説明

ナビゲーション装置、及び受信制御方法

【課題】自車の移動により地上デジタル放送の受信状況が変化した際に、ユーザーに対して常に最適な音声及び映像情報を提供することが可能なナビゲーション装置を提供する
【解決手段】地上デジタル放送を受信する際に、指定されたチャネルが低画質放送と高画質放送とを含み、かつ両放送が同番組を放送しているかを確認する。上記の条件を満たす場合、どちらの放送を表示するかを決定するための表示優先度を設定し、以下の要因により更新する。まず、受信したデータの誤り率を検出する。誤り率が高い場合は、低画質放送の表示優先度を上げ、誤り率が低い場合は、高画質放送の表示優先度を上げる。次に、自車の現在位置と地上デジタル放送局との距離を検出し、距離が遠い場合は低画質放送の表示優先度を上げ、距離が近い場合は高画質放送の表示優先度を上げる。算出された表示優先度を元に、どちらの放送を表示するか決定し、表示部を用いて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものであり、特にナビゲーション装置に内蔵される地上デジタル放送受信装置の受信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置には多くの機能が設けられる傾向がある。特にユーザーにとって有用な機能としては、出発地から目的地までの経路を自動的に検索し、検索された経路を誘導経路として地図上に表示する経路検索機能が存在する。この機能を用いれば、出発地と目的地とを入力装置から入力することにより、出発地と目的地とを最適ルートで結ぶ誘導経路を自動的に検索し、LCD(液晶表示装置)等の表示装置に表示することが可能である。
【0003】
また、検索された誘導経路に従ってユーザーが走行を行う際に、誘導経路を地図上に表示し、併せて現在位置を表示することにより、ユーザーを目的地まで案内する誘導機能が存在する。この機能を用いれば、例えば走行中に交差点に近付いた際に、その交差点の拡大図(表示装置の所定の表示範囲内に表示される地図を、その表示要素数を減少させてデフォルメした図)を表示する等、走行中の経路に関する様々な情報をリアルタイムでユーザーに対して通知することが可能である。
【0004】
また、アンテナ等を用いてテレビ放送(無線映像情報)を受信し、LCD等の表示装置を用いて表示するテレビ放送受信機能を備えたナビゲーション装置も広く普及している。受信されるテレビ放送は大きく分けて、従来より存在するアナログテレビ放送と、近年になって普及し始めた地上デジタル放送との二つが存在する。さらに地上デジタル放送は、その放送形態の違いにより、低画質な1セグ放送(1セグメント放送)と高画質な12セグ放送(12セグメント放送)とに区別することができる。
【0005】
地上デジタル放送においては、一つのチャンネルが13のセグメント(階層)に分割されており、一つ或いは複数のセグメントを用いて、映像および音声等のデータを送信することが可能である。高画質なハイビジョン放送は同時に12のセグメントを必要とするため、一般に12セグ放送と呼ばれている。逆に低画質な移動体向け放送(携帯電話、カーテレビ向けの放送)は1セグメントのみで送信可能なため、一般に1セグ放送と呼ばれている。1セグ放送は映像符号化技術にAVC/H.264を採用することにより、少ないデータ量で安定度の高いデータ放送の実現を図っている。なお、一つのチャネルにおいて13のセグメント全てを使用することにより、同一のコンテンツを12セグ放送と1セグ放送とで同時に放送することも可能である。
【0006】
同一のコンテンツが12セグ放送と1セグ放送とで同時に放送されている場合、例えば車載用のナビゲーション装置に搭載されているテレビ放送受信装置等では、移動しながらの受信が多いため、1セグ放送を受信することが好ましい。しかし1セグ放送は12セグ放送と比較して品質が劣るため、ユーザーの状況によっては(例えばパーキングエリアで停車中の場合等)12セグ放送を受信することが好ましい場合もある。従来、1セグ放送受信と12セグ放送受信の切り替えはユーザーが手動で行っていたが、ユーザーは必ずしもこの切り替えを状況に応じて適切に行うことができるとは限らない。このため、受信装置側の状況に応じて12セグ放送と1セグ放送とを、自動的かつ適切に切り替え可能である受信装置の開発が進められてきた。
【0007】
上記の問題に関連して特許文献1においては、デジタル放送の受信時において、視聴者に不快感を与えないように、低品質の階層(1セグ放送)から高品質の階層(12セグ放送)へ自動的に切り替えを行う車載用のデジタル放送受信装置が開示されている。
【0008】
上記の特許文献1の発明は、映像または音声の出力装置に接続可能な車載用のデジタル放送受信装置であって、同一コンテンツを、映像及び音声の品質が異なる複数の階層で送信するためのデジタル放送信号を受信する手段と、前記複数の階層のそれぞれについて受信状態を判定し、表示可能な階層を選択する手段と、選択された階層の映像信号及び音声信号を前記出力装置へ出力する手段とを備えている。特許文献1のデジタル放送受信装置は、放送の受信状況を常に監視し、放送の受信状態が所定の状態よりも悪化した際に、1セグ放送を受信するように切り替える。受信状態の判定手段とてしては、電界強度、BER(Bit Error Rate)値、ブロックノイズ発生量等が用いられる。
【0009】
