説明

ナビゲーション装置およびその検索対象施設の提示方法

【課題】 周辺施設検索において、ユーザが選択操作する対象施設の一覧の表示を改善すると共にそのレスポンスを向上させる「ナビゲーション装置およびその検索対象施設の提示方法」を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブル314を用意する。ユーザがカテゴリ一覧から特定のカテゴリを選択した際、この施設所在地テーブルを参照して、このカテゴリに含まれる施設が検索対象エリアに含まれるか否かを判断し、含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置の施設検索機能に関し、特に、対象施設の絞り込みを容易にする、検索対象施設一覧の提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ナビゲーション装置におけるユーザインタフェースの改良が続けられている。普及しているナビゲーション装置には、ナビゲーションの目的地や経由地を設定するために複数の検索手段が用意され、ユーザがその中から状況に応じた最適な検索方法を選んでその設定ができるようになっている。ひとつの検索手段として知られているものに、周辺施設検索がある。周辺施設検索は、自車位置や目的地の情報に基づいて、その対象エリアにおける目的の一または複数の施設を検索し、地図上に表示する。周辺施設検索は、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどの、半公共的なチェーンブランドを周辺地域から探し出すのに適している。
【0003】
図1は従来の周辺施設検索における一般的なワークフローを示したものである。図において、ナビゲーション装置100は、ユーザによる検索対象施設の特定を支援するためにジャンルメニューデータベース102を備える。ジャンルメニューデータベース102には、施設の業態名一覧を格納したカテゴリリスト104と、チェーンブランドに代表される施設名の一覧を格納したブランドリスト106がある。ユーザのタッチスクリーン操作に基づいて、システムが周辺施設検索の要求を検出すると、カテゴリリスト104が読み出されて、ディスプレイ上に施設の業態一覧108が表示される。表示された業態一覧からユーザが特定の業態(例えば、コンビニ)を選択すると、システムは、ブランドリスト106を読み出し、そこに含まれるチェーンブランドに代表される施設の一覧110を、ディスプレイ上にリスト表示する。そして、ユーザはこのリストを走査し、その中から所望する施設を見つけ出し、これを検索対象として選択する。この選択操作に応じてシステムは、自車位置あるいは目的地設定情報に基づいて対象エリアを特定し、施設の位置情報を格納してある周辺施設検索データベース112にアクセスする。次いで、そのエリア内にある一または複数の対象施設の情報を抽出し、それらを地図上にマッピングする。そして、その情報をディスプレイ上に表示して、ユーザがナビゲーションの目的地としてこれを選択できるようにする。
【0004】
しかしながら、上記従来の周辺施設検索においては、以下のような問題がある。すなわち、ブランドリスト106には、全エリアにおけるすべてのチェーンブランドが含まれており、そのため、ディスプレイ上に表示される施設のリストには、検索対象エリア内に存在しないチェーンブランドも含まれることになる。その結果として、表示されるリストが長くなりユーザによる目的施設の選択を困難にするだけでなく、ユーザがエリア内に存在しないチェーンブランドを選択して、無駄な検索を行うこともあり、その操作性に問題があった。このような背景において、その操作性を向上させるための技術が2件存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001ー91272号公報
【特許文献2】特開2006ー29885号公報
【0006】
特許文献1開示の技術は、複数エリアに分割された地図データ上に、検索対象となる施設の有無を示す情報を記憶し、施設を選択する画面を構成する際に、この地図データにアクセスして対象エリアにおける施設の有無を確認して、存在する施設のみをリスト表示するものである。
【0007】
また、特許文献2開示の技術は、検索対象となる施設の情報(これにはその位置情報を含む)を、そのジャンルと関連付けて格納し、検索条件としてのジャンルを表示する際に、検索対象エリアにそのジャンルに属する施設が存在するかを検索し、存在するもののみを表示するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記各文献に開示の方法では、依然として以下のような問題がある。すなわち、これらの技術においては、施設の一覧を表示する際に、チェーンブランドに代表される各施設の存在の有無を一つずつ確認するために、地図データベースないしは施設情報データベースに頻繁にアクセスする必要が生じる。例えば、コンビニエンスストアは、全国に4万店舗以上存在するが、上記開示の技術においてコンビニエンスストアの一覧を表示させる際には、各店舗の所在地と検索対象エリアとを比較し、判断する必要がある。そのため、施設リストの表示に一定の遅延が生じる可能性があり、これがユーザの利便性を下げる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、対象施設の一覧を表示させる際のレスポンスを改善し得るナビゲーション装置およびその検索対象施設の提示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置は、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルと、検索対象エリアを特定する手段と、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示する手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記施設所在地テーブルの単位エリアは、都道府県、またはナビゲーションで利用するナビゲーションメッシュである。