説明

ナビゲーション装置およびその案内方法

【課題】ナビゲーション装置において、HOVレーンか否かについて、より精度よく判定し、HOVレーンを案内する。
【解決手段】 所定の条件を満たすことにより通行可能となる車線(以下、「条件付き車線」という)の設置時間を含む車線情報を記憶する記憶手段と、前記条件付き車線の入口案内を行う案内手段と、を備える。前記案内手段は、前記車線情報を用いて、所定時刻において前記条件付き車線が設置される道路を特定し、特定した道路に対して、前記条件付き車線の入口案内をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびその案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、HOV(High-Occupancy Vehicles)レーン等の特定の条件を満たす車両のみが走行可能な車線に対応する経路探索の技術が用いられている。特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。なお、HOVレーンは、カープールレーンとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−131085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなHOVレーンの中には、所定の時間を境に通常レーン(HOVレーンの対象外である通常車両も走行可能なレーン)に切り替わるものがある。言い換えれば、区間によっては、所定の時間を境に通常レーンからHOVレーンに切り替わる。
【0005】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、時間帯に応じてHOVレーンおよび通常レーンが切り替わることについて考慮されていない。その結果、HOVレーンから通常レーンに切り替わった後の時間帯であっても、HOVレーンとして案内してしまうという問題がある。また、その逆に、通常レーンからHOVレーンに切り替わっているにもかかわらず、HOVレーンとして案内できないという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、ナビゲーション装置において、HOVレーンか否かについて、より精度よく判定し、HOVレーンを案内することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るナビゲーション装置は、所定の条件を満たすことにより通行可能となる車線(以下、「条件付き車線」という)の設置時間を含む車線情報を記憶する記憶手段と、前記条件付き車線の入口案内を行う案内手段と、を備える。そして、前記案内手段は、前記車線情報を用いて、所定時刻において前記条件付き車線が設置される道路を特定し、特定した道路に対して、前記条件付き車線の入口案内をする、という構成を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】リンクテーブルの構成を示す図である。
【図3】案内対象リンクテーブルの構成を示す図である。
【図4】カメラの搭載位置を示す図である。
【図5】撮像画像を地上面に投影する様子を示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る演算処理部の機能ブロック図である。
【図7】対象リンク抽出処理のフロー図である。
【図8】HOV入口案内処理のフロー図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る対象リンク抽出処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第一の実施形態を適用したナビゲーション装置について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に、ナビゲーション装置100の全体構成図を示す。ナビゲーション装置100は、地図情報を表示して、ナビゲーション装置100の現在地を示す地点と、設定された目的地までの経路を誘導する情報とを示すことが可能ないわゆるナビゲーション装置である。
【0011】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、カメラ12と、車載ネットワーク通信装置13と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報に基づいて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0013】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、ユーザから指示された出発地または現在地と目的地(または、経由地や立ち寄り地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
また、演算処理部1は、後述するように、経路探索を行う際に、HOVレーンを走行する経路を優先することができる。なお、HOVレーンは、乗車人数が規定の乗車人数(例えば運転者を含めて2人)以上である車両や、特定の基準(低燃費、あるいは低公害)を満たす車両のみが走行可能として規定された車線のことである。
【0015】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0016】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0017】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0018】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、HOVレーンとして特定されたリンクを登録する案内対象リンクテーブル250とが記憶されている。
【0019】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0020】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227、リンクごとのHOVレーンの設置状況に関する属性を特定するHOVレーン情報228などを含んでいる。
