説明

ナビゲーション装置およびアイコン表示方法

【課題】ナビゲーション装置の起動時や画面遷移時、スクロール表示時であっても、アイコンを読み出して表示するまでの時間を短縮することが可能な「ナビゲーション装置およびアイコン表示方法」を提供する。
【解決手段】種別が同じ複数の施設に対して共通に使える種別アイコンを、多数のブランドアイコンを記憶したDVD−ROM120より高速アクセスが可能なフラッシュメモリ140に記憶しておき、道路地図を表示するための処理負荷が所定値未満の場合、DVD−ROM120からブランドアイコンを読み出して表示する一方、処理負荷が所定値以上である場合、フラッシュメモリ140から種別アイコンを読み出して表示することにより、起動時等でもフラッシュメモリ140から種別アイコンを高速に読み出して表示できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびアイコン表示方法に関し、例えば、施設のブランドを特定するブランドアイコンを道路地図に含めて表示するようになされたナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置では、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機等を用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の道路地図を記憶媒体から読み出して画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す車両位置マークを重ね合わせて表示するとともに、道路に隣接する各種施設をランドマーク(ブランドアイコン)として地図に重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
道路地図に含まれる各種施設をランドマークとして表示する技術として、ユーザが所望するランドマークを容易に道路地図上に表示または非表示することができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、複数のランドマークの中から所望のランドマークをプリセットキーに対応付けて、当該プリセットキーの操作により、道路地図上の所定位置に表示されるランドマークの表示または非表示を選択的に切り替え可能としている。
【0004】
また、ユーザが所望するランドマークの視認性を向上できるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。具体的には、互いに異なる少なくとも2つの表示状態(例えば、ユーザによって選択された種別に属する全ての施設のランドマークを表示する表示状態、種別を問わずに全ての施設のランドマークを表示する表示状態)の間で、ランドマークの表示状態を所定の時間ごとに切り換えるようにしている。
【特許文献1】特開2002−39778号公報
【特許文献2】特開2007−33300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーション装置では、ブランドアイコンを含む地図データの記憶媒体としてDVD(Digital Versatile Disk)やハードディスクが使用されている。しかしながら、DVDなどは、アクセス速度が遅いため、ブランドアイコンを読み出して表示するまでに時間が掛かるという問題がある。特に、ナビゲーション装置の起動時には、地図の表示、自車位置マークの表示、ブランドアイコンの表示など多くの処理が行われ、その処理に必要なデータを取得するために、DVDなどに対して一度に多数の演算モジュールからアクセスが行われる。その場合には、データの転送速度が極端に遅くなってしまい、ブランドアイコンを読み出して表示するまでの時間も多く掛かってしまう。さらに言えば、画面遷移時や道路地図のスクロール表示時などは、画面表示の処理量が多くなり、CPUの演算負荷が大きくなることがある。その場合にも、ブランドアイコンを読み出して表示するまでの時間が多く掛かってしまう。アイコンが何も表示されない状態が続くのは、ユーザの使い勝手の点で好ましくない。
【0006】
上述した問題を解決する手段として、DVDやハードディスクよりも高速にアクセス可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)にブランドアイコンを記憶するという考えもある。しかしながら、DVDドライブやHDドライブと同等かそれ以下のコストで現在使えるフラッシュメモリの容量は、DVDやハードディスクに比べて少ない。その一方、記憶すべきブランドアイコンの種類は非常に多い。そのため、地図データに含まれる全種類のブランドアイコンをフラッシュメモリに記憶することはできないという別の問題が発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ナビゲーション装置の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するときであっても、アイコンを読み出して表示するまでの時間を短縮することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、ブランドは異なるが種別が同じ複数の施設に対して共通に使える種別アイコンを、多数のブランドアイコンを記憶したブランドアイコン記憶部より高速アクセスが可能な記憶媒体である種別アイコン記憶部に記憶しておく。