説明

ナビゲーション装置、位置補正方法

【課題】前回のマップマッチング結果に関わらず、正しいマップマッチング結果を得ることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両の前方に分岐道路がある場合、分岐点の手前において、現在走行中の道路に対応するリンクと絶対推定位置21との間の距離を算出し、これを基準オフセットとして設定する。自車両が分岐点を通過すると、絶対推定位置22〜28を所定時間ごとに順次検出し、各絶対推定位置22〜28に対して、基準オフセットに基づいてマップマッチング候補とするリンクをそれぞれ探索する。リンクAが所定時間以上探索された場合、リンクAをマップマッチング対象道路に設定し、絶対推定位置28に対応するマッチング候補位置38を分岐点通過後のマッチング位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置と、ナビゲーション装置における車両の位置補正方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、距離センサや相対方位センサの検出値に基づいて推測した車両位置を地図データ中の道路データと照合して道路上に修正するマップマッチング処理が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−60566号公報
【特許文献2】特開2005−114632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のマップマッチング処理では、前回のマップマッチングで確定した車両位置に基づいて今回の車両位置を推測し、これを道路データと照合してマップマッチングを行っている。したがって、前回のマップマッチングで実際とは異なる道路上に車両位置を誤って修正してしまった場合、今回のマップマッチングでも正しい結果が得られないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、地図データを記憶する記憶手段と、地図データに依存しない車両の絶対推定位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により検出された絶対推定位置と地図データが表す道路とのオフセットを算出するオフセット算出手段と、オフセットに基づいてマップマッチング対象道路を特定するマップマッチング手段と、マップマッチング手段により特定されたマップマッチング対象道路に合わせて車両の位置を補正する補正手段とを備える。
本発明による位置補正方法は、車両用のナビゲーション装置において検出された車両の位置を補正するものであって、ナビゲーション装置により、地図データに依存しない車両の絶対推定位置を検出し、絶対推定位置と地図データが表す道路とのオフセットを算出し、オフセットに基づいてマップマッチング対象道路を特定し、マップマッチング対象道路に合わせて車両の位置を補正する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前回のマップマッチング結果に関わらず、正しいマップマッチング結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】分岐道路におけるオフセット方式のマップマッチングの一例を示す図である。
【図3】分岐道路におけるオフセット方式のマップマッチングの他の一例を示す図である。
【図4】カーブにおけるオフセット方式のマップマッチングの一例を示す図である。
【図5】幅広道路との接続点におけるオフセット方式のマップマッチングの一例を示す図である。
【図6】オフセット方式のマップマッチング処理のフローチャートである。
【図7】分岐マッチング処理のフローチャートである。
【図8】カーブマッチング処理のフローチャートである。
【図9】幅広道路マッチング処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。ナビゲーション装置1は、車両に搭載されて使用されるものである。このナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備える。
【0009】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10が行う処理により、自車両を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車両の現在位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。なお、地図上に自車位置を表示する際には、後述するマップマッチング処理が制御部10によって実行される。
【0010】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0011】
HDD13は、記録されたデータを記憶保持することができる不揮発性の記録媒体である。HDD13には、上記の制御プログラムおよび地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているこれらのデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0012】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。なお、地図データにおいて各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクにより構成される。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0013】
