説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラム

【課題】 外部記憶装置に書き出した地点情報をナビゲーション装置本体の内部の地点情報として取り込まなくても、音声認識の対象語句とする。
【解決手段】 地点情報として音声認識対象語句を外部記憶装置15に記憶させる地点情報記憶部161と、外部記憶装置に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれるか否かを判定する音声認識対象語句判定部171と、音声認識対象語句と判定された語句をナビゲーション装置本体内部に設けられた音声認識辞書18に登録する音声認識辞書登録部172を有する。ユーザの発話データと対応する音声認識対象語句が登録されているか否かを音声認識処理部173によって検出し、検出された音声認識対象語句に基づいて外部記憶装置15内部から地点情報を読み出す地点情報読出部162と、読み出された地点情報を当該地点情報に対応する地図データと共に表示手段10に表示する地図表示部43とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声認識機能を有するナビゲーション装置において、外部記憶装置に書き出した地点情報を、音声認識の対象語句とすることができるように改良を施したナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の一般化と情報処理技術の発達に伴い、車載用に代表されるナビゲーション装置が急速に普及している。このナビゲーション装置は、地磁気センサ、車速センサ及びGPSセンサ等により逐次検出する自車の現在位置(緯度、経度等)を、DVDやHDD等に格納された道路地図データを用いて、表示装置の画面上に表示するとともに、道路地図データに含まれる経路データに基づいて、現在位置から指定された目的地への最適な誘導経路を計算して、特定の表示や音声合成などで誘導案内するものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、通常、ユーザが検索処理である地点を検索した場合、その地点に関する緯度、経度、種別、名称、電話番号、識別用のアイコンなどの情報を地点情報として記憶させておく機能が備えられている。この地点情報は、ユーザがよく行く場所を記憶させておくものであり、毎回、検索処理で同じ場所を探す手間を省くために備えられている機能である。このような目的から、地点情報は、自動車のアクセサリ電源など本装置のメイン電源がオフになっている間も内容を保持する必要があり、電池などでバックアップされる不揮発性のメモリや内蔵されているハードディスクなどに記憶されている。
【0004】
また、複数のユーザが同一のナビゲーション装置を使用する場合に、個々のユーザが独自に地点情報を記憶するために、ナビゲーション装置本体に対して着脱自在としたメモリースティック(商標)やSDカード(商標)などの外部記憶装置に地点情報を保存できる機能を有するものもある。このような外部記憶装置を使用すると、個々のユーザの好みに合わせた地点情報を外部記憶装置に記憶しておき、この外部記憶装置を使用の都度ナビゲーション装置本体に装着することにより個々のユーザ独自の地点情報を使用することができると共に、その外部記憶装置を他の車輌のナビゲーション装置本体に装着すれば他のナビゲーション装置本体でも同じ地点情報を用いることができ、改めて記憶作業を行う必要がなくなる等のメリットを有する。
【0005】
一方、従来のナビゲーション装置の中には、ナビゲーションに関する種々の操作を音声認識処理によって行うものが知られている。この種のナビゲーション装置は、通常、音声認識辞書に予め登録されている語句に基づき音声認識が行われている。この場合、音声認識辞書に予め登録されている語句としては、ナビゲーション装置の操作用コマンド、例えば、地図の表示スケールを切り替える「詳細」「広域」「50m」「100m」等の語句や、オーディオ操作を行う「FM」「AM」「TV」等の語句が含まれる。また、ユーザがナビゲーション装置内部の記憶手段に記憶させた地点情報に含まれる各地点の名称なども登録語句に含まれる。
【0006】
すなわち、ユーザが内部の記憶手段に地点情報を記憶させる場合に、地点情報の一つとして地点名などをふり仮名で入力しておくことで、このふり仮名の入力されている地点名を音声認識の対象語句として音声認識辞書に登録する。この状態で、ユーザがある地点情報について入力されているふり仮名(地点名など)を発話すると、登録されている音声認識対象語句の中から発話データと一致するふり仮名が入力されている地点を探し出し、一致した地点に関して記憶されている位置座標などに基づいて、その地点を含む地図を表示する。
【0007】
前記のような音声認識処理において、音声認識辞書に登録されている音声認識対象語句が多くなれば、それだけ音声認識にかかる時間が増加する。そのため、従来のナビゲーション装置では、特許文献1、特許文献2あるいは特許文献3に示すように、地図の地点情報は所定エリアに分けて記憶されており、このエリアを選ぶことによって地点名などの対象語句が辞書に登録され、音声認識が行われている。
