ナビゲーション装置、情報センタ、および案内システム
【課題】ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることを可能にする。
【解決手段】VICSセンタ2などから得た渋滞度の情報をもとに、自車両が通行し得る経路である通行候補経路上の各リンクの、当該通行候補経路を走行するとした場合の自車両の進行方向についての渋滞度の情報に絞って、地図画面上に重畳して表示させる画像を生成する。
【解決手段】VICSセンタ2などから得た渋滞度の情報をもとに、自車両が通行し得る経路である通行候補経路上の各リンクの、当該通行候補経路を走行するとした場合の自車両の進行方向についての渋滞度の情報に絞って、地図画面上に重畳して表示させる画像を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画面上に表示させる情報を生成するナビゲーション装置、情報センタ、および案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザを所定の目的地まで誘導したり、任意の地図を表示させたりする装置として、ナビゲーション装置が知られている。一般的に、上記ナビゲーション装置では、車両等の進行速度、進行方向、および現在位置情報等を用いて、CD−ROM等の記録媒体から地図情報を読み出し、現在位置付近の地図を液晶モニタ等によって表示させるとともに、所定の出発地から所定の目的地までの案内経路を算出し、地図画面上に現在位置と案内経路との表示を行っている。また、近年では、特許文献1〜3に開示されているように、渋滞度などの道路交通情報も地図画面上に表示する技術が知られてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−234649号公報
【特許文献2】特開2006−162323号公報
【特許文献3】国際公開第06/001414号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に開示の技術では、ある地域の交通状況等を単に統計で平均化するなどして道路交通情報を生成して地図画面上に表示することになるため、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間の渋滞の度合い(つまり、渋滞度)といった道路交通情報までも表示することになり、当該車両の運行にとって関係のある渋滞か否かを判別することが難しい。
【0005】
また、同一の道路区間であっても進行方向によっては渋滞度が大きく異なる場合などに、特許文献1〜3に開示の技術では、ユーザの運転する車両が走行する方向については渋滞していない場合であっても渋滞度を高く表示してしまい、ユーザに誤った道路交通情報を提供してしまう状況が頻発し得る。
【0006】
つまり、特許文献1〜3に開示の技術では、渋滞度等のユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況を把握しにくいという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることを可能にするナビゲーション装置、情報センタ、および案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のナビゲーション装置によれば、車両が通行し得る経路である通行候補経路と当該通行候補経路中の各道路区間における車両の進行方向とを考慮して、運行方針関連情報(つまり、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報)を示す画像の情報を生成して地図画面上に重畳して表示させるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、請求項1の構成によれば、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0009】
また、運行方針関連情報を地図画面上に重畳して表示させる場合に地図自体の表示を見えなくしてしまわないよう、請求項2のように、重畳表示用情報として運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することが好ましい。
【0010】
また、請求項3のように、運行方針関連情報は、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報であって、表示情報生成手段が、重畳表示用情報として、運行方針関連情報の量的な度合いに応じて運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成する態様としてもよい。これによれば、運行方針関連情報に量的な度合いの違いが存在する場合に、運行方針関連情報の量的な度合いごとの分布を地図画面上で表現することが可能になる。
【0011】
また、請求項4の構成のように、運行方針関連情報の量的な度合いを、色相、明度、および彩度の色の要素のうちの少なくともいずれかの度合いで表現する態様としてもよい。
【0012】
また、請求項5の構成によれば、ユーザの運転する車両が走行する可能性のある道路区間上の、当該車両が走行する可能性のある方向についての運行方針関連情報に絞って地図画面上に表示させることが可能になるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することができる。よって、請求項5の構成によれば,ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることができる。
【0013】
また、請求項6の構成によれば、通行候補経路上に、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についての運行方針関連情報のうち、量的な度合いがより高い方の運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、重畳表示用情報を生成するので、当該道路区間について運行方針関連情報の量的な度合いを低く表示することがなくなる。例えば、運行方針関連情報が渋滞の度合いを示す渋滞度の情報であった場合には、当該道路区間の渋滞度を実際よりも高く表示することはあっても、低く表示することがなくなるので、誤った表示によってユーザを渋滞度の高い道路区間に誘導してしまう可能性を低減することができる。
【0014】
また、請求項7のように、表示情報生成手段が、通行候補経路上に進行方向決定手段で決定した車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合に、当該道路区間のその2通りの進行方向についてのそれぞれの運行方針関連情報の量的な度合いを平均して得られた運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、重畳表示用情報を生成する態様としてもよい。
【0015】
また、請求項8の構成によれば、量的な度合いが同一の運行方針関連情報同士が隣り合わせになる場合には、当該運行方針関連情報同士を統合して表示させるので、量的な度合いが同一の隣り合わせの運行方針関連情報同士をそれぞれ個別に表示させる場合に比べて、細かな表示を抑えることが可能となり、ユーザにとっての見易さを向上させることが可能になる。
【0016】
また、請求項9の構成によれば、運行方針関連情報を示す画像として、色の要素の度合いが異なる半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、当該半透過の画像同士の境目をグラデーションで示すことになるので、運行方針関連情報の量的な度合いの偏りがどの方向に向かっているのかを、より直感的にユーザに示すことが可能になる。
【0017】
また、請求項10の構成によれば、車両の現在位置と通行候補経路、および車両の進行方向に対する車両の進路の振れ幅のうちの少なくともいずれかに基づいて、重畳表示用情報を生成する範囲である情報生成範囲を設定するので、車両の今後の動きを想定した上で、地図画面上に実際に表示させる範囲よりも幅のある重畳表示用情報を生成することが可能になる。よって、請求項10の構成によれば、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。従って、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0018】
また、請求項11の構成によれば、車両の現在位置と通行候補経路とに基づいて情報生成範囲を設定する場合に、所定の期間の間に車両が走行可能な距離を考慮して、情報生成範囲を設定するので、当該所定の期間の間の車両の今後の動きを想定した上で、地図画面上に実際に表示させる範囲よりも幅のある重畳表示用情報を生成することができる。例えば、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新する間隔を当該所定の期間とすれば、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新するときまでの車両の今後の動きを想定した上で、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。よって、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新するときまでの車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0019】
また、請求項12のように、経路探索手段が、車両が出発地から目的地に到達できる移動経路として取り得る経路を探索することによって、通行候補経路を探索する態様としてもよい。
【0020】
また、請求項13のように、経路探索手段が、過去に車両が通行した移動経路の履歴をもとに、車両が通行し得る経路を予測することによって、通行候補経路を探索する態様としてもよい。
【0021】
また、請求項14のように、運行方針関連情報取得手段で取得する運行方針関連情報は、現況の運行方針関連情報である現況情報と過去の運行方針関連情報が統計処理された情報である統計情報をもとに推定された運行方針関連情報である推定情報とのうちの少なくともいずれかである態様としてもよい。
【0022】
また、請求項15のように、運行方針関連情報が、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、および通行に要する時間を示す区間所要時間の情報のうちのいずれかの道路交通情報である態様としてもよい。
【0023】
ここで、請求項16の構成によれば、通行候補経路上に、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合に、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報の量的な度合いを平均して得られた道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とすることになる。
【0024】
なお、例えば渋滞度の情報などの道路交通情報は、並行する近辺の道路区間同士や基点を同じくする近辺の道路区間同士であって、車両の流れがお互い繋がっている道路区間同士では量的な度合い(渋滞度の情報の場合には渋滞度)が似通っている場合が多い。よって、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報の量的な度合いを平均することによって、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性は高い。
【0025】
よって、請求項16の構成によれば、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性が高いので、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての運行方針関連情報としての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合であっても、より正確な運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0026】
また、請求項17の構成によっても、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報であって量的な度合いが最も高い道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とすることによって、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性は高い。よって、請求項17の構成によれば、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての運行方針関連情報としての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合であっても、より正確な運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0027】
また、請求項18の構成によれば、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させるので、時間の経過に従った運行方針関連情報の分布の変化をユーザに示すことが可能になる。よって、ユーザの運転する車両に対して運行方針関連情報が今後どう関わってくるのかが判別し易くなる。例えば、運行方針関連情報を渋滞度の情報とした場合には、渋滞がユーザの運転する車両に対して近づいてきているのか、遠ざかっていっているのかをユーザが判別し易くなる。その結果、請求項18の構成によれば、運行方針関連情報に対する当該車両の状況をユーザがさらに把握し易くなる。
【0028】
また、請求項19のように、運行方針関連情報取得手段で取得した現況情報をもとに重畳表示用情報を生成するとともに、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに重畳表示用情報を生成し、当該現況情報をもとに生成された重畳表示用情報である現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した、統計情報をもとに生成された重畳表示用情報である予測重畳表示用情報を検索するとともに、当該現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合には、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することによって、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報を生成する態様とすればよい。
【0029】
また、請求項20の構成によれば、請求項19の構成に加え、前述の検索で得られた予測重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の予測重畳表示用情報を、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに生成し、前述の現況重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の重畳表示用情報と当該過去の予測重畳表示用情報との分布の傾向が類似するか否かを判定して、類似すると判定した場合に、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することになる。つまり、現況について分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても分布の傾向が類似している場合に、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することになる。よって、現況について分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても分布の傾向が類似しているかを判定することによって、将来の現況重畳表示用情報をより正確に推定することが可能となる。
【0030】
また、請求項21の構成によれば、車両の速度に応じて、時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期を変更するので、車両の速度の変化によって運行方針関連情報を示す画像をユーザが注視できる状況が変化した場合であっても、この状況の変化に合わせて、適切な表示の切り替えの周期に変更することが可能になる。例えば、車両の速度が速くなるほど、運行方針関連情報を示す画像をユーザが注視できる余裕が少なくなるが、車両の速度が速くなるのに応じて表示の切り替えの周期を長くする(つまり、切り替えを遅くする)ことによって、運行方針関連情報を示す画像を周辺視によって認識し易くし、運行方針関連情報を示す画像の頻繁な注視によってユーザの意識が散漫とならないようにすることが可能になる。
【0031】
また、請求項22の構成によれば、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報として、運行方針関連情報取得手段で一定の期間ごとに新たな運行方針関連情報を取得するときの、この一定の期間ごとの重畳表示用情報を生成するので、運行方針関連情報取得手段で一定の期間ごとに取得する各運行方針関連情報をもとに生成した重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることが可能になる。よって、例えば一定の期間ごとに取得する新たな運行方針関連情報によって運行方針関連情報の更新が行われるとした場合には、更新によって新たに得られた運行方針関連情報ごとに生成した重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることが可能になる。
【0032】
また、請求項23のように、統計情報を格納する統計情報格納手段をさらに備え、統計情報取得手段が、統計情報格納手段から統計情報を取得する態様としてもよい。これによれば、車両外などから統計情報を取得したりしなくてもよいので、車両外などから統計情報を取得するための装置(例えば通信装置など)を備えるコストがかからない。
【0033】
また、請求項24のように、統計情報取得手段が、統計情報を格納する車両外の情報センタから統計情報を取得する態様としてもよい。これによれば、多量の統計情報が存在した場合であっても、ナビゲーション装置側でこの多量の統計情報を保持するメモリ容量を確保する必要がないので、ナビゲーション装置側のメモリ容量を節約することができる。
【0034】
また、請求項25の情報センタによっても、車両が通行し得る経路である通行候補経路と当該通行候補経路中の各道路区間における車両の進行方向とを考慮して、運行方針関連情報(つまり、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報)を示す画像の情報を生成してナビゲーション装置において地図画面上に重畳して表示させるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、請求項25の構成によっても、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0035】
また、請求項26の案内システムによれば、ユーザの運転する車両の経路の情報および車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置と、請求項25の情報センタと、を含むので、前述したのと同様に、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】道路交通情報案内システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステム1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】情報センタ4の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図5】通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向の一例を示す模式図である。
【図6】雲画像表示情報生成処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図7】(a)は表示情報生成領域を決定する方法を模式的に示した模式図であって、(b)は決定された表示情報生成領域を示す模式図である。
【図8】半透過の画像同士の境目をグラデーションで示す場合の表示例を示す図である。
【図9】通行候補経路上に進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在する場合の例を示す模式図である。
【図10】道路交通情報のうちの渋滞度の情報を現況の雲画像として表示させた場合の表示の一例を示した図である。
【図11】自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像の表示の一例を示した図である。
【図12】数値化の一例を示す図である。
【図13】(a)および(b)は、車速と切り替え周期との関係の一例を示す図である。
【図14】(a)は現況の雲画像の一例を示す図であって、(b)はその5分後の雲画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された道路交通情報案内システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す道路交通情報案内システム100は、ナビゲーションシステム1、VICS(登録商標)センタ2、プローブ情報収集センタ3、および情報センタ4を含んでいる。また、ナビゲーションシステム1、VICS(登録商標)センタ2、プローブ情報収集センタ3、および情報センタ4は、携帯電話網やネットワーク等の通信網を介して情報の送受信を可能なように各々接続されている。
【0038】
VICSセンタ2は、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、通行に要する時間を示す区間所要時間の情報(つまり、リンク旅行時間の情報)、事故や工事などによる通行止め等の交通障害の情報、通行止めや臨時規制などのなどの交通規制の情報等の道路交通情報を都道府県警察や道路管理者等から収集し、これらの道路交通情報を、ネットワークならびに道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して配信するものである。なお、VICSセンタ2としては、周知のVICSセンタを用いる構成とすればよい。また、このVICSセンタ2によって所定の区域毎の天候、雨雲の状態、気温等の天気情報や紫外線量の情報や日射量の情報なども配信される構成としてもよい。なお、道路交通情報は、請求項の運行方針関連情報に相当する。
【0039】
プローブ情報収集センタ3は、前述の道路交通情報を走行中のタクシー等の各車両から収集し、これらの道路交通情報を、ネットワークを介して配信するものである。なお、プローブ情報収集センタ3としては、周知のプローブ情報収集センタを用いる構成とすればよい。
【0040】
ナビゲーションシステム1は、自動車等の車両に搭載されるものである。なお、ナビゲーションシステム1を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。ナビゲーションシステム1は、一般的なナビゲーションシステムと同様の経路案内を行う機能を有している他に、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3や情報センタ4と通信網を介して通信を行う機能や後述する雲画像を生成・表示する機能を有している。
【0041】
ここで、図2を用いてナビゲーションシステム1の概略的な構成について説明を行う。図2は、ナビゲーションシステム1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにナビゲーションシステム1は、位置検出器11、地図データ入力器16、記憶媒体17、外部メモリ18、ナビ側通信装置19、VICS送受信機20、表示装置21、音声出力装置22、操作スイッチ群23、リモコン24、リモコンセンサ25、およびこれらと接続されたナビ側制御装置26を備えている。
【0042】
位置検出器11は、周知の地磁気センサ12、ジャイロスコープ13、車速センサ14、および衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機15を有している。これらのセンサ等12〜15は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、さらにステアリングの回転センサ等を用いてもよい。
【0043】
地図データ入力器16は、記憶媒体17が装着され、その記憶媒体17に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。地図データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンク方位、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。よって、リンクは請求項の道路区間に相当する。