上記の地図データの中には、様々な種類の施設に関するPOI(Point Of Interest)データも含まれる。たとえば、旅館やホテル等の宿泊施設、レストラン、ガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどの様々な施設について、その種類と位置の情報がPOIデータに記録されている。このPOIデータに基づいて、施設の種類に応じたアイコンが地図上に表示される。
【0014】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。このGPS受信部14と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12により、自車両の現在位置が検出される。
【0015】
VICS情報受信部15は、VICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報をVICS情報受信部15が受信することにより、渋滞情報を始めとする様々な道路交通情報がナビゲーション装置1において取得される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は、制御部10に出力され、渋滞情報の表示や推奨経路の探索などに利用される。
【0016】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0017】
表示モニタ16は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ16により、たとえば自車位置周辺の地図などが表示される。なお、表示モニタ16に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、ルート案内用の音声など様々な音声を出力する。
【0018】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0019】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、出発地から目的地までのルート探索を行う。このルート探索により求められた経路が、目的地までの推奨経路として設定される。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0020】
次に、ナビゲーション装置1において実行されるマップマッチング処理について説明する。ナビゲーション装置1は、地図上に自車位置を表示する際に、道路に合わせて自車位置を補正するためのマップマッチング処理を行う。このマップマッチング処理は、特定の起動条件を満たしたときに行われるオフセット方式のマップマッチングと、それ以外の通常の走行状態において行われる従来のマップマッチングとの二種類に分類される。
【0021】
上記の二種類のマップマッチング処理のうち、オフセット方式のマップマッチングでは、ナビゲーション装置1において求められた自車位置と、HDD13に記録された地図データにおけるリンクの位置とが比較され、これらの位置のずれ(オフセット)が算出される。こうして算出したオフセットに基づいて、マップマッチングの対象とするリンクが特定され、このリンクに合わせて自車位置が補正される。このときの補正前の自車位置は、直前のマップマッチング結果の影響を受けることなく、前述のように振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14の各検出結果に基づいて推定されたものである。すなわち、オフセット方式のマップマッチングでは、地図データに依存しない自車位置が用いられる。以下では、この地図データに依存しない補正前の自車位置のことを、絶対推定位置という。
【0022】
一方、起動条件を満たさない通常の走行状態において行われる従来のマップマッチング処理では、直前のマップマッチングにより求められた自車位置に基づいてマップマッチングの対象とするリンクが特定され、このリンクに合わせて自車位置が補正される。このときの補正前の自車位置は、直前のマップマッチング結果と、振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14の各検出結果とに基づいて推定されたものである。すなわち、オフセット方式でない従来のマップマッチングでは、地図データに依存した自車位置が用いられる。
【0023】
図2は、分岐道路におけるオフセット方式のマップマッチングの一例を示す図である。高速道路のインターチェンジやジャンクションの手前を自車両が走行しているときのように、自車両の前方にランプ道路などの分岐道路がある場合、ナビゲーション装置1は起動条件を満たすと判定し、オフセット方式のマップマッチング処理を実行する。以下では、このとき実行されるマップマッチング処理の一例であるオフセット固定型のマップマッチング処理について、図2により説明する。
【0024】
自車両の前方に分岐道路があると判断した場合、ナビゲーション装置1は、当該分岐道路への分岐点の手前において、現在走行中の道路に対応するリンクと、その時点での補正前の自車位置として求められた絶対推定位置21との間の距離を算出し、これを基準オフセットに設定する。絶対推定位置21は、前述のように振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14の各検出結果に基づいて、地図データに依存せずに推定されたものである。そして、絶対推定位置21に対応するリンク上のマッチング位置31を求め、これを自車位置として、表示モニタ16において地図上に表示する。
【0025】