そして、道路地図を表示するための処理負荷が所定値未満である場合、ブランドアイコンをブランドアイコン記憶部から読み出して道路地図に含めて表示する一方、処理負荷が所定値以上である場合、種別アイコンを種別アイコン記憶部から読み出して道路地図に含めて表示する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、道路地図を表示するための処理負荷が所定値以上のときは種別アイコン記憶部から種別アイコンを高速に読み出して表示することができる。なお、アイコン表示に各ブランド共通の種別アイコンを使うことで、種別アイコン記憶部に記憶すべきアイコンの数を減らすことができる。このため、ブランドアイコン記憶部に比べて容量の少ない種別アイコン記憶部を用いても、全種類の種別アイコンを記憶することができる。以上により、ナビゲーション装置の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するときであっても、アイコンを読み出して表示するまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100の全体構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、施設のブランドを特定するブランドアイコンを道路地図に含めて表示するものである。なお、ナビゲーション装置100は、車両のコンソールに設置される車載型の他、利用者が携帯できるように構成された携帯型にも適用可能である。
【0011】
図1において、120はDVD−ROMであり、地図表示や経路探索などに必要な各種の地図データを記憶している。ここでは、地図データを記憶する記録媒体としてDVD−ROMを用いているが、CD−ROM、ハードディスク等の他の記録媒体を用いても良い。なお、DVD−ROM120は、特許請求の範囲のブランドアイコン記憶部に対応する。
【0012】
DVD−ROM120に記憶される地図データには、マップマッチングや経路探索、経路案内などの各種の処理に必要なデータから成る道路レイヤの他に、各地の公共施設、宿泊施設、レジャー施設、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア及びレストラン等の種々の施設のデータにより構成された施設データが含まれている。施設データは、図2に示すように、DVD−ROM120に記憶された地図データ中の施設名称に対応させて、施設の種別を表すジャンル、施設の位置(緯度、経度で表される位置)、施設のブランドアイコン等を情報として含んでいる。ブランドアイコンは、施設のブランドを特定するランドマークであって、施設の存在位置を地図表示する際に使用される。
【0013】
140はフラッシュメモリであり、地図上の施設の種別(ジャンル)を特定する種別アイコンを含む種別アイコンデータを記憶している。具体的には、種別アイコンデータは、図3に示すように、施設のジャンルに対応させて、種別アイコンを情報として含んでいる。種別アイコンも、施設の存在位置を地図表示する際に使用される。なお、本実施形態では、種別アイコンを記憶する記憶媒体としてフラッシュメモリ140を用いているが、DVD−ROM120よりも高速にアクセス可能なものであれば、他の記憶媒体を用いても良い。なお、フラッシュメモリ140は、特許請求の範囲の種別アイコン記憶部に対応する。
【0014】
160は車両の現在位置を測定する位置測定装置であり、自立航法センサ、GPS受信機、位置計算用CPU等で構成されている。自立航法センサは、所定走行距離毎に1個のパルスを出力して車両の移動距離を検出する車速センサ(距離センサ)と、車両の回転角度(移動方位)を検出する振動ジャイロ等の角速度センサ(相対方位センサ)とを含む。自立航法センサは、これらの車速センサおよび角速度センサによって車両の相対位置および方位を検出する。
【0015】
位置計算用CPUは、自立航法センサから出力される自車両の相対的な位置および方位のデータに基づいて、絶対的な自車装置(推定車両位置)および車両方位を計算する。また、GPS受信機は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して、3次元測位処理あるいは2次元測位処理を行って車両の絶対位置および方位を計算する(車両方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間ΔT前の自車位置とに基づいて計算する)。
【0016】
180は地図情報メモリであり、DVD−ROM制御部200の制御によってDVD−ROM120から読み出された地図データを一時的に格納する。すなわち、DVD−ROM制御部200は、位置測定装置160から車両現在位置の情報を入力し、その車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示を出力することにより、地図表示や誘導経路の探索に必要な地図データをDVD−ROM120から読み出して地図情報メモリ180に格納する。
【0017】
220はリモートコントローラ(リモコン)等の操作部であり、ユーザがナビゲーション装置100に対して各種の情報(例えば、経路誘導の目的地や経由地)を設定したり、各種の操作(例えば、地図の拡大/縮小操作、手動地図スクロール、ノースアップ表示やヘディングアップ表示の設定操作など)を行ったりするための各種操作子(ボタンやジョイスティック等)を備えている。240はリモコンインタフェースであり、リモコン220からその操作状態に応じた赤外線信号を受信する。なお、ここではリモコン220、リモコンインタフェース240を用いる例について説明しているが、タッチパネルを用いても良い。
