説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置の制御方法

【課題】広範囲な領域のナビゲーションができる小型のナビゲーション装置に関する技術を提供する。
【解決手段】測位部103で現在の位置を得て、コントローラ部101は、現在の位置の付近の名所旧跡の所在位置と名所旧跡を周遊するための標準周遊時間とこの名所旧跡に至る交通手段に関する鉄道の時刻表の情報とに基づいて、この名所旧跡に到達するに役立つ範囲の地図情報を、地図データ供給装置200からRAM105に取り込むように制御する。小型で小容量の記憶装置であるRAM105に必要な地図情報を取り込んだ後は、ナビゲーション装置100を地図データ供給装置200から切り離す。そして、RAM105に記憶された地図情報に基づき、ナビゲーション装置100は、独立して効果的にナビゲーションを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位置検出手段としてのジーピーエス(GPS: Global Positioning System)と地図データとを組み合わせて、移動する車両の現在の位置の特定及び目的地点までの道案内を行うナビゲーション装置が広く普及している。また、近年においては、ナビゲーション装置の小型化が進み、ナビゲーション装置の全体を可搬型として、徒歩で移動する場合に利用できるようにしたナビゲーション装置も提案されるようになってきた。しかしながら、このような可搬型のナビゲーション装置においては地図を詳細なレベル、例えば、カーナビ(移動する車両に積載するナビゲーション装置の通称)におけるディーブイディディスク(DVD:Digital Versatile Disc)で供給される地図情報のレベルの精度で記憶した状態で持ち歩くことは困難である。すなわち、本特許出願の出願時における記憶装置の技術水準では、可搬型のナビゲーション装置に内蔵された記憶装置の記憶容量に記憶できる情報の量が少なすぎ、DVDに記録可能な容量と同等の容量の情報を持ち歩くことは困難である。また、可搬型のナビゲーション装置の変形例として、ナビゲーション装置の全体を車両から取り出すのではなく、ナビゲーション装置の一部を車両から可搬部として取り出し、狭い範囲のナビゲーションを行う技術の提案もなされている(例えば、特許文献1ないし特許文献4を参照)。上述の特許文献の各々においては、より、具体的には、以下の技術内容が開示されている。
【0003】
特許文献1には以下の技術が開示されている。固定部としては、地図情報を格納した着脱可能な第1の記憶手段を車両に固定して備え、可搬部としては、移動体の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段から出力される現在位置の周辺地図情報を第1の記憶手段から読み出して記憶する第2の記憶手段と、地図情報を表示する表示手段と、位置検出手段による移動体の現在位置を地図情報と共に表示手段に表示する表示制御手段とを備えるようにしている。そして、固定部の第1の記憶手段と可搬部の第2の記憶手段とを切り離し自在とし、第1の記憶手段を切り離した場合においては、小容量で小型化された第2の記憶手段、例えば、ラム(RAM: Random Access Memory)に記憶されている地図情報に基づき、可搬部のみでナビゲーションの動作を行う技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には以下の技術が開示されている。車両に固定的に搭載されるメインナビゲーション装置と、車両に着脱可能に装着されたサブナビゲーション装置とを組み合わせ、サブナビゲーション装置の取り外しに際し、メインナビゲーション装置に配される車載データベースから可搬部であるサブナビゲーション装置のRAMに車外歩行に必要な周辺地図情報を転送して、可搬部のみでナビゲーションの動作を行う技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には以下の技術が開示されている。固定部側のナビゲーション装置の大容量記憶装置(データベース)に記録されているナビゲーション情報のうち、GPSを用いて検出される現在の位置を中心として予め自動設定された領域又はこの自動設定領域及び手動設定領域に対応する一部のナビゲーション情報が検索されて、読出され、通信装置を介して可搬型のナビゲーション装置である携帯情報処理端末に転送され、この携帯情報処理端末のデータ用メモリに記憶され、携帯情報処理端末の操作部による操作に従ってデータ用メモリに記憶されたナビゲーション情報が表示装置に対して表示されるようにした技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には以下の技術が開示されている。固定部側のナビゲーション装置の大容量記憶装置(データベース)に記録されているナビゲーション情報をアイシー(IC: Integrated Circuit)カードに書き込み、このICカードに記録された情報によって可搬部をナビゲーション装置として機能させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−137877号公報
【特許文献2】特開平10−103999号公報
【特許文献3】特開平9−81885号公報
【特許文献4】特開平7−229752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1、特許文献2及び特許文献4に開示された技術を用いる場合においては、固定部と可搬部とを切り離す時点における、現在の位置を中心とする周辺の地図や、目的地点として設定されたポイント周辺の地図を所定範囲で切り出すものであるが、可搬部の大きさを小さくするためには、可搬部に配される記憶装置(RAM、ICカード)も小型化しなければならない。その結果として可搬部の記憶装置の容量は小さなものとなってしまい、ナビゲーションに必要とされる十分な情報を得られない場合が生じた。また、特許文献3に開示された技術のように通信機器を介して情報の不足分を補う場合にあっても、例えば、建物の中、谷間等の電波状況が悪い環境下においては、周辺地図の取り込みが出来ないためにナビゲーション装置としての動作に不具合が生じ、例えば、ナビゲーション装置の操作者が道に迷う等の事態が発生した。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決し、記憶装置の容量が小容量である場合においても、ナビゲーション装置を動作させることができる範囲を広範な範囲とすることができる可搬型のナビゲーション装置およびナビゲーション装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のナビゲーション装置は、目標地点に至るまでの経路を案内するナビゲーション装置であって、位置を測位する測位部と、地図情報を記憶する記憶部と、前記地図情報を視認可能な画像として表示する画像表示部と、該ナビゲーション装置の外部に配された地図データ供給装置から前記記憶部に前記地図情報を書き込むための地図データ制御部と、前記測位部と前記記憶部と前記地図データ制御部とを制御するコントロール部と、を備え、前記コントロール部は、前記測位部を制御して現在の位置を得て、交通手段に関する情報及び特異な場所に関する情報に基づいて、前記現在の位置から到達可能な前記特異な場所を検出し、前記現在の位置から前記特異な場所に到達するに用いる所定範囲の地図情報を特定し、前記地図データ制御部を制御して、前記所定範囲の地図情報を前記地図データ供給装置から前記記憶部に書き込む。
【0010】
本発明のナビゲーション装置では、コントロール部は、測位部と記憶部と記地図データ制御部とを制御する。そして、測位された現在の位置、交通手段に関する情報及び特異な場所に関する情報に基づいて、現在の位置から到達可能な特異な場所を検出する。そして、この特異な場所に交通手段を用いて到達するに際して、必要なる範囲の地図情報を選択的に記憶部に格納するので、限られた範囲の地図情報によってナビゲーションの動作は支障なく行うことができる。
【0011】
本発明のナビゲーション装置の制御方法は、ナビゲーション装置の外部に配された地図データ供給装置から該ナビゲーション装置の内部に配された記憶部に地図情報を書き込み、前記地図情報に基づいて、目標地点に至るまでの経路を案内するナビゲーション装置の制御方法であって、現在の位置を測位し、現在位置から到達可能な特異な場所を交通手段に関する情報に基づいて検出し、前記現在の位置から前記特異な位置に到達するための所定範囲の地図情報を前記地図データ供給装置から前記記憶部に書き込むように制御する。
【0012】
