説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラム

【課題】 拡大図で表示された交差点が誘導経路上のどこにあるのかを案内画面上に示すことにより、交差点拡大図の縮尺切替を不要とし、表示処理の効率向上を図ると共に、交差点拡大図の視認性を高めることが可能である、高性能・高品質なナビゲーション装置及びその方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】 表示部10は、案内画面15及び交差点Cの拡大図16を表示させるものであり、交差点Cに対し自車位置Bが予め決められた所定距離以内になると、画面左右に分割して案内画面15及び拡大図16に表示する。と同時に、拡大図16の表示エリアとして指示マーク151を案内画面15上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路上の交差点に近づくとその交差点の拡大図を表示するナビゲーション技術に係り、拡大図にて表示された交差点が誘導経路のどこにあるのかが一目で分かるようにしたナビゲーション装置及びその方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用をはじめとするナビゲーション装置では、CD−ROM等の記憶媒体に記録された地点のデータベース、またはユーザが任意に選択する地図上の地点から地点検索を行い、所望の目的地を設定する。そして、現在地である自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、この誘導経路を案内画面上に表示すると共に、音声による方向誘導を行って、誘導経路を案内している。これにより、ユーザは迷うことなく誘導経路に従って走行することができる。
【0003】
このようなナビゲーション装置は広く普及しており、様々な機能を有している。例えば、交差点の右左折ポイントをユーザに分かり易く提示するために、案内対象となる交差点が近づくと、案内画面の一部に交差点の拡大図を表示する機能が従来より知られている。図7に示す表示例は誘導経路A(太線で示す)を表示した案内画面15であるが、三角形で表示される自車位置Bが誘導経路A上の交差点Cの300m以内となると、図8に示すように画面を左右に2分割して、左側の画面に案内画面15の一部を表示し、右側の画面に交差点Cの拡大図16を表示する。
【0004】
以上のナビゲーション装置によれば、交差点Cの拡大図16を表示することで交差点Cに関する多くの情報をユーザに与えることができ、たとえ交差点Cの道路構成が複雑であっても、誘導案内を確実に実施することができる。しかも、拡大図16の表示を交差点Cの入口部分に到達するよりも以前(前記の例では交差点の手前300m)に行うことで、交差点Cに関する情報をユーザに早期に伝えることができる。これにより、走行レーンをスムーズに選択できるなど、ユーザはゆとりを持って運転に臨むことができる。
【0005】
しかし、上記の従来技術では、拡大図16を表示した後、拡大図16で示した交差点Cの入口部分に自車位置Bが到達しない間は、拡大図16上に自車位置Bが表示されない。 そのため、右左折したい交差点Cと自車位置Bとの距離は拡大図16を見ただけでは把握することができなかった。特に、道路が渋滞していて拡大図16の範囲まで自車がなかなか到達しないでいると、ユーザは交差点Cを通過してしまったのではないかといった不安感が募る。
【0006】
その結果、目的の交差点Cよりも手前に別の交差点D(図7及び図8の案内画面に図示)があるとすると、これを右左折したい交差点Cと勘違いして、ここを曲がってしまい、誘導経路Aから外れるおそれがあった。この問題を解消するために、自車位置Bが拡大図16を表示した交差点Cまで、あとどのくらいあるのかを数字で表示する距離表示部Eを備えたナビゲーション装置も提案されている(図9参照)。図9の表示例では距離表示部Eにおいて自車位置Bから交差点Cまでの距離が250mであることを示しており、自車位置Bが交差点Cに近づくにつれて、この数値が減っていく。しかし、自車位置Bから交差点Cまでの距離を単に数字で示すだけでは、この距離を直感的につかむことは難しく、改良が待たれていた。
【0007】
そこで、自車位置Bから交差点Cまでの距離について、拡大図16からも分かるようにした技術として、特許文献1に記載のナビゲーション装置が提案されている。この技術では、拡大図16の縮尺率をあらかじめ上げておき(スケールアップしておき)、該当交差点Cに近づくにつれてその縮尺率を徐々に拡大していく。例えば、拡大図16の縮尺率を3段階でズームしていく。これにより、自車位置Bを常に拡大図16上に表示することができ、自車位置Bと交差点Cとの距離を視覚的に把握することが可能である。
【特許文献1】特開2003−269967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のナビゲーション装置には次のような課題が指摘されている。すなわち、拡大図16の縮尺を自車位置Bの移動に応じて複数回切替えているので、複雑な表示処理を迅速且つ正確に行わなくてはならず、表示処理にかかる負担が増大していた。また、最初に表示される拡大図16の縮尺は案内画面16のそれと大差がなく、交差点Cの道路構成が詳しく分かる程の拡大図16は、交差点Cのすぐ手前でしか表示することができない。つまり、交差点Cの拡大図16を交差点Cの手前から早い段階で提示するという効果は薄かった。
【0009】