【0021】
HOVレーン情報228には、当該リンクがHOVレーンとなり得るか否かを示すHOV属性詳細データ230を含んでいる。そして、HOV属性詳細データ230は、当該リンクにHOVレーンが設置されるか否かを示す属性231と、HOVレーンが設置される場合のその時間帯232と、が対応付けて登録されている。具体的には、当該リンクにHOVレーンが設置される場合、属性231には「あり」が登録される。そして、当該リンクがHOVレーンである各時間帯(例えば、6:00〜10:00、15:00〜17:00など)が、「あり」を示す各属性231に対応付けられて登録されている。
【0022】
図3は、案内対象リンクテーブル250の構成を示す図である。案内対象リンクテーブル250は、後述するHOV対象リンク抽出処理で抽出されたリンクを登録するテーブルである。案内対象リンクテーブル250には、抽出されたリンクのリンクID251と、かかるリンクの「開始ノード・終了ノード」252と、「開始接続リンク、終了接続リンク」253とが登録される。なお、これらのリンクID251と、「開始ノード・終了ノード」252と、「開始接続リンク、終了接続リンク」253には、リンクテーブル200に登録されているID番号や座標情報と同一のものが用いられる。
【0023】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。
【0024】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0025】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0026】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備える。そして、各キーや各スイッチの操作に応じた情報をナビゲーション装置100に送出する。
【0027】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0028】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0029】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0030】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を算出するために使用されるものである。車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0031】
FM多重放送受信装置10は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0032】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0033】
図4は、車両300の後方に取り付けられたカメラ12を示す。カメラ12は、やや下を向いており、車両の後方の地上面をCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を用いて撮像する。なお、カメラ12が取り付けられる位置に制限はなく、例えば、カメラ12は車両300の前方に取り付けられて車両の前方の地上面を撮像するものであってもよい。
【0034】
図5は、図4のカメラ12にて撮像した画像を用いた地上投影画像の生成方法を説明するための図である。後述するカメラ制御部104は、カメラ12の視点Pの位置(車両内の所定位置を原点とする三次元空間における座標位置)と撮像方向(視線方向)Kを求める。そして、カメラ制御部104は、撮像画像510を、カメラ12の視点Pの位置から撮像方向Kに向けて、地上面520に投影し、地上投影画像530を生成する。なお、撮像方向Kは、撮像画像510の中心と垂直に交わる。また、カメラ12の視点Pから撮像画像510までの距離は、予め定められている。こうして生成される地上投影画像530は、車両の上空から車両周辺を鳥瞰したような画像となる。
【0035】
車載ネットワーク通信装置13は、ナビゲーション装置100を、図示しない車両の制御ネットワーク規格であるCAN等に対応するネットワークに接続させ、ネットワークに接続された他の車両制御装置であるECU(Electronic control unit)とCANメッセージをやり取りすることで通信を行う装置である。
【0036】
図6は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、カメラ制御部104と、車線認識部105と、HOV走行可否判定部106と、経路探索部107と、分岐案内部108と、HOV入口案内部109と、を有する。
【0037】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部101は、各種センサ、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を特定する。さらに、主制御部101は、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。また、主制御部101は、ナビゲーション装置100が備える各種の設定情報を管理する。例えば、主制御部101は、各種の設定情報を各機能部を介してユーザから受け付け、記憶装置3に格納する。なお、各種の設定情報には、HOVレーンの利用に関する情報(例えば、HOVレーンを積極的に利用することについて真、偽のいずれの情報が設定されているか)などが含まれる。また、主制御部101は、他の機能部から各種の設定情報の提供依頼を受け付けると、かかる情報を依頼元の機能部に受け渡す。
【0038】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力された使用者からの指示を受け付け、その要求内容に対応する処理を実行するように演算処理部1の各部を制御する。例えば、使用者が推奨経路の探索を要求したときは、目的地を設定するため、地図をディスプレイ2に表示する処理を出力処理部103に要求する。
