説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション方法

【課題】目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻と、目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻との間に差がある場合において、目的地の種類に応じて適切に対応可能なナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】目的地を設定する目的地設定手段と、前記目的地に到着すべき時刻を、到着要求時刻として設定する到着要求時刻設定手段と、前記目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出する到着予測時刻算出手段と、前記目的地に前記到着要求時刻までに到着することに対する要求の度合いを、到着要求度合として設定する到着要求度合設定手段と、前記到着要求時刻と、前記到着予測時刻との間に差がある場合に、所定の処理を実行する処理実行手段と、を備え、前記処理実行手段は、前記到着要求度合設定手段により設定された前記到着要求度合に応じて、前記所定の処理の内容を異ならせることを特徴とするナビゲーション装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地へと誘導するためのルートを探索して、探索したルートを地図上で識別可能に表示しながら誘導案内を行う車載ナビゲーション装置が普及している。このような車載ナビゲーション装置において、目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出するとともに、ユーザの運転状況などにより、到着予測時刻が変化した場合に、目的地にいる相手に、到着予測時刻が変化したことを伝える技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−189040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、目的地の種類(たとえば、目的地が職場である場合や自宅である場合)によっては、所定の時刻に到着することに対する要求の度合いが異なる場合があり(たとえば、目的地が職場であれば、所定の時刻に到着することに対する要求の度合いが高い一方で、目的地が自宅である場合には、該要求の度合いは高くないことが一般的である。)、これに対して、上記従来技術においては、目的地の種類に関係なく、目的地にいる相手に対して、到着予測時刻が変化したことを伝えるものであるため、目的地の種類によっては必ずしも適切でない場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻と、目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻との間に差がある場合において、目的地の種類に応じて適切に対応可能なナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻、および前記目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出し、前記到着要求時刻と前記到着予測時刻との間に差がある場合に、所定の処理を実行する際に、前記目的地に前記到着要求時刻までに到着することに対する要求の度合いに応じて、前記所定の処理の内容を異ならせることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻と、目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻との間に差がある場合において、目的地ごとに想定される所定の時刻に到着することに対する要求の度合いに応じて、所定の処理を行なう際における、該所定の処理の内容を異ならせるため、目的地の種類に応じて適切に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、外部記憶装置50に記憶される車両位置のデータの一例を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態のナビゲーション装置1による動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態に係る到着要求度合の設定処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係る遅延対応タスクの実行動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、外部記憶装置50に記憶された走行履歴データのうち、到着実績時刻の度数分布を示す図である。
【図7】図7は、走行シミュレーションの一例を示す図である。
【図8】図8は、到着要求度合「高」である場合における遅延連絡情報の設定態様の一例を示す図である。
【図9】図9は、到着要求度合「低」である場合における遅延連絡情報の設定態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。本実施形態のナビゲーション装置1は、図1に示すように、コントローラ10、操作スイッチ20、ディスプレイ30、通信装置40および外部記憶装置50を備えている。以下においては、ナビゲーション装置1として、車載用のナビゲーション装置を例示して説明するが、本発明のナビゲーション装置は、車載用のものに限定されるものではない。
【0010】
操作スイッチ20は、ナビゲーション装置1の各種機能を実現するために、ユーザが操作するためのスイッチであり、たとえば、ユーザの所望する目的地を設定するための操作などの各種操作を行なうため等に用いられる。操作スイッチ20としては、操作パネル上に設けられた種々のスイッチ類の他、タッチパネル画面を通じて実現される入力インタフェースなどが挙げられる。
【0011】
ディスプレイ30は、たとえば、CRTモニタや液晶モニタであり、ナビゲーション装置1の各種機能を実現するための情報をユーザに提示するために用いられる。具体的には、ディスプレイ30は、自車両の現在位置の情報や、車両周辺の地図情報や地名情報を表示したり、ユーザの所望する目的地までの経路を表示したりする。
【0012】
通信装置40は、各種外部機器との通信を行なうための装置である。なお、通信装置40としては、特に限定されず、送受信アンテナや、無線LAN装置やBluetoothモジュール(Bluetoothは登録商標)などの各種通信装置が挙げられる。
【0013】
外部記憶装置50は、後述する自車両の走行履歴のデータをはじめ、各種データを記憶するための装置であり、ハードディスクなどの記憶媒体から構成される。