例えば高画質である12セグ放送の受信を行っている際に、電界強度が低下したり、BER値が悪化した場合などにおいて、受信する放送を1セグ放送に切り替える。これは、1セグ放送が12セグ放送よりもより受信状態が悪くても映像を再生することが可能な変調方式を用いているためである。しかし、1セグ放送はデータ帯域が小さいため、12セグ放送と比較すれば映像および音声の品質が劣る。従って、いつまでも1セグ放送を受信するのではなく、あるタイミングで12セグ放送受信に切り替えを行う。1セグ放送受信状態から12セグ放送受信状態への切り替えは、その逆の場合と同様に、電界強度、BER値、ブロックノイズ発生量等に応じて切り替える。
【0010】
上記の特許文献1の発明によれば、移動体(車載用のデジタル放送受信装置)に対してセグメント切り替えを行う選択装置を設けたことにより、高画質放送から低画質放送、或いはその逆のセグメント切り替えをスムーズに行うことができるため、利用している視聴者に違和感を与えることなく、移動体にてデジタル放送を受信することが可能となる。
【特許文献1】特開2005−277873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記の特許文献1の受信装置においては、受信状況を判断する手段として電界強度、BER値、ブロックノイズ発生量等を用いていたが、これらによる状況判断は必ずしも精度が高いとは言えず、また誤差によりセグメント切り替えの誤作動(受信不可であるセグメントへ切り替える等)が発生する恐れがあった。この場合、ノイズが多い等の不完全な表示状態になる恐れがあった。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、1セグ放送及び12セグの放送の両放送を受信できる移動受信装置であり、かつナビゲーション装置の機能を利用してセグメント切り替えをスムーズかつ高精度に行うことが可能な移動受信体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
一つのチャンネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送を送受信可能な地上デジタル放送を受信する地上デジタル放送受信手段と、
前記地上デジタル放送の送信を行う放送局の位置を記憶する放送局位置記憶手段と、
移動状態を検出する移動状態検出手段と、
前記地上デジタル放送受信手段を用いて受信した放送データの誤り率を検出するデータ誤り率検出手段と、
接続されている外部アンテナ機器の接続状況を検出する外部アンテナ機器検出手段と、
を備えたナビゲーション装置において、
受信する放送のチャンネルが指定され、かつ前記チャネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送が行われている場合において、どちらの放送を優先して表示するかを決定するための表示優先度を設けることと、
前記表示優先度の値をもとに、優先度の高い放送を表示部を用いて表示することと、
前記データ誤り率検出手段を用いて検出したデータ誤り率が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記データ誤り率が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
前記現在位置検出手段と前記放送局位置検出手段とを用いて現在位置と放送局位置との距離を算出し、算出された前記距離が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記距離が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
を特徴としている。
【0014】
この構成によると、ユーザーより地上デジタル放送の受信指示を受けた制御部は、指定されたチャンネルの地上デジタル放送を受信すると共に、指定されたチャネルが低画質放送(例えば1セグ放送等の移動体用放送)と高画質放送(例えば12セグ放送等の固定体用放送)とを含み、かつ両放送が同番組を放送しているかを確認する。上記の条件を満たす場合、どちらの放送を表示するかを決定するための表示優先度を設定する。表示優先度は、以下の要因により、更新される。まず制御部は、受信したデータの誤り率を検出する。誤り率が高い(電波状況が悪い)場合は、低画質放送の表示優先度を上げ、誤り率が低い(電波状況が良い)場合は、高画質放送の表示優先度を上げる。次に制御部は、GPS等の位置検出手段を用いて、現在位置と地上デジタル放送局との距離を検出し、距離が遠い(あらかじめ定められた所定距離を越える)場合は低画質放送の表示優先度を上げ、距離が近い(あらかじめ定められた所定内である)場合は高画質放送の表示優先度を上げる。算出された表示優先度を元に、どちらの放送を表示するか決定し、表示部を用いて表示する。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
前記移動状態検出手段を用いて検出した移動状態が移動中を示す場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記移動状態が停止中を示す場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴としている。
【0016】
この構成によると、表示優先度を算出する要素の一つとして制御部は、移動状態(例えば移動中であるか、或いは停止中であるか)を検出する。移動中である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、停止中である場合は高画質放送の表示優先度を上げる。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
