説明

ナビゲーション装置、及び受信制御方法

【課題】自車の移動により受信電波状況が変化した際に、ユーザーに対して常に最適な音声及び映像情報を提供することが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車の現在位置を検出する機能と、デジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の両放送を受信する機能と、両放送を受信できるエリア示した道路地図データを記憶する機能とを備えたナビゲーション装置において、自車の現在位置がデジタルテレビ放送およびアナログテレビ放送を受信可能なエリアに含まれているかどうかを、道路地図データをもとに判定する。ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記判定によりデジタルテレビ放送が受信出来ると判断された場合に、デジタルテレビ放送を受信する。デジタルテレビ放送が受信出来ないと判断され、かつアナログテレビ放送が受信できる場合は、アナログテレビ放送を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものであり、特にナビゲーション装置に内蔵されるテレビ受信装置の受信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置には多くの機能が設けられる傾向がある。特にユーザーにとって有用な機能としては、出発地から目的地までの経路を自動的に検索し、検索された経路を誘導経路として地図上に表示する経路検索機能が存在する。この機能を用いれば、出発地と目的地とを入力装置から入力することにより、出発地と目的地とを最適ルートで結ぶ誘導経路を自動的に検索し、LCD(液晶表示装置)等の表示装置に表示することが可能である。
【0003】
また、検索された誘導経路に従ってユーザーが走行を行う際に、誘導経路を地図上に表示し、併せて自車位置を表示することにより、ユーザーを目的地まで案内する誘導機能が存在する。この機能を用いれば、例えば走行中に交差点に近付いた際に、その交差点の拡大図(表示装置の所定の表示範囲内に表示される地図を、その表示要素数を減少させてデフォルメした図)を表示する等、走行中の経路に関する様々な情報をリアルタイムでユーザーに対して通知することが可能である。
【0004】
また、検索された誘導経路上に有料道路(高速道路等)が存在する場合において、有料道路の通行料金の決済をスムーズに行う為に、車両に設置した車載器と料金所に設けられた路側アンテナとの間で情報の送受信を行うことによりノンストップで料金決済を行うETC(Electronic Toll Collection System)と呼ばれる自動料金支払いシステムが存在する。ETCは、料金所等の決済場所に設けられた路側アンテナと、車両に設置された車載器との間で近距離無線通信を行うことにより、各種情報(車両ナンバー、通過時刻等)の送受信を行い、通行料金の決済を行うシステムである。
【0005】
上記のETC(自動料金支払いシステム)に於いて、車両に設置した車載器に専用のクレジットカード(通称、ETCカード)を挿入することで、車両が路側アンテナに接近すると自動的に近距離無線通信による通信を開始し、通行料金等の決済を行うことができる。そして、利用者が車両から降車する際には、ETCカードの盗難を防ぐ為に、車載器からETCカードを抜き取り保管することとなる。
【0006】
また、アンテナ等を用いてテレビ放送(無線映像情報)を受信し、LCD等の表示装置を用いて表示するテレビ放送受信機能を備えたナビゲーション装置も存在する。テレビ放送は大きく分けて、従来より存在するアナログテレビ放送と、近年になって普及し始めたデジタルテレビ放送との二つが存在する。
【0007】
しかしナビゲーション装置に搭載されている従来のテレビ放送受信装置は、通常の家庭用テレビと異なり、移動しながらテレビ放送を受信することが前提とされる。そのため、車両の移動に伴い常に電波状況が変化するため、表示する映像情報の品質を一定に保つのが難しいという問題があった。上記の問題に関連して特許文献1においては、自動車等の移動体が移動しながら放送を受信する際に、受信可能な放送信号や放送周波数が随時変化する場合においても、継続的に番組を視聴可能な受信装置が開示されている。
【0008】
上記の特許文献1の発明は、複数の信号が多重された伝送信号を受信する受信装置において、多重された伝送信号から希望する信号を分離する。分離した信号を復調し、復調結果として出力されたデータから、任意のデータを分離する。また、受信装置の位置を検出する位置情報検出手段を備えており、受信装置の位置に応じた分離すべき信号のチャンネルの対応を表わす選局情報を保持している。そして前記の分離データから選局情報を取得して記憶する一方、位置情報検出手段により取得された位置情報と、前記選局情報とに基づき、分離すべきチャンネルを決定する。
【0009】
