説明

ナビゲーション装置、車載表示システム及び地図表示方法

【課題】実際の運転に即して走行上注意すべき位置を案内することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ドライブレコーダは、車両に搭載されて事故などの所定のイベントの発生を検知し、そのイベントが発生した時点の車両の位置である「イベント発生位置」を記録する。ナビゲーション装置は、ドライブレコーダで記録された「イベント発生位置」を取得し、ディスプレイ13に表示する地図の範囲内に「イベント発生位置」があれば、その位置に警告マーク42を重畳する。これにより、実際にイベントが発生した位置が地図上に示されるため、実際の運転に即して走行上注意すべき位置を案内することができる。その結果、ユーザはその位置を意識した運転を行うことができ、安全性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダで記録された記録データを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーションとも呼ばれる、車両に搭載されるナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置は、GPSなどを利用して車両の現時点の位置である自車位置を取得し、その自車位置を明示した地図をディスプレイに表示する。また、ナビゲーション装置は、目的地が設定された場合は、自車位置から目的地までのルートを導出し、ユーザに対してそのルートの案内を行うようになっている。
【0003】
近年のナビゲーション装置においては、ルート案内以外にもユーザに対して各種の案内を行うようになっている。例えば、地図の表示領域内に急カーブや踏切などの走行上において注意が必要な位置がある場合は地図上の当該位置に所定の警告マークを表示するとともに、その位置に自車位置が近づいたときに案内音声を出力してユーザに警告するナビゲーション装置が知られている。
【0004】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−290820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のナビゲーション装置では、走行上注意が必要な位置がユーザに対して案内されるが、案内の対象となる位置は、急カーブ、踏切などの予め定められた一般的に危険とされる位置となる。このため、実際に事故が発生した位置や、実際にドライバが危険を感じた位置など、実際の運転に即して危険となる位置を案内することはできない。安全性の向上のためには、このような実際の運転に即して走行上注意すべき位置をドライバに案内することが望まれる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、実際の運転に即して走行上注意すべき位置を案内することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ドライブレコーダで記録された記録データを表示可能なナビゲーション装置であって、前記ドライブレコーダは、車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録し、前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを取得するデータ取得手段と、前記ナビゲーション装置が搭載される車両の現時点の位置である自車位置を取得する位置取得手段と、前記イベント発生位置と前記自車位置とを明示した地図を表示する表示手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記ドライブレコーダは、発生した前記イベントの種類をさらに含む前記記録データを記録し、前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置に、該イベント発生位置で発生した前記イベントの種類を明示する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記ドライブレコーダは、前記イベントの発生時における車両の周辺の様子を示す動画データをさらに含む前記記録データを記録し、前記表示手段に表示された前記地図上の前記イベント発生位置の選択をユーザから受け付ける受付手段、をさらに備え、前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置が前記ユーザに選択された場合は、当該イベント発生位置で取得された前記動画データを再生表示する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置に、該イベント発生位置で発生した前記イベントの数に応じた指標を表示する。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、自車位置から目的地までの第1ルートを導出するルート導出手段と、前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数を導出する導出手段と、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数をユーザに報知する報知手段、をさらに備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項5または6に記載のナビゲーション装置において、前記ルート導出手段は、前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数が閾値以上の場合は、前記イベント発生位置を迂回する第2ルートを導出する。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、自車位置から目的地まで、前記イベント発生位置を迂回するルートを導出可能なルート設定手段、をさらに備えている。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記自車位置が前記イベント発生位置に近づいた場合に、その旨を示す案内音声を出力する音声出力手段、をさらに備えている。
【0017】
また、請求項10の発明は、車載表示システムであって、車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録するドライブレコーダと、前記車両に搭載され、前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを表示可能な請求項1ないし9のいずれかに記載のナビゲーション装置と、を備えている。
【0018】