基準オフセットの設定後に自車両が分岐点を通過すると、ナビゲーション装置1は、絶対推定位置22〜28を所定時間ごとに順次検出する。そして、検出した各絶対推定位置22〜28に対して、分岐点の手前で設定した基準オフセットに基づいて、マップマッチング候補とするリンクをそれぞれ探索する。ここでは、各絶対推定位置22〜28から基準オフセットの分だけずらした地点に最も近い位置にあるリンクを地図データからそれぞれ求め、そのリンクをマップマッチング候補のリンクとする。これにより、分岐後のリンクA、BのうちリンクAがマップマッチング候補とされる。そして、絶対推定位置22〜28にそれぞれ最も近いリンクA上の各点を、絶対推定位置22〜28に対応するマッチング候補位置32〜38として設定する。
【0026】
上記のようにして各絶対推定位置22〜28ごとにマップマッチング候補のリンクをそれぞれ探索した結果、同一のリンクが所定時間以上または所定回数以上マップマッチング候補として探索された場合、ナビゲーション装置1は、当該リンクをマップマッチング対象道路に設定する。これにより、リンクAがマップマッチング対象道路とされる。そして、マップマッチング対象道路が設定されたときの絶対推定位置に対応する当該マップマッチング対象道路上のマッチング候補位置、ここでは絶対推定位置28に対応するマッチング候補位置38を、分岐点通過後のマッチング位置として特定する。こうしてマッチング位置38が特定されることにより、道路に合わせて自車位置が補正される。
【0027】
分岐点通過後のマッチング位置38を特定できたら、ナビゲーション装置1は、そのマッチング位置38を自車位置として地図上に表示する。その後、オフセット固定型のマップマッチング処理を完了する。以降ではオフセット固定型ではない従来のマップマッチング処理へと戻り、直前のマップマッチング結果を反映して、自車位置を道路に合わせて補正する。
【0028】
以上説明した図2では、オフセット方式のマップマッチングの例として、分岐点の手前において設定した基準オフセットを用いてマップマッチングを行うオフセット固定型のマップマッチング処理を示した。しかし、これに替えて、分岐点通過後の各絶対推定位置に対してオフセットを求め、これを用いてマップマッチングを行うオフセット可変型のマップマッチング処理を行うこともできる。このオフセット可変型のマップマッチング処理を以下に図3を用いて説明する。
【0029】
分岐点の手前において、ナビゲーション装置1は、図2の場合と同様に、絶対推定位置41を検出する。この絶対推定位置41に対応するリンク上のマッチング位置51が自車位置として地図上に表示される。
【0030】
自車両が分岐点を通過すると、ナビゲーション装置1は、次に絶対推定位置42を検出する。そして、分岐後のリンクA、Bをマップマッチング候補のリンクとして、これらの各リンクと検出した絶対推定位置42との間の距離を算出することで、リンクA、Bに対するオフセットをそれぞれ求める。さらに、絶対推定位置42に最も近いリンクA、B上の各点を、絶対推定位置42に対応するマッチング候補位置52A、52Bとして設定する。その後も同様に、絶対推定位置43〜46を所定時間ごとに順次検出し、各絶対推定位置43〜46について、リンクA、Bに対するオフセットをそれぞれ求めると共に、マッチング候補位置53A〜56Aおよび53B〜56BをリンクA、B上にそれぞれ設定する。
【0031】
ここで、絶対推定位置46において求められたオフセットのうち、リンクAに対するオフセットが所定のしきい値以上であったとする。このときナビゲーション装置1は、絶対推定位置46に対応するリンクA上のマッチング候補位置56Aを削除すると共に、リンクAをマップマッチング候補から除外する。このようにして、絶対推定位置から離れていくことでオフセットが増大したリンクについては、マップマッチング候補から除外する。なお、マップマッチング候補から除外されたリンクは、以降の処理においてオフセット算出の対象とはされず、マッチング候補位置の設定も行われない。
【0032】
その後は、絶対推定位置47、48を検出し、これらについてリンクBに対するオフセットをそれぞれ求めると共に、マッチング候補位置57、58をリンクB上にそれぞれ設定する。そして、オフセットが定量的になったとき、すなわち前後のオフセット間での変動が所定の範囲内となったときに、そのオフセットが求められたマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路に設定する。これにより、リンクBがマップマッチング対象道路とされる。
【0033】
上記のようにしてリンクBがマップマッチング対象道路として設定されたら、絶対推定位置48に対応するリンクB上のマッチング候補位置58を分岐点通過後のマッチング位置として特定する。こうしてマッチング位置58が特定されることにより、道路に合わせて自車位置が補正される。
【0034】
分岐点通過後のマッチング位置58を特定できたら、ナビゲーション装置1は、そのマッチング位置58を自車位置として地図上に表示する。その後、オフセット可変型のマップマッチング処理を完了する。以降ではオフセット可変型ではない従来のマップマッチング処理へと戻り、直前のマップマッチング結果を反映して、自車位置を道路に合わせて補正する。
【0035】
なお、以上説明したオフセット方式のマップマッチング処理では、自車両が分岐点を通過して処理を開始してから分岐点通過後のマッチング位置を特定するまでの間において、マッチング候補位置または絶対推定位置のいずれかを表示することとしてもよい。たとえば、図2で説明したオフセット固定型のマップマッチング処理では、マッチング候補位置32〜37または絶対推定位置22〜27を地図上に表示する。また、図3で説明したオフセット可変型のマップマッチング処理では、絶対推定位置42〜47の各々から最も距離が近いマッチング候補位置52B〜56Bおよび57、または絶対推定位置42〜47を地図上に表示する。このように、マッチング位置を特定するまでの間の自車位置表示方法として、マッチング候補位置や絶対推定位置を利用することができる。
【0036】
次に、カーブにおけるオフセット方式のマップマッチングについて説明する。自車両の前方の道路がカーブしている場合、ナビゲーション装置1は起動条件を満たすと判定し、オフセット方式のマップマッチング処理を実行する。以下では、このとき実行されるマップマッチング処理の一例を図4により説明する。