本発明のナビゲーション装置の制御方法では、現在の位置を測位し、現在位置から到達可能な特異な場所を交通手段に関する情報に基づいて検出し、現在の位置から特異な位置に到達するための所定範囲の地図情報を地図データ供給装置から記憶部に書き込むように制御するので、限られた範囲の地図情報によってナビゲーションの動作は支障なく行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ナビゲーション装置を動作させることができる範囲を広範な範囲とすることができる、小型の可搬型のナビゲーション装置およびナビゲーション装置の制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態の要部について)
実施形態の詳細なる説明に先立ち、実施形態の要部を簡単にまとめる。本実施形態は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置の制御方法に関するものである。ナビゲーション装置は、現在の位置を測位する測位部を有している。また、ナビゲーション装置は、記憶部としてラム(RAM)を有しており、このRAMには詳細な地図情報(地図のデータ、写真情報等)を記録することが可能とされている。また、ナビゲーション装置は、測位部で検出した現在の位置とRAMに記録された詳細な地図情報とを合成して、画像表示部に現在の位置を画像として視認できるように表示する。また、ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置の動作を制御するコントロール部を有しており、このコントロール部は、一律に等距離範囲内の詳細地図情報を地図データ供給装置からRAMに読み取る制御をするのではなく、付加情報に基づいて、ダウンロードすることを判断した所定範囲の詳細地図情報をRAMに読み取る制御をする機能を有している。付加情報とは、地図情報以外の情報であって、ナビゲーション装置を操作する操作者にとって有意な情報の総称である。例えば、現在の位置の近傍の主要なる名所旧跡、公共交通手段の駅、停留場(昇降場所)、さらには、人々の注目を引く場所等(これらの場所を総称して、特異な場所と総称する)の存在位置の情報、これらの特異なる場所に至る公共交通手段の経路、公共交通手段の時刻表、その特異な場所を観光目的で周遊する場合の標準周遊時間等が挙げられる。そして、このナビゲーション装置は、地図データ供給装置に接続された状態で用いられる場合と、小型地図データ供給装置とは切り離された状態(単独)で用いられる場合との2通りの使用の態様を有する。ここで、ナビゲーション装置の形状は、人が容易に持ち歩ける程度に小型化されている。一方、地図データ供給装置は、例えば、日本国の全土に渡り、階層化された精度の地図情報が記憶されている大容量の記憶装置であり、形状としては比較的に大きなものである。このナビゲーション装置を単独で用いる場合には、データ供給装置に接続された状態から、切り離されるに際して、コントロール部は、一律に等距離範囲内の詳細地図情報ではなく、上述したようにして、付加情報に基づいて、ダウンロードすることを判断した所定範囲の詳細地図情報を地図データ供給装置から読み取り、その所定範囲の詳細地図情報の容量がRAMに記憶できることを確認した後に、RAMにダウンロードする。このような判断のプロセスを経てダウンロードされた詳細地図情報は、単に現在地から一定の距離の範囲ではなく、ナビゲーション装置の操作者(以下、単に操作者と省略する)が最も必要とする範囲をコントローラが自動選択するので、RAMの容量が小さい場合であっても、ナビゲーション可能な範囲、すなわち、操作者の行動範囲は、従来では考えられない範囲にまで拡大する。
【0015】
ここで、地図データ供給装置からRAMに詳細地図情報として取り込む所定範囲は、予め、コントローラを制御するソフトウエアが示す手順に従い自動的に決定されるようになされている。例えば、RAMに取り込む詳細地図情報の範囲(所定範囲)としては、操作者が、徒歩または自転車によって到達することが可能な範囲とすることに加え、鉄道及びバス等の公共交通手段によって到達することが可能な名所旧跡等の特異な場所に至る道筋を案内するために、現在の地点から利用する公共手段の出発点、この名所旧跡等に到達するに必要な経路の要所の詳細地図情報、名所旧跡等を散策する場合におけるその付近、を所定範囲とするものである。このようにして、現在の地点から目的地点とする名所旧跡等に至るまでの経路を含む一律な領域(例えば、現在地と目的地点とを含む等円内)を所定範囲とするのではなく、コントローラの判断によって、道筋の案内に必要な範囲のみを所定範囲としてRAMに取り込むので、RAMに取り込まれた小容量の詳細地図情報を効率的に活用して、確実に目的地点に到着することができる。ここで、上述した特異な場所とは、種々のものとすることができ、名所旧跡に限らず、話題のスポット、県庁の場所などの、他の場所と区別できる場所であり、ナビゲーション装置を操作する者が、適宜に選択をして定めることができるものとしても良い。また、目的地点を第1目的地点、第2目的地点、さらには、2以上の目標地点を設けて、第1目標地点、第2目標地点、第3目標地点と順に案内が行われるようにすることもでき、さらに、第2目標地点を出発した地点と同じ地点に設定して、第1目的地点に到着した後に再び出発地点に帰着する案内をさせることもできる。
【0016】
また、別の例としては、地図データ供給装置からRAMに取り込む詳細地図情報の内容を、自動車で進入可能な道路の情報のみではなく、航空写真を主体とした地図情報から検出した人が歩行可能な小径の情報を付加したものとすることができる。そして、目的地点(第1目標地点)にたどり着ける時間を最短とする最適なるハイキング経路をコントローラが選択して、このハイキング経路を中心とした詳細地図情報をRAMに取り込む範囲とすることもできる。また、付加情報としての公共交通手段の経路の情報及び時刻表をRAMに取り込み、コントロール部は、現在の位置、現在の時刻及び時刻表を参照して、利用可能な公共交通手段の出発の場所及び時間を画像表示部に表示して、操作者に対して、他の新たな目標地点(第2目標地点)に至る経路(他の新たな目標地点には出発点も含まれ、他の新たな目標地点に至る経路には出発点に戻る経路も含まれる)とそれらの目標地点に到着する予定時刻とを知らせることもできる。
【0017】
以下、図面を参照して実施形態について、より詳細に説明をする。
【0018】
図1は実施形態のナビゲーションシステムの外観を示す図である。実施形態のナビゲーションシステム10は、ナビゲーション装置100と、地図データ供給装置200と外部アンテナ300とを備えている。地図データ供給装置200には、車両データ取得部位からの車両に関するデータ、例えば、車の走行速度のデータ、サイドブレーキを使用中か否かのデータ、外部アンテナ300からの信号、外部供給電源(バッテリー)からの電力が供給されるようになされている。地図データ供給装置200はイジェクトボタン204、リモコン受信部205を備えている。また、図示しないリモコン送信部がナビゲーションシステム10に含まれており、このリモコン送信部を操車者(ナビゲーションシステム10を操作する者)が操作して、リモコン送信部からリモコン受信部205に信号を送り、ナビゲーションシステム10が所望の動作をするようになされている。ディーブイディディスク(DVD: Digital Versatile Disc)350は、地図データ供給装置200に挿入することができるようになされている。
【0019】
ナビゲーション装置100は、地図データ供給装置200に設けられた挿入口に挿入されて、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とは協調して動作して、車両の運行時においては、通常のカーナビゲーションシステムと同様に機能する。イジェクトボタン204を操作することによって、ナビゲーション装置100は、挿入口から取り出すことができるようにされており、挿入口から取り出された場合には、単独でナビゲーション機能を発揮するようになされている。ナビゲーション装置100は操作入力部108を備えており、操作者によって操作入力部108は操作される。リモコン送信部を用いる場合と同様に、操作入力部108を操作することによって、ナビゲーションシステム10が所望の動作をするようになされている。
【0020】
図2は実施形態のナビゲーションシステム10のブロック図である。図2のブロック図に示すように、実施形態のナビゲーションシステム10では、ナビゲーション装置100と、地図データ供給装置200とは、接続コネクタ302および接続コネクタ301を介して接続され、両者は分離可能とされている。接続コネクタ302と接続コネクタ301とによってナビゲーション装置100と、地図データ供給装置200との間で伝送される情報は、外部アンテナ300から測位部103に伝送される受信信号、車両データ取得部とコントローラ部101との間で伝送される車両の状態に関するデータ、リモコン受信部205からコントローラ部101へ伝送される操作に関するデータ、地図データ供給装置200の地図データディスク装置201とコントローラ部101との間で伝送される地図データおよび地図データディスク装置201を制御するためのデータ、イジェクトボタン204からコントローラ部101へ伝送されるイジェクト信号である。また、接続コネクタ302と接続コネクタ301とによって、電源部202から電源制御部110に電力が供給される。