【0014】
コントローラ10は、ナビゲーション装置1全体を制御するための制御装置であり、ナビゲーション装置1を制御するための各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101、ナビゲーション装置1を制御するための各種プログラムを格納したROM(Read Only Memory)102、およびアクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)103を有している。
【0015】
そして、このような構成を有するコントローラ10は、ナビゲーション装置1を制御するために、以下に説明する各種機能を備えている。
すなわち、自車両の現在位置を取得する車両位置取得機能、車両位置取得機能により測位された自車両の現在位置を外部記憶装置50に記憶させる走行履歴記憶機能、車両位置取得機能により取得された自車両の現在位置を、その周辺の地図とともにディスプレイ30上に表示させる地図表示機能、ユーザによる操作を操作スイッチ20から入力する入力機能、車両の目的地を設定する目的地設定機能、目的地に到着するための経路を探索する経路探索機能、目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻を設定する到着要求時刻設定機能、目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出する到着予測時刻算出機能、目的地に到着要求時刻までに到着すべきことに対する要求の度合いを、到着要求度合として設定する到着要求度合設定機能、到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間以上であるか否かを判断する判断機能、および、判断機能による判断結果および到着要求度合に基づき、遅延対応タスクの内容を決定し、これを実行する遅延対応タスク実行機能を備えている。以下、コントローラ10に備えられた各機能について、説明する。
【0016】
コントローラ10の車両位置取得機能は、自車両の現在位置を取得する機能であり、図示省略のGPSやジャイロセンサなどの航法装置を用いて測位された測位結果(たとえば、5秒間隔での測位結果)を、自車両の現在位置として取得する。
【0017】
コントローラ10の走行履歴記憶機能は、車両位置取得機能により取得された車両の現在位置を、現在時刻とともに、外部記憶装置50に送信し、これらを外部記憶装置50に記憶させる機能である。
【0018】
図2に、外部記憶装置50に記憶される車両位置のデータの一例を示す。図2に示すように、外部記憶装置50には、車両位置のデータが、たとえば、緯度・経度のような2次元座標値にて、5秒ごとの時系列データとして記憶されている。なお、図2中においては、緯度・経度の具体的な数値については省略して示した(すなわち、図2中において、全ての日時における緯度・経度について、「○○°○○’○○.○”N ○○○°○○’○○.○”E」で示した。)。
【0019】
さらに、図2に示すように、走行履歴記憶機能は、車両の現在位置および現在時刻とともに、これらの「事象」属性および「地点ID」を、外部記憶装置50に送信する。そして、外部記憶装置50は、車両の位置および日時に加えて、これら「事象」属性および「地点ID」についても記憶する。ここで、「事象」属性は、各日時における自車両の状態、すなわち、「出発」、「到着」、または「通過」の各状態を示すものである。なお、「事象」属性を決定する際の決定方法としては特に限定されないが、たとえば、エンジンスタート後、自車両の位置が変化した場合に、変化する直前の日時におけるデータを「出発」と設定し、エンジンストップ直前の日時におけるデータを「到着」と設定し、それ以外を「通過」と設定する方法などが挙げられる。
【0020】
また、「地点ID」は、「事象」属性が「出発」または「到着」である場合に、これらにおける車両位置をユニークに識別するためのラベルである。一般的に、同じ位置に車両を停車した場合であっても、GPSやジャイロセンサなどの航法装置により測位される緯度・経度は、その都度異なる値を示す場合があり、この場合においては、ユーザが車両を同じ地点に停車させた場合であっても、緯度・経度の情報が異なって記憶されることとなる。これに対して、本実施形態では、緯度・経度の情報が異なる場合であっても、その相違が所定の範囲内である場合には、同じ地点であると判断し、各地点に固有のIDである「地点ID」を付与することで、同じ地点であるとして、外部記憶装置50に記憶させることができる。
【0021】
コントローラ10の地図表示機能は、車両位置取得機能により取得された自車両の現在位置に基づいて、自車両の現在位置周辺の地図情報を取得し、自車両の現在位置の情報および自車両の現在位置周辺の地図情報を、ディスプレイ30に送信し、ディスプレイ30上に自車両の現在位置およびその周辺の地図情報を表示させる機能である。なお、自車両の現在位置周辺の地図情報を取得する方法としては、たとえば、図示省略の記憶媒体に記憶されている地図データベースを参照する方法などが挙げられる。
【0022】
コントローラ10の入力機能は、操作スイッチ20を介してユーザにより行なわれた各種入力操作の情報を受信し、これをコントローラ10に入力する機能である。
【0023】
コントローラ10の目的地設定機能は、自車両の目的地を設定する機能である。本実施形態において、目的地の設定方法としては、たとえば、操作スイッチ20を介したユーザによる目的地設定操作に応じて設定する方法や、ユーザにより目的地設定操作が行なわれない場合でも、コントローラ10により目的地を推定し、これを目的地として設定する方法などが挙げられる。なお、目的地の具体的な推定方法については後述する。
【0024】
コントローラ10の経路探索機能は、目的地設定機能により設定された目的地までの経路を探索する機能である。目的地までの経路を探索する方法としては特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。
【0025】
コントローラ10の到着要求時刻設定機能は、目的地設定機能により設定された目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻を設定する機能である。本実施形態において、到着要求時刻の設定方法としては、たとえば、操作スイッチ20を介したユーザによる到着要求時刻設定操作に応じて設定する方法や、ユーザにより到着要求時刻設定操作が行なわれない場合でも、コントローラ10により到着要求時刻を推定し、これを到着要求時刻として設定する方法などが挙げられる。なお、到着要求時刻の具体的な推定方法については後述する。
【0026】