【0018】
260はプロセッサ(CPU)であり、ナビゲーション装置100の全体を制御する。280はROMであり、各種プログラム(例えば、地図表示処理プログラム、負荷測定処理プログラム等)を記憶する。300はRAMであり、各種処理の過程で得られるデータや、各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。例えば、ブランドアイコンや種別アイコンをDVD−ROM120、フラッシュメモリ140から読み出して表示装置340に表示する際に、読み出したブランドアイコンや種別アイコンをRAM300に格納する。RAM300にアイコンが格納されているときは、DVD−ROM120やフラッシュメモリ140から読み出さず、RAM300から読み出して表示する。また、CPU260は、DVD−ROM120に記憶されたブランドアイコン、または、フラッシュメモリ140に記憶された種別アイコンを選択的に読み出して、マーク発生部400に出力する。
【0019】
上述のCPU260は、ROM280に記憶されている地図表示処理プログラムに従って、ディスプレイコントローラ320やマーク発生部400を制御して地図表示処理を行う。ナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時(例えば、目的地設定画面からナビゲーション画面への画面遷移時など)には、CPU260は、車両現在位置を含む所定範囲の道路地図(ブランドアイコンまたは種別アイコンを含む)の表示処理を行う。画面スクロールが行われたときには、CPU260は、スクロール先の位置を含む所定範囲の道路地図(ブランドアイコンまたは種別アイコンを含む)の表示処理を行う。また、CPU260は、ROM280に記憶されている負荷測定処理プログラムに従って、道路地図を表示装置340に表示するための処理負荷を測定する。そして、CPU260は、測定した処理負荷に応じて、DVD−ROM120に記憶されたブランドアイコン、または、フラッシュメモリ140に記憶された種別アイコンを選択的に切り替えて表示する。
【0020】
ディスプレイコントローラ320は、CPU260の制御に従って、地図情報メモリ180に格納された地図データに基づいて、表示装置340への表示に必要な道路地図の地図画像データを生成する。360はビデオRAMであり、ディスプレイコントローラ320によって生成された地図画像データを一時的に格納する。すなわち、ディスプレイコントローラ320によって生成された地図画像データはビデオRAM360に一時的に格納され、1画面分の地図画像データが読み出されて画像合成部380に出力される。
【0021】
マーク発生部400は、マップマッチング処理された後の自車位置に表示する車両位置マークを発生して画像合成部380に出力する。また、マーク発生部400は、DVD−ROM120に記憶されたブランドアイコン、または、フラッシュメモリ140に記憶された種別アイコンの中からCPU260によって選択的に読み出されたアイコンを入力し、画像合成部380に出力する。
【0022】
上述の画像合成部380は、各種画像を合成して出力する。すなわち、ディスプレイコントローラ320によって読み出された地図画像データに、マーク発生部400から出力される各画像データを重ねて画像合成を行い、表示装置340に出力する。これにより、表示装置340の画面上には、自車両周辺の地図情報が自車位置マークやアイコン等と共に表示される。
【0023】
図4は、本実施形態のナビゲーション装置100の要部構成例を示す機能ブロック図である。この図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。図4に示すように、CPU260は、その機能構成として、地図表示制御部500、負荷測定部520およびアイコン取り出し部540を備えている。なお、ディスプレイコントローラ320、画像合成部380、マーク発生部400、地図表示制御部500およびアイコン取り出し部540は、特許請求の範囲の表示制御部に対応する。
【0024】
地図表示制御部500は、アイコン以外の道路地図の表示を制御する。すなわち、地図表示制御部500は、車両現在位置を含む所定範囲の地図データの読み出し指示をDVD−ROM制御部200に出して、車両現在位置を含む所定範囲の地図表示に必要な地図データをDVD−ROM120から読み出して地図情報メモリ180に格納するとともに、地図表示に必要な地図データを地図情報メモリ180に格納した旨をディスプレイコントローラ320に通知する。また、画面スクロールに伴って、スクロール先の地図データとして必要な情報が地図情報メモリ180に不足した場合には、地図表示制御部500は、適宜DVD−ROM制御部200に指示を出して、スクロール先の地図表示に必要な地図データをDVD−ROM120から読み出して地図情報メモリ180に格納するとともに、地図表示に必要な地図データを地図情報メモリ180に格納した旨をディスプレイコントローラ320に通知する。
【0025】
