説明

ナビゲーション装置およびその検査装置

【課題】処理負担の増加を招くことなく、正規かつ最終的な製品レベルの表示画面が検査されるナビゲーション装置およびその検査装置を提供する。
【解決手段】表示部31に表示される表示画面には、肉眼では識別できない表示識別記号が表示される。表示識別記号は、表示部31に表示される表示画面、および表示画面に含まれる表示部品にそれぞれ組み込まれている。ナビゲーション装置30を検査するとき、カメラ17で表示部31に表示された表示画面を撮影し、識別記号抽出部16において撮影された画像から表示識別記号を抽出する。抽出した表示識別記号は、判定部15において、画面遷移記憶部12に記憶され予め表示画面ごとに設定されている識別番号と照合される。照合した識別番号と表示識別番号が一致すれば表示画面の遷移は適切に実施されていると判定され、一致しないとき表示部31に表示された表示画面は適切でないと判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびその検査装置に関し、特に表示部に表示される表示画面の遷移についての検査が自動化されるナビゲーション装置およびその検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の表示部に表示される表示画面は、表示画面に含まれる表示部品や表示部の周囲に設けられた操作スイッチを押すことにより順次遷移する。従来、このようなナビゲーション装置において表示画面の遷移を検査する場合、表示部の表示内容を撮像部で撮影し、撮影された表示部の表示内容と予め設定された表示内容とが比較される。ここで、撮影された表示部の表示内容と設定された表示内容との比較を検査者が目視で行う場合、検査時間の増大を招くとともに、検査精度の低下を招くおそれがある。そのため、撮像した表示内容と設定された表示内容とを画像データ上で比較することが広く採用されている。一方、画像データを用いて表示内容を比較する場合、撮像した表示内容を処理する画像処理装置や比較を行う演算装置などに大きな負荷が加わる。そこで、遷移する表示画面の一部に検査用の情報をあわせて表示し、この検査用の情報を読み取ることにより、適正な画面が表示されているか否かを検査する画面検査装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−222596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の場合、表示画面の一部に検査用の情報領域が含まれているため、検査の対象となる表示画面は厳密には最終的な製品レベルの表示画面ではない。すなわち、特許文献1の場合、正規の表示画面を検査対象とすることはできない。また、特許文献1の場合、検査用の情報領域を含む表示画面は、上述のように仮の表示画面である。そのため、この検査用の表示画面を用いた検査により画面遷移は適正であることが確認されても、最終的な製品レベルの表示画面を作成する際に、人為的な錯誤による表示画面の不適切な遷移が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理負担の増加を招くことなく、正規かつ最終的な製品レベルの表示画面が検査されるナビゲーション装置およびその検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明または請求項2記載の発明では、表示部の表示画面および表示部品には、人間の視覚では認識が困難である不可視的な識別記号が含まれている。例えば表示画面または表示部品の一部の色調や階調をわずかに変化させることにより、人間の視覚では認識できない模様が表現可能である。この表示画面に含まれる不可視的な識別記号を用いることにより、適正が画面表示および適正な表示部品が表示部に表示されているか否かが検査される。したがって、正規かつ最終的な製品レベルの表示画面を検査することができる。
【0006】
請求項2記載の発明では、画面遷移記憶部に表示画面の遷移を記憶している。識別記号抽出部は、画面記憶部に遷移が記憶された表示画面に対応する遷移画面データから、遷移画面および遷移画面に含まれる表示部品の識別記号を抽出する。一方、検査対象となるナビゲーション装置の表示部は、撮像部によって実表示画面として撮影される。撮像部で撮影された実表示画面は、表示識別記号の抽出部において、実表示画面およびこの実表示画面に含まれる表示部品から表示識別記号が抽出される。判定部では、識別記号抽出部で抽出された所定の遷移画面に対応する識別記号と、撮像部によって撮像された実画面表示から抽出した表示識別記号とを比較して、識別記号と表示識別記号とが一致するか否かを判定する。すなわち、判定部では、予め設定されている識別記号と表示部から取得した表示識別記号とを比較する。識別記号は、例えばバーコード、二次元バーコードや数字などで構成されている。そのため、判定部では、画面全体を対比するのではなく、識別記号と表示識別記号とを照合する。したがって、判定部などの処理装置の負担の増加を招くことなく、正規かつ最終的な製品レベルの表示画面を精密に検査することができる。