コントローラ10の到着予測時刻算出機能は、車両位置取得機能により取得された自車両の現在位置、および経路探索機能により探索された経路から、目的地設定機能により設定された目的地に到着する時刻を予測し、予測した時刻を到着予測時刻として算出する機能である。
【0027】
コントローラ10の到着要求度合設定機能は、目的地設定機能により設定された目的地に到着要求時刻までに到着すべきことに対する要求の度合いである到着要求度合を設定する機能である。なお、到着要求度合の具体的な設定方法については後述する。
【0028】
コントローラ10の判断機能は、到着要求時刻設定機能により設定された到着要求時刻と、到着予測時刻算出機能により算出された到着予測時刻とを比較し、これら到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T以上であるか否か、および到着要求時刻および到着予測時刻のうちいずれの時刻の方が早いか、を判断する機能である。
【0029】
コントローラ10の遅延対応タスク実行機能は、判断機能による判断の結果、到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T以上であり、かつ、到着予測時刻の方が到着要求時刻よりも遅い場合(すなわち、所定時間T以上遅延しそうな場合)に、到着要求度合設定手段により設定された到着要求度合に基づき、遅延対応タスクを実行する機能である。なお、遅延対応タスク実行機能による遅延対応タスクの具体的な実行方法については後述する。
【0030】
次いで、本実施形態の動作を説明する。以下においては、ユーザが自車両の運転を開始する時点(出発時)からの動作について、図3〜図5に示すフローチャートを用いて、説明を行なう。ここで、図3は本実施形態のナビゲーション装置1による動作を説明するためのフローチャート、図4は本実施形態に係る到着要求度合の設定処理動作を説明するためのフローチャート、図5は本実施形態に係る遅延対応タスクの実行動作を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、ステップS1では、コントローラ10の目的地設定機能および到着要求時刻設定機能により、ユーザが向かおうとしている目的地、および該目的地に到着するべき時刻である到着要求時刻の設定が行なわれる。本実施形態においては、目的地、および到着要求時刻は、たとえば、以下の3つの方法のいずれかにより設定することができる。
【0032】
すなわち、まず、第1に、通信装置40を介して、外部のスケジュール管理プログラムからユーザのスケジュールデータの取得が可能な場合に、該スケジュールデータを取得し、これに基づいて、目的地および到着要求時刻を設定する方法が挙げられる。この場合においては、たとえば、ユーザがサービスプロバイダの提供するスケジューラサービスを利用しており、インターネットを通じてユーザのスケジュールデータに携帯端末からアクセスすることが可能である場合であって、かつ、ユーザがスケジュールに関連させて場所の情報を登録している場合などにおいて、ユーザのスケジュールデータの取得が可能となる。この場合においては、目的地設定機能は、スケジュールに関連させて登録されている場所の情報に基づいて、目的地を設定することができ、また、到着要求時刻設定機能は、スケジュールの開始時刻を、到着要求時刻として設定することができる。この第1の方法によれば、精度良く目的地および到着要求時刻を設定でき、しかもユーザの負担も軽減することができるものである。
【0033】
次いで、第2に、外部記憶装置50に記憶されている走行履歴データに基づいて、目的地および到着要求時刻を設定する方法が挙げられる。この方法においては、外部記憶装置50には、出発時刻および出発地点と、これに対応する到着時刻(到着実績時刻)および到着地点とが、走行履歴データとして記憶されているため、目的地設定機能は、これらのデータに基づき、反復性のある走行履歴の検出を行い、反復性のある走行履歴を検出することができれば、該走行履歴に基づいて、目的地を予測し、これを目的地として設定する。たとえば、ユーザが、水曜日の午前8時に「自宅」を出発しようとしている場合に、外部記憶装置50に記憶された走行履歴データから、月曜日〜金曜日の午前8時台に自宅位置を出発した場合には、ほぼ例外なく「職場」に向かっていると判断できる場合には、目的地設定機能は、「職場」を目的地として設定することができる。
【0034】
さらに、この場合において、到着要求時刻設定機能は、外部記憶装置50の走行履歴データのうち、目的地設定機能により設定された目的地への到着実績時刻の履歴に基づいて、到着要求時刻を設定することができる。到着要求時刻の具体的な設定方法としては、たとえば、目的地設定機能により設定された目的地への到着実績時刻のデータのうち、極端に時刻の遅いデータ(たとえば、到着実績時刻の平均値をTave、到着実績時刻の標準偏差をσとした場合に、Tave+σよりも遅い時刻のデータ)を除いたデータのなかで、最も直近のデータにおける到着実績時刻を、到着要求時刻として設定することができる。あるいは、到着要求時刻設定機能は、経路探索機能により、出発地点から目的地までの最適経路の探索を行わせ、探索された最適経路から予想される目的地への到着時刻を、到着要求時刻として設定することもできる。この第2の方法によれば、比較的に高い精度で目的地および到着要求時刻を設定でき、しかもユーザの負担も軽減することができるものである。
【0035】
第3に、操作スイッチ20を介したユーザの操作により、目的地および到着要求時刻を設定する方法が挙げられる。この場合においては、ディスプレイ30や不図示のスピーカなどを介して、ユーザに対して、目的地および到着要求時刻を設定するように促すような態様としてもよい。
【0036】
ステップS2では、コントローラ10の到着要求度合設定機能により、ステップS1で設定された目的地に到着要求時刻までに到着することに対する要求度合(すなわち、到着要求時刻までに到着することに対する必要性および/または厳密性)である到着要求度合を設定する処理を行なう。以下、到着要求度合の設定処理方法について、図6(A)〜図6(C)に示す場面例に基づき、図4に示すフローチャートにしたがって、説明する。なお、図6(A)〜図6(C)は、外部記憶装置50に記憶された走行履歴データのうち、到着実績時刻の度数分布を分単位でプロットして示す図であり、図6(A)〜図6(C)には、それぞれ異なる度数分布を有する例であり、いずれも過去16回にわたって、到着実績時刻が午前9時30分から午前10時10分の間であり、かつ、到着実績時刻の平均値Taveが午前9時52分となっているもののデータを示している。
【0037】