前記外部アンテナ機器検出手段の結果、前記外部アンテナ機器の接続が検出されなかった場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記外部アンテナ機器の接続が検出された場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴としている。
【0018】
この構成によると、表示優先度を算出する要素の一つとして制御部は、ナビゲーション装置に接続可能な外部アンテナ機器(例えばダイバーシチアンテナ、またはロッドアンテナ等)の接続状況を検出する。外部アンテナ機器が接続されている場合は低画質放送の表示優先度を上げ、外部アンテナ機器が接続されていない場合は高画質放送の表示優先度を上げる。
【0019】
また、上記目的を達成するために本発明のナビゲーション装置は、
前記低画質放送が地上デジタル放送における1セグメント放送に該当することと、
前記高画質放送が地上デジタル放送における12セグメント放送に該当することと、
を特徴としている。
【0020】
この構成によると、一つのチャンネルに含まれる複数の放送のうち、低画質用放送として1セグ放送が、高画質用放送として12セグ放送が用いられ、表示優先度をもとにこの二つの放送が切り替えられて表示される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第一の構成によれば、表示優先度を算出する要素として、受信したデータの誤り率を用いると共に、GPS等の位置検出手段を用いて検出した現在位置と地上デジタル放送局との距離を用いる。距離が遠い場合は低画質放送の表示優先度を上げ、距離が近い場合は高画質放送の表示優先度を上げる。これにより、データ誤り率のみを用いて表示優先度を算出した場合と比較して、より精度の高い表示優先度を算出することが可能である。
【0022】
本発明の第二の構成によれば、表示優先度を算出する要素の一つとして、移動状態の検出結果を用いる。移動中である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、停止中である場合は高画質放送の表示優先度を上げる。これにより、データ誤り率のみを用いて表示優先度を算出した場合と比較して、より精度の高い表示優先度を算出することが可能である。
【0023】
本発明の第三の構成によれば、表示優先度を算出する要素の一つとして、ナビゲーション装置に接続可能な外部アンテナ機器の接続状況の検出結果を用いる。外部アンテナ機器が接続されている場合は低画質放送の表示優先度を上げ、外部アンテナ機器が接続されていない場合は高画質放送の表示優先度を上げる。これにより、データ誤り率のみを用いて表示優先度を算出した場合と比較して、より精度の高い表示優先度を算出することが可能である。
【0024】
本発明の第四の構成によれば、低画質用放送として1セグ放送が、高画質用放送として12セグ放送が用いられ、表示優先度をもとにこの二つの放送が切り替えられて表示される。これにより、ユーザーはチャンネルを指定するだけの操作を行うだけでよく、1セグ放送或いは12セグ放送のどちらを視聴するかの指定を行う必要がないため、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明のナビゲーション装置について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態]
〈1.ナビゲーション装置の内部構成について〉
ここで、本発明のナビゲーション装置1の電気回路システムの要部構成を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0026】
図1のブロック図に示すように、本発明のナビゲーション装置1は、少なくとも、制御部11、メモリ12、記憶部13、外部アンテナ接続検出部14、放送受信部15、現在位置検出部16、操作ボタン群17、表示部18、および車速検出部19を含むように構成されている。
【0027】
制御部11は、ナビゲーション装置1の各部材の駆動を有機的に制御することによりナビゲーション処理(経路の検索、道路データの表示等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、各装置(例えば記憶部13等)の制御やデータの計算、加工処理等を行なう中枢部分となっている。
【0028】
メモリ12は、ナビゲーション装置1が保持する各種データを一時的に記憶する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種ナビゲーション処理が行われる際の処理データや、ユーザーから受けた指示命令等を一時的に記憶しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0029】
記憶部13は、ナビゲーション装置1が保持する各種データ(地図データ、道路データ等)を記録するための記憶媒体である。なお、記憶部13は、複数の領域(パーティション)に物理的に分割されており、記憶するデータの種別に応じて領域別に記憶することがより望ましい。記憶部13は少なくとも、地図データを記憶する領域である地図データ記憶領域13aと、道路情報(車線情報、交通規制情報等)を記憶する道路データ記憶領域13bとを含むように構成されている。
【0030】
外部アンテナ接続検出部14は、ナビゲーション装置1に接続可能な外部アンテナ(例えばダイバーシチアンテナ−複数のアンテナで受信した同一の無線信号について、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いるアンテナ)の接続状況を検出するための回路である。検出結果は、メモリ12或いは記憶部13等に記憶される。