負荷測定部520は、ナビゲーション装置100が道路地図を表示装置340に表示するための処理負荷を測定する。本実施形態では、負荷測定部520は、道路地図を表示装置340に表示するための処理負荷として、例えばCPU260の使用率や、DVD−ROM120に対するデータ読み取り要求数などを測定する。また、負荷測定部520は、測定した処理負荷を示す処理負荷情報をアイコン取り出し部540に出力する。なお、ここでは負荷測定部520がCPU260の使用率や、DVD−ROM120に対するデータ読み取り要求数などを測定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、負荷測定部520は、道路地図を表示装置340に表示するための処理負荷として、実行中のプロセスに利用可能な物理メモリのサイズ等を測定するようにしても良い。
【0026】
アイコン取り出し部540は、ビデオRAM360に描画された地図エリアを参照し、DVD−ROM120に記憶されたブランドアイコンを表示すべき施設が、参照した地図エリア内に存在するか否かについて判定する。具体的には、アイコン取り出し部540は、DVD−ROM120に記憶された施設データに含まれる施設の位置が、ビデオRAM360に描画された地図エリア内に含まれるか否かについて判定する。
【0027】
もし、ブランドアイコンを表示すべき施設の位置が地図エリアの範囲内に含まれるとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、参照した地図エリア内に含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に格納されているか否かについて更に判定する。RAM300にブランドアイコンが格納されているのは、前回以前に、道路地図を表示装置340に表示するタイミングでRAM300にブランドアイコンが格納された場合である。特に、ナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するときには、RAM300にブランドアイコンが格納されていないことが多い。
【0028】
もし、参照した地図エリアに含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に存在するとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、RAM300からその施設のブランドアイコンを読み出してマーク発生部400に出力する。一方、参照した地図エリアに含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に存在しないとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、負荷測定部520に対して負荷測定情報の出力要求を行い、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値以上であるか否かについて判定する。
【0029】
ここで処理負荷が所定値以上であるとは、例えば、CPU260の使用率が70%以上になっていたり、DVD−ROM120に対するデータ読み取り要求数が1つ以上あるということである。すなわち、処理負荷が所定値以上であるとは、ナビゲーション装置100において、ブランドアイコンをDVD−ROM120から読み出して表示するまでの時間が多く掛かってしまう状態である。このような状態は、ナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するときに多く発生する。
【0030】
もし、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値未満であるとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、RAM300にブランドアイコンが格納されていない施設について、DVD−ROM制御部200の制御によってDVD−ROM120からブランドアイコンを読み出す。そして、アイコン取り出し部540は、DVD−ROM120から読み出したブランドアイコンをマーク発生部400に出力するとともに、RAM300に格納する。
【0031】
一方、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値以上であるとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、RAM300にブランドアイコンが格納されていない施設について、その施設のジャンルに対応する種別アイコンがRAM300に格納されているか否かについて判定する。もし格納されていれば、アイコン取り出し部540は、RAM300から種別アイコンを読み出してマーク発生部400に出力する。
【0032】
一方、その施設のジャンルに対応する種別アイコンがRAM300に格納されていないとアイコン取り出し部540にて判定した場合、アイコン取り出し部540は、フラッシュメモリ140から当該ジャンルに対応する種別アイコンを読み出す。そして、アイコン取り出し部540は、フラッシュメモリ140から読み出した種別アイコンをマーク発生部400に出力するとともに、RAM300に格納する。
【0033】
図5は、表示装置340に表示されるナビゲーション画面の例を示す図である。図5(a)は、道路地図を表示するための処理負荷が所定値未満である場合、DVD−ROM制御部200の制御によってDVD−ROM120から読み出されたブランドアイコンを道路地図に含めて表示するときの表示例で、現在の自車位置を示す車両位置マーク(CM)と施設のブランドおよび位置を示すブランドアイコン(LM1〜LM8)が表示されている。なお、LM1〜LM5で特定されるブランドアイコンは、施設種別がコンビニエンスストアに該当する施設であって、コンビニエンスストアについて5種類のブランドを特定する施設のブランドアイコンである。また、LM6〜LM8で特定されるブランドアイコンは、施設種別がガソリンスタンドに該当する施設であって、ガソリンスタンドについて3種類のブランドを特定する施設のブランドアイコンである。