まず、ステップS201では、外部記憶装置50に記憶された走行履歴データに基づき、到着実績時刻の度数分布の分散値を求める。なお、度数分布を求める際における、到着実績時刻の数としては、特に限定されず、走行履歴データの量などに応じて適宜設定すればよい。
【0038】
ステップS202では、ステップS201で求めた度数分布の分散値が所定の閾値以下であるか否かの判定が行なわれる。度数分布の分散値が所定の閾値以下である場合(すなわち、到着実績時刻の分散度合いが低い場合)には、ステップS203に進み、ステップS203において、到着要求度合が「高」に設定され、到着要求度合設定処理を終了する。一方、度数分布の分散値が所定の閾値より大きい場合(すなわち、到着実績時刻の分散度合いが高い場合)には、ステップS204に進む。
【0039】
ここで、図6(A)に示す例においては、到着実績時刻は、その平均値Taveである午前9時52分を中心として比較的狭い範囲に到着実績が集中しており、度数分布の分散値が低いものとなっている。すなわち、この図6(A)に示す例は、ステップS202において、度数分布の分散値が所定の閾値よりも大きいと判断されることとなる。そして、この図6(A)に示す例においては、要求されている到着時刻は午前10時頃であり、かつ、午前10時頃までに到着することが強く要求されている推測できる。そのため、図6(A)に示す例においては、ステップS202において、度数分布の分散値が所定閾値以下であると判断され、テップS203に進み、到着要求度合が「高」に設定されることとなる。
【0040】
一方、図6(B)に示す例においては、到着実績時刻は午前9時30分から午前10時10分ほどの約40分の間に比較的広く分布しており、度数分布の分散値が高いものとなっている。すなわち、この図6(B)に示す例は、ステップS202において、度数分布の分散値が所定の閾値よりも大きいと判断されることとなる。そして、この図6(B)に示す例においては、要求されている到着時刻は概ね午前10時頃であるが、午前10時以降の到着実績も散見されることからそれほど、午前10時に到着していることが厳密に要求されていないと推測できる。すなわち、図6(B)に示す例は、到着要求度合を「高」とすべきものではないため、ステップS202において、度数分布の分散値が所定閾値よりも大きいと判断され、ステップS203に進まずに、ステップS204に進むこととなる。
【0041】
ステップS204では、外部記憶装置50に記憶された走行履歴データに基づき、到着実績時刻のデータのうち、到着実績時刻の平均値Tave以降のデータの偏在率(すなわち、到着実績時刻の平均値Taveと同じか、平均値Taveよりも遅いデータの度数の、全度数に占める比率)の算出を行なう。そして、ステップS205に進み、ステップS205において、ステップS204にて算出された偏在率が所定の閾値以上であるか否かの判定が行なわれる。ステップS205において、偏在率が所定の閾値以上であると判定された場合には、ステップS203に進み、到着要求度合が「高」に設定され、到着要求度合設定処理を終了する。一方、ステップS205において、偏在率が所定の閾値未満であると判定された場合には、ステップS206に進み、到着要求度合が「低」に設定され、到着要求度合設定処理を終了する。
【0042】
たとえば、図6(C)に示す例においては、到着実績時刻は、その平均値Taveである午前9時52分よりも遅い時間に集中しており、一番遅い到着実績時刻でも10時となっている。そのため、この図6(C)に示す例においては、10時よりも大分早い時刻に到着することがあったとしても、図6(A)に示す例と同様に、原則的には午前10時頃までに到着することが強く要求されている推測できる。そのため、この図6(C)に示す例においては、度数分布の分散値が高いものとなっているため、ステップS202において、度数分布の分散値が所定の閾値よりも高いと判断されてしまい、ステップS204に進む一方で、ステップS205において、到着実績時刻の平均値Tave以降のデータの偏在率が所定の閾値以上と判断されることとなるため、ステップS203に進み、到着要求度合が「高」に設定されることとなる。
【0043】
一方、上述の図6(B)に示す例においては、度数分布の分散値が所定の閾値よりも大きく、しかも、到着実績時刻の平均値Tave以降のデータの偏在率も所定の閾値未満となるため、ステップS206に進み、到着要求度合が「低」に設定されることとなる。
【0044】
次いで、図3に戻り、ステップS3では、コントローラ10の経路探索機能により、目的地までの最適経路の探索が行なわれ、ステップS4に進む。
【0045】
そして、以下においては、自車両が、ステップS1において設定された目的地に到着するまで、後述するステップS4〜S9の動作が、所定の周期で繰り返し行なわれることとなる。
【0046】
まず、ステップS4では、コントローラ10の車両位置取得機能により、自車両の現在位置の取得が行なわれる。なお、コントローラ10の車両位置取得機能による自車両の現在位置の取得処理は、このステップS4において実行される他、GPSやジャイロセンサなどの航法装置を用いて行なわれる現在位置の測位のタイミングに応じて適宜実行されるような構成としてもよい。
【0047】
ステップS5では、コントローラ10の地図表示機能により、ステップS4において取得された自車両の現在位置に基づいて、自車両の現在位置周辺の地図情報の取得が行なわれ、次いで、自車両の現在位置の情報および自車両の現在位置周辺の地図情報を、ディスプレイ30に送信され、ディスプレイ30上に自車両の現在位置およびその周辺の地図情報の表示が行なわれる。なお、既にディスプレイ30上に自車両の現在位置およびその周辺の地図情報の表示が行なわれている場合には、ステップS5において、これらの情報が更新されることとなる。
【0048】
ステップS6では、到着予測時刻算出機能により、ステップS3または後述する図5のステップS807で探索された経路に基づき、ステップS1において設定された目的地に到着するまでの所要時間を算出し、算出された所要時間、およびステップS4において取得された自車両の現在位置から、ステップS1において設定された目的地に到着する時刻を予測し、予測した時刻を到着予測時刻として算出される。なお、ステップS6において、到着予測時刻を算出する際に、たとえば、通信装置40を介して、外部装置から現在の交通情報を受信している場合には、該交通情報の内容を反映することが好ましく、これにより、突発の渋滞や通行止めなどにも適切に対応することができる。
【0049】
