説明

ナビゲーション装置、車載センサの精度推定方法、および、プログラム

【課題】車載センサの信頼度を簡易な方法で推定する技術を提供する技術を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、車載センサの精度を推定するナビゲーション装置であって、特定の区間の距離が記録されている地図データを記憶している記憶手段と、車載センサを用いて、当該区間の距離を計測する計測手段と、地図データに記録されている距離と、計測手段で計測された距離と、のずれ量に基づいて、車載センサの精度を推定するセンサ精度推定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、車載センサの精度推定方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車(車両)は、高機能化が進み、各種車載センサを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような車載センサの信頼度は、環境(例えば、天候など)の変化に伴って変動する。例えば、雨天時には、カメラやレーザレーダなどの信頼度は低くなる場合がある。
【0004】
一般的には、そのような信頼度の低い車載センサから得られた情報は利用しない方がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車載センサの信頼度を確認するための技術は確立していない。
【0007】
本発明は、車載センサの信頼度を簡易な方法で推定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本願発明は、車載センサの精度を推定するナビゲーション装置であって、特定の区間の距離が記録されている地図データを記憶している記憶手段と、前記車載センサを用いて、前記区間の距離を計測する計測手段と、前記地図データに記録されている距離と、前記計測手段で計測された距離と、のずれ量に基づいて、前記車載センサの精度を推定するセンサ精度推定手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの概略データ構造を示す図である。
【図3】演算処理部の機能ブロック図である。
【図4】車載センサの精度(信頼度)を推定するための処理の概要を示すフロー図である。
【図5】分岐・合流有無判断処理を示すフロー図である。
【図6】合流地点における道路の概要図である。
【図7】センサ認識結果取得処理を示すフロー図である。
【図8】センサ精度推定処理を示すフロー図である。
【図9】道路における料金所付近の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するようにナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(マイクロフォン41、スピーカ42)と、入力装置5(タッチパネル51、ダイヤルスイッチ52)と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、FM多重放送受信装置9と、ビーコン受信装置10と、カメラ11と、を備えている。ナビゲーション装置100は、車両に載置されている車載用ナビゲーション装置としてもよいし、携帯電話やPDAなどの携帯端末としてもよい。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、演算処理部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜104)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0013】
例えば、演算処理部1は、車速センサ6、ジャイロセンサ7、GPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地マーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザーから指示された出発地、又は演算処理部1で算出された現在地と、目的地と、を結ぶ最適な経路(以下では「推奨経路」という)を探索する。また、音声入出力装置4のスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザーを誘導する。
【0014】
ディスプレイ2は、文字や画像の表示を行うための画面を備え、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を前記画面上に表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0015】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、地図データ310、音声データ、動画データ、等が記憶されている。また、記憶媒体は、電源供給が停止した場合でも必要なデータを保持可能なフラッシュメモリなどで構成されていてもよい。
【0016】