【0039】
出力処理部103は、例えばポリゴン情報等の表示させる画面情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0040】
カメラ制御部104は、カメラ12の動作を制御する。例えば、カメラ12の撮像の開始・終了のタイミングを設定する。また、撮像した画像を車線認識部105への送信を制御する。
【0041】
車線認識部105は、カメラ12で撮像した画像を、画像データとして取得する。そして、取得した画像を、表示のための画像(地上投影画像)に変換する。また、取得した画像から、道路の路面に敷設あるいは着色された標識等を認識し、自車が走行する車線の特定を行う。例えば、後述するように、車線認識部105は、HOVレーンであることを示す標識(菱形のペイント)等の存在を認識し、画像中の左右中央付近に当該標識が存在する場合には、車両300がHOVレーンを走行しているものと判定する。あるいは、車線認識部105は、画像中の左右中央付近ではなく、左右中央付近よりも左右のいずれかに片寄った位置に当該標識が認識され、左右中央付近からみて車線の標識より端側に当該標識が認識される場合には、HOVレーンではない隣のレーンを走行しているものと判定する。
【0042】
HOV走行可否判定部106は、自車300がHOVレーンを走行可能であるか否かを判定する。当該走行可否の判定においては、HOV走行可否判定部106は、車載ネットワーク通信装置13を介して、自車300の車載ネットワークを流れる通信情報に基づいて自車300の車種等を判定し、HOVレーンを走行可能な車種であるか否かを判定する。もちろん、HOVレーンの走行可否の判定処理においては、これに限られず、HOV走行可否判定部106は、車両のシートに取り付けられた図示しない荷重センサから乗車人数を特定し、または、シートベルトの着用センサを介して乗車人数を特定して、HOVレーンを走行可能な乗車人数に達しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0043】
経路探索部107は、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(リンク)に対して予め設定されたリンクコストに基づいて経路を探索する。なお、当該処理においては、自車がHOVレーンを走行可能な状況にあるか否かを上記HOV走行可否判定部106に対して判定するよう依頼し、走行可能な状況にあるとの判定結果を得た場合に、HOVレーンを利用する経路を優先して、推奨経路を探索する。
【0044】
走行可能な状況にない場合には、経路探索部107は、HOVレーンを考慮しないで、リンクコストが最小となる経路を探索する。なお、経路探索部107は、当該処理において、HOVレーンを利用可能な状況にないと判定した場合であっても、既に自車がHOVレーンを走行中であれば、HOVレーンを利用する経路を優先して推奨経路を探索する。経路探索部107は、自車がHOVレーンをすでに走行しているか否かを判定する際には、現在位置が属するリンクのHOVレーン情報228を参照する。そして、属性231に「あり」が登録されており、かかる「あり」に対応付けられている時間帯に現在時間が含まれればHOVレーンを走行していると判定する。一方で、それ以外の場合(現在位置が属するリンクのHOVレーン情報228の属性231に「あり」が登録されていない場合、または、登録されている「あり」に対応付けられている時間帯232に現在時間が含まれていない場合)には、HOVレーンを走行していないと判定する。
【0045】
分岐案内部108は、他の道路との合流点や他の道路への分岐点等の存在や位置を、映像や音声を用いて運転者に案内する。例えば、高速道路等の支線と本線との合流位置の手前から、合流点が近い旨や合流点までの概算距離を知らせる表示を、出力処理部103を介してディスプレイ2に出力させる。または、高速道路の本線からランプ道への分岐点において、いずれの車線を走行すればよいかを、スピーカ42を介して音声により運転者へ知らせる。
【0046】
HOV入口案内部109は、HOVレーンに該当するリンクのリンク情報を抽出し、案内対象リンクテーブル250に登録する機能部である。具体的には、HOV入口案内部109は、現在時刻における自車位置から所定範囲内(例えば、5km以内)にあるリンクのHOVレーン情報228を参照し、HOVレーンに該当するリンクを特定する。そして、HOV入口案内部109は、特定したリンクに関する情報を抽出し、案内対象リンクテーブル250に登録する。また、HOV入口案内部109は、HOVレーンの入口を案内する機能部である。具体的には、HOV入口案内部109は、自車が案内対象リンクテーブル250に登録されたリンクに所定距離(例えば、500m)まで近づいたとき、HOVレーンの入口について案内を開始する。
【0047】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち主制御部101、入力受付部102、出力処理部103、カメラ制御部104、車線認識部105、HOV走行可否判定部106、経路探索部107、分岐案内部108、HOV入口案内部109は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0048】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0049】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0050】
次に、ナビゲーション装置100が実施する対象リンク抽出処理の動作について説明する。図7は、ナビゲーション装置100が実施する対象リンク抽出処理を示すフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100の起動により開始される。
【0051】