また、請求項11の発明は、ドライブレコーダで記録された記録データを表示可能なナビゲーション装置における地図表示方法であって、前記ドライブレコーダは、車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録し、前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを取得するデータ取得工程と、前記ナビゲーション装置が搭載される車両の現時点の位置である自車位置を取得する位置取得工程と、前記イベント発生位置と前記自車位置とを明示した地図を表示する表示工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし11の発明によれば、イベントが発生した位置が地図上に示されるため、実際の運転に即して走行上注意すべき位置を案内することができる。その結果、ユーザはその位置を意識した運転を行うことができ、安全性が向上する。
【0020】
また、特に請求項2の発明によれば、イベントが発生した地図上の位置にそのイベントの種類が示されるため、ユーザは地図上の特定の位置に過去にどのような種類のイベントが発生したかを意識して運転することができ、安全性が向上する。
【0021】
また、特に請求項3の発明によれば、地図上のイベント発生位置を選択することで、そのイベント発生位置で取得された動画データを再生表示するため、ユーザは地図上の特定の位置に過去にどのようなイベントが発生したかを具体的な映像で把握することができ、安全性が向上する。
【0022】
また、特に請求項4の発明によれば、イベントが発生した地図上の位置に、発生したイベントの数に応じた指標が表示されるため、ユーザは注意すべき度合いを把握することができる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、ルート上におけるイベント発生位置の数を導出するため、ルート上における走行上注意すべき位置の数を取得できる。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、ユーザが、ルート上における走行上注意すべき位置の数を把握することができる。
【0025】
また、特に請求項7の発明によれば、ルート上のイベント発生位置の数を減らすことができる。
【0026】
また、特に請求項8の発明によれば、イベント発生位置を迂回するルートを設定することができる。
【0027】
また、特に請求項9の発明によれば、自車位置がイベント発生位置に近づいた場合にその旨を示す案内音声を出力するため、ユーザは走行上注意すべき位置を確実に意識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、車載表示システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、車載表示システムの構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、ドライブレコーダの構成を示す図である。
【図5】図5は、ドライブレコーダが記録データを記録する処理の流れを示す図である。
【図6】図6は、メモリカードにおける記録データの格納状態を示す図である。
【図7】図7は、ナビゲーション装置が記録データを表示する処理の流れを示す図である。
【図8】図8は、警告マークが重畳された地図の一例を示す図である。
【図9】図9は、動画データが再生表示される様子を示す図である。
【図10】図10は、ナビゲーション装置がルートを設定する処理の流れを示す図である。
【図11】図11は、基本ルートが示された地図の一例を示す図である。
【図12】図12は、基本ルートとともに迂回ルートが示された地図の一例を示す図である。
【図13】図13は、ナビゲーション装置がルートを案内する処理の流れを示す図である。
【図14】図14は、案内音声を出力する様子を概念的に示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態における、警告マークが重畳された地図の一例を示す図である。
【図16】図16は、動画データの一覧表示の一例を示す図である。
【図17】図17は、車載表示システムの構成の一例を示す図である。
【図18】図18は、動画データの一覧表示の一例を示す図である。
【図19】図19は、車載表示システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの構成>
図1及び図2は、本実施の形態に係る車載表示システム100の概略構成を示す図である。車載表示システム100は、車両8に搭載されて車室内のユーザ(代表的にはドライバ)に各種情報を提供するものであり、ナビゲーション装置1とドライブレコーダ2とを備えて構成される。すなわち、ナビゲーション装置1とドライブレコーダ2とは同一の車両8に搭載されている。
【0031】
ナビゲーション装置1はディスプレイを備えており、そのディスプレイの画面がユーザから視認可能なように車両8のインストルメントパネルなどに設置される。一方で、ドライブレコーダ2は、ナビゲーション装置1とは別に構成され、車両8の車室内の適位置に配置されている。
【0032】
ナビゲーション装置1は、車両8の現時点の位置である自車位置を明示した地図をディスプレイに表示するとともに、設定された目的地までのルートを案内する機能を基本機能として有している。一方、ドライブレコーダ2は、車両8に搭載されたカメラ31により車両8の周辺の撮影を常時に行って画像データを取得し、事故などのイベントが発生した場合にその発生前後に取得された画像データを集約して動画データとして記録する機能を基本機能として有している。
【0033】
図2に示すように、車載表示システム100のナビゲーション装置1とドライブレコーダ2とは、CANやMOSTなどの車内LAN80を介して接続されており、相互に通信可能となっている。これにより、ドライブレコーダ2において記録された記録データをナビゲーション装置1に取得させ、ナビゲーション装置1が備えるディスプレイにおいて表示させることが可能となっている。
【0034】
<1−2.ナビゲーション装置の構成>
図3は、ナビゲーション装置1の構成を示す図である。ナビゲーション装置1は、装置全体を制御する制御部としてマイクロコンピュータを備えている。具体的には、ナビゲーション装置1は、演算処理を行うことで各種の制御機能を実現するCPU10、演算処理の作業領域となるRAM11、及び、各種のデータを記憶する不揮発性メモリ12を備えている。不揮発性メモリ12は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成され、ファームウェアとしてのプログラム121や、ユーザへの案内に用いる地図データ122及び音声データ123などを記憶する。
【0035】
また、ナビゲーション装置1は、ユーザに各種情報を表示する上述したディスプレイ13と、ユーザに案内音声を出力するスピーカ14と、ユーザから各種の操作を受け付ける操作部15とを備えている。
【0036】
ディスプレイ13は、液晶ディスプレイなどで構成され、地図データ122に含まれる地図や、目的地までのルートなどの各種情報を表示する。ディスプレイ13は、タッチパネル機能を有しており、各種の指示や地図上の位置の指定をユーザから受け付けることが可能である。また、スピーカ14は、音声データ123に含まれる各種の案内音声を出力する。操作部15は、ユーザが操作しやすい位置に配置され、各種のユーザ操作を受け付ける。タッチパネルとしてのディスプレイ13や、操作部15において受け付けたユーザの操作内容は、信号としてCPU10に入力される。