【0031】
放送受信部15は、外部接続アンテナ(不図示)を用いて受信された地上デジタル放送の映像データ及び音声データを入力するための入力装置である。放送受信部15を用いて得られた映像データ及び音声データは、後述する出力部(例えば後述する表示部18、或いは外部記憶媒体等)に対して出力される。なお、放送受信部15において受信される地上デジタル放送はチャンネル毎に13のセグメントに分割されている。この13のセグメントを利用して、異なる放送(例えば1セグメント放送と12セグメント放送)を一つのチャネルで同時に受信することが可能である。受信したどの放送を表示部18を用いて出力するかは、制御部11の指示により切り替えることが可能である。
【0032】
操作ボタン群17は、ユーザーが道路検索の指示や道路情報の表示指示等をナビゲーション装置1に対して行なうための入力インターフェースである。表示部18は、ナビゲーション装置1の各種情報をユーザーに対して表示するための出力インターフェースである。
【0033】
車速検出部19は、自車に取り付けられた車速センサ(不図示)より受信した情報をもとに、現在の自車の走行速度を特定するための装置である。車速検出部19により得られた車速情報は、制御部11に通知され、各種処理に利用される。
〈2.受信制御工程について〉
ここで、本発明のナビゲーション装置1における無線放送の受信制御処理の処理工程を、図2および図3のフロー図と、図1のブロック図とを用いながら説明する。
【0034】
図2および図3に示す処理フローは、例えば制御部11がユーザーより、本発明の受信制御機能を用いて受信する無線放送の選局指示(番組の受信指示)を検知することにより開始される。なお無線放送の選局指示は、例えばユーザーが操作ボタン群17を用いて、任意の地上デジタル放送の受信操作、或いは選局操作等を行った場合に発行される。
【0035】
無線放送の選局指示を受けた制御部11は、本処理に使用するチェックパラメータの初期化を行う(S110)。チェックパラメータは、制御部11が各種処理(例えば後述する自車位置の検出処理等)の処理結果を記録しておくためのパラメータである。チェックパラメータは、メモリ12或いは記憶部13に記憶されている。チェックパラメータは初期化されることにより、その値が0に設定される。
【0036】
次に制御部11は、放送受信部15を用いて地上デジタル放送の受信を行うと共に、受信した放送のBER(Bit Error Rate−データ誤り率)の検出を行う(S120)。BERとは、ランダムなデジタルデータを伝送し、復調した際に、送ったデータの中での誤りデータの比率を示したものである。例えばBERが10の−9乗である場合、10の9乗個のデータを送る毎に1個の間違い(エラー)があることを意味する。
【0037】
制御部11は、前記S120で検出されたBERの値があらかじめ定められた所定値を上回るかどうかの確認を行う(S130)。検出されたBERが所定値を越える(エラー発生頻度が高い)場合、制御部11はチェックパラメータに+1を加算した後、メモリ12に記憶する(S140a)。逆に検出されたBERが所定値を越えない(エラーの発生頻度が低い)場合、制御部11はチェックパラメータに−2を加算した後、メモリ12に記憶する(S140b)。
【0038】
次に制御部11は、現在位置検出部16を用いて自車の現在位置の取得を行う。そして現在位置検出部16により検出された現在位置と、記憶部13の地図データ記憶領域13aに記憶されている地図データとを用いて、現在位置が地図上のどの場所(地域)に位置するかの特定を行う。さらに制御部11は、地図データ記憶領域13aに記憶されている地図データを用いて、現在位置に最も近い地上デジタル放送の放送局を特定し、さらに前記放送局までの距離を算出する(S150)。
【0039】
制御部11は、前記S150において算出された結果をもとに、自車から放送局までの距離があらかじめ定められた所定値以内であるかの判定を行う(S160)。自車から放送局までの距離が所定値を越える(自車が放送局から遠くに位置する)場合、制御部11はチェックパラメータに+1を加算した後、メモリ12に記憶する(S170a)。逆に放送局までの距離が所定値以内である(自車が放送局の近くに位置する)場合、制御部11はチェックパラメータに−1を加算した後、メモリ12に記憶する(S170b)。
【0040】
次に制御部11は、車速検出部16を用いて自車の現在の走行速度の取得を行う(S190)。そして取得された走行速度をもとに、自車が現在走行中であるか、或いは自車が停車中であるかの判定を行う(S190)。走行中である場合、制御部11はチェックパラメータに+1を加算した後、メモリ12に記憶する(S200a)。逆に停車中である場合、制御部11はチェックパラメータに−1を加算した後、メモリ12に記憶する(S200b)。
【0041】
次に制御部11は、外部アンテナ接続検出部14を用いて、自車に接続されている外部アンテナ(例えばダイバーシチアンテナ等)の接続状況の確認を行う(S210)。制御部11は、前記S210において確認された結果をもとに、自車に外部アンテナが一または複数接続されているかの判定を行う(S220)。外部アンテナが一つも接続されていない場合、制御部11はチェックパラメータに+1を加算した後、メモリ12に記憶する(S230a)。逆に外部アンテナが一または複数接続されている場合、制御部11はチェックパラメータに−1を加算した後、メモリ12に記憶する(S230b)。
【0042】
