ間の距離の長短を運転者は直感的に連想することができる。距離Dは距離Dより長いことを示すために、少なくとも時間Tは時間Tより長く設定される。
【0039】
さらに、自車両の位置から近いM(Mは1以上N−1以下の整数)番目のカーブの案内を予め決められた単位振動をM回発生させることにより実施することにより、例えば2回の単位振動は自車両の位置から2番目の交差点に対応する振動であることを運転者は容易に連想することができる。なお、単位振動は、予め決められた単位時間内での振動であればよく、振動の態様は限定されない。すなわち、回数を数えられるように特定の期間内で特定の振動を生じさせればよく、振動は連続的であってもよいし離散的であってもよい。振動数や振動の強度は任意である。
【0040】
(2−2)振動態様の例2:
図5Bは振動態様の他の一例を示す図である。振動態様の例1と重複する説明は省略し、例2の特徴を説明する。図5Bにおいて最上段から最下段までは順に、背もたれ上部右側の振動体43f、背もたれ上部左側の振動体43e、座面後部右側の振動体43d、座面後部左側の振動体43c、座面前部右側の振動体43b、座面前部左側の振動体43aの6個の振動体の振動タイミングを示している。
【0041】
図5Bに示すように、自車両の位置を基準にして手前から1番目(自車両から最も近い)の交差点Iの案内を背もたれ上部右側の振動体43fの振動、2番目の交差点Iの案内を座面後部左側の振動体43cの振動、3番目の交差点Iの案内を座面前部右側の振動体43bの振動によって行う。これは運転席に着座した状態の運転者の頭部と接触しうる運転席の位置(例えばヘッドレスト)を基準位置として、当該基準位置に最も近い位置に設けられた振動体43e・43fを1番目の交差点、当該基準位置から2番目に近い位置に設けられた振動体43c・43dを2番目の交差点、当該基準位置から3番目に近い位置に設けられた振動体43a・43bを3番目の交差点に対応付け、右折の場合は右側の振動体、左折の場合は左側の振動体を振動させるようにしたものである。
【0042】
このように、運転席に着座している状態の運転者の頭部に近い位置に設けられた振動体ほど自車両の位置から近い交差点を、運転者の頭部から遠い位置に設けられた振動体ほど自車両の位置から遠い交差点を対応付けるようにすることにより、頭部に近い振動体による振動が自車両の位置から近い交差点に対応するものであることを運転者は認識することができる。
【0043】
(2−3)振動態様の例3:
図5Cは、振動態様の他の一例を示す図である。振動態様の例1、例2と重複する説明は省略し、例3の特徴を説明する。例3では、経路上において自車両を基準にして自車両から近い位置にある交差点に対応する振動ほど強く、遠い位置にある交差点に対応する振動ほど弱く発生させる。図5Cは交差点Iに対応する振動が最も強く、交差点Iに対応する振動が最も弱いことを示している。このようにすると、強い振動に対応する交差点は弱い振動に対応する交差点よりも経路上において自車両に近いことを運転者は直感的に連想することができる。なお、強い振動とは、例えば振動数が多い振動や、振幅が大きい振動を指す。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によると、自車両の前方に複数の交差点が連続して存在することを、当該複数の交差点にさしかかる前に、運転者は認識することができる。また、運転者は、その振動態様から交差点の態様を連想することができる。その結果、運転者は交差点の態様から当該交差点を走行する際に行う運転操作を連想することができる。
【0045】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、経路において自車両の位置から前方に連続して存在する複数のカーブの態様を示す情報を取得し、前記複数のカーブの態様と対応する振動態様で、自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、自車両の位置に対するN個のカーブの各位置に対応するN個の振動体の選択の仕方は上述の振動態様の例2に限定されず、自車両の位置に対するN個のカーブの各位置と、運転者が着座する座席の基準位置に対する振動体の各位置とを対応付けることができる限りにおいて、振動体の配置や数量、当該各位置との対応付け方に特に限定はない。頭部に近い位置に設けられた振動体ほど、自車両から遠いカーブに対応付けてもよい。
【0046】
なお、振動態様の例2のように各交差点をそれぞれ別の振動体に対応付ける場合は、各交差点に対応する振動の発生に時間差を設けずに、同時に振動させてもよい。複数の振動体が同時に振動しても、それぞれ別の振動体が振動するので、運転者は振動した振動体の位置と交差点の順番や距離を連想することができる。
【0047】
さらに、上記実施形態では、複数の振動体を用いて経路案内する構成を説明したが、振動体の数は1つであってもよい。この場合、例えば、経路上において自車両の先にN個のカーブが存在することのみを、振動態様の例1や例3のように、M番目から順に単位振動をM回繰り返すことによって案内してもよい。すなわち左右どちらに旋回するかという情報の案内を省略する構成であってもよい。
【0048】