【0044】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0045】
なお、地図データは、経緯線で地域を系統的に多数の正方形などに分割した所定の大きさのメッシュ(区画)をデータの更新等のための1単位としている。
【0046】
記憶媒体17には、各種施設の種類、名称、住所のデータなども記憶されており、それらのデータは経路探索の際の目的地設定などに用いられる。なお、記憶媒体17としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0047】
外部メモリ18は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置である。外部メモリ18には大量のデータや電源をOFFしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器16からコピーして利用したりする等の用途がある。また、外部メモリ18は、後述する道路交通情報データベース(DB)、予測DB、過去の走行履歴DB、雲画像表示情報履歴DB、候補リストDB等のデータベースを含む。
【0048】
ナビ側通信装置19は、通信網を介してプローブ情報収集センタ3や情報センタ4との間で通信を行うものである。詳しくは、プローブ情報収集センタ3との間では、プローブ情報収集センタ3から道路交通情報を受信したり、自車両の各センサで得た情報をプローブ情報収集センタ3へ送信したりする。また、情報センタ4との間では、情報センタ4から予測DBに格納されている情報である予測DB情報を受信したりする。なお、ナビ側通信装置19は、例えば車両に搭載されるDCM(data communication module)等のテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールを通じて通信網に接続する構成としてもよいし、例えばBluetooth(登録商標)等で接続した携帯電話機を通じて通信網に接続する構成としてもよい。なお、道路交通情報は、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報であることから、請求項の運行方針関連情報に相当する。
【0049】
VICS送受信機20は、ネットワークならびに道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタ2から配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じてナビゲーションシステム1側から外部(VICSセンタ2など)へ情報を送信したりする。
【0050】
表示装置21は、車両の走行を案内するための地図、目的地選択画面、および道路交通情報を示す後述する雲画像等を表示するものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。音声出力装置22は、スピーカ等から構成され、ナビ側制御装置26の指示に基づいて、経路案内時の案内音声などを出力する。
【0051】
操作スイッチ群23は、例えば表示装置21と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビ側制御装置26へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整、雲画像ON/OFF設定、雲画像種類変更等)の操作指示を行う。また、操作スイッチ群23は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでいる。そのスイッチを操作することによって、ユーザは、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0052】
リモコン24には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ25を介して各種指令信号をナビ側制御装置26に入力することにより、操作スイッチ群23と同じ機能をナビ側制御装置26に対して実行させることが可能である。
【0053】
ナビ側制御装置26は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ナビ側制御装置26は、位置検出器11、地図データ入力器16、外部メモリ18、ナビ側通信装置19、VICS送受信機20、操作スイッチ群23、リモコンセンサ25から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、地図表示更新処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)や雲画像の生成・表示に関連する処理(現況交通情報受信処理、雲画像表示情報生成処理、表示タイマ設定処理、描画処理等)などを実行する。
【0054】
例えば、経路探索実行処理においては、ナビ側制御装置26は、操作スイッチ群23、リモコンセンサ25から目的地が入力されると、自車両が通行し得る経路の中から、距離優先、時間優先等の予め設定された条件を満たす適切な移動経路(以下、案内経路と呼ぶ)を、公知のダイクストラ法を用いて探索する。
【0055】
また、ナビ側制御装置26は、位置検出器11で検出した自車両の現在位置と地図データ入力器16から得た地図データ等の情報とをもとに、自車両の現在位置を示すマークを表示装置21に表示させる地図上に重畳表示させる(つまり、地図画面上に重畳表示させる)。なお、ナビ側制御装置26は、経路探索実行処理によって得られた案内経路についても、地図画面上の当該案内経路に相当する移動経路の表示色を変化させるなどして表示させる。
【0056】
さらに、ナビ側制御装置26は、案内経路から自車両が外れた場合および操作スイッチ群23やリモコン24を介してユーザから再度の経路探索を要求する入力が行われた場合には、経路探索実行処理を再度行って、案内経路を再探索する。
【0057】
なお、本実施形態では、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から配信された道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両以外の車両から車車間通信によって送信されてくる道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成など、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3以外から配信された道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成としてもよい。
【0058】
図1に戻って、情報センタ4は、サーバから構成されており、ネットワークや携帯電話網等の通信網を介してナビゲーションシステム1と通信することが可能なものである。また、情報センタ4は、後述する予測DB情報をナビゲーションシステム1に配信するものである。なお、情報センタ4は、1つのサーバからなるものであってもよいし、複数のサーバからなっているものであってもよい。
【0059】
ここで、図3を用いて情報センタ4の概略的な構成について説明を行う。図3は、情報センタ4の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すように情報センタ4は、記憶装置41、センタ側通信装置42、およびこれらと接続されたセンタ側制御装置43を備えている。
【0060】
記憶装置41は、不揮発性の読み書き可能なメモリからなっており、予測DBを含んでいる。ここで言うところの予測DBとは、過去の道路交通情報を統計処理して得られたデータベースであって、各リンク(または各主要交差点区間)について、日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件別にリンク旅行時間、渋滞度等の道路交通情報、リンク方向、リンク方位、道路種別等の情報が対応付けられて格納されている。また、予測DBに格納されているこれらの情報を以下では予測DB情報と呼ぶ。なお、予測DB情報は請求項の統計情報に相当する。
【0061】
センタ側通信装置42は、ネットワークや携帯電話網等の通信網を介してナビゲーションシステム1と通信するものであって、前述の予測DB情報をナビゲーションシステム1に向けて配信する。
【0062】
センタ側制御装置43は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、センタ側制御装置43が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、センタ側制御装置43で各種処理を実行する。例えば、センタ側制御装置43は、記憶装置41に含まれる予測DBから必要に応じて予測DB情報を読み出し、センタ側通信装置42からナビゲーションシステム1に向けて配信させる。
【0063】
次に、図4を用いて、ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理についての説明を行う。図4は、ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。なお、図4のフローは、自車両のACC(アクセサリ)スイッチがオンされたときに開始される。また、以下では、道路交通情報のうちの渋滞度の情報を雲画像として表示させる場合を例に挙げて説明を行う。
【0064】
まず、ステップS1では、目的地がユーザ(例えば自車両のドライバ)によって設定されているか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、目的地がユーザによって設定されているか否かは、目的地を設定する指令信号の入力を操作スイッチ群23やリモコンセンサ25を介したリモコン24からナビ側制御装置26が受け付けたか否かによって判定するものとする。そして、目的地がユーザによって設定されている(つまり、目的地あり)と判定した場合(ステップS1でYes)には、ステップS2に移る。また、目的地がユーザによって設定されていない(つまり、目的地なし)と判定した場合(ステップS1でNo)には、ステップS3に移る。
【0065】
ステップS2では、出発地(ここでは自車両の現在位置)から目的地までの自車両の経路を探索する前述の経路探索実行処理をナビ側制御装置26が行う。そして、この経路探索実行処理において行われる自車両が通行し得る経路の網羅の過程を利用することによって、出発地から目的地までの経路として自車両が通行し得る経路(以下、通行候補経路と呼ぶ)をナビ側制御装置26が探索し、ステップS4に移る。
【0066】
また、ステップS3では、過去に自車両が通行した移動経路の履歴をもとに、自車両が通行し得る経路(つまり、通行候補経路)をナビ側制御装置26が予測することによって、通行候補経路を探索する予測経路探索処理を行い、ステップS4に移る。なお、過去に自車両が通行した移動経路の履歴については、外部メモリ18に含まれる過去の走行履歴DBからナビ側制御装置26が読み出して利用する。なお、予測経路探索処理については、例えば、自車両の現在位置を基点にして自車両が当該現在位置から過去に走行したことのある全ての経路を探索する構成としてもよい。また、過去に自車両が通行した移動経路の履歴と自車両の現在位置(または現在位置に至るまでの移動経路)とをもとにして自車両が頻繁に利用する移動経路を割り出して自車両の目的地を予測し、自車両の現在位置からその予測した目的地までの経路として自車両が通行し得る経路を探索する構成としてもよい。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の経路探索手段として機能する。
【0067】
そして、ステップS4では、進行方向ネットワーク生成処理を行って、ステップS5に移る。進行方向ネットワーク生成処理では、前述のステップS3またはステップS4で探索した通行候補経路を自車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を、例えば図5に模式的に示すように、ナビ側制御装置26が決定する。なお、図5は、通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向の一例を示す模式図である。図5中のAは地図上での自車両の現在位置を示し、図5中のBは地図上での自車両の目的地を示し、図5中のCは経路案内中の経路を示している。また、図5中の破線で囲った領域は表示装置21で実際に表示させる領域(以下、表示領域と呼ぶ)を示している。そして、図5中の矢印が示されているリンク(道路区間)が通行候補経路を示しており、矢印が示す方向が通行候補経路を自車両が通行する場合の進行方向を示している。
【0068】
なお、通行候補経路を自車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向は、自車両の現在位置と自車両の通行経路とが決まっていれば自ずと決まるので、自車両の現在位置と通行候補経路とからナビ側制御装置26が決定することができる。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の進行方向決定手段としても機能する。
【0069】
また、進行方向ネットワーク生成処理では、目的地が設定されていた場合には目的地に向けて自車両が通行し得る経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を決定する構成とすればよく、目的地が設定されていなかった場合には自車両の現在位置から離れていく方向に向けて自車両が通行し得る経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を決定する構成とすればよい。さらに、当該進行方向を決定する範囲としては、図5に示すように表示領域内に限定してもよいし、後述する表示情報生成領域内に限定してもよいし、それ以外の所定の範囲に限定してもよい。
【0070】
ステップS5では、地図表示更新処理を行って、ステップS6に移る。地図表示更新処理では、位置検出器11で自車両の現在位置を検出し、検出した自車両の現在位置に合わせて表示装置21に表示させる地図をナビ側制御装置26が更新させる。
【0071】
ステップS6では、雲画像を表示させるON設定がされているか、雲画像を表示させないOFF設定がされているかをナビ側制御装置26が判定する。なお、雲画像のON/OFF設定は、例えばユーザからの雲画像のON/OFFを指示する入力を受け付けた操作スイッチ群23やリモコン24からの操作指示に従ってナビ側制御装置26で行われるものとする。そして、ON設定がされていると判定した場合(ステップS6でYes)には、ステップS7に移る。また、OFF設定がされていると判定した場合(ステップS6でNo)には、フローを終了する。
【0072】
ステップS7では、案内経路から自車両が外れた場合や再度の経路探索が要求された場合などナビ側制御装置26での案内経路の再探索が必要である場合(ステップS7でYes)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。また、ナビ側制御装置26での案内経路の再探索が必要でない場合(ステップS7でNo)には、ステップS8に移る。
【0073】
ステップS8では、現況交通情報受信処理を行って、ステップS9に移る。現況交通情報受信処理では、ナビ側通信装置19やVICS送受信機20で現況の道路交通情報として現況の渋滞度の情報を受信する。ステップS9では、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報であるか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報であるか否かは、例えばVICSセンタ2などで道路交通情報を更新する度に付加されるバージョン番号や更新日時の情報等をもとにして判定する構成とすればよい。そして、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報である(つまり、更新あり)と判定した場合(ステップS9でYes)には、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報をナビ側制御装置26が取得し、ステップS10に移る。また、更新ありと判定しなかった場合(ステップS9でNo)には、ステップ5に戻ってフローを繰り返す。よって、ナビ側制御装置26は請求項の運行方針関連情報取得手段としても機能する。なお、ナビ側制御装置26は、現況の渋滞度の情報を取得するごとに外部メモリ18に含まれる道路交通情報DBに順次格納していく。よって、外部メモリ18は請求項の過去情報格納手段として機能する。また、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報は請求項の現況情報に相当する。
【0074】
ステップS10では、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報生成処理を行って、ステップS11に移る。ここで、図6のフローチャートを用いて、雲画像表示情報生成処理の概略について説明を行う。なお、図6は、雲画像表示情報生成処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、ステップS101では、表示情報生成範囲決定処理を行い、ステップS102に移る。表示情報生成範囲決定処理では、雲画像を表示させるための情報である雲画像表示情報の生成範囲(以下、表示情報生成領域と呼ぶ)を、自車両の現在位置と通行候補経路、および自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅に基づいてナビ側制御装置26が設定(決定)する。なお、雲画像表示情報は請求項の重畳表示用情報に相当し、表示情報生成領域は請求項の情報生成範囲に相当する。
【0076】
例えば、ナビ側制御装置26は、自車両の現在位置と通行候補経路とから、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の縦方向(例えば自車両の進行方向)に任意に決めた表示領域の枚数分(例えば表示領域2枚分など)の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。また、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の縦方向に例えば所定の期間(例えば5分など)の間に自車両が走行可能な距離分を合わせた範囲の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定の期間とは任意に設定可能な期間であって、例えば道路交通情報が更新される間隔としてもよい。また、所定の期間の間に自車両が走行可能な距離については、道路種別に応じて予め決めてある速度や地図データ中の道路区間の制限速度をもとにナビ側制御装置26で算出する構成とすればよい。
【0077】
さらに、表示領域の横方向(幅方向)については、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の横方向(例えば自車両の側面方向)に任意に決めた表示領域の枚数分(例えば表示領域1.5枚分など)の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。また、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の横方向に、自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分を合わせた範囲の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。
【0078】
ここで、図7(a)および図7(b)を用いて、表示情報生成領域の決定の具体例を示す。図7(a)は、表示情報生成領域を決定する方法を模式的に示した模式図である。また、図7(b)は、決定された表示情報生成領域を示す模式図である。なお、図7(a)中の網掛けした領域が表示領域を示しており、図7(b)中の網掛けした領域が表示情報生成領域を示している。さらに、図7(a)および図7(b)中のAが地図上での自車両の現在位置を示し、Bが地図上での自車両の目的地を示し、Cが経路案内中の経路を示している。また、図7(a)中のDは5分の間に自車両が走行可能な距離分の範囲を示しており、図7(a)中のEは自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分の範囲を示している。
【0079】
また、図7(a)および図7(b)に示す例では、図7(a)に示すように、5分の間に自車両が走行可能な距離分を表示領域の縦方向に合わせるとともに、自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分を合わせた範囲を表示情報生成領域として決定する。そして、図7(b)に示すように、表示情報生成領域として、地図画面上に実際に表示させる表示領域よりも広い範囲が設定される。
【0080】
これによれば、自車両の走行に合わせて地図表示更新処理が行われ、地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。従って、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0081】
ステップS102では、現況雲画像情報生成処理を行って、ステップS103に移る。現況雲画像情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路およびステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を考慮して(に基づいて)、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報を生成する。詳しくは、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報をもとに、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上の各リンクの、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向についての渋滞度の情報に絞って、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報を生成する。よって、ナビ側制御装置26は請求項の表示情報生成手段としても機能する。なお、雲画像表示情報を生成する範囲は、ステップS101の表示情報生成範囲決定処理で決定された表示情報生成領域の範囲である。
【0082】
また、雲画像表示情報の生成単位は、例えば前述したメッシュ単位とすればよい。つまり、雲画像表示情報は、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上の各リンクが含まれるメッシュの範囲について生成される。なお、雲画像表示情報の生成単位は、必ずしもメッシュ単位に限らず、任意の大きさの矩形単位であってもよい。また、雲画像表示情報の生成単位の形状は、矩形以外にも円形や点状などとする構成としてもよい。
【0083】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、渋滞度の情報の量的な度合いに応じて、色の要素のうちの色相の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する。一例としては、渋滞度が高い「渋滞」を赤色で示し、渋滞度が中程度の「混雑」を橙色で示し、渋滞度が低い「空き道」を青色で示すように半透過の画像の情報を生成する。なお、渋滞度の情報などの道路交通情報を示す半透過の画像を雲画像と呼ぶ。また、半透過の画像とするのは、地図画面上に重畳表示した場合に、半透過の画像よりも下層に位置する地図の画像が見えなくなってしまうことを防止するためである。
【0084】
なお、本実施形態では、色の要素のうちの色相の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成を一例として示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、色の要素のうちの明度や彩度の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成としてもよいし、色相、明度、彩度等を組み合わせた構成としてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、渋滞度の情報の量的な度合いを3段階に分ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、2段階に分ける構成としてもよいし、4段階以に分ける構成としてもよい。