【特許文献1】特開平3−175478
【特許文献2】特開平9−114486
【特許文献3】特開平10−62198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような従来の音声認識機能を装備するナビゲーション装置では、音声認識の対象語句として登録できる地点情報は、ナビゲーション装置本体の内部に設けられた記憶手段にユーザが記憶させた地点情報に限定されていた。従って、メモリースティックなどの外部記憶装置に書き出された地点情報を音声認識の対象語句とするためには、外部記憶装置に書き出された地点情報を一旦ナビゲーション装置本体の内部の記憶手段に取り込まなければ、音声認識の対象語句として登録することができなかった。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、メモリースティックなどの外部記憶装置に書き出した地点情報を、ナビゲーション装置本体の内部の地点情報として取り込まなくても、音声認識の対象語句とすることができる、操作性及び有用性の高いナビゲーションの技術すなわちナビゲーション装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、記憶対象とされた地点情報を外部記憶装置に記憶し、この外部記憶装置から読み出した地点情報を地図情報と共に表示するナビゲーション装置において、地点情報として音声認識対象語句を外部記憶装置に記憶させる地点情報記憶部と、外部記憶装置に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれるか否かを判定する音声認識対象語句判定部と、前記音声認識対象語句判定部によって音声認識対象語句と判定された語句をナビゲーション装置本体内部に設けられた音声認識辞書に登録する音声認識辞書登録部と、ユーザの発話データに基づいてこの発話データと対応する音声認識対象語句が登録されているか否かを検索する音声認識処理部と、音声認識処理部によって検出された音声認識対象語句に基づいて前記外部記憶装置内部から前記音声認識対象語句に対応する地点情報を読み出す前記地点情報読出部と、この地点情報読出部によって読み出された地点情報を当該地点情報に対応する地図データと共に表示手段に表示する地図表示部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の実施の態様の一つは、前記ナビゲーション装置において、前記地点情報記憶部が記憶する地点の地点情報としてその地点名及びグループ名を音声認識対象語句として外部記憶装置に記憶するものであって、前記音声認識辞書登録部が、外部記憶装置に記憶されているグループ名を音声認識辞書に登録すると共に、ユーザの発話データに基づいて前記音声認識処理部がグループ名を検出した場合に、このグループ名を地点情報に有する地点の地点名を音声認識辞書に登録することを特徴とする。
【0012】
本発明の実施の態様の一つは、前記外部記憶装置の着脱状態検出部を備え、この着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体に装着されたことを検出して、前記音声認識対象語句判定部が外部記憶装置内に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれているか否かの判定を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明の実施の態様の一つは、前記外部記憶装置の着脱状態検出部を備え、この着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体から取り外されたことを検出して、前記音声認識辞書登録部によって音声認識辞書に登録された外部記憶装置内の地点情報に含まれていた音声認識対象語句を音声認識辞書から削除することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の実施の態様には、前記ナビゲーション装置を方法あるいはプログラムの観点から捉えたものも含むものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明によれば、外部記憶装置に記憶されている地点情報をナビゲーション装置本体内部の記憶手段にすべて読み込んで、内部記憶手段上に記憶されている他の地点情報と同列の状態にしなくても、外部記憶装置に記憶されている地点情報の中から、音声認識対象語句のみを取りだして音声認識辞書に登録することが可能となる。その結果、音声認識対象語句の含まれていない地点情報までも内部記憶手段に読み込む必要がなくなり、外部記憶装置から内部記憶手段へ読み込む際のデータ転送量も格段に少なくなり、操作速度が向上する。
【0016】
また、外部記憶装置からナビゲーション装置本体内部に取り込むデータは音声認識対象語句のみであり、しかもこの音声認識対象語句は音声認識辞書に登録されるだけで、外部記憶装置にどのような地点情報が記憶されているかは、内部の記憶手段にはデータが転送されることがない。そのため、外部記憶装置をナビゲーション装置本体から取り外せば、他のユーザが取り外された外部記憶装置にどのようなデータが記憶されていたかを知ることはできないから、ユーザのセキュリティも確保される。