図2は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0017】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、道路の合流地点における加速区間の位置(例えば、始点、終点)や、道路の分岐地点における車線変更が可能な区間の位置(例えば、始点、終点)を示す特定区間データ327、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、特定区間が存在しないリンク(リンクID321)には、特定区間データ327は対応付けられていない。また、地図データ310には、地図表示における道路や施設を表示するための描画データが格納されている。
【0018】
図1に戻り、音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などを取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0019】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0020】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0021】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ52の回転角度を求める。
【0022】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、移動体(ナビゲーション装置100)の現在地(自車位置)などを算出するために使用される。車速センサ6は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在地や進行速度を測定する。
【0023】
FM多重放送受信装置9は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Infomation Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などのFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0024】
ビーコン受信装置10は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0025】
カメラ11は、所定のセンサ領域(例えば、進行方向を中心として左右に角度差θの範囲)の路面を撮影する。カメラ11は、限定するものではないが、例えば、走行レーンを特定するためや、車両前方の障害物を検知するために使用される。
【0026】
なお、カメラ11の代わりに、或いは、カメラ11と共に、他の車載センサ(電磁波を検知するためのレーダーや音波を検知するためのソナー等)を備えていてもよい。ここで、レーダーやソナーは、例えば、車両前方の障害物を検知するためや、他の車両との車間距離を測定するために使用される。
【0027】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、センサ精度推定部104と、を有する。
【0028】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の
機能部を制御する。例えば、主制御部101は、推奨経路の探索や、探索された推奨経路を用いて経路誘導を行う。また、主制御部101は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、推奨経路全体を表示するのに必要な領域)にある地図データを記憶装置3から抽出し、指定された描画方式で、道路、その他の地図構造物、出発地や現在地、目的地、推奨経路、等を描画させる指示を、表示処理部103に対して通知する。
【0029】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザーからの要求を受け付け、その要求内容を解析し、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、ナビゲーション装置100の入力装置5に、電源の投入や切断を指示する要求、車載センサ(例えば、カメラ11)起動の契機となる要求、等が入力されると、その情報を受け付けて解析し、主制御部101に通知する。
【0030】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図、推奨経路、ユーザーに通知する各種メッセージ、等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、主制御部101からの指示に基づき、ディスプレイ2の画面上に表示させるためのグラフィックス情報を生成してディスプレイ2に送信する。また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、車両の位置を示す車両マークや各種設定画面などを表示するグラフィック情報を生成してディスプレイ2へ送信する。
【0031】