さらに、特許文献1記載のナビゲーション装置では、自車位置Bが交差点Cに近づく短時間のうちに拡大図16を複数回切替えるため、一つの拡大図16をユーザが注視する時間は短かった。したがって、拡大図16の視認性が低く、交差点Cの詳細な部分まで確認する余裕がなかった。その結果、せっかく交差点Cの拡大図16を表示しても、交差点Cに関する情報をユーザに十分に伝えることができなかった。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、拡大図で表示された交差点が誘導経路上のどこにあるのかを案内画面上に示すことにより、交差点拡大図の縮尺切替を不要とし、表示処理の効率向上を図ると共に、交差点拡大図の視認性を高めることが可能である、高性能・高品質なナビゲーション装置及びその方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーション装置であって、地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御手段と、自車位置を取得する自車位置特定手段と、所定の目的地を指定する目的地指定手段と、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示制御手段と、前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御手段と、前記拡大図表示制御手段によって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の発明は、上記請求項1の発明を方法の観点から捉えたものであり、コンピュータを利用して、あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーション方法において、地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御ステップと、自車位置を取得する自車位置特定ステップと、所定の目的地を指定する目的地指定ステップと、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算ステップと、前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示制御ステップと、前記誘導経路表示制御ステップによって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御ステップと、前記拡大図表示制御ステップによって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御ステップによって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御ステップと、を含むことを特徴としている。
【0013】
請求項8の発明は、上記請求項1、7の発明をプログラムの観点から捉えたものであり、コンピュータを利用して、あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーションプログラムにおいて、地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御機能と、自車位置を取得する自車位置特定機能と、所定の目的地を指定する目的地指定機能と、自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算機能と、前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示機能と、前記誘導経路表示制御機能によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御機能と、前記拡大図表示制御機能によって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御機能によって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御機能、をコンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0014】
以上のような請求項1、7、8の発明によれば、誘導経路のどの部分の交差点を拡大しているのかを、指示マークによって案内画面上で指し示すことができ、自車位置から拡大表示した交差点までの距離を単に数字で示す従来技術に比べて、前記交差点が誘導経路上のどこにあるのかを明白に提示することができる。したがって、仮に拡大表示された交差点の手前に別の交差点があったとしても、拡大表示された側の交差点を見失う心配がなく、ユーザは誘導経路に安心して従うことができる。
【0015】
また、本発明では拡大図上に自車位置を示す訳ではないので、従来技術のような拡大図の縮尺切替えは不要である。これにより、表示処理にかかる負担は軽くて済み、処理効率が向上する。また、拡大図の縮尺が案内画面の縮尺と大差がない拡大図を表示したり、縮尺を変更しながら拡大図を表示することもなく、十分な視認性を持つ拡大図の表示が可能であり、交差点に関する情報をユーザに確実に伝えることができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記拡大図表示制御手段は、前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点から所定距離以上離れたとき、前記交差点の拡大図の表示を終了する構成であることを特徴とする。