【0017】
更に、地点情報にグループ名と地点名を含め、ユーザが発話したグループ名を有する地点についてのみその地点名を音声認識辞書に登録するように構成すれば、外部記憶装置に記憶されたすべての地点情報の音声認識対象語句を音声認識辞書に登録する必要もなくなり、音声認識処理時に検索する語句も少なくて済むので、認識処理も高速化される。
【0018】
更に、前記着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体に装着されたことを検出して、前記音声認識対象語句判定部が外部記憶装置内に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれているか否かの判定を開始するように構成すれば、ユーザが何ら操作を行わなくても、外部記憶装置内の地点情報に含まれている音声認識対象語句を自動的に音声認識辞書に登録することができ、操作が簡単になる。
【0019】
更に、前記着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体から取り外されたことを検出して、前記音声認識辞書登録部によって音声認識辞書に登録された外部記憶装置内の地点情報に含まれていた音声認識対象語句を音声認識辞書から削除するように構成すれば、外部記憶装置を装着した痕跡が音声認識辞書に残らないので、外部記憶装置のユーザのセキュリティを確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。また、本発明は、ナビゲーション装置及び方法に加え、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。従って、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。
【0021】
(1)実施形態の構成
本実施形態におけるナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)は、概略としては、メモリースティックなどの外部記憶装置に書き出した地点情報を、ナビゲーション装置本体の内部の地点情報として取り込まなくても、音声認識の対象語句とすることができるようにすることにより、ユーザにとって優れた操作性及び有用性を確保するものであり、図1の機能ブロック図に示す下記の各要素を備えている。
【0022】
すなわち、絶対位置・方位検出部1は、本装置が搭載された自動車(自車と呼ぶ)の現在位置すなわち自車位置について、地表での絶対的な位置座標や方位を計算するために、例えば、GPS衛星から送られてくるGPS電波をアンテナやレシーバなどで受信するための部分である。相対方位検出部2は、ジャイロなどを使って自車の相対的な方位を検出するための部分である。車速検出部3は、自動車より得られる車速パルスを処理することで自車の速度を計算する部分である。
【0023】
メインCPU及びその周辺回路4は、本装置全体を制御する制御回路の役割を果たす部分であって、一例として、次のような各部を備えている。現在位置検出部40は、自車位置を逐次計算するための手段であり、具体的には、GPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を計算するように構成される。ここで、GPS航法測位は、人工衛星からの電波に基づいて絶対位置・方位検出部1で得られる情報を使って現在位置を計算するものである。また、自律航法測位は、地磁気及び自車の速度に基づいて相対方位検出部2及び車速検出部3から得られる情報を使って現在位置を計算するものである。
【0024】
目的地指定部41は、前記道路地図データを記録したデータベースからの施設検索や地図上でのカーソル指定などにより、目的地の指定すなわち入力を受け付ける手段である。経路設定部42は、現在位置検出部40により検出される現在位置から、目的地指定部41により指定された目的地に到達するまでの経路を、道路地図データに基づいて計算し、結果として得られた経路を設定する手段である。
【0025】
地図表示部43は、算出された自車位置及び前記経路設定部42によって設定された経路等を表示する手段である。案内制御部44は、経路のうち表示する部分や点滅強調などの要素を決めたり、合成音声の併用などにより誘導案内を制御する手段である。すなわち、現在位置検出部40、経路設定部42、地図表示部43及び案内制御部44は、HDD制御部12から読み出される道路地図データに基づいて、指定された目的地までの経路を探索及び誘導案内するナビゲーション手段を構成している。
【0026】
メモリ群Mは、本装置の動作に必要な各種のメモリであり、例えば、プログラム格納用のROM5は本装置の起動時にメインCPUによりアクセスされる。また、ワークエリアなどを提供するダイナミックRAM(DRAM)6には、メインプログラムがロードされる。
【0027】