【0086】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士が隣り合わせになる場合には、当該渋滞度の情報同士を統合して表示させるように雲画像表示情報を生成することが好ましい。例えば、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士を、一回りスケールの大きい雲画像表示情報の生成単位に統合して表示させるように雲画像表示情報を生成する構成としてもよいし、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士の雲画像表示情報の生成単位を繋ぎ合わせて表示させるように雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、ここで言うところの隣り合わせとは、隣接する場合であってもよいし、間に間隔をあけて並んでいる場合であってもよい。
【0087】
これによれば、量的な度合いが同一の隣り合わせの渋滞度の情報同士をそれぞれ個別に表示させる場合に比べて、細かな表示を抑えることが可能となり、ユーザにとっての見易さを向上させることが可能になる。
【0088】
また、雲画像表示情報生成処理では、渋滞度の情報を示す画像として、色の要素の度合いが異なる半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、図8に示すように、当該半透過の画像同士の境目がグラデーションで示されるように雲画像表示情報を生成することが好ましい。これによれば、渋滞度の偏りがどの方向に向かっているのかを、より直感的にユーザに示すことが可能になる。なお、図8は、半透過の画像同士の境目をグラデーションで示す場合の表示例を示す図である。
【0089】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上に、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在した場合には、当該リンクのその2通りの進行方向についての渋滞度の情報のうち、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とし、雲画像表示情報を生成する。
【0090】
ここで、図9を用いて、通行候補経路上に進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在する場合の例を示す。図9中のF、G、H、Iで示す点は通行候補経路上のノードを示しており、実線の矢印および破線の矢印は進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を示している。なお、図9の例では、実線の矢印で示した進行方向に従ってF、G、H、Iの順にリンクを繋ぐ通行候補経路と図中に破線の矢印で示した進行方向に従ってF、H、G、Iの順にリンクを繋ぐ通行候補経路とが存在するものとする。
【0091】
図9に示す例では、GのノードとHのノードとの間のリンクについて、進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向が2通り存在する。雲画像表示情報生成処理では、このような場合に、実線の矢印で示した進行方向についての渋滞度の情報と破線の矢印で示した進行方向についての渋滞度の情報とのうち、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とすることになる。
【0092】
これによれば、当該リンクの渋滞度を実際よりも高く表示することはあっても、低く表示することがなくなるので、誤った表示によってユーザを渋滞度の高い道路区間に誘導してしまう可能性を低減することができる。
【0093】
なお、2通りの進行方向についての一方が、例えば目的地への最短経路上の自車両の進行方向である場合など、目的地の位置などから明らかに2通りの進行方向についての一方が優先される場合には、その優先される進行方向についての渋滞度の情報を当該リンクの渋滞度とする構成としてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、当該リンクのその2通りの進行方向についてのそれぞれの渋滞度の情報の量的な度合いを平均して得られた渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。また、量的な度合いがより低い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0095】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上に、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向についての渋滞度の情報が、ナビ側制御装置26で取得されていなかった(つまり、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から得られなかった)リンクである未情報リンクが存在した場合には、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とし、雲画像表示情報を生成する。なお、未情報リンクは請求項の未情報道路区間に相当する。また、ここで言うところの所定の範囲とは、任意に設定可能な範囲であって、例えば半径数十メートル等に設定してもよい。
【0096】
例えば、渋滞度の情報などの道路交通情報は、並行する近辺の道路区間同士や基点を同じくする近辺の道路区間同士であって、車両の流れがお互い繋がっている道路区間同士では渋滞度が似通っている場合が多い。よって、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均することによって、当該未情報リンクの実際の渋滞度に沿った渋滞度の情報を得ることができる可能性が高く、より正確な渋滞度の情報を示す雲画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0097】
なお、本実施形態では、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報であって量的な度合いが最も高い渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。この構成によっても、より正確な渋滞度の情報を示す雲画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。また、量的な度合いが最も低い渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0098】
以上の構成によれば、未情報リンクについての渋滞度の情報を推定することができ、渋滞度が似通っているエリアについては、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士が繋ぎ合わせていくことによって、一回りスケールの大きい雲画像表示情報の生成単位に統合して表示させることができる。従って、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から渋滞度の情報が得られない箇所についても、渋滞度の似通ったエリアを塊として表現することによって、より正確な渋滞度をユーザに示すことが可能になる。
【0099】
また、雲画像表示情報生成処理では、雲画像表示情報の生成単位内に、量的な度合いの異なる複数種類の渋滞度の情報が混在することになった場合には、これら複数種類の渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよいし、これら複数種類の渋滞度の情報のうちで量的な度合いが最も高い渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよいし、これら複数種類の渋滞度の情報のうちで量的な度合いが最も低い渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0100】
雲画像表示情報生成処理によって、以上に説明したように、通行候補経路上の自車両の進行方向を加味するとともに、当該通行候補経路の周辺の渋滞度の情報までも統計処理し、例えば図10に示すような雲画像を表示させる雲画像表示情報が生成される。なお、図10は、道路交通情報のうちの渋滞度の情報を現況の雲画像として表示させた場合の表示の一例を示した図である。図10の例では、渋滞度の情報を渋滞度が高い「渋滞」と渋滞度が中程度の「混雑」との2段階で示しているとともに、「渋滞」を「混雑」よりも低い明度で示している。また、図10中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。
【0101】
なお、本実施形態では道路交通情報のうちの渋滞度の情報を雲画像として表示させる場合を例に挙げて説明したが、道路交通情報のうちの区間所要時間の情報を雲画像として表示させる場合には、渋滞度の情報を区間所要時間の情報に置き換えた前述の雲画像表示情報生成処理によって、雲画像表示情報の生成単位分の領域を抜けるために必要な時間に応じて、色の要素の度合いを変化させた区間所要時間の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成とすればよい。一例としては、通過に要する時間が5分未満の場合には青色で示し、通過に要する時間が5分以上10分未満の場合には紺色で示し、通過に要する時間が10分以上30分未満の場合には赤色で示すように半透過の画像の情報を生成する構成とすればよい。
【0102】
また、道路交通情報のうちの区間所要時間の情報を雲画像として表示させる場合には、図11に示すように、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、図11は、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像の表示の一例を示した図である。図11の例では、自車両が現在位置から「15分」で到達できる範囲、「20分」で到達できる範囲、「30分」で到達できる範囲の3段階で示しているとともに、「15分」で到達できる範囲、「20分」で到達できる範囲、「30分」で到達できる範囲の順に低い明度で示している。また、図11中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。なお、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲は、雲画像表示情報の生成単位分の領域を抜けるために必要な時間を足し合わせていくことによってナビ側制御装置26が算出する構成とすればよい。
【0103】
なお、渋滞度の情報を区間所要時間の情報に置き換えて前述の雲画像表示情報生成処理
を行う場合には、雲画像表示情報の生成単位を跨ぐリンクについての区間所要時間(つまり、リンク旅行時間)の各生成単位への配分は、当該リンクについてリンク旅行時間の情報が存在する距離が判明している場合は、当該リンクの終点から当該各生成単位同士の境目までの距離を求め、リンク旅行時間をこれらの距離の比率に応じて割り当てる構成としてもよい。また、リンク全体にのみリンク旅行時間が割り当てられている場合は、各生成単位にかかっているリンクの距離に応じてリンク旅行時間を按分する構成としてもよいし、リンクの退出方向の生成単位に全てのリンク旅行時間を割り当てる構成としてもよい。
【0104】
また、ナビ側制御装置26は、生成した雲画像表示情報を外部メモリ18に含まれる雲画像表示情報履歴DBに保存する。なお、ナビ側制御装置26は、雲画像表示情報を生成するごとに雲画像表示情報履歴DBに順次格納していく。よって、雲画像表示情報履歴DBには、過去に生成された雲画像表示情報が蓄積されていくことになる。よって、外部メモリ18は、請求項の重畳表示用情報格納手段としても機能する。なお、雲画像表示情報履歴DBでは、格納された雲画像表示情報の量が一定量を超えた場合に、古いものから消去する構成としてもよい。
【0105】
図6に戻って、ステップS103では、切り出し処理を行ってステップS104に移る。切り出し処理では、ステップS102で生成した雲画像表示情報のうちの表示領域に該当する範囲の切り出しをナビ側制御装置26が行う。
【0106】
ステップS104では、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って当該雲画像表示情報を図12に示す一例のように数値化し、ステップS105に移る。なお、数値化処理において、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報の数値化は、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて行われる。具体例としては、「渋滞」は2で示し、「混雑」は1で示し、それ以外は0で示すなどする。なお、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報が請求項の現況重畳表示用情報に相当する。
【0107】
ステップS105では、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の記憶装置41に含まれる予測DBからナビ側制御装置26が取得する。なお、ここで言うところの同条件とは、当該現況の渋滞度の情報に対応付けられている日時に関する情報(例えば更新日時)に対して日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件が一致することを示す。例えば、日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件にそれぞれ優先順位をつけておき、優先順位の高いものから順に当該現況の渋滞度の情報と同条件のものがあるかを調べ、一致しない場合に多段階でこれらの条件を変えてゆく構成とすればよい。そして、当該現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報が存在する(つまり、候補がある)場合(ステップS105でYes)には、ステップS106に移る。また、現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報が存在しない(つまり、候補がない)場合(ステップS105でNo)には、ステップS117に移る。
【0108】
ステップS106では、当該現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報のうち、表示領域の範囲の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS107に移る。ステップS107では、ステップS106で取得した予測DB情報をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行って、予測DB情報をもとにした雲画像表示情報(以下、予測雲画像表示情報と呼ぶ)をナビ側制御装置26が生成し、ステップS108に移る。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の統計情報取得手段としても機能する。なお、予測雲画像表示情報が請求項の予測重畳表示用情報に相当する。
【0109】
ステップS108では、ステップS107で生成した予測雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って当該予測雲画像表示情報を数値化し、ステップS109に移る。なお、ここでの数値化処理でも、ステップS104の数値化処理と同様に、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて数値化が行われる。ステップS109では、ステップS104で数値化したデータとステップS108で数値化したデータとについて、比較処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS110に移る。比較処理では、同一の雲画像表示情報の生成単位の領域について、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報を数値化したデータと予測雲画像表示情報を数値化したデータとを比較し、どれだけの割合で一致しているかを算出する。
【0110】
ステップS110では、ステップS109で算出した割合が所定の閾値(本実施形態では、例えば80%とする)以上であるか否かをナビ側制御装置26が判定する。そして、80%以上であると判定した場合(ステップS110でYes)には、渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているものとしてステップS111に移る。また、80%以上であると判定しなかった場合(ステップS110でNo)には、ステップS105に戻ってフローを繰り返す。なお、ステップS105に戻ってフローを繰り返す場合には、現況の渋滞度の情報と同条件の新たな予測DB情報を、全ての条件について検討し終えるまで繰り返す(つまり、検索する)ことになる。
【0111】
ステップS111では、現況の雲画像表示情報から所定の時間遡った過去の雲画像情報(本実施形態では、例えば5分前の雲画像表示情報とする)を雲画像表示情報履歴DBからナビ側制御装置26が読み出し、ステップS112に移る。ステップS112では、ステップS106で取得した予測DB情報から当該所定の時間(つまり、5分前)遡った過去の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS113に移る。
【0112】
ステップS113では、ステップS112で取得した予測DB情報(以下、5分前の予測DB情報と呼ぶ)をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行って、5分前の予測DB情報をもとにした雲画像表示情報(以下、5分前の予測雲画像表示情報と呼ぶ)をナビ側制御装置26が生成し、ステップS114に移る。
【0113】
ステップS114では、ステップS111で読み出した5分前の雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って図12に示す一例のように数値化するとともに、ステップS113で生成した5分前の予測雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って数値化し、ステップS115に移る。なお、ここでの数値化処理でも、前述の数値化処理と同様に、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて数値化が行われる。
【0114】
ステップS115では、ステップS114で数値化した5分前の雲画像表示情報を数値化したデータと5分前の予測雲画像表示情報を数値化したデータとについて、比較処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS116に移る。比較処理では、同一の雲画像表示情報の生成単位の領域について、当該5分前の雲画像表示情報を数値化したデータと当該5分前の予測雲画像表示情報を数値化したデータとを比較し、どれだけの割合で一致しているかを算出する。
【0115】
ステップS116では、ステップS115で算出した割合(つまり、一致率)とステップS112で取得した予測DB情報とを対応付けて、外部メモリ18に含まれる候補リストDBにナビ側制御装置26が保存し、ステップS105に戻ってフローを繰り返す。なお、ステップS105に戻ってフローを繰り返すことによって、現況の渋滞度の情報と同条件の新たな予測DB情報を全ての条件について検討し、可能な限り多くの、現況に似通った予測DB情報の候補を候補リストDBに保存することができる。
【0116】
そして、ステップS117では、候補リストDBに保存された予測DB情報の中から、ステップS115で算出した一致率が最も高かったものを、渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているものとしてナビ側制御装置26が選択し、ステップS11に移る。
【0117】
以上の構成によれば、現況について渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているかを判定するので、将来の渋滞度の情報の分布により近い雲画像表示情報について、より正確に推定することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態では、扱うデータ量を減らして処理を高速化するために表示領域に絞って数値化処理や比較処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、前述の表示情報生成領域に絞って数値化処理や比較処理を行う構成としてもよい。
【0119】
なお、本実施形態では、ステップS115で算出した一致率が最も高かった予測DB情報をナビ側制御装置26が選択してステップS11に移る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、数値化処理や比較処理を行わず、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報と日時の条件が合致する予測DB情報をナビ側制御装置26が選択してステップS11に移る構成としてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、現況についてと現況から遡った過去についてとの2段階に分けて比較処理を行う構成(つまり、ステップS109とステップS115)を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現況の渋滞度の情報をもとに生成される雲画像表示情報と予測DB情報をもとに生成される雲画像表示情報とのそれぞれについて、現況のデータと現況から遡った過去のデータとの差分をとっておき、この差分同士を比較して例えば差分同士の差が所定の閾値以内であるか否かによって渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているかを判定する構成としてもよい。これによれば、比較に用いるデータ量を抑えることができるので、処理を高速化することが可能になる。
【0121】
図4に戻って、ステップS11では、ステップS117で選択した予測DB情報に時間的に前後する予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS12に移る。また、本実施形態では、一例として、ステップS117で選択した予測DB情報の5分後の予測DB情報と10分後の予測DB情報とを取得するものとして以降の説明を続ける。なお、ステップS117で選択した予測DB情報から時間的に進んだ予測DB情報を取得するだけでなく、ステップS117で選択した予測DB情報から時間的に遡った予測DB情報を取得する構成としてもよい。
【0122】
ステップS12では、ステップS11で取得した予測DB情報をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行ってナビ側制御装置26が予測雲画像表示情報を生成し、ステップS13に移る。本実施形態の例では、5分後の予測雲画像表示情報と10分後の予測雲画像表示情報をナビ側制御装置26が生成する。なお、予測雲画像表示情報を生成する範囲は、ステップS101の表示情報生成範囲決定処理で決定された表示情報生成領域の範囲である。
【0123】
ステップS13では、車速センサ14で検出した自車両の現在の速度(つまり、車速)をナビ側制御装置26が取得し、ステップS14に移る。ステップS14では、ステップS13で取得した車速をもとに表示タイマ設定処理を行う。表示タイマ設定処理では、ステップS13で取得した車速に応じて、後述する時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像を時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期(以下、切り替え周期と呼ぶ)をナビ側制御装置26が変更して設定する。なお、本実施形態の例では、時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像として、ステップS102で生成した雲画像表示情報(つまり、現況の雲画像表示情報)に従った現況の雲画像と、5分後の予測雲画像表示情報に従った5分後の雲画像と、10分後の予測雲画像表示情報に従った10分後の雲画像と、を時系列に沿って順番に複数サイクルにわたって表示させるものとする。
【0124】
表示タイマ設定処理の一例としては、車速が5km/h未満の場合には、ユーザ(つまり、ドライバ)が危険を伴わずに表示装置21の画面を注視することが可能な時間内に2サイクル以上表示を行うことができる切り替え周期を設定する。そして、車速が5km/h以上の場合には、車速が5km/h未満の場合の切り替え周期よりも長い周期となるように設定する。
【0125】
例えば、車速が速くなるほど、表示装置21の画面をユーザが注視できる余裕が少なくなるが、以上の構成によれば、車速が速くなるのに応じて切り替え周期を長くする(つまり、切り替えを遅くする)ことによって、ユーザの周辺視によっても雲画像を認識し易くなるようにし、雲画像の頻繁な注視によってユーザの意識が散漫とならないようにすることが可能になる。
【0126】
また、本実施形態では、車速が5km/h未満の場合と車速が5km/h以上の場合との2段階の車速に応じて切り替え周期を変更する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図13(a)に示すように、車速が速くなるごとに切り替え周期をリニアに長く設定していく構成としてもよい。また、図13(b)に示すように、車速が一定値以上速くなるごとに切り替え周期を多段階に長く設定していく構成としてもよい。なお、図13(a)および図13(b)は、車速と切り替え周期との関係の一例を示す図であって、縦軸が切り替え周期を表しており、横軸が車速を表している。
