説明

ナビゲーション装置およびナビゲーションシステム

【課題】通信条件や通信状況に合わせて最適な通信パラメータを迅速に決定して設定することで、通信効率を向上することができるナビゲーション装置、および該装置を有するナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】ナビゲーション装置3は、情報を提供するサーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージを送信し、該メッセージに対する応答メッセージを該サーバ装置から受信する通信手段11と、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間に基づいて、通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値を計測するレスポンス値計測手段12と、計測したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、ナビゲーション装置3で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信により地図データ等の情報を取得するナビゲーション装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置との通信を行い地図データ等の情報を取得するナビゲーション装置において、自動車等に搭載されたナビゲーション装置に装着された通信機器、またはユーザにより携帯される通信機器(例えば、携帯電話機などの携帯端末)を介して通信を行う際に、通信機器の種類や性能等の通信条件や、地域や時間帯等に応じた通信状況のため、以下のような問題がある。すなわち、例えば携帯電話機では通信方式や機種が進化しており、携帯電話機によって通信速度性能が異なっている。このときナビゲーション装置が古い種類の(通信速度性能が低い)携帯電話機に合わせてタイムアウト値、リトライ回数などの通信パラメータを設定した場合、多種類の携帯電話機をサポートできるが、通信速度性能が高い携帯電話機でも待ち時間がかかり、使い勝手が悪くなる。逆に、通信速度性能が高い携帯電話機に合わせて通信パラメータを設定した場合、多種類の携帯電話機のサポートができない。そのため、通信パラメータを携帯電話機に合わせて変更することが望ましい。しかも、ナビゲーション装置の出荷後も新たな携帯電話機が発売されるため、出荷時にプリインストールされた通信パラメータのみでは適切に動作しない場合が考えられる。
【0003】
また、携帯電話機のカバレッジ(通信可能範囲)は、キャリア(通信サービス提供会社により提供される通信サービス)毎に異なるものであり、さらに、通信時の場所が異なると電波強度が変化する。このため、例えば圏外エリアに位置する場合に、通信パラメータを適切に設定しないと、ユーザの待ち時間が長くかかったり、接続処理を頻繁に行って携帯電話機のバッテリが消耗したりする。しかも、携帯電話機のカバレッジはインフラの拡張・進化により変化するため、その変化に合わせて通信パラメータを変更することが望ましい。しかし、ユーザが自分で、その場のカバレッジ状況に合わせて適切に通信パラメータを変更することは困難である。
【0004】
また、通信が混雑する時間帯(例えば夕方)は、通信パラメータのタイムアウト値を他の時間帯より長めに設定する必要があるが、どの程度の値にするかは通信混雑状況によるため、ユーザが適切にその時の通信混雑状況に応じて通信パラメータを設定することは困難である。
【0005】
これに対して、通信状態に応じて通信パラメータの設定変更を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の通信性能処理装置では、順次異なる通信制御パラメータを設定して通信制御処理を実行し、各通信制御パラメータ値における通信を観測して測定値を採取し、採取した測定値の相互比較により最適な通信制御パラメータを設定する。
【特許文献1】特開平7−141273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の通信性能処理装置では、最適な通信制御パラメータを決定する際に、通信制御パラメータ値を、予め定められた(予め定められた初期値に基づいた)範囲で順次変更して通信制御処理を繰り返し実行し、測定値を相互比較する必要があるため、最適なパラメータを決定するのに時間がかかってしまうという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、通信条件や通信状況に合わせた最適な通信パラメータを迅速に決定して設定することで、通信効率を向上することができるナビゲーション装置およびナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明のナビゲーション装置は、情報を提供するサーバ装置と通信を行うナビゲーション装置であって、前記サーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージを送信し、該メッセージに対する応答メッセージを該サーバ装置から受信する通信手段と、前記メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間を計測し、該計測した結果に基づいて通信状態を示すレスポンス値を取得するレスポンス値取得手段と、前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、当該ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段とを有することを特徴とする(第1発明)。
【0009】