センサ精度推定部104は、車載センサ(カメラ11)の精度(信頼度)を推定する。具体的には、センサ精度推定部104は、道路上の分岐地点、合流地点の有無を判断する(後述する「分岐・合流判断処理」)。そして、センサ精度推定部104は、分岐地点、合流地点が存在する場合には、カメラ11を用いてセンサ領域の路面を撮影し、分岐地点又は合流地点の特定区間に設けられている路面標示(例えば、路面に引かれているライン)を認識する(後述する「センサ認識結果取得処理」)。さらに、センサ精度推定部104は、カメラ11を用いて認識したライン(特定区間)と、地図データ310に予め格納されている特定区間データ327を比較して、車載センサ(カメラ11)の精度(信頼度)を推定する(後述する「センサ精度推定処理」)。
【0032】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0033】
また、各機能部(101〜104)は、ハードウエア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウエアで実行されてもよいし、複数のハードウエアで実行されてもよい。
【0034】
次に、上記構成からなるナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。
【0035】
<センサ精度推定部104が行う処理>
図4は、ナビゲーション装置100のセンサ精度推定部104が行う、車載センサ(本実施形態ではカメラ11)の精度を推定するための処理の概要を示すフローチャートである。
【0036】
図示するように、センサ精度推定部104は、上述した、「分岐・合流判断処理S1」、「センサ認識結果取得処理S2」、「センサ精度推定処理S3」の順に処理を実行し、車載センサの精度を推定する。なお、限定するものではないが、上記のS1の処理を開始するタイミングは、例えば、推奨経路に沿った経路誘導が開始されるタイミングでよい。
【0037】
以下に、各処理(S1〜S3)について、図5、6、7、8を参照して詳細に説明する。
【0038】
<分岐・合流判断処理>
図5は、センサ精度推定部104が行う「分岐・合流判断処理S1」を示すフローチャートである。なお、主制御部101は、経路誘導が開始されるタイミングで、本処理(分岐・合流判断処理S1)の開始の指示をセンサ精度推定部104に通知する。
【0039】
センサ精度推定部104は、主制御部101からの通知を受け、本処理(分岐・合流判断処理S1)を開始すると、リンクデータ320の先読みを行う(ステップS101)。具体的には、センサ精度推定部104は、記憶装置3に格納されている地図データ310から、推奨経路を構成するリンク(リンクID321)を特定する。そして、センサ精度推定部104は、特定した推奨経路のリンクのうち、移動体(ナビゲーション装置100を搭載した車両)の現在地から所定距離内(例えば、3km内)に存在するリンク(ただし、未走行のリンク)を読み出す。
【0040】
次に、センサ精度推定部104は、現在地から所定距離内に分岐地点、又は、合流地点が存在するか否か判別する(ステップS102)。具体的には、センサ精度推定部104は、ステップS101で読み出したリンク(リンクID321)に、特定区間データ327が対応付けられているか否か判別する。
【0041】
ここで、センサ精度推定部104は、先読みしたリンクに特定区間データ327が対応付けられている場合には、現在地から所定距離内に分岐地点、又は、合流地点が存在すると判定する。一方、センサ精度推定部104は、先読みしたリンクに特定区間データ327が対応付けられていない場合には、現在地から所定距離内に分岐地点、又は、合流地点は存在しないと判定する。
【0042】
そして、センサ精度推定部104は、現在地から所定距離内に分岐地点、又は、合流地点が存在しないと判定した場合には(ステップS102;No)、処理をステップS101に戻す。従って、センサ精度推定部104は、分岐地点、又は、合流地点が存在しないリンク(道路)を走行し続けている間は、ステップS101、S102の処理を繰り返し実行する。
【0043】
一方、ステップS102において、センサ精度推定部104は、現在地から所定距離内に分岐地点、又は、合流地点が存在すると判定した場合には(ステップS102;Yes)、処理をステップS103に移行する。
【0044】
処理がステップS103に移行すると、センサ精度推定部104は、分岐地点、又は、合流地点に引かれているライン(特定区間)の位置を記憶しておく(ステップS103)。具体的には、センサ精度推定部104は、ステップS102において分岐地点、又は、合流地点が存在すると判定したリンクに対応付けられている特定区間データ327から、特定区間の始点と、終点を示す座標データを抽出し、メモリ(例えば、RAM22)に記憶しておく。
【0045】
なお、図6は、上述した合流地点における道路の概要図である。一般的に、支線から本線に合流する場合、ドライバーは、移動体(車両)を加速させて本線に合流する。そのため、合流地点には、図示するように、移動体を加速させるための特定区間(加速区間)が設けられている。このような特定区間の路面には、図示するように、本線と支線とを区切るためのラインが引かれている。上述したリンクデータ320の特定区間データ327には、図示する特定区間の始点、終点の位置を示す座標データが予め格納されている。そして、センサ精度推定部104は、ステップS103において、移動体が近づいている合流地点に対応する特定区間データ327を読み出す(メモリに記憶する)。