【0127】
ステップS15では、現況の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる現況の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS16に移る。ステップS16では、5分後の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる5分後の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS17に移る。ステップS17では、10分後の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる10分後の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS18に移る。なお、描画処理自体は、表示装置21に画像を表示させる周知の処理とすればよい。
【0128】
また、ステップS15の描画処理によって表示される現況の雲画像、ステップS16の描画処理によって表示される5分後の雲画像、およびステップS17の描画処理によって表示される10分後の雲画像(つまり、時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像)を、ステップS14の表示タイマ設定処理で設定された切り替え周期に従った周期で、ナビ側時系列に沿って順番に表示装置21にナビ側制御装置26が表示させる。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の表示制御手段としても機能する。なお、表示を切り替える周期についてはナビ側制御装置26に備えられた図示しないタイマ等によってカウントする構成とすればよい。
【0129】
以上の構成によれば、時間の経過に従った渋滞度の情報の量的な度合いの分布の変化をユーザに示すことが可能になる。ここで、図14(a)および図14(b)を用いて具体例を示す。図14(a)は現況の雲画像の一例を示す図であって、図14(b)はその5分後の雲画像の一例を示す図である。なお、図14(a)および図14(b)の図中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。本例においては、図14(a)に示す現況の雲画像に続いて図14(b)の5分後の雲画像を表示させることになるので、ユーザは現況から5分後にかけての渋滞度の分布の変化をもとに、今後の渋滞箇所の移動傾向を把握することが可能になる。よって、渋滞がユーザの運転する車両に対して近づいてきているのか、遠ざかっていっているのかをユーザが判別し易くなる。
【0130】
また、ステップS18では、一定時間が経過したか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、ここで言うところの一定時間とは任意に設定可能な時間であって、例えば数十秒程度とする構成としてもよい。そして、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS18でYes)には、ステップS5に戻ってフローを繰り返す。また、一定時間が経過したと判定しなかった場合(ステップS18でNo)には、ステップS13に戻ってフローを繰り返し、時系列に沿った雲画像のサイクル表示を続行する。
【0131】
以上の構成によれば、自車両が走行する可能性の低い道路区間や自車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての渋滞度の情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、自車両の運行方針に影響を与える現象に対する自車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。よって、ナビゲーションシステム1は請求項のナビゲーション装置に相当する。
【0132】
なお、ナビ側制御装置26は、ステップS118で選択した予測DB情報に対応付けられている一致率をもとに、5分後、10分後の雲画像等の将来を予測した雲画像の予想的中の確率の表示を表示装置21に行わせる構成としてもよい。例えば、ステップS118で選択した予測DB情報に対応付けられている一致率を、将来を予測した雲画像の予想的中の確率として表示させる構成としてもよい。
【0133】
また、本実施形態では、情報センタ4の記憶装置41に予測DBが含まれる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーションシステム1の外部メモリ18などのメモリに予測DBを保持し、この外部メモリ18などから予測DB情報をナビ側制御装置26が取得して利用する構成としてもよい。よって、外部メモリ18は、請求項の統計情報格納手段としても機能する。
【0134】
なお、本実施形態では、5分後の予測雲画像表示情報や10分後の予測雲画像表示情報など、所定の時間後の予測雲画像表示情報をナビ側制御装置26が生成する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ステップS9で更新ありと判定されるごと(つまり、現況の渋滞度の情報が更新されるごと)の予測雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。
【0135】
また、本実施形態では、時系列に沿った雲画像のサイクル表示を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現況の雲画像のみを表示させる構成としてもよい。この場合であっても、自車両が走行する可能性の低い道路区間や自車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての渋滞度の情報の地図画面上への表示を省略することが可能なので、自車両の運行方針に影響を与える現象に対する自車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0136】
さらに、本実施形態では、現況の雲画像を表示させる場合に、ナビ側通信装置19やVICS送受信機20で受信した現況の渋滞度の情報をもとに現況の雲画像表示情報を生成する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報に含まれる渋滞度の情報を現況の渋滞度の情報とナビ側制御装置26が推定し、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報を予測DBからナビ側制御装置26が取得し、この現在の日時と同じ日時についての予測DB情報をもとに雲画像表示情報生成処理を行って現況の雲画像を表示させるための雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報に含まれる渋滞度の情報が請求項の推定情報に相当する。
【0137】
また、本実施形態では、ナビゲーションシステム1がVICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から道路交通情報を受信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車車間通信によって自車両以外の車両から道路交通情報を受信する構成としてもよい。
【0138】
なお、本実施形態では、ナビゲーションシステム1のナビ側制御装置26で雲画像表示情報生成処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、情報センタ4のセンタ側制御装置43で雲画像表示情報生成処理を行う構成としてもよい。この場合には、ナビゲーションシステム1のナビ側通信装置19から、自車両の現在位置、自車両の進行方向、目的地、案内経路など、自車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を情報センタ4に送信し、これらの情報を情報センタ4のセンタ側通信装置42で受信し、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理に利用する構成とすればよい。よって、センタ側通信装置42は請求項の通信手段として機能する。なお、また、情報センタ4の記憶装置41に地図データ等を保持し、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理に利用する構成とすればよい。また、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理で生成した雲画像表示情報をセンタ側通信装置42からナビゲーションシステム1に送信し、ナビゲーションシステム1で雲画像表示情報に従った雲画像を表示させる構成とすればよい。
【0139】
また、本実施形態では、渋滞度の情報や区間所要時間の情報などの道路交通情報をもとに雲画像表示情報生成処理を行って、地図画面上に重畳して雲画像を表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、紫外線量の情報や日射量の情報や日の出による日光の当たる範囲の情報や雨雲の情報や気温の情報や信号機の点灯色(青色、赤色、黄色)の情報等の、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報も同様にして雲画像表示情報生成処理を行って、地図画面上に重畳して雲画像を表示させることが可能である。
【0140】
さらに、津波の情報や緊急車両の位置の情報等の、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報については、量的な度合いを考慮せずに雲画像表示情報生成処理と同様の処理を行って、地図画面上に雲画像を表示させることが可能である。
【0141】
なお、津波の情報や緊急車両の位置の情報など、必ずしも下層に位置する地図の画像が見えるようになっている必要がない情報の場合には、雲画像を半透過の画像としない構成としてもよい。
【0142】
また、操作スイッチ群23やリモコン24の操作指示に従って、以上に述べた複数の種類の雲画像の表示を切り替えることができる構成としてもよい。
【0143】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
1 ナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)、2 VICSセンタ、3 プローブ情報収集センタ、4 情報センタ、11 位置検出器、12 地磁気センサ、13 ジャイロスコープ、14 車速センサ、15 GPS受信機、16 地図データ入力器、17 記憶媒体、18 外部メモリ(過去情報格納手段、重畳表示用情報格納手段、統計情報格納手段)、19 ナビ側通信装置、20 VICS送受信機、21 表示装置、22 音声出力装置、23 操作スイッチ群、24 リモコン、25 リモコンセンサ、26 ナビ側制御装置(経路探索手段、進行方向決定手段、運行方針関連情報取得手段、表示情報生成手段、統計情報取得手段、表示制御手段)、41 記憶装置、42 センタ側通信装置(通信手段)、43 センタ側制御装置(経路探索手段、進行方向決定手段、運行方針関連情報取得手段、表示情報生成手段、統計情報取得手段)、100 道路交通情報案内システム(案内システム)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画面上に表示させる情報を生成するナビゲーション装置、情報センタ、および案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザを所定の目的地まで誘導したり、任意の地図を表示させたりする装置として、ナビゲーション装置が知られている。一般的に、上記ナビゲーション装置では、車両等の進行速度、進行方向、および現在位置情報等を用いて、CD−ROM等の記録媒体から地図情報を読み出し、現在位置付近の地図を液晶モニタ等によって表示させるとともに、所定の出発地から所定の目的地までの案内経路を算出し、地図画面上に現在位置と案内経路との表示を行っている。また、近年では、特許文献1〜3に開示されているように、渋滞度などの道路交通情報も地図画面上に表示する技術が知られてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−234649号公報
【特許文献2】特開2006−162323号公報
【特許文献3】国際公開第06/001414号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に開示の技術では、ある地域の交通状況等を単に統計で平均化するなどして道路交通情報を生成して地図画面上に表示することになるため、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間の渋滞の度合い(つまり、渋滞度)といった道路交通情報までも表示することになり、当該車両の運行にとって関係のある渋滞か否かを判別することが難しい。
【0005】
また、同一の道路区間であっても進行方向によっては渋滞度が大きく異なる場合などに、特許文献1〜3に開示の技術では、ユーザの運転する車両が走行する方向については渋滞していない場合であっても渋滞度を高く表示してしまい、ユーザに誤った道路交通情報を提供してしまう状況が頻発し得る。
【0006】
つまり、特許文献1〜3に開示の技術では、渋滞度等のユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況を把握しにくいという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることを可能にするナビゲーション装置、情報センタ、および案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のナビゲーション装置によれば、車両が通行し得る経路である通行候補経路と当該通行候補経路中の各道路区間における車両の進行方向とを考慮して、運行方針関連情報(つまり、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報)を示す画像の情報を生成して地図画面上に重畳して表示させるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、請求項1の構成によれば、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0009】
また、運行方針関連情報を地図画面上に重畳して表示させる場合に地図自体の表示を見えなくしてしまわないよう、請求項2のように、重畳表示用情報として運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することが好ましい。
【0010】
また、請求項3のように、運行方針関連情報は、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報であって、表示情報生成手段が、重畳表示用情報として、運行方針関連情報の量的な度合いに応じて運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成する態様としてもよい。これによれば、運行方針関連情報に量的な度合いの違いが存在する場合に、運行方針関連情報の量的な度合いごとの分布を地図画面上で表現することが可能になる。
【0011】
また、請求項4の構成のように、運行方針関連情報の量的な度合いを、色相、明度、および彩度の色の要素のうちの少なくともいずれかの度合いで表現する態様としてもよい。
【0012】
また、請求項5の構成によれば、ユーザの運転する車両が走行する可能性のある道路区間上の、当該車両が走行する可能性のある方向についての運行方針関連情報に絞って地図画面上に表示させることが可能になるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することができる。よって、請求項5の構成によれば,ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることができる。
【0013】
また、請求項6の構成によれば、通行候補経路上に、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についての運行方針関連情報のうち、量的な度合いがより高い方の運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、重畳表示用情報を生成するので、当該道路区間について運行方針関連情報の量的な度合いを低く表示することがなくなる。例えば、運行方針関連情報が渋滞の度合いを示す渋滞度の情報であった場合には、当該道路区間の渋滞度を実際よりも高く表示することはあっても、低く表示することがなくなるので、誤った表示によってユーザを渋滞度の高い道路区間に誘導してしまう可能性を低減することができる。
【0014】
また、請求項7のように、表示情報生成手段が、通行候補経路上に進行方向決定手段で決定した車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合に、当該道路区間のその2通りの進行方向についてのそれぞれの運行方針関連情報の量的な度合いを平均して得られた運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、重畳表示用情報を生成する態様としてもよい。
【0015】
また、請求項8の構成によれば、量的な度合いが同一の運行方針関連情報同士が隣り合わせになる場合には、当該運行方針関連情報同士を統合して表示させるので、量的な度合いが同一の隣り合わせの運行方針関連情報同士をそれぞれ個別に表示させる場合に比べて、細かな表示を抑えることが可能となり、ユーザにとっての見易さを向上させることが可能になる。
【0016】
また、請求項9の構成によれば、運行方針関連情報を示す画像として、色の要素の度合いが異なる半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、当該半透過の画像同士の境目をグラデーションで示すことになるので、運行方針関連情報の量的な度合いの偏りがどの方向に向かっているのかを、より直感的にユーザに示すことが可能になる。
【0017】
また、請求項10の構成によれば、車両の現在位置と通行候補経路、および車両の進行方向に対する車両の進路の振れ幅のうちの少なくともいずれかに基づいて、重畳表示用情報を生成する範囲である情報生成範囲を設定するので、車両の今後の動きを想定した上で、地図画面上に実際に表示させる範囲よりも幅のある重畳表示用情報を生成することが可能になる。よって、請求項10の構成によれば、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。従って、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0018】
また、請求項11の構成によれば、車両の現在位置と通行候補経路とに基づいて情報生成範囲を設定する場合に、所定の期間の間に車両が走行可能な距離を考慮して、情報生成範囲を設定するので、当該所定の期間の間の車両の今後の動きを想定した上で、地図画面上に実際に表示させる範囲よりも幅のある重畳表示用情報を生成することができる。例えば、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新する間隔を当該所定の期間とすれば、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新するときまでの車両の今後の動きを想定した上で、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。よって、地図画面上に表示させる運行方針関連情報を更新するときまでの車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0019】
また、請求項12のように、経路探索手段が、車両が出発地から目的地に到達できる移動経路として取り得る経路を探索することによって、通行候補経路を探索する態様としてもよい。
【0020】
また、請求項13のように、経路探索手段が、過去に車両が通行した移動経路の履歴をもとに、車両が通行し得る経路を予測することによって、通行候補経路を探索する態様としてもよい。
【0021】
また、請求項14のように、運行方針関連情報取得手段で取得する運行方針関連情報は、現況の運行方針関連情報である現況情報と過去の運行方針関連情報が統計処理された情報である統計情報をもとに推定された運行方針関連情報である推定情報とのうちの少なくともいずれかである態様としてもよい。
【0022】
また、請求項15のように、運行方針関連情報が、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、および通行に要する時間を示す区間所要時間の情報のうちのいずれかの道路交通情報である態様としてもよい。
【0023】
ここで、請求項16の構成によれば、通行候補経路上に、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合に、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報の量的な度合いを平均して得られた道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とすることになる。
【0024】
なお、例えば渋滞度の情報などの道路交通情報は、並行する近辺の道路区間同士や基点を同じくする近辺の道路区間同士であって、車両の流れがお互い繋がっている道路区間同士では量的な度合い(渋滞度の情報の場合には渋滞度)が似通っている場合が多い。よって、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報の量的な度合いを平均することによって、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性は高い。
【0025】
よって、請求項16の構成によれば、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性が高いので、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての運行方針関連情報としての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合であっても、より正確な運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0026】
また、請求項17の構成によっても、当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての道路交通情報であって量的な度合いが最も高い道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とすることによって、当該未情報道路区間の道路交通情報に似通った道路交通情報を得ることができる可能性は高い。よって、請求項17の構成によれば、進行方向決定手段で決定した車両の進行方向についての運行方針関連情報としての道路交通情報が運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった未情報道路区間が存在した場合であっても、より正確な運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0027】
また、請求項18の構成によれば、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させるので、時間の経過に従った運行方針関連情報の分布の変化をユーザに示すことが可能になる。よって、ユーザの運転する車両に対して運行方針関連情報が今後どう関わってくるのかが判別し易くなる。例えば、運行方針関連情報を渋滞度の情報とした場合には、渋滞がユーザの運転する車両に対して近づいてきているのか、遠ざかっていっているのかをユーザが判別し易くなる。その結果、請求項18の構成によれば、運行方針関連情報に対する当該車両の状況をユーザがさらに把握し易くなる。
【0028】
また、請求項19のように、運行方針関連情報取得手段で取得した現況情報をもとに重畳表示用情報を生成するとともに、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに重畳表示用情報を生成し、当該現況情報をもとに生成された重畳表示用情報である現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した、統計情報をもとに生成された重畳表示用情報である予測重畳表示用情報を検索するとともに、当該現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合には、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することによって、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報を生成する態様とすればよい。