上記の特許文献1の発明によれば、自車に搭載された受信装置が移動しながら放送を受信する際に、受信すべき信号の送信局が切り替わるため受信可能な放送信号や放送周波数が次々に変化したとしても、継続的に番組を視聴することが可能である。また、送信局が切り替わる場合に、それぞれの送信局で同一または同系統の番組が放送されていれば、その番組を優先的に受信することにより、視聴していた番組を継続的に視聴することが可能である。
【0010】
しかしながら上記の特許文献1の受信装置においては、自車が移動することによる放送信号および放送周波数の変化には対応することが可能であるが、これはあくまでもアナログ放送(例えばアナログテレビ放送)受信における受信周波数の変更に関するものであり、デジタル放送の受信については開示も示唆もされていない。従って、例えばアナログ放送が受信不可であり、かつデジタル放送で同一或いは同系統の番組が受信可能であったとしても、受信周波数の切替は行われない。そのため、デジタル放送にて同一或いは同系統の番組が視聴可能であるにもかかわらず、ユーザーがその事実に気づかないことがあるという問題があった。また、上記の特許文献1の受信装置においては、位置情報検出手段による位置情報の取得が不可能である場合は、受信周波数の切替が正常に行われないという問題があった。
【特許文献1】特開2001−53635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、デジタル放送及びアナログ放送の両方を受信可能であり、かつ移動により各放送の受信状況が変化した際に、ユーザーに対して常に最適な音声及び映像情報を提供することが可能な受信制御方法を備えたナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
デジタルテレビ放送を受信するデジタルテレビ放送受信手段と、
アナログテレビ放送を受信するアナログテレビ放送受信手段と、
デジタルテレビ放送を受信可能なエリア及びアナログテレビ放送を受信可能なエリアを示すエリア情報を記憶するエリア情報記憶手段と、
を備えたナビゲーション装置において、
前記現在位置検出手段により検出した現在位置と前記エリア情報記憶手段により記憶した前記エリア情報とに基づき、現在位置におけるデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信可否を判定する受信可否判定手段と、
ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定においてデジタルテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記アナログテレビ放送受信手段を用いて、アナログテレビ放送における同一或いは同系統の番組を受信する代替受信手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0013】
この構成によると、現在位置を検出する機能と、デジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の両放送を受信する機能と、両放送を受信できるエリア示した道路地図データを記憶する機能とを備えたナビゲーション装置において、現在位置がデジタルテレビ放送を受信可能なエリアに含まれているかどうかを、道路地図データをもとに判定する。また併せて、現在位置がアナログテレビ放送を受信可能なエリアに含まれているかどうかを、道路地図データをもとに判定する。
【0014】
またこの構成によると、ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記判定によりデジタルテレビ放送が受信出来ると判断された場合に、デジタルテレビ放送を受信する。逆にデジタルテレビ放送が受信出来ないと判断され、かつアナログテレビ放送が受信できると判断された場合は、アナログテレビ放送を受信する。この際、ユーザーより指定されたデジタルテレビ放送の番組と同一、或いは同系統の番組がアナログテレビ放送にて放送されている場合、その番組を優先的に受信する(例えば、デジタルテレビ放送のニュース番組を指定された場合、アナログテレビ放送のニュース番組を受信する等)。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定手段においてデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記ナビゲーション装置に備えられた映像音声出力装置を用いて映像或いは音声の出力を行う代替出力手段
を備えたことを特徴としている。
【0016】
この構成によると、ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け、かつ前記判定によりデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の両方が受信出来ないと判断された場合に、CDプレイヤー或いはDVDプレイヤー等の映像音響装置(映像音声出力装置)を用いて、映像或いは音楽の再生を行う。なお、再生に使用する装置および再生データは、あらかじめユーザーが指定を行っておくことが可能である。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