まず、HOV入口案内部109は、HOVレーンの利用が可能か否かを判定する(ステップS001)。すなわち、HOV入口案内部109は、ナビゲーション装置100がHOVレーンを利用する設定になっているか否かを判定する(ステップS001)。具体的には、HOV入口案内部109は、ナビゲーション装置100が備える各種設定情報のうち、HOVレーンの利用に関する情報(例えば、HOVレーンを利用することについて真、偽のいずれの情報が設定されているか)を主制御部101から取得する。そして、HOV入口案内部109は、当該情報を参照してHOVレーンを利用する設定であるか否かを判定する。
【0052】
HOVレーンを利用する設定になっている場合(ステップS001でYes)、HOV入口案内部109は、自車がHOVレーンを走行可能であるか否かを判定する(ステップS002)。具体的には、HOV入口案内部109は、HOV走行可否判定部106に依頼して、自車がHOVレーンを走行可能であるか否かを判定する。一方で、HOVレーンを利用する設定になっていない場合(ステップS001でNo)、HOV入口案内部109は、対象リンク抽出処理を終了する。
【0053】
ステップS002において、HOV走行可否判定部106は、自車がHOVレーンを走行可能であるか否かを判定する。具体的には、HOV走行可否判定部106は、自車の車種、荷重センサまたはシートベルトの着用センサから取得する情報に基づいて車種または乗車人数を特定する。そして、HOV走行可否判定部106は、特定した車種または乗車人数がHOVレーンを使用するための所定条件を満たしているか否かを判定し、かかる判定結果をHOV入口案内部109へ出力する。
【0054】
自車がHOVレーンを走行可能である場合(ステップS002でYes)、HOV入口案内部109は、自車のいるリンクに接続している所定範囲内のリンクについて、現在時刻に応じたHOV属性を調査する(ステップS003)。具体的には、HOV入口案内部109は、リンクテーブル200に登録されている情報に基づいて、自車のいるリンクを特定する。次に、HOV入口案内部109は、自車のいるリンクに接続しているリンクであって、例えば自車位置から5km以内のリンクのHOV属性について調査する。このとき、HOV入口案内部109は、現在時刻における各リンクの属性231を調べる。一方で、自車がHOVレーンを走行可能でない場合(ステップS002でNo)、HOV入口案内部109は、対象リンク抽出処理を終了する。
【0055】
HOV入口案内部109は、各リンクの属性231を調べ(ステップS003)、現在時刻が含まれる時間帯232に対応する属性231に「あり」が登録されているリンクを抽出し、案内対象リンクテーブル250に格納する(ステップS004)。
【0056】
HOV入口案内部109は、ステップS004の実行後、処理をステップS001に移行する(R001)。このようにして、HOV入口案内部109は、ステップS001からステップS004の処理を繰り返し実行する。
【0057】
なお、HOV入口案内部109が、ステップS004の実行後に、ステップS003に処理を移行(R002)するようにしてもよい。この場合、例えば、HOV入口案内部109がステップS001およびステップS002の処理を実行した後に、ステップS003およびステップS004の処理を繰り返し実行し(R002)、所定のタイミングで処理をステップS001に移行(R001)するようにしてもよい。具体的には、HOV入口案内部109がステップS003およびステップS004の処理を繰り返し実行し、例えば10分に一度のタイミングで、処理をステップS001に移行(R001)するようにしてもよい。
【0058】
次に図8を用いて、HOV入口案内処理について説明する。図8はHOV入口案内処理を示すフロー図である。
【0059】
HOV入口案内部109は、対象リンク抽出処理によって案内対象リンクテーブル250に格納されたリンクであって、自車位置から所定範囲内のリンクがあるか否かを判定する(ステップS021)。具体的には、HOV入口案内部109は、案内対象リンクテーブル250に格納されているリンクであって、自車位置から例えば500m以内の距離にあるリンクの有無を確認する。そして、かかるリンクがある場合(ステップS021でYes)、HOV入口案内部109は、HOVレーンの入口案内を開始する(S022)。具体的には、HOV入口案内部109は、ディスプレイ2にHOVレーンまでの所要時間、距離、HOVレーンの車線位置などを表示し、スピーカ42を介して音声案内する。
【0060】
一方で、自車位置から所定範囲内のリンクがない場合(ステップS021でNo)、HOV入口案内部109は、処理をステップS033に移行する。
【0061】
ステップS023において、HOV入口案内部109は、案内対象リンクテーブル250へ格納された時から所定時間が経過したリンクを削除する。具体的には、案内対象リンクテーブル250に格納されたリンクのうち、格納された時間から1時間以上が経過したリンクの情報を削除する。なお、かかる経過時間は適宜設定されればよい。また、所定時間の経過をリンクの削除要件とせず、例えば、自車位置が、登録されたリンクから所定距離以上に離れた場合、かかるリンクを削除するようにしてもよい。また、この所定距離は適宜設定されればよい。なお、図8に示すHOV入口案内処理は、対象リンク抽出処理が実行されている間、ステップS021〜ステップS023の処理を繰り返し実行する。
【0062】
以上、対象リンク抽出処理およびHOV入口案内処理のフローについて説明した。
【0063】
このような本発明の第一実施形態に係るナビゲーション装置では、HOVレーンか否かの判定にあたって、時間帯に応じて切り替わるHOV属性が考慮される。その結果、本発明の第一実施形態に係るナビゲーション装置によれば、HOVレーンか否かについて、より精度よく判定し、HOVレーンを案内することができる。
【0064】
なお、前述の第一実施形態に係るナビゲーション装置100は、現在時刻に応じた周辺リンクのHOV属性231を特定したが、本発明はこれに限られるものではない。本発明の第二実施形態に係るナビゲーション装置100は、周辺の各リンクへの到着予想時刻に応じたHOVの属性231を特定する。図9を用いて、第二実施形態に係るナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0065】