【0029】
また、請求項20の構成によれば、請求項19の構成に加え、前述の検索で得られた予測重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の予測重畳表示用情報を、統計情報取得手段で取得した統計情報をもとに生成し、前述の現況重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の重畳表示用情報と当該過去の予測重畳表示用情報との分布の傾向が類似するか否かを判定して、類似すると判定した場合に、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することになる。つまり、現況について分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても分布の傾向が類似している場合に、検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することになる。よって、現況について分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても分布の傾向が類似しているかを判定することによって、将来の現況重畳表示用情報をより正確に推定することが可能となる。
【0030】
また、請求項21の構成によれば、車両の速度に応じて、時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期を変更するので、車両の速度の変化によって運行方針関連情報を示す画像をユーザが注視できる状況が変化した場合であっても、この状況の変化に合わせて、適切な表示の切り替えの周期に変更することが可能になる。例えば、車両の速度が速くなるほど、運行方針関連情報を示す画像をユーザが注視できる余裕が少なくなるが、車両の速度が速くなるのに応じて表示の切り替えの周期を長くする(つまり、切り替えを遅くする)ことによって、運行方針関連情報を示す画像を周辺視によって認識し易くし、運行方針関連情報を示す画像の頻繁な注視によってユーザの意識が散漫とならないようにすることが可能になる。
【0031】
また、請求項22の構成によれば、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報として、運行方針関連情報取得手段で一定の期間ごとに新たな運行方針関連情報を取得するときの、この一定の期間ごとの重畳表示用情報を生成するので、運行方針関連情報取得手段で一定の期間ごとに取得する各運行方針関連情報をもとに生成した重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることが可能になる。よって、例えば一定の期間ごとに取得する新たな運行方針関連情報によって運行方針関連情報の更新が行われるとした場合には、更新によって新たに得られた運行方針関連情報ごとに生成した重畳表示用情報に従った運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることが可能になる。
【0032】
また、請求項23のように、統計情報を格納する統計情報格納手段をさらに備え、統計情報取得手段が、統計情報格納手段から統計情報を取得する態様としてもよい。これによれば、車両外などから統計情報を取得したりしなくてもよいので、車両外などから統計情報を取得するための装置(例えば通信装置など)を備えるコストがかからない。
【0033】
また、請求項24のように、統計情報取得手段が、統計情報を格納する車両外の情報センタから統計情報を取得する態様としてもよい。これによれば、多量の統計情報が存在した場合であっても、ナビゲーション装置側でこの多量の統計情報を保持するメモリ容量を確保する必要がないので、ナビゲーション装置側のメモリ容量を節約することができる。
【0034】
また、請求項25の情報センタによっても、車両が通行し得る経路である通行候補経路と当該通行候補経路中の各道路区間における車両の進行方向とを考慮して、運行方針関連情報(つまり、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報)を示す画像の情報を生成してナビゲーション装置において地図画面上に重畳して表示させるので、ユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間やユーザの運転する車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての運行方針関連情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、請求項25の構成によっても、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0035】
また、請求項26の案内システムによれば、ユーザの運転する車両の経路の情報および車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置と、請求項25の情報センタと、を含むので、前述したのと同様に、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える現象に対する当該車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】道路交通情報案内システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステム1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】情報センタ4の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図5】通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向の一例を示す模式図である。
【図6】雲画像表示情報生成処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図7】(a)は表示情報生成領域を決定する方法を模式的に示した模式図であって、(b)は決定された表示情報生成領域を示す模式図である。
【図8】半透過の画像同士の境目をグラデーションで示す場合の表示例を示す図である。
【図9】通行候補経路上に進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在する場合の例を示す模式図である。
【図10】道路交通情報のうちの渋滞度の情報を現況の雲画像として表示させた場合の表示の一例を示した図である。
【図11】自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像の表示の一例を示した図である。
【図12】数値化の一例を示す図である。
【図13】(a)および(b)は、車速と切り替え周期との関係の一例を示す図である。
【図14】(a)は現況の雲画像の一例を示す図であって、(b)はその5分後の雲画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された道路交通情報案内システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す道路交通情報案内システム100は、ナビゲーションシステム1、VICS(登録商標)センタ2、プローブ情報収集センタ3、および情報センタ4を含んでいる。また、ナビゲーションシステム1、VICS(登録商標)センタ2、プローブ情報収集センタ3、および情報センタ4は、携帯電話網やネットワーク等の通信網を介して情報の送受信を可能なように各々接続されている。
【0038】
VICSセンタ2は、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、通行に要する時間を示す区間所要時間の情報(つまり、リンク旅行時間の情報)、事故や工事などによる通行止め等の交通障害の情報、通行止めや臨時規制などのなどの交通規制の情報等の道路交通情報を都道府県警察や道路管理者等から収集し、これらの道路交通情報を、ネットワークならびに道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して配信するものである。なお、VICSセンタ2としては、周知のVICSセンタを用いる構成とすればよい。また、このVICSセンタ2によって所定の区域毎の天候、雨雲の状態、気温等の天気情報や紫外線量の情報や日射量の情報なども配信される構成としてもよい。なお、道路交通情報は、請求項の運行方針関連情報に相当する。
【0039】
プローブ情報収集センタ3は、前述の道路交通情報を走行中のタクシー等の各車両から収集し、これらの道路交通情報を、ネットワークを介して配信するものである。なお、プローブ情報収集センタ3としては、周知のプローブ情報収集センタを用いる構成とすればよい。
【0040】
ナビゲーションシステム1は、自動車等の車両に搭載されるものである。なお、ナビゲーションシステム1を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。ナビゲーションシステム1は、一般的なナビゲーションシステムと同様の経路案内を行う機能を有している他に、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3や情報センタ4と通信網を介して通信を行う機能や後述する雲画像を生成・表示する機能を有している。
【0041】
ここで、図2を用いてナビゲーションシステム1の概略的な構成について説明を行う。図2は、ナビゲーションシステム1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにナビゲーションシステム1は、位置検出器11、地図データ入力器16、記憶媒体17、外部メモリ18、ナビ側通信装置19、VICS送受信機20、表示装置21、音声出力装置22、操作スイッチ群23、リモコン24、リモコンセンサ25、およびこれらと接続されたナビ側制御装置26を備えている。
【0042】
位置検出器11は、周知の地磁気センサ12、ジャイロスコープ13、車速センサ14、および衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機15を有している。これらのセンサ等12〜15は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、さらにステアリングの回転センサ等を用いてもよい。
【0043】
地図データ入力器16は、記憶媒体17が装着され、その記憶媒体17に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。地図データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンク方位、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。よって、リンクは請求項の道路区間に相当する。
【0044】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0045】
なお、地図データは、経緯線で地域を系統的に多数の正方形などに分割した所定の大きさのメッシュ(区画)をデータの更新等のための1単位としている。
【0046】
記憶媒体17には、各種施設の種類、名称、住所のデータなども記憶されており、それらのデータは経路探索の際の目的地設定などに用いられる。なお、記憶媒体17としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0047】
外部メモリ18は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置である。外部メモリ18には大量のデータや電源をOFFしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器16からコピーして利用したりする等の用途がある。また、外部メモリ18は、後述する道路交通情報データベース(DB)、予測DB、過去の走行履歴DB、雲画像表示情報履歴DB、候補リストDB等のデータベースを含む。
【0048】
ナビ側通信装置19は、通信網を介してプローブ情報収集センタ3や情報センタ4との間で通信を行うものである。詳しくは、プローブ情報収集センタ3との間では、プローブ情報収集センタ3から道路交通情報を受信したり、自車両の各センサで得た情報をプローブ情報収集センタ3へ送信したりする。また、情報センタ4との間では、情報センタ4から予測DBに格納されている情報である予測DB情報を受信したりする。なお、ナビ側通信装置19は、例えば車両に搭載されるDCM(data communication module)等のテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールを通じて通信網に接続する構成としてもよいし、例えばBluetooth(登録商標)等で接続した携帯電話機を通じて通信網に接続する構成としてもよい。なお、道路交通情報は、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報であることから、請求項の運行方針関連情報に相当する。
【0049】
VICS送受信機20は、ネットワークならびに道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタ2から配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じてナビゲーションシステム1側から外部(VICSセンタ2など)へ情報を送信したりする。
【0050】
表示装置21は、車両の走行を案内するための地図、目的地選択画面、および道路交通情報を示す後述する雲画像等を表示するものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。音声出力装置22は、スピーカ等から構成され、ナビ側制御装置26の指示に基づいて、経路案内時の案内音声などを出力する。
【0051】
操作スイッチ群23は、例えば表示装置21と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビ側制御装置26へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整、雲画像ON/OFF設定、雲画像種類変更等)の操作指示を行う。また、操作スイッチ群23は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでいる。そのスイッチを操作することによって、ユーザは、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0052】
リモコン24には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ25を介して各種指令信号をナビ側制御装置26に入力することにより、操作スイッチ群23と同じ機能をナビ側制御装置26に対して実行させることが可能である。
【0053】
ナビ側制御装置26は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ナビ側制御装置26は、位置検出器11、地図データ入力器16、外部メモリ18、ナビ側通信装置19、VICS送受信機20、操作スイッチ群23、リモコンセンサ25から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、地図表示更新処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)や雲画像の生成・表示に関連する処理(現況交通情報受信処理、雲画像表示情報生成処理、表示タイマ設定処理、描画処理等)などを実行する。
【0054】
例えば、経路探索実行処理においては、ナビ側制御装置26は、操作スイッチ群23、リモコンセンサ25から目的地が入力されると、自車両が通行し得る経路の中から、距離優先、時間優先等の予め設定された条件を満たす適切な移動経路(以下、案内経路と呼ぶ)を、公知のダイクストラ法を用いて探索する。
【0055】
また、ナビ側制御装置26は、位置検出器11で検出した自車両の現在位置と地図データ入力器16から得た地図データ等の情報とをもとに、自車両の現在位置を示すマークを表示装置21に表示させる地図上に重畳表示させる(つまり、地図画面上に重畳表示させる)。なお、ナビ側制御装置26は、経路探索実行処理によって得られた案内経路についても、地図画面上の当該案内経路に相当する移動経路の表示色を変化させるなどして表示させる。
【0056】
さらに、ナビ側制御装置26は、案内経路から自車両が外れた場合および操作スイッチ群23やリモコン24を介してユーザから再度の経路探索を要求する入力が行われた場合には、経路探索実行処理を再度行って、案内経路を再探索する。
【0057】
なお、本実施形態では、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から配信された道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両以外の車両から車車間通信によって送信されてくる道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成など、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3以外から配信された道路交通情報をナビゲーションシステム1で受信する構成としてもよい。
【0058】
図1に戻って、情報センタ4は、サーバから構成されており、ネットワークや携帯電話網等の通信網を介してナビゲーションシステム1と通信することが可能なものである。また、情報センタ4は、後述する予測DB情報をナビゲーションシステム1に配信するものである。なお、情報センタ4は、1つのサーバからなるものであってもよいし、複数のサーバからなっているものであってもよい。
【0059】
ここで、図3を用いて情報センタ4の概略的な構成について説明を行う。図3は、情報センタ4の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すように情報センタ4は、記憶装置41、センタ側通信装置42、およびこれらと接続されたセンタ側制御装置43を備えている。
【0060】
記憶装置41は、不揮発性の読み書き可能なメモリからなっており、予測DBを含んでいる。ここで言うところの予測DBとは、過去の道路交通情報を統計処理して得られたデータベースであって、各リンク(または各主要交差点区間)について、日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件別にリンク旅行時間、渋滞度等の道路交通情報、リンク方向、リンク方位、道路種別等の情報が対応付けられて格納されている。また、予測DBに格納されているこれらの情報を以下では予測DB情報と呼ぶ。なお、予測DB情報は請求項の統計情報に相当する。
【0061】
センタ側通信装置42は、ネットワークや携帯電話網等の通信網を介してナビゲーションシステム1と通信するものであって、前述の予測DB情報をナビゲーションシステム1に向けて配信する。
【0062】
センタ側制御装置43は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、センタ側制御装置43が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、センタ側制御装置43で各種処理を実行する。例えば、センタ側制御装置43は、記憶装置41に含まれる予測DBから必要に応じて予測DB情報を読み出し、センタ側通信装置42からナビゲーションシステム1に向けて配信させる。
【0063】
次に、図4を用いて、ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理についての説明を行う。図4は、ナビゲーションシステム1での雲画像の生成・表示に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。なお、図4のフローは、自車両のACC(アクセサリ)スイッチがオンされたときに開始される。また、以下では、道路交通情報のうちの渋滞度の情報を雲画像として表示させる場合を例に挙げて説明を行う。
【0064】
まず、ステップS1では、目的地がユーザ(例えば自車両のドライバ)によって設定されているか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、目的地がユーザによって設定されているか否かは、目的地を設定する指令信号の入力を操作スイッチ群23やリモコンセンサ25を介したリモコン24からナビ側制御装置26が受け付けたか否かによって判定するものとする。そして、目的地がユーザによって設定されている(つまり、目的地あり)と判定した場合(ステップS1でYes)には、ステップS2に移る。また、目的地がユーザによって設定されていない(つまり、目的地なし)と判定した場合(ステップS1でNo)には、ステップS3に移る。
【0065】
ステップS2では、出発地(ここでは自車両の現在位置)から目的地までの自車両の経路を探索する前述の経路探索実行処理をナビ側制御装置26が行う。そして、この経路探索実行処理において行われる自車両が通行し得る経路の網羅の過程を利用することによって、出発地から目的地までの経路として自車両が通行し得る経路(以下、通行候補経路と呼ぶ)をナビ側制御装置26が探索し、ステップS4に移る。
【0066】
また、ステップS3では、過去に自車両が通行した移動経路の履歴をもとに、自車両が通行し得る経路(つまり、通行候補経路)をナビ側制御装置26が予測することによって、通行候補経路を探索する予測経路探索処理を行い、ステップS4に移る。なお、過去に自車両が通行した移動経路の履歴については、外部メモリ18に含まれる過去の走行履歴DBからナビ側制御装置26が読み出して利用する。なお、予測経路探索処理については、例えば、自車両の現在位置を基点にして自車両が当該現在位置から過去に走行したことのある全ての経路を探索する構成としてもよい。また、過去に自車両が通行した移動経路の履歴と自車両の現在位置(または現在位置に至るまでの移動経路)とをもとにして自車両が頻繁に利用する移動経路を割り出して自車両の目的地を予測し、自車両の現在位置からその予測した目的地までの経路として自車両が通行し得る経路を探索する構成としてもよい。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の経路探索手段として機能する。
【0067】
そして、ステップS4では、進行方向ネットワーク生成処理を行って、ステップS5に移る。進行方向ネットワーク生成処理では、前述のステップS3またはステップS4で探索した通行候補経路を自車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を、例えば図5に模式的に示すように、ナビ側制御装置26が決定する。なお、図5は、通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向の一例を示す模式図である。図5中のAは地図上での自車両の現在位置を示し、図5中のBは地図上での自車両の目的地を示し、図5中のCは経路案内中の経路を示している。また、図5中の破線で囲った領域は表示装置21で実際に表示させる領域(以下、表示領域と呼ぶ)を示している。そして、図5中の矢印が示されているリンク(道路区間)が通行候補経路を示しており、矢印が示す方向が通行候補経路を自車両が通行する場合の進行方向を示している。
【0068】
なお、通行候補経路を自車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各リンクにおける自車両の進行方向は、自車両の現在位置と自車両の通行経路とが決まっていれば自ずと決まるので、自車両の現在位置と通行候補経路とからナビ側制御装置26が決定することができる。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の進行方向決定手段としても機能する。
【0069】
また、進行方向ネットワーク生成処理では、目的地が設定されていた場合には目的地に向けて自車両が通行し得る経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を決定する構成とすればよく、目的地が設定されていなかった場合には自車両の現在位置から離れていく方向に向けて自車両が通行し得る経路中の各リンクにおける自車両の進行方向を決定する構成とすればよい。さらに、当該進行方向を決定する範囲としては、図5に示すように表示領域内に限定してもよいし、後述する表示情報生成領域内に限定してもよいし、それ以外の所定の範囲に限定してもよい。
【0070】
ステップS5では、地図表示更新処理を行って、ステップS6に移る。地図表示更新処理では、位置検出器11で自車両の現在位置を検出し、検出した自車両の現在位置に合わせて表示装置21に表示させる地図をナビ側制御装置26が更新させる。
【0071】