SRAM(スタティックRAM)7は、現在位置、目的地、経路等の各種設定や道路地図データに含まれる情報等を取得し、記憶する記憶手段であり、メイン電源がオフになっている間もバッテリーでバックアップされ、オンになったときにメモリ内容を提供するが、フラッシュメモリやハードディスクドライブなど、他の記憶手段によっても置換可能である。また、表示用のVRAM(ビデオRAM)8は、表示部10に表示すべき画像のビットマップデータを格納する。
【0028】
表示部10は、地図、操作メニュー、検索リスト及び地点情報など各種の情報を、図示しない液晶表示画面に表示する部分である。音声出力手段であるスピーカ101により、合成音声による案内と併用させることもできる。入力部11は、ユーザがスイッチなどから命令などの情報を入力するための部分であり、タッチセンサ機能、リモコンユニット、赤外線送受信ユニットなどを備えるが、タッチパネルとして表示部10と一体に構成したり、フロントパネルのスイッチとして構成することも可能である。また、音声認識用のマイク111もこの入力部11の一つの部材である。ユーザインタフェース部9は、I/O制御回路やデバイスドライバなどを使って、表示部10及び入力部11と、メインCPU及びその周辺回路4とを結ぶユーザインタフェースである。
【0029】
HDD制御部12は、ハードディスク(大容量記憶装置)に記録されたナビゲーションプログラムなど各種データをデータベースから読み出す手段であり、データベースには、各種縮尺の地図データ、道路又は道路の区間のネットワーク構造を、それぞれ、その道路の種別(一般道、高速道路、有料道路等)を示す種別データと共に表した道路地図データが格納される。この道路地図データには、地図上の地点に関する各種地点情報が含まれている。この地点情報には、例えば、地点の座標、地点の名称、地点の種類、住所、電話番号等の検索リスト用のデータ、その地点が接している道路の種別等も含まれている。ナビゲーションプログラムに必要なインタフェース用のデータ、例えば、メニュー、リスト、ボタン、案内表示(方位、距離、時刻等)、各種マーク(ランドマーク、アイコン、現在位置、走行軌跡等)を含めてもよい。
【0030】
上述のプログラムやデータの格納場所は、種々の記憶媒体により実現可能であり、一部若しくは全部をどの記憶媒体に格納するかは、自由に設計可能である。従って、メインプログラムばかりでなく、ナビゲーションのインタフェース用のデータの一部をROM5にあらかじめ格納しておいてもよい。また、ハードディスクではなく、CD−ROM制御部、DVD−ROM制御部等が、CD−ROM、DVD−ROMから読み出したデータを利用する構成としてもよい。
【0031】
FM多重受信及び処理部13は、FM放送波を受信しこの放送波からVICSサービスの交通情報など所望のデータを取り出す処理を行う部分であり、交通情報は渋滞情報を含む。また、光/電波ビーコン受信及び処理部14は、路肩などに設置された光ビーコンや電波ビーコンから、各ビーコンの識別情報やVICSサービスの交通情報などの情報を受信及び処理する部分である。
【0032】
本実施形態は、前記のような基本的な構成を有するナビゲーション装置本体に対して、外部記憶装置15を着脱自在に装着して成るものである。この外部記憶装置15としては、メモリースティック(商標)やメモリカード、CFカード(商標)、小型のハードディスクなどが使用される。外部記憶装置制御部16は、前記外部記憶装置15に地点情報などのデータを記録または読み出しを行うためのインタフェースであり、地点情報記憶部161と地点情報読出部162、及び外部記憶装置15がナビゲーション装置本体に着脱された状態を検出する着脱状態検出部163とを備えている。
【0033】
また、本実施形態は、ユーザからの発声を入力とし、この発話データに基づきナビゲーション装置本体を操作する音声認識制御部17が設けられ、この音声認識制御部17はナビゲーション装置本体内に設けられた音声認識辞書18に登録された音声認識対象語句に基づいて、ユーザからの発話データがいかなる操作用コマンドや地点名などを示すかを判定し、その判定結果に基づいてナビゲーション装置本体に対して所定の動作を実行させるものである。本実施形態では、この音声認識制御部17としては、外部記憶装置15に記憶されている地点情報中に音声認識対象語句が含まれているか否かを判定する判定部171、判定された音声認識対象語句を音声認識辞書に登録する登録部172及び発話データと音声認識辞書18に基づいて音声認識処理を実行する音声認識処理部173とを備えている。
【0034】
(2)地点情報の登録例
図2は、外部記憶装置15に記録される地点情報の一例を示す構成図である。外部記憶装置15には地点情報の分類としてグループを指定し、グループごとに所定数の地点情報を記録できるように構成する。例えば、グループ数を10グループとして、各グループに250件の地点情報を記録できるようにすると、外部記憶装置15には合計で2500件の地点情報が記録できることになる。なお、グループ数やグループごとに登録できる地点情報数はそれぞれ任意に指定可能であるものとする。
【0035】