第1発明のナビゲーション装置によれば、通信手段により、サーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージが送信され、該メッセージに対するサーバ装置からの応答メッセージが受信される。なお、通信手段は、ナビゲーション装置の外部の通信機器(例えば、ユーザにより携帯される携帯電話機等の通信機器)の通信機能を利用してサーバ装置と通信する構成と、ナビゲーション装置に装着(内蔵)された通信機器を用いてサーバ装置と直接通信する構成とのいずれも含む。
【0010】
そして、レスポンス値取得手段は、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間を計測することで、該計測した結果に基づいて通信状態を示すレスポンス値を取得する。レスポンス値としては、例えば、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間(応答時間)そのものを用いることができる。このように取得されたレスポンス値は、通信時間に関する通信状態を適切に示すものであり、しかも、1回のメッセージ送信に対する応答メッセージが受信されればレスポンス値を取得できるので、比較的短い時間で取得することができる。よって、通信パラメータ設定手段により、取得されたレスポンス値に基づいて、通信状態に合わせて最適な通信パラメータを決定することができる。そして、通信パラメータ設定手段により、ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータを、決定された最適な通信パラメータに設定することで、通信条件や通信状況に応じた最適な通信パラメータが通信中にリアルタイムで逐次設定されうる。そして、このように通信切断条件に関する通信パラメータを通信中にリアルタイムで最適に設定することで、多様な通信条件や通信状況に対応して通信接続を確保できる。しかも、それぞれの通信条件や通信状況に合わせて通信切断条件が適切になるので、通信時間や通信処理の試行回数等を低減することができ、通信効率を向上することができる。
【0011】
従って、本発明によれば、通信手段の種類や性能等の通信条件や、地域や時間帯等に応じた通信状況に合わせて、最適な通信パラメータを迅速に決定し設定することができ、これにより通信効率を向上することができる。
【0012】
また、第1発明のナビゲーション装置において、前記通信パラメータは、通信の切断を判断するタイムアウト値、通信の切断後のリトライ回数の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする(第2発明)。
【0013】
第2発明のナビゲーション装置によれば、通信の切断を判断するタイムアウト値や通信の切断後のリトライ回数が最適な値に逐次設定されるので、通信切断条件が適切になり通信効率が向上される。
【0014】
次に、本発明のナビゲーションシステムは、移動機能を有する又はユーザにより携帯される機能的装置に搭載されるナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置に通信を介して情報を提供するサーバ装置とを有するナビゲーションシステムであって、前記ナビゲーション装置は、前記サーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージを送信し、該メッセージに対する応答メッセージを該サーバ装置から受信する通信手段と、前記メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間計測し、該計測した結果に基づいて通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値を取得するレスポンス値取得手段と、前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、当該ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段とを有し、前記サーバ装置は、前記ナビゲーション装置からの前記メッセージの受信に応答して前記応答メッセージを送信する第2通信手段を有することを特徴とする。
【0015】
第3発明のナビゲーションシステムによれば、第1発明のナビゲーション装置について説明したように、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間を計測した結果に基づいて、通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値を取得し、このレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定して、ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータを、決定した最適な通信パラメータに逐次変更する。これにより、通信手段の種類や性能等の通信条件や、地域や時間帯等に応じた通信状況に合わせて、最適な通信パラメータを迅速に決定し設定することができ、通信効率を向上することができる。
【0016】
また、第3発明のナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーション装置の前記通信手段は、前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置の前記第2通信手段は、前記ナビゲーション装置からの前記レスポンス値を受信し、前記サーバ装置は、前記第2通信手段により受信した前記レスポンス値に基づいて最適な第2通信パラメータを決定し、当該サーバ装置で用いるデータ送信条件に関する第2通信パラメータに当該最適な第2通信パラメータを設定する第2通信パラメータ設定手段を有することを特徴とする(第4発明)。