制御部11は上記一連の処理の結果、メモリ12に記憶されているチェックパラメータの値が0以上であるかどうかの確認を行う(S240)。チェックパラメータが0以上であると判断された場合、放送受信部15を用いて受信した指定チャネルのデータの中から、1セグ放送のデータを抽出し表示部18を用いて出力する(S250a)。逆にチェックパラメータが0未満であると判断された場合、放送受信部15を用いて受信した指定チャネルのデータの中から、12セグ放送のデータを抽出し、表示部18を用いて出力する(S250b)。
【0043】
例えば上記の一連の処理の結果、ビット誤り率が所定値以上であり、かつ放送局までの距離が所定距離以上であり、かつ自車が停止中であり、かつ外部アンテナが接続されていない状態であったとする。これをチェックパラメータの増減で表すと、ビット誤り率が所定以上=+1、所定距離以上=+1、停車中=−1、外部アンテナ無し=+1となり、全てを合計した結果、チェックパラメータは+2となる。パラメータの合計が0以上であるため、この場合は1セグ放送が優先的に表示されることとなる。
【0044】
制御部11は受信した放送の出力を行いながらも、前記S110に移行し、上記の一連の処理を繰り返して行う。これにより常時チェックパラメータの更新を行い、状況の変化(自車の移動、走行状況の変化等)に対応して、出力する放送(1セグ放送或いは12セグ放送)の切り替えを継続的に行う。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0045】
例えば前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、ナビゲーション装置1に供給し、そのナビゲーション装置1内のコンピュータ(例えばCPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0046】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が、前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0047】
なお、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0048】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0049】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0050】
また、本実施形態では、地上デジタル放送およびアナログテレビ放送の受信可否を判断するための道路データとして、記憶部に記憶されているデータを用いているが、無線通信等の通信手段によって外部機関より得られたデータを用いて道路データの取得を行っても良い。
【0051】
また、本実施形態では、チェックパラメータとして数値(初期値=0)を用いて各種処理のチェック結果を算出しているが、上記とは異なる方法(例えばBERの値を基本値として、その他の各種処理結果から導き出された計数を基本値に乗算することによりチェックパラメータを算出する方法等)を用いてチェックパラメータの算出を行ったとしても、本発明と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0052】
また、本実施形態では、地上デジタ放送の電波状況を検出するための方法としてBERを用いているが、その他の情報(例えば電界強度等)を用いて電波状況の検出を行い、チェックパラメータへ反映を行ってもよい。
【0053】
また、本実施形態では、自車の走行状態確認結果として、走行中であるか、或いは停車中であるかの二種類の状態により走行状態を区別しているが、あらかじめ所定の速度を定めておき、所定速度を超過しているかどうかにより走行状態の区別を行い、その結果に基づいてチェックパラメータの更新を行うようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、チェックパラメータの値により1セグ放送および12セグ放送の受信を切り替えているが、BERが極端に大きい場合や、チェックパラメータの値が極端に大きい(受信状態が悪い)場合は、12セグ放送の受信を強制的に停止させ、以降の切り替え処理そのものを実施しないことにより処理を簡略化してもよい。
【0055】
また、本発明の受信制御方法が、ナビゲーション装置以外の情報処理装置において用いられたとしても、同様の効果がえられることは言うまでもない。なお、ナビゲーション装置以外の情報処理装置としては、例えばカーテレビ、カーラジオ、携帯電話などが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のナビゲーション装置内部の要部構成を示したブロック図である。
【図2】本発明のナビゲーション装置による受信制御処理の処理フロー図である。
【図3】本発明のナビゲーション装置による受信制御処理の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置
11 制御部
12 メモリ
13 記憶部
14 外部アンテナ接続検出部
15 放送受信部
16 現在位置検出部
17 操作ボタン群
18 表示部
19 車速検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
一つのチャンネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送を送受信可能な地上デジタル放送を受信する地上デジタル放送受信手段と、