【0007】
請求項3記載の発明では、入力部は判定部において識別記号と表示識別記号とが一致したとき、表示部品または操作スイッチに入力する。これにより、ナビゲーション装置の表示部の表示画面は、次の遷移画面に切り替わる。そのため、複雑な階層にわたる表示画面が順に検査される。したがって、複雑な表示画面を自動的かつ連続的に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による検査装置の概略構成を示すブロック図である。検査装置10は、ナビゲーション装置30の表示部31に表示されている表示画面を検査する。検査装置10は、制御部11、画面遷移記憶部12、識別記号抽出部13、エラー告知部14、判定部15、表示識別記号抽出部16、撮像部としてのカメラ17、ならびに入力部としてのロボット操作部18およびロボット19を備えている。制御部11は、CPU、ROMおよびRAMからなるマイクロコンピュータで構成されている。制御部11は、画面遷移記憶部12、識別記号抽出部13、エラー告知部14、判定部15、表示識別記号抽出部16、カメラ17、ロボット操作部18およびロボット19を統合して制御する。
【0009】
ナビゲーション装置30は、図2に示すように表示部31を有している。表示部31は、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどによって構成されている。表示部31は、表面を指で触れることにより操作を入力可能ないわゆるタッチパネルで構成されている。表示部31には、一つ以上の表示部品32、33、34、35を含む表示画面41が表示される。表示部品32、33、34、35は、操作者が指で触れることにより、定義されている所定の指示がナビゲーション装置30の図示しない制御部へ入力される。また、ナビゲーション装置30は、表示部31の周囲に設けられている一つ以上の操作スイッチ36を備えている。操作者は、操作スイッチ36を押すことによっても制御部へ所定の指示を入力することができる。
【0010】
図1に示すように、検査装置10の画面遷移記憶部12は、例えば外部記憶装置や不揮発性のメモリ装置などの記憶媒体で構成されている。画面遷移記憶部12は、ナビゲーション装置30の表示部31に表示される表示画面41の基礎となる遷移画面データ(以下、単に「画面データ」という。)を記憶している。画面データには、ナビゲーション装置30の操作によって切り替えられる表示画面41の遷移が含まれている。表示画面41の遷移とは、例えば表示部31にある表示画面41が表示されているとき、特定の操作スイッチ36や表示部品32、33、34、35を押すことにより切り替わっていく表示画面41の変化である。
【0011】
具体的には、ある表示画面Iaが表示されているとき、表示画面Iaに含まれる表示部品Saを押すと、表示画面Iaは表示画面Ibに切り替わるとする。また、表示画面Iaが表示されているとき、操作スイッチSbを押すと、表示画面Iaは表示画面Icに切り替わるとする。このとき、画面遷移記憶部12には、「表示画面Iaが表示されているとき表示部品Saを押すと表示画面Ibに切り替わる」、「表示画面Iaが表示されているとき操作スイッチSbを押すと表示画面Icに切り替わる」といった表示画面41の遷移が画面データとして記憶されている。
【0012】
識別記号抽出部13は、所定のアルゴリズムにしたがって画面データに含まれている識別記号を抽出する。画面遷移記憶部12には、画面データが記憶されており、この画面データには表示画面41とこれに対応する表示部品32、33、34、35についてそれぞれ識別記号が含まれている。例えば上記の表示画面Ia、表示画面Ibおよび表示画面Icを例にすると、表示画面Iaについての画面データには、表示画面Iaを意味する識別記号Daおよび表示画面Iaに表示されている表示部品Saの識別記号Dsaが含まれている。また、表示画面Ibについての画面データには表示画面Ibを意味する識別記号Dbが含まれ、表示画面Icについての画面データには表示画面Icを意味する識別記号Dcが含まれている。なお、ここで示した識別記号Da、Db、DcおよびDsaは説明のためのものであり、画面データに含まれる実際の識別記号とは異なる。
【0013】
識別記号抽出部13は、このように画面遷移記憶部12に記憶されている画面データから、表示されるべき表示画面41の識別記号およびこの表示画面41に含まれるべき表示部品32、33、34、35の識別記号を抽出する。また、このとき、識別記号抽出部13は、表示画面41に含まれる表示部品32、33、34、35の配置についても、画面データから抽出する。