好ましくは、前記施設所在地テーブルは、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる1次メッシュ毎に、検索対象となる施設の有無を記録した1次メッシュテーブルと、前記1次メッシュを複数に区分してなる2次メッシュ毎に、検索対象となる施設の有無を記録した2次メッシュテーブルとを含み、前記検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段が、前記1次メッシュテーブルを参照して、当該施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、当該施設が前記検索対象エリアに含まれると判断された場合に、対応する前記2次メッシュテーブルを参照して、当該施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段とを含む。
【0012】
好ましくは、前記施設所在地テーブルが、各検索対象施設をレコードとし、単位エリア毎の当該施設の有無を表すビットデータをフィールドとするビットデータテーブルである。好ましくは、前記施設所在地テーブルは、検索対象施設がチェーンブランドを含むものである場合に、各チェーンブランドを1レコードとし、単位エリア毎の当該チェーンブランドに属する施設の有無を表すビットデータをフィールドとするビットデータテーブルである。
【0013】
好ましくは、前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、ディスプレイ上に施設名の一覧をリスト表示するものであって、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、そのリストの上位に表示するものである。好ましくは、前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、ディスプレイ上に施設名の一覧をリスト表示するものであって、前記検索対象エリアに含まれないと判断された施設の一覧を、そのリストの一項目にリンクされた下位項目として別表示するものである。好ましくは、前記検索対象エリアを特定する手段が、自車位置を特定する通信手段を含み、前記通信手段により特定された自車位置に基づいて検索対象エリアを特定するものである。
【0014】
本発明に係るナビゲーション装置は、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルと、検索対象エリアを特定する手段と、検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示する手段と、前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示する手段と、前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索する手段と、検索された施設の位置をユーザに提示する手段と、を有し、前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示する手段と、を有するものである。
【0015】
本発明に係るナビゲーション装置における検索対象施設の提示方法は、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、検索対象エリアを特定するステップと、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、を有する。
【0016】
本発明に係るナビゲーション装置における検索対象施設の提示方法は、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、検索対象エリアを特定するステップと、検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示するステップと、前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示するステップと、前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索するステップと、検索された施設の位置をユーザに提示するステップと、を有し、前記施設の一覧をユーザに提示するステップが、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、を有するものである。
【0017】
本発明に係るナビゲーション装置における検索対象施設の提示プログラムは、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、検索対象エリアを特定するステップと、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、を有する。
【0018】
