説明

ナビゲーション装置、現在位置修正方法、および、プログラム

【課題】移動体がカーブ路へ進入する手前において、現在位置の誤認識をなるべく修正する技術を提供する。
【解決手段】移動体に設置されたナビゲーション装置100は、当該移動体の地図上における現在位置を算出する現在位置算出手段と、その現在位置に基づき、当該移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在するか否か判定するカーブ路判定手段と、カーブ路判定手段でカーブ路が存在すると判定された場合に、当該移動体において当該カーブ路に進入する準備がなされないとき、現在位置算出手段で算出された現在位置を修正する現在位置修正手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、現在位置修正方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、移動体(例えば、自動車などの車両)の走行状態を電子的に制御することによって、安全かつスムーズな走行を可能にする技術が開発されている。
【0003】
例えば、移動体がカーブした道路(以下では「カーブ路」とよぶ)へ進入する手前で、減速制御を行って、カーブ路での安全走行を可能にする技術などがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−236699号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記技術では、移動体の現在位置を正確に認識できていることが前提となっている。そのため、仮に、移動体の現在位置を誤認識した場合には、不要な減速制御が行われる場合がある。
【0006】
本発明は、移動体がカーブ路へ進入する手前において、現在位置の誤認識をなるべく修正する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本願発明は、移動体に設置されたナビゲーション装置であって、前記移動体の地図上における現在位置を算出する現在位置算出手段と、前記現在位置に基づき、前記移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在するか否か判定するカーブ路判定手段と、前記カーブ路判定手段でカーブ路が存在すると判定された場合に、前記移動体において当該カーブ路に進入する準備がなされないとき、前記現在位置を修正する現在位置修正手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの概略データ構造の一例を示す図である。
【図3】ナビゲーション装置と車両制御装置との接続状態を示した図である。
【図4】演算処理部の機能ブロック図である。
【図5】カーブ路への進入時における現在位置マークの表示例を示す図である。
【図6】現在位置表示処理の概要を示すフロー図である。
【図7】カーブ路進入処理の概要を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するようにナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(マイクロフォン41、スピーカ42)と、入力装置5(タッチパネル51、ダイヤルスイッチ52)と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、を備えている。ナビゲーション装置100は、車両に載置されている車載用ナビゲーション装置としてもよいし、携帯電話やPDAなどの携帯端末としてもよい。
【0011】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。そして、演算処理部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜106)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0012】
例えば、演算処理部1は、車速センサ6、ジャイロセンサ7、GPS受信装置8から出力される情報を基にして現在位置を算出する。また、算出された現在位置に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在位置マーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地、又は演算処理部1で算出された現在位置と、目的地と、を結ぶ最適な経路(以下では「推奨経路」という)を探索する。また、音声入出力装置4のスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0013】
ディスプレイ2は、文字や画像の表示を行うための画面を備え、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を前記画面上に表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0014】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、地図データ310、辞書データ、音声データ、動画データ、等が記憶されている。また、記憶媒体は、電源供給が停止した場合でも必要なデータを保持可能なフラッシュメモリなどで構成されていてもよい。