ステップS7では、判断手段により、ステップS1で設定された到着要求時刻と、ステップS6において算出された到着予測時刻との比較が行なわれ、これら到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T以上であり、かつ、到着要求時刻よりも到着予測時刻の方が遅いか否かの判断が行なわれる。すなわち、ステップS7では、到着予測時刻が、到着要求時刻から所定時間T以上遅れているか否かの判断が行なわれる。その結果、到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T以上であり、かつ、到着要求時刻よりも到着予測時刻の方が遅いと判断された場合には、ステップS8に進み、遅延対応タスクの実行が行なわれる。一方、到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T未満である場合や、到着要求時刻と到着予測時刻との間の差が所定時間T以上でも、到着要求時刻と到着予測時刻とが同じか、あるいは、到着要求時刻よりも到着予測時刻の方が早いと判断された場合には、ステップS9に進む。
【0050】
ステップS8では、コントローラ10の遅延対応タスク実行機能により、遅延対応タスクの実行処理が行われる。以下、遅延対応タスクの実行処理方法について、図5に示すフローチャートにしたがって、説明する。
【0051】
まず、ステップS801では、ステップS2において設定された到着要求度合が「高」であるか、あるいは「低」であるかの判断が行なわれる。到着要求度合が「高」である場合には、ステップS802に進む。一方、到着要求度合が「低」である場合には、ステップS808に進む。
【0052】
ステップS802では、予め設定された目的地にいる特定の相手に対して、所定の遅延連絡を送信するための要件である遅延連絡送信要件を満たしているか否かの判定が行なわれる。なお、所定の遅延連絡としては、たとえば、通信装置40を介して、目的地にいる特定の相手に対して、電子メールにて「○○分遅れます。」という情報や「あと○○分で到着します。」という情報などを送信することなどが挙げられる。そして、ステップS802では、以下の(I)〜(III)のいずれかの条件を満たしている場合に、遅延連絡送信要件を満たしていると判定する。
(I)遅延時間(到着要求時刻と到着予測時刻との差)が増加傾向にあり、かつ、遅延時間が増加し始めてから(X×n)分経過時点(ただし、nは自然数)
(II)遅延時間(到着要求時刻と到着予測時刻との差)が減少傾向にあり、かつ、最大遅延時間(到着要求時刻と到着予測時刻との差が最大となった時間)と比較して、遅延時間が所定時間短くなった時点
(III)到着予測時刻のY分前の時点
本実施形態では、たとえば、上記条件(I)において、X=15、上記条件(III)において、Y=5と設定することができる。そして、遅延連絡送信要件を満たしていると判定された場合には、ステップS803に進む。一方、遅延連絡送信要件を満たしていない場合には、ステップS807に進む。
【0053】
なお、遅延連絡を送信する特定の相手としては、たとえば、予め目的地に関連付けて遅延の場合の連絡先を登録しておくことにより設定可能である。具体的には、携帯電話に登録された電話帳データ(メールアドレス、電話番号、住所)を、目的地設定の際に活用することで、たとえば、携帯電話に登録された電話帳データの住所から、目的地の位置を特定し、同時に連絡先を設定することが可能である。
【0054】
ステップS803では、ステップS802にて判断された遅延連絡送信要件に応じて、目的地にいる特定の相手に対する遅延連絡情報の設定が行なわれる。本実施形態においては、ステップS802において、上記(I)〜(III)のいずれの条件を満たしたかによって、以下のように遅延連絡情報が設定される。
(I)の条件を満たした場合:「(X×n)分遅れます。」という情報を遅延連絡情報として設定する。
(II)の条件を満たした場合:「あとZ分で到着します。」という情報を遅延連絡情報として設定する(ただし、「Z=到着予測時刻と現在時刻との差」である)。
(III)の条件を満たした場合:「あとY分で到着します。」という情報を遅延連絡情報として設定する。
【0055】
図7に、走行シミュレーションの一例を示す。図7においては、次のような条件における走行シミュレーション例を示している。すなわち、図7においては、まず、午前8時に出発し、平均時速20km/hで走行して、20km先の目的地に午前9時に到着する予定(すなわち、到着要求時刻が午前9時)としている。しかしその一方で、実際には、図7に実線で示すように、出発時点では20km/hであった平均速度が徐々に低下して、30分経過した時点では10km/hまで減速し、その後、到着要求時刻である午前9時までは10km/hのまま走行し続け、午前9時を過ぎたところで再び車速が上昇し、最終的に30分遅れの午前9時30分に目的地に到着した例を示している。なお、この場合における実際の走行距離を、図7中に点線で示し、予定走行距離を一点鎖線で示した。
【0056】
そして、この図7に示す走行シミュレーション例においては、図8に示すように、遅延時間が適時変化していくことになり、この図7に示す走行シミュレーション例においては、図8に示すように、遅延時間が15分となった際には、上述したステップS802の(I)の条件を満たすこととなり、この場合には、「15分遅れます。」という情報が遅延連絡情報として設定されることとなる。同様に、遅延時間が30分となった際にも、上述したステップS802の(I)の条件を満たすこととなり、この場合には、「30分遅れます。」という情報が遅延連絡情報として設定されることとなる。また、遅延時間が45分となった際にも、上述したステップS802の(I)の条件を満たすこととなり、この場合には、「45分遅れます。」という情報が遅延連絡情報として設定されることとなる。そして、午前9時10分過ぎ頃には、遅延時間が減少傾向となり、かつ、最大遅延時間(45分)と比較して、遅延時間が所定時間短くなり、上述したステップS802の(II)の条件を満たすこととなり、この場合には、その時点における到着予測時刻より、「あと20分で到着します。」という情報が遅延連絡情報として設定されることとなる。さらに、午前9時25分過ぎ頃には、その時点における到着予測時刻の5分前であるため、上述したステップS802の(III)の条件を満たすこととなり、この場合には、その時点における到着予測時刻より、「あと5分で到着します。」という情報が遅延連絡情報として設定されることとなる。
【0057】
次いで、ステップS804では、ユーザに対して、目的地にいる特定の相手に対して遅延連絡情報を送信するか否かの確認動作が行なわれる。該確認動作は、ディスプレイ10または不図示のスピーカを介して、ユーザに対して、遅延連絡情報を送信するか否かの確認メッセージを報知することにより行なわれる。
【0058】