本発明に係るナビゲーション装置における検索対象施設の提示プログラムは、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、検索対象エリアを特定するステップと、検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示するステップと、前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示するステップと、前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索するステップと、検索された施設の位置をユーザに提示するステップと、を有し、前記施設の一覧をユーザに提示するステップが、前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、検索対象エリアに含まれている施設の情報が、エリア外の施設に対し優先してユーザに通知されることになるので、ユーザの操作性が向上すると共に、この判断は専用の施設所在地テーブルを参照するだけでよいので、高速に処理することができ、リスト表示のための応答性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の周辺施設検索における一般的なワークフローを示した図である。
【図2】本発明の実施例に係る車載ナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】周辺施設検索を実現するための機能ブロックを示した図である。
【図4】ジャンルメニューデータベースに含まれる各種テーブルを示した図である。
【図5】周辺施設検索の処理の全体的を示すフローチャートである。
【図6】図5におけるブランドリスト表示に係る処理の詳細におけるフローチャートである。
【図7】周辺施設検索の処理の過程でディスプレイ上に表示される画面の一構成例を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施例における、ジャンルメニューデータベースに含まれる各種テーブルを示した図である。
【図9】本発明の第2の実施例における、ブランドリスト表示プログラムにおける処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図2は、本発明の実施例に係る車載ナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、ナビゲーション装置200は、車内バスからの車両の状態に関する各種信号を受信するバスインターフェース(I/F)202、GPS衛星からの信号を受信して自車位置を検出するGPS受信機204、VICSセンタから配信される道路交通情報を受信するVICS受信機206、ユーザからの入力を受け取る入力部208、無線または有線により外部機器とデータ通信をする通信制御部216、大容量ハードディスクなどの記憶媒体を含む記憶部218、スピーカ222から音声を出力させる音声出力部220、ディスプレイ226に道路地図等の画像を表示させる表示制御部224、プログラムを記憶するプログラムメモリ230、データを一時的に記憶するデータメモリ240、プログラムを実行することで各部を制御する制御部250を含んで構成される。
【0023】
バスインターフェース202は、自立航法センサ(例えば、車速センサや加速度センサ、ジャイロセンサ等)からの検出信号、パーキングのオン/オフを示す信号、方向指示器のオン/オフを示す信号などを受け取り、これを制御部250へ提供する。VICS受信機206は、光ビーコン、電波ビーコン、FM多重放送などによりVICSセンタ側から配信された道路交通情報を受信し、これを制御部250へ提供する。
【0024】
入力部208は、ユーザがディスプレイ226に接触して入力を可能にする操作パネル210、音声により入力を可能にする音声入力部212、およびリモコン214を含む。記憶部218は、ナビゲーションに必要な道路地図データを格納する。道路地図データには、道路を識別するためのリンクデータ、交差点を識別するためのノードデータ、施設等のPOIを識別する施設データ、市区町村の行政区画の境界または範囲を識別するための行政区画に関する情報、VICSリンク情報と道路地図データに含まれるリンクデータとの対応関係を示す情報などが含まれる。施設データには、一般にはその緯度・経度で示される当該施設の所在地情報およびその施設が属するチェーンブランドがある場合にはその情報が含まれる。
【0025】
プログラムメモリ230は、自立航法センサやGPS受信機204からの検出信号に基づき自車位置を算出する自車位置算出プログラム232、自車位置やその他の開始位置から目的地までの最適な誘導経路を探索しこれを案内する誘導経路案内プログラム234、自車位置あるいはユーザが指定した特定エリア内の施設を検索するための周辺施設検索プログラム236などを含む。データメモリ240は、例えば、記憶部218から読み出した道路地図データ242、検索された施設データ244、周辺施設検索を行う際にユーザに目的施設の絞り込みを行わせるためのジャンルメニューデータ246などを記憶する。
【0026】
次に、上記構成のナビゲーション装置200における周辺施設検索について説明する。ナビゲーション装置200において、ユーザが周辺施設検索を行う場合は、ディスプレイ226上の表示を確認しながら操作パネル210を対話的に操作することでこれを実現する。そして最初に、ユーザがメニュー画面から周辺施設検索項目を選択することによって、周辺施設検索プログラム236が開始される。
【0027】