【0037】
自車両の前方で道路がカーブしていると判断した場合、ナビゲーション装置1は、そのカーブの手前において、絶対推定位置61を検出する。このとき、絶対推定位置61に対応するリンク上のマッチング位置71が自車位置として地図上に表示される。
【0038】
自車両がカーブに進入すると、ナビゲーション装置1は、カーブ中の各リンクをマップマッチング候補のリンクに設定する。そして、絶対推定位置62〜67を所定時間ごとに順次検出し、検出した各絶対推定位置62〜67について、マップマッチング候補のリンクに対するオフセットをそれぞれ求める。ここでは、カーブ中の各リンクのうち、絶対推定位置62〜67に対して最寄りの各リンク、すなわち絶対推定位置62〜67からの距離が最も近い各リンクをそれぞれオフセット算出の対象とすることで、当該距離をオフセットとして求める。さらに、マッチング候補位置72〜77を当該リンク上にそれぞれ設定する。
【0039】
上記のようにして算出したオフセットが定量的になったとき、すなわち前後のオフセット間での変動が所定の範囲内となったときに、ナビゲーション装置1は、そのオフセットが求められたマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路に設定する。そして、マップマッチング対象道路が設定されたときの絶対推定位置に対応する当該マップマッチング対象道路上のマッチング候補位置、ここでは絶対推定位置67に対応するマッチング候補位置77を、カーブにおけるマッチング位置として特定する。こうしてマッチング位置77が特定されることにより、道路に合わせて自車位置が補正される。
【0040】
カーブにおけるマッチング位置77を特定できたら、ナビゲーション装置1は、そのマッチング位置77を自車位置として地図上に表示する。その後、オフセット方式のマップマッチング処理を完了する。以降ではオフセット方式ではない従来のマップマッチング処理へと戻り、直前のマップマッチング結果を反映して、自車位置を道路に合わせて補正する。
【0041】
次に、幅広道路との接続点におけるオフセット方式のマップマッチングについて説明する。自車両の前方に幅広道路と接続されている交差点などの接続点がある場合、ナビゲーション装置1は起動条件を満たすと判定し、オフセット方式のマップマッチング処理を実行する。なお、幅広道路とは、たとえば車線が所定数以上の道路や、道路幅が所定の長さ以上の道路のことである。このような幅広道路は、HDD13に記録されている地図データに基づいて判断することができる。以下では、このとき実行されるマップマッチング処理の一例を図5により説明する。
【0042】
自車両が走行中の道路が前方で幅広道路と接続されていると判断した場合、ナビゲーション装置1は、その接続点の手前において、絶対推定位置81を検出する。さらに、走行中のリンクに対するオフセットを求め、マッチング位置91を当該リンク上に設定する。このマッチング位置91が自車位置として地図上に表示される。その後、同様にして絶対推定位置82を検出して当該リンクに対するオフセットを求め、マッチング候補位置92を当該リンク上に設定する。
【0043】
自車両が旋回を始めたら、ナビゲーション装置1は、旋回中に検出された絶対推定位置83、84に対するオフセットの算出を停止する。旋回が終了したら、車両の進行方向と同一方向に延びるリンクをマップマッチング候補のリンクに設定する。図5の例では、接続点から左方向に延びる幅広道路のリンクをマップマッチング候補のリンクとして設定する。そして、絶対推定位置85〜87を所定時間ごとに順次検出し、検出した各絶対推定位置85〜87について、マップマッチング候補のリンクに対するオフセットをそれぞれ求め、マッチング候補位置95〜97を当該リンク上にそれぞれ設定する。
【0044】
上記のようにして算出したオフセットが定量的になったとき、すなわち前後のオフセット間での変動が所定の範囲内となったときに、ナビゲーション装置1は、そのオフセットが求められたマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路に設定する。そして、マップマッチング対象道路が設定されたときの絶対推定位置に対応する当該マップマッチング対象道路上のマッチング候補位置、ここでは絶対推定位置87に対応するマッチング候補位置97を、幅広道路におけるマッチング位置として特定する。こうしてマッチング位置97が特定されることにより、道路に合わせて自車位置が補正される。
【0045】
幅広道路におけるマッチング位置97を特定できたら、ナビゲーション装置1は、そのマッチング位置97を自車位置として地図上に表示する。その後、オフセット方式のマップマッチング処理を完了する。以降ではオフセット方式ではない従来のマップマッチング処理へと戻り、直前のマップマッチング結果を反映して、自車位置を道路に合わせて補正する。
【0046】
ナビゲーション装置1は、上記のような各場合において、オフセット方式のマップマッチング処理の起動条件を満たすと判定し、それぞれについて説明したようなオフセット方式のマップマッチング処理を実行する。これにより、地図データに依存しない自車位置に基づいてマップマッチングを行い、補正後の自車位置を表示モニタ16において地図上に表示する。
【0047】
以上説明したオフセット方式のマップマッチング処理のフローチャートを図6に示す。このフローチャートは、自車両の走行中に地図を表示する際、制御部10において実行されるものである。
【0048】
