説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置の音楽再生方法

【課題】音楽を聴いている使用者に必要な情報を伝達する際に、使用者に与える不快感を軽減するナビゲーション装置およびナビゲーション装置の音楽再生方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一定時間毎に道路交通情報を受信する第1の受信部と、誘導経路上に設置され、道路交通情報を送信する端末の送信範囲を車両が通過することにより端末から道路交通情報を受信する第2の受信部と、ナビゲーション装置が音声で案内する道路交通情報を受信する受信部を、所定の優先順位に従って第1の受信部と第2の受信部との間で選択する選択手段と、選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算する計算手段と、計算手段が計算した情報受信時刻に音楽の再生が終了するように音楽データを組み合わせた再生リストを作成する再生リスト作成手段とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置の音楽再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声等で目的地までの経路等の走行情報を運転者に与える音声案内機能を備えたナビゲーション装置は、音楽を再生している最中であっても音声案内を行うため、使用者に不快感を与え、かつ、経路情報を使用者に正しく伝達できない場合があった。そこで、特許文献1から3のように、使用者の音楽鑑賞を中断するのを避けつつ、音声案内を確実に行うナビゲーション装置が開発されている。
ところで、最近は、渋滞情報や事故情報などの道路交通情報を取得して、経路案内だけでなく道路交通情報を使用者に伝達するナビゲーション装置も増えている。こうしたナビゲーション装置は、道路交通情報を取得できる地点に車両が到着した場合に道路交通情報を取得し、音声案内を行う。したがって、道路交通情報を取得した際に音楽を再生している場合、音声案内と再生している音楽とが重なって出力される。そのため、音楽を聴いている使用者に不快感を与えるとともに、道路交通情報が使用者に正しく伝達されないという問題があった。そこで、特許文献4では、取得した道路交通情報を蓄積しておき、音楽の間奏部分や曲間に蓄積した道路交通情報を出力することによって、使用者の不快感を軽減しつつ、使用者に道路交通情報の内容を伝達している。
【特許文献1】特開2007−256047号公報
【特許文献2】特開2005−172450号公報
【特許文献3】特開2004−108908号公報
【特許文献4】特開2004−117176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献4に記載のナビゲーション装置では、事故情報といった使用者が必要な度合いが高い道路交通情報も、音楽の間奏部分や曲間まで出力されないため、使用者は必要な道路交通情報をタイムリーに取得することができない。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、音楽を聴いている使用者に必要な情報を伝達する際に、使用者に与える不快感を軽減するナビゲーション装置およびナビゲーション装置の音楽再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、目的地までの誘導経路に従った走行を、画面の表示によって案内するナビゲーション装置であって、放送電波を用いて一定時間毎に送信される道路交通情報を受信する第1の受信部と、前記誘導経路上に設置され、道路交通情報を送信する端末の送信範囲を車両が通過することにより前記端末から道路交通情報を受信する第2の受信部と、前記ナビゲーション装置が音声で案内する道路交通情報を受信する受信部を、所定の優先順位に従って前記第1の受信部と第2の受信部との間で選択する選択手段と、前記選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算する計算手段と、前記計算手段が計算した情報受信時刻に音楽の再生が終了するように音楽データを組み合わせた再生リストを作成する再生リスト作成手段とを備える構成を採用する。
この構成によれば、選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する時刻に再生リストに基づいた音楽の再生が終了することにより、ナビゲーション装置は、音楽再生と重ならずに受信部が受信した道路交通情報を音声案内できるため、使用者に道路交通情報を伝達する際に、使用者の不快感を低減することができる。さらに、選択手段は所定の優先順位に従って道路交通情報を受信する受信部を選択するため、音楽を聴いている使用者に伝達する優先度の高い道路交通情報を、使用者へ伝達することができる。