図3は、周辺施設検索を実現するための機能ブロック図を示している。図に示すように、周辺施設検索プログラム236は、検索対象となる施設の業態一覧をディスプレイ上に表示するためのカテゴリ表示プログラム302、ユーザが選択したカテゴリに属する施設一覧をディスプレイ上に表示するためのブランドリスト表示プログラム304、ユーザが選択した施設を検索対象エリアに照らして、施設データ244上で検索する施設検索プログラム306、および検索された施設の情報を地図データにマッピングし、ディスプレイ上に表示する検索施設表示プログラム308を含む。ここで、カテゴリ表示プログラム302およびブランドリスト表示プログラム304は、その実行時に、ジャンルメニューデータ246に含まれているカテゴリリスト310、ブランドリスト312、ブランド所在地ビットテーブル314、エリアリスト316にアクセスする。施設検索プログラム306は、その実行時に、施設データベース244および道路地図データベース242にアクセスする。
【0028】
図4(A)〜(B)に、ジャンルメニューデータ246に含まれているこれらのデータテーブルの構造を示す。カテゴリリスト310は、検索対象となる施設の属する業態(以下ではこれをカテゴリを称することもある)の表示名称を含み、各業態のレコードには固有の識別ID(カテゴリID)が付与される。ブランドリスト312は、チェーンブランドに代表される施設(以下ではこれをチェーンブランドまたは単にブランドと称することもある)の表示名称を含み、各施設のレコードには固有の識別ID(ブランドID)とカテゴリIDが付与される。ブランド所在地ビットテーブル314は、各検索対象施設をレコードとし、単位エリア毎の当該施設の有無を表すビットデータをフィールド(以下、エリアフィールドという)とするビットデータテーブルである。つまり、対象施設が対象エリアに存在するか否かは、そのエリアフィールド(area01, area02..)のビット値(0または1)で表されている。ここで単位エリアが47都道府県である場合、そのエリアフィールドのメモリ容量は6バイトで足り、従って、高速読み出しに適したものとなる。エリアリスト316は、周辺検索における単位エリアの名称を含み、各エリアのレコードは、ブランド所在地ビットテーブル314におけるエリアフィールドに対応した固有の識別ID(エリアID)が付与される。周辺検索における単位エリアが47都道府県である場合、エリアリスト316には、各都道府県の名称とその属性情報(例えば、その全国地方公共団体コードなどそのエリアを特定する情報)が記録されている。
【0029】
次に、前記周辺施設検索プログラム236に基づいた、施設検索のワークフローを図5、図6および図7に沿って説明する。図5は、周辺施設検索の処理の全体的なフローチャートを示しており、図6は、その中のブランドリスト表示に係る処理の詳細におけるフローチャートを示している。また、図7は、周辺施設検索の処理の過程でディスプレイ上に表示される画面の一構成例を示している。本説明に際し、図3および図4を共に参照する。
【0030】
周辺施設検索は、ナビゲーション装置におけるディスプレイ226上への表示およびユーザによるタッチパネル式の操作パネル210の操作を通して対話的に行われる。ユーザが特定のエリアを指定しないとき、周辺施設検索は自車位置の情報を取得し、その周辺エリアを検索対象エリアとして用いる。ディスプレイ上に表示されたメニュー項目からユーザが周辺施設検索を操作パネルで選択することにより、図5に示す本処理が開始される。周辺施設検索プログラム236は、最初に図3で示したカテゴリ表示プログラム302を起動して、検索対象となる施設の業態一覧をディスプレイ上に表示する(ステップS502)。すなわち、カテゴリ表示プログラム302は、ジャンルメニューデータベース246にアクセスして、カテゴリリスト310を読み出し、その整形処理を行ってリストに含まれる業態を一覧表示する。図7(A)にその表示構成例を示した。
【0031】
この表示されたカテゴリ一覧に対し、ユーザがタッチ操作を行って特定のカテゴリを選択すると(ステップS504)、システムはブランドリスト表示プログラム304を起動する。ブランドリスト表示プログラム304では、ジャンルメニューデータ246にアクセスして、ブランドリスト312およびブランド所在地ビットテーブル314を読み出し、その情報に基づいて当該カテゴリに含まれるチェーンブランドの一覧をディスプレイ上にリスト表示する(ステップS506)。本処理において検索の対象エリアに含まれないチェーンブランドは、リストの最後に「その他の施設」としてまとめられ、エリア内のチェーンブランドのみがリスト表示されるようになる。この具体的なデータ処理については後述する。図7(B)にその表示構成例を示した。この表示されたブランドリストに対し、ユーザがタッチ操作を行って特定のチェーンブランドを選択すると(ステップS508)、施設検索プログラム306が起動されて、周辺施設検索が開始される(ステップS510)。周辺施設検索は、施設データ244にアクセスして、ユーザが選択したチェーンブランドに属する施設の所在地情報を含む関連情報を抽出する。そして、その所在地情報から、自車位置算出プログラム232で算出された自車位置のある単位エリア(ここでは何れかの都道府県)内に存在する施設のみを選択して、その情報を、道路地図データベース242の該当エリアデータにマッピングし、ディスプレイ上に表示する。図7(C)にその表示構成例を示した。
【0032】
次に、図6のフローチャートに沿って、ブランドリスト表示プログラム304における具体的な処理について説明する。ユーザによるカテゴリ(例えば、コンビニ)の選択が行われると、ブランドリスト表示プログラム304は、読み出したブランドリスト312から、ユーザが選択したカテゴリのIDをもつチェーンブランドの識別ID(ブランドID)群を抽出する(ステップS602)。これと並行して、自車位置から特定された対象エリアの識別IDを、エリアリスト316から取得する(ステップS604)。次に、取得したブランドIDに基づいて、ブランド所在地ビットテーブル314から、対応ブランドのレコードを順次抽出する(ステップS606)。そして各取得したブランドのレコードにおける、対象エリアフィールドのビット値を調べ(ステップS608)、その値が1である場合に、そのブランドを表示対象のためのスタックに積む(ステップS610)。