【0015】
図2は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0016】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、リンクを含む道路がカーブ路であるか否かの判断材料となる曲率半径327、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、地図データ310には、地図表示における道路や施設を表示するための描画データが格納されている。
【0017】
図1に戻り、音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などを取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0018】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0019】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0020】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ52の回転角度を求める。
【0021】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、移動体(ナビゲーション装置100)の現在位置(自車位置)などを算出するために使用される。車速センサ6は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0022】
ところで、以上のようなナビゲーション装置100は、車両(移動体)の様々な動作を制御する車両制御装置200に接続される。
【0023】
図3は、ナビゲーション装置100と車両制御装置200の接続状態を示した図である。図示するように、車両制御装置200には、ナビゲーション装置100に加え、アクセルペダル210、動力源220、ブレーキ制御機構230、が接続されている。
【0024】
ここで、動力源220は、エンジン駆動の車両(移動体)においてはエンジンに相当し、電気駆動の車両においてはモーターに相当する。
【0025】
また、ブレーキ制御機構230は、車輪(タイヤ)の回転を抑制する機構である。その抑制方式には、例えば、機械式、油圧式、空気式、電気式、いずれの方式を採用してもよい。
【0026】
そして、車両制御装置200は、例えば、アクセルペダル210の踏み込み量(以下では、「アクセル開度」や「アクセルペダル開度」ともいう)を検出し、検出した踏み込み量に応じて、動力源230のスロットル開度を調節する。
【0027】
また、車両制御装置200は、車両(移動体)に対して減速制御を行う場合には、アクセルペダル210に反力を与え、アクセルペダル210を踏み込みにくくするとともに、一定の速度以下となるように、ブレーキ制御機構230によるブレーキ(車輪の回転を抑制する力)を調節する。
【0028】
なお、車両制御装置200は、ナビゲーション装置100からの指示に基づき、車両の走行制御を行うことができる。例えば、車両制御装置200は、ナビゲーション装置100からの指示に従って、減速制御を開始、終了、中止することができる。
【0029】
次に、ナビゲーション装置100の演算処理部1が有する機能について説明する。
【0030】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、基本制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、走行状態管理部104と、現在位置管理部105と、減速制御部106と、を有する。
【0031】
基本制御部101は様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の機能部を制御する。例えば、基本制御部101は、各種センサ6、7、GPS受信装置8等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在位置を算出する。また、基本制御部101は、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、基本制御部101は、各機能部からの要求に応じて、GPS受信装置8によって受信したGPS情報に含まれる現在時刻を出力する。また、基本制御部101は、他の機能部から推奨経路の情報を要求されると、当該情報を出力する。
【0032】
また、基本制御部101は、地図データ310を用いて、出発地又は現在位置と、目的地と、を結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(例えば、リンク)に対して予め設定されたリンクコスト(図2のリンク旅行時間325でもよい)に基づいて経路を探索する。なお、基本制御部101は、現在の日時に基づいて予測した到着日時・日の種類に対応する統計情報に含まれるリンクコストを用いて、推奨経路を探索してもよい。
【0033】
また、基本制御部101は、車両の現在位置が推奨経路から逸脱しないように、推奨経路に基づいて誘導情報を生成し、出力処理部103へ出力する。