【0014】
カメラ17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)などを有しており、ナビゲーション装置30の表示部31を撮影する。撮影された表示部31の表示画面41すなわち実表示画面は、制御部11において電子データに変換され、表示識別記号抽出部16に送られる。表示識別記号抽出部16は、撮影された表示画面41の電子データから表示画面41に含まれる表示識別記号を抽出する。
【0015】
図2に示すように、表示画面41には表示部品32、33、34、35が含まれている。表示画面41には、さらに表示識別記号が含まれている。表示識別記号は、表示画面41そのもののを識別するための表示識別記号61と、表示部品32、33、34、35をそれぞれ識別するための表示識別記号62、63、64、65とを含んでいる。これらの表示識別記号61、62、63、64、65は、図2(a)に示す表示画面41では人間の視覚による認識が困難な不可視的に表示されている。一方、カメラ17で撮影した後、制御部11において画像処理をした場合、図2(b)に示すように表示識別記号61、62、63、64、65は表示識別記号抽出部16において抽出される。
【0016】
表示画面41および表示部品32、33、34、35とこれらの表示識別記号61、62、63、64、65とは、地色と表示識別記号61、62、63、64、65の部分とがわずかに色調、輝度あるいは階調が変化して表示される。この場合、人間の視覚ではその違いを認識できなくても、表示識別記号抽出部16はカメラ17で撮影した画像の電子データに基づいてこの違いを認識可能である。このように、表示識別記号抽出部16は、カメラ17で撮影した表示画面41の電子データから、表示画面41および表示部品32、33、34、35にそれぞれ対応する表示識別記号61、62、63、64、65を抽出する。
【0017】
表示識別記号抽出部16で抽出された表示識別記号61、62、63、64、65は、判定部15において識別記号抽出部13で抽出された識別記号と一致するか否かが判定される。識別記号抽出部13で抽出された識別記号は、本来表示されるべき表示画面41の識別記号および表示部品32、33、34、35の識別記号である。判定部15は、この識別記号抽出部13で抽出された識別記号と、実際にカメラ17で撮影された表示画面41の表示識別記号61、62、63、64、65とが一致する否かを判定する。
【0018】
図1に示すエラー告知部14は、判定部15で判定された結果、識別記号と表示識別記号61、62、63、64、65とが一致していないとき、ナビゲーション装置30の表示画面41にエラーがあるとして、検査装置10の操作者にエラーを告知する。エラー告知部14は、例えば音声による聴覚的な告知、あるいは表示による視覚的な告知を行う。
【0019】
ロボット操作部18は、画面データから識別記号抽出部13で抽出された表示部品32、33、34、35の配置データを利用して、表示部品32、33、34、35の配置についての画面データからロボット19を操作するためのコマンドを作成する。ロボット19は、ナビゲーション装置30の表示部品32、33、34、35および操作スイッチ36を押すアーム部21を有している。ロボット操作部18は、表示部31に現在表示されている表示画面41から次の表示画面に遷移するために押される表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を特定し、特定した表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を押すためのコマンドを生成する。ロボット19は、ロボット操作部18から送られたコマンドに基づいてアーム部21によってナビゲーション装置30の表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を押す。
【0020】
次に、上記の構成による検査装置10を用いたナビゲーション装置30の検査手順を図3に基づいて説明する。
検査装置10の制御部11は、検査時期になると、表示画面41の取り込みを実施する(S101)。表示画面41は、カメラ17で撮影することにより取り込まれる。カメラ17で撮影された表示画面41は、例えば図示しないA/D変換部でデジタル信号に変換された後、所定のアルゴリズムにしたがって画像処理が施される。
【0021】