前記受信可否判定手段においてデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定されたことにより前記代替受信手段或いは代替出力手段の実行を行っている場合において、前記受信可否判定手段を用いてユーザー指定放送の受信が可能であるかを判定し、かつ受信可能であると判定された場合、実行中の前記代替受信手段或いは代替出力手段の実行を停止するとともに、受信不可能であった前記ユーザー指定放送の受信を行う受信切替手段
を備えたことを特徴としている。
【0018】
この構成によると、ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記判定により指定された放送が受信不可能と判定され、かつ代替受信或いは代替音響出力が行われている場合において、一定の周期で当初指定された放送が受信できるかどうかの監視を行う。監視中に、当初指定された放送が受信できる(例えば移動によりこれまで受信できなかったデジタルテレビ放送の受信が可能となる等)ことが検知された場合、実行中の代替受信或いは代替音響出力を停止するとともに、当初指定された放送を受信する。
【0019】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
前記受信可否判定手段において、前記デジタルテレビ放送受信手段により受信したデジタルテレビ放送の誤り率に基づいてデジタルテレビ放送の受信可否を判定することと、
前記受信可否判定手段において、前記アナログテレビ放送受信手段により受信したアナログテレビ放送の電界強度に基づいてアナログテレビ放送の受信可否を判定することと、
を特徴としている。
【0020】
この構成によると、デジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の両放送を受信した後、両放送の受信状況を判定する。デジタルテレビ放送においては、受信データの誤り率を、アナログテレビ放送においては、電界強度をもとに受信状況を判定する。受信データの誤り率が一定値を超える場合、デジタルテレビ放送の受信を不可能と判定する。また、電界強度が一定値を下回る場合、アナログテレビ放送の受信を不可能と判定する。これらの判定結果に基づいて、どの放送を受信するかを決定する判定処理を行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第一の構成によれば、ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付けた際に、現在位置と道路地図データをもとに受信の可否を判断し、受信出来る場合はデジタルテレビ放送を、受信できない場合はアナログテレビ放送を受信する。このため、デジタルテレビ放送が受信できない場合において、ユーザーが代わりに受信する番組を手動で検索する必要がなく、ユーザーにとっての利便性が向上する。また、代わりに受信する番組として同一或いは同系統の番組が優先して選択されるため、よりユーザーが望むジャンルの番組を的確に提供することが可能である。
【0022】
本発明の第二の構成によれば、ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け、両放送が受信出来ない場合に、CDプレイヤー等の音楽再生装置、或いはDVDプレイヤー等の映像再生装置を用いて、音楽或いは映像の再生を行う。このため、ユーザーは、テレビ放送が受信できない状況において、手動で他の音楽を再生する等の操作を行う必要がないため、ユーザーにとっての利便性が向上する。なお、再生に使用する装置および再生するデータは、あらかじめユーザーが指定しておくことが可能である。
【0023】
本発明の第三の構成によれば、ユーザーが指定した放送が受信できず、代替となる放送の受信、あるいは音楽の再生等を行っている場合において、当初指定されていた放送が受信できるようになった場合に、受信局を切り替えて、当初指定されていた放送の受信を行う。このため、ユーザーは当初指定した放送が受信可能になったかどうかを走行中に随時確認する必要がなく、また受信可能になった場合においても手動で選局を行う必要がないため、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0024】
本発明の第四の構成によれば、受信データの誤り率と受信電波の電界強度とを用いて受信状況の確認を行い、その結果に基づいて各放送が受信可能であるかどうかの判定を行う。このため、例えば現在位置が検出できない場合や、道路地図情報が取得できない等の原因により受信可否判定が行えない場合においても、前記の受信状況の確認結果より受信可否判定を行うことが可能である。このため、本発明の受信切替機能をより多様な状況下において使用することができるため、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の第一の実施形態におけるナビゲーション装置について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態1]