【0006】
上記のナビゲーション装置において、前記計算手段は、前記選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を再計算し、前記再生リスト作成手段は、再計算された情報受信時刻が再計算前の情報受信時刻と異なる場合に、前記再計算された情報受信時刻に音楽の再生が終了するように、前記再生リストを変更することを特徴とする。
本構成によれば、受信部が道路交通情報を受信する時刻に変更が生じた場合でも、再生リストを変更し、受信部が道路交通情報を受信する時刻に再生リストに基づいた音楽再生が終了することにより、ナビゲーション装置は、受信部が受信した道路交通情報を音楽再生と重ならずに音声案内できるため、音楽を聴いている使用者に道路交通情報を伝達する際に、使用者の不快感を低減することができる。
【0007】
上記のナビゲーション装置において、前記再生リスト作成手段は、1楽曲の音楽データの全部を用いて再生リストを作成すると音楽の再生を終了する時刻が前記計算手段の計算した情報受信時刻よりも遅くなる場合、前記情報受信時刻に再生が終了するように1楽曲の音楽データの一部を用いて再生リストを作成することを特徴とする。
本構成によれば、情報受信時刻まで再生リストに基づく音楽の再生を継続することができ、かつ情報受信時刻には音楽の再生を終了するため、音楽を聴いている使用者に道路交通情報を伝達する際に、使用者の不快感を低減することができる。
【0008】
上記のナビゲーション装置において、前記第1の受信部が受信する道路交通情報は、同一の内容が複数回にわたり一定時間内に送信される道路交通情報であり、
前記選択手段が前記ナビゲーション装置の音声案内する道路交通情報を受信する受信部に前記第1の受信部を選択した場合に、前記計算手段は、複数回にわたって送信される同じ内容の道路交通情報ごとに前記第1の受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算し、前記再生リスト作成手段は、前記計算手段が計算した複数の情報受信時刻のうちいずれか1の情報受信時刻に音楽または映像の再生が終了するように再生リストを作成し、前記第1の受信部は、再生リストに基づく音楽の再生が終了する時刻に道路交通情報を受信する構成を採用する。
この構成によれば、複数回にわたって送信される同じ内容の道路交通情報から1の道路交通情報を受信する時刻に音楽の再生が終了することにより、ナビゲーション装置は、音楽再生と重ならずに受信部が受信した道路交通情報を音声案内できるため、音楽を聴いている使用者に道路交通情報を伝達する際に、使用者の不快感を低減することができる。
【0009】
請求項5に係る発明は、放送電波を用いて一定時間毎に送信される道路交通情報を受信する第1の受信部と、前記誘導経路上に設置され道路交通情報を送信する端末の送信範囲を車両が通過することにより前記端末から道路交通情報を受信する第2の受信部とを備え、目的地までの誘導経路に従った走行を、画面の表示によって案内するナビゲーション装置における音楽の再生方法であって、前記ナビゲーション装置が音声で案内する道路交通情報を受信する受信部を、所定の優先順位に従って前記第1の受信部と第2の受信部との間で選択する選択ステップと、前記選択ステップが選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算する計算ステップと、前記計算手段が計算した情報受信時刻に音楽の再生が終了するように音楽データを組み合わせた再生リストを作成する再生リスト作成ステップとを備えることを特徴とする。
この構成によれば、選択ステップが選択した受信部が道路交通情報を受信する時刻に再生リストに基づいた音楽の再生が終了することにより、ナビゲーション装置は、音楽再生と重ならずに受信部が受信した道路交通情報を音声案内できるため、音楽を聴いている使用者に道路交通情報を伝達する際に、使用者の不快感を低減することができる。さらに、選択ステップは所定の優先順位に従って道路交通情報を受信する受信部を選択するため、使用者に伝達する優先度の高い道路交通情報を、使用者へ伝達することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、目的地への誘導制御を行うナビゲーション装置において、音楽を聴いている使用者に必要な情報を伝達する際に、使用者に与える不快感を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るナビゲーション装置のシステム構成の一例を示した図である。ナビゲーション装置は、車載機100と、車載機100にそれぞれ接続されたディスプレイ10、スピーカ11、電話機12、操作部13、GPS(Global Positioning System)受信機40、車速センサ50、道路交通情報受信機60とを備えている。