【0021】
(ナビゲーション装置の構成の概要)
ナビゲーション装置100は、コントローラ部101と、操作者(ナビゲーション装置100を操作する者)が操作のための信号をコントローラ部101に対して入力するための操作入力部108と、コントローラ部101からの制御に応じて現在の位置を測位してコントローラ部101に測位情報を送る測位部103と、コントローラ部101からの制御に応じて視認可能なナビゲーション情報を表示する画像表示部107と、コントローラ部101からの制御に応じてコントローラ部101に対して地図データに関する情報を送出する地図データ制御部106と、この地図データ制御部106によって制御されるロム(ROM: Read Only Memory)104およびラム(RAM: Random Access Memory)105、コントローラ部101からの制御に応じて内蔵アンテナ112と外部アンテナ300とのいずれを測位部103に接続するかを切り替えるアンテナ切替器113、ナビゲーション装置100を構成する上述した各部に電力を供給するバッテリ109と、このバッテリ109の充電状態を管理し制御するとともに、ナビゲーション装置100に電力を供給する電源制御部110と、を有している。
【0022】
一方、地図データ供給装置200は、地図データが記録された記録媒体を含み、ナビゲーション装置100からの制御によって、この地図データをナビゲーション装置100に転送する。記録媒体としては、ハードディスク(HD: Hard Disc)、光ディスク媒体、磁気テープ媒体等の種々の記録媒体が使用可能である。実施形態では、記録媒体として、光ディスク媒体を用いている。地図データ供給装置200は、地図データディスクに記録された地図情報を読み取るための地図データディスク装置201と電源部202とを有して構成されている。地図データディスク装置201は、例えば、ディーブイディディスク(DVD)が再生可能なDVD再生装置であり、DVDは、1枚当たり、4.7ギガ・バイト(GB)の記録容量を有している。また、地図データディスク装置201は、1枚のディーブイディディスク350を挿入して、これを再生するだけではなく、所謂、チェンジャー型として、複数のディーブイディディスクを自動的に交互に着脱可能として実効的な記憶容量をさらに拡大するものであっても良い。電源部202は、地図データ供給装置200に加えてナビゲーション装置100において消費される電力を供給するための部分であり、走行に際して電力を供給する車両に積載された外部供給電源(バッテリ)からの電力を降圧、昇圧して安定化し、ナビゲーションシステム10を動作させるに好適なる電圧を得る定電圧電源回路として構成されるものである。また、車両データ取得部206は、車両の移動の動作を制御するための、いずれも図示をしない、アクセルペダル、ブレーキペダル、サイドブレーキレバーからの信号等が入力されており、エンジンの回転数、車両の走行速度等の車両の走行状態に関する情報を得るための部分である。
【0023】
(地図データ供給装置の概要)
地図データ供給装置200の地図データディスク装置201に装着されるディーブイディディスク350には、地図情報として、地図描画データ、交差点データ、道路データ、航空写真情報または人工衛星写真情報を基とする写真情報、各地域のホテル、観光案内等の各種地域毎の有用なる情報が格納されている。各々の上述の情報は、画像表示部107において表示される画像を形成するための元となるデータである。地図描画データは、地図を表示するためのデータであり、地図のスケール毎に階層化されている。例えば、最上位階層から、順に、日本、関東地方、東京都、港区というように、階層構造のデータベースを構成している。最下位階層のデータは、最も詳細なスケールの地図を描画するためのデータで、細かな路地や商店名等を含んだ詳細なデータ(以下、詳細地図情報と省略して用いる)となっている。交差点データは、交差点の名称及びその座標位置、その交差点を構成している道路のデータ等である。道路データは、経路案内に必要なデータとしての、各道路の太さ、道路の長さ、進入禁止等の交通情報等で構成されている。航空写真情報は、市街部では建物の形状、山岳部では、山谷の形状が航空機から撮影された情報であり、人工衛星写真情報は、人工衛星から撮影された航空写真よりもより広範囲な範囲をカバーする写真情報である。また、各地域のホテル、観光案内等の各種地域毎の情報は、地図記号によって、そのホテル、観光案内等の所在する座標位置を表したデータである。なお、山岳部では、路地、商店等が存在しないので、詳細地図情報としては、航空写真そのもの、または、航空写真をもとに作成された等高線で地勢を表したもの、さらには、人が歩行可能な小径を付加したものが使用される。
【0024】
操作者がナビゲーション装置100を持ち歩くこと無く、地図データ供給装置200と接続した状態で用いる場合においては、上述したように、接続コネクタ302と接続コネクタ301とを介してナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とは電気的に接続され、地図データ制御部106によって地図データディスク装置201は制御されて、地図データ制御部106が必要とする情報をDVDより読み出す。また、電源部202からは、接続コネクタ302と接続コネクタ301とを介して電源制御部110に電力が供給され、バッテリ109の充電状態が維持されるようになされている。そして、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とは一体として動作し、ナビゲーションの動作をおこなうようになされている。
【0025】
(ナビゲーション装置の各部の簡単な説明)
ナビゲーション装置100の各部について、実施形態の理解に必要な範囲で説明をおこなう。コントローラ部101は、ナビゲーションシステム10の制御において中心的な役割を果たす部分であり、いずれも図示しない、中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)と、CPUにバスラインで接続されたCPU用RAMと、CPU用ROM、CPUの入出力ポートと接続された画像表示部107を駆動するための画像表示部ドライバとを有している。CPU用ROMには、コントローラ部101の動作の手順、固定値のパラメータ等が記憶されており、CPU用RAMは、コントローラ部101の動作に応じて、CPUで処理される処理情報の記録と再生とをおこなう。コントローラ部101がどのように、ナビゲーション装置100の各部を制御するかについては、ナビゲーション装置100の他の各部の説明を行った後に、ナビゲーション装置100の全体の動作の説明とともに行う。
【0026】
地図データ制御部106とコントローラ部101とはバスラインによって、または、地図データ制御部106とコントローラ部101との各々が有する通信用の入出力ポートによって相互に接続されている。地図データ制御部106は、コントローラ部101によってその動作が制御されている。すなわち、コントローラ部101は、上述したDVDに記録されている、種々の階層のデータ、または、地図描画データ、交差点データ、道路データ、航空写真情報、人工衛星写真情報、各地域のホテル、観光案内等の各種地域毎の情報をどのように組み合わせ画像表示部107に表示するかを決める。そして、地図データ制御部106に対して、必要な情報を地図データディスク装置201から読み出し、各種データ、写真の組み合わせの処理を行い、画像表示部107に画像を表示するに適した態様のデータ(以下、画像表示データと省略して用いる)を生成するように指示をする。
【0027】
ここで、ROM104とRAM105との2つのメモリが地図データ制御部106接続されている。ROM104には、自車等の車両の現在の走行位置とは関係なく広域、中域の地図があらかじめ保持されるようになされている。RAM105は、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とが接続されている場合には、地図データ制御部106からの地図情報を一時的に蓄えるバッファとして機能し、これによって、画像表示部107に画像を高速に表示する機能を有する。一方、RAM105は、ナビゲーション装置100が単独で動作する場合には、詳細地図情報を保持するメモリとして機能する。RAM105は、揮発メモリとしても良いが、詳細地図情報が保持されものであれば、ノンボラタイルメモリ(不揮発メモリ)として構成しても良く、ノンボラタイルメモリとして構成する場合にはナビゲーション装置100の電源を切断しても、記憶された情報は保存される。これによって、ナビゲーション装置100の電源を間欠的に投入してナビゲーション装置100の動作時間をより長いものとすることができる。RAM105の容量の大きさは、例えば、1ギガ・バイト程度の容量を有するノンボラタイルメモリの一種であるフラッシュ(Flash)メモリを実施形態では採用している。このように、RAM105の容量を小容量なものとして、装置の価格を低価格なものとしている。また、ROM104としては、ミニ・ディスク(MD)、ICカード、マスクROM、書換可能なノンボラタイルメモリをROM機能として用いるなどの種々の構成を採用することができる。さらに、ROM104が不揮発性の書換可能なメモリである場合には、ROM104の機能とRAM105の機能とを同一のメモリの機能として実現し、ROM104とRAM105とを一体化して、広域、中域の地図情報と詳細地図情報とを同一のメモリに記憶させることができる。