【0034】
一方、図5(b)は、道路地図を表示するための処理負荷が所定値以上である場合、アイコン取り出し部540の制御によってフラッシュメモリ140から読み出された種別アイコンを道路地図に含めて表示するときの表示例で、現在の自車位置を示す車両位置マーク(CM)と施設の種別および位置を示す種別アイコン(LM10、LM20)が表示されている。なお、LM10で特定される種別アイコンは、施設種別がコンビニエンスストアに該当する施設を示している。また、LM20で特定される種別アイコンは、施設種別がガソリンスタンドに該当する施設を示している。
【0035】
すなわち、図5(b)の例は、ナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時(例えば、地図表示の縮尺を変えたとき、常に北向きを表示画面の上向きに一致させるノースアップ表示や自車両の進行方向を表示画面の上向きに一致させるヘディングアップ表示が道路地図の表示方法として新たに選択されたときなど)、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画したり再描画する場合であって道路地図を表示するための処理負荷が所定値以上であるとき、アイコン取り出し部540の制御によってフラッシュメモリ140から高速に読み出した種別アイコンを道路地図に含めて表示することによって、アイコンを読み出して表示するまでの時間を短縮させたものである。
【0036】
次に、本実施形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図6は、ナビゲーション装置100のアイコン表示に関する動作例を示すフローチャートである。図6におけるステップS100の処理は、例えばナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するとき、ディスプレイコントローラ320が、地図情報メモリ180に格納された地図データに基づいて生成した地図画像データをビデオRAM360に格納することによって開始する。
【0037】
まず、アイコン取り出し部540は、ビデオRAM360に格納された地図画像データの地図エリアを参照する(ステップS100)。次に、アイコン取り出し部540は、DVD−ROM120に記憶されたブランドアイコンを表示すべき施設が、参照した地図エリア内に存在するか否かについて判定する(ステップS120)。もし、ブランドアイコンを表示すべき施設が地図エリアの範囲内に含まれないとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS120にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0038】
一方、ブランドアイコンを表示すべき施設が地図エリアの範囲内に含まれるとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS120にてYES)、アイコン取り出し部540は、参照した地図エリア内に含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に格納されているか否かについて更に判定する(ステップS140)。もし、参照した地図エリアに含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に存在するとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS140にてYES)、アイコン取り出し部540は、RAM300からその施設のブランドアイコンを読み出してマーク発生部400に出力する(ステップS260)。
【0039】
一方、参照した地図エリアに含まれる施設のブランドアイコンがRAM300に存在しないとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS140にてNO)、アイコン取り出し部540は、負荷測定部520に対して負荷測定情報の出力要求を行い、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値以上であるか否かについて判定する(ステップS160)。もし、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値未満であるとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS160にてNO)、アイコン取り出し部540は、RAM300にブランドアイコンが格納されていない施設について、DVD−ROM制御部200の制御によってDVD−ROM120からブランドアイコンを読み出し、読み出したブランドアイコンをマーク発生部400に出力するとともにRAM300に格納する(ステップS240)。
【0040】