【0033】
一方、その値が0である場合には、そのブランドがリストに表示されないよう、非表示用に用意されたスタックに積む(ステップS612)。対象となっているすべてのチェーンブランドに対し、対象エリアのビット値を調べ、それらのデータを何れかのスタックに積む処理を繰り返す(ステップS606〜S614)。そして、すべてのチェーンブランドに対する処理が終了したら(ステップS614)、表示対象のためのスタックに格納されたチェーンブランドのデータを読み出し、これらをリスト形式の表示データとして画面構成してディスプレイ上に表示出力する(ステップS616)。図7(B)はその一表示構成例であり、左側の操作部で表示の送りができるよう構成されている。表示されるリストの末尾には、「その他の施設」の表示項目を用意することができる。ユーザによってその項目が選択された場合には、非表示用に用意されたスタックに格納されたブランドのデータが読み出され、リスト表示されるよう構成できる。
【0034】
このようにブランドリストの表示において、対象エリアに存在しないチェーンブランドは、非表示にされるかリストの末尾にまとめて配置されることになるので、本来ユーザが必要とするブランドのリストがディスプレイ上に構成されるようになり、ユーザの操作性が向上する。この際、表示にされるブランドを選択するために、システムは比較的大容量で低速の施設データにアクセスする必要がなく、高速データ処理が可能なビットテーブルのみにアクセスすればよいので、ブランドリスト作成のためのレスポンスが極めて高いものとなる。特に、遠隔のサーバシステムにアクセスして施設データを取得する方式のナビゲーション装置においては、その効果は顕著なものとなる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施例について図8および図9を参照して説明する。先の実施例においては、47都道府県を単位エリアとして構成されたビットテーブルを用いた例を示したが、本実施例においては、より狭いエリア、すなわち10km四方のナビゲーションメッシュ(以下、2次メッシュという)を単位エリアとして構成されたビットテーブル、およびその上位の80km四方のナビゲーションメッシュ(以下、1次メッシュという)のビットテーブルを用いた例を示す。図8(A)〜(B)は、ナビゲーションメッシュをベースとして構成されたブランド所在地ビットテーブルおよびエリアリストのデータ構造を示した図であり、図9は、これらのデータを用いたブランドリスト表示プログラムにおける処理のフローチャートを示している。本実施例におけるハードウェア構成および周辺施設検索プログラムの全体的な流れは、先の実施例と同じであり、したがってここではその説明を省略する。
【0036】
図8において、同図(A)は、1次メッシュに係るブランド所在地ビットテーブル802を示している。1次メッシュは全国を80km四方のブロックエリアに分割してなる領域区分であり、このビットテーブル802には、各検索対象施設をレコードとし、1次メッシュで構成される単位エリア毎の当該施設の有無を表すビットデータをフィールドとしている。
【0037】
同図(B)に示すエリアリスト804は、この1次メッシュによるブランド所在地ビットテーブルに対応するもので、1次メッシュのエリア名称を含み、各エリアのレコードには、このブランド所在地ビットテーブルにおけるエリアフィールドに対応した固有の識別ID(エリアID)が付与される。同図(C)は、2次メッシュに係るブランド所在地ビットテーブル806を示している。2次メッシュは1次メッシュをさらに10km四方の64のエリアに分割してなる領域区分であり、このビットテーブル806は、対象のブランドを特定するブランドID、その属する1次メッシュのID、および2次メッシュで構成される単位エリア毎の当該施設の有無を表すビットデータをフィールドとして備えている。すなわちこのテーブルのエリアフィールドは、1次メッシュに含まれる2次メッシュの数に相応し、従ってそのメモリ容量としては8バイト(64エリア÷8ビット)で足りる。このテーブルの各レコードは、1つのブランドに対する1次メッシュの単位エリアに対応しており、その結果、1つのブランドに付き1次メッシュの数に相応するレコードが含まれている。したがってこのテーブルの各レコードは、同図(A)のビットテーブル802におけるひとつのエリアフィールドに対応する。このことから、ビットテーブル802の各エリアフィールドのビット値は、このビットテーブル806のエリアフィールドのOR値をとったものとして構成することができる。同図(D)に示すエリアリスト808は、この2次メッシュによるブランド所在地ビットテーブルに対応するもので、2次メッシュのエリア名称を含み、各エリアのレコードには、このブランド所在地ビットテーブルにおけるエリアフィールドに対応した固有の識別ID(エリアID)が付与される。
【0038】
次に、図9のフローチャートに沿って、本実施例におけるブランドリスト表示の処理フローを説明する。ユーザによるカテゴリの選択が行われると、ブランドリスト表示プログラム304は、読み出したブランドリスト312から、ユーザが選択したカテゴリのIDをもつチェーンブランドの識別ID(ブランドID)群を抽出する(ステップS902)。次いで、自車位置から特定された対象エリアの識別IDを、エリアリスト804および808から取得する(ステップS904)。次に、取得したブランドIDに基づいて、1次メッシュに係るブランド所在地ビットテーブル802から、対応ブランドのレコードを順次抽出する(ステップS906)。次いで各取得したブランドのレコードにおける、対象エリアフィールドのビット値を調べる(ステップS908)。そして、その値が0である場合には、そのブランドがリストに表示されないよう、これを非表示用に用意されたスタックに積む(ステップS912)。