ステップS10において、制御部10は、オフセット方式のマップマッチング処理の起動条件を満たすか否かを判定する。この判定は、自車位置とHDD13に記録された地図データとに基づいて、自車両の前方にある道路の形態が前述のようなものに該当するか否かを判断することによって行われる。すなわち、自車両の前方にある道路が分岐道路、カーブまたは幅広道路のいずれかに該当する場合は、起動条件を満たすと判定してステップS20へ進む。一方、これらの道路に該当しない場合は、起動条件を満たさないと判定してステップS10に留まる。
【0049】
ステップS20において、制御部10は、自車両の前方における道路形態が上記のいずれに該当するかを判定する。自車両の前方にある道路が分岐道路である場合はステップS30へ、カーブしている場合はステップS40へ、幅広道路と接続されている場合はステップS50へそれぞれ進む。
【0050】
ステップS30において、制御部10は、分岐道路に対するオフセット方式のマップマッチング処理として、図2、3で説明したようなマップマッチング処理を実現するための分岐マッチング処理を実行する。この分岐マッチング処理の具体的な内容は、後で図7のフローチャートにより詳しく説明する。
【0051】
ステップS40において、制御部10は、カーブしている道路に対するオフセット方式のマップマッチング処理として、図4で説明したようなマップマッチング処理を実現するためのカーブマッチング処理を実行する。このカーブマッチング処理の具体的な内容は、後で図8のフローチャートにより詳しく説明する。
【0052】
ステップS50において、制御部10は、幅広道路に対するオフセット方式のマップマッチング処理として、図5で説明したようなマップマッチング処理を実現するための幅広道路マッチング処理を実行する。この幅広道路マッチング処理の具体的な内容は、後で図9のフローチャートにより詳しく説明する。
【0053】
ステップS30〜S50のいずれかの処理を実行することで、マップマッチング対象道路とするリンクが特定される。その後、制御部10はステップS60へ進む。ステップS60において、制御部10は、ステップS30〜S50のいずれかで特定されたマップマッチング対象道路に合わせて自車位置を補正する。
【0054】
ステップS70において、制御部10は、ステップS60で補正した自車位置を地図上に表示する。これにより、道路に合わせて自車位置が補正され、表示モニタ16において道路上に自車位置が表示される。ステップS70を実行したら、制御部10は図6のフローチャートを終了する。その後は、再び起動条件を満たすと判定されるまで、オフセット方式ではない従来のマップマッチング処理を実行する。
【0055】
次に、図6のステップS30で実行される分岐マッチング処理について説明する。図7は、分岐マッチング処理のフローチャートである。
【0056】
ステップS301において、制御部10は、オフセット固定型のマップマッチング処理を行うか否かを判定する。図2で説明したようなオフセット固定型のマップマッチング処理を行う場合はステップS302へ進み、そうでない場合、すなわち図3で説明したようなオフセット可変型のマップマッチング処理を行う場合はステップS310へ進む。なお、ナビゲーション装置1では、オフセット固定型とオフセット可変型いずれのマップマッチング処理を行うかが予め定められている。あるいは、ユーザがいずれのマップマッチング処理を行うかを予め設定可能としてもよい。
【0057】
オフセット固定型のマップマッチング処理を行う場合、ステップS302において制御部10は、分岐点の手前における絶対推定位置を検出する。続くステップS303において、制御部10は、ステップS302で検出した絶対推定位置について、自車両が走行中のリンクに対するオフセットを算出し、これを基準オフセットとする。
【0058】
ステップS304において、制御部10は、ステップS302で検出した絶対推定位置に基づいて、車両が分岐点を通過したか否かを判定する。分岐点を通過するまではステップS304に留まり、分岐点を通過したらステップS305へ進む。
【0059】
ステップS305において、制御部10は、分岐点通過後の絶対推定位置を検出する。続くステップS306において、制御部10は、ステップS303で求めた基準オフセットと、ステップS305で検出した絶対推定位置とに基づいて、マップマッチング候補のリンクを探索する。ここでは前述のように、絶対推定位置から基準オフセットの分だけずらした地点に最も近い位置にあるリンクを地図データから求め、そのリンクをマップマッチング候補のリンクとする。
【0060】
ステップS307において、制御部10は、ステップS306でマップマッチング候補が探索されたか否かを判定する。少なくとも一つのリンクがマップマッチング候補として探索された場合はステップS308へ進み、マップマッチング候補のリンクが一つも探索されなかった場合はステップS305へ戻る。
【0061】
ステップS308において、制御部10は、ステップS306で同一のリンクが所定時間以上にわたってマップマッチング候補として探索されたか否かを判定する。同一の探索結果が所定時間以上得られた場合はステップS309へ進み、得られていない場合はステップS305へ戻る。なお、ここでは同一の探索結果が所定時間以上得られたか否かを判定するようにしたが、同一の探索結果が所定回数以上得られたか否かを判定することとしてもよい。
【0062】
ステップS309において、制御部10は、ステップS306で探索されたマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路とする。これにより、分岐後の各リンクのうちいずれかがマップマッチング対象道路として特定される。ステップS309を実行したら制御部10は図7のフローチャートを終了し、図6のステップS60へ進む。以上説明したようにして、オフセット固定型のマップマッチング処理が行なわれる。
【0063】
一方、オフセット可変型のマップマッチング処理を行う場合、ステップS310において制御部10は、分岐点を通過したか否かを判定する。分岐点を通過するまではステップS310に留まり、分岐点を通過したらステップS311へ進む。