制御部11は、取り込まれた表示画面41から表示識別記号61、62、63、64、65を抽出する(S102)。図2(a)に示すように、表示画面41には、複数の表示部品32、33、34、35が含まれている。また、表示画面41は、表示画面41を識別するための表示識別記号61と、表示画面41に含まれる各表示部品32、33、34、35を識別するための表示識別記号62、63、64、65とを含んでいる。この表示識別記号61、62、63、64、65は、図2(a)に示すようにカメラ17で取り込まれただけでは背景である表示画面41および表示部品32、33、34、35と識別が困難である。すなわち、上述のように表示識別記号61、62、63、64、65は、表示画面41および表示部品32、33、34、35の地色と色調、輝度あるいは階調がわずかに異なるにすぎない。そのため、目視あるいは単にカメラ17で撮影した画面では、表示識別記号61、62、63、64、65を視覚的に認識することは困難である。
【0022】
制御部11は、カメラ17で取り込まれた画像を表示識別記号抽出部16へ送り、取り込まれた表示画面41から表示識別記号61を抽出する。上述のように単にカメラ17で撮影した画面では表示識別記号61、62、63、64、65の視覚的な認識は困難であるものの、カメラ17で取り込まれた画像を所定のアルゴリズムで処理することにより、表示識別記号抽出部16では図2(b)に示すように表示画面41および表示部品32、33、34、35の地色から表示識別記号61、62、63、64、65が抽出される。表示識別記号61、62、63、64、65は、図2(b)に示すようにバーコードであってもよく、例えば二次元バーコードや数字もしくは文字そのものであってもよい。
【0023】
制御部11は、表示識別記号61、62、63、64、65の抽出が実施されると、画面遷移記憶部12から表示部31に表示されている表示画面41の基礎となる画面データを読み込む。そして、制御部11は、識別記号抽出部13において、画面データに含まれる識別記号を抽出する(S103)。画面データには、表示部31に表示されている表示画面41を識別するための識別記号、およびこの表示画面41に含まれている表示部品32、33、34、35の識別記号が含まれている。さらに、画面データには、表示部31に表示されている表示画面に含まれる表示部品32、33、34、35の配置を示す配置データが含まれている。
【0024】
画面データに含まれる識別記号は、表示部31に表示される表示画面41およびこの表示画面41に含まれる表示部品32、33、34、35に固有の記号である。また、画面データに含まれる配置データは、表示画面41に各表示部品32、33、34、35が適切に配置されているか否かを確認するためのデータである。配置データは、例えば大まかな画素単位や寸法単位で表示部31における各表示部品32、33、34、35の位置関係に関するデータを含んでいる。
【0025】
例えば図2(b)に示す表示画面41において、表示画面41の左上角を基準点(x,y)=(0,0)とし、対角線上の右下角の座標を(x,y)=(29,39)と設定する。このとき、表示部品33を示す識別記号が位置する座標は、(x,y)=(20±5,5±5)のように配置データとして含まれている。表示部品32、33、34、35の座標の精度すなわち位置の許容範囲は、表示画面41に表示される表示部品32、33、34、35の数や大きさなどによって任意に設定される。なお、上記のような座標による配置データは、説明のための一例であり、データの構成などは任意に変更することができる。これらの画面データに含まれる識別記号や配置データは、ナビゲーション装置30のソフトウェアを構築する際に設定される仕様書に沿って定義されている。すなわち、画面データは、検査装置10のために別途設定するのではなく、予め仕様書にナビゲーション装置30の仕様として含まれるデータをそのまま流用すればよい。
【0026】
制御部11は、識別記号が抽出されると、判定部15においてステップS102で抽出した表示識別記号61、62、63、64、65とステップS103で抽出した識別記号とを照合する(S104)。判定部15では、これらの表示識別記号61、62、63、64、65と識別記号とが一致するか否かを判定する(S105)。判定部15は、表示画面41の表示識別記号61と識別記号、および各表示部品32、33、34、35の表示識別記号62、63、64、65と識別記号とをそれぞれ照合する。そして、これらのすべてが一致したとき「Yes」の判定を下し、いずれか一つでも異なると「No」の判定を下す。
【0027】