ステップS805では、ステップS804における確認動作の結果、ステップS803で設定した遅延連絡情報の送信を行なうか否かの判断が行なわれる。具体的には、ステップS804における遅延連絡情報の送信確認動作の結果、所定時間内に、操作スイッチ20を介して、ユーザにより「送信OK」の操作がなされた場合(または、不図示のマイクを介して、ユーザにより「送信OK」いう旨の音声操作がなされた場合)には、遅延連絡情報の送信を行なうと判断して、ステップS806に進み、通信装置40を介して、遅延連絡情報の送信が行なわれる。あるいは、所定時間内に、ユーザにより「送信OK」の操作がなされなかった場合でも、さらに、ユーザに対して、「送信OK」か「送信NG」かの操作を行なうように促し、ユーザにより「送信OK」の操作がなされた場合にも、遅延連絡情報の送信を行なうと判断して、ステップS806に進み、通信装置40を介して、遅延連絡情報の送信が行なわれる。一方、ユーザにより「送信NG」の操作がされた場合には、遅延連絡情報の送信を行なわずに、ステップS807に進む。
【0059】
ステップS807では、コントローラ10の経路探索機能により、自車両の現在位置を出発地点として、既に設定されている目的地までの経路の再探索を行なわれる。目的地までの経路の再探索を行なうことにより、突発の事故の発生などにより交通状況が大きく変化した場合は、これを回避するために、既に設定されている経路とは異なる新たな経路が、現時点での最適経路として求められる可能性がある。そのため、ステップS807では、目的地までの経路の再探索を行なう。そして、再探索が完了すると、遅延対応タスクを終了し、図3のステップS9に進む。なお、ステップS807において、目的地までの経路の再探索が行なわれた場合には、再探索が行なわれた時刻をコントローラ10のRAM103などに記憶させておき、再探索が行なわれた時刻から所定時間以上経過した場合に、再度、再探索を行うような構成としてもよい。
【0060】
一方、ステップS801において、到着要求度合が「低」であると判定された場合には、ステップS808に進むこととなる。ステップS808においては、ステップS802と同様に、目的地にいる特定の相手に対して、所定の遅延連絡を送信するための要件である遅延連絡送信要件を満たしているか否かの判定が行なわれる。ただし、ステップS808においては、ステップS801において到着要求度合が「低」であるとの判定がなされているため、ステップS802と異なり、上述のステップS802にて説明した条件(I)または(III)の条件を満たすか否かに基づいて、遅延連絡送信要件を満たしているか否かの判定を行なうものとする。すなわち、上述のステップS802にて説明した条件(II)については適用しないものとする。また、上述の(I)における数値条件も、ステップS802と異なるものとする(より具体的には、遅延連絡送信要件をより満足し難いように設定する。)。たとえば、本実施形態では、上記条件(I)において、X=30と設定することができる。
【0061】
そして、ステップS808において、遅延連絡送信要件を満たしていると判定された場合には、ステップS809に進む。一方、遅延連絡送信要件を満たしていない場合には、ステップS813に進む。
【0062】
ステップS809では、上述のステップS803と同様に、ステップS808にて判断された遅延連絡送信要件に応じて、以下のように、目的地にいる特定の相手に対する遅延連絡情報の設定が行なわれる。
(I)の条件を満たした場合:「(X×n)分遅れます。」という情報を遅延連絡情報として設定する。
(III)の条件を満たした場合:「あとY分で到着します。」という情報を遅延連絡情報として設定する。
【0063】
そして、到着要求度合が「低」であると判定された場合においては、上述した図7の走行シミュレーション例においては、図9に示すように、ステップS808において、遅延連絡送信要件を満たしていると判定され、実際に遅延連絡情報の設定が行なわれるのは、遅延時間が30分となった際、および午前9時25分過ぎ頃の合計2回のみとなり、到着要求度合が「高」であると判定された場合における回数である5回と比較して、少なくなるような制御が行われることとなる。
【0064】
ステップS810では、上述のステップS804と同様に、ユーザに対して、目的地にいる特定の相手に対して遅延連絡情報を送信するか否かの確認動作が行なわれる。
【0065】
ステップS811では、上述のステップS805と同様に、ステップS810における確認動作の結果、ステップS809で設定した遅延連絡情報の送信を行なうか否かの判断が行なわれる。ただし、ステップS811においては、ステップS801において到着要求度合が「低」であるとの判定がなされているため、ステップS805と異なり、所定時間内に、ユーザにより「送信OK」の操作がなされた場合のみ、遅延連絡情報の送信を行なうと判断して、ステップS812に進み、通信装置40を介して、遅延連絡情報の送信が行なわれる。その一方で、所定時間内に、ユーザにより「送信NG」の操作が行なわれた場合はもちろんのこと、ユーザにより「送信OK」または「送信NG」の操作が全く行なわれなかった場合にも、ユーザに対して、「送信OK」か「送信NG」かの操作を行なうように促すことなく、遅延連絡情報の送信を行なわずに、ステップS813に進む。
【0066】
ステップS813では、到着要求度合「高」の場合と異なり、目的地までの経路の再探索を行なうに先立って、ユーザに対して、目的地までの経路を再探索するか否かの確認動作が行なわれる。上述のように、目的地までの経路の再探索を行なうことにより、突発の事故の発生などにより交通状況が大きく変化した場合は、これを回避するために、既に設定されている経路とは異なる新たな経路が、現時点での最適経路として求められる可能性がある。しかしその一方で、交通状況に大きな変化がない場合などには、必ずしも、現在設定されている経路よりも適した経路が探索されない場合もある。また、経路の再探索には、相応の処理コストがかかることとなる。
【0067】
そのため、本実施形態では、到着要求度合「低」の場合には、到着要求度合「高」の場合と異なり、目的地までの経路の再探索を行なうに先立って、ユーザに対して、目的地までの経路を再探索するか否かの確認動作を行なう。該確認動作は、ディスプレイ30または不図示のスピーカを介して、ユーザに対して、目的地までの経路を再探索するか否かのメッセージを報知することにより行なわれる。そして、ユーザにより、所定時間内に、操作スイッチ20を介して(または、不図示のマイクを介して)、目的地までの経路を再探索する旨の操作が行なわれた場合には、ステップS807に進み、コントローラ10の経路探索機能により、目的地までの経路の再探索が行なわれ、再探索が完了すると、遅延対応タスクを終了し、図3のステップS9に進む。一方、ユーザにより、所定時間内に、操作スイッチ20を介して(または、不図示のマイクを介して)、目的地までの経路を再探索しない旨の操作が行なわれた場合、あるいは、所定時間内に、全く操作が行なわれなかった場合には、経路の再探索を行わずに、遅延対応タスクを終了し、図3のステップS9に進む。