【0046】
ステップS103の処理を終了すると、センサ精度推定部104は、本処理を終了するとともに主制御部101に通知する。
【0047】
<センサ認識結果取得処理>
図7は、センサ精度推定部104が行う「センサ認識結果取得処理S2」を示すフローチャートである。なお、主制御部101は、分岐・合流判断処理S1の終了が通知されるタイミングで、本処理(センサ認識結果取得処理S2)の開始の指示をセンサ精度推定部104に通知する。
【0048】
センサ精度推定部104は、主制御部101からの通知を受け、本処理(センサ認識結果取得処理S2)を開始すると、合流地点の路面に引かれているラインの線種を認識する(ステップS201)。具体的には、センサ精度推定部104は、カメラ11を起動して、センサ領域の路面を撮影する。そして、センサ精度推定部104は、カメラ11を用いて撮影して得られる画像データを解析(特徴抽出など)して、路面に引かれているラインの線種を認識する。なお、カメラ11の撮影範囲であるセンサ領域は、例えば、図6に示すような領域とし、特定区間に引かれているラインが撮影可能な領域である。
【0049】
センサ精度推定部104は、ステップS201で認識した線種が、取得目標の線種(すなわち、特定区間に引かれているライン)であるか否か判別する(ステップS202)。具体的には、センサ精度推定部104は、特定区間に引かれているラインの特徴情報を記憶装置3から読み出す。そして、センサ精度推定部104は、読み出した特徴情報と、ステップS201で取得した画像データの特徴の類似度によって判別する。例えば、センサ精度推定部104は、その類似度が所定の閾値以上である場合に、ステップS201で認識した線種が、取得目標の線種であると判定する。一方、その類似度が所定の閾値未満である場合には、ステップS201で認識した線種が、取得目標の線種ではないと判定する。なお、特定区間に引かれているラインの特徴情報は、予め記憶装置3に格納されている
【0050】
そして、センサ精度推定部104は、ステップS201で認識した線種が、取得目標の線種であると判定した場合には(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。
【0051】
処理がステップS203に移行すると、センサ精度推定部104は、ステップS201で認識したラインが、特定区間の路面に引かれているラインの始点か否か判別する(ステップS203)。具体的には、センサ精度推定部104は、ステップS202で取得目標の線種として判定したのが初めてであるか否か判別する。ここでの判別方法としては、限定するものではないが、例えば、特定区間に引かれているラインの始点を認識した(ステップS204に処理が初めて移行する)タイミングでフラグをたて(「1」にする)、そのラインの終点を確定した(後述するステップS211に処理が移行する)タイミングでフラグをおろす(「0」にする)ようにしておき、そのフラグに基づいて判別する。
【0052】
ステップS203において、特定区間の路面に引かれているラインの始点と判定されると(ステップS203;Yes)、センサ精度推定部104は、処理をステップS204に移行する。そして、センサ精度推定部104は、特定区間に引かれているラインの始点位置をメモリ(例えば、RAM22)に記憶する(ステップS204)。具体的には、センサ精度推定部104は、GPS受信装置8から得られるデータなどを用いて、現在地を算出する。そして、センサ精度推定部104は、算出した現在地に基づいて、特定区間の路面に引かれているラインの始点位置を算出する。なお、ラインの始点位置を算出する方法としては、限定されるものではないが、例えば、算出した現在地そのものをラインの始点位置として算出してもよいし、算出した現在地から所定の距離(カメラ11とラインの間の推定距離)ずれた位置をラインの始点位置として算出してもよい。それから、センサ精度推定部104は、算出したラインの始点位置をメモリに記憶する。
【0053】
センサ精度推定部104は、ラインの始点位置を記憶した後、処理をステップS201に戻す。
【0054】
一方、ステップS203において、特定区間の路面に引かれているラインの始点ではないと判定されると(ステップS203;No)、センサ精度推定部104は、処理をステップS205に移行する。そして、センサ精度推定部104は、ラインの始点位置からの距離を算出する(ステップS205)。具体的には、センサ精度推定部104は、GPS受信装置8から得られるデータなどを用いて、現在地を算出する。そして、センサ精度推定部104は、算出した現在地と、ステップS204でメモリに記憶した始点位置と、の距離を算出する。
【0055】
センサ精度推定部104は、ラインの始点位置からの距離を算出後、処理をステップS201に戻す。
【0056】
以上のステップS201からステップS205の処理を繰り返すことにより、センサ精度推定部104は、特定区間の路面に引かれているラインを始点から終点まで連続的に撮影でき、始点から終点までの距離を算出(測定)することができる。
【0057】