〈1−1.ナビゲーション装置の内部構成について〉
ここで、本発明の第一の実施形態におけるナビゲーション装置1の電気回路システムの要部構成を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0026】
図1のブロック図に示すように、本発明のナビゲーション装置1は、少なくとも、制御部11、メモリ12、記憶部13、ROM14、デジタルテレビ受信部15、アナログテレビ受信部16、操作ボタン群17、表示部18、スピーカー部19、MD(Mini Disk)再生部20、光ディスク再生部21、および現在位置検出部22を含むように構成されている。
【0027】
制御部11は、ナビゲーション装置1の各部材の駆動を有機的に制御することによりナビゲーション処理(経路の検索、道路データの表示等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、各装置(例えば記憶部13等)の制御やデータの計算、加工処理等を行なう中枢部分となっている。制御部11は、後述するデジタルテレビ受信部15、アナログテレビ受信部16、或いは光ディスク再生部21等から音声データを同時に受け付けた際に、スピーカー部19を用いて出力するソースを切り替える切り替え回路11aを備えている。
【0028】
メモリ12は、ナビゲーション装置1が保持する各種データを一時的に記憶する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種ナビゲーション処理が行われる際の処理データや、ユーザーから受けた指示命令等を一時的に記憶しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0029】
記憶部13は、ナビゲーション装置1が保持する各種データ(道路データ、録音データ等)を記録するための記憶媒体である。なお、記憶部13は、複数の領域(パーティション)に物理的に分割されており、記憶するデータの種別に応じて領域別に記憶することがより望ましい。記憶部13は少なくとも、道路データを記憶する領域である道路地図データ記憶領域13aと、後述するデジタルテレビ受信部15、或いはアナログテレビ受信部16を用いて受信した音声データ等を記憶する録画データ記憶領域13bとを含むように構成されている。
【0030】
ROM(Read Only Memory)14は、例えば制御部11を用いた各種処理(例えば経路検索処理等)を行うためのプログラムデータを記憶するための媒体であり、ユーザーは情報の読み出しのみが可能となっている。
【0031】
デジタルテレビ受信部15は、デジタルアンテナ部(不図示)を用いて受信されたデジタルテレビ放送の映像データ及び音声データを入力するためのチューナー装置である。デジタルテレビ受信部15を用いて得られた映像データ及び音声データは、後述する表示部18及びスピーカー19により出力される。なお、受信した映像データ及び音声データは、記憶部13の録画データ記憶領域13bに記憶することも可能である。
【0032】
アナログテレビ受信部16は、アナログアンテナ部(不図示)を用いて受信されたアナログテレビ放送をA/Dコンバータ(不図示)等を用いてデジタルの映像データ及び音声データに変換するためのチューナー装置である。アナログテレビ受信部16を用いて得られた映像データ及び音声データは、後述する表示部18及びスピーカー19により出力される。なお、デジタル変換された映像データ及び音声データは、記憶部13の録画データ記憶領域13bに記憶することも可能である。
【0033】
操作ボタン群17は、ユーザーが道路検索の指示や道路情報の表示指示等をナビゲーション装置1に対して行なうための入力インタフェースである。表示部18は、ナビゲーション装置1の各種情報をユーザーに対して表示するための出力インタフェースである。
【0034】
スピーカー部19は、制御部11により音量調整された電気信号を音声に変換して出力するための拡声器である。MD再生部20は、MDメディアを格納し、MDメディアに対して光学的に各種データの読み込み、または書き込みを行うための光学記憶装置である。光ディスク再生部21は、光ディスク(CD、DVD等)を格納し、光ディスクに対して光学的に各種データの読み込み、または書き込みを行うための光学記憶装置である。なお、光ディスクには複数の規格が存在するため、光ディスク再生部21が対応可能な規格の光ディスクを使用しなければ、各種処理(録画、再生等)を行うことができない。
【0035】
現在位置検出部22は、ナビゲーション装置(ひいてはナビゲーション装置を搭載している車両)の現在位置を特定するための回路である。現在位置検出部22は、例えば地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機等からの情報を受信する。これらの装置により取得された情報をもとに、現在位置検出部22は車両の現在位置を特定する。