【0017】
このような請求項2の発明によれば、自車位置が拡大表示された交差点から所定距離以上離れたときは自動的に拡大図の表示を終了するので、交差点通過後に案内画面を全画面にして表示するための操作は不要である。このため、ユーザは注意を逸らすことなく、運転に集中することができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記拡大図表示制御手段による前記交差点の拡大図の表示及びその終了と同期して、前記指示マーク表示制御手段による前記指示マークの表示及びその終了を実施する構成であることを特徴とする。
【0019】
このような請求項3の発明では、交差点拡大図及び指示マークは同じタイミングで現れるため、本装置をはじめて使用するユーザであっても、指示マークが拡大表示した交差点の位置を示すことを直感的に理解することができる。また、交差点拡大図の表示後に、慌てて指示マークを表示させる操作も必要なく、使い勝手が良好である。さらには、交差点拡大図の表示を終わらせれば、同時に指示マークの表示も終了となるので、指示マークの表示がユーザに混乱を与える心配もない。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記案内画面表示制御手段、前記誘導経路表示制御手段及び前記指示マーク表示制御手段は、前記案内画面、前記誘導経路及び前記指示マークを同じ縮尺率で表示する構成であり、前記拡大図表示制御手段は、前記案内画面、前記誘導経路及び前記指示マークの縮尺率の変更に関係なく、一定の縮尺率で前記拡大図を表示する構成であることを特徴としている。
【0021】
このような請求項4の発明によれば、案内画面、誘導経路及び指示マークの各表示制御手段は、案内画面、誘導経路及び指示マークの各縮尺を連動して変更し、同じ縮尺率で表示することが可能である。したがって、これらの表示制御手段が案内画面及び誘導経路の各縮尺を変更したときには、指示マーク表示制御手段によって表示される指示マークの大きさも、案内画面及び誘導経路の縮尺と同じ縮尺で表示できる。
【0022】
このため、拡大表示される交差点の位置を表す指示マークが、案内画面上に表示された交差点と比べて、大きすぎたり、小さすぎたりするといったことがなく、拡大表示される交差点が誘導経路上のどこに存在するのかを的確に示すことができる。また、拡大図側は案内画面及び誘導経路の縮尺に関係なく常に一定の縮尺で表示するので、十分に見易く拡大された拡大図を安定して提示することができ、優れた視認性を確保することができる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記指示マーク表示制御手段は、前記指示マークを、前記案内画面上の拡大図を表示している領域を実線または点線で囲んでなる図形にて表示する構成であることを特徴としている。
【0024】
このような請求項5の発明では、案内画面上の拡大図を表示している領域を実線または点線で囲んでなる図形にて、指示マークを示しているので、案内画面及び誘導経路が指示マークにより隠れて見え難くなることがなく、拡大表示された交差点の位置だけを明確に示すことができる。
【0025】
請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、前記指示マーク表示制御手段は、前記指示マークを、前記拡大図表示制御手段によって表示された拡大図の外形を示す図形と相似図形で表示する構成であることを特徴とするものである。
【0026】
上記請求項6の発明においては、指示マークの図形の表示形態として、拡大図の表示形態が円形であれば円形、長方形であれば長方形を用いるので、拡大図で表示された交差点が経路のどこなのかが、直感的に把握することができる。また、拡大図を複数表示する場合でも、各拡大図に対応する指示マークの示す図形はこの拡大図の外形を示す図形と相似であるため、拡大図で表示された交差点と対応させることが容易であり、品質の高いナビゲーションに寄与することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明のナビゲーション装置、方法及びプログラムによれば、交差点の拡大図が誘導経路のどの部分に当るのかを指示マークを案内画面上に示すことができるので、拡大表示した交差点が誘導経路上のどこにあるのかが一目で分かり、拡大図の縮尺を切替えることがないため表示処理の効率向上を図ることができ、且つ視認性に優れた交差点の拡大図を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
続いて、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であり、さらに地図データや経路計算のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
【0029】
また、本発明はナビゲーション装置及び方法に加えて、上記プログラム、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握でき、このプログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することでこの発明の作用効果を実現する。
【0030】
〔1.構成〕
〔1−1.全体の構成〕