【0034】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力されたユーザ(搭乗者)からの指示を受け付け、他の機能部に出力する。例えば、入力受付部102は、入力装置5を介して電源の投入や切断等が指示されると、その指示を基本制御部101へ出力する。
【0035】
出力処理部103は、ディスプレイ2に、地図、推奨経路、ユーザに通知する各種メッセージ、等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、他の機能部からの指示に基づき、ディスプレイ2の画面上に表示させるためのグラフィックス情報を生成してディスプレイ2に送信する。また、出力処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、移動体(車両)の現在位置を示す現在位置マーク(移動体マーク)や各種設定画面などを表示するグラフィック情報を生成してディスプレイ2へ送信する。また、出力処理部103は、基本制御部101から出力された誘導情報に基づく音声信号を、スピーカ42から音声出力させる。
【0036】
走行状態管理部104は、移動体(自車両)の走行状態を管理する。具体的には、走行状態管理部104は、移動体の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、アクセル開度)を定期的に取得し、所定の記憶領域(例えば、RAM22)に記憶する。また、走行状態管理部104は、他の機能部からの要求に応じて、移動体の走行状態についての情報を提供する。
【0037】
現在位置管理部105は、移動体(自車両)の現在位置を管理する。具体的には、現在位置管理部105は、基本制御部101で現在位置が算出される毎に、その現在位置を所定の記憶領域(例えば、RAM22)に記憶する。
【0038】
また、現在位置管理部105は、移動体の現在位置に基づき、当該移動体の地図上の進行方向(すなわち、走行予定の経路上)にカーブ路が存在するか否か判別する。
【0039】
さらに、現在位置管理部105は、進行方向にカーブ路が存在する場合には、移動体(自車両)の走行状態に基づき、当該移動体においてカーブ路に進入する準備がなされているか否か判別する。
【0040】
そして、現在位置管理部105は、移動体がそのカーブ路へ進入するまでの間に、カーブ路に進入する準備がなされなかった場合には、現在位置を誤認識していると判断して、現在位置を適切な位置に修正する。
【0041】
減速制御部106は、移動体(自車両)の減速制御について、開始、終了、中止の指示を車両制御装置200へ出力する。
【0042】
具体的には、減速制御部106は、減速制御を開始するポイントとして予め定められていた位置(例えば、カーブ路の始点から数100m手前の位置)に移動体が到達すると、減速制御を開始する指示を車両制御装置200へ出力する。
【0043】
また、減速制御部106は、減速制御を終了するポイントとして予め定められていた位置(例えば、カーブの終点)に移動体が到達すると、減速制御を終了する指示を車両制御装置200へ出力する。
【0044】
また、減速制御部106は、移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在すると判定された後に、現在位置を誤認識していることが判明した場合には、ただちに減速制御を中止する指示を車両制御装置200へ出力する。
【0045】
なお、図5は、移動体の進行方向にカーブ路が存在すると判定された後に、現在位置が修正された場合における、現在位置マークの表示例を示す図である。
【0046】
図示するように、出力処理部103は、基本制御部101で現在位置が算出される毎に、算出された現在位置に現在位置マークを表示する。
【0047】
図示する例では、現在位置マークは、M0→M1→M2→M3の位置へと移動している。ここで、移動体の進行方向(すなわち、太線で示す「走行予定の経路」上)には、カーブ路が存在する。そのため、基本制御部101で算出された現在位置が正しければ、カーブ路への進入に備え、移動体は減速する(少なくとも加速はしない)はずである。
【0048】
しかし、実際には、移動体は加速していることが、走行状態管理部104で得られる走行状態についての情報(例えば、アクセル開度)からわかる。そこで、現在位置管理部105は、移動体がそのカーブ路へ進入するまでの間に、カーブ路に進入する準備がなされなかったとみなし、現在位置を誤認識していると判断する。すなわち、図示するように、実際には、移動体は、M0→M1’→M2’→M3’と移動(すなわち、点線で示す「実際に走行した経路」上を移動)していたことがわかる。そこで、現在位置管理部105は、現在位置をM3からM3’へと修正する。
【0049】
このとき、出力処理部103は、現在位置管理部105で修正された現在位置に現在位置マークを表示し直す。
【0050】
こうして、本実施形態のナビゲーション装置100は、移動体がカーブ路へ進入する手前において、現在位置の誤認識を修正することができる。
【0051】
また、減速制御部106は、移動体がM0→M1→M2→M3へと移動していると誤認識している間は、減速制御を車両制御装置200へ指示している。そのため、実際には不要であるにもかかわらず、減速制御が行われてしまう。しかし、減速制御部106は、現在位置の誤認識が明らかになった時点(すなわち、現在位置をM3からM3’へ修正した時点)で、ただちに減速制御を中止するため、不要な減速制御をいつまでも続行することはない。