【0017】
第4発明のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーション装置で取得されたレスポンス値をサーバ装置でも通信を介して取得し、このレスポンス値に基づいて最適な第2通信パラメータを決定して、サーバ装置で用いるデータ送信条件に関する第2通信パラメータを、決定した最適な第2通信パラメータに逐次変更する。これにより、サーバ装置側でも、通信条件や通信状況に合わせて、最適な第2通信パラメータを迅速に決定し設定することができるので、サーバ装置からのデータ送信条件を適切にして、より通信効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のナビゲーション装置を有するナビゲーションシステムの実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明のナビゲーションシステムの概要図であり、図2は図1のナビゲーションシステムにおける通信および通信パラメータ管理処理を示すフローチャートである。
【0019】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、自動車2に搭載されたナビゲーション装置3と、ナビゲーション装置3と通信可能な携帯電話機4と、携帯電話機4から携帯電話キャリア5を経由して通信可能な、インターネットNWに接続された地図サーバ装置6とから構成されている。
【0020】
自動車2内には、ナビゲーション装置3とユーザが所有する携帯電話機4とがある。携帯電話機4はBluetooth搭載であり、この携帯電話機4は予めナビゲーション装置3に登録されている。そして、自動車2側の電源をONすることで、これら2つはBluetoothによりリンクされ通信を行う。また、携帯電話機4は、通信サービス提供会社により提供される自動車2の周辺の携帯電話キャリア5との無線通信を介してインターネットNWに接続可能である。そして、携帯電話機4は、携帯電話キャリア5を経由して、インターネットNWに接続された地図サーバ装置6と通信可能である。
【0021】
ナビゲーションシステム1において、自動車2に搭乗したユーザ(ドライバ)がナビゲーション装置3に目的地を設定すると、ナビゲーション装置3は携帯電話機4とのデータ通信を介して地図サーバ装置6と接続を行い、地図サーバ装置6に現在位置および目的地を送信する。地図サーバ装置6は、受信した現在位置および目的地からルート計算を行い、走行ルートおよびその周辺地図データを携帯電話機4とのデータ通信を介してナビゲーション装置3に送信する。そして、ナビゲーション装置3は、地図サーバ装置6から受信したデータを用いて、ユーザに対して地図表示や音声ガイド等により目的地へ誘導するルート案内を行う。
【0022】
ナビゲーション装置3は、ハードウェアとしてのCPU、ROM、RAM、信号入力回路、信号出力回路等と、CPU等に対して諸機能を付与するプログラムとにより構成されている。ナビゲーション装置3には、地図表示機能、案内表示機能、音声データ出力機能、スイッチ入力機能が含まれている。なお、ナビゲーション装置3の各機能は、それぞれ別個のCPU等により構成されていてもよく、共通のCPU等により構成されていてもよい。
【0023】
さらに、ナビゲーション装置3は、その機能として、携帯電話機4および携帯電話キャリア5を経由した地図サーバ装置6との通信状態を制御する通信手段11と、通信状態を示すレスポンス値を取得するレスポンス値取得手段12と、通信手段11で用いる通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段13とを備えている。
【0024】
通信手段11は、地図サーバ装置6に対してレスポンス確認のためのメッセージ(Keep Alive Message)を送信し、該メッセージに対する応答メッセージを地図サーバ装置6から受信する。レスポンス値取得手段12は、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間(応答時間)を計測し、該計測した結果に基づいて通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値(本実施形態では、応答時間をレスポンス値として用いる。)を取得する。通信パラメータ設定手段13は、レスポンス値取得手段12により取得したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、ナビゲーション装置3で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する。なお、本実施形態では、通信パラメータとして、通信の切断を判断するタイムアウト値と、通信の切断後のリトライ回数とを設定する。
【0025】
地図サーバ装置6は、ハードウェアとしてのCPU、ROM、RAM、信号入力回路、信号出力回路、記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ等)等と、CPU等に対して諸機能を付与するプログラムとにより構成されている。さらに、地図サーバ装置6は、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記憶媒体からデータ等を読み出す一方、当該記憶媒体に対してデータ等を記録するドライブ部を備えていてもよい。地図サーバ装置6には、走行ルートを計算するルート計算機能が含まれている。また、地図サーバ装置6には、走行ルートを計算するための地図データや目的地(POI(Point of Interest))リストやCity/Streetリストが記憶されているデータベースが構築されている。なお、地図サーバ装置6の各機能は、それぞれ別個のCPU等により構成されていてもよく、共通のCPU等により構成されていてもよい。