なお、上記実施形態では振動体は運転席に設けられている構成を説明したが、振動体を例えばハンドルに設け、図5Aまたは図5Bのように、右折の場合はハンドルの右側、左折の場合はハンドルの左側を振動させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、自車両の経路を示す情報としては、自車両が走行する可能性が高い経路を示す情報であればよく、上記実施形態で説明した探索の結果得られた推奨経路であることに限らず、運転者が手動で設定した走行予定の経路を示す情報であってもよいし、過去の走行経路から学習処理によって得られる推定経路を示す情報であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、連続する交差点を最大3個まで事前に案内する構成を説明したが、振動によって事前に案内する交差点の数は最大2個であっても、4個以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】車両に搭載されたナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】運転者のシートを示す模式図である。
【図3】ナビゲーションプログラムにて実施する処理の例を示すフローチャートである。
【図4】交差点の態様の例を示す図である。
【図5】振動態様の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
10:ナビゲーション装置、20:制御部、21:ナビゲーションプログラム、21a:経路情報取得部、21b:自車位置情報取得部、21c:カーブ情報取得部、21d:振動体制御部、30:記憶媒体、30a:地図情報、40:GPS受信部、41:ジャイロセンサ、42:車速センサ、43a〜43f:振動体、50:シート、50a〜50f:部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の経路を示す情報を取得する経路情報取得手段と、
前記自車両の位置を示す情報を取得する自車位置情報取得手段と、
前記経路において前記自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得するカーブ情報取得手段と、
連続する前記N個のカーブのうち最も手前のカーブから所定距離の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる振動体制御手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記振動体制御手段は、前記経路上において前記自車両の位置から近いM(Mは1以上N−1以下の整数)番目の前記カーブに対応する振動をM+1番目の前記カーブに対応する振動より先に発生させる、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記振動体制御手段は、M番目の前記カーブとM+1番目の前記カーブとの間の距離が長いほど、M番目の前記カーブに対応する振動とM+1番目の前記カーブに対応する振動との間隔を長くする、
請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記振動体制御手段は、M番目の前記カーブに対応する振動を、M+1番目の前記カーブに対応する振動より強い振動として発生させる、
請求項2または請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記振動体制御手段は、M番目の前記カーブの案内を、予め決められた単位振動をM回発生させることにより行う、
請求項2〜請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記振動体制御手段は、前記カーブについて右折を案内する場合は前記運転者にとって右側に設けられた前記振動体を、前記カーブについて左折を案内する場合は前記運転者にとって左側に設けられた前記振動体を振動させる、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記振動体制御手段は、前記自車両の位置に対する前記N個のカーブの各位置に対応するN個の振動体を選択し、選択された前記振動体を振動させる、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
自車両の経路を示す情報を取得する経路情報取得行程と、
前記自車両の位置を示す情報を取得する自車位置情報取得行程と、
前記経路において前記自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得するカーブ情報取得行程と、
連続する前記N個のカーブのうち最も手前のカーブから所定距離の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる振動体制御行程と、
を含むナビゲーション方法。
【請求項9】
自車両の経路を示す情報を取得する経路情報取得手段と、
前記自車両の位置を示す情報を取得する自車位置情報取得手段と、
前記経路において前記自車両の位置から前方に連続して存在するN個(Nは2以上の整数)のカーブの態様を示す情報を取得するカーブ情報取得手段と、
連続する前記N個のカーブのうち最も手前のカーブから所定距離の位置に前記自車両が到達したときに、前記N個のカーブの態様と対応する振動態様で、前記自車両の運転者が接触しうる位置に設けられた振動体を振動させる振動体制御手段として、
コンピュータを機能させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−8656(P2009−8656A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63700(P2008−63700)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】