ところで、上記のステップS202において、センサ精度推定部104は、ステップS201で認識した線種が、取得目標の線種ではないと判定した場合には(ステップS202;No)、処理をステップS206に移行する。
【0058】
処理がステップS206に移行すると、センサ精度推定部104は、取得目標の線種を少なくとも1回は認識済みか否か判別する(ステップS206)。ここでの判別方法としては、例えば、上述したフラグを用いて判別すればよい。
【0059】
センサ精度推定部104は、取得目標の線種を1回も認識していないと判定した場合には(ステップS206;No)、処理をステップS201に戻す。これにより、再度、線種の認識を試みることができる。
【0060】
一方、センサ精度推定部104は、取得目標の線種を少なくとも1回は認識していると判定した場合には(ステップS206;Yes)、特定区間の路面に引かれているラインの終点に到達した可能性があると判断して、処理をステップS207に移行する。
【0061】
そして、処理がステップS207に移行すると、センサ精度推定部104は、前回認識した線種も取得目標ではない線種(以下では、「非目標線種」とよぶ)であったか否か判別する(ステップS207)。具体的には、センサ精度推定部104は、目標線種を少なくとも1回は認識した後、初めて非目標線種を認識した(ステップS207に処理が初めて移行する)タイミングでフラグをたて(「1」にする)、特定区間のラインの終点を確定した(後述するステップS211に処理が移行する)タイミングでフラグをおろす(「0」にする)ようにしておき、そのフラグに基づいて判別する。
【0062】
センサ精度推定部104は、前回認識した線種は非目標線種ではなかったと判定した場合には(ステップS207;No)、処理をステップS209に移行する。
【0063】
そして、センサ精度推定部104は、非目標線種の最初の取得位置(つまり、特定区間のラインの終点位置である可能性が高い位置)をメモリ(例えば、RAM22)に記憶する(ステップS209)。具体的には、センサ精度推定部104は、GPS受信装置8から得られるデータなどを用いて、現在地を算出する。そして、センサ精度推定部104は、算出した現在地に基づいて、非目標線種の最初の取得位置を算出する。なお、非目標線種の最初の取得位置を算出する方法としては、限定されるものではないが、例えば、算出した現在地そのものを非目標線種の取得位置として算出してもよいし、算出した現在地から所定の距離(カメラ11とラインの間の推定距離)ずれた位置を非目標線種の取得位置として算出してもよい。それから、センサ精度推定部104は、ここで算出した位置を、特定区間に引かれているラインの仮の終点位置として、メモリに記憶する。
【0064】
その後、センサ精度推定部104は、処理をステップS201に戻す。
【0065】
一方、センサ精度推定部104は、ステップS207において、前回認識した線種も非目標線種であったと判定した場合には(ステップS207;Yes)、処理をステップS208に移行して、非目標線種を認識し続けている距離を算出する(ステップS208)。具体的には、センサ精度推定部104は、ラインの仮の終点位置から現在地までの距離を算出する。そのために、センサ精度推定部104は、GPS受信装置8から得られるデータなどを用いて、現在地を算出する。そして、センサ精度推定部104は、算出した現在地と、ステップS209でメモリに記憶した仮の終点位置と、の距離を算出する。
【0066】
センサ精度推定部104は、ラインの仮の終点位置からの距離を算出すると、処理をステップS210に移行する。
【0067】
そして、センサ精度推定部104は、ステップS208で算出した距離が、所定値A(図6参照)以上であるか否か判別する(ステップS210)。
【0068】
ここで、センサ精度推定部104は、ステップS208で算出した距離が所定値A未満である場合には(ステップS210;No)、移動体(車両)がラインの終点位置をまだ通過していない可能性もあるため、処理をステップS201に戻す。
【0069】
一方、センサ精度推定部104は、ステップS109で算出した距離が所定値A以上である場合には(ステップS210;Yes)、移動体(車両)はラインの終点位置を通過していると判断して、処理をステップS211に移行する。
【0070】
処理がステップS211に移行すると、センサ精度推定部104は、特定区間の路面に引かれているラインの終点位置、及び、特定区間の距離を確定する(ステップS211)。すなわち、センサ精度推定部104は、ステップS211に処理が移行した時点において、ステップS209でメモリに格納された仮の終点位置を、実際の終点位置として確定する。さらに、ステップS205で最後にメモリに格納された距離(始点からの距離)を、特定区間の距離として確定する。
【0071】
ステップS211の処理を終了すると、センサ精度推定部104は、本処理を終了するとともに主制御部101に通知する。
【0072】
<センサ精度推定処理>
図8は、センサ精度推定部104が行う「センサ精度推定処理S3」を示すフローチャートである。なお、主制御部101は、センサ認識結果取得処理S2の終了が通知されるタイミングで、本処理(センサ精度推定処理S3)の開始の指示をセンサ精度推定部104に通知する。