図3は本実施形態の画面表示例であるが、この表示例にて示される本実施形態の特徴は次の点にある。すなわち、本実施形態は、自車位置Bから、案内対象となる交差点Cまでの距離が所定距離(例えば300m)以内になると、案内画面15の一部に当該交差点Cの拡大図16を表示する車載用ナビゲーション装置であって、拡大図15の表示エリアを示す指示マーク151を、案内画面15上に表示するものである。ここでは指示マーク151は点線で囲んでなる正方形にて示されている。
【0031】
本実施形態独自の特徴的な部分を説明する前にまず、本実施形態の各要素について、図1の機能ブロック図を用いて説明する。各要素とは、絶対位置・方位検出部1と、相対方位検出部2と、車速検出部3と、メインCPU及びその周辺回路4と、メモリ群Mと、表示部10と、入力部11と、ディスク制御部12と、FM多重受信及び処理部13と、外部記録装置制御部14である。
【0032】
このうち、絶対位置・方位検出部1は、GPS衛星から送られてくるGPS電波をアンテナやレシーバなどで受信することにより、本装置が搭載された車両の現在地である自車位置について地表での絶対的な位置座標や方位を計算する部分である。相対方位検出部2は、ジャイロセンサなどを使って自車の相対的な方位を検出する部分である。車速検出部3は、自車より得られる車速パルスを処理することで、自車の速度を計算する部分である。
【0033】
また、メインCPU及びその周辺回路4は、本実施形態の装置全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。ROM5は、BIOSやブートアッププログラムなどが予め格納されており、本装置の起動時にメインCPU及びその周辺回路4によってアクセスされる。DRAM6はワークエリアなどに使用される。また、SRAM7は不揮発性のメモリであり、自車のアクセサリ電源など本装置のメイン電源がオフになっている場合でも、電池などでバックアップされることでメモリ内容を保持するものである。VRAM8は、表示部10でビデオ表示を行うためのメモリである。
【0034】
表示部10は、案内画面15及び拡大図16を表示させるものであり、誘導経路上の交差点に対し、自車位置からの距離が予め決められた所定距離以内になると、メインCPU及びその周辺回路4からの指示を受けて図3に示したように案内画面15及び拡大図16に左右に分割して表示すると共に、拡大図16の表示エリアとして点線の矩形で示した指示マーク151を案内画面15上に表示している。なお、指示マーク151が示す図形と拡大図16の外形を示す図形は共に正方形であって、当然のごとく両者は相似である。
【0035】
入力部11は、リモコンやタッチパネルなどを使ってユーザが命令や目的地などさまざまな情報を本装置に入力するための部分である。例えば、案内画面15の縮尺変更を行うといった指示も、この入力部11から入力する。ユーザインタフェース部9は、I/O制御回路やドライバなどを使って、表示部10及び入力部11と、メインCPU及びその周辺回路4とを結ぶユーザインタフェースである。
【0036】
ディスク制御部12は、ナビゲーションプログラムや、交差点や道路を含む地図データ、交差点の拡大表示に使用される画像データや指示マークに使用される画像データなどの各種データを、ハードディスクやCD−ROMなどのディスクに記録されたデータベースから読み出す手段である。
【0037】
FM多重受信及び処理部13は、複数のアンテナを受信状態に応じて切り換えることで、ラジオのFM放送波を受信し、この放送波からVICS情報を取得する部分である。外部記録装置制御部14は、外部記録媒体にデータを記録、読み出しを行うためのインターフェースであり、外部記録媒体としてはメモリースティックやメモリカード、CFカードなどがある。
【0038】
〔1−2.メインCPU及びその周辺回路の役割〕
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、自車位置特定部40、目的地指定部41、経路計算部42、案内制御部43、拡大図表示制御部44、指示マーク表示制御部45、案内画面表示処理部46としての役割を果たすように構成されている。
【0039】
このうち、自車位置特定部40はGPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を逐次計算し、自車位置を特定するための手段である。経路計算部42は、ディスク制御部12を使ってCD−ROMから道路データなどを読み出しながら、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを使って経路探索を行い、自車位置特定部40によって特定される自車位置から、目的地指定部41にて指定された目的地までの誘導経路を、前記地図データに基づいて計算することで、誘導経路を表す経路データを作成するようになっている。
【0040】
案内制御部43は、経路のうち表示する部分や点滅強調などの要素を決めたり、合成音声の併用などにより誘導案内を制御する手段である。また、案内制御部43は入力部11から案内画面15の縮尺を変更を行うか否かといった指示を判定する部分である。また、案内画面表示処理部46は自車位置特定部40にて特定された自車位置B、経路計算部42にて計算された誘導経路A及び地図データに基づいて、自車位置B周辺の地図あるいは広域表示した地図上において、自車位置B及び誘導経路Aを表示部10に表示する手段である。上記の各要素、すなわち自車位置特定部40と、経路計算部42と、案内制御部43と、地図表示部46とは、ディスク制御部12から読み出される地図データに基づいて、指定された目的地までの誘導経路Aを探索し、これを誘導案内するナビゲーション手段を構成している。