【0037】
さらに、ナビゲーション装置1は、GPS受信部16と、カードスロット17と、通信部18とを備えている。
【0038】
GPS受信部16は、複数のGPS衛星からの信号を受信して、現時点の車両8の位置である自車位置を取得する。GPS受信部16は、地球上における緯度経度で表現された位置情報として自車位置を取得して、CPU10へ出力する。
【0039】
カードスロット17は、可搬性の記録媒体であるメモリカード9を着脱可能に構成され、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。不揮発性メモリ12に記憶されているプログラム121、地図データ122及び音声データ123は、新たなプログラムやデータが記憶されたメモリカード9をカードスロット17で読み取ることにより、更新することが可能となっている。
【0040】
また、通信部18は、車内LAN80に接続され、車内LAN80に接続された他の装置と相互に通信を行う。この通信部18により、ナビゲーション装置1はドライブレコーダ2と通信して、ドライブレコーダ2で記録された記録データを取得することが可能となる。
【0041】
このようなナビゲーション装置1の各部を制御する機能は、不揮発性メモリ12に予め記憶されたプログラム121に従ってCPU10が演算処理を実行することにより実現される。図中に示す地図表示部101、ルート設定部102、ユーザ案内部103及び動画再生部104は、CPU10が演算処理を実行することで実現される機能の一部を示している。
【0042】
地図表示部101は、ディスプレイ13への地図の表示に係る機能である。例えば、地図表示部101は、GPS受信部16により取得された自車位置に基づいて、自車位置の周辺の地図を不揮発性メモリ12の地図データ122から取得して、ディスプレイ13に表示させる。また、地図表示部101は、ディスプレイ13に表示された地図の範囲内に、ユーザに通知すべき特定の位置がある場合は、地図上のその位置に所定のマークなどを重畳して表示する。
【0043】
ルート設定部102は、ルートの設定に係る機能である。例えば、ルート設定部102は、ユーザから所望の目的地を受け付け、GPS受信部16により取得された自車位置からその目的地までのルートを導出する。
【0044】
ユーザ案内部103は、ユーザへの案内に係る機能である。例えば、ユーザ案内部103は、ルート設定部102に設定されたルートに従うように、交差点での方向を示す矢印をディスプレイ13に表示させるとともに、方向を示す案内音声をスピーカから出力させる。
【0045】
また、動画再生部104は、ドライブレコーダ2で記録された動画データをディスプレイ13に再生表示させる機能である。これらの地図表示部101、ルート設定部102、ユーザ案内部103及び動画再生部104の機能の詳細については後述する。
【0046】
<1−3.ドライブレコーダの構成>
図4は、ドライブレコーダ2の構成を示す図である。ドライブレコーダ2は、装置全体を制御する制御部としてマイクロコンピュータを備えている。具体的には、ドライブレコーダ2は、演算処理を行うことで各種の制御機能を実現するCPU20、演算処理の作業領域となるRAM21、及び、各種データを記憶する不揮発性メモリ22を備えている。不揮発性メモリ22は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成され、ファームウェアとしてのプログラム221や設定パラメータなどを記憶する。ドライブレコーダ2の各部を制御する機能は、不揮発性メモリ22に予め記憶されたプログラム221に従ってCPU20が演算処理を実行することにより実現される。
【0047】
ドライブレコーダ2は、カメラ31及びマイク32を備えており、これらはドライブレコーダ2の本体部とは別に車両8の適位置に配置される。カメラ31は、レンズと撮像素子とを備えており、電子的に画像データを取得することが可能である。カメラ31は、その光軸が車両8の前方に向けられた状態でフロントガラスの上部付近に配置され(図1参照。)、車両8の前方の領域を示す画像データを取得する。また、マイク32は、車室外の音を集音して音声データを取得する。
【0048】
ドライブレコーダ2は、カメラ31で取得された画像データを処理する画像処理部23を備えている。画像処理部23は、カメラ31から入力される画像データの信号に対して、A/D変換、輝度補正、コントラスト補正などの所定の画像処理を行い、JPEG形式などの所定形式のデジタルの画像データを生成する。画像処理部23において処理された画像データは、RAM21に記録される。
【0049】
RAM21の記憶領域のうちの一部はリングバッファとして利用される。このリングバッファに対して、画像処理部23において処理された画像データ、及び、マイク32で取得された音声データが常時に記憶される。リングバッファでは、最後の領域までデータが記憶されると最初の領域に戻って新たなデータが記憶される。これにより、リングバッファでは、最も古いデータに対して新たなデータが順次に上書きされていく。このため、RAM21においては、常に過去一定時間分の画像データ及び音声データが記憶された状態とされる。本実施の形態では、リングバッファに少なくとも40秒分の画像データ及び音声データが記憶される。
【0050】
また、ドライブレコーダ2は、カードスロット24、計時回路25、加速度センサ26、GPS受信部27及び通信部28を備えている。
【0051】
カードスロット24は、メモリカード9を着脱可能に構成され、装着されたメモリカード9からのデータの読み取りや、メモリカード9へのデータの書き込みを行う。事故などの所定のイベントが生じたときは、CPU20の指示により、RAM21のリングバッファに記憶された画像データ及び音声データが動画データに変換されて、カードスロット24に装着されたメモリカード9に記録される。また、不揮発性メモリ22に記憶されているプログラム221は、新たなプログラムが記憶されたメモリカード9をカードスロット24で読み取ることにより、更新することが可能となっている。
【0052】
計時回路25は、現時点の時刻に対応した信号を発生して、CPU20へ出力する。計時回路25は、内臓電池を有し、外部から電力供給を受けなくとも動作して正確な時刻を計時する。
【0053】
加速度センサ26は、車両8に加わる衝撃の大きさを示す加速度を、重力加速度のGを単位として検出する。加速度センサ26は、例えば、互いに直交する3軸あるいは2軸に応じた加速度の大きさを検出し、CPU20へ出力する。
【0054】
GPS受信部27は、複数のGPS衛星からの信号を受信して、現時点の車両8の位置である自車位置を取得する。GPS受信部27は、地球上における緯度経度で表現された位置情報として自車位置を取得して、CPU20へ出力する。
【0055】