〈1−2.受信制御工程について〉
ここで、本発明のナビゲーション装置1における無線放送の受信制御処理の処理工程を、図2のフロー図と、図1および図3のブロック図とを用いながら説明する。
【0036】
図2に示すように、制御部11がユーザーより、本発明の受信制御機能を用いて受信する無線放送の選局指示(特定の番組の受信指示)を検知することにより、本処理が開始される(S110)。なお無線放送の選局指示は、例えばユーザーが操作ボタン群17を用いてデジタルテレビ放送の受信操作、或いは選局操作等を行った場合に発行される。
【0037】
無線放送の選局指示を受けた制御部11は、現在位置検出部22を用いて自車の現在位置の検出を行う(S120)。そして現在位置検出部22により検出された自車現在位置と、記憶部13の道路地図データ記憶領域13aに記憶されている道路地図データとを用いて、自車現在位置が地図上のどのエリア(地域)に位置するかの特定を行う(S130)。
【0038】
制御部11は、前記S130において特定されたエリアをもとに、自車がデジタルテレビ放送を受信可能なエリアに存在するかどうかの判定を行う(S140)。前記判定を行う方法としては、例えば道路地図データ記憶領域13aに記憶されている道路地図データ含まれている情報であるエリア情報を用いる。エリア情報とは、あらかじめ定められたエリア単位で、当該エリアに関する地域情報を示す情報であり、例えばあるエリアにおけるデジタルテレビ放送の受信可否や、道路交通情報の受信可否等の情報が含まれている。制御部11は、前記S130において特定されたエリアと前記エリア情報とを対比することにより、自車がデジタルテレビを受信可能であるエリアに位置するかどうかの判断を行う。
【0039】
例えば図3に示す例では、地点Cから地点Dまでのエリア(エリアγ1)がデジタルテレビ放送の受信可能エリアであることがエリア情報により示されていたとする。また、地点Bから地点Eまでのエリア(エリアβ1,エリアβ2,およびエリアγ1)がアナログデジタル放送の受信可能エリアであることがエリア情報により示されていたとする。現在、自車は地点A(受信不可エリアであるエリアα1の一地点)に位置するため、アナログテレビ放送もデジタルテレビ放送も受信不可であると判断される。もし自車がエリアβ1に進入した場合、アナログテレビ放送が受信可能であると判断される。またエリアγ1に進入した場合、アナログテレビ放送及びデジタルテレビ放送の両方が受信可能であると判断される。
【0040】
前記S140の処理において、デジタルテレビ放送の受信が可能であると判断された場合(例えば図3において自車がエリアγ1に存在する場合)、制御部11はデジタルテレビ受信部15の電源を起動する(S141)。そして起動した前記デジタルテレビ受信部15を用いてデジタルテレビ放送の受信を行い、表示部18及びスピーカー19を用いて音声及び映像の出力を行う(S142)。制御部11は、音声及び映像の出力を継続しながらも、自車の移動によるデジタルテレビ放送受信状況の変化に対応するため、前記S120の処理に移行する。これにより、例えば自車がデジタルテレビ放送の受信可能エリア外に移動したこと等を検知するための自車位置検出処理が継続して行なわれる。
【0041】
逆に前記S140の処理において、デジタルテレビ放送の受信が不可能であると判断された場合、制御部11はデジタルテレビ受信部15の電源を停止させる。なお、デジタルテレビ受信15の電源が起動されていない場合は、本処理を省略する(S150)。そして制御部11は、前記S130において特定された自車現在位置とエリア情報とをもとに、自車がアナログテレビ放送を受信可能なエリアに存在するかどうかの判定を行う(S160)。前記判定を行う方法としては、例えば道路地図データ記憶領域13aに記憶されている道路地図データ含まれているエリア情報を用いる。制御部11は、前記S130において特定されたエリアと前記エリア情報とを対比することにより、自車がアナログテレビを受信可能であるエリアに位置するかどうかの判断を行う。
【0042】
前記S160の処理において、アナログテレビ放送の受信が可能であると判断された場合(例えば図3において自車がエリアβ1、或いはエリアβ2に位置する場合)、制御部11はアナログテレビ受信部16の電源を起動する(S161)。そして起動した前記アナログテレビ受信部16を用いてアナログテレビ放送の受信を行い、表示部18及びスピーカー19を用いて音声及び映像の出力を行う(S162)。制御部11は、音声及び映像の出力を継続しながらも、自車の移動によるアナログテレビ放送受信状況の変化に対応するため、前記S120の処理に移行する。これにより、例えば自車がデジタルテレビ放送の受信可能エリアに進入したこと等を検知するための自車位置検出処理が継続して行なわれる。
【0043】