判定部15において「Yes」と判定されると、制御部11は次の検査対象となる表示画面41に遷移するために、表示部31に現在表示されている表示画面41の画面データから、次の表示画面41に遷移するために押すべき表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36の位置を特定する(S106)。ある表示画面41の検査が完了すると、検査装置10はその表示画面41から別の表示画面41に遷移して検査を続行する。そのため、現在表示されている表示画面41を次の検査対象となる表示画面41に切り替える必要がある。そこで、制御部11は、現在表示されている表示画面41の基礎となる画面データから、次の検査対象となる表示画面41に遷移するために押される表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を選択し、その位置を特定する。この表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36の位置は、画面データに上述の配置データとして含まれている。
【0028】
制御部11は、特定された表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を操作するために、配置データから特定した表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36の位置からロボット19を制御するための制御コマンドをロボット操作部18において作成する。そして、制御部11は、ロボット操作部18からロボット19へ制御コマンドを出力する(S107)。配置データは、単に表示部品32、33、34、35や操作スイッチ36の位置を示すデータに過ぎない。そのため、ロボット操作部18は、表示部品32、33、34、35や操作スイッチ36の位置を示す配置データに基づいて、ロボット19を制御するための制御コマンドを作成する。
【0029】
ロボット19は、ロボット操作部18で作成された制御コマンドにしたがって、次の表示画面に遷移するために特定された表示部品32、33、34、35または操作スイッチ36を押す。これにより、表示部31に表示されている例えば図2に示す表示画面41は、例えば図4に示す次の表示画面51に遷移する(S108)。次の表示画面51に遷移すると、制御部11は遷移した表示画面51について再びステップS101から検査を繰り返す。
【0030】
一方、ステップS105において、判定部15が「No」を判定すると、制御部11はエラー告知部14へエラー信号を出力する(S111)。エラー信号が出力されると、エラー告知部14はエラーを告知する(S112)。エラー告知部14は、例えばブザーや警報音などにより聴覚的にエラーを告知、または例えばエラー表示などにより視覚的にエラーを告知する。制御部11は、判定部15が「No」を判定すると、エラー告知部14からエラーを告知するとともに、処理を中止する。
【0031】
以上の手順により、ナビゲーション装置30の検査が実施される。
以上説明した一実施形態では、表示部31に表示される表示画面41およびこの表示画面41に含まれる表示部品32、33、34、35は表示識別記号61、62、63、64、65を含んでいる。そのため、表示画面41および表示部品32、33、34、35に含まれている表示識別記号61、62、63、64、65から、表示部31に表示されている表示画面41および表示部品32、33、34、35の種類および位置が検出される。この検出した表示識別記号61、62、63、64、65と画像遷移記憶部に記憶されている画面データに含まれる識別記号とを照合することにより、表示部31に表示されている表示画面41およびこれに含まれる表示部品32、33、34、35が適正であるか否かが判定される。表示識別記号61、62、63、64、65は表示画面41および表示部品32、33、34、35に不可視的に含まれるため、検査対象となる表示画面41は最終的な製品レベルとすることができる。したがって、最終的な製品レベルの表示画面41を用いてナビゲーション装置30の表示画面41を検査をすることができる。
【0032】
また、判定部15では表示画面41および表示部品32、33、34、35の表示識別記号61、62、63、64、65と画面データに含まれる識別記号とを照合している。表示識別記号61、62、63、64、65は、カメラ17で撮影された表示画面41から抽出される例えばバーコード、二次元バーコードあるいは文字などの記号である。そのため、表示識別記号61、62、63、64、65は、複雑な画像処理アルゴリズムを経ることなく抽出される。これにより、カメラ17で撮影した表示画面41の全体を画像データ間で比較する場合と比較して、検査装置10の負荷が低減され、検査装置10の高い処理能力が要求されない。したがって、製品レベルのナビゲーション装置30の検査を、高速かつ低負担で高精度に実施することができる。
【0033】
判定部15による判定の結果、表示識別記号61、62、63、64、65と識別記号とが一致すると、表示されている表示画面41はロボット19による操作によって順に遷移される。そのため、ナビゲーション装置30の表示部31に表示された表示画面41は、枝分かれした各画面が自動的に切り替えられる。したがって、複雑な階層構造の表示画面41を自動的かつ連続的に検査することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