【0028】
地図データ制御部106には、地図データ制御部106で行う処理の処理手順が予めプログラムとして記憶されており、例えば、上述の各種データ及び写真情報を画像表示部107に視認可能なものとして表示できるように理をする手順が格納されている。
【0029】
測位部103は、人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)を主として用いて、緯度、経度で表されるナビゲーション装置100の現在の座標を測定するものである。測位部103は、図示しないGPS受信装置を最小の構成として備え、これに加えて、いずれも図示しない、路上に配置されたビーコンからの位置情報を受信するビーコン受信装置、方位センサ、距離センサ等を併用するものであっても良い。GPS受信装置は、アンテナによって人工衛星からの電波をキャッチした後、増幅して、所定の処理を施して緯度、経度を算出する。また、アンテナからの受信信号は、アンテナ切替器113を経由して測位部103へ入力される。アンテナ切替器113はコントローラ部101から制御され、イジェクトボタン204が押されコントローラ部101が、地図データ供給装置200とナビゲーション装置100とを切り離すための後述するプランジャを制御した後に、外部アンテナ300から内蔵アンテナ112へと切り替えられる。
【0030】
画像表示部107としては、液晶ディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等が使用されており、操作者が、表示される画像を楽に見ることができるようにナビゲーション装置100の表面の平坦部に画像表示面が広く展開されている。画像表示部107は、コントローラ部101によって制御される。そして、コントローラ部101は、地図データ制御部106で処理された画像表示データ、測位部103で測定された現在位置の情報、さらには、地図に関する情報(データ及び写真)以外の情報(以下、付加情報と省略して用いる)を組み合わせて画像表示部107に表示をする。なお、上述の付加情報は、DVDから読み取ることもできるし、予めR0M104に書き込んでおくこともできる。この付加情報の内容及び付加情報をどのように使用するかについては後述する。
【0031】
操作入力部108は、操作者とナビゲーション装置100の全体とのインターフェイスとなる部分であり、また、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とが接続されている状態においては、操作者とナビゲーション装置100及び地図データ供給装置200の全体とのインターフェイスとなる部分であり、操作者の意思を装置に伝えるためのものである。操作入力部108には、タッチスイッチが設けられている。タッチスイッチとしては、電源のオン・オフのタッチスイッチを備える他、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とが接続されている状態における通常のナビゲーション動作を維持するために必要とされる一般的な操作のためのタッチスイッチ、例えば、目的地点の設定のためのタッチスイッチを有している。なお、操作入力部108は音声認識装置を備えるようにして、タッチスイッチを設けること無く、音声で指令を入力するようにしても良い。
【0032】
ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200との物理的な接続は、図示しない機械的な接続機構部によって行われるようになされている。ナビゲーション装置100が、車両が走行時において地図データ供給装置200と一体となって、所謂、カーナビシステムとして機能する場には、カーナビシステムの一部として、ナビゲーション装置100は機能する。この場合に、接続コネクタ302と接続コネクタ301との接続を保つとともに、ナビゲーション装置100を車両に固定するためにガイドレール等の保持部材を用いてナビゲーション装置100は車両に固定されている。実施形態では、図示しないプランジャによって着脱の動作の禁止と着脱の動作の解除とが制御される。プランジャは電磁力によって、ナビゲーション装置100を車両に固定するための部材、例えば、突起部材として形成される爪の位置を制御する。プランジャに電流を流さない状態では、この爪がナビゲーション装置100の筐体の外側部に設けられた凹部に噛み合ってロック状態となりナビゲーション装置100を車両から切り離すことができないようになされている。プランジャに電流を流すとロック状態が解除され、ナビゲーション装置100の切り離しが可能となるようになされている。
【0033】
(ナビゲーション装置の動作について)
実施形態のナビゲーション装置100は、車両走行時においては、通常のナビゲーション機能を発揮するとともに、ナビゲーション装置100が地図データ供給装置200から切り離された場合には、実施形態に特有な特徴的な動作をするものである。以下に、特徴ある実施形態のナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法をナビゲーション装置100がどの様に動作するかの観点から説明する。
(車両走行時における動作)
車両が走行時または車両が停車時において、ナビゲーション装置100がナビゲーションシステム10の一部として使われる場合には、ナビゲーション装置100と地図データ供給を行う地図データ供給装置200とは、接続コネクタ302と接続コネクタ301とを介して接続されている。また、このときに電源部202から電源制御部110を介してバッテリ109に電力が供給され充電も併せて行っている。カーナビとして使われる場合には、地図情報は、地図データディスク装置201に装着されたDVDから読み取られ、地図データ制御部106を介して広域から詳細な地図情報までシームレスにアクセスが行える状態となっている。
【0034】
車両の現在の位置は、人工衛星から送られる電波を外部アンテナ300によって受信して、測位部103にて緯度、経度、時刻、高度などが算出される。測位部103にて得られた自位置情報(ナビゲーション装置100の位置情報)を使ってコントローラ部101は地図データ制御部106を制御して現在の位置の付近の詳細地図情報を地図データ供給装置200から取得して、詳細地図情報に所定の処理を施して画像表示部107に現在の位置の周辺地図と現在の位置(自位置)を合わせて表示する。この動作を所定時間間隔で繰り返し行っていくことで現在の位置の周辺地図情報に自位置(車両等の位置)の目印が付けられ、画像表示部107の表示内容が車両の移動に伴い刻々と新たな画面に変化する。この場合において、上述したように、RAM105には、逐次、画像表示部107に表示するため詳細地図情報が地図データ供給装置200からダウンロードされる。これによって、画像表示部107に表示するための画像処理の高速化が図ることができる。
【0035】
(ナビゲーション装置を操作者が携帯する場合における動作)
ここで、運転者が自動車を駐車し、運転者または同乗者が、ナビゲーション装置100の操作者として、これを携帯して、目的地点まで歩行、または、自転車等で移動する場合には、接続コネクタ302と接続コネクタ301とを介して接続されている地図データ供給装置200及び電源部202とナビゲーション装置100とを切り離して、ナビゲーション装置100を車外に持ち出すこととなる。
【0036】
(第1実施形態)
このような場合の第1実施形態のナビゲーション装置100の特徴ある動作を図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0037】
図3は、ナビゲーション装置100を地図データディスク装置201及び電源部202を有する地図データ供給装置200から切り離すに際してのフローチャートを示すものである。
切り離しの処理はスタート(ステップST101)より開始する。
スタートの契機としては、種々の態様が考えられる。