また、通信部28は、車内LAN80に接続され、車内LAN80に接続された他の装置と相互に通信を行う。この通信部28により、ドライブレコーダ2はナビゲーション装置1と通信して、記録した記録データをナビゲーション装置1に受け渡すことが可能となる。
【0056】
また、ドライブレコーダ2は、ユーザから指示を受け付ける部材として、記録スイッチ33及び操作部34を備えている。これらは、ユーザが操作しやすいように、ドライブレコーダ2の本体部とは別に、ステアリングホイールの近傍などの車両8の適位置に配置される。
【0057】
記録スイッチ33は、動画データのメモリカード9への記録指示を受け付けるスイッチである。ユーザは、この記録スイッチ33を押下することにより、衝突などの事故には至らなかったものの危険を感じた場合などの所望のタイミングで動画データをメモリカード9へ記録できる。また、操作部34は、複数のボタンを含んで構成され、ユーザから各種設定などの入力を受け付ける。記録スイッチ33及び操作部34で受け付けたユーザの操作内容は、信号としてCPU20に入力される。
【0058】
また、ドライブレコーダ2は、車両8に配置される車速センサ81と接続されている。車速センサ81は、現時点の車両8の走行速度(km/h)を検出してCPU20に出力する。
【0059】
<1−4.ドライブレコーダの動作>
次に、ドライブレコーダ2の動作について説明する。図5は、ドライブレコーダ2がメモリカード9に記録データを記録する処理の流れを示す図である。この動作の開始時点では、メモリカード9がカードスロット24に装着されているものとする。また、この動作は、特に言及しない限りCPU20の制御により実行される。
【0060】
ドライブレコーダ2は、車両8のイグニションスイッチのオンで起動し、イグニションスイッチのオフで停止する。ドライブレコーダ2は、起動して所定のイニシャル処理が完了した直後から、カメラ31による車両の周辺の様子を示す画像データの取得、及び、マイク32による音声データの取得を開始する。取得された画像データ及び音声データは、RAM21のリングバッファの領域へ記憶される(ステップS11)。そして以降、ドライブレコーダ2の起動中にわたって、画像データ及び音声データが継続的にRAM21へ記憶される。画像データは、例えば30fps(毎秒30フレーム)のフレームレートで記憶される。
【0061】
このように画像データ及び音声データが継続的に記憶される一方で、所定のイベントが発生したか否かが監視される(ステップS12)。本実施の形態のドライブレコーダ2において、所定のイベントが発生したと判断される条件は、下記の条件(A)〜(C)のいずれかである。
【0062】
(A)加速度センサ26において所定以上の加速度が所定時間以上継続して検出された場合。例えば、0.40G以上の加速度が100ミリ秒以上継続して検出された場合。
【0063】
(B)車速センサ81が検出した車両8の所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合。例えば、速度60km/h以上で走行中に1秒間の減速が14km/h以上となった場合。
【0064】
(C)記録スイッチ33がユーザにより操作された場合。
【0065】
条件(A)は、比較的強い加速度が発生しており、車両8の衝突事故発生の蓋然性が高い状況である。この条件(A)を満足するイベントは「G検知」と呼ばれる。
【0066】
条件(B)は、急激な減速となっており、事故が急迫した蓋然性が高い状況である。この条件(B)を満足するイベントは「急減速」と呼ばれる。
【0067】
条件(C)は、ユーザ(代表的には車両8のドライバ)が危険を感じてデータの記録を必要と判断した状況である。この条件(C)を満足するイベントは「スイッチ操作」と呼ばれる。
【0068】
いずれかのイベントが発生した場合は(ステップS12にてYes)、例えば、そのイベントの発生前の12秒間と発生後の8秒間との合計20秒分の画像データと音声データとが、RAM21のリングバッファから読み出される。そして、読み出された画像データと音声データとが利用されて一つの動画データが生成される。この動画データは、イベントの発生時における車両8の周辺の様子を示すものとなる。生成された動画データはメモリカード9に記録される(ステップS13)。
【0069】
さらに、イベントが発生した状況を示すイベントデータも、メモリカード9に記録される(ステップS14)。イベントデータには、イベントが発生した時点の時刻である「イベント時刻」、イベントが発生した時点の車両8の位置である「イベント発生位置」、発生したイベントの種類を示す「イベント種類」、及び、当該イベントの発生時に生成された動画データの「ファイル名」が含まれている。「イベント時刻」は計時回路25で得られる時刻が利用され、「イベント発生位置」はGPS受信部29で得られる自車位置が利用される。また、「イベント種類」は、条件(A)〜(C)のうちの満足した条件に対応する「G検知」、「急減速」及び「スイッチ操作」のいずれかとなる。
【0070】
図6は、メモリカード9における記録データの格納状態を示す図である。メモリカード9内のデータ格納構造には、階層フォルダ構造(階層ディレクトリ構造)が採用され、ドライブレコーダ2の記録データ(動画データ及びイベントデータ)はいずれかのフォルダ内に格納される。階層フォルダ構造の最上層には、ルートフォルダF0が設けられている。ルートフォルダF0の直下には子フォルダとして、イベントフォルダF1、及び、動画フォルダF2が設けられている。
【0071】
イベントフォルダF1には、イベントファイルD1が格納される。このイベントファイルD1には、イベントが発生した状況を示すイベントデータが記録される。イベントファイルD1においては、一つのイベントに係るイベントデータは一つのレコードとされ、複数のイベントが発生した場合は複数のレコードがイベントファイルD1に記録される。各レコードには、前述した「イベント時刻」「イベント発生位置」「イベント種類」及び「ファイル名」などが含まれている。したがって、一つのイベントに係る「イベント時刻」、「イベント発生位置」、「イベント種類」及び「ファイル名」は相互に関連付けられて記録される。
【0072】
また、動画フォルダF2には、イベントが発生したときに得られる動画データD2が格納される。一つのイベントごとに一つのファイルが作成され、一つのイベントに係る動画データD2は一つのファイルとして記録される。各動画データD2は、その「ファイル名」によって特定され、イベントファイルD1の一つのレコード(一つのイベントに係るイベントデータ)と関連付けられることになる。
【0073】
<1−5.記録データの表示>
このようにしてドライブレコーダ2によって記録された記録データは、ナビゲーション装置1において表示可能となっている。具体的には、ディスプレイ13に表示された地図上に所定の警告マークが重畳されて「イベント発生位置」が明示される。そして、その警告マークに触れることで、当該イベントの発生時における動画データが再生表示されるようになっている。
【0074】
図7は、ナビゲーション装置1において、ドライブレコーダ2の記録データを表示するデータ表示処理の流れを示す図である。このデータ表示処理は、特に言及しない限りCPU10の地図表示部101の制御により実行される。