【0068】
図3に戻り、ステップS9では、目的地に到着したか否かの判断がなされ、目的地に到着したと判断された場合には、本実施形態の処理を終了し、それ以外の場合には、ステップS4に戻り、所定の間隔で、ステップS4〜S9が繰り返されることとなる。
【0069】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置1は動作する。
【0070】
本実施形態のナビゲーション装置1によれば、目的地に応じて、到着要求時刻までに到着することに対する要求度合(すなわち、到着要求時刻までに到着することに対する必要性および/または厳密性)である到着要求度合を設定し、到着要求度合に応じて、遅延対応タスク実行機能により実行する遅延対応タスクの内容を異なるものとするため、遅延時において、目的地の種類に応じて適切に対応することが可能となる。
【0071】
特に、本実施形態によれば、たとえば、勤務先のように基本的に遅刻することが認められず、しかも遅刻する場合には、事前の連絡が欠かせないような目的地(すなわち、到着要求度合の高い目的地)と、週に一〜二度ほど訪問する実家などある程度規則的に訪問はしているが、訪問時間は厳密に決まっていないような目的地(すなわち、到着要求度合の低い目的地)とで、遅延時において異なる対応をするため、これらの目的地に応じた適切な対応が可能となる。具体的には、本実施形態では、遅延時においては、到着要求度合の高い目的地については、比較的細かく遅延連絡情報を送信する一方で、到着要求度合の低い目的地については、遅延連絡情報の送信をできるだけ少なくすることができる。
【0072】
なお、上述した実施形態において、コントローラ10の目的地設定機能は本発明の目的地設定手段に、コントローラ10の到着要求時刻設定機能は本発明の到着要求時刻設定手段に、コントローラ10の到着予測時刻算出機能は本発明の到着予測時刻算出手段に、コントローラ10の到着要求度合設定機能は本発明の到着要求度合設定手段に、コントローラ10の遅延対応タスク実行機能は本発明の処理実行手段に、それぞれ相当する。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0074】
たとえば、上述した実施形態では、到着予測時刻が、到着要求時刻から所定時間T以上遅れている場合に、コントローラ10の遅延対応タスク実行機能により、遅延対応タスクを実行するような構成を例示したが、コントローラ10が、到着予測時刻が到着要求時刻から所定時間T以上早い場合に(すなわち、早着が予測される場合に)、所定の早着対応タスクを行なう早着対応タスク実行機能を備えるような構成であってもよい。このような構成を採用することにより、たとえば、到着予測時刻が到着要求時刻から所定時間T以上早い場合に、たとえば、上述のステップS802やS808で例示したようなタイミングで、「○○分早く到着する予定です。」という情報等を早着連絡情報として設定し、目的地にいる特定の相手に、これを送信することを可能とすることができる。
【0075】
あるいは、上述の実施形態では、ステップS2において、到着要求度合を設定する際に、目的地に応じた到着要求度合を推定し、これを到着要求度合とする構成を例示したが、ユーザによって操作スイッチ20を介した到着要求度合設定操作により、到着要求度合を設定できるような構成とし、ユーザにより到着要求度合が設定された場合には、これを到着要求度合として設定するような構成としてもよい。また、上述の実施形態では、到着要求度合として、「高」または「低」の2段階の設定としたが、3段階以上の設定としてももちろんよく、さらには、到着実績時刻の度数分布の分散値の逆数や到着実績時刻の平均値Tave以降のデータの偏在率に比例するような連続値として求めてもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、到着要求度合が「高」である場合には、ステップS807において、目的地までの経路の再探索を行なうような構成を例示したが、再探索に先立って、ユーザに対して、目的地までの経路を再探索するか否かの確認動作を行ない、その結果に基づき、再探索を行なうか否かの判断を行なうような構成としてもよい。この場合においては、ユーザに対して、目的地までの経路を再探索するか否かの確認動作を行なった結果、所定時間内に、ユーザによって目的地までの経路の再探索を行なわない旨の操作が行なわれた場合には、再探索を行わないような構成とし、一方、所定時間内に、ユーザによって目的地までの経路の再探索を行う旨の操作が行なわれた場合、あるいは、所定時間内に、全く操作が行なわれなかった場合には、再探索を行うような構成とすることが好ましい。
【0077】
さらに、上述の実施形態では、遅延連絡情報として、予め定められた遅延連絡情報を設定し、これを目的地にいる特定の相手に送信するような構成を例示したが、たとえば、到着要求度合「高」の場合には、たとえば、ボイスメールが利用可能な状況であれば、ユーザの選択により、音声メッセージを作成し、作成した音声メッセージを遅延連絡情報として、目的地にいる特定の相手に送信するような構成としてもよい。このような構成とすることにより、ユーザがユーザ自身の言葉で話した遅延の報告と謝罪を音声データで送信することが可能となる。
【0078】
さらに、上述の実施形態においては、ステップS2において到着要求度合を設定する際に、外部記憶装置50に記憶されている全ての走行履歴テータに基づき、度数分布を分析し、度数分布の分散値や偏在率を求めるような構成を例示したが、分析対象とする到着実績時刻として、現在と同じ曜日や同じ時間帯における到着実績時刻におけるデータのみを用いて、到着要求度合を設定するような構成としてもよい。このような構成を採用することにより、曜日や時間帯などの時間条件に応じて要求される到着時刻が変わってくる場合でも適切に対応することができる。すなわち、たとえば、勤務先において、裁量労働制が採用されており、勤務開始時間に厳しい制約がなく、比較的自由な時間に勤務先に到着している一方で、火曜日だけは決まった時間(たとえば、午前9時)から定例のミーティングがあるために、ミーティングの開始時間の15分前までには必ず到着していなければならない場合や、自宅から直接勤務先に向かう場合は時間厳守であるが、午前中に、取引先などを訪問してから勤務先に向かう場合には、特に時間的に厳しい制約があるわけではない場合などに適切に対応することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…ナビゲーション装置
10…コントローラ
20…操作スイッチ
30…ディスプレイ
40…通信装置