例えば、操作者が操作入力部108のイジェクトボタン204を押したことをスタートの契機とすることができる。また、測位部103からの情報または車両制御部からのに基づいて、一定時間、車両の速度が0となったことを、コントローラ部101が検出したことをスタートの契機としても良い。
また、車両データ取得部206からのサイドブレーキを動作させたことを知らせる情報をコントローラ部101が検出したことをスタートの契機としても良い。
さらには、自動車の走行中の自位置の移動に伴って、所定時間毎にスタート(ステップST101)からリターンに至る処理を繰り返して、RAM105に取り込まれる情報の更新を逐次行うようにしても良い。またさらに、一定時間、車両の速度が0となったことを、コントローラ部101が検出したときは、自動車の走行中の自位置の移動に伴って、逐次、特定作業のみ、例えば、RAM105に取り込まれる情報の候補を選択する作業のみ、をおこない、イジェクトボタン204が押されたことをスタートの契機としても良い。
【0038】
ステップST102では、コントローラ部101は、地図データ供給装置200に装着されたDVDから付加情報を読み込む。
上述したように、付加情報とは、現在の位置の付近の名所旧跡、鉄道の駅、鉄道の時刻表、バスの乗り場、バスの時刻表、目的の名所旧跡の観光に必要な時間、目的地点の地形を考慮に入れた場合の目的地点までの所要時間等を含む操作者にとって有意な情報を総称するものである。
ステップST103では、コントローラ部101は、ステップST102で読み込んだ付加情報に基づき、どの範囲の詳細地図情報をRAM105に取り込むかを決定する。
ステップST104では、コントローラ部101は、ステップST103での決定に基づき、地図データディスク装置201を制御して必要な詳細地図情報をDVDから読み出して、RAM105に取り込む。
ステップST105では、詳細地図情報をすべてRAM105に取り込だか否かを判断する。
地図情報をすべてRAM105に取り込だと判断しない場合(No)には、処理は再びステップST105に戻り、さらに、詳細地図情報をすべてRAM105に取り込む。
地図情報をすべてRAM105に取り込だと判断する場合(Yes)には、処理はステップST106に移る。
ステップST106では、プランジャに電流を流して、ナビゲーション装置100と地図データ供給装置200とのロック状態を解除して、ナビゲーション装置100を車両の外に持ち出すことを可能とする。また、プランジャによってロックを解除する条件として、バッテリ109が十分に充電されているか否かを併せて判断して、両方の条件が満たされる場合にロックを解除するようにすることができる。
【0039】
図4は、ステップST103における処理、すなわち、どの範囲の詳細地図情報をRAM105に取り込むかを決定する処理(ダウンロード内容決定処理と以下省略して用いる)の手順をフローチャートで示す図である。図4に沿ってダウンロード内容決定処理の内容を説明する。
ダウンロード内容決定処理は、スタートより開始する(ステップST1031)。
ステップST1032では、操作者が車両に戻るまでの時間の入力をする。入力は操作入力部108によって行われ、例えば、5時間30分のように入力する。
ステップST1033では、徒歩または自転車で、駐車場から所定時間内に往復できる範囲を決定する。
このときに、付加情報を参照して、各々の地域の地勢に応じて歩行速度を勘案し、名所旧跡においては、標準的な滞在時間を勘案し、さらに、操作者が子供か、壮年か、老年かを勘案して徒歩で往復できる範囲を決定するようにしても良い。この範囲は、地図データ上では、緯度と経度で表される2次元座標上の複数の座標点の集合として表される。また、徒歩では無く自転車をレンタルして往復をする場合には、走行速度に替えて自転車の走行速度として計算して、徒歩で到達できる範囲よりは、より広いものとなされる。
【0040】
ステップST1034では、鉄道で往復できる範囲を決定する。
この決定に際しては、まず、付加情報としての時刻表を参照し、現在の時間を基準として、出発最寄りの駅までの徒歩による時間を加算して、名所旧跡の最寄りの到着目的駅方面へ向かう列車のうちから間に合う列車を割り出し、名所旧跡の最寄りの駅に到着する時刻を割り出す。
次に、名所旧跡に最寄りの駅である目的駅からその名所旧跡までの往復の時間と標準的な滞在時間とを加算して、その時間の経過後に、目的駅から出発駅に向かう列車の時刻を割り出し、さらに、出発駅から車両までの徒歩による時間を加算して、その時間の合計が、所定時間(5時間30分)内に収まるか否かを判断する。その判断の結果、所定時間内に収まる場合には、RAM105にダウンロードする詳細地図情報の範囲の候補とすることを決定する。この範囲は、駐車場から出発駅に至るまでの範囲及び目的駅と名所旧跡とを含む周辺の範囲であり、この2つの範囲の詳細地図情報がRAM105にダウンロードする候補である。この範囲は、緯度と経度で表される2次元座標上の複数の座標点の集合として確定される。ここで、名所旧跡等の特異な場所の選択は、付加情報を基に任意にコントローラ部101が選択するものであって良く、その数は、1に限らず複数であっても良い。そして、特異な場所の数が複数個である場合には、鉄道で往復できる範囲は、各々の特異な場所の付近を区切る座標点のすべてを含む座標点の集合となる。
【0041】
ステップST1035では、バスで往復できる範囲を決定する。
この決定に際しては、バスで往復できる範囲は、上述したと同様に座標点の集合として確定できる。
ステップST1036では、鉄道、バスを含むすべての公共交通手段で往復できる範囲を時刻表に基づき決定する。ステップST1036で行う処理は、ステップST1034で行う処理とステップST1035で行う処理とを組み合わせたものである。すなわち、鉄道とバスとの両方を用いて往復できる範囲を時刻表で参照して決定するものである。この場合においても、公共交通手段で往復できる範囲は、上述したと同様に座標点の集合として確定できる。
【0042】
ステップST1037では、ステップST1034ないしステップST1036で座標点の集合として確定したすべての範囲の地図情報が、RAM105に記憶可能な容量範囲であるか否かを確認する。
RAM105に記憶可能な容量範囲である場合(Yes)には、RAM105にステップST1034ないしステップST1036で座標点の集合として確定したすべての範囲の詳細地図情報を記憶する(ステップST1038)。
RAM105に記憶可能な容量範囲ではない場合(No)には、処理は、ステップST1039に移る。
【0043】
ステップST1039では、RAM105に記憶する詳細地図情報の容量の削減の処理を行う。
ステップST1034ないしステップST1036で座標点の集合として確定したすべての範囲の詳細地図情報の容量の削減の処理の方法は種々の方法が考えられるが、その一例としては、以下の手順で行う。
(1) 徒歩で歩く道(自転車で移動する道も含む)の道筋に関する詳細地図情報の容量を計算してRAM105に格納可能であることを確認する(徒歩の道筋情報の抽出)。そして、RAM105の容量から徒歩の道筋情報の容量を引き算してRAM105の残り容量を計算する。
一方、徒歩で歩く道の道筋に関する詳細地図情報の容量を計算してRAM105に格納可能でないことを確認する場合には、徒歩で歩く道の道筋に関する詳細地図情報をRAM1105に格納しないことを決定し、これによってRAM105に記憶する詳細地図情報の容量の削減ができる。
(2) 次に、鉄道またはバスのいずれかに関して、公共交通手段の出発点(この例では駐車場と出発点とを含む範囲)及び到着点(この例では目標駅と名所旧跡を含む範囲)の詳細地図情報の容量を計算して、RAM105の残り容量の範囲であることを計算する。この計算の結果、鉄道またはバスのいずれか、または、鉄道またはバスの両方に関する詳細地図情報をRAM105に記憶することができることを確認する(公共交通手段の出発点と到着点の地図情報の抽出)。そして、現在のRAM105の残り容量から公共交通手段の出発点と到着点の詳細地図情報の容量を引き算してRAM105の残り容量を計算する。
一方、鉄道またはバスのいずれか、または、鉄道またはバスの両方に関する詳細地図情報をRAM105に記憶することができない場合には、記憶することができない鉄道またはバスのいずれか、または、鉄道またはバスの両方に関する詳細地図情報をRAM1105に格納しないことを決定し、これによってRAM105に記憶する詳細地図情報の容量の削減ができる。
(3) さらに、鉄道及びバスを含むすべての公共交通手段を組み合わせて用いる場合の交通手段の出発点と到着点に関する詳細地図情報の容量を計算して、現在のRAM105の残り容量の範囲あることを計算する。この計算の結果、すべての公共交通手段を組み合わせて用いる場合において詳細地図情報をRAM105に記憶することができる場合があり得る(すべての公共交通手を用いる場合の地図情報の抽出)。