【0064】
ステップS311において、制御部10は、分岐後の各リンクをマップマッチング候補に設定する。続くステップS312において、制御部10は、分岐点通過後の絶対推定位置を検出する。
【0065】
ステップS313において、制御部10は、ステップS312で検出した絶対推定位置について、ステップS311で設定したマップマッチング候補の各リンクに対するオフセットを算出する。なお、後述するようにステップS316においていずれかのリンクをマップマッチング候補から除外していた場合は、当該リンクについてはオフセットの算出を行わないようにする。
【0066】
ステップS314において、制御部10は、マップマッチング候補のリンクが複数あるか否かを判定する。この時点で複数のリンクがマップマッチング候補として設定されている場合は、ステップS315へ進む。一方、後述するようにステップS316においていずれかのリンクをマップマッチング候補から除外した結果、この時点では分岐後の各リンクのうち一つのリンクのみがマップマッチング候補として設定されている場合は、ステップS317へ進む。
【0067】
ステップS315において、制御部10は、ステップS313でマップマッチング候補の各リンクに対して算出したオフセットに基づいて、オフセットが所定のしきい値以上のリンクがあるか否かを判定する。いずれかのリンクに対して算出されたオフセットが所定のしきい値以上であった場合はステップS316へ進み、そうでない場合はステップS312へ戻る。
【0068】
ステップS316において、制御部10は、ステップS315においてオフセットが所定のしきい値以上であると判定されたリンクをマップマッチング候補から除外する。ここで除外されたリンクは、以降の処理においてオフセットの算出対象とはされず、また、後述するステップS318においてマップマッチング対象道路とされることもない。これにより、オフセットがしきい値以上であるリンクを除いてマップマッチング対象道路が特定される。
【0069】
ステップS317において、制御部10は、ステップS313で算出したオフセットの変動が所定範囲内であるか否かを判定する。たとえば、所定期間内に検出された各オフセット間の差を求め、その差がいずれも所定範囲内であるか否かを判定することで、ステップS317の判定を行うことができる。オフセットの変動が所定範囲内であると判定した場合はステップS318へ進み、そうでない場合はステップS312へ戻る。
【0070】
ステップS318において、制御部10は、この時点で設定されているマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路とする。これにより、分岐後の各リンクのうちいずれかがマップマッチング対象道路として特定される。ステップS318を実行したら制御部10は図7のフローチャートを終了し、図6のステップS60へ進む。以上説明したようにして、オフセット可変型のマップマッチング処理が行なわれる。
【0071】
次に、図6のステップS40で実行されるカーブマッチング処理について説明する。図8は、カーブマッチング処理のフローチャートである。
【0072】
ステップS401において、制御部10は、道路のカーブしている部分に当たる各リンクをマップマッチング候補に設定する。続くステップS402において、制御部10は、絶対推定位置を検出する。
【0073】
ステップS403において、制御部10は、ステップS402で検出した絶対推定位置について、ステップS401で設定したマップマッチング候補の各リンクのうち最寄りのリンクに対するオフセットを算出する。すなわち、カーブ中の各リンクのうち絶対推定位置からの距離が最も近いリンクを対象に、オフセットの算出を行う。
【0074】
ステップS404において、制御部10は、ステップS403で算出したオフセットの変動が所定範囲内であるか否かを判定する。ここでは、図7のステップS317と同様の判定方法を用いることができる。オフセットの変動が所定範囲内であると判定した場合はステップS405へ進み、そうでない場合はステップS402へ戻る。
【0075】
ステップS405において、制御部10は、ステップS401でマップマッチング候補として設定されたリンクのうち、ステップS404でオフセットの変動が所定範囲内であると判定されたリンクをマップマッチング対象道路とする。これにより、カーブ中の各リンクのうちいずれかがマップマッチング対象道路として特定される。ステップS405を実行したら制御部10は図8のフローチャートを終了し、図6のステップS60へ進む。以上説明したようにして、カーブにおけるオフセット方式のマップマッチング処理が行なわれる。
【0076】
次に、図6のステップS50で実行される幅広道路マッチング処理について説明する。図9は、幅広道路マッチング処理のフローチャートである。
【0077】
ステップS501において、制御部10は、自車両が走行中の道路に対応するリンクをマップマッチング候補に設定する。続くステップS502において、制御部10は、自車両の進行方向および絶対推定位置を検出する。なお、自車両の進行方向は、振動ジャイロ11により検出された自車両の角速度に基づいて求めることができる。
【0078】
ステップS503において、制御部10は、ステップS502で検出した進行方向に基づいて、自車両が旋回中であるか否かを判定する。自車両が旋回中である場合、すなわち進行方向が変化している場合はステップS504へ進み、旋回中でない場合はステップS506へ進む。
【0079】
ステップS504において、制御部10は、自車両の旋回が終了したか否かを判定する。旋回が終了した場合、すなわち進行方向が変化しなくなった場合はステップS505へ進む。一方、自車両がまだ旋回中である場合はステップS502へ戻る。これにより、旋回中はオフセットの算出が停止される。
【0080】