50…外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地に到着すべき時刻を、到着要求時刻として設定する到着要求時刻設定手段と、
前記目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出する到着予測時刻算出手段と、
前記目的地に前記到着要求時刻までに到着することに対する要求の度合いを、到着要求度合として設定する到着要求度合設定手段と、
前記到着要求時刻と、前記到着予測時刻との間に差がある場合に、所定の処理を実行する処理実行手段と、を備え、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合設定手段により設定された前記到着要求度合に応じて、前記所定の処理の内容を異ならせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記所定の処理として、前記目的地に関連付けられた連絡先に、前記到着要求時刻と前記到着予測時刻との間の差に応じた情報を送信する情報送信処理を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合が高ければ高いほど、前記情報送信処理を行なうタイミングを早く設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合が高ければ高いほど、前記情報送信処理を行なう間隔を短く設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合に応じて、前記情報の内容を異ならせることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記所定の処理として、前記目的地までの経路を再探索する再探索処理を行なうことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置の移動履歴を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置において、
前記目的地設定手段は、ユーザによる目的地の入力操作、または前記記憶手段に記憶された移動履歴に基づいて、前記目的地を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載のナビゲーション装置において、
前記到着要求度合設定手段は、ユーザによる前記到着要求度合の入力操作、または前記記憶手段に記憶された移動履歴に基づいて、前記到着要求度合を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナビゲーション装置において、
前記到着要求度合設定手段は、前記記憶手段に記憶された移動履歴に基づいて、前記目的地に実際に到着した時刻である到着実績時刻のうち、所定の時刻範囲における到着実績時刻の分布を求め、求めた分布に応じて、前記到着要求度合を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項10に記載のナビゲーション装置において、
前記到着要求度合設定手段は、前記所定の時刻範囲における到着実績時刻の分布の幅が狭いほど、前記到着要求度合を高く設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載のナビゲーション装置において、
前記到着要求度合設定手段は、前記所定の時刻範囲における到着実績時刻が、前記到着実績時刻の平均値である平均時刻以降の時刻に偏って分布しているほど、前記到着要求度合を高く設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記到着要求度合設定手段は、前記記憶手段に記憶された移動履歴に基づいて、前記到着要求度合を設定する際に、現在の曜日および時刻に対応する曜日および時刻における到着実績時刻の分布を求め、求めた分布に応じて、前記到着要求度合を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記所定の処理を実行するに際に、該処理の実行の可否をユーザに確認する確認処理を行ない、前期確認処理の結果に応じて、前記所定の処理を実行するか否かを決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項15】
請求項14に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合が所定の閾値未満である場合において、前記確認処理の実行後、所定の時間内にユーザからの回答結果が認識できないときには、前記所定の処理の実行を中止するとの決定を行なうことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合が前記所定の閾値以上である場合において、前記確認処理の実行後、所定の時間内にユーザからの回答結果が認識できないときには、ユーザからの回答が認識できるまで、前記確認処理を繰り返し実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項17】
請求項14または15に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記到着要求度合が前記所定の閾値以上である場合において、前記確認処理の実行後、所定の時間内にユーザからの回答結果が認識できないときには、前記所定の処理を実行するとの決定を行なうことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項18】
請求項14または15に記載のナビゲーション装置において、
前記処理実行手段は、前記処理実行手段は、前記到着要求度合が前記所定の閾値以上である場合には、前記確認処理を行わずに、前記所定の処理を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項19】
目的地に到着すべき時刻である到着要求時刻、および前記目的地に到着する予測時刻である到着予測時刻を算出し、前記到着要求時刻と前記到着予測時刻との間に差がある場合に、所定の処理を実行するナビゲーション方法であって、
前記目的地に前記到着要求時刻までに到着することに対する要求の度合いに応じて、前記所定の処理の内容を異ならせることを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−276576(P2010−276576A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132118(P2009−132118)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】