【0039】
一方、対象エリアフィールドのビット値が1である場合には、2次メッシュに係るブランド所在地ビットテーブル806にアクセスして、その1次メッシュのエリアフィールドに対応するレコードを抽出する(ステップS912)。そして、そのレコードにおける該当エリアフィールドのビット値を調べ(ステップS914)、その値が1である場合には、そのブランドを表示対象のためのスタックに積む(ステップS916)。一方、その値が0である場合には、そのブランドを隣接エリアの表示用に用意されたスタックに積む(ステップS918)。対象となっているすべてのチェーンブランドに対し、対象エリアのビット値を調べ、それらのデータを何れかのスタックに積む処理を繰り返す(ステップS906〜S920)。そして、すべてのチェーンブランドに対する処理が終了したら(ステップS920)、表示対象のためのスタックに格納されたチェーンブランドのデータを読み出し、これらをリスト形式の表示データとして画面構成してディスプレイ上に表示出力する(ステップS922)。表示されるリストの末尾には、「隣接エリアの施設」および「その他の施設」の表示項目を用意することができる。ユーザによってその項目が選択された場合には、隣接エリアの表示用または非表示用に用意されたスタックに格納されたブランドのデータが読み出され、リスト表示されるよう構成できる。
【0040】
このように単位エリアをより狭くすることによって、最終的に表示される検索結果に含まれないエリアの施設を、効果的にブランドリスト表示から除外することができるようになり、結果、ユーザの操作性が向上する。
【0041】
なお、全国展開されているブランドの場合、存在するメッシュが増えるため、存在エリアテーブルのデータサイズが大きくなってしまうことが考えられる。その場合には、識別フラグを設け、ブランドが存在するメッシュの方が多いのか、あるいは存在しないメッシュの方が多いのかを判断できるようにする。存在するメッシュの方が多い場合、1次メッシュのブランド所在地ビットテーブルには、ブランドが存在しないことを示すデータを格納することにより、データサイズを抑制することができる。
【0042】
また上記実施例では、ブランド所在地ビットテーブルを用いる例を示したが、これとは反転の関係にある、ブランドが存在しないことを示すブランド非所在地ビットテーブルを利用した方が検索速度が向上しまたはデータサイズを抑制することが可能であるような場合には、ブランド非所在地ビットテーブルを作成することが望ましい。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。実施例では、ナビゲーション装置を車載用のものとして説明したが、スマートフォンなどに搭載されるナビゲーション機能を備えたアプリケーションに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
200:ナビゲーション装置 202:バスインターフェース
204:GPS受信機 206:VICS受信機
208:入力部 210:操作パネル
212:音声入力部 214:リモコン
216:通信制御部 218:記憶部
220:音声出力部 222:スピーカ
224:表示制御部 226:ディスプレイ
230:プログラムメモリ 232:自車位置算出プログラム
234:誘導経路案内プログラム 236:周辺施設検索プログラム
240:データメモリ 242:道路地図データベース
244:施設データベース 246:ジャンルメニューデータベース
250:制御部 302:カテゴリ表示プログラム
304:ブランドリスト表示プログラム 306:施設検索プログラム
308:検索施設表示プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルと、
検索対象エリアを特定する手段と、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示する手段と、
を有するナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設所在地テーブルの単位エリアが都道府県である、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設所在地テーブルの単位エリアが、ナビゲーションで利用するナビゲーションメッシュである、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記施設所在地テーブルは、ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる1次メッシュ毎に、検索対象となる施設の有無を記録した1次メッシュテーブルと、前記1次メッシュを複数に区分してなる2次メッシュ毎に、検索対象となる施設の有無を記録した2次メッシュテーブルとを含み、