【0041】
〔1−3.本実施形態の特徴的な部分〕
続いて、本実施形態の特徴的な部分について説明する。本実施形態の特徴的な部分とは、メインCPU及びその周辺回路4における拡大図表示制御部44、指示マーク表示制御部45、案内画面表示処理部46であり、これらの部分は、表示部10に表示される案内画面15及び拡大図16の表示に関して、その制御や処理を行っている。
【0042】
拡大図表示制御部44は、拡大表示の対象となる交差点Cの拡大図データを受け取り、このデータに基づいて拡大図16の表示イメージを描画したり、描画を終了させたりする処理を行う手段である。より詳しくは、自車位置特定部40にて特定された自車位置から、誘導経路A上の交差点Cまでの距離が所定距離(例えば300m)以内になったとき、拡大図16を表示部10に表示するため、案内画面15を左右に分割し、案内画面15の右半分の画面に拡大図データの表示処理を行うようになっている。
【0043】
また、拡大図表示制御部44は、自車位置特定部40にて特定された自車位置が前記交差点Cを通過して該自車位置から前記交差点Cまでの距離が所定距離以上離れたとき、案内画面15の右半分の画面において拡大図データの表示を終了させるようになっている。なお、拡大図表示制御部44は表示部10に表示される案内画面15の縮尺率に関係なく、拡大図16を一定の縮尺率で表示するようになっている。
【0044】
指示マーク表示制御部45は、指示マーク151用のデータを受け取り、これに基づいて、点線で囲んでなる正方形にて示す指示マーク151を、拡大図16の表示エリアとして案内画面15上に描画する手段である。また、指示マーク表示制御部45は、指示マーク151の表示及びその終了を、拡大図表示制御部44による拡大図16の表示及びその終了と同期して行う設定になっている。さらに、指示マーク表示制御部45及び前記案内処理部43は、指示マーク151及び案内画面15を同じ縮尺率で表示処理するようになっている。
【0045】
〔2.作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。図2は交差点Cの拡大表示処理に関するフローチャートである。自車位置特定部40が自車位置Bを特定し、その位置Bが探索した誘導経路A上の交差点Cに近づいて、自車位置Bから誘導経路A上の交差点Cまでの距離が予め規定された所定距離(例えば300m)以内となったときに(STEP1のYes)、拡大図表示制御部44は表示部10に拡大図16を示すように案内画面15を左右に2分割し、表示部10の左側画面に案内画面15を表示し、右側画面に拡大図表示制御部44の表示処理に従って前記交差点Cの拡大図16を表示する(STEP2)。
【0046】
STEP3では、案内画面15の縮尺をDRAM6またはSRAM7に記録して、指示マーク表示制御部45がその記録された縮尺から拡大表示する交差点Cの領域の外周を計算して、その外周を指示マーク151とし、案内画面15上に重ね合わせて表示する。続いて、STEP4では入力部11から入力される案内画面15の縮尺を変更する旨の指示に関して、メインCPU及びその周辺回路4の案内制御部43において、縮尺変更の指示があるかどうかを判定し、案内画面15の縮尺を変更する旨の指示があれば(STEP4のYes)、STEP3に戻る。
【0047】
STEP3に戻った場合、変更された案内画面15の縮尺をDRAM6またはSRAM7に記録して、指示マーク表示制御部45がその記録された縮尺から拡大表示する交差点Cの領域の外周を再度計算して、その外周を、縮尺変更後の指示マーク151とし、これを縮尺が変更された案内画面15上に重ね合わせて表示する。
【0048】
また、案内画面15の縮尺変更がなければ(STEP4のNo)、STEP5に進む。STEP5では、自車位置特定部40が自車位置Bを特定し、その位置Bが探索した誘導経路A上の交差点Cから離れていき、自車位置Bから誘導経路A上の交差点Cまでの距離が予め規定された所定距離以上となったときに(STEP5のYes)、拡大図表示制御部44は表示部10に拡大図16の表示を終了させ、案内画面15のみを表示させる(STEP6)。さらに、指示マーク表示制御部45は、拡大図表示制御部44による拡大図16の表示終了と同期して、指示マーク151の表示を終了させる(STEP7)。
【0049】
〔3.効果〕
以上のような本実施形態によれば、案内画面15上に、拡大図16の表示エリアを示す指示マーク151を拡大図16と同様の正方形で示しているので、誘導経路A上の交差点Cが、案内画面15に表示された誘導経路Aのどこにあるのかが明白になる。したがって、自車位置Bから交差点Cまでの距離を単に数字で示す従来技術に比べて、ユーザは誘導経路A上の交差点Cと自車位置Bとの距離や位置関係を的確に把握できる。
【0050】