逆に前記S160の処理において、アナログテレビ放送の受信が不可能であると判断された場合、制御部11はアナログテレビ受信部16の電源を停止する。なお、アナログテレビ受信16の電源が起動されていない場合は、本処理を省略する(S170)。そして制御部11は、ユーザーに対してテレビ放送受信不可の通知を行う。具体的には例えば、表示部18を用いてテレビ放送受信不可のメッセージを表示したり、スピーカー17を用いてテレビ放送受信失敗の警告音を出力する等の操作を行う(S180)。次に制御部11は、ソース切り替え回路11aを用いて、テレビ放送受信の代替として、他部材を用いた音楽或いは映像等の再生を行う(S190)。例えばMD再生部20を用いてMDメディア(不図示)に記録されてい音楽を再生したり、また或いは光ディスク再生部21を用いてDVDメディア(不図示)に記録されている映像を再生する等の操作を行う。そして制御部11は、音響装置(映像音声出力装置)による音声或いは映像の再生を継続しながらも、自車の移動によるデジタルテレビ放送受信状況およびアナログテレビ放送の受信状況の変化に対応するため、前記S120の処理に移行する。これにより、例えば自車がデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信可能エリアに進入したこと等を検知するための自車位置検出処理が継続して行なわれる。なお、音響装置による代替再生処理は、ユーザーからの指示により無効とすることも可能である。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態におけるナビゲーション装置について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.ナビゲーション装置の内部構成について〉
[実施の形態1]と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.受信制御工程について〉
ここで、本発明のナビゲーション装置1における無線放送の受信制御処理の処理工程を、図4のフロー図と、図1のブロック図とを用いながら説明する。
【0045】
図4に示すように、制御部11がユーザーより、本発明の受信制御機能を用いて受信する無線放送の選局指示(特定の番組の受信指示)を検知することにより、本処理が開始される(S210)。なお無線放送の選局指示は、例えばユーザーが操作ボタン群17を用いてデジタルテレビ放送の受信操作、或いは選局操作等を行った場合に発行される。
【0046】
無線放送の選局指示を受けた制御部11は、デジタルテレビ受信部15の電源を起動し、起動した前記デジタルテレビ受信部15を用いてデジタルテレビ放送の受信を行う(S220)。次に制御部11は、デジタルテレビ受信部15を用いて受信したデジタル放送データの誤り率(デジタルデータを伝送し、復調した際に、送ったデータの中での誤りデータの比率)があらかじめ定められた所定値を超えるかどうかの判定を行う(S230)。
【0047】
前記S230の処理において、誤り率が所定値を超えないと判定された場合、制御部11はデジタルテレビ放送の受信が可能であるとみなし、デジタルテレビ放送の受信を開始する。制御部11はデジタルテレビ受信部15を用いてデジタルテレビの受信を行い、表示部18及びスピーカー19を用いて音声及び映像の出力を行う(S241)。また制御部11は、音声及び映像の出力を継続しながらも、自車の移動によるデジタルテレビ放送受信状況の変化に対応するため、前記S220の処理に移行する。これにより誤り率検知処理が継続して行なわれ、例えば自車がデジタルテレビ放送の受信可能エリア外に移動した等により誤り率が増加した場合の対応を行うことが可能となる。
【0048】
逆に前記S230の処理において、誤り率が所定値を超えると判定された場合、制御部11はデジタルテレビ放送の受信が不可能であるとみなし、デジタルテレビ受信部15の電源を停止させる(S240)。次に制御部11は、アナログテレビ受信部16の電源を起動し、起動した前記アナログテレビ受信部16を用いてアナログテレビ放送の受信を行う(S250)。次に制御部11は、アンテナ部(不図示)を用いて受信したアナログテレビ放送の電界強度(電波の強さ)が、あらかじめ定められた所定値を超えるかどうかの判定を行う(S260)。
【0049】
前記S260の処理において、電界強度が所定値を超えると判断された場合、制御部11はアナログテレビ受信部16を用いてアナログテレビ放送の受信を行い、表示部18及びスピーカー19を用いて音声及び映像の出力を行う(S261)。そして制御部11は、音声及び映像の出力を継続しながらも、自車の移動によるアナログテレビ放送の電界強度の変化に対応するため、前記S220の処理に移行する。これにより、例えば自車がトンネル等に進入したこと等による電界強度の低下や、或いはデジタルテレビ放送受信可能状態への遷移等を検知するための検知処理が継続して行なわれる。
【0050】