【0052】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0053】
また、各機能部(101〜106)は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0054】
次に、上記構成からなるナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。
【0055】
<現在位置表示処理>
演算処理部1は、ナビゲーション装置100に電源が投入されている間、定期的に(例えば、図5に示すM0、M1、M2、M3の位置で)本フローを実行して、移動体の現在位置を繰り返し算出し、算出された現在位置に応じて現在位置マークを移動させる表示を行う。
【0056】
図6は、このような現在位置表示処理の概要を示すフロー図である。
【0057】
図示するように、本フローを開始すると、基本制御部101は、各種センサ6、7、GPS受信装置8等の情報を取得し(ステップS101)、マップマッチング処理等を行って現在位置を算出する(ステップS102)。
【0058】
このとき、現在位置管理部105は、ステップS102で現在位置が算出されると、その現在位置を所定の記憶領域(例えば、RAM22)に記憶する。
【0059】
また、走行状態管理部104は、移動体の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、アクセル開度)を車両制御装置200から取得し、所定の記憶領域(例えば、RAM22)に記憶する(ステップS103)。図5に示す例では、走行状態管理部104は、M0の位置でアクセル開度が15%、M1の位置でアクセル開度が20%、M2の位置でアクセル開度が23%、M3の位置でアクセル開度が30%、という情報を取得している。
【0060】
それから、出力処理部103は、ディスプレイ2に表示されている地図上に、ステップS102で算出された現在位置に対応する現在位置マーク(移動体マーク)を表示する(ステップS104)。
【0061】
こうして、ナビゲーション装置100は、移動体の現在位置に応じて、地図上の現在位置マークを移動させることができる。
【0062】
<カーブ路進入処理>
また、演算処理部1は、移動体(自車両)がカーブ路に進入する手前において、車両制御装置200に対して減速制御を命じ、安全かつスムーズな走行を可能にする。以下に、移動体の進行方向にカーブ路が有ると判定された場合に行われる処理(「カーブ路進入処理」について説明する。
【0063】
図7は、カーブ路進入処理の概要を示すフロー図である。
【0064】
演算処理部1は、例えば、ナビゲーション装置100に電源が投入されるタイミングで、本フローを開始する。
【0065】
本フローを開始すると、現在位置管理部105は、まず、移動体の地図上での進行方向にカーブ路が有るか否か判別する(ステップS201)。
【0066】
具体的には、現在位置管理部105は、上記ステップS102で算出された現在位置に基づき、移動体(自車両)が走行中のリンク(リンクID321)を地図データ310から特定する。そして、現在位置管理部105は、移動体(自車両)がこれから走行する予定の経路(例えば、走行中のリンクから進行方向に連続して繋がっている複数のリンク)に、基準値以上の曲率半径327を有するリンク(リンクID321)が存在する場合には、進行方向にカーブ路が有ると判定する。一方、現在位置管理部105は、移動体(自車両)がこれから走行する予定の経路に、基準値以上の曲率半径327を有するリンク(リンクID321)が存在しない場合には、進行方向にカーブ路は無いと判定する。
【0067】
ここで、現在位置管理部105は、移動体の進行方向にカーブ路が有ると判定されるまでは、繰り返し(例えば、上記の現在位置表示処理によって現在位置が算出される毎に)、ステップS201の処理を実行して待機する(ステップS201;No)。
【0068】
そして、現在位置管理部105は、移動体の進行方向にカーブ路が有ると判定されると(ステップS201;Yes)、処理をステップS202に移行する。
【0069】
処理がステップS202に移行すると、減速制御部106は、減速制御開始位置A、減速制御終了位置Bを設定する(ステップS202)。
【0070】
ここで、減速制御開始位置Aとは、減速制御を開始する位置であり、例えば、図5に示すように、カーブ路の始点から数100m手前の位置である。また、減速制御終了位置Bとは、減速制御を終了する位置であり、例えば、図5に示すように、カーブ路の終点である。
【0071】
減速制御開始位置A、減速制御終了位置Bが設定されると、減速制御部106は、移動体が減速制御開始位置Aに到達したか否か判別する(ステップS203)。
【0072】
このとき、減速制御部106は、移動体が減速制御開始位置Aに到達するまでは、繰り返し(例えば、上記の現在位置表示処理によって現在位置が算出される毎に)、ステップS203の処理を実行して待機する(ステップS203;No)。
【0073】
そして、減速制御部106は、移動体が減速制御開始位置Aに到達すると(ステップS203;Yes)、処理をステップS204に移行する。