一方、すべての公共交通手段を組み合わせて用いる場合に関する詳細地図情報の容量を計算して、現在のRAM105の残り容量の範囲ではない場合には、すべての公共交通手段を組み合わせて用いる場合に関する詳細地図情報をRAM1105に格納しないことを決定し、これによってRAM105に記憶する詳細地図情報の容量の削減ができる。
【0044】
ここで、ステップST1039における(1)ないし(3)の処理の順番は一例であって、相互に入れ替えが可能である。
上述のステップST1039の(1)ないし(3)の処理を経て、処理は再び、ステップST1037に戻るが、この場合においては、ステップST1039において、RAM105に記憶可能な情報量の範囲とされているので処理は、ステップST1038に移る。
【0045】
上述のステップST1039における処理の別の態様としては、RAM105の記憶容量よりも、記憶すべき地図情報の容量が上回る場合においては、徒歩または自転車による道筋情報、公共交通手段の出発点と到着点の地図情報、すべての公共交通手を用いる場合の地図情報、のいずれか、または、その2以上の組み合わせをRAM105に記憶すべき容量として選択するのではなく、上述した3つ、すべての地図情報を採用しながらも、その地図情報の詳細度のレベルをより粗いものとして、RAM105に記憶することもできる。
【0046】
図5は第1実施形態において、ROM104に記憶されている広域、中域の地図の情報、RAM105に取り込まれる詳細地図情報の領域の各々を示すものである。ROM104に記憶されている広域、中域の情報に基づいて、図5に示すように、領域Eが表示される。RAM105に詳細地図情報が取り込まれる領域としては、領域Aないし領域Dの各々の領域(領域Aないし領域Dの各々の領域は、図5において符号Aないし符号Cの各々が実線で囲まれた範囲内を表す)である。また、ROM104が不揮発性メモリとして構成されている場合には、新しい道路等の建設に伴って地図情報が更新されることに応じて、新たな地図情報を適時に記憶更新することができる。
【0047】
領域Aは、駐車場から5時間30分以内の時間で、自転車での往復が可能な範囲である。トンガリ山、カチカチ山に近づくにつれて坂道が多くなるので、領域Aは円状とはなっていない。領域Aには日本庭園、動物園が存在し、バス停留場としては駐車場前バス停留場、鉄道駅として山田駅が含まれている。
コントローラ部101は、自転車を降りて日本庭園を散策する標準時間が1時間であり、動物園を見学する標準時間が1時間30分であることを考慮に入れて、領域Aの範囲を自動的に切り出している(切り出すとは、実施形態においては、地図データ供給装置200に記憶された地図情報をRAM105にダウンロードすることを言うものである)。
【0048】
領域Bは、山田駅から鉄道に乗って5時間30以内の時間で、往復が可能な名所である見晴し山を含む領域である。山田駅と湖駅との往復の時間、鉄道の時刻表、見晴し山の標準周遊時間をコントローラ部101が総合的に判断して、見晴し山は到達可能な領域であるので、領域Bには見晴し山付近の領域が取り込まれている。
具体的には、駐車場に車を駐車した時間が10時30分であるとして、どの様にして、領域BがRAM105に取り込まれる候補として割り出されたかについて説明をする。
コントローラ部101は、以下の経路が、5時間30分以内にアクセス可能であることを以下の時間経過を演算して判断する。
【0049】
この場合における付加情報は、
駐車場から山田駅までの徒歩による時間(徒歩で30分である)。
山田駅から湖駅までの時刻表(表1を参照)。
湖駅に到着し、見晴し山を周遊して、湖駅に戻る標準の周遊時間(2時間)。
湖駅から山田駅までの時刻表(表2を参照)。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
上述の付加情報に基づき、コントローラ部101は、以下のような判断処理を行う。
駐車場から山田駅までは、徒歩で30分であり、山田駅に11時00分に到着する。
11時15分の山田駅発の鉄道に乗り、湖駅に12時15分に到着する。
湖駅に到着して、見晴し山を周遊して、14時15分に湖駅に戻る。
14時28分の湖駅発の鉄道に乗り、山田駅に15時27分に到着する。
山田駅から駐車場までは、徒歩で30分であり、駐車場に15時57分に到着する。
すなわち、コントローラ部101は、この周遊行程は、駐車場を10時30分に出発して駐車場に15時57分に到着する5時間27分の周遊行程であることを判断して、観光地である領域Bの地図情報をRAM105に切り出す詳細地図情報の候補として決定することができる。
【0053】
領域Cは、山田駅から鉄道に乗って5時間30分で、往復が可能な名所である水天宮を含む領域である。山田駅と宮前駅との往復の時間、鉄道の時刻表、水天宮で標準周遊時間をコントローラ部101が総合的に判断して、水天宮は到達可能な領域であるので、領域Cには水天宮付近の領域が取り込まれている。
具体的に、駐車場に車を駐車した時間が10時30分であるとして、どの様にして、領域CがRAM105に取り込まれる候補として割り出されたかについて説明をする。
【0054】
この場合における付加情報は、
駐車場から山田駅までの徒歩による時間(徒歩で30分である)。
山田駅から宮前駅までの時刻表(表3を参照)。
宮前駅に到着し、水天宮を周遊して、宮前駅に戻る標準の周遊時間(1時間30分)。
宮前駅から山田駅までの時刻表(表4を参照)。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
コントローラ部101は、以下の経路が、5時間30分以内にアクセス可能であることを以下の時間経過を演算して判断する。
駐車場から山田駅までは、徒歩で30分であり、山田駅に11時00分に到着する。
11時20分の山田駅発の鉄道に乗り、宮前駅に12時05分に到着する。
宮前駅に到着して、水天宮を周遊して、宮前駅に再び到着するのが13時35分である。
14時00分の宮前駅発の鉄道に乗り、山田駅に14時45分に到着する。
山田駅から駐車場までは、徒歩で30分であり、駐車場に15時15分に到着する。
すなわち、コントローラ部101は、この周遊行程は、駐車場を10時30分に出発して駐車場に15時15分に到着する4時間45分の周遊行程であることを判断して、観光地である領域Cの地図情報をRAM105に切り出す詳細地図情報の候補として決定することができる。
【0058】
領域Dは、駐車場前バス停留所からバスに乗って5時間30分で、往復が可能な名所である遊園地を含む領域である。駐車場前バス停留所と遊園地前バス停留所との往復の時間、バスの時刻表、遊園地での滞在時間をコントローラ部101が総合的に判断して、遊園地は到達可能な領域であるので、領域Dには遊園地付近の領域が取り込まれている。
コントローラ部101は、以下の経路が、5時間30分以内にアクセス可能であることを以下の時間経過を演算して判断する。
【0059】
この場合における付加情報は、
駐車場から駐車場前バス停留所までの徒歩による時間(徒歩で5分である)。
駐車場前バス停留所から遊園地前バス停留所までの時刻表(表5を参照)。
遊園地前バス停留所に到着し、遊園地で遊び、遊園地前バス停留所に戻る標準の周遊時間(1時間30分)。
遊園地前バス停留所から駐車場前バス停留所までの時刻表(表6を参照)。
【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
駐車場から駐車場前バス停留所までは、徒歩で5分であり、駐車場前バス停留所に10時05分に到着する。
10時23分の駐車場前バス停留所発のバスに乗り、遊園地前バス停留所に11時55分に到着する。
遊園地前バス停留所に到着して、遊園地で遊び、遊園地前バス停留所に戻る標準の周遊時間は、2時間00分であるので、13時55分には遊園地前バス停留所に戻ることができる。
14時00分の遊園地前バス停留所発のバスに乗り、駐車場前バス停留所に15時37分に到着する。
駐車場前バス停留所から駐車場までは、徒歩で5分であり、駐車場に15時42分に到着する。
すなわち、コントローラ部101は、この周遊行程は、駐車場を10時30分に出発して駐車場に15時42分に到着する5時間12分の周遊行程であることを判断して、観光地である領域Dの地図情報をRAM105に切り出す詳細地図情報の候補として決定することができる。
【0063】
このようにして、第1実施形態において、RAM105に詳細地図情報を取り込む場合には、徒歩または自転車で到達可能な所定範囲で切り出した詳細地図情報(RAM105に記憶する詳細地図情報を切り出した詳細地図情報と称する)に加えて、索出された観光スポットへのルートならびに観光スポット周辺の詳細地図を追加して記憶するようにしている。これは、観光地周辺までは自動車にて移動し、最終的な観光地での移動を徒歩やレンタサイクル(自転車)のような自由に移動できる移動手段を利用することに対応するものである。このようにすれば無駄に取り込む地図の量を増やさずに、歩行者またはレンタサイクルを用いる者の必要とする詳細地図の範囲を従来よりも広範囲なものとして持ち歩くことが可能になる。すなわち、領域Aは、空間的に等距離となる領域ではなく、駐車場、観光スポットである、日本庭園及び動物園、公共交通手段を利用するための駐車場前バス停留所及び山田駅を含む範囲とされ、RAM105にはこの範囲の詳細地図が切り出されている。