【0075】
まず、GPS受信部16により自車位置が取得される(ステップS21)。続いて、取得された自車位置の周辺の地図が不揮発性メモリ12の地図データ122から取得され、ディスプレイ13に表示される。この地図上においては、図8に示すように、自車位置を明示する自車マーク41が重畳される(ステップS22)。
【0076】
ディスプレイ13に表示される地図の範囲は原則として自車位置が画面の左右略中心となるように決定されるが、ユーザによる所定の操作により変更可能とされている。また、ディスプレイ13の画面上においては、各種のコマンドボタンCも表示され、ユーザはコマンドボタンCに触れることで、縮尺の変更や目的地の設定などの指示を行うことが可能である。
【0077】
ディスプレイ13に地図が表示されると、続いて、ドライブレコーダ2において記録されたイベントデータが取得される(図7のステップS23)。具体的には、ナビゲーション装置1の通信部18からイベントファイルD1の送信を要求する要求信号がドライブレコーダ2に送信される。ドライブレコーダ2は、この要求信号に応答して、メモリカード9からイベントファイルD1を読み出し、通信部28からナビゲーション装置1に送信する。これにより、過去に発生したイベントそれぞれのイベントデータが記録されたイベントファイルD1がナビゲーション装置1に取得される。
【0078】
次に、各イベントデータの「イベント発生位置」が参照され、ディスプレイ13に表示された地図の範囲内に、「イベント発生位置」が存在するか否かが判断される(ステップS24にてYes)。そして、「イベント発生位置」が存在する場合は、図8に示すように、ディスプレイ13の地図上の当該位置に警告マーク42が重畳して表示される(ステップS25)。図8においては、地図上に4つの警告マーク42が示されている。
【0079】
これにより、ディスプレイ13において、過去に実際にイベントが発生した「イベント発生位置」、すなわち、実際の自分の運転において事故などの危険な事象が発生した位置、あるいは、ユーザが危険を感じた位置が案内されることになる。したがって、この「イベント発生位置」は、実際の自分の運転において問題となる、走行上注意すべき危険ポイントといえる。また、同一画面上には自車位置も示されるため、自車位置と「イベント発生位置」との関係も示される。ユーザは、このようなディスプレイ13の画面を参照することで、実際の運転に即して走行上注意すべき位置を意識しながら運転することができる。その結果、安全性を向上することができる。
【0080】
また、「イベント発生位置」に表示される警告マーク42は、当該位置で発生したイベントの種類に応じてその態様が異なっている。例えば、イベントの種類が「G検知」であれば警告マーク42は「G」を矩形枠で囲んだ態様となる。また、イベントの種類が「急減速」であれば警告マーク42は「V」を矩形枠で囲んだ態様となり、イベントの種類が「スイッチ操作」であれば警告マーク42は「S」を矩形枠で囲んだ態様となる。このイベントの種類は、当該警告マーク42の「イベント発生位置」と同一レコードの「イベント種類」に基づいて判断される。
【0081】
このようにして、地図上の「イベント発生位置」に、当該位置で発生したイベントの種類が明示される。これにより、ユーザは地図上の特定の位置に過去にどのような種類のイベントが実際に発生したかを容易に把握することができる。その結果、ユーザはそのイベントの種類を意識して運転することができ、安全性が向上する。
【0082】
また、このようにディスプレイ13に表示された警告マーク42はそれぞれ、ディスプレイ13のタッチパネル機能を利用してユーザが選択可能なコマンドボタンとして機能する。すなわち、ユーザは、地図上の「イベント発生位置」を選択できるようになっている。そして、いずれかの警告マーク42が選択された場合は(ステップS26にてYes)、CPU10の動画再生部104の制御により、当該警告マーク42の「イベント発生位置」で取得された動画データが再生表示される。
【0083】
具体的には、まず、選択された警告マーク42の「イベント発生位置」と同一レコードの「ファイル名」が参照される。そして、ナビゲーション装置1の通信部18から当該「ファイル名」の動画データD2の送信を要求する要求信号がドライブレコーダ2に送信される。ドライブレコーダ2は、この要求信号に応答して、メモリカード9から当該「ファイル名」の動画データD2を読み出し、通信部28からナビゲーション装置1に送信する。これにより、選択された警告マーク42の「イベント発生位置」で取得された動画データD2がナビゲーション装置1に取得される(ステップS27)。
【0084】
取得された動画データD2は、図9に示すように、ディスプレイ13において再生表示される(ステップS28)。動画データD2を再生する場合は、ディスプレイ13の画面は大きく2つの領域に分割される。右側の領域には、選択された警告マーク42を含む地図が表示される。一方、左側の領域には、動画データD2が再生される再生領域51が含まれている。この左側の領域は、選択された警告マーク42からの”吹き出し”のように表現され、再生される動画データD2が、いずれの「イベント発生位置」で取得されたものであるかが示される。また、左側の領域には、再生領域51の下部に再生動作に関連するコマンドボタンCが表示され、再生領域51の上部に地図表示に戻るためのコマンドボタンCが表示される。
【0085】
このように、ディスプレイ13の地図上の「イベント発生位置」を選択することで、その「イベント発生位置」で取得された動画データD2が再生表示される。このため、ユーザは、地図上の特定の位置に過去にどのようなイベントが発生したかを具体的な映像で把握することができる。その結果、ユーザは、その「イベント発生位置」の状況を具体的に意識して運転することができるため、安全性を向上できる。
【0086】
また、以上のように警告マーク42を含む地図を表示した状態で、ユーザ指示や自車位置の移動などにより、表示する地図の範囲が変更された場合は(図7のステップS29にてYes)、処理は再度ステップS24に戻る。これにより、変更後の地図の範囲内に「イベント発生位置」が存在すれば、警告マーク42が表示される。したがって、表示する地図の範囲が変更された場合でも、実際の運転に即して走行上注意すべき位置をユーザに案内できることになる。
【0087】
<1−6.ルートの設定>
また、ナビゲーション装置1は、ドライブレコーダ2によって記録された記録データの「イベント発生位置」を考慮して、目的地までのルートを導出することも可能となっている。
【0088】
図10は、ナビゲーション装置1において、目的地までのルートを設定するルート設定処理の流れを示す図である。このルート設定処理は、地図が表示されたディスプレイ13の画面の「目的地セット」と示されたコマンドボタンC(図8参照。)に触れることで実行される。また、このルート設定処理は、特に言及しない限りCPU10のルート設定部102の制御により実行される。
【0089】