ステップS6では、雲画像を表示させるON設定がされているか、雲画像を表示させないOFF設定がされているかをナビ側制御装置26が判定する。なお、雲画像のON/OFF設定は、例えばユーザからの雲画像のON/OFFを指示する入力を受け付けた操作スイッチ群23やリモコン24からの操作指示に従ってナビ側制御装置26で行われるものとする。そして、ON設定がされていると判定した場合(ステップS6でYes)には、ステップS7に移る。また、OFF設定がされていると判定した場合(ステップS6でNo)には、フローを終了する。
【0072】
ステップS7では、案内経路から自車両が外れた場合や再度の経路探索が要求された場合などナビ側制御装置26での案内経路の再探索が必要である場合(ステップS7でYes)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。また、ナビ側制御装置26での案内経路の再探索が必要でない場合(ステップS7でNo)には、ステップS8に移る。
【0073】
ステップS8では、現況交通情報受信処理を行って、ステップS9に移る。現況交通情報受信処理では、ナビ側通信装置19やVICS送受信機20で現況の道路交通情報として現況の渋滞度の情報を受信する。ステップS9では、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報であるか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報であるか否かは、例えばVICSセンタ2などで道路交通情報を更新する度に付加されるバージョン番号や更新日時の情報等をもとにして判定する構成とすればよい。そして、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報が、直近の過去に受信した渋滞度の情報から更新された渋滞度の情報である(つまり、更新あり)と判定した場合(ステップS9でYes)には、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報をナビ側制御装置26が取得し、ステップS10に移る。また、更新ありと判定しなかった場合(ステップS9でNo)には、ステップ5に戻ってフローを繰り返す。よって、ナビ側制御装置26は請求項の運行方針関連情報取得手段としても機能する。なお、ナビ側制御装置26は、現況の渋滞度の情報を取得するごとに外部メモリ18に含まれる道路交通情報DBに順次格納していく。よって、外部メモリ18は請求項の過去情報格納手段として機能する。また、ステップS8で受信した現況の渋滞度の情報は請求項の現況情報に相当する。
【0074】
ステップS10では、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報生成処理を行って、ステップS11に移る。ここで、図6のフローチャートを用いて、雲画像表示情報生成処理の概略について説明を行う。なお、図6は、雲画像表示情報生成処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、ステップS101では、表示情報生成範囲決定処理を行い、ステップS102に移る。表示情報生成範囲決定処理では、雲画像を表示させるための情報である雲画像表示情報の生成範囲(以下、表示情報生成領域と呼ぶ)を、自車両の現在位置と通行候補経路、および自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅に基づいてナビ側制御装置26が設定(決定)する。なお、雲画像表示情報は請求項の重畳表示用情報に相当し、表示情報生成領域は請求項の情報生成範囲に相当する。
【0076】
例えば、ナビ側制御装置26は、自車両の現在位置と通行候補経路とから、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の縦方向(例えば自車両の進行方向)に任意に決めた表示領域の枚数分(例えば表示領域2枚分など)の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。また、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の縦方向に例えば所定の期間(例えば5分など)の間に自車両が走行可能な距離分を合わせた範囲の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定の期間とは任意に設定可能な期間であって、例えば道路交通情報が更新される間隔としてもよい。また、所定の期間の間に自車両が走行可能な距離については、道路種別に応じて予め決めてある速度や地図データ中の道路区間の制限速度をもとにナビ側制御装置26で算出する構成とすればよい。
【0077】
さらに、表示領域の横方向(幅方向)については、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の横方向(例えば自車両の側面方向)に任意に決めた表示領域の枚数分(例えば表示領域1.5枚分など)の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。また、現時点で表示装置21に表示されている地図の表示領域に対して、表示領域の横方向に、自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分を合わせた範囲の表示情報生成領域を設定する構成としてもよい。
【0078】
ここで、図7(a)および図7(b)を用いて、表示情報生成領域の決定の具体例を示す。図7(a)は、表示情報生成領域を決定する方法を模式的に示した模式図である。また、図7(b)は、決定された表示情報生成領域を示す模式図である。なお、図7(a)中の網掛けした領域が表示領域を示しており、図7(b)中の網掛けした領域が表示情報生成領域を示している。さらに、図7(a)および図7(b)中のAが地図上での自車両の現在位置を示し、Bが地図上での自車両の目的地を示し、Cが経路案内中の経路を示している。また、図7(a)中のDは5分の間に自車両が走行可能な距離分の範囲を示しており、図7(a)中のEは自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分の範囲を示している。
【0079】
また、図7(a)および図7(b)に示す例では、図7(a)に示すように、5分の間に自車両が走行可能な距離分を表示領域の縦方向に合わせるとともに、自車両の進行方向に対する自車両の進路の振れ幅分を合わせた範囲を表示情報生成領域として決定する。そして、図7(b)に示すように、表示情報生成領域として、地図画面上に実際に表示させる表示領域よりも広い範囲が設定される。
【0080】
これによれば、自車両の走行に合わせて地図表示更新処理が行われ、地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面の範囲分の重畳表示用情報を予め生成しておくことが可能になる。従って、車両の走行に合わせて地図画面が切り替わった場合であっても、切り替わった後の地図画面に対応する運行方針関連情報を示す画像を速やかに表示させ、ユーザの快適性を損なわないようにすることが可能になる。
【0081】
ステップS102では、現況雲画像情報生成処理を行って、ステップS103に移る。現況雲画像情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路およびステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を考慮して(に基づいて)、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報を生成する。詳しくは、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報をもとに、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上の各リンクの、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向についての渋滞度の情報に絞って、ナビ側制御装置26が雲画像表示情報を生成する。よって、ナビ側制御装置26は請求項の表示情報生成手段としても機能する。なお、雲画像表示情報を生成する範囲は、ステップS101の表示情報生成範囲決定処理で決定された表示情報生成領域の範囲である。
【0082】
また、雲画像表示情報の生成単位は、例えば前述したメッシュ単位とすればよい。つまり、雲画像表示情報は、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上の各リンクが含まれるメッシュの範囲について生成される。なお、雲画像表示情報の生成単位は、必ずしもメッシュ単位に限らず、任意の大きさの矩形単位であってもよい。また、雲画像表示情報の生成単位の形状は、矩形以外にも円形や点状などとする構成としてもよい。
【0083】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、渋滞度の情報の量的な度合いに応じて、色の要素のうちの色相の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する。一例としては、渋滞度が高い「渋滞」を赤色で示し、渋滞度が中程度の「混雑」を橙色で示し、渋滞度が低い「空き道」を青色で示すように半透過の画像の情報を生成する。なお、渋滞度の情報などの道路交通情報を示す半透過の画像を雲画像と呼ぶ。また、半透過の画像とするのは、地図画面上に重畳表示した場合に、半透過の画像よりも下層に位置する地図の画像が見えなくなってしまうことを防止するためである。
【0084】
なお、本実施形態では、色の要素のうちの色相の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成を一例として示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、色の要素のうちの明度や彩度の度合いを変化させた渋滞度の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成としてもよいし、色相、明度、彩度等を組み合わせた構成としてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、渋滞度の情報の量的な度合いを3段階に分ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、2段階に分ける構成としてもよいし、4段階以に分ける構成としてもよい。
【0086】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士が隣り合わせになる場合には、当該渋滞度の情報同士を統合して表示させるように雲画像表示情報を生成することが好ましい。例えば、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士を、一回りスケールの大きい雲画像表示情報の生成単位に統合して表示させるように雲画像表示情報を生成する構成としてもよいし、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士の雲画像表示情報の生成単位を繋ぎ合わせて表示させるように雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、ここで言うところの隣り合わせとは、隣接する場合であってもよいし、間に間隔をあけて並んでいる場合であってもよい。
【0087】
これによれば、量的な度合いが同一の隣り合わせの渋滞度の情報同士をそれぞれ個別に表示させる場合に比べて、細かな表示を抑えることが可能となり、ユーザにとっての見易さを向上させることが可能になる。
【0088】
また、雲画像表示情報生成処理では、渋滞度の情報を示す画像として、色の要素の度合いが異なる半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、図8に示すように、当該半透過の画像同士の境目がグラデーションで示されるように雲画像表示情報を生成することが好ましい。これによれば、渋滞度の偏りがどの方向に向かっているのかを、より直感的にユーザに示すことが可能になる。なお、図8は、半透過の画像同士の境目をグラデーションで示す場合の表示例を示す図である。
【0089】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上に、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在した場合には、当該リンクのその2通りの進行方向についての渋滞度の情報のうち、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とし、雲画像表示情報を生成する。
【0090】
ここで、図9を用いて、通行候補経路上に進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を2通り含むリンクが存在する場合の例を示す。図9中のF、G、H、Iで示す点は通行候補経路上のノードを示しており、実線の矢印および破線の矢印は進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向を示している。なお、図9の例では、実線の矢印で示した進行方向に従ってF、G、H、Iの順にリンクを繋ぐ通行候補経路と図中に破線の矢印で示した進行方向に従ってF、H、G、Iの順にリンクを繋ぐ通行候補経路とが存在するものとする。
【0091】
図9に示す例では、GのノードとHのノードとの間のリンクについて、進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向が2通り存在する。雲画像表示情報生成処理では、このような場合に、実線の矢印で示した進行方向についての渋滞度の情報と破線の矢印で示した進行方向についての渋滞度の情報とのうち、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とすることになる。
【0092】
これによれば、当該リンクの渋滞度を実際よりも高く表示することはあっても、低く表示することがなくなるので、誤った表示によってユーザを渋滞度の高い道路区間に誘導してしまう可能性を低減することができる。
【0093】
なお、2通りの進行方向についての一方が、例えば目的地への最短経路上の自車両の進行方向である場合など、目的地の位置などから明らかに2通りの進行方向についての一方が優先される場合には、その優先される進行方向についての渋滞度の情報を当該リンクの渋滞度とする構成としてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、量的な度合いがより高い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、当該リンクのその2通りの進行方向についてのそれぞれの渋滞度の情報の量的な度合いを平均して得られた渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。また、量的な度合いがより低い方の渋滞度の情報を当該リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0095】
さらに、雲画像表示情報生成処理では、ステップS2またはステップS3で探索した通行候補経路上に、ステップS4の進行方向ネットワーク生成処理で決定した自車両の進行方向についての渋滞度の情報が、ナビ側制御装置26で取得されていなかった(つまり、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から得られなかった)リンクである未情報リンクが存在した場合には、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とし、雲画像表示情報を生成する。なお、未情報リンクは請求項の未情報道路区間に相当する。また、ここで言うところの所定の範囲とは、任意に設定可能な範囲であって、例えば半径数十メートル等に設定してもよい。
【0096】
例えば、渋滞度の情報などの道路交通情報は、並行する近辺の道路区間同士や基点を同じくする近辺の道路区間同士であって、車両の流れがお互い繋がっている道路区間同士では渋滞度が似通っている場合が多い。よって、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均することによって、当該未情報リンクの実際の渋滞度に沿った渋滞度の情報を得ることができる可能性が高く、より正確な渋滞度の情報を示す雲画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。
【0097】
なお、本実施形態では、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、当該未情報リンクから所定の範囲内に存在するリンクのうちの、当該未情報リンクにおける自車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての渋滞度の情報であって量的な度合いが最も高い渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。この構成によっても、より正確な渋滞度の情報を示す雲画像を地図画面上に重畳して表示させることが可能になる。また、量的な度合いが最も低い渋滞度の情報を、当該未情報リンクについての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0098】
以上の構成によれば、未情報リンクについての渋滞度の情報を推定することができ、渋滞度が似通っているエリアについては、量的な度合いが同一の渋滞度の情報同士が繋ぎ合わせていくことによって、一回りスケールの大きい雲画像表示情報の生成単位に統合して表示させることができる。従って、VICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から渋滞度の情報が得られない箇所についても、渋滞度の似通ったエリアを塊として表現することによって、より正確な渋滞度をユーザに示すことが可能になる。
【0099】
また、雲画像表示情報生成処理では、雲画像表示情報の生成単位内に、量的な度合いの異なる複数種類の渋滞度の情報が混在することになった場合には、これら複数種類の渋滞度の情報の量的な度合いを平均した渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよいし、これら複数種類の渋滞度の情報のうちで量的な度合いが最も高い渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよいし、これら複数種類の渋滞度の情報のうちで量的な度合いが最も低い渋滞度の情報を当該生成単位についての渋滞度の情報とする構成としてもよい。
【0100】
雲画像表示情報生成処理によって、以上に説明したように、通行候補経路上の自車両の進行方向を加味するとともに、当該通行候補経路の周辺の渋滞度の情報までも統計処理し、例えば図10に示すような雲画像を表示させる雲画像表示情報が生成される。なお、図10は、道路交通情報のうちの渋滞度の情報を現況の雲画像として表示させた場合の表示の一例を示した図である。図10の例では、渋滞度の情報を渋滞度が高い「渋滞」と渋滞度が中程度の「混雑」との2段階で示しているとともに、「渋滞」を「混雑」よりも低い明度で示している。また、図10中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。
【0101】
なお、本実施形態では道路交通情報のうちの渋滞度の情報を雲画像として表示させる場合を例に挙げて説明したが、道路交通情報のうちの区間所要時間の情報を雲画像として表示させる場合には、渋滞度の情報を区間所要時間の情報に置き換えた前述の雲画像表示情報生成処理によって、雲画像表示情報の生成単位分の領域を抜けるために必要な時間に応じて、色の要素の度合いを変化させた区間所要時間の情報を示す半透過の画像の情報を生成する構成とすればよい。一例としては、通過に要する時間が5分未満の場合には青色で示し、通過に要する時間が5分以上10分未満の場合には紺色で示し、通過に要する時間が10分以上30分未満の場合には赤色で示すように半透過の画像の情報を生成する構成とすればよい。
【0102】
また、道路交通情報のうちの区間所要時間の情報を雲画像として表示させる場合には、図11に示すように、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、図11は、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲を所要時間ごとに示す雲画像の表示の一例を示した図である。図11の例では、自車両が現在位置から「15分」で到達できる範囲、「20分」で到達できる範囲、「30分」で到達できる範囲の3段階で示しているとともに、「15分」で到達できる範囲、「20分」で到達できる範囲、「30分」で到達できる範囲の順に低い明度で示している。また、図11中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。なお、自車両が現在位置から一定の時間に到達できる範囲は、雲画像表示情報の生成単位分の領域を抜けるために必要な時間を足し合わせていくことによってナビ側制御装置26が算出する構成とすればよい。
【0103】
なお、渋滞度の情報を区間所要時間の情報に置き換えて前述の雲画像表示情報生成処理
を行う場合には、雲画像表示情報の生成単位を跨ぐリンクについての区間所要時間(つまり、リンク旅行時間)の各生成単位への配分は、当該リンクについてリンク旅行時間の情報が存在する距離が判明している場合は、当該リンクの終点から当該各生成単位同士の境目までの距離を求め、リンク旅行時間をこれらの距離の比率に応じて割り当てる構成としてもよい。また、リンク全体にのみリンク旅行時間が割り当てられている場合は、各生成単位にかかっているリンクの距離に応じてリンク旅行時間を按分する構成としてもよいし、リンクの退出方向の生成単位に全てのリンク旅行時間を割り当てる構成としてもよい。
【0104】
また、ナビ側制御装置26は、生成した雲画像表示情報を外部メモリ18に含まれる雲画像表示情報履歴DBに保存する。なお、ナビ側制御装置26は、雲画像表示情報を生成するごとに雲画像表示情報履歴DBに順次格納していく。よって、雲画像表示情報履歴DBには、過去に生成された雲画像表示情報が蓄積されていくことになる。よって、外部メモリ18は、請求項の重畳表示用情報格納手段としても機能する。なお、雲画像表示情報履歴DBでは、格納された雲画像表示情報の量が一定量を超えた場合に、古いものから消去する構成としてもよい。
【0105】
図6に戻って、ステップS103では、切り出し処理を行ってステップS104に移る。切り出し処理では、ステップS102で生成した雲画像表示情報のうちの表示領域に該当する範囲の切り出しをナビ側制御装置26が行う。
【0106】
ステップS104では、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って当該雲画像表示情報を図12に示す一例のように数値化し、ステップS105に移る。なお、数値化処理において、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報の数値化は、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて行われる。具体例としては、「渋滞」は2で示し、「混雑」は1で示し、それ以外は0で示すなどする。なお、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報が請求項の現況重畳表示用情報に相当する。
【0107】
ステップS105では、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の記憶装置41に含まれる予測DBからナビ側制御装置26が取得する。なお、ここで言うところの同条件とは、当該現況の渋滞度の情報に対応付けられている日時に関する情報(例えば更新日時)に対して日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件が一致することを示す。例えば、日時、曜日、平休日、GWなどの連休、祝日、祭りの日などの地域特有の日、午前午後等の条件にそれぞれ優先順位をつけておき、優先順位の高いものから順に当該現況の渋滞度の情報と同条件のものがあるかを調べ、一致しない場合に多段階でこれらの条件を変えてゆく構成とすればよい。そして、当該現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報が存在する(つまり、候補がある)場合(ステップS105でYes)には、ステップS106に移る。また、現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報が存在しない(つまり、候補がない)場合(ステップS105でNo)には、ステップS117に移る。
【0108】