【0064】
ステップST1034ないしステップST1036で行う処理によって、上述したようにして、領域Aないし領域Dの詳細地図情報は、RAM105に取り込まれることとなるが、領域Bないし領域Cよりもより空間的な距離が近いように思われる古寺の近傍の詳細地図情報は、RAM105に取り込まれていない。この理由について説明をする。
【0065】
コントローラ部101は、以下の経路が、5時間30分以内にアクセス不可能であることを以下の時間経過を演算して判断する。
【0066】
この場合における付加情報は、
駐車場から山田駅までの徒歩による時間(徒歩で30分である)。
山田駅から古寺駅までの時刻表(表7を参照)(東西線と岡京線との乗り入れ運行が存在する)。
古寺駅から古寺までの時間は20分、古寺の標準周遊時間は40分、古寺から古寺駅までの時間は20分を加算した、古寺駅から古寺駅に戻る標準の周遊時間(1時間20分)。
古寺駅から山田駅までの時刻表(表8を参照) (東西線と岡京線との乗り入れ運行が存在する)。
【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
コントローラ部101は、どのようにしても、5時間30分以内にアクセスができないことを以下の時間経過を演算して判断する。
駐車場から山田駅までは、徒歩で30分であり、現在時刻が10時30分であるので山田駅に11時00分に到着する。
13時40分の山田駅発の鉄道に乗り、古寺駅に14時10分に到着する。
古寺駅に到着して、古寺を周遊して、15時30分に再び古寺駅に到着する。
15時30分の古寺駅発の鉄道に乗り、山田駅に16時10分に到着する。
山田駅から駐車場までは、徒歩で30分であり、駐車場に16時40分に到着する。
すなわち、コントローラ部101は、この周遊行程は、駐車場を10時30分に出発して駐車場に16時40分に到着する6時間10分の周遊行程であることを判断して、観光地である古寺の近傍の地図情報をRAM105に切り出す詳細地図情報の候補としない決定をする。すなわち、この計画であれば、次の目的地への出発予定時刻である16時00分を大幅に過ぎてしまうからである。このようにして、RAM105に切り出す詳細地図情報の容量を大幅に少なくすることができる。
【0070】
切り出し範囲を決める行動時間に関しては、上述した例では5時間30分に決めたが、この決め方の他の例のいくつかについて説明をする。他の例は、最終目的地への到着目標時間を旅行の出発前にあらかじめ決めておいて、駐車場から最終目的地までの平均移動予測時間を差し引いた時間が車両への戻り時間となり、現在時刻との差分を現在地における行動時間とするものであっても良い。なお、到着目標時間は、あらかじめ旅行計画時に宿泊施設を予約したときに入力した到着予定時刻を、家にあるパーソナルコンピュータ(PC)に接続したときに自動的に取得するようにしても良い。
【0071】
切り出し範囲を決める行動時間に関するまた別の他の例は、駐車場に止めている場合、駐車場の閉鎖時間を地図内の付加情報から取得して現在時刻との差分を行動時間とするものであっても良い。つまり、ユーザーに何かを入力させること無しに自動的に行動時間を設定することができる。このようにすると、自動車の走行中の自位置の移動に伴って、自動的にRAM105に取り込まれる情報の更新を逐次行うようにする場合、または、一定時間、車両の速度が0となったことを、コントローラ部101が検出したときには、自動車の走行中の自位置の移動に伴って、逐次、特定作業のみをおこない、イジェクトボタン204が押されたときにRAM105に取り込まれる情報の更新をおこなう場合において、行動時間が自動的に決定されるので、手動で行動時間を入力することを不要とし、飛躍的に利便性が向上することとなる。
【0072】
また、第1実施形態においては、徒歩または自転車による移動のみならず、例えば、観光地を走る鉄道やバスなどの公共交通手段を利用することにも対応している。この場合、その地域を走る公共交通手段の時刻表データに基づいて、現在時刻を勘案し、所定時間内において、観光スポットに所定時間滞在して、再び出発地に帰って来ることができる観光スポットを索出して、ナビゲーションに必要な経路とスポット周辺の詳細地図のみを切り出すようにすれば更に利便性が良くなる。例えば、第1実施形態においては、鉄道に乗っている間は道に迷う心配がないので、途中の鉄道沿線の詳細地図情報はRAM105に切り出されていない。
【0073】
また、切り出しの範囲の上限として、現在のバッテリの残量から電源を入れたままの状態で移動可能な時間範囲に観光スポットの選択基準を含めるようにすると更に限定された情報となってRAM105に切り出す詳細地図の容量の節約となる。さらに、このようにして、RAM105に記憶する詳細地図情報を合理的に管理するので、背景技術に開示された技術に比較して、より小容量の記憶手段を用いて、より広範囲に渡る詳細地図情報を記憶することができる。
【0074】
(第2実施形態)
従来は、カーナビで目的地点を設定する場合に、大きな自然公園などを目的地点とした場合、その自然公園の周辺で自動車の進入が許された地域までしかルート設定が行われないのが通常であった。しかしながら、このような自動車のみを対象とするナビゲーションでは、歩行者が自動車の進入できない歩行者専用の小道を辿り、ナビゲーション装置の補助なしに最終目的地点まで到達することに困難が生じる場合もあった。特に、山岳部の歩行においては、道に迷い遭難する場合もある。このような場合にも可搬型のナビゲーション装置が使用できるならば、利用者の利便性は非常に高いものとなる。第2実施形態はこのような用途に好適なるナビゲーションの技術であり、車両を駐車する駐車場から最終目的地点までの徒歩のルート、さらには、徒歩のレートに加えて公共交通手段のルートをRAM105に取り込んでおき、自動車を降りた後も引き続きガイドできるようにするものである。
【0075】
このときのRAM105に切り出す詳細地図情報としては、自然公園全体を取り込んでおくようにし、RAM105には併せて、付加情報としての、その自然公園にアクセスする交通手段の経路情報、時刻情報を予め取り込んでおくものとする。このようにすれば、自然公園を抜けて他の交通手段の乗り場へ辿り着いて、その交通手段を利用して、他の目的の場所(出発の場所を含む)に到達することが可能となる。図6は、第2実施形態において、ナビゲーション装置100のコントローラ部101が行う処理を具体的に示すフローチャートである。なお、ROM104には、遭難し、長時間予定外の途を歩いた場合も考慮して、例えば、自然公園全体のみならず、隣接する領域の地図情報を取り込んでおく。
【0076】
ナビゲーション装置100を地図データ供給装置200から切り離すに際してのフローチャートに関しては、図3示すと同様であるので、説明を省略する。また、RAM105に記憶する自然公園全体及びアクセスする交通手段の経路情報、時刻情報をどの様に選択するかについての基本的な手法は、図5に示すものと同様であるが、第2実施形態の場合においては、道に迷う場合を想定して、さらに切り出し情報範囲を拡大し、例えば、以下のように、空間的に広範囲、情報の種類も広範囲なものとする。
空間的には、自然公園全体を取り込むと同時に、徒歩で、例えば、2日間歩いて到達可能な範囲を取り込む。
情報の種類は、交通手段に関しては、例えば、2日間歩いて到達可能な範囲で利用可能な交通手段の時刻表を全部取り込む。
【0077】
図6は、第2実施形態におけるナビゲーション装置100のコントローラ部101が行う処理をフローチャートで示すものである。
コントローラ部101は、操作入力部108から入力される到達目標地点の位置情報を受け付ける(ステップST200)。
コントローラ部101は、画像表示部107に表示される地図画像に到達目標地点の目印を表示する(ステップST201)。
コントローラ部101は、測位部103で求める刻々と変わる操作者の現在の位置を得る(ステップST202)。
コントローラ部101は、逐次、到達目標地点に達する予想時刻、及び、車両を駐車している駐車場への帰着予想時刻を計算して、現在までの経路及びこれから辿る予想経路及び交通手段の時刻表とともに、画像表示部107に表示する(ステップST203)。
【0078】
ここで、ステップST203で行う処理は、到達目標地点に達する予想時刻、駐車場への帰着予想時刻の各々は、操作者の辿る経路毎に複数の経路の各々について表示をするようにする。
例えば、徒歩で、到達目標地点に達して、徒歩で駐車場へ帰着する場合を考慮して、そのルートと、到達目標地点への到達予測時間、駐車場へ帰着予想時刻、さらには、その途中における特徴地点を通過する予測時間を画像表示部107に表示する。