【0074】
処理がステップS204に移行すると、減速制御部106は、車両制御装置200に対して減速制御を開始する指示を出力する(ステップS204)。
【0075】
この指示を受け付けた車両制御装置200は、移動体に対して減速制御を開始し、例えば、アクセルペダル210に反力を与えるとともに、車輪の回転を抑制して移動体が一定の走行速度以下となるようにする。
【0076】
なお、車両制御装置200は、減速制御部106から減速制御の中止、又は終了の指示が出力されるまでは、以下の処理(ステップS205以降の処理)と並行して減速制御を続ける。
【0077】
また、現在位置管理部105は、減速制御を開始した位置(図5に示す例では「M0」の位置)における走行状態の基準値を記憶しておく(ステップS205)。例えば、現在位置管理部105は、走行状態の基準値として、減速制御開始位置Aを通過した時点の、アクセルペダル210の踏み込み量(すなわち、ステップS103で取得した最新のアクセル開度)を、所定の記憶領域(例えば、RAM22)に保持しておく。
【0078】
それから、現在位置管理部105は、しばらく待機し、上記の現在位置表示処理によって新たに現在位置が算出されると、その時点における移動体の走行状態が想定以上であるか否か判別する(ステップS206)。
【0079】
例えば、現在位置管理部105は、新たに現在位置が算出された位置(「M1」、「M2」、「M3」等の位置)でのアクセルペダル210の踏み込み量(すなわち、直近のステップS103で取得した最新のアクセル開度)が、ステップS205で基準値として保持しておいたアクセルペダル210の踏み込み量(すなわち、減速制御開始位置Aを通過した時点のアクセル開度)を超えているか否か判別する。
【0080】
そして、現在位置管理部105は、新たに現在位置が算出された位置(「M1」、「M2」、「M3」等の位置)でのアクセルペダル210の踏み込み量が、基準値を超えている場合には、移動体の走行状態は想定以上と判定される(ステップS206;Yes)。この場合、現在位置管理部105は、移動体においてカーブ路に進入する準備がなされていないと判断し、処理をステップS207へ移行する。
【0081】
処理がステップS207へ移行すると、現在位置管理部105は、移動体の現在位置(すなわち、直近のステップS101で算出された最新の現在位置であり、図5に示す例では「M3」の位置)を、適切な位置(図5に示す例では「M3’」の位置)へ修正する(ステップS207)。
【0082】
具体的には、現在位置管理部105は、マップマッチング処理等を再び行って、次候補となる道路上へ現在位置を移動させればよい。
【0083】
そして、出力処理部103は、ディスプレイ2に表示されている地図上に、ステップS207で修正された現在位置に対応する現在位置マーク(移動体マーク)を表示する(ステップS208)。
【0084】
また、以上のように現在位置が修正されると、減速制御部106は、ただちに減速制御を中止する指示を、車両制御装置200へ出力する(ステップS210)。
【0085】
そして、この指示を受け付けた車両制御装置200は、減速制御を中止する。
【0086】
こうして、本実施形態のナビゲーション装置100は、移動体がカーブ路へ進入する手前において、現在位置の誤認識をなるべく修正し、不要な減速制御をなるべく行わないようにできる。
【0087】
一方、上記のステップS206において、現在位置管理部105は、新たに現在位置が算出された位置(「M1」、「M2」、「M3」等の位置)でのアクセルペダル210の踏み込み量が、基準値を超えていない場合には、移動体の走行状態は想定内と判定される(ステップS206;No)。この場合、現在位置管理部105は、移動体においてカーブ路に進入する準備がなされていると判断し、処理をステップS209へ移行する。
【0088】
処理がステップS209へ移行すると、減速制御部106は、移動体が減速制御終了位置Bに到達したか否か判別する(ステップS209)。
【0089】
このとき、減速制御部106は、移動体が減速制御終了位置Bに到達していなければ(ステップS209;No)、処理をステップS206へ戻す。
【0090】
これにより、減速制御開始位置Aから減速制御終了位置Bまでの間で、移動体の現在位置が正しく認識され続けた場合には、ステップS206とS209の処理が繰り返し行われることとなり、その間、移動体の減速制御が続行される。
【0091】
一方、減速制御部106は、移動体が減速制御終了位置Bに到達すると(ステップS209;Yes)、処理をステップS210に移行する。
【0092】
処理がステップS209からS210へ移行すると、減速制御部106は、減速制御を終了する指示を、車両制御装置200へ出力する(ステップS210)。
【0093】
そして、この指示を受け付けた車両制御装置200は、減速制御を終了する。
【0094】
このように、本実施形態のナビゲーション装置100は、移動体の現在位置を正しく認識できている場合には、安全かつスムーズにカーブ路を走行するための減速制御を確実に行うことができる。
【0095】
なお、上記した各フローの各処理単位は、ナビゲーション装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0096】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0097】