【0073】
センサ精度推定部104は、主制御部101からの通知を受け、本処理(センサ精度推定処理S3)を開始すると、地図データ310に格納されている特定区間の距離と、車載センサ(カメラ11)を用いて測定した特定区間の距離と、を比較する(ステップS301)。具体的には、センサ精度推定部104は、ステップS103でメモリに記憶しておいた特定区間の始点、終点を示す座標データから、特定区間の距離を算出する。そして、算出した特定区間の距離と、ステップS211で確定した特定区間の距離と、を比較する。
【0074】
センサ精度推定部104は、ステップS301で比較した両距離が一致する(或いは両距離のずれ量が所定範囲内である)場合には(ステップS302;Yes)、処理をステップS303に移行する。
【0075】
処理がステップS303に移行すると、センサ精度推定部104は、地図データ310に格納されている特定区間の始点、終点の位置と、車載センサ(カメラ11)を用いて測定した特定区間の始点、終点の位置と、を比較する(ステップS303)。具体的には、センサ精度推定部104は、ステップS103でメモリに記憶しておいた特定区間の始点を示す座標データと、ステップS204で確定した特定区間の始点の位置と、を比較する。これとともに、センサ精度推定部104は、ステップS103でメモリに記憶しておいた特定区間の終点を示す座標データと、ステップS211で確定した特定区間の終点の位置と、を比較する。
【0076】
ここで、センサ精度推定部104は、ステップS303で比較した始点、終点のそれぞれの両位置が一致する(或いは両位置のずれ量が所定範囲内である)場合には(ステップS303;Yes)、そのまま処理をステップS305に移行して、車載センサ(カメラ11)の精度(信頼度)が高いと判定する(ステップS305)。
【0077】
一方、センサ精度推定部104は、ステップS303で比較した始点、終点のそれぞれの両位置が一致しない(或いは両位置のずれ量が所定範囲を超える)場合には(ステップS303;No)、処理をステップS304に移行して、ずれ補正を行う(ステップS304)。なお、ずれ補正とは、経路誘導などに用いられる現在地をより精度良く求めるために、車載センサ(カメラ11)から得られる位置データと、実際の位置とのずれを補正する(或いは、単にずれ量をメモリに記憶しておく)処理である。
【0078】
そして、センサ精度推定部104は、ずれ補正後、処理をステップS305に移行して、車載センサ(カメラ11)の精度(信頼度)が高いと判定する(ステップS305)。
【0079】
ステップS305での判定後、センサ精度推定部104は、本処理を終了するとともに主制御部101に通知する。
【0080】
一方、ステップS302において、ステップS301で比較した両距離が一致しない(或いは両距離のずれ量が所定範囲を超える)場合には(ステップS302;No)、センサ精度推定部104は、処理をステップS306に移行する。
【0081】
処理がステップS306に移行すると、センサ精度推定部104は、車載センサ(カメラ11)の精度(信頼度)が低いと判定して、本処理を終了するとともに主制御部101に通知する。それから、主制御部101は、この通知を受け、図4に示すフローを終了する。
【0082】
以上の処理をセンサ精度推定部104が行うことにより、本実施形態のナビゲーション装置100は、車載センサの精度(信頼度)を推定することができる。そして、推定した結果を参照することにより、車載センサから得られるデータを利用するか、利用しないかを判断できるようになる。
【0083】
なお、上記したフローの各処理単位は、ナビゲーション装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0084】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0085】
以下に、上記実施形態の変形例を挙げる。
【0086】
例えば、上記フローでは、道路の合流地点に設けられている特定区間(加速区間)において、車載センサの精度を推定する処理について説明している。しかし、上述したように、本発明は、道路の分岐地点において、車載センサの精度を推定してもよい。この場合においても、上記フローと同様の処理をセンサ精度推定部104が実行することにより、車載センサの精度を推定することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、道路の合流地点、又は、分岐地点に設けられている特定区間において、車載センサの精度を推定している。しかし、本発明は、これに限定されるものでもない。例えば、有料道路の料金所付近に設けられている特定区間において、車載センサの精度を推定してもよい。
【0088】