車載機100は、制御部20と記憶部30とを備える。また、道路交通情報受信機60は、一定時間ごとにFM多重放送を用いて送信される道路交通情報を受信するFM多重放送受信機61(第1の受信部)と、道路上に設置される端末(ビーコン)から道路交通情報を受信する光ビーコン受信機62(第2の受信部)と、電波ビーコン受信機63(第2の受信部)とを備える。本実施例では、ビーコンから送信される道路交通情報には、事故情報等の運転者に伝達する緊急度の高い割り込み情報が含まれるものとする。また、本実施例では一定時間ごとに送信される道路交通情報はFM多重放送を利用して送信されているが、他の送信手段を用いて送信される道路交通情報でも良い。さらに、道路上に設置される端末は、光ビーコンあるいは電波ビーコンに限られるものではない。
また、車載機100に接続される機器は、本実施例に限定されるわけではなく、例えば、MD、CDおよびDVDなどの情報記録媒体を再生できる機器を車載機100に接続することも可能である。
【0012】
操作部13は、運転者および同乗者からの操作入力を受付け、制御部20へ操作の種別を表す信号を出力する。操作部13が受付ける操作は、例えば、目的地の設定や、音楽の再生・停止等である。
電話機12は、例えば携帯電話であり、インターネットに接続した携帯電話で目的地の情報を取得し、制御部20へと送信することにより、目的地までのナビゲーションを開始することができる。また、制御部20がGPS受信機40から受信した現在地情報を電話機12へと送信することも可能である。
記憶部30は、予め地図情報、ビーコンが設置されている地点をまとめたデータであるビーコン設置場所情報、音楽データ等を記憶しており、さらに、地図情報の追加・変更を行ったり、音楽データを追加することがきるようになっている。記憶部30としては、ハードディスクのほか、メモリカード、USBメモリ等を用いることができる。
GPS受信機40は、GPS人工衛星からの情報を受信して時刻情報の取得および自車両の位置情報の特定を行う。また、GPS受信機40は、特定した自車両の位置を制御部20へ出力する。
制御部20は、操作部13が受付けた操作入力に基づいて、ディスプレイ10およびスピーカ11に対して出力を行う。制御部20は、操作部13が目的地の設定を受付けた場合に、GPS受信機40から入力した自車両の位置と、記憶部30に記憶されている地図情報を使用して、目的地までの経路を探索し、その結果をディスプレイ10へと表示する。また、制御部20は、GPS受信機40から入力した自車両の位置と、地図情報から得られる目的地までの距離と、車速センサ50から得られる車両の走行速度の情報から、目的地への到着予想時刻を算出し、ディスプレイ10へ表示することもできる。さらに、制御部20は、目的地へ車両を誘導している間に、進行方向等の経路情報を音声案内するためにスピーカ11から音声を出力する。
制御部20は、操作部13が、音楽の再生を指示する操作を受付けた場合に、記憶部30に記憶されている音楽データを再生し、音楽の再生音をスピーカ11から出力する。さらに、制御部20は、道路交通情報受信機60が受信した道路交通情報を道路交通情報受信機60から入力し、運転者に伝達が必要な道路交通情報を音声で案内するために、道路交通情報をスピーカ11に出力する。
【0013】
図2は、制御部20のハードウェア構成の一例を示す図である。
制御部20は、信号の入出力を行う入出力部24と、音楽を再生する順序を定めた再生リストを作成するプログラム(詳細は後述)などが格納されたROM23と、ROM23に格納されたプログラムを読み込んで実行する中央処理演算装置(CPU)21と、プログラムを実行する際に使用される一時的なデータを保存するRAM22とから構成される。
また、ROM23に格納されたプログラムのCPU21による演算によって、図3に示す、計算手段201、リスト作成手段202、選択手段205が構成される。
【0014】
図3は、上述したCPU21などのハードウェアとROM23に格納されたソフトウェアとの協働によって実現される制御部20の機能ブロック図の一例である。
制御部20は、音楽データの選択や音楽データの再生を行うオーディオ処理部25と、車両を目的地まで誘導するための処理を行うナビゲーション処理部26とを備える。オーディオ処理部25は、リスト作成手段202と、再生手段203とを備える。また、ナビゲーション処理部26は、計算手段201と、選択手段205と、出力手段204とを備える。
【0015】
まず、ナビゲーション処理部26が備える各手段について説明する。