このため、たとえ交差点Cの手前に、誘導対象ではない交差点D(図3に図示)が誘導経路A上にあったにせよ、この交差点Dを、拡大図16にて表示した誘導対象である交差点Cと勘違いしたり、当該交差点Cを見失ったりするといった心配がない。その結果、ユーザは誘導経路Aに安心して従うことができ、ナビゲーション装置の信頼性を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、前記特許文献1のごとく負担の大きい表示処理を実行していない。すなわち、誘導経路A上の交差点Cに近づくにつれて徐々に縮尺を拡大して画面を表示するといった表示処理を行っていない。したがって、表示処理にかかる負担は非常に軽く、迅速且つ安定して拡大図16を表示することができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、案内画面15の縮尺が変更された場合でも、拡大図16の縮尺は変更することはないので、視認性の良好な拡大図16を得ることが可能である。したがって、ユーザは誘導経路A上の交差点Cに達する前に交差点の詳細な部分まで確認する余裕がある。また、案内画面15の縮尺変更に応じて、案内画面15に表示された指示マーク151は、その縮尺を案内画面15に対応させているので、案内画面15に対して指示マーク151が大きすぎたり、小さすぎたりすることがなく、拡大図16で表示された交差点Cが誘導経路A上のどこに存在するのかを的確に示すことができる。
【0053】
しかも、本実施形態においては、自車位置Bが交差点Cから所定距離以上離れたときは自動的に拡大図16の表示を終了する。このため、交差点C通過後に案内画面15を全画面に戻すための操作を入力部11から行う必要がなく、ユーザは運転から注意を逸らすことが無い。これにより、優れた安全性を確保することができる。
【0054】
その上、本実施形態では、交差点Cの拡大図16と指示マーク151は同じタイミングで現れるので、事前に説明しなくとも、ユーザは指示マーク151が拡大図16の位置を示すことを直感的に理解可能である。また、交差点Cの拡大図16が表示された後で、ユーザ自らが指示マーク151を表示させる必要がなく、使い勝手が良い。さらに、自車位置Bが交差点Cから所定距離以上離れ、交差点Cの拡大図16の表示が終わると同時に、指示マーク151の表示も終わるので、指示マーク151が案内画面に表示されたままという事態が起こらず、指示マーク151が誘導案内に混乱を与えるおそれがない。
【0055】
なお、本実施形態においては、案内画面15上の拡大図16に該当する領域を点線で囲んでなる指示マーク151を示しているので、案内画面15や誘導経路Aが指示マーク151によって隠れて見え難くなることがなく、拡大図16に拡大表示された交差点Cの位置だけを明確に示すことができる。さらに本実施形態では、指示マーク151の図形と、拡大図16の外形である表示形態とが相似であるため、ユーザは拡大図16と指示マーク151を容易に対応させることができる。
【0056】
〔4.他の実施形態〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、案内画面の分割構成や分割比率に関しても適宜選択自由であり、例えば図4及び図5に示すように案内画面を左右に2分割するのではなく、案内画面15の右側の一部に予め決められた拡大図表示用のウインドウを設定しておき、ここに拡大図16を表示させてもよい。また、拡大図表示用のウインドウの位置や設定数、形や大きさも適宜変更可能である。
【0057】
また、図4及び図5は、本発明に係る他の実施形態の表示例を示している。ここでは、図4に示した案内画面15と図5に示した案内画面15とで、縮尺が大きく異なっており、各図の案内画面15に対応して指示マーク151の大きさも変わっている。このため、前述したように、指示マーク151の大きさは、拡大表示された交差点のサイズと比べて大き過ぎたり、小さすぎたりすることがなく、常に拡大図16のエリアを正確に提示できる。このため、拡大図16で表示された交差点Cが誘導経路A上のどこに存在するのかを的確に示すことができる。一方、図4及び図5において拡大図16に関しては、同じ縮尺なので良好な視認性を得ることができる。
【0058】
また、拡大図及び指示マークの表示形態は適宜変更可能であり、図6の表示例では拡大図16及び指示マーク151を円形としている。また、指示マークは拡大図が誘導経路上のどこなのかを指し示す形態であればよく、実線または点線で囲んでなる図形だけではなく、矢印形状や文字であっても構わない。さらに、指示マークを半透明や点滅表示、案内画面に対する反転表示を行うことで、その位置を強調することができる。なお、案内画面、拡大図及び指示マークを3D画像で表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る実施の形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態の交差点の拡大表示処理に関するフローチャート。
【図3】本実施形態の表示例。
【図4】本発明の他の実施形態における表示例。
【図5】本発明の他の実施形態における表示例。
【図6】本発明の他の実施形態における表示例。
【図7】通常の案内画面を表示した従来の車載用ナビゲーション装置の表示例。
【図8】案内画面に加えて交差点拡大図を表示した従来の車載用ナビゲーション装置の表示例。
【図9】図8の表示例に交差点までの距離表示を加えた従来の車載用ナビゲーション装置の表示例。
【符号の説明】
【0060】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザインタフェース部
10…表示部
11…入力部
12…ディスク制御部
13…FM多重受信及び処理部
14…外部記録装置制御部
15…案内画面
151…指示マーク
16…拡大図
40…自車位置特定部
41…目的地指定部
42…経路計算部
43…案内制御部
44…拡大図表示制御部
45…指示マーク表示制御部
46…案内画面表示制御部
A…誘導経路
B…自車位置