まず、ユーザの操作がなされて目的地が設定される。目的地の設定は、ディスプレイ13に表示されている地図上の位置の指定、登録地点からの選択、所定の検索キー(名称、住所、電話番号等)からの検索などによって行うことができる(ステップS31)。
【0090】
目的地が設定されると、続いて、不揮発性メモリ12の地図データ122が参照され、基本的なアルゴリズムで自車位置から目的地までのルートが導出される。基本的なアルゴリズムでは、所定以上の幅のある道路を通って、自車位置から目的地まで最短となるルートが選択される(ステップS32)。以下、この基本的なアルゴリズムで導出されるルートを「基本ルート」という。
【0091】
導出された基本ルートR1は、図11に示すように、ディスプレイ13において地図に重畳して表示される。また、目的地となる地図上の位置には目的地マーク43が重畳して表示され、基本ルートR1は自車マーク41から目的地マーク43までを最短で結ぶことになる。
【0092】
ディスプレイ13に基本ルートR1が表示されると、続いて、ドライブレコーダ2において記録されたイベントデータが取得される(図10のステップS33)。この処理は、図7のステップS23の処理と同様である。なお、既に他の処理(図7のステップS23など)においてドライブレコーダ2から最新のイベントファイルD1を取得していた場合は、この処理は省略してもよい。
【0093】
次に、各イベントデータの「イベント発生位置」が参照され、基本ルート上における「イベント発生位置」の数が導出される(ステップS34)。導出された「イベント発生位置」の数は、図11に示すように、ディスプレイ13に基本ルートR1に対応付けて表示される(ステップS35)。図11の例においては、基本ルートR1上に3つの警告マーク42があるため、基本ルート上における「イベント発生位置」の数は3箇所と示されている。
【0094】
次に、基本ルート上における「イベント発生位置」の数が3以上であるか否かが判断される(ステップS36)。この際、基本ルート上における「イベント発生位置」の数が3未満であれば(ステップS36にてNo)、基本ルートがそのまま案内すべきルートとして決定され、ルート案内が開始されることになる(ステップS40)。
【0095】
一方、基本ルート上における「イベント発生位置」の数が3以上の場合は(ステップS36にてYes)、イベント発生位置の数が比較的多いため、ユーザによっては別のルートを希望する場合もある。このためこの場合は、図11に示すように、ディスプレイ13の画面上に「迂回ルート導出」と示されたコマンドボタンCa、及び、「案内開始」と示されたコマンドボタンCbが表示される。ユーザは画面に触れることで、いずれかのコマンドボタンCa,Cbを選択することができる。「案内開始」のコマンドボタンCaを選択した場合は(ステップS37にてNo)、基本ルートがそのまま案内すべきルートとして決定され、ルート案内が開始されることになる(ステップS40)。
【0096】
一方、「迂回ルート導出」のコマンドボタンCaを選択した場合は(ステップS37にてYes)、基本アルゴリズムとは異なる迂回アルゴリズムで、自車位置から目的地までのルートが導出される。迂回アルゴリズムでは、「イベント発生位置」を迂回しながら自車位置から目的地まで最短となるルートが選択される。なお、「イベント発生位置」が高速道路上の場合や、自車位置から近い場合には迂回できない場合もあるが、迂回アルゴリズムでは可能な限り「イベント発生位置」を通らないルートが選択される(ステップS38)。以下、この迂回アルゴリズムで導出されるルートを「迂回ルート」という。
【0097】
導出された迂回ルートR2は、図12に示すように、基本ルートR1とともにディスプレイ13において地図に重畳して表示される。図12の例では、基本ルートR1上に3つの警告マーク42があるが、迂回ルートR2上には警告マーク42は存在していない。すなわち図12に示す迂回ルートR2は、すべての「イベント発生位置」を通らないルートとなっている。
【0098】
迂回ルートR2に関しても「イベント発生位置」の数が導出される。そして、導出された迂回ルート上の「イベント発生位置」の数は、ディスプレイ13に迂回ルートR2に対応付けて表示される。これにより、「イベント発生位置」の数という点から、ユーザは基本ルートR1と迂回ルートR2とを容易に比較することが可能となる。なお、基本ルートR1及び迂回ルートR2それぞれの距離や有料道路料金なども併せて表示するようにしてもよい。
【0099】
基本ルートR1と迂回ルートR2との双方が表示された場合は、図12に示すように、基本ルートR1及び迂回ルートR2のいずれかを選択させるためのコマンドボタンC1,C2が表示される。ユーザは、いずれかのコマンドボタンC1,C2に触れることで、基本ルートR1及び迂回ルートR2のうちの所望のルートを選択できる(ステップS39)。ユーザによりルートが選択されると、選択されたルートが案内すべきルートとして決定され、ルート案内が開始されることになる(ステップS40)。
【0100】
このようにルート設定処理においては、導出されたルート上におけるイベント発生位置の数を導出し、導出されたイベント発生位置の数をユーザに報知するため、ユーザは、走行前にルート上における走行上注意すべき位置の数を認識することができる。
【0101】
また、基本ルート上におけるイベント発生位置の数が3以上の場合は、ユーザが指示をすることでイベント発生位置を迂回する迂回ルートが導出されるため、ルート上のイベント発生位置の数を減らすことが可能となる。
【0102】
なお、上記では、イベント発生位置の数が閾値である「3」以上の場合に迂回ルートを導出することになっているが、迂回ルートを導出するための閾値となる数は「3」のみならず、「1」以上の数で任意に設定可能である。また、目的地までの距離が長いほど、閾値となる数が多くなるようにしてもよい。また、上記では、ユーザの指示を受けてから迂回ルートが導出されるようになっていたが、イベント発生位置の数が閾値以上のときに自動的に迂回ルートが導出され、その迂回ルートがユーザに提案されるようになっていてもよい。また、最初の基本ルートを導出する際に「イベント発生位置」を考慮し、その「イベント発生位置」を迂回するルートを導出するアルゴリズムが採用されてもよい。
【0103】
<1−7.ルートの案内>
また、ナビゲーション装置1は、ルート案内をしている場合において、自車位置がイベント発生位置に近づいた場合には、その旨を示す案内音声を出力するようになっている。
【0104】
図13は、ナビゲーション装置1において、自車位置から目的地までのルートを案内するルート案内処理の流れを示す図である。このルート案内処理は、特に言及しない限りCPU10のユーザ案内部103の制御により実行される。
【0105】
まず、自車位置が、ルート上において曲がるべき交差点(方向を案内すべき交差点)に接近したかが判断される(ステップS41)。そして、自車位置がこのような交差点に近づいたと判断された場合は、交差点で曲がるべき方向を示す矢印がディスプレイ13に表示されるとともに、方向を示す案内音声がスピーカ14から出力される(ステップS42)。
【0106】