ステップS106では、当該現況の渋滞度の情報と同条件の予測DB情報のうち、表示領域の範囲の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS107に移る。ステップS107では、ステップS106で取得した予測DB情報をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行って、予測DB情報をもとにした雲画像表示情報(以下、予測雲画像表示情報と呼ぶ)をナビ側制御装置26が生成し、ステップS108に移る。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の統計情報取得手段としても機能する。なお、予測雲画像表示情報が請求項の予測重畳表示用情報に相当する。
【0109】
ステップS108では、ステップS107で生成した予測雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って当該予測雲画像表示情報を数値化し、ステップS109に移る。なお、ここでの数値化処理でも、ステップS104の数値化処理と同様に、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて数値化が行われる。ステップS109では、ステップS104で数値化したデータとステップS108で数値化したデータとについて、比較処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS110に移る。比較処理では、同一の雲画像表示情報の生成単位の領域について、ステップS103で切り出した範囲の雲画像表示情報を数値化したデータと予測雲画像表示情報を数値化したデータとを比較し、どれだけの割合で一致しているかを算出する。
【0110】
ステップS110では、ステップS109で算出した割合が所定の閾値(本実施形態では、例えば80%とする)以上であるか否かをナビ側制御装置26が判定する。そして、80%以上であると判定した場合(ステップS110でYes)には、渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているものとしてステップS111に移る。また、80%以上であると判定しなかった場合(ステップS110でNo)には、ステップS105に戻ってフローを繰り返す。なお、ステップS105に戻ってフローを繰り返す場合には、現況の渋滞度の情報と同条件の新たな予測DB情報を、全ての条件について検討し終えるまで繰り返す(つまり、検索する)ことになる。
【0111】
ステップS111では、現況の雲画像表示情報から所定の時間遡った過去の雲画像情報(本実施形態では、例えば5分前の雲画像表示情報とする)を雲画像表示情報履歴DBからナビ側制御装置26が読み出し、ステップS112に移る。ステップS112では、ステップS106で取得した予測DB情報から当該所定の時間(つまり、5分前)遡った過去の予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS113に移る。
【0112】
ステップS113では、ステップS112で取得した予測DB情報(以下、5分前の予測DB情報と呼ぶ)をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行って、5分前の予測DB情報をもとにした雲画像表示情報(以下、5分前の予測雲画像表示情報と呼ぶ)をナビ側制御装置26が生成し、ステップS114に移る。
【0113】
ステップS114では、ステップS111で読み出した5分前の雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って図12に示す一例のように数値化するとともに、ステップS113で生成した5分前の予測雲画像表示情報について、ナビ側制御装置26が数値化処理を行って数値化し、ステップS115に移る。なお、ここでの数値化処理でも、前述の数値化処理と同様に、雲画像表示情報の生成単位ごとに渋滞度の情報の量的な度合いに合わせて数値化が行われる。
【0114】
ステップS115では、ステップS114で数値化した5分前の雲画像表示情報を数値化したデータと5分前の予測雲画像表示情報を数値化したデータとについて、比較処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS116に移る。比較処理では、同一の雲画像表示情報の生成単位の領域について、当該5分前の雲画像表示情報を数値化したデータと当該5分前の予測雲画像表示情報を数値化したデータとを比較し、どれだけの割合で一致しているかを算出する。
【0115】
ステップS116では、ステップS115で算出した割合(つまり、一致率)とステップS112で取得した予測DB情報とを対応付けて、外部メモリ18に含まれる候補リストDBにナビ側制御装置26が保存し、ステップS105に戻ってフローを繰り返す。なお、ステップS105に戻ってフローを繰り返すことによって、現況の渋滞度の情報と同条件の新たな予測DB情報を全ての条件について検討し、可能な限り多くの、現況に似通った予測DB情報の候補を候補リストDBに保存することができる。
【0116】
そして、ステップS117では、候補リストDBに保存された予測DB情報の中から、ステップS115で算出した一致率が最も高かったものを、渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているものとしてナビ側制御装置26が選択し、ステップS11に移る。
【0117】
以上の構成によれば、現況について渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているだけでなく、現況から遡った過去についても渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているかを判定するので、将来の渋滞度の情報の分布により近い雲画像表示情報について、より正確に推定することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態では、扱うデータ量を減らして処理を高速化するために表示領域に絞って数値化処理や比較処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、前述の表示情報生成領域に絞って数値化処理や比較処理を行う構成としてもよい。
【0119】
なお、本実施形態では、ステップS115で算出した一致率が最も高かった予測DB情報をナビ側制御装置26が選択してステップS11に移る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、数値化処理や比較処理を行わず、ステップS9で更新ありと判定した場合にナビ側制御装置26で取得した現況の渋滞度の情報と日時の条件が合致する予測DB情報をナビ側制御装置26が選択してステップS11に移る構成としてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、現況についてと現況から遡った過去についてとの2段階に分けて比較処理を行う構成(つまり、ステップS109とステップS115)を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現況の渋滞度の情報をもとに生成される雲画像表示情報と予測DB情報をもとに生成される雲画像表示情報とのそれぞれについて、現況のデータと現況から遡った過去のデータとの差分をとっておき、この差分同士を比較して例えば差分同士の差が所定の閾値以内であるか否かによって渋滞度の情報の分布の傾向が類似しているかを判定する構成としてもよい。これによれば、比較に用いるデータ量を抑えることができるので、処理を高速化することが可能になる。
【0121】
図4に戻って、ステップS11では、ステップS117で選択した予測DB情報に時間的に前後する予測DB情報を、ナビ側通信装置19を介して情報センタ4の予測DBからナビ側制御装置26が取得し、ステップS12に移る。また、本実施形態では、一例として、ステップS117で選択した予測DB情報の5分後の予測DB情報と10分後の予測DB情報とを取得するものとして以降の説明を続ける。なお、ステップS117で選択した予測DB情報から時間的に進んだ予測DB情報を取得するだけでなく、ステップS117で選択した予測DB情報から時間的に遡った予測DB情報を取得する構成としてもよい。
【0122】
ステップS12では、ステップS11で取得した予測DB情報をもとに、前述の雲画像表示情報生成処理を行ってナビ側制御装置26が予測雲画像表示情報を生成し、ステップS13に移る。本実施形態の例では、5分後の予測雲画像表示情報と10分後の予測雲画像表示情報をナビ側制御装置26が生成する。なお、予測雲画像表示情報を生成する範囲は、ステップS101の表示情報生成範囲決定処理で決定された表示情報生成領域の範囲である。
【0123】
ステップS13では、車速センサ14で検出した自車両の現在の速度(つまり、車速)をナビ側制御装置26が取得し、ステップS14に移る。ステップS14では、ステップS13で取得した車速をもとに表示タイマ設定処理を行う。表示タイマ設定処理では、ステップS13で取得した車速に応じて、後述する時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像を時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期(以下、切り替え周期と呼ぶ)をナビ側制御装置26が変更して設定する。なお、本実施形態の例では、時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像として、ステップS102で生成した雲画像表示情報(つまり、現況の雲画像表示情報)に従った現況の雲画像と、5分後の予測雲画像表示情報に従った5分後の雲画像と、10分後の予測雲画像表示情報に従った10分後の雲画像と、を時系列に沿って順番に複数サイクルにわたって表示させるものとする。
【0124】
表示タイマ設定処理の一例としては、車速が5km/h未満の場合には、ユーザ(つまり、ドライバ)が危険を伴わずに表示装置21の画面を注視することが可能な時間内に2サイクル以上表示を行うことができる切り替え周期を設定する。そして、車速が5km/h以上の場合には、車速が5km/h未満の場合の切り替え周期よりも長い周期となるように設定する。
【0125】
例えば、車速が速くなるほど、表示装置21の画面をユーザが注視できる余裕が少なくなるが、以上の構成によれば、車速が速くなるのに応じて切り替え周期を長くする(つまり、切り替えを遅くする)ことによって、ユーザの周辺視によっても雲画像を認識し易くなるようにし、雲画像の頻繁な注視によってユーザの意識が散漫とならないようにすることが可能になる。
【0126】
また、本実施形態では、車速が5km/h未満の場合と車速が5km/h以上の場合との2段階の車速に応じて切り替え周期を変更する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図13(a)に示すように、車速が速くなるごとに切り替え周期をリニアに長く設定していく構成としてもよい。また、図13(b)に示すように、車速が一定値以上速くなるごとに切り替え周期を多段階に長く設定していく構成としてもよい。なお、図13(a)および図13(b)は、車速と切り替え周期との関係の一例を示す図であって、縦軸が切り替え周期を表しており、横軸が車速を表している。
【0127】
ステップS15では、現況の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる現況の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS16に移る。ステップS16では、5分後の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる5分後の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS17に移る。ステップS17では、10分後の雲画像表示情報と自車両の現在位置と地図データとから、表示領域に表示させる10分後の雲画像の描画処理をナビ側制御装置26が行って、ステップS18に移る。なお、描画処理自体は、表示装置21に画像を表示させる周知の処理とすればよい。
【0128】
また、ステップS15の描画処理によって表示される現況の雲画像、ステップS16の描画処理によって表示される5分後の雲画像、およびステップS17の描画処理によって表示される10分後の雲画像(つまり、時間的に前後する複数の時点ごとの雲画像)を、ステップS14の表示タイマ設定処理で設定された切り替え周期に従った周期で、ナビ側時系列に沿って順番に表示装置21にナビ側制御装置26が表示させる。よって、ナビ側制御装置26は、請求項の表示制御手段としても機能する。なお、表示を切り替える周期についてはナビ側制御装置26に備えられた図示しないタイマ等によってカウントする構成とすればよい。
【0129】
以上の構成によれば、時間の経過に従った渋滞度の情報の量的な度合いの分布の変化をユーザに示すことが可能になる。ここで、図14(a)および図14(b)を用いて具体例を示す。図14(a)は現況の雲画像の一例を示す図であって、図14(b)はその5分後の雲画像の一例を示す図である。なお、図14(a)および図14(b)の図中の中央付近の円と矢印との組み合わさったシンボルが自車両の現在位置を示している。本例においては、図14(a)に示す現況の雲画像に続いて図14(b)の5分後の雲画像を表示させることになるので、ユーザは現況から5分後にかけての渋滞度の分布の変化をもとに、今後の渋滞箇所の移動傾向を把握することが可能になる。よって、渋滞がユーザの運転する車両に対して近づいてきているのか、遠ざかっていっているのかをユーザが判別し易くなる。
【0130】
また、ステップS18では、一定時間が経過したか否かをナビ側制御装置26が判定する。なお、ここで言うところの一定時間とは任意に設定可能な時間であって、例えば数十秒程度とする構成としてもよい。そして、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS18でYes)には、ステップS5に戻ってフローを繰り返す。また、一定時間が経過したと判定しなかった場合(ステップS18でNo)には、ステップS13に戻ってフローを繰り返し、時系列に沿った雲画像のサイクル表示を続行する。
【0131】
以上の構成によれば、自車両が走行する可能性の低い道路区間や自車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての渋滞度の情報の地図画面上への表示を省略することが可能になる。よって、自車両の運行方針に影響を与える現象に対する自車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。よって、ナビゲーションシステム1は請求項のナビゲーション装置に相当する。
【0132】
なお、ナビ側制御装置26は、ステップS118で選択した予測DB情報に対応付けられている一致率をもとに、5分後、10分後の雲画像等の将来を予測した雲画像の予想的中の確率の表示を表示装置21に行わせる構成としてもよい。例えば、ステップS118で選択した予測DB情報に対応付けられている一致率を、将来を予測した雲画像の予想的中の確率として表示させる構成としてもよい。
【0133】
また、本実施形態では、情報センタ4の記憶装置41に予測DBが含まれる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーションシステム1の外部メモリ18などのメモリに予測DBを保持し、この外部メモリ18などから予測DB情報をナビ側制御装置26が取得して利用する構成としてもよい。よって、外部メモリ18は、請求項の統計情報格納手段としても機能する。
【0134】
なお、本実施形態では、5分後の予測雲画像表示情報や10分後の予測雲画像表示情報など、所定の時間後の予測雲画像表示情報をナビ側制御装置26が生成する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ステップS9で更新ありと判定されるごと(つまり、現況の渋滞度の情報が更新されるごと)の予測雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。
【0135】
また、本実施形態では、時系列に沿った雲画像のサイクル表示を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現況の雲画像のみを表示させる構成としてもよい。この場合であっても、自車両が走行する可能性の低い道路区間や自車両が走行する可能性の低い道路区間上の方向についての渋滞度の情報の地図画面上への表示を省略することが可能なので、自車両の運行方針に影響を与える現象に対する自車両の状況をより把握し易くすることが可能になる。
【0136】
さらに、本実施形態では、現況の雲画像を表示させる場合に、ナビ側通信装置19やVICS送受信機20で受信した現況の渋滞度の情報をもとに現況の雲画像表示情報を生成する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報に含まれる渋滞度の情報を現況の渋滞度の情報とナビ側制御装置26が推定し、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報を予測DBからナビ側制御装置26が取得し、この現在の日時と同じ日時についての予測DB情報をもとに雲画像表示情報生成処理を行って現況の雲画像を表示させるための雲画像表示情報を生成する構成としてもよい。なお、現在の日時と同じ日時についての予測DB情報に含まれる渋滞度の情報が請求項の推定情報に相当する。
【0137】
また、本実施形態では、ナビゲーションシステム1がVICSセンタ2やプローブ情報収集センタ3から道路交通情報を受信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車車間通信によって自車両以外の車両から道路交通情報を受信する構成としてもよい。
【0138】
なお、本実施形態では、ナビゲーションシステム1のナビ側制御装置26で雲画像表示情報生成処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、情報センタ4のセンタ側制御装置43で雲画像表示情報生成処理を行う構成としてもよい。この場合には、ナビゲーションシステム1のナビ側通信装置19から、自車両の現在位置、自車両の進行方向、目的地、案内経路など、自車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を情報センタ4に送信し、これらの情報を情報センタ4のセンタ側通信装置42で受信し、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理に利用する構成とすればよい。よって、センタ側通信装置42は請求項の通信手段として機能する。なお、また、情報センタ4の記憶装置41に地図データ等を保持し、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理に利用する構成とすればよい。また、センタ側制御装置43での雲画像表示情報生成処理で生成した雲画像表示情報をセンタ側通信装置42からナビゲーションシステム1に送信し、ナビゲーションシステム1で雲画像表示情報に従った雲画像を表示させる構成とすればよい。
【0139】
また、本実施形態では、渋滞度の情報や区間所要時間の情報などの道路交通情報をもとに雲画像表示情報生成処理を行って、地図画面上に重畳して雲画像を表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、紫外線量の情報や日射量の情報や日の出による日光の当たる範囲の情報や雨雲の情報や気温の情報や信号機の点灯色(青色、赤色、黄色)の情報等の、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報も同様にして雲画像表示情報生成処理を行って、地図画面上に重畳して雲画像を表示させることが可能である。
【0140】
さらに、津波の情報や緊急車両の位置の情報等の、ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報については、量的な度合いを考慮せずに雲画像表示情報生成処理と同様の処理を行って、地図画面上に雲画像を表示させることが可能である。
【0141】
なお、津波の情報や緊急車両の位置の情報など、必ずしも下層に位置する地図の画像が見えるようになっている必要がない情報の場合には、雲画像を半透過の画像としない構成としてもよい。
【0142】
また、操作スイッチ群23やリモコン24の操作指示に従って、以上に述べた複数の種類の雲画像の表示を切り替えることができる構成としてもよい。
【0143】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
1 ナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)、2 VICSセンタ、3 プローブ情報収集センタ、4 情報センタ、11 位置検出器、12 地磁気センサ、13 ジャイロスコープ、14 車速センサ、15 GPS受信機、16 地図データ入力器、17 記憶媒体、18 外部メモリ(過去情報格納手段、重畳表示用情報格納手段、統計情報格納手段)、19 ナビ側通信装置、20 VICS送受信機、21 表示装置、22 音声出力装置、23 操作スイッチ群、24 リモコン、25 リモコンセンサ、26 ナビ側制御装置(経路探索手段、進行方向決定手段、運行方針関連情報取得手段、表示情報生成手段、統計情報取得手段、表示制御手段)、41 記憶装置、42 センタ側通信装置(通信手段)、43 センタ側制御装置(経路探索手段、進行方向決定手段、運行方針関連情報取得手段、表示情報生成手段、統計情報取得手段)、100 道路交通情報案内システム(案内システム)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報である運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置であって、
前記車両が通行し得る経路である通行候補経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索した通行候補経路を前記車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各道路区間における前記車両の進行方向を決定する進行方向決定手段と、
前記運行方針関連情報を取得する運行方針関連情報取得手段と、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路および前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を考慮して、前記地図画面上に表示させる運行方針関連情報を示す画像の情報である重畳表示用情報を生成する表示情報生成手段と、
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を前記地図画面上に重畳して表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記運行方針関連情報は、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報であって、
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報の量的な度合いに応じて前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報の量的な度合いに応じて、色相、明度、および彩度の色の要素のうちの少なくともいずれかの度合いを変化させた前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示情報生成手段は、前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路上の各道路区間の、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報に絞って、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示情報生成手段は、前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についての前記運行方針関連情報のうち、量的な度合いがより高い方の運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示情報生成手段は、前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についてのそれぞれの前記運行方針関連情報の量的な度合いを平均して得られた運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示情報生成手段は、量的な度合いが同一の前記運行方針関連情報同士が隣り合わせになる場合には、当該運行方針関連情報同士を統合して表示させるように前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示情報生成手段は、前記運行方針関連情報を示す画像として、前記色の要素の度合いが異なる前記半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、当該半透過の画像同士の境目がグラデーションで示されるように前記運行方針関連情報を示す画像を生成することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示情報生成手段は、