前記地上デジタル放送の送信を行う放送局の位置を記憶する放送局位置記憶手段と、
移動状態を検出する移動状態検出手段と、
前記地上デジタル放送受信手段を用いて受信した放送データの誤り率を検出するデータ誤り率検出手段と、
接続されている外部アンテナ機器の接続状況を検出する外部アンテナ機器検出手段と、
を備えたナビゲーション装置において、
受信する放送のチャンネルが指定され、かつ前記チャネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送が行われている場合において、どちらの放送を優先して表示するかを決定するための表示優先度を設けることと、
前記表示優先度の値をもとに、優先度の高い放送を表示部を用いて表示することと、
前記データ誤り率検出手段を用いて検出したデータ誤り率が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記データ誤り率が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
前記現在位置検出手段と前記放送局位置検出手段とを用いて現在位置と放送局位置との距離を算出し、算出された前記距離が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記距離が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記移動状態検出手段を用いて検出した移動状態が移動中を示す場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記移動状態が停止中を示す場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記外部アンテナ機器検出手段の結果、前記外部アンテナ機器の接続が検出されなかった場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記外部アンテナ機器の接続が検出された場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記低画質放送が地上デジタル放送における1セグメント放送に該当することと、
前記高画質放送が地上デジタル放送における12セグメント放送に該当することと、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
現在位置を検出する現在位置検出工程と、
一つのチャンネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送を送受信可能な地上デジタル放送を受信する地上デジタル放送受信工程と、
前記地上デジタル放送の送信を行う放送局の位置を記憶する放送局位置記憶工程と、
移動状態を検出する移動状態検出工程と、
前記地上デジタル放送受信工程を用いて受信した放送データの誤り率を検出するデータ誤り率検出工程と、
接続されている外部アンテナ機器の接続状況を検出する外部アンテナ機器検出工程と、
を有する受信制御方法において、
受信する放送のチャンネルが指定され、かつ前記チャネルにおいて低画質放送と高画質放送との複数の放送が行われている場合において、どちらの放送を優先して表示するかを決定するための表示優先度を設けることと、
前記表示優先度の値をもとに、優先度の高い放送を表示部を用いて表示することと、
前記データ誤り率検出工程において検出したデータ誤り率が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記データ誤り率が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
前記現在位置検出工程と前記放送局位置検出工程とにより現在位置と放送局位置との距離を算出し、算出された前記距離が所定値以上である場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記距離が所定値未満である場合は高画質放送の表示優先度を上げることと、
を特徴とする受信制御方法。
【請求項6】
前記移動状態検出工程において検出した移動状態が移動中を示す場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記移動状態が停止中を示す場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴とする請求項5に記載の受信制御方法。
【請求項7】
前記外部アンテナ機器検出工程の結果、前記外部アンテナ機器の接続が検出されなかった場合は低画質放送の表示優先度を上げ、前記外部アンテナ機器の接続が検出された場合は高画質放送の表示優先度を上げること
を特徴とする請求項5または請求項6に記載の受信制御方法。
【請求項8】
前記低画質放送が地上デジタル放送における1セグメント放送に該当することと、
前記高画質放送が地上デジタル放送における12セグメント放送に該当することと、
を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の受信制御方法


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−174043(P2007−174043A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366220(P2005−366220)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】