グループには名称とふり仮名を入力でき、名称は任意に変更可能である。変更のない場合は、デフォルトの値として名称は「グループ1」…「グループ10」、ふり仮名は「グループイチ」…「グループジュウ」(10グループの場合)等のように設定されているものとする。
【0036】
各グループに属する各地点情報にも、地点名などをふり仮名で入力可能である。また、ナビゲーション装置本体に備わっている検索処理などから地点情報を外部記憶装置に登録した場合には、検索データベースに登録されている名称とふり仮名情報が地点情報としてそのまま記録されるため、ふり仮名を手動で入力しなくても、地点登録処理の時点でふり仮名情報が自動的に記録されるように構成することもできる。
【0037】
(3)実施形態の作用・効果
以下、本実施形態による処理の詳細を、図3のフローチャートを参照して説明する。図3は、外部記憶装置15に記録されている地点情報に含まれている音声認識対象語句、すなわち、地点名のふり仮名を音声認識辞書18に登録する場合のフローチャートである。この場合、本実施形態では、前記のように外部記憶装置15に記憶する地点情報をグループに分けて記憶し、ユーザの発話データを音声認識処理することによりそのグループ名を検出することで、そのグループに属する地点情報に含まれている音声認識対象語句をまとめて音声認識辞書18に登録できるようにしたものである。
【0038】
ナビゲーション装置を音声認識処理によって操作するには、予め操作用のコマンドなど音声認識の対象となる語句(音声認識対象語句)を音声認識辞書18に登録しておく必要がある。この操作コマンドなどの登録処理は、本発明における外部記憶装置に記憶された地点情報に含まれる音声認識対象語句の登録操作とは別の処理であり、ナビゲーション装置の出荷時や使用開始時に予め登録しておくものである。また、本実施形態のように、外部記憶装置に記憶した地点情報の含まれるグループ名を音声認識の対象とする場合には、このグループ名も予め音声認識の対象語句として音声認識辞書に登録しておく。これらの操作コマンドやグループ名の登録は、従来技術における地点情報をナビゲーション装置本体内部の記憶手段に登録する場合と同様な操作で行われる。
【0039】
前記のようにして、外部記憶装置15に登録されている地点情報が属するグループ名が音声認識辞書18に登録されている状態において、前記図2に示すようにグループ化された複数の地点情報が記憶されている外部記憶装置15をナビゲーション装置本体に装着すると、着脱状態検出部163がこの装着動作を検出して、図4の表示例に示すように、ナビゲーション装置はユーザに対してコマンドの入力を促す画面表示やスピーカからの出力を行うと共に、音声認識処理を開始し、ユーザの発声を待機する(図3のステップ01)。
【0040】
この状態でユーザが発声すると、その発話データを検出してそれが音声認識辞書18に登録されたものであるか、また、登録されたものである場合にはどのような操作コマンドであるかを判別する。音声認識辞書に登録されていない語句が発声された場合には、音声認識処理は不可能であるためユーザに再度の発声を求めたり、あるいはコマンドの入力要求そのもののを中止する。また、グループ名以外のコマンドや地点名が認識された場合には、そのコマンド等に対応した処理がなされる(ステップ02のNO)。
【0041】
一方、認識された語句がグループ名である場合には(ステップ02のYES)、地点情報読出部162が外部記憶装置15内に記憶されている地点情報の中から認識されたグループ名に属するもののみを読み出し(ステップ03)、音声認識対象語句判定部171が読み出された地点情報にふり仮名情報(音声認識対象語句)が記録されたものがあるか否かを判定する(ステップ04)。この場合、グループ内に音声認識対象語句を有する地点情報が一つも存在しない場合には(ステップ04のNO)、音声認識対象語句を音声認識辞書18に登録することはできないので、処理を終了する。
【0042】
読み出された地点情報に音声認識対象語句が含まれていると判定された場合には(ステップ04のYES)、音声認識辞書登録部172がその音声認識対象語句を音声認識辞書18に登録する(ステップ05)。以下、この作業を繰り返し、すべての音声認識対象語句を含む地点情報についてその音声認識対象語句を音声認識辞書18に登録して(ステップ06のYES)、処理を終了する。
【0043】
このようにして、外部記憶装置15に記憶されたグループ内のすべての地点情報についてその音声認識対象語句(地点名のふり仮名)が音声認識辞書18に登録されると、以下はナビゲーション装置本体内に登録されている地点情報の検索と同様に、その地点名をユーザが発話した場合に音声認識処理が可能となるので、ナビゲーション装置は図4のように検索すべき登録地名称の発声を促す。これに応じて、ユーザが希望する地点名を発声すると、音声認識処理部173はユーザからの発話データを音声認識辞書に基づいて分析し、この発話データに対応した地点情報をナビゲーション装置本体内部の記憶手段や外部記憶装置15に記憶されている地点情報の中から検索する。
【0044】