【0026】
さらに、地図サーバ装置6は、その機能として、インターネットNWに接続して、携帯電話キャリア5を経由して携帯電話機4を介したナビゲーション装置3との通信状態を制御する第2通信手段21と、第2通信手段21で用いる第2通信パラメータを設定する第2通信パラメータ設定手段22とを備えている。
【0027】
第2通信手段21は、ナビゲーション装置3からのレスポンス確認のためのメッセージの受信に応答して応答メッセージを送信する。また、第2通信手段21は、ナビゲーション装置3から送信されたレスポンス値を受信する。そして、第2通信パラメータ設定手段22は、第2通信手段21により受信したレスポンス値に基づいて最適な第2通信パラメータを決定し、地図サーバ装置6で用いるデータ送信条件に関する第2通信パラメータに当該最適な第2通信パラメータを設定する。なお、本実施形態では、第2通信パラメータとして、例えばデータ送信に用いるバッファ長を設定する。
【0028】
次に、ナビゲーションシステム1およびナビゲーション装置3の作動(通信および通信パラメータ管理処理)について図2を参照して説明する。この処理は、ユーザのスイッチ入力操作に応じてルート案内が指示されたときに開始される。また、通信パラメータ、第2通信パラメータには予め定められた値が設定されている。
【0029】
まず、ナビゲーション装置3の通信手段11が、携帯電話機4を介して地図サーバ装置6に通信接続を行う(S11〜S12)。
【0030】
次いで、ナビゲーション装置3が、地図サーバ装置6に対して認証のリクエストを行う(S21〜S24)。具体的には、ナビゲーション装置3の通信手段11が、携帯電話機4に認証リクエスト信号を送信し(S21)、この信号を受信して携帯電話機4から地図サーバ装置6に認証リクエスト信号が送信され、地図サーバ装置6の第2通信手段21が認証リクエスト信号を受信する(S22)。次いで、地図サーバ装置6は、ナビゲーション装置3の認証処理を行い、ナビゲーション装置3が予め登録されている場合は、第2通信手段21が認証OKのレスポンス信号を携帯電話機4に送信する(S23)。このレスポンス信号を受信して携帯電話機4からナビゲーション装置4にレスポンス信号が送信され、ナビゲーション装置3の通信手段11がレスポンス信号を受信する(S24)。
【0031】
次いで、ナビゲーション装置3の通信手段11が、目的地候補のリスト情報のリクエスト信号を携帯電話機4を介して送信し、地図サーバ装置6から携帯電話機4を介してそのリスト情報を受信する(S31〜S34)。そして、ナビゲーション装置3は、受信したリスト情報に基づいてユーザに目的地候補を提示する。これにより、ユーザのスイッチ入力により目的地が設定される。なお、例えばユーザからルート案内が指示されたときに目的地が直接設定されて、ナビゲーション装置3の処理で目的地候補のリスト情報の必要性がなければ、S31〜S34の処理は省略される。
【0032】
次いで、ナビゲーション装置3が、現在位置および目的地と、Keep Alive Message(レスポンス確認のためのメッセージ)とを、携帯電話機4を介して地図サーバ装置6に送信し、地図サーバ装置6からの応答を受信する(S41〜S44)。なお、Keep Alive Messageは、応答時間計測および接続状況確認に用いられるものであり定期的に送信される。具体的には、ナビゲーション装置3の通信手段11が、現在位置および目的地とKeep Alive Messageとを携帯電話機4に送信し(S41)、このデータを受信して携帯電話機4から地図サーバ装置6にデータが送信され、地図サーバ装置6の第2通信手段21が現在位置および目的地とKeep Alive Messageとを受信する(S42)。
【0033】
次いで、地図サーバ装置6の第2通信手段21が、Keep Alive Messageの応答メッセージを携帯電話機4に送信する(S43)。これと共に、地図サーバ装置6が、受信した現在位置および目的地に基づいて走行ルートを計算する処理を行い、計算された走行ルートに基づいて、第2通信手段21が、応答メッセージの送信タイミングまでに得られた走行ルートおよびその周辺地図データ(これらのデータの一部)を携帯電話機4に送信する。そして、これらのデータを受信して携帯電話機4からナビゲーション装置4にデータが送信され、ナビゲーション装置3の通信手段11が応答メッセージと、走行ルートおよびその周辺地図データとを受信する(S44)。
【0034】
このとき、実際にはナビゲーション装置3は受信待ち状態であり、受信処理を通信パラメータ(タイムアウト値およびリトライ回数)に基づいて繰り返している。そして、設定されたタイムアウト値およびリトライ回数の限度内で地図サーバ装置6からのデータが受信されなかった場合、通信手段11は地図サーバ装置6との通信接続が切断されたと判断する。通信接続が切断されたと判断された場合、ナビゲーションシステム1における通信および通信パラメータ管理処理が終了される。
【0035】
次いで、ナビゲーション装置3のレスポンス値取得手段12が、S41でKeep Alive Messageを送信してからS44で応答メッセージを受信するまでの応答時間Tを計測し、計測された応答時間T(レスポンス値)に基づいて、通信パラメータ設定手段13が最適な通信パラメータを決定して設定する(S50)。具体的には、ナビゲーション装置3のメモリ(RAM,ROM)には応答時間と通信パラメータとの対応関係を示すテーブルが予め記憶されており、通信パラメータ設定手段13は、このテーブルを用いて、計測された応答時間Tに対応する通信パラメータを最適な通信パラメータとして決定して設定する。
【0036】