前記重畳表示用情報を生成する範囲である情報生成範囲として、前記表示情報生成手段で前記地図画面上に実際に表示させる範囲よりも広い範囲を設定しているとともに、
前記情報生成範囲を、前記車両の現在位置と前記通行候補経路、および前記車両の進行方向に対する前記車両の進路の振れ幅のうちの少なくともいずれかに基づいて設定していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記表示情報生成手段は、前記車両の現在位置と前記通行候補経路とに基づいて前記情報生成範囲を設定する場合に、所定の期間の間に前記車両が走行可能な距離を考慮して、前記情報生成範囲を設定することを特徴とする請求項10に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記経路探索手段は、前記車両が出発地から目的地に到達できる移動経路として取り得る経路を探索することによって、前記通行候補経路を探索することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記経路探索手段は、過去に前記車両が通行した移動経路の履歴をもとに、前記車両が通行し得る経路を予測することによって、前記通行候補経路を探索することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記運行方針関連情報取得手段で取得する前記運行方針関連情報は、現況の運行方針関連情報である現況情報と過去の運行方針関連情報が統計処理された情報である統計情報をもとに推定された運行方針関連情報である推定情報とのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
前記運行方針関連情報は、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、および通行に要する時間を示す区間所要時間の情報のうちのいずれかの道路交通情報であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
前記表示情報生成手段は、
前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報としての前記道路交通情報が、前記運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった道路区間である未情報道路区間が存在した場合には、
当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における前記車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての前記道路交通情報の量的な度合いを平均して得られた道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項15に記載のナビゲーション装置。
【請求項17】
前記表示情報生成手段は、
前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報としての前記道路交通情報が、前記運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった道路区間である未情報道路区間が存在した場合には、
当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における前記車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての前記道路交通情報であって量的な度合いが最も高い道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項15に記載のナビゲーション装置。
【請求項18】
前記表示情報生成手段は、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報を生成するとともに、
前記表示制御手段は、前記表示情報生成手段で生成した前記時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項19】
前記統計情報を取得する統計情報取得手段をさらに備え、
前記表示情報生成手段は、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した前記現況情報をもとに前記重畳表示用情報を生成するとともに、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに前記重畳表示用情報を生成し、
当該現況情報をもとに生成された重畳表示用情報である現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した、前記統計情報をもとに生成された重畳表示用情報である予測重畳表示用情報を検索するとともに、
当該現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した前記予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合には、前記検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定し、時間的に前後する複数の時点ごとの前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項18に記載のナビゲーション装置。
【請求項20】
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報を順次格納していくことによって、過去に生成した過去の重畳表示用情報を蓄積していく重畳表示用情報格納手段をさらに備え、
前記表示情報生成手段は、
前記現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した前記予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合に、
前記重畳表示用情報格納手段から、当該現況重畳表示用情報から所定の時間遡った過去の重畳表示用情報を取得するとともに、
前記検索で得られた予測重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成し、
当該過去の重畳表示用情報と当該過去の予測重畳表示用情報との分布の傾向が類似するか否かを判定して、
類似すると判定した場合には、前記検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することを特徴とする請求項19に記載のナビゲーション装置。
【請求項21】
前記車両の速度を検出する車速センサをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記車速センサで検出した前記車両の速度に応じて、前記時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期を変更することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項22】
前記運行方針関連情報取得手段は、一定の期間ごとに新たな前記運行方針関連情報を取得するとともに、
前記表示情報生成手段は、前記時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報として、前記一定の期間ごとの重畳表示用情報を生成し、
前記表示制御手段は、前記表示情報生成手段で生成した前記一定の期間ごとの重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項23】
前記統計情報を格納する統計情報格納手段をさらに備え、
前記統計情報取得手段は、前記統計情報格納手段から前記統計情報を取得することを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項24】
前記統計情報取得手段は、前記統計情報を格納する前記車両外の情報センタから前記統計情報を取得することを特徴とする請求項19〜23に記載のナビゲーション装置。
【請求項25】
ユーザの運転する車両の経路の情報および前記車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む前記車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置との間で情報の送受信を行う通信手段を備えている情報センタであって、
前記ナビゲーション装置から前記通信手段によって得られる前記経路案内関連情報をもとに、前記車両が通行し得る経路である通行候補経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索した通行候補経路を前記車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各道路区間における前記車両の進行方向を決定する進行方向決定手段と、
前記車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報である運行方針関連情報を取得する運行方針関連情報取得手段と、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路および前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を考慮して、前記地図画面上に表示させる運行方針関連情報を示す画像の情報である重畳表示用情報を生成する表示情報生成手段と、を備え、
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報を前記通信手段によって前記ナビゲーション装置に送信し、当該重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を前記ナビゲーション装置において前記地図画面上に重畳して表示させることを特徴とする情報センタ。
【請求項26】
ユーザの運転する車両の経路の情報および前記車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む前記車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置と、
請求項25に記載の情報センタと、を含む案内システム。
【請求項1】
ユーザの運転する車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報である運行方針関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置であって、
前記車両が通行し得る経路である通行候補経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索した通行候補経路を前記車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各道路区間における前記車両の進行方向を決定する進行方向決定手段と、
前記運行方針関連情報を取得する運行方針関連情報取得手段と、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路および前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を考慮して、前記地図画面上に表示させる運行方針関連情報を示す画像の情報である重畳表示用情報を生成する表示情報生成手段と、
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を前記地図画面上に重畳して表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記運行方針関連情報は、少なくとも時間経過に伴って量的な変化が生じる現象の情報であって、
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報の量的な度合いに応じて前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示情報生成手段は、前記重畳表示用情報として、前記運行方針関連情報の量的な度合いに応じて、色相、明度、および彩度の色の要素のうちの少なくともいずれかの度合いを変化させた前記運行方針関連情報を示す半透過の画像の情報を生成することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示情報生成手段は、前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路上の各道路区間の、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報に絞って、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示情報生成手段は、前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についての前記運行方針関連情報のうち、量的な度合いがより高い方の運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示情報生成手段は、前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を2通り含む道路区間が存在した場合には、当該道路区間のその2通りの進行方向についてのそれぞれの前記運行方針関連情報の量的な度合いを平均して得られた運行方針関連情報を当該道路区間についての運行方針関連情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示情報生成手段は、量的な度合いが同一の前記運行方針関連情報同士が隣り合わせになる場合には、当該運行方針関連情報同士を統合して表示させるように前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示情報生成手段は、前記運行方針関連情報を示す画像として、前記色の要素の度合いが異なる前記半透過の画像同士が隣り合うことになる場合には、当該半透過の画像同士の境目がグラデーションで示されるように前記運行方針関連情報を示す画像を生成することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示情報生成手段は、
前記重畳表示用情報を生成する範囲である情報生成範囲として、前記表示情報生成手段で前記地図画面上に実際に表示させる範囲よりも広い範囲を設定しているとともに、
前記情報生成範囲を、前記車両の現在位置と前記通行候補経路、および前記車両の進行方向に対する前記車両の進路の振れ幅のうちの少なくともいずれかに基づいて設定していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記表示情報生成手段は、前記車両の現在位置と前記通行候補経路とに基づいて前記情報生成範囲を設定する場合に、所定の期間の間に前記車両が走行可能な距離を考慮して、前記情報生成範囲を設定することを特徴とする請求項10に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記経路探索手段は、前記車両が出発地から目的地に到達できる移動経路として取り得る経路を探索することによって、前記通行候補経路を探索することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記経路探索手段は、過去に前記車両が通行した移動経路の履歴をもとに、前記車両が通行し得る経路を予測することによって、前記通行候補経路を探索することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記運行方針関連情報取得手段で取得する前記運行方針関連情報は、現況の運行方針関連情報である現況情報と過去の運行方針関連情報が統計処理された情報である統計情報をもとに推定された運行方針関連情報である推定情報とのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
前記運行方針関連情報は、渋滞の度合いを示す渋滞度の情報、および通行に要する時間を示す区間所要時間の情報のうちのいずれかの道路交通情報であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項16】
前記表示情報生成手段は、
前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報としての前記道路交通情報が、前記運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった道路区間である未情報道路区間が存在した場合には、
当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における前記車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての前記道路交通情報の量的な度合いを平均して得られた道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項15に記載のナビゲーション装置。
【請求項17】
前記表示情報生成手段は、
前記通行候補経路上に、前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向についての前記運行方針関連情報としての前記道路交通情報が、前記運行方針関連情報取得手段で取得されていなかった道路区間である未情報道路区間が存在した場合には、
当該未情報道路区間から所定の範囲内に存在する道路区間のうちの、当該未情報道路区間における前記車両の進行方向に流れが沿っている進行方向についての前記道路交通情報であって量的な度合いが最も高い道路交通情報を、当該未情報道路区間についての道路交通情報とし、前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項15に記載のナビゲーション装置。
【請求項18】
前記表示情報生成手段は、時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報を生成するとともに、
前記表示制御手段は、前記表示情報生成手段で生成した前記時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項19】
前記統計情報を取得する統計情報取得手段をさらに備え、
前記表示情報生成手段は、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した前記現況情報をもとに前記重畳表示用情報を生成するとともに、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに前記重畳表示用情報を生成し、
当該現況情報をもとに生成された重畳表示用情報である現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した、前記統計情報をもとに生成された重畳表示用情報である予測重畳表示用情報を検索するとともに、
当該現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した前記予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合には、前記検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定し、時間的に前後する複数の時点ごとの前記重畳表示用情報を生成することを特徴とする請求項18に記載のナビゲーション装置。
【請求項20】
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報を順次格納していくことによって、過去に生成した過去の重畳表示用情報を蓄積していく重畳表示用情報格納手段をさらに備え、
前記表示情報生成手段は、
前記現況重畳表示用情報と分布の傾向が類似した前記予測重畳表示用情報が検索によって得られた場合に、
前記重畳表示用情報格納手段から、当該現況重畳表示用情報から所定の時間遡った過去の重畳表示用情報を取得するとともに、
前記検索で得られた予測重畳表示用情報から当該所定の時間遡った過去の予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成し、
当該過去の重畳表示用情報と当該過去の予測重畳表示用情報との分布の傾向が類似するか否かを判定して、
類似すると判定した場合には、前記検索で得られた予測重畳表示用情報から時間的に進んだ予測重畳表示用情報を、前記統計情報取得手段で取得した前記統計情報をもとに生成して、生成したこの予測重畳表示用情報を当該現況重畳表示用情報から時間的に進んだ将来の現況重畳表示用情報と推定することを特徴とする請求項19に記載のナビゲーション装置。
【請求項21】
前記車両の速度を検出する車速センサをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記車速センサで検出した前記車両の速度に応じて、前記時系列に沿って順番に表示させる際の表示の切り替えの周期を変更することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項22】
前記運行方針関連情報取得手段は、一定の期間ごとに新たな前記運行方針関連情報を取得するとともに、
前記表示情報生成手段は、前記時間的に前後する複数の時点ごとの重畳表示用情報として、前記一定の期間ごとの重畳表示用情報を生成し、
前記表示制御手段は、前記表示情報生成手段で生成した前記一定の期間ごとの重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を、時系列に沿って順番に表示させることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項23】
前記統計情報を格納する統計情報格納手段をさらに備え、
前記統計情報取得手段は、前記統計情報格納手段から前記統計情報を取得することを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項24】
前記統計情報取得手段は、前記統計情報を格納する前記車両外の情報センタから前記統計情報を取得することを特徴とする請求項19〜23に記載のナビゲーション装置。
【請求項25】
ユーザの運転する車両の経路の情報および前記車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む前記車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置との間で情報の送受信を行う通信手段を備えている情報センタであって、
前記ナビゲーション装置から前記通信手段によって得られる前記経路案内関連情報をもとに、前記車両が通行し得る経路である通行候補経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索した通行候補経路を前記車両が通行する場合の、当該通行候補経路中の各道路区間における前記車両の進行方向を決定する進行方向決定手段と、
前記車両の運行方針に影響を与える、少なくとも時間経過に伴って変化が生じる現象の情報である運行方針関連情報を取得する運行方針関連情報取得手段と、
前記運行方針関連情報取得手段で取得した運行方針関連情報をもとに、前記経路探索手段で探索した通行候補経路および前記進行方向決定手段で決定した前記車両の進行方向を考慮して、前記地図画面上に表示させる運行方針関連情報を示す画像の情報である重畳表示用情報を生成する表示情報生成手段と、を備え、
前記表示情報生成手段で生成した前記重畳表示用情報を前記通信手段によって前記ナビゲーション装置に送信し、当該重畳表示用情報に従った前記運行方針関連情報を示す画像を前記ナビゲーション装置において前記地図画面上に重畳して表示させることを特徴とする情報センタ。
【請求項26】
ユーザの運転する車両の経路の情報および前記車両の現在位置の情報のうちの少なくともいずれかの情報を含む前記車両の経路案内に関連する情報である経路案内関連情報を示す画像を地図画面上に重畳して表示させるナビゲーション装置と、
請求項25に記載の情報センタと、を含む案内システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
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【図8】
【公開番号】特開2011−21997(P2011−21997A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167132(P2009−167132)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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