このようにして、発話データに対応する地点情報が検出されると、音声処理部173はこの地点情報を地図表示用の情報として地図表示部43に出力し、地図表示部43においては受け取った地点情報に含まれている緯度、経度などの位置情報に基づいて、その地点とそれを含む周囲の地図データを表示部10に出力する。同時に、地点情報にアイコンなどが含まれている場合には、それも表示部10に出力する。この場合の処理は、地点情報がナビゲーション装置本体の内部に登録されている場合でも同様である。
【0045】
ユーザが外部記憶装置15に登録されている別のグループの地点情報について音声認識処理を希望する場合には、音声認識処理あるいはナビゲーション装置本体に設けられたタッチパネルやスイッチなどを操作して別のグループ名をコマンドとして入力する。すると、前記の処理と同様にして、新たなグループに属する地点情報の音声認識対象語句が音声認識辞書18に登録されるので、そのグループに属する地点情報についても音声認識処理が可能となる。この場合、新たなグループの入力がなされたことを検出して、すでに登録されているグループの地点情報に含まれる音声認識対象語句を音声認識辞書18から削除しても良い。削除すれば、音声認識辞書18内での音声認識対象語句の登録数が少なくなり、認識処理が高速に行えるし、削除しなければグループの切替ごとに音声認識対象語句の登録削除処理が不要となり、その部分での処理が高速になる。
【0046】
ナビゲーション装置本体から外部記憶装置15を取り外す場合には、前記着脱状態検出部163がこの取り外し動作を検出して、音声認識辞書登録部172が、外部記憶装置15の地点情報から抽出して音声認識辞書に登録した音声認識対象語句を音声認識辞書18から削除する。この場合、外部記憶装置を使用したユーザのセキュリティや、音声認識辞書への登録語句が増大して音声認識処理に時間が掛かるなどの問題がなければ、いったん登録した音声認識対象語句を削除しなくても良い。
【0047】
(4)他の実施形態
前記実施形態のように地点情報をグループ分けすることなく、そのまま外部記憶装置15に記憶させた場合には、外部記憶装置をナビゲーション装置本体に装着したことを前記着脱状態検出部163が検出して、図3のステップS04からS06を自動的に実行させることができる。また、外部記憶装置の装着後に「辞書登録」などの予め音声認識辞書に登録されているコマンドをユーザが発声することで、登録処理を開始したり、グループ名の入力や発声を促すような動作をナビゲーション装置にさせることも可能である。
【0048】
前記実施形態は、音声認識によりグループ分けしたグループを指定するように構成したが、音声認識を行うためにはグループの名称が予め音声認識辞書に登録されている必要がある。しかし、外部記憶装置を他人の車輌に搭載されたナビゲーション装置本体に装着した場合などでは、グループ名が音声認識辞書に登録されていない場合も考えられる。そのような場合には、外部記憶装置をナビゲーション装置本体に装着したことを検出したら、グループ名のみは自動的に外部記憶装置から読み出して音声認識辞書に登録するように構成することも可能である。また、登録されていないグループ名はディスプレイなどに表示し、これを音声認識処理以外の操作で選択することにより、グループに属する地点情報から音声認識対象語句を検索し、音声認識辞書に登録することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】外部記憶装置に記録する地点情報の一例を示す図。
【図3】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図4】外部記憶装置上に記録されている地点情報を呼び出す際の処理手順例を示す図。
【符号の説明】
【0050】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザインタフェース部
10…表示部
101…スピーカ
11…入力部
111…マイク
12…HDD制御部
13…FM多重受信及び処理部
14…光/電波ビーコン受信及び処理部
15…外部記憶装置
16…外部記憶装置制御部
161…地点情報記憶部
162…地点情報読出部
163…着脱状態検出部
17…音声認識制御部
171…音声認識対象語句判定部
172…音声認識辞書登録部
173…音声認識処理部
18…音声認識辞書
40…現在位置検出部
41…目的地指定部
42…経路設定部
43…地図表示部
45…案内制御部
M…メモリ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶対象とされた地点情報を外部記憶装置に記憶し、この外部記憶装置から読み出した地点情報を地図情報と共に表示するナビゲーション装置において、
地点情報として音声認識対象語句を外部記憶装置に記憶させる地点情報記憶部と、
外部記憶装置に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれるか否かを判定する音声認識対象語句判定部と、
前記音声認識対象語句判定部によって音声認識対象語句と判定された語句をナビゲーション装置本体内部に設けられた音声認識辞書に登録する音声認識辞書登録部と、
ユーザの発話データに基づいてこの発話データと対応する音声認識対象語句が登録されているか否かを検索する音声認識処理部と、