選択手段205は、道路交通情報受信機60を構成するFM多重放送受信機61と光ビーコン受信機62と電波ビーコン受信機63と、記憶部30に記憶されているビーコン設置場所情報302と、GPS受信機40と、リスト作成手段202と、出力手段204と、計算手段201と接続される。選択手段205は、GPS受信機40から自車両の位置を入力し、ビーコン設置場所情報302と組み合わせることで、車両がビーコンの設置されている地域内にあり、選択手段205が、道路上に設置されたビーコンから道路交通情報を取得できるかどうかを判定する。前述したように、ビーコンから送信される道路交通情報は、事故情報など緊急度の高い情報を割り込み情報を含む。そのため、選択手段205は、ビーコンから道路交通情報を取得できる場合には、音声案内を行う道路交通情報の取得元として優先的に光ビーコン受信機62または電波ビーコン受信機63を選択する。なお、FM多重放送を利用した道路交通情報が、緊急度の高い情報を送信する場合には、FM多重放送受信機61を優先的に選択するようにすることもできる。
ビーコンから道路交通情報を取得できない場合には、選択手段205は、音声案内を行う道路交通情報の取得元としてFM多重放送受信機61を選択する。さらに、選択手段205はFM多重放送受信機61を選択した場合には、リスト作成手段202が作成した楽曲データの再生順序を表す再生リストに基づいて、一定時間内に複数回送信される同一内容の道路交通情報のうち、何回目の道路交通情報を音声案内するかを選択する。
本構成によれば、選択手段205が緊急度の高い道路交通情報を受信する受信機を優先的に選択するため、緊急度の高い道路交通情報を優先的に運転者へと伝達することができる。
選択手段205は、道路交通情報の取得元としてどの受信機を選択したかを計算手段201へと出力する。また、選択手段205は、選択した受信機が道路交通情報を受信した場合に、道路交通情報を取得して、出力手段204へと出力する。出力手段204は、選択手段205から入力された道路交通情報を、スピーカ11によって音声案内し、またディスプレイ10に表示する。
【0016】
計算手段201は、車速センサ50と、GPS受信機40と、記憶部30が記憶している地図情報303と、ビーコン設置場所情報302と、選択手段205と、リスト作成手段202と接続される。
計算手段201は、選択手段205が選択した道路交通情報の取得元がビーコン受信機である場合に、地図情報303とビーコン設置場所情報302とGPS受信機40から入力した自車両の位置に基づいて、車両の現在の位置からビーコン設置場所までの距離を計算する。次に、計算したビーコン設置場所までの距離と、車速センサ50から入力した車両の走行速度を表す車速信号とから、ビーコン設置場所に到着する予想時刻を計算する。計算手段201が計算した予想時刻が、選択手段205が道路交通情報を受信する時刻となる。計算手段201は、計算した予想時刻をリスト作成手段202へと出力する。
【0017】
次に、オーディオ処理部25が備える各手段について説明する。
リスト作成手段202は、計算手段201と、記憶部30に記憶されている音楽データ301と、再生手段203と、選択手段205と接続される。ここで、音楽データ301は、ユーザが登録した音楽データや、ナビゲーション装置の出荷時に予め登録されている音楽データおよび、ナビゲーション装置に接続された外部の再生装置からMD、CDおよびDVDに記憶されている音楽のジャンルや再生時間を取得したデータでも良い。また、音楽データの代わりに、映像データを記憶しておいても良い。リスト作成手段202は、計算手段201から入力した予想時刻に音楽の再生が終了するように、音楽データ301を用いて音楽の再生順序を表す再生リストを作成する。再生手段203は、作成した再生リストを再生手段203に出力する。
また、リスト作成手段202は、選択手段205が道路交通情報の取得元としてFM多重放送受信機61を選択した場合には、FM多重放送受信機61が道路交通情報を取得するタイミングに音楽の再生が終了するように再生リストを作成する。そして、リスト作成手段202は、再生リストを再生手段203と選択手段205へ出力する。選択手段205は、前述したようにリスト作成手段202の再生リストに基づいて、一定時間内に複数回送信される同一内容の道路交通情報のうち、何回目の道路交通情報を音声案内するかを選択する。
【0018】
再生手段203は、音楽データ301と、リスト作成手段202と、ディスプレイ10と、スピーカ11と接続される。再生手段203は、リスト作成手段202から入力した再生リストに基づいて、音楽の再生を行い、音楽の再生音をスピーカ11から出力する。また、音楽データの代わりに、映像データを用いる場合には、再生した映像をディスプレイ10に表示し、再生音をスピーカ11から出力する。本実施例では、制御部20が再生手段を有しているが、例えば、制御部20ではなく、外部の再生装置が再生を行ってもよい。また、音楽データを記憶部30に記憶されている音楽データ301から取得して再生しているが、外部の再生装置を用いて、MD、CDおよびDVDといった情報記録媒体を直接再生してもよい。