図9は、第二実施形態に係るナビゲーション装置100が実施する対象リンク抽出処理を示すフロー図である。第二実施形態では、ステップS033およびステップS034のみ第一実施形態と異なる処理を実行する。したがって、第一実施形態と同様の処理内容については説明を省略する。また、図9に示すフローは、ナビゲーション装置100の起動により開始される。
【0066】
図9のステップS033において、自車がHOVレーンを走行可能である場合(ステップS032でYes)、HOV入口案内部109は、自車のいるリンクに接続している所定範囲内のリンクについて、到着予想時刻に応じたHOV属性231を調査する(ステップS033)。具体的には、HOV入口案内部109は、リンクテーブル200のリンク旅行時間225を参照し、自車がいるリンクに接続しているリンクであって、自車位置から例えば5km以内にある各リンクへの到着予想時刻を算出する。そして、HOV入口案内部109は、算出した各リンクへの到着予想時刻における各リンクの属性231を調べる。一方で、自車がHOVレーンを走行可能でない場合(ステップS002でNo)、HOV入口案内部109は、対象リンク抽出処理を終了する。
【0067】
HOV入口案内部109は、各リンクの属性231を調べ(ステップS033)、到着予想時刻が含まれる時間帯232に対応する属性231に「あり」が登録されているリンクを抽出し、案内対象リンクテーブル250に格納する(ステップS034)。
【0068】
なお、このような本発明の第二実施形態においても、第一実施形態と同様にHOV入口案内処理を実行する。
【0069】
このように、本発明の第二実施形態では、HOVレーンの対象リンクとなるか否かの判定にあたり、各リンクへの到着予想時刻が用いられる。そして、ナビゲーション装置は、このように特定した各リンクのHOV属性に基づいてHOVレーンか否かを判定する。したがって、本発明の第二実施形態によれば、HOVレーンか否かについて、より高い精度で判定し、HOVレーンを案内することができる。
【0070】
また、本発明の変形例では、前述の第一実施形態または第二実施形態において、HOVレーンを案内する直前の時間を基準として、かかるリンクの属性231を再度判定し直すようにしてもよい。具体的には、HOVレーンに特定したリンクの手前1kmの位置まで自車が近づいた際に、ナビゲーション装置100は、再度、かかるリンクの属性231に含まれる時間帯232を参照する。そして、該リンクの1km手前の時点において、該リンクの属性231がHOVレーンであるか否かを判定する。その結果、該リンクがHOVレーンでない場合、ナビゲーション装置100は、HOVの入口案内を取り止める。一方で、該リンクがHOVレーンである場合、自車位置が該リンクの500m手前まで接近した際に、HOVの入口案内を開始する。なお、属性231が再度判定され、HOVレーンに該当しなくなっているリンクについては、案内対象リンクテーブル250から削除するようにしてもよい。
【0071】
このような変形例によれば、一度特定したHOVレーンのリンク直前で再度HOVレーンの対象であるか否かを判定し直すため、より高い精度で判定し、HOVレーンの入口を案内することができる。例えば、渋滞などの影響により、当初、HOVレーンの対象として特定したリンクまで到達する前に、該リンクの属性が変化してしまうことがある。しかしながら、本発明の変形例によれば、かかるリンクの直前でHOVレーンか否かを見直すことができるため、より精度良くHOVレーンの入口案内をすることができる。
【符号の説明】
【0072】
100・・・車載ナビゲーション装置、1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・ROM装置、7・・・車速センサ、8・・・ジャイロセンサ、9・・・GPS受信装置、10・・・FM多重放送受信装置、11・・・ビーコン受信装置、12・・・カメラ、13・・・車載ネットワーク通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件を満たすことにより通行可能となる車線(以下、「条件付き車線」という)の設置時間を含む車線情報を記憶する記憶手段と、
前記条件付き車線の入口案内を行う案内手段と、を備え、
前記案内手段は、
前記車線情報を用いて、所定時刻において前記条件付き車線が設置される道路を特定し、特定した道路に対して、前記条件付き車線の入口案内をする
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記案内手段は、
前記所定時刻において前記条件付き車線が設置される道路を特定した後、該特定した道路に所定距離まで近づいた場合に、前記車線情報を用いて、その時点においても前記条件付き車線が設置されているか否かを判定し、前記条件付き車線が設置されていない場合、前記条件付き車線の入口案内を中止する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記所定時刻は、現在時刻またはその道路への到着予想時刻である
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
所定の条件を満たすことにより通行可能となる車線(以下、「条件付き車線」という)の設置時間を含む車線情報を記憶する記憶ステップと、
前記条件付き車線の入口案内を行う案内ステップと、
を実行するナビゲーション装置の案内方法であって、
前記案内ステップは、
前記車線情報を用いて、所定時刻において前記条件付き車線が設置される道路を特定し、特定した道路に対して、前記条件付き車線の入口案内をする
ことを特徴とするナビゲーション装置の案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−137728(P2011−137728A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298080(P2009−298080)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】