C,D…交差点
E…距離表示部
M…メモリ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーション装置であって、
地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御手段と、
自車位置を取得する自車位置特定手段と、
所定の目的地を指定する目的地指定手段と、
自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算手段と、
前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示制御手段と、
前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御手段と、
前記拡大図表示制御手段によって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御手段と、を有することを特徴としたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記拡大図表示制御手段は、前記誘導経路表示制御手段によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点から所定距離以上離れたとき、前記交差点の拡大図の表示を終了する構成であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記拡大図表示制御手段による前記交差点の拡大図の表示及びその終了と同期して、前記指示マーク表示制御手段による前記指示マークの表示及びその終了を実施する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記案内画面表示制御手段、前記誘導経路表示制御手段及び前記指示マーク表示制御手段は、前記案内画面、前記誘導経路及び前記指示マークを同じ縮尺率で表示する構成であり、
前記拡大図表示制御手段は、前記案内画面、前記誘導経路及び前記指示マークの縮尺率の変更に関係なく、一定の縮尺率で前記拡大図を表示する構成であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記指示マーク表示制御手段は、前記指示マークを、前記案内画面上の拡大図を表示している領域を実線または点線で囲んでなる図形にて表示する構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記指示マーク表示制御手段は、前記指示マークを、前記拡大図表示制御手段によって表示された拡大図の外形を示す図形と相似図形で表示する構成であることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
コンピュータを利用して、あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーション方法において、
地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御ステップと、
自車位置を取得する自車位置特定ステップと、
所定の目的地を指定する目的地指定ステップと、
自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算ステップと、
前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示制御ステップと、
前記誘導経路表示制御ステップによって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御ステップと、
前記拡大図表示制御ステップによって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御ステップによって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御ステップと、を含むことを特徴としたナビゲーション方法。
【請求項8】
コンピュータを利用して、あらかじめ記憶した地図データに基づいて自車位置から目的地までの誘導経路を探索し、案内するナビゲーションプログラムにおいて、
地図データに基づいて案内画面を表示する案内画面表示制御機能と、
自車位置を取得する自車位置特定機能と、
所定の目的地を指定する目的地指定機能と、
自車位置から目的地までの誘導経路を計算する誘導経路計算機能と、
前記案内画面上に、前記誘導経路を表示する誘導経路表示制御機能と、
前記誘導経路表示制御機能によって表示された誘導経路において、前記自車位置が、前記誘導経路上の交差点まで所定距離以下に近づいたとき、前記交差点の拡大図を、前記案内画面の一部に表示する拡大図表示制御機能と、
前記拡大図表示制御機能によって表示された拡大図が、前記誘導経路表示制御機能によって表示された誘導経路の、どの部分を拡大しているのかを指し示す指示マークを、前記案内画面上に表示する指示マーク表示制御機能、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−208293(P2006−208293A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23496(P2005−23496)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】