例えば、上記実施形態では、アクセルペダル210の踏み込み量が、基準値を超えている場合に、カーブ路に進入する準備がなされていないと判断され、現在位置を修正している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、移動体の走行速度が所定基準を上回る場合に、カーブ路に進入する準備がなされていないと判断するようにしてもよい。また、アクセルペダル210の開度が、基準となる開度よりも所定割合以上増加した場合に、カーブ路に進入する準備がなされていないと判断するようにしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、移動体(自車両)が走行する予定の経路を、走行中のリンクから進行方向に連続して繋がっている複数のリンクとして説明している。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、移動体が走行する予定の経路を、推奨経路に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・インターフェイス(I/F)、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・基本制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・走行状態管理部、105・・・現在位置管理部、106・・・減速制御部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク、327・・・曲率半径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置されたナビゲーション装置であって、
前記移動体の地図上における現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置に基づき、前記移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在するか否か判定するカーブ路判定手段と、
前記カーブ路判定手段でカーブ路が存在すると判定された場合に、前記移動体において当該カーブ路に進入する準備がなされないとき、前記現在位置を修正する現在位置修正手段と、を備える、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在する場合に減速制御を行う減速制御手段を、さらに備え、
前記減速制御手段は、
前記移動体において前記カーブ路に進入する準備がなされないとき、前記減速制御を中止する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記現在位置修正手段は、
アクセルペダルの踏み込み量が基準値を超えている場合に、前記カーブ路に進入する準備がなされていないと判定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記現在位置修正手段は、
前記移動体の速度が所定基準を上回る場合に、前記カーブ路に進入する準備がなされていないと判定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記現在位置修正手段は、
アクセルペダルの開度が、基準となる開度よりも所定割合以上増加した場合に、前記カーブ路に進入する準備がなされていないと判定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
移動体に設置されたナビゲーション装置における現在位置修正方法であって、
前記移動体の地図上における現在位置を算出する現在位置算出ステップと、
前記現在位置に基づき、前記移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在するか否か判定するカーブ路判定ステップと、
前記カーブ路判定ステップでカーブ路が存在すると判定された場合に、前記移動体において当該カーブ路に進入する準備がなされないとき、前記現在位置を修正する現在位置修正ステップと、を行う、
ことを特徴とする現在位置修正方法。
【請求項7】
コンピューターを、移動体に設置されたナビゲーション装置として機能させるためのプログラムであって、
前記移動体の地図上における現在位置を算出する現在位置算出ステップと、
前記現在位置に基づき、前記移動体の地図上の進行方向にカーブ路が存在するか否か判定するカーブ路判定ステップと、
前記カーブ路判定ステップでカーブ路が存在すると判定された場合に、前記移動体において当該カーブ路に進入する準備がなされないとき、前記現在位置を修正する現在位置修正ステップと、を前記コンピューターに実行させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−72698(P2013−72698A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210952(P2011−210952)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】