次いで、ナビゲーション装置3の通信手段11が、Keep Alive Messageと、S50で取得されたレスポンス値とを、携帯電話機4を介して地図サーバ装置6に送信し、地図サーバ装置6からの応答を受信する(S61〜S64)。具体的には、ナビゲーション装置3の通信手段11が、Keep Alive Messageとレスポンス値とを携帯電話機4に送信し(S61)、このデータを受信して携帯電話機4から地図サーバ装置6にデータが送信され、地図サーバ装置6の第2通信手段21がKeep Alive Messageとレスポンス値とを受信する(S62)。
【0037】
次いで、地図サーバ装置6の第2通信手段21は、S61で送信されたKeep Alive Messageの応答メッセージと、S43で計算された走行ルートおよびその周辺地図データ(これらのデータのうち未送信のデータの一部)を携帯電話機4に送信する(S63)。このとき、第2通信手段21は、設定されたデータ送信条件に関する第2通信パラメータ(バッファ長)を用いて、データを送信する。そして、このデータを受信して携帯電話機4からナビゲーション装置3にデータが送信され、ナビゲーション装置3の通信手段11が応答メッセージと走行ルートおよびその周辺地図データとを受信する(S64)。このとき、S64における受信では、S50で設定された通信パラメータが用いられて受信処理が行われる。これにより、通信条件や通信状況に合わせて受信処理が行われて通信効率が向上される。
【0038】
これと共に、地図サーバ装置6の第2通信パラメータ設定手段22が、S62で受信した応答時間T(レスポンス値)に基づいて、最適な第2通信パラメータを決定する(S70)。具体的には、地図サーバ装置6のメモリには応答時間と第2通信パラメータとの対応関係を示すテーブルが予め記憶されており、第2通信パラメータ設定手段22は、このテーブルを用いて、取得された応答時間に対応する第2通信パラメータを最適な第2通信パラメータとして設定する。
【0039】
次いで、S50と同様に、ナビゲーション装置3のレスポンス値取得手段22が、S61でKeep Alive Messageを送信してからS64で応答メッセージを受信するまでの応答時間Tを計測し、計測された応答時間T(レスポンス値)に基づいて、通信パラメータ設定手段13が最適な通信パラメータを決定して設定する(S80)。
【0040】
この後、走行ルートおよびその周辺地図データの全データの受信がナビゲーション装置3で完了するまでS61〜S80の処理が繰り返される。全データの受信が完了されると、ナビゲーションシステム1における通信および通信パラメータ管理処理が終了される。このとき、S61では、前回のS80で取得されたレスポンス値が逐次送信され、このレスポンス値に基づいてS70で第2通信パラメータが逐次設定される。また、S64では、前回のS80で逐次設定された通信パラメータが用いられるので、ナビゲーション装置3側で、通信条件や通信状況に合わせて通信接続の切断が適切に判断されて通信効率が向上される。また、S63では、前回のS70で逐次設定された最適な第2通信パラメータが用いられるので、地図サーバ装置6側で、通信条件や通信状況に合わせてデータが適切に送信されて通信効率が向上される。
【0041】
なお、ユーザがリルート(走行ルートの再探索)や別の目的地をリクエストする場合はS31に戻り、S31〜S70の処理が繰り返される。
【0042】
以上がナビゲーションシステムにおける通信および通信パラメータ管理処理である。
【0043】
本実施形態のナビゲーションシステム1およびナビゲーション装置3によれば、メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間を計測した結果に基づいて、通信状態を示すレスポンス値を取得し、このレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定して、ナビゲーション装置3で用いる通信パラメータを、決定した最適な通信パラメータに逐次変更する。また、地図サーバ装置6で、レスポンス値に基づいて最適な第2通信パラメータを決定して、地図サーバ装置6で用いる第2通信パラメータを、決定した最適な第2通信パラメータに逐次変更する。これにより、通信条件や通信状況に合わせて最適な通信パラメータおよび第2通信パラメータを迅速に決定して設定することができ、通信効率を向上することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、通信パラメータ設定手段13および第2通信パラメータ設定手段22は、予め記憶されたテーブルを用いて最適な通信パラメータおよび第2通信パラメータを設定するものとしたが、他の実施形態として、例えば、計測した応答時間に応じて、その時点で設定されている通信パラメータを増減させることで、最適な通信パラメータを設定するものとしてもよい。具体的には、例えば、応答時間が長いほどタイムアウト値を長くさせ、リトライ回数を少なくさせる方向に変更し、応答時間が短いほどタイムアウト値を短くさせ、リトライ回数を多くさせる方向に変更する。
【0045】
また、本実施形態では、第2通信パラメータ設定手段22を備え、通信手段11から送信されたレスポンス値を第2通信手段21で受信し、地図サーバ装置6側でも、このレスポンス値を用いて第2通信パラメータ設定手段22により第2通信パラメータを最適に逐次設定するものとしたが、他の実施形態として、第2通信パラメータ設定手段22を備えず、ナビゲーション装置3側で通信パラメータを最適に逐次設定するのみとしてもよい。この場合も、通信手段の種類や性能等の通信条件や、地域や時間帯等に応じた通信状況に合わせて、最適な通信パラメータを迅速に決定し設定することができ、通信効率を向上できるとの効果を奏する。
【0046】