一方、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される処理負荷が所定値以上であるとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS160にてYES)、アイコン取り出し部540は、RAM300にブランドアイコンが格納されていない施設について、その施設のジャンルに対応する種別アイコンがRAM300に格納されているか否かについて判定する(ステップS180)。
【0041】
もし、種別アイコンがRAM300に格納されているとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS180にてYES)、アイコン取り出し部540は、RAM300から種別アイコンを読み出してマーク発生部400に出力する(ステップS220)。一方、その施設のジャンルに対応する種別アイコンがRAM300に格納されていないとアイコン取り出し部540にて判定した場合(ステップS180にてNO)、アイコン取り出し部540は、フラッシュメモリ140から当該ジャンルに対応する種別アイコンを読み出し、読み出した種別アイコンをマーク発生部400に出力するとともにRAM300に格納する(ステップS200)。
【0042】
ステップS260、S220、S200の処理の後は、ステップS280に遷移する。ステップS280では、マーク発生部400は、アイコン取り出し部540から出力されたブランドアイコンまたは種別アイコンを入力し、画像合成部380に出力する。画像合成部380は、ディスプレイコントローラ320によって読み出された地図画像データに、マーク発生部400から出力される各画像データ(ブランドアイコンまたは種別アイコンを含む)を重ねて画像合成を行い、表示装置340に出力する。
【0043】
最後に、ナビゲーション装置100は、主電源がOFFになっているか否かについて判定する(ステップS300)。もし、主電源がOFFになっていないとナビゲーション装置100にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS100に遷移する。一方、主電源がOFFになっているとナビゲーション装置100にて判定した場合(ステップS300にてYES)、ナビゲーション装置100は図6における処理を終了する。
【0044】
なお、図6に示すフローチャートの最初のループにおいて、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値以上である場合(ステップS160にてYES)に種別アイコンを道路地図に含めて表示(ステップS280)した後に、その後のループにおいて、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値未満になったときは(ステップS160にてNO)、DVD−ROM120からブランドアイコンを読み出して表示する(ステップS240、ステップS280)。すなわち、道路地図には、先に表示された種別アイコンがブランドアイコンに切り替えて表示されることとなる。
【0045】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ブランドは異なるが種別が同じ複数の施設に対して共通に使える種別アイコンを、多数のブランドアイコンを記憶したDVD−ROM120より高速アクセスが可能な記憶媒体であるフラッシュメモリ140に記憶しておく。そして、負荷測定部520から出力された負荷測定情報により示される(道路地図を表示するための)処理負荷が所定値以上である場合、DVD−ROM120からブランドアイコンを読み出す代わりに、そのブランドアイコンのジャンルに対応する種別アイコンをフラッシュメモリ140から読み出して表示する。
【0046】
以上より、道路地図を表示するための処理負荷が所定値以上のときはフラッシュメモリ140からブランドアイコンのジャンルに対応する種別アイコンを高速に読み出して表示することができる。なお、アイコン表示に各ブランド共通の種別アイコンを使うことで、フラッシュメモリ140に記憶すべきアイコンの数を減らすことができる。このため、DVD−ROM120に比べて容量の少ないフラッシュメモリ140を用いても、全ジャンルの種別アイコンを記憶することができる。以上により、ナビゲーション装置100の起動時や画面遷移時、スクロール表示時などのように、地図画面を新規に描画するときや再描画するときであっても、アイコンを読み出して表示するまでの時間を短縮することができる。すなわち、どんな種別の施設がどこに存在するかという情報については少なくとも、種別アイコンを高速に表示してユーザに知らしめることができる。よって、アイコンを読み出して表示するまでの時間が多く掛かってしまうことにより、アイコンが何も表示されない状態が続く従来技術の問題を解消し、ユーザ操作の利便性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値以上である場合に種別アイコンを道路地図に含めて表示した後に、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値未満になったとき、DVD−ROM120からブランドアイコンを読み出して表示し直す。つまり、先に道路地図に含めて表示した種別アイコンをブランドアイコンに切り替える。