逆に前記S260の処理において、電界強度が所定値を下回ると判断された場合、制御部11はアナログテレビ受信部16の電源を停止する。(S270)。そして制御部11は、ユーザーに対してテレビ放送受信不可の通知を行う(S280)。具体的には例えば、表示部18を用いてテレビ放送受信不可のメッセージを表示したり、或いはスピーカー17を用いてテレビ放送受信失敗の警告音を出力する等の処理を行う。次に制御部11は、テレビ放送表示の代替として、音響装置を用いた音楽或いは映像等の再生を行う(S290)。例えばMD再生部20を用いてMDメディア(不図示)に記録されてい音楽を再生したり、また或いは光ディスク再生部21を用いてDVDメディア(不図示)に記録されている映像を再生する等の操作を行う。そして制御部11は、他部材による音声或いは映像の出力を継続しながらも、自車の移動によるテレビ放送受信状況の遷移に対応するため、前記S220の処理に移行する。これにより、例えばデジタルテレビ放送の誤り率の変化、或いはアナログテレビ放送の電界強度の変化を検知するための各種処理が継続して行なわれる。なお、音響装置による音響再生処理は、ユーザーからの指示により無効とすることも可能である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0051】
例えば前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、ナビゲーション装置1に供給し、そのナビゲーション装置1内のコンピュータ(例えばCPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0052】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が、前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0053】
なお、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0054】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0055】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0056】
また、本実施形態では、デジタルテレビ放送およびアナログテレビ放送の受信可否を判断するための道路データとして、記憶部13に記憶されているデータを用いているが、無線通信等の通信手段によって外部機関より得られたデータを用いて道路データの取得を行っても良い。
【0057】
また、本発明の受信制御方法が、ナビゲーション装置以外の情報処理装置において用いられたとしても、同様の効果がえられることは言うまでもない。なお、ナビゲーション装置以外の情報処理装置としては、例えばカーテレビ、カーラジオ、携帯電話などが考えられる。
【0058】
また、本発明の受信制御方法が、デジタルラジオ放送及びアナログラジオ方法に対して用いられたとしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。また、テレビ放送の受信不可能時に使用する代替装置として、MD再生部または光ディスク再生部以外の音響出力を伴う装置を用いたとしても、同様の効果が得られることはいうまでもない。なお音響出力を伴う装置としては、例えばテープ再生装置、アナログラジオ、デジタルラジオ、MP3プレイヤー等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のナビゲーション装置内部の要部構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態におけるナビゲーション装置による受信制御処理の処理フロー図である。
【図3】本発明のナビゲーション装置による受信制御状況の一例を示したブロック図である。
【図4】本発明の第二の実施形態におけるナビゲーション装置による受信制御処理の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーション装置
11 制御部
12 メモリ
13 記憶部
14 ROM
15 デジタルテレビ受信部
16 アナログテレビ受信部
17 操作ボタン群
18 表示部
19 スピーカー部
20 MD再生部
21 光ディスク再生部
22 現在位置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
デジタルテレビ放送を受信するデジタルテレビ放送受信手段と、
アナログテレビ放送を受信するアナログテレビ放送受信手段と、
デジタルテレビ放送を受信可能なエリア及びアナログテレビ放送を受信可能なエリアを示すエリア情報を記憶するエリア情報記憶手段と、
を備えたナビゲーション装置において、
前記現在位置検出手段により検出した現在位置と前記エリア情報記憶手段により記憶した前記エリア情報とに基づき、現在位置におけるデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信可否を判定する受信可否判定手段と、
ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定においてデジタルテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記アナログテレビ放送受信手段を用いて、アナログテレビ放送における同一或いは同系統の番組を受信する代替受信手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定手段においてデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記ナビゲーション装置に備えられた映像音声出力装置を用いて映像或いは音声の出力を行う代替出力手段
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記受信可否判定手段においてデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定されたことにより前記代替受信手段或いは代替出力手段の実行を行っている場合において、前記受信可否判定手段を用いてユーザー指定放送の受信が可能であるかを判定し、かつ受信可能であると判定された場合、実行中の前記代替受信手段或いは代替出力手段の実行を停止するとともに、受信不可能であった前記ユーザー指定放送の受信を行う受信切替手段
を備えたことを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記受信可否判定手段において、前記デジタルテレビ放送受信手段により受信したデジタルテレビ放送の誤り率に基づいてデジタルテレビ放送の受信可否を判定することと、
前記受信可否判定手段において、前記アナログテレビ放送受信手段により受信したアナログテレビ放送の電界強度に基づいてアナログテレビ放送の受信可否を判定することと、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
現在位置を検出する現在位置検出工程と、
デジタルテレビ放送を受信するデジタルテレビ放送受信工程と、
アナログテレビ放送を受信するアナログテレビ放送受信工程と、
デジタルテレビ放送を受信可能なエリア及びアナログテレビ放送を受信可能なエリアを示すエリア情報を記憶するエリア情報記憶工程と、
を有する受信制御方法において、
前記現在位置検出工程により検出した現在位置と前記エリア情報記憶工程により記憶した前記エリア情報とに基づき、現在位置におけるデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信可否を判定する受信可否判定工程と、
ユーザーよりデジタルテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定においてデジタルテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記アナログテレビ放送受信工程により、アナログテレビ放送における同一或いは同系統の番組を受信する代替受信工程と、
を有することを特徴とする受信制御方法。
【請求項6】
ユーザーよりデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信指示を受け付け、かつ前記受信可否判定工程においてデジタルテレビ放送及びアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定された場合に、前記受信制御方法に備えられた映像音声出力装置を用いて映像或いは音声の出力を行う代替出力工程
を有することを特徴とする請求項5に記載の受信制御方法。
【請求項7】
前記受信可否判定工程においてデジタルテレビ放送或いはアナログテレビ放送の受信が不可能であると判定されたことにより前記代替受信工程或いは代替出力工程の実行を行っている場合において、前記受信可否判定工程によりユーザー指定放送の受信が可能であるかを判定し、かつ受信可能であると判定された場合、実行中の前記代替受信工程或いは代替出力工程の実行を停止するとともに、受信不可能であった前記ユーザー指定放送の受信を行う受信切替工程
を有することを特徴とする請求項5或いは請求項6に記載の受信制御方法。
【請求項8】
前記受信可否判定工程において、前記デジタルテレビ放送受信工程により受信したデジタルテレビ放送の誤り率に基づいてデジタルテレビ放送の受信可否を判定することと、
前記受信可否判定工程において、前記アナログテレビ放送受信工程により受信したアナログテレビ放送の電界強度に基づいてアナログテレビ放送の受信可否を判定することと、
を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の受信制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−124211(P2007−124211A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312785(P2005−312785)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】