また、本実施形態では、通信パラメータ設定手段13により設定する通信パラメータを通信の切断を判断するタイムアウト値、通信の切断後のリトライ回数としたが、これら以外の通信切断条件に関する通信パラメータを設定するものとしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、取得するレスポンス値を応答時間としたが、これ以外の通信時間に関する通信状態を示す値をレスポンス値として取得するものとしてもよい。例えば、応答メッセージの受信処理が設定されたタイムアウト値とリトライ回数の限度内で繰り返される場合、レスポンス値として、実際に応答メッセージが受信されるまでに受信処理が試行された回数などを用いてもよい。また、レスポンス値として、これらの値を組み合わせて用いるものとしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置は、ユーザにより携帯される携帯電話機を通信機器として、携帯電話機を介して地図サーバ装置と通信するものとしたが、例えば、ナビゲーション装置に装着(内蔵)された通信機器を用いて地図サーバ装置と通信するものとしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置は自動車に搭載されるものとしたが、ナビゲーション装置は、自動車以外に、例えばロボット等の移動機能を有する機能的装置や、例えば携帯電話機等のユーザにより携帯される携帯情報端末に搭載されるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置自体が携帯情報端末としてユーザにより携帯されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のナビゲーションシステムの概要図。
【図2】図1のナビゲーションシステムにおける通信および通信パラメータ管理処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
1‥ナビゲーションシステム、2‥自動車、3…ナビゲーション装置、4‥携帯電話機、5‥携帯電話キャリア、6‥地図サーバ装置、11‥通信手段、12‥レスポンス値取得手段、13‥通信パラメータ設定手段、21‥第2通信手段、22‥第2通信パラメータ設定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を提供するサーバ装置と通信を行うナビゲーション装置であって、
前記サーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージを送信し、該メッセージに対する応答メッセージを該サーバ装置から受信する通信手段と、
前記メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間を計測し、該計測した結果に基づいて通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値を取得するレスポンス値取得手段と、
前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、当該ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記通信パラメータは、通信の切断を判断するタイムアウト値、通信の切断後のリトライ回数の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
移動機能を有する又はユーザにより携帯される機能的装置に搭載されるナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置に通信を介して情報を提供するサーバ装置とを有するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、
前記サーバ装置に対してレスポンス確認のためのメッセージを送信し、該メッセージに対する応答メッセージを該サーバ装置から受信する通信手段と、
前記メッセージの送信から応答メッセージの受信までの時間計測し、該計測した結果に基づいて通信時間に関する通信状態を示すレスポンス値を取得するレスポンス値取得手段と、
前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値に基づいて最適な通信パラメータを決定し、当該ナビゲーション装置で用いる通信切断条件に関する通信パラメータに当該最適な通信パラメータを設定する通信パラメータ設定手段とを有し、
前記サーバ装置は、
前記ナビゲーション装置からの前記メッセージの受信に応答して前記応答メッセージを送信する第2通信手段を有する
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置の前記通信手段は、前記レスポンス値取得手段により取得したレスポンス値を前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置の前記第2通信手段は、前記ナビゲーション装置から送信された前記レスポンス値を受信し、
前記サーバ装置は、前記第2通信手段により受信した前記レスポンス値に基づいて最適な第2通信パラメータを決定し、当該サーバ装置で用いるデータ送信条件に関する第2通信パラメータに当該最適な第2通信パラメータを設定する第2通信パラメータ設定手段を有することを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−92445(P2009−92445A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261588(P2007−261588)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】