これにより、施設のブランドを特定することができない種別アイコンがブランドアイコンの代わりにいつまでも表示され続けることを回避することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、処理負荷が所定値未満になったときに種別アイコンをブランドアイコンに切り替えて表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、種別アイコンを道路地図に含めて表示した後の任意のタイミングで、当該種別アイコンをブランドアイコンに切り替えるようにしても良い。例えば、種別アイコンを道路地図に含めて表示した直後に種別アイコンをブランドアイコンに切り替えて表示しても良い。たとえ処理負荷が所定値以上の状態(すなわち、ブランドアイコンを読み出して表示するまでの時間が多く掛かってしまう状態)が続いたとしても、種別アイコンは表示されているため、どんな種別の施設がどこに存在するかという情報については少なくともユーザに知らしめることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、DVD−ROM120にブランドアイコンが記憶されている例について説明したが、全ジャンルの種別アイコンを記憶してもなお、フラッシュメモリ140の容量に余裕があれば、一部のブランドアイコンをフラッシュメモリ140に記憶しても良い。例えば、表示頻度の高いブランドアイコンをフラッシュメモリ140に記憶する。このようにすれば、フラッシュメモリ140に記憶されているブランドアイコンについては、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値以上であるときでも、フラッシュメモリ140から高速に読み出して表示することができる。一方、フラッシュメモリ140に記憶されていないブランドアイコンについては、負荷測定部520により測定される処理負荷が所定値以上のときでも、フラッシュメモリ140からブランドアイコンのジャンルに対応する種別アイコンを高速に読み出して表示することができる。
【0050】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による施設データの構成例を示す図である。
【図3】本実施形態による種別アイコンデータの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態によるナビゲーション装置の要部構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】本実施形態による表示装置に表示されるナビゲーション画面の例を示す図である。
【図6】本実施形態によるナビゲーション装置のアイコン表示に関する動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
100 ナビゲーション装置
120 DVD−ROM(ブランドアイコン記憶部)
140 フラッシュメモリ(種別アイコン記憶部)
320 ディスプレイコントローラ(表示制御部)
380 画像合成部(表示制御部)
400 マーク発生部(表示制御部)
500 地図表示制御部(表示制御部)
520 負荷測定部
540 アイコン取り出し部(表示制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設のブランドを特定するブランドアイコンを道路地図に含めて表示するナビゲーション装置であって、
前記道路地図を表示するための処理負荷を測定する負荷測定部と、
前記負荷測定部により測定された処理負荷が所定値未満である場合、前記ブランドアイコンを記憶したブランドアイコン記憶部から前記ブランドアイコンを読み出して前記道路地図に含めて表示する一方、前記負荷測定部により測定された処理負荷が所定値以上である場合、前記ブランドアイコン記憶部よりアクセス速度が高速であり、前記施設の種別を特定する種別アイコンを記憶した種別アイコン記憶部から前記種別アイコンを読み出して前記道路地図に含めて表示する表示制御部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御部は、前記負荷測定部により測定された処理負荷が所定値以上である場合、前記種別アイコンを前記道路地図に含めて表示した後に、前記ブランドアイコン記憶部から前記ブランドアイコンを読み出し、前記道路地図に含めて表示した前記種別アイコンに代えて前記ブランドアイコンを表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
施設のブランドを特定するブランドアイコンを道路地図に含めて表示するアイコン表示方法であって、
前記道路地図を表示するための処理負荷を測定する第1のステップと、
前記第1のステップにより測定された処理負荷が所定値未満である場合、前記ブランドアイコンを記憶したブランドアイコン記憶部から前記ブランドアイコンを読み出して前記道路地図に含めて表示する第2のステップと、
前記第1のステップにより測定された処理負荷が所定値以上である場合、前記ブランドアイコン記憶部よりアクセス速度が高速であり、前記施設の種別を特定する種別アイコンを記憶した種別アイコン記憶部から前記種別アイコンを読み出して前記道路地図に含めて表示する第3のステップとを備えたことを特徴とするアイコン表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101823(P2010−101823A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275336(P2008−275336)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】