ステップS505において、制御部10は、ステップS502で検出した自車両の進行方向と同一方向のリンクをマップマッチング候補に設定する。これにより、自車両が旋回した場合、以降の処理では、旋回後の自車両の進行方向と一致する方向のリンクについてオフセットが算出される。
【0081】
ステップS506において、制御部10は、ステップS502で検出した絶対推定位置に基づいて、この時点でマップマッチング候補に設定されているリンクに対するオフセットを算出する。すなわち、自車両が旋回していない場合は、ステップS501でマップマッチング候補として設定した走行中のリンクに対してオフセットを算出する。一方、自車両が旋回した場合は、ステップS505でマップマッチング候補として設定した自車両の進行方向と同一方向のリンクに対してオフセットを算出する。
【0082】
ステップS507において、制御部10は、ステップS506で算出したオフセットの変動が所定範囲内であるか否かを判定する。ここでは、図7のステップS317や図8のステップS404と同様の判定方法を用いることができる。オフセットの変動が所定範囲内であると判定した場合はステップS508へ進み、そうでない場合はステップS502へ戻る。
【0083】
ステップS508において、制御部10は、この時点で設定されているマップマッチング候補のリンクをマップマッチング対象道路とする。これにより、幅広道路またはこれと接続されている道路の各リンクのうちいずれかがマップマッチング対象道路として特定される。ステップS508を実行したら制御部10は図9のフローチャートを終了し、図6のステップS60へ進む。以上説明したようにして、幅広道路におけるオフセット方式のマップマッチング処理が行なわれる。
【0084】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0085】
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、HDD13において記憶された地図データに依存しない自車両の絶対推定位置を検出し(ステップS302、S305、S312、S402、S502)、この絶対推定位置と地図データが表す道路とのオフセットを算出する(ステップS303、S313、S403、S506)。そして、算出したオフセットに基づいてマップマッチング対象道路を特定し(ステップS309、S318、S405、S508)、このマップマッチング対象道路に合わせて自車両の位置を補正する(ステップS60)。このようにしたので、前回のマップマッチング結果に関わらず、正しいマップマッチング結果を得ることができる。
【0086】
(2)制御部10は、自車両の前方における道路の形態に基づいて起動条件を満たすか否かを判定し(ステップS10)、起動条件を満たすと判定されたときに、上記の各ステップのうちで必要なものに対応する処理を行うこととした。このようにしたので、オフセット方式のマップマッチング処理が必要な状況を適切に判断して、これを実行することができる。
【0087】
(3)制御部10は、ステップS10において、自車両の前方において道路が分岐しているときに起動条件を満たすと判定する。このとき制御部10は、ステップS303において、分岐前の道路リンクについて算出したオフセットを基準オフセットとして設定する。そして、ステップS309において、分岐後にステップS305で検出された絶対推定位置と基準オフセットとに基づいて、分岐後の各道路リンクのうちいずれかをマップマッチング対象道路として特定する。あるいは、ステップS312において、分岐後の各道路リンクについてオフセットをそれぞれ算出する。そして、分岐後の各道路リンクのうちオフセットの変動が所定範囲内である道路リンクを判定し(ステップS317)、この道路リンクをステップS318でマップマッチング対象道路として特定する。このようにしたので、道路が分岐している場合に、分岐後の自車両の位置を素早く正確に補正することができる。
【0088】
(4)なお、制御部10は、分岐後の各道路のうちオフセットが所定のしきい値以上である道路リンクをマップマッチング候補から除外する(ステップS315、S316)。これにより、ステップS318において、その道路リンクを除いてマップマッチング対象道路を特定するようにした。したがって、分岐後の道路のうち絶対推定位置から遠く離れてしまった道路が誤ってマップマッチング対象道路とされてしまうのを効果的に防止することができる。
【0089】
(5)制御部10は、ステップS10において、自車両の前方において道路がカーブしているときに起動条件を満たすと判定する。このとき制御部10は、ステップS403において、カーブしている道路の各道路リンクのうち絶対推定位置から最寄りのリンクに対してオフセットを算出する。そして、カーブしている道路の各道路リンクのうちオフセットの変動が所定範囲内である道路リンクを判定し(ステップS404)、この道路リンクをステップS405でマップマッチング対象道路として特定する。このようにしたので、道路がカーブしている場合に、カーブ中の自車両の位置を素早く正確に補正することができる。
【0090】
(6)制御部10は、ステップS10において、自車両の前方において道路が幅広道路と接続されているときに起動条件を満たすと判定する。このとき制御部10は、ステップS502において自車両の進行方向を検出し、この進行方向に基づいて自車両の旋回状態を判定する(ステップS503、S504)ことで、自車両の旋回を検出する。そして、自車両の旋回が検出されたときには、旋回後の自車両の進行方向と一致する方向の道路リンクをマップマッチング候補とし(ステップS505)、これについて、ステップS502においてオフセットを算出する。こうして旋回後に検出したオフセットの変動が所定範囲内であるか否かを判定し(ステップS507)、所定範囲内である場合に、当該道路リンクをステップS508でマップマッチング対象道路として特定する。このようにしたので、自車両が走行中の道路から旋回して幅広道路に進んだことでオフセットが急変した場合においても、旋回後の自車両の位置を素早く正確に補正することができる。