続いて、自車位置が「イベント発生位置」に接近したかが判断される(ステップS43)。例えば、図14に示すように、車両8の進行方向(進行側のルート上)に「イベント発生位置」が存在しており、自車位置(自車マーク41)と「イベント発生位置」(警告マーク42)とのルート上の距離が所定距離(例えば、300m)以下となった場合に、自車位置が「イベント発生位置」に近づいたと判断される。そして、自車位置が「イベント発生位置」に近づいたと判断された場合は、そのイベント発生位置が近いことを警告する案内音声がスピーカ14から出力される(ステップS44)。
【0107】
このとき出力される案内音声は、近づいている「イベント発生位置」で発生したイベントの種類を示すものとなっている。例えば、イベントの種類が「G検知」であれば案内音声は「まもなく、G検知ポイントです。」となる。また、イベントの種類が「急減速」であれば案内音声は「まもなく、急減速ポイントです。」となり、イベントの種類が「スイッチ操作」であれば案内音声は「まもなく、スイッチ操作ポイントです。」となる。
【0108】
このように、自車位置が「イベント発生位置」に近づいた場合にその旨を示す案内音声を出力することにより、ユーザは走行上注意すべき位置を、その位置に到達する前に確実に意識することができる。
【0109】
また、自車位置が案内すべきルートから外れた場合は(ステップS45にてYes)、ルート設定部102によりその時点の自車位置から目的地までのルートが再度導出されて、案内すべきルートとして設定される(ステップS46)。このような再度のルートの導出の際においても、直近に案内していたルートが基本ルートの場合は基本アルゴリズムでルートが導出され、直近に案内していたルートが迂回ルートの場合は迂回アルゴリズムでルートが導出されることが望ましい。
【0110】
また、自車位置が目的地に近づいたと判断された場合は(ステップS47にてYes)、目的地に近づいた旨の案内音声がスピーカ14から出力され(ステップS48)、ルート案内処理が終了することになる。
【0111】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の車載表示システムの構成や動作は第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
車両8の走行上において危険な位置においては、イベントが複数回発生することがある。逆にいえば、複数のイベントが発生した位置については、イベントが再度発生する可能性のある危険の度合いが高い位置であるといえ、ユーザはより慎重な運転を行う必要がある。第2の実施の形態では、地図上の「イベント発生位置」に発生したイベントの数に応じた指標を表示して、危険の度合いを示すようにしている。
【0113】
図15は、第2の実施の形態において、ディスプレイ13の地図上に警告マーク46を表示した様子を示す図である。地図上の「イベント発生位置」においては、当該位置で発生したイベントの数に応じた指標としての警告マーク46が表示されている。
【0114】
具体的には、発生したイベントの数が1であれば黄色の警告マーク46、2以上4未満であれば橙色の警告マーク46、5以上であれば赤色の警告マーク46が表示される。各「イベント発生位置」におけるイベントの数は、イベントファイルD1の各イベントデータの「イベント発生位置」に基づいて地図表示部101により導出される。
【0115】
なお、同一の交差点や道路で発生したイベントであっても、「イベント発生位置」はイベントごとに厳密には異なってくる。このため、複数のイベントの「イベント発生位置」同士において距離があるとしても、その距離が当該位置の交差点や道路の幅以内であれば、その複数のイベントは同一の位置で発生したものとみなせばよい。
【0116】
このように、イベントが発生した地図上の位置に、発生したイベントの数に応じた警告マーク46が表示されるため、ユーザは注意すべき度合いを容易に把握することができる。その結果、ユーザはより慎重に運転する必要がある位置を意識することができ、安全性が向上する。
【0117】
また、第2の実施の形態においても、地図上の警告マーク46を選択した場合は、当該警告マーク46の「イベント発生位置」で取得された動画データD2が再生表示される。ただし、その「イベント発生位置」で複数のイベントが発生していた場合は、それぞれのイベントに対応して複数の動画データD2が再生対象となってしまう。
【0118】
このため、複数のイベントが発生した「イベント発生位置」の警告マーク46が選択された場合は、図16に示すように、当該「イベント発生位置」で取得された複数の動画データD2の情報が一覧表示される。この一覧表示においては、各動画データを特定する情報として、「イベント時刻」及び「イベント種類」が示されている。また、各動画データの情報はコマンドボタンCとして示されている。そして、ユーザが、これらのコマンドボタンCのいずれかを選択することで、所望の動画データD2を再生表示させることが可能となっている。
【0119】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態で説明した形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0120】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1とドライブレコーダ2とは車内LAN80で接続され、車内LAN80を介してドライブレコーダ2で記録された記録データがナビゲーション装置1に受け渡されると説明した。これに対して、ドライブレコーダ2で記録された記録データが、メモリカード9を介して、ナビゲーション装置1に受け渡されるようにしてもよい。この場合は、ドライブレコーダ2でメモリカード9に記録された記録データが、ナビゲーション装置1のカードスロット17で読み出され、不揮発性メモリ12に記録される。そして、ナビゲーション装置1が、各種の処理においてドライブレコーダ2の記録データを必要とする場合は、不揮発性メモリ12から必要な記録データを読み出すようにすればよい。
【0121】
また、この場合においては、図17に示すように、ナビゲーション装置1と同一の車両8に搭載されたドライブレコーダ2のみならず、他の車両8に搭載されたドライブレコーダ2の記録データを利用することも可能となる。このようにすれば、複数のユーザの実際の運転に基づいて注意すべき位置を案内することが可能である。
【0122】
このような場合では、同一の「イベント発生位置」で複数のイベントが発生している場合が多い。したがって、第2の実施の形態と同様に、複数のイベントが発生した「イベント発生位置」の警告マーク46が選択された場合は、図18に示すように、当該「イベント発生位置」で取得された複数の動画データD2の情報を一覧表示し、ユーザが所望の動画データD2を再生表示できるようにすればよい。また、各動画データを特定する情報として、「イベント時刻」及び「イベント種類」の他に、取得されたドライブレコーダ2を特定するための「識別情報」を含ませることが望ましい。図18の例では、「DR01」「DR02」等が、ドライブレコーダ2の「識別情報」となっている。