前記検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段が、前記1次メッシュテーブルを参照して、当該施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、当該施設が前記検索対象エリアに含まれると判断された場合に、対応する前記2次メッシュテーブルを参照して、当該施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段とを含む、請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記施設所在地テーブルが、各検索対象施設をレコードとし、単位エリア毎の当該施設の有無を表すビットデータをフィールドとするビットデータテーブルである、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記施設所在地テーブルは、検索対象施設がチェーンブランドを含むものである場合に、各チェーンブランドを1レコードとし、単位エリア毎の当該チェーンブランドに属する施設の有無を表すビットデータをフィールドとするビットデータテーブルである、請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、ディスプレイ上に施設名の一覧をリスト表示するものであって、前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、そのリストの上位に表示するものである、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、ディスプレイ上に施設名の一覧をリスト表示するものであって、前記検索対象エリアに含まれないと判断された施設の一覧を、そのリストの一項目にリンクされた下位項目として別表示するものである、請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記検索対象エリアを特定する手段が、自車位置を特定する通信手段を含み、前記通信手段により特定された自車位置に基づいて検索対象エリアを特定するものである、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルと、
検索対象エリアを特定する手段と、
検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示する手段と、
前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示する手段と、
前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索する手段と、
検索された施設の位置をユーザに提示する手段と、
を有し、前記施設の一覧をユーザに提示する手段が、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断する手段と、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示する手段と、
を有するものであるナビゲーション装置。
【請求項11】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、
検索対象エリアを特定するステップと、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、
を有するナビゲーション装置における検索対象施設の提示方法。
【請求項12】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、
検索対象エリアを特定するステップと、
検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示するステップと、
前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示するステップと、
前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索するステップと、
検索された施設の位置をユーザに提示するステップと、
を有し、前記施設の一覧をユーザに提示するステップが、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、
を有するものであるナビゲーション装置における検索対象施設の提示方法。
【請求項13】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、
検索対象エリアを特定するステップと、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、
を有するナビゲーション装置における検索対象施設の提示プログラム。
【請求項14】
ナビゲーション対象エリアを複数に区分してなる単位エリア毎に、検索対象となる施設の有無を記録した施設所在地テーブルを用意するステップと、
検索対象エリアを特定するステップと、
検索対象となる施設の業態一覧をユーザに提示するステップと、
前記提示された業態一覧からユーザが選択した業態に含まれる施設の一覧をユーザに提示するステップと、
前記提示された施設の一覧からユーザが選択した施設の位置を検索するステップと、
検索された施設の位置をユーザに提示するステップと、
を有し、前記施設の一覧をユーザに提示するステップが、
前記施設所在地テーブルを参照して、検索対象として指定された施設が前記検索対象エリアに含まれるか否かを判断するステップと、
前記検索対象エリアに含まれると判断された施設の一覧を、他の施設に対して優先的にユーザに提示するステップと、
を有するものであるナビゲーション装置における検索対象施設の提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3107(P2013−3107A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137625(P2011−137625)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】