図9は、有料道路の料金所付近の概要図である。図示するように、料金所付近には、上記の合流地点や分岐地点と同様の特定区間が設けられる。具体的には、道幅が広がり始める地点を特定区間の始点とし、料金所の入口を特定区間の終点とするようなラインが路面に引かれる。そして、特定区間データ327には、この始点と終点を示す座標データが予め格納されている。こうして、ナビゲーション装置100は、上記フローと同様の処理を実行することによって、車載センサの精度を推定することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、推奨経路に従って走行する場合について説明している。しかし、本発明はこれに限定されない。すなわち、推奨経路に従って走行しない場合に適用してもよい。この場合、センサ精度推定部104は、移動体(車両)の現在地と走行方向から走行道路(走行予定の道路)を特定する。例えば、現在地のリンクに接続し、かつ、道路種別が同じリンクを特定する。そして、センサ精度推定部104は、上記実施形態と同様に、リンクデータ320を参照することによって、走行道路上の分岐地点、合流地点の有無を判断できる。その結果、センサ精度推定部104は、上記実施形態と同様に、車載センサ(カメラ11)を用いて特定区間の路面標示を撮影し、車載センサの精度を推定することができる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、9・・・FM多重放送受信装置、10・・・ビーコン受信装置、11・・・カメラ、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・インターフェイス(I/F)、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・センサ精度推定部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク、327・・・特定区間データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載センサの精度を推定するナビゲーション装置であって、
特定の区間の距離が記録されている地図データを記憶している記憶手段と、
前記車載センサを用いて、前記区間の距離を計測する計測手段と、
前記地図データに記録されている距離と、前記計測手段で計測された距離と、のずれ量に基づいて、前記車載センサの精度を推定するセンサ精度推定手段と、を備える、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記地図データには、
前記特定の区間の始点位置と終点位置が記録されており、
前記計測手段は、
前記車載センサを用いて、前記始点位置に設置されている目標物から、前記終点位置に設置されている目標物までの距離を計測し、
前記センサ精度推定手段は、
前記地図データに記録されている前記始点位置と前記終点位置の距離を算出し、算出した当該距離と、前記計測手段で計測された距離と、のずれ量に基づいて、前記車載センサの精度を推定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置であって、
前記センサ精度推定手段は、
前記ずれ量が所定値以内である場合に、前記車載センサは高精度と推定し、
前記すれ量が所定値を超える場合に、前記車載センサは低精度と推定する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
前記特定の区間は、道路の合流地点における加速区間である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
前記特定の区間は、有料道路の料金所付近における所定区間である、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置であって、
前記車載センサは、電磁波や音波を検知するためのセンサである、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置であって、
前記車載センサには、カメラが含まれる、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
特定の区間の距離が記録されている地図データを記憶しているナビゲーション装置における、車載センサの精度推定方法であって、
前記車載センサを用いて、前記区間の距離を計測する計測ステップと、
前記地図データに記録されている距離と、前記計測ステップで計測された距離と、のずれ量に基づいて、前記車載センサの精度を推定するセンサ精度推定ステップと、を有する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
コンピューターを、特定の区間の距離が記録されている地図データを記憶しているナビゲーション装置として機能させるためのプログラムであって、
前記車載センサを用いて、前記区間の距離を計測する計測ステップと、
前記地図データに記録されている距離と、前記計測ステップで計測された距離と、のずれ量に基づいて、前記車載センサの精度を推定するセンサ精度推定ステップと、を前記コンピューターに実行させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232271(P2011−232271A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104864(P2010−104864)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】