また、例えば、徒歩で、到達目標地点に達して、さらに徒歩でバス停留場に到着し、バスによって駐車場へ帰着する場合を考慮して、そのルートと、到達目標地点への到達予測時間、バス停留場に到達予測時間、着駐車場へ帰着予想時刻を画像表示部107に表示する。
さらに、例えば、徒歩で、到達目標地点に達して、さらに徒歩で鉄道駅に到着し、鉄道によって駐車場へ帰着する場合を考慮して、そのルートと、到達目標地点への到達予測時間、鉄道駅に到達予測時間、着駐車場への帰着予想時刻を画像表示部107に表示する。
【0079】
図7は第2実施形態において、ROM104に取り込まれる広域、中域の地図の情報、RAM105に取り込まれる詳細地図情報の領域の各々を示すものである。ROM104には広域、中域の地図として、図7に示す自然公園の全体の領域である領域Q(図7に示す領域の全体)が取り込まれる。RAM105に詳細地図情報が取り込まれる領域としては、領域P(図7において実線で囲まれた範囲)である。図7は、ROM104と。RAM105との各々に取り込まれる地図情報の領域を示すのみならず、ROM104に広域、中域の情報を表示する場合の画像表示部107に表示される画像を示すものでもある。この画像は、山岳部、谷間の地勢が明瞭に分かる航空写真に基づいて処理形成された画像データであり、この航空写真に、人が歩行可能な小径がさらに、付加して表示されている。
【0080】
領域Pは、ハイキングの予定領域である。領域Pには、車両を駐車している駐車場、ハイキング路、尾沼、岩山、火岳、景山の特徴ポイント、駐車場前のバス停留所、火岳口のバス停留所が含まれている。そして、画像表示部107に表示する画像情報としては、地図情報とともに、または、地図情報に替えて、その表示画面の一部、または、全体に、図7に表示H1または表示H2として示すような表示がなされる。図7は、地図情報と表示H1と表示H2とを重ねて表示する場合の例である。表示H1は、現在位置から駐車場まで徒歩で戻る場合の予定到着時間であり、表示H2は、火岳口から駐車場前に行くバスの出発時間であり、この場合には13:40(13時40分)であることを示している。また、バス停到着予定時間の13:00(13時)は、操作者がこのまま歩き続けた場合の火岳口バス停留所への到着予定時間である。また、操作者が13時40分までに火岳口バス停留所へ到着できる可能性が低い場合には、コントローラ部101は、13時40分以降に出発するバスの出発時間を、付加情報である時刻表を参照して表示H2の内容として表示することによって、操作者が乗ることができるバスの時刻を表示する。このような表示H1と表示H2とを見た操作者は、例えば、13時40分のバスで駐車場前バス停留所へ戻る予定を立てて、そのような行動をすることができる。
【0081】
すなわち、第2実施形態では、刻々と変わる操作者の位置の情報に基づき、最終的には、車両を駐車した場所に操作者が到達可能な時刻を、ナビゲーション装置100のコントローラ部101が逐次計算して、その交通手段の出発時刻と対比して、その交通手段が利用可能である場合には、その旨を知らせることによって、操作者は、ナビゲーション装置100の指示に従って、車両を駐車した駐車場に戻って来ることが可能となる。また、ROM104には、自然公園全体のみならず、隣接する領域の地図情報を取り込んでおくことによって、遭難して大きく予定の経路からはずれた場合においても、自分の現在地が知ることができる。さらに、ROM104として不揮発メモリを用いる場合には、ナビゲーション装置100の電源を一時的に切断して、バッテリ109の電力の消耗を少なくして、長時間のナビゲーション装置100の使用が可能となる。
【0082】
また、第1実施形態、第2実施形態のいずれも、目標地点に到達後に再び出発点に戻る例について説明をしたが、第1目標地点に到達後に、出発点とは異なる第2目標点に到達する案内、第2目標点に到達後に出発点に戻る案内等の種々の案内をナビゲーション装置が行うように設定することも同様な手順で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ナビゲーションシステムの概要を示す図である。
【図2】ナビゲーションシステムのブロックダイヤグラムを示す図である。
【図3】ナビゲーション装置を地図データ供給装置から切り離す手順のフローチャートを示すものである。
【図4】ダウンロード内容決定処理の手順をフローチャートで示す図である。
【図5】第1実施形態において、ROM及びRAM105に取り込まれる領域の各々を示す図である。
【図6】第2実施形態において、コントローラ部が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態において、ROM及びRAM105に取り込まれる領域の各々を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 ナビゲーションシステム、 100 ナビゲーション装置、
101 コントローラ部、 110 電源制御部、 109 バッテリ、
112 内蔵アンテナ、 103 測位部、 104 ROM、105 RAM、
106 地図データ制御部、 107 画像表示部、 108 操作入力部、
109 バッテリ、 110 充電制御部、 112 内蔵アンテナ、
113 アンテナ切替器、 200 地図データ供給装置、
201 地図データディスク装置、 202 電源部、 204 イジェクトボタン、 205 リモコン受信部、 206 車両データ取得部、 300 外部アンテナ、 301、302 接続コネクタ、 350 ディーブイディディスク、
領域 A、B、C、D、E、P、Q

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標地点に至るまでの経路を案内するナビゲーション装置であって、
位置を測位する測位部と、
地図情報を記憶する記憶部と、
前記地図情報を視認可能な画像として表示する画像表示部と、
該ナビゲーション装置の外部に配された地図データ供給装置から前記記憶部に前記地図情報を書き込むための地図データ制御部と、
前記測位部と前記記憶部と前記地図データ制御部とを制御するコントロール部と、を備え、
前記コントロール部は、
前記測位部を制御して現在の位置を得て、
交通手段に関する情報及び特異な場所に関する情報に基づいて、前記現在の位置から到達可能な前記特異な場所を検出し、
前記現在の位置から前記特異な場所に到達するに用いる所定範囲の地図情報を特定し、
前記地図データ制御部を制御して、前記所定範囲の地図情報を前記地図データ供給装置から前記記憶部に書き込むこと、を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特異な場所に関する情報は、特異な場所である名所旧跡の所在位置と、前記名所旧跡を周遊するための標準周遊時間とを含み、
前記交通手段に関する情報は、前記名所旧跡に至る公共交通手段の経路情報と前記公共交通手段の時刻情報とを含み、
前記所定範囲の地図情報は、前記現在の位置を含む前記公共交通手段の出発地点の付近の地図情報と前記名所旧跡を含む前記公共交通手段の到着地点の付近の地図情報とを含むこと、を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特異な場所は、第1目的地点の付近の前記交通手段が利用可能となる昇降場所を含み、
前記交通手段に関する情報は、前記昇降場所からの公共交通手段の経路情報と前記公共交通手段の時刻情報を含み、
前記コントロール部は、
前記経路情報及び前記時刻情報と前記測位部で検出する現在の位置とに基いて、第1目的地点を経て第2目標地点に至るまでの経路及び前記第1目標地点または前記第2目標地点に到着する予想時間を前記画像表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーション装置の外部に配された地図データ供給装置から該ナビゲーション装置の内部に配された記憶部に地図情報を書き込み、前記地図情報に基づいて、目標地点に至るまでの経路を案内するナビゲーション装置の制御方法であって、
現在の位置を測位し、
現在位置から到達可能な特異な場所を交通手段に関する情報に基づいて検出し、
前記現在の位置から前記特異な位置に到達するための所定範囲の地図情報を前記地図データ供給装置から前記記憶部に書き込むように制御する、ナビゲーション装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−8428(P2009−8428A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167654(P2007−167654)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】