音声認識処理部によって検出された音声認識対象語句に基づいて前記外部記憶装置内部から前記音声認識対象語句に対応する地点情報を読み出す前記地点情報読出部と、
この地点情報読出部によって読み出された地点情報を当該地点情報に対応する地図データと共に表示手段に表示する地図表示部とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地点情報記憶部が記憶する地点の地点情報としてその地点名及びグループ名を音声認識対象語句として外部記憶装置に記憶するものであって、
前記音声認識辞書登録部が、外部記憶装置に記憶されているグループ名を音声認識辞書に登録すると共に、ユーザの発話データに基づいて前記音声認識処理部がグループ名を検出した場合に、このグループ名を地点情報に有する地点の地点名を音声認識辞書に登録することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記外部記憶装置の着脱状態検出部を備え、この着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体に装着されたことを検出して、前記音声認識対象語句判定部が外部記憶装置内に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれているか否かの判定を開始することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記外部記憶装置の着脱状態検出部を備え、この着脱状態検出部によって外部記憶装置がナビゲーション装置本体から取り外されたことを検出して、前記音声認識辞書登録部によって音声認識辞書に登録された外部記憶装置内の地点情報に含まれていた音声認識対象語句を音声認識辞書から削除することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
記憶対象とされた地点情報を外部記憶装置に記憶し、この外部記憶装置から読み出した地点情報を地図情報と共に表示するナビゲーション方法において、
地点情報として音声認識対象語句を外部記憶装置に記憶させる処理と、
外部記憶装置に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれるか否かを判定する処理と、
音声認識対象語句と判定された語句をナビゲーション装置本体内部に設けられた音声認識辞書に登録する処理と、
ユーザの発話データに基づいてこの発話データと対応する音声認識対象語句が登録されているか否かを検索する音声認識処理と、
音声認識処理によって検出された音声認識対象語句に基づいて前記外部記憶装置内部から前記音声認識対象語句に対応する地点情報を読み出す処理と、
この地点情報読出処理によって読み出された地点情報を当該地点情報に対応する地図データと共に表示手段に表示する処理を順次実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項6】
外部記憶装置に記憶する地点の地点情報を記憶する処理が、地点情報としてその地点名及びグループ名を音声認識対象語句として記憶するものであって、
音声認識対象語句を音声認識辞書に登録する処理が、外部記憶装置に記憶されているグループ名を音声認識辞書に登録すると共に、ユーザの発話データに基づいて前記音声認識処理部がグループ名を検出した場合に、このグループ名を地点情報に有する地点の地点名を音声認識辞書に登録することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション方法。
【請求項7】
コンピュータを制御することにより、予め備える道路地図データに基づいて、移動体が出発地から指定された目的地まで移動する経路を探索及び誘導案内させるナビゲーションプログラムにおいて、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
地点情報として音声認識対象語句を外部記憶装置に記憶させる処理と、
外部記憶装置に記憶された地点情報に音声認識対象語句が含まれるか否かを判定する処理と、
音声認識対象語句と判定された語句をナビゲーション装置本体内部に設けられた音声認識辞書に登録する処理と、
ユーザの発話データに基づいてこの発話データと対応する音声認識対象語句が登録されているか否かを検索する音声認識処理と、
音声認識処理によって検出された音声認識対象語句に基づいて前記外部記憶装置内部から前記音声認識対象語句に対応する地点情報を読み出す処理と、
この地点情報読出処理によって読み出された地点情報を当該地点情報に対応する地図データと共に表示手段に表示する処理とを順次実行させるものであることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−98331(P2006−98331A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287213(P2004−287213)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】