上述の一実施形態では、図2(a)および図2(b)に示すように表示画面41、および表示部品32、33、34、35の特定の位置に表示識別記号61、62、63、64、65を表示する例について説明した。しかし、表示識別記号は、図4に示すように表示画面51および表示部品52、53、54、55の全体に意匠として埋め込む構成としてもよい。例えば、図4(a)に示すような表示画面51をカメラ17で撮影した後に画像処理が施すと、図4(b)に示す表示画面51が得られる。図4(b)に示す表示画面51には、表示画面51や表示部品52、53、54、55に表示識別記号を示す二次元バーコード71、72、73、74、75などが含まれている。すなわち、図4で示す表示画面51の場合、表示画面51の全体が表示識別記号を示す模様を形成するとともに、表示部品52、53、54、55にそれぞれ表示識別記号を示す二次元バーコード71、72、73、74、75が模様として埋め込まれている。
【0035】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態による検査装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施形態による検査装置に適用されるナビゲーション装置の表示画面を示す模式図であり、(a)は実際の表示画面を示し、(b)は画像処理後の表示画面を示す図
【図3】本発明の一実施形態による検査装置の検査の流れを示す概略図
【図4】本発明の他の実施形態による検査装置に適用されるナビゲーション装置の表示画面を示す図2に相当する模式図
【符号の説明】
【0037】
図面中、10は検査装置、12は画面遷移記憶部、13は識別記号抽出部、14はエラー告知部、15は判定部、16は表示識別記号抽出部、17はカメラ(撮像部)、18はロボット操作部(入力部)、19はロボット(入力部)、30はナビゲーション装置、31は表示部、32、33、34、35、52、53、54、55は表示部品、36は操作スイッチ、41、51は表示画面(実表示画面)、61、62、63、64、65、71、72、73、74、75は表示識別記号を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された表示画面を、前記表示画面に含まれる表示部品または前記表示部の周囲に設けられている操作スイッチからの入力によって切り替えるナビゲーション装置であって、
前記表示画面および前記表示部品は、それぞれ当該表示画面および当該表示部品を識別するための不可視的な識別記号を含んでいることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、前記表示部品または前記操作スイッチからの入力による前記表示画面の遷移を検査する検査装置であって、
前記表示部品または前記操作スイッチからの入力に対応する表示画面の遷移を記憶する画面遷移記憶部と、
前記画面遷移記憶部に記憶されている表示画面の遷移に沿って遷移した遷移画面の基礎となる遷移画面データから、前記遷移画面および前記遷移画面に含まれる表示部品を識別およびこの表示部品の配置を特定するための識別記号を抽出する識別記号抽出部と、
検査対象となるナビゲーション装置の表示部に表示されている実表示画面を撮影する撮像部と、
前記撮像部で撮影した前記実表示画面から、前記実表示画面および前記実表示画面に含まれる表示部品を識別するための表示識別記号を抽出する表示識別記号抽出部と、
前記識別記号抽出部で抽出した前記識別記号と前記表示識別記号抽出部で抽出した前記表示識別記号とを照合し、前記識別記号と前記表示識別記号とが一致するか否かを判定する判定部と、
前記ナビゲーション装置の前記表示部品または前記操作スイッチへ入力操作を行う入力部と、
前記判定部において前記識別記号と前記表示識別記号とが一致しないとき、遷移エラー情報を発するエラー告知部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置の検査装置。
【請求項3】
前記入力部は、前記判定部において前記識別記号と前記表示識別記号とが一致したとき、前記表示部品または前記操作スイッチに入力し、前記表示部の表示画面を次の遷移画面に切り替えることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−31198(P2009−31198A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197452(P2007−197452)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】