【0123】
また、図19に示すように、複数の車両のドライブレコーダ2で記録された記録データを所定のサーバ装置3に集約して記録しておき、ナビゲーション装置1が無線通信を利用してサーバ装置3からドライブレコーダ2の記録データを取得できるようにしてもよい。このようにすれば、より多くのユーザの実際の運転に基づいて注意すべき位置を案内することが可能である。
【0124】
また、上記実施の形態では、ドライブレコーダ2は、イベントの発生に応答して動画データを記録するものであったが、イベントの発生とは無関係に起動中は常時に動画データを記録するものであってもよい。この場合であっても、ドライブレコーダ2は起動中は常時に動画データを記録していることから、イベントの発生時における車両の周辺の様子を示す動画データを記録することになる。
【0125】
また、上記実施の形態では、ルートの案内をする際に自車位置がイベント発生位置に近づいた場合に案内音声を出力するものであったが、ルートの案内をしていないときであっても、自車位置がイベント発生位置に近づいた場合に案内音声を出力するようにしてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、ナビゲーション装置1は表示に必要な記録データをドライブレコーダ2から適宜に取得するようになっていた。これに対して、ドライブレコーダ2が記録する記録データと同一のデータを、ナビゲーション装置1の不揮発性メモリ12に記録しておき、不揮発性メモリ12から必要な記録データを読み出すようにしてもよい。
【0127】
また、ある車両に搭載されたナビゲーション装置1において、他の車両に搭載されたドライブレコーダ2の「イベント発生位置」を取得して、地図上に他の車両で発生したイベントの「イベント発生位置」を表示できるようになっていてもよい。この場合、「イベント発生位置」とともに「イベント種類」も取得して、発生したイベントの種類に応じた警告マークを表示することが望ましい。
【0128】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 ナビゲーション装置
2 ドライブレコーダ
13 ディスプレイ
31 カメラ
41 自車マーク
42 警告マーク
46 警告マーク
100 車載表示システム
101 地図表示部
102 ルート設定部
103 ユーザ案内部
104 動画再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダで記録された記録データを表示可能なナビゲーション装置であって、
前記ドライブレコーダは、車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録し、
前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを取得するデータ取得手段と、
前記ナビゲーション装置が搭載される車両の現時点の位置である自車位置を取得する位置取得手段と、
前記イベント発生位置と前記自車位置とを明示した地図を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記ドライブレコーダは、発生した前記イベントの種類をさらに含む前記記録データを記録し、
前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置に、該イベント発生位置で発生した前記イベントの種類を明示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記ドライブレコーダは、前記イベントの発生時における車両の周辺の様子を示す動画データをさらに含む前記記録データを記録し、
前記表示手段に表示された前記地図上の前記イベント発生位置の選択をユーザから受け付ける受付手段、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置が前記ユーザに選択された場合は、当該イベント発生位置で取得された前記動画データを再生表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示手段は、前記地図上の前記イベント発生位置に、該イベント発生位置で発生した前記イベントの数に応じた指標を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
自車位置から目的地までの第1ルートを導出するルート導出手段と、
前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数を導出する導出手段と、
をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数をユーザに報知する報知手段、
をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のナビゲーション装置において、
前記ルート導出手段は、前記第1ルート上における前記イベント発生位置の数が閾値以上の場合は、前記イベント発生位置を迂回する第2ルートを導出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
自車位置から目的地まで、前記イベント発生位置を迂回するルートを導出可能なルート設定手段、
をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記自車位置が前記イベント発生位置に近づいた場合に、その旨を示す案内音声を出力する音声出力手段、
をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録するドライブレコーダと、
前記車両に搭載され、前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを表示可能な請求項1ないし9のいずれかに記載のナビゲーション装置と、
を備えることを特徴とする車載表示システム。
【請求項11】
ドライブレコーダで記録された記録データを表示可能なナビゲーション装置における地図表示方法であって、
前記ドライブレコーダは、車両に搭載されて所定のイベントの発生を検知し、前記イベントが発生した時点の該車両の位置であるイベント発生位置を含む記録データを記録し、 前記ドライブレコーダで記録された前記記録データを取得するデータ取得工程と、
前記ナビゲーション装置が搭載される車両の現時点の位置である自車位置を取得する位置取得工程と、
前記イベント発生位置と前記自車位置とを明示した地図を表示する表示工程と、
を備えることを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−128005(P2011−128005A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286620(P2009−286620)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】