【0091】
なお、以上説明した実施の形態では、補正後の自車両の位置を表示モニタ16において地図上に表示することとしたが、補正後の自車両の位置を他の処理に用いてもよい。たとえば、車両が車線内を走行するように制御するレーンキープ制御や、カーブ等の手前で車両を減速制御するカーブアシスト制御などにおいても、本発明による補正後の自車位置を利用することができる。
【0092】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する記憶手段と、
前記地図データに依存しない車両の絶対推定位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記絶対推定位置と前記地図データが表す道路とのオフセットを算出するオフセット算出手段と、
前記オフセットに基づいてマップマッチング対象道路を特定するマップマッチング手段と、
前記マップマッチング手段により特定された前記マップマッチング対象道路に合わせて前記車両の位置を補正する補正手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記車両の前方における道路の形態に基づいて起動条件を満たすか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記判定手段により前記起動条件を満たすと判定されたときに、前記オフセット算出手段による前記オフセットの算出、前記マップマッチング手段による前記マップマッチング対象道路の特定、および前記補正手段による前記車両の位置の補正をそれぞれ行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段は、前記車両の前方において道路が分岐しているときに前記起動条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
分岐前の道路リンクについて前記オフセット算出手段により算出された前記オフセットを基準オフセットとして設定する基準オフセット設定手段をさらに備え、
前記マップマッチング手段は、分岐後に前記位置検出手段により検出された前記絶対推定位置と前記基準オフセットとに基づいて、分岐後の各道路リンクのうちいずれかを前記マップマッチング対象道路として特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記オフセット算出手段は、分岐後の各道路リンクについて前記オフセットをそれぞれ算出し、
前記マップマッチング手段は、前記分岐後の各道路リンクのうち前記オフセットの変動が所定範囲内である道路リンクを前記マップマッチング対象道路として特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記マップマッチング手段は、前記分岐後の各道路リンクのうち前記オフセットが所定のしきい値以上である道路リンクを除いて前記マップマッチング対象道路を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段は、前記車両の前方において道路がカーブしているときに前記起動条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記オフセット算出手段は、カーブしている道路の各道路リンクのうち前記絶対推定位置から最寄りのリンクに対して前記オフセットを算出し、
前記マップマッチング手段は、前記カーブしている道路の各道路リンクのうち前記オフセットの変動が所定範囲内である道路リンクを前記マップマッチング対象道路として特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記判定手段は、前記車両の前方において道路が幅広道路と接続されているときに前記起動条件を満たすと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナビゲーション装置において、
前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記進行方向検出手段により検出された前記進行方向に基づいて前記車両の旋回を検出する旋回検出手段とをさらに備え、
前記オフセット算出手段は、前記旋回検出手段により前記車両の旋回が検出されたとき、旋回後の前記車両の進行方向と一致する方向の道路リンクについて前記オフセットを算出し、
前記マップマッチング手段は、旋回後に前記オフセット算出手段により算出された前記オフセットの変動が所定範囲内である場合に、当該道路リンクを前記マップマッチング対象道路として特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
車両用のナビゲーション装置において検出された前記車両の位置を補正するための位置補正方法であって、
前記ナビゲーション装置により、地図データに依存しない前記車両の絶対推定位置を検出し、
前記ナビゲーション装置により、前記絶対推定位置と前記地図データが表す道路とのオフセットを算出し、
前記ナビゲーション装置により、前記オフセットに基づいてマップマッチング対象道路を特定し、
前記ナビゲーション装置により、前記マップマッチング対象道路に合わせて前記車両の位置を補正することを特徴とする位置補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−237216(P2011−237216A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107263(P2010−107263)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】