【0019】
次に、図4から図8を用いて、制御部20がナビゲーション時に行う処理の一例について説明する。図4から図8は、制御部20が行う処理の一例を表したフローチャートである。
計算手段201は、操作部13から目的地への設定を受付けると(ステップS10)、目的地までの誘導経路上にビーコンが設置されている地点をリストアップする(ステップS11)。次に、選択手段205は、現在車両が停止している、又は走行している地点が、ビーコンの設置されている地域かを地図情報303およびGPS受信機40から入力する自車両の位置情報を用いて確認する(ステップS12)。選択手段205は、ビーコンが設置されている地域では、出力手段204が音声出力する道路交通情報の取得元に、光ビーコン受信機62または電波ビーコン受信機63を選択する。ビーコンから取得できる道路交通情報がFM多重放送から取得できる道路交通情報よりも、事故情報など緊急度の高い情報を割り込み通知するためである。
本ステップによれば、選択手段205が緊急度の高い道路交通情報を受信する受信機を優先的に選択するため、緊急度の高い道路交通情報を優先的に運転者へと伝達することができる。
現在地点がビーコンの設置されている地域である場合には(ステップS12/YES)道路交通情報の取得元はビーコンとなるため、計算手段201は、現在地点からビーコンが設置されている地点に到着する予想時刻を計算する(ステップS13)。次に、リスト作成手段202は、計算手段201が計算した予想時刻に音楽の再生が終了するように、記憶部30に記憶されている音楽データ301を用いて、音楽の再生順序を表す再生リストを作成する(ステップS14)。再生手段203は、再生リストに基づいて音楽の再生を行う(ステップS15)。
車両がビーコン設置地点に到着すると(ステップS16/YES)、図5のDへ進む。選択手段205は、車両がビーコン設置地点に到着すると、光ビーコン受信機62または電波ビーコン受信機63から道路交通情報を取得する(ステップS24)。出力手段204は、選択手段205が取得した道路交通情報を出力する(ステップS25)。ここで、前述したようにリスト作成手段202は、車両がビーコン設置地点に到着する時刻に再生リストに基づく音楽の再生が終了するように、ステップS14にて再生リストを作成している。したがって、出力手段204によってスピーカ11から道路交通情報が音声案内される場合に、音楽の再生は終了しており、音楽の再生が中断されることもなく、運転者は道路交通情報を確実に取得することができる。
車両がビーコン設置地点に到着していない場合(ステップS16/NO)、計算手段201はGPS信号を受信すると(ステップS16/YES)、車両がビーコンの設置されている地点に到着する予想時刻を再計算する(ステップS18)。計算手段201がステップS18の処理を終えると、図5のAへ進む。
【0020】
リスト作成手段202は、計算手段201が再計算した予想時刻が、計算手段201が前回計算した予想時刻よりも遅い場合(ステップS19/ケース1)、再生手段203が再生リストの最後の曲を再生しているかどうかを確認する(ステップS20)。リスト作成手段202は、再生手段203が再生リストの最後の曲を再生している場合に(ステップS20/YES)、最後の曲の再生が終了する時刻から再計算した予想時刻までの時間を満たす音楽データが存在するかどうかを確認する(ステップS21)。音楽データが存在する場合には(ステップS21/YES)、リスト作成手段202は、再生リストへ該当する音楽データを追加する(ステップS22)。1曲分を再生すると、再生を終了する時刻が予想時刻を越えてしまうような音楽データしかない場合には、最後の曲の再生が終了したら音楽データの一部を再生するように再生リストを変更する(ステップS23)。ここで、音楽データの一部とは、例えば、サビの部分である。また、音楽データの追加は、ユーザが予め記憶部30に記憶させている音楽データを用いてもよいし、ナビゲーション装置の出荷時に記憶部30に記憶させてある音楽データを用いてもよい。また、出荷時に記憶部30に記憶させてある音楽データを選択する場合には、最後に再生される曲のジャンル(例えば、クラッシクやジャズ)と同一のジャンルに属する曲を優先的に選択するようにしてもよい。予想時刻に音楽の再生が終了するようにリスト作成手段202が再生リストを変更したら(ステップS22またはステップS23)、再生手段203は、再生リストに基づいて音楽の再生を継続する(ステップS15)。
再生リストの最後の曲を再生していない場合(ステップS20/NO)、図7のFへ進む。再生リストの最後の曲を再生していない場合、リスト作成手段202は、計算手段201が再計算した予想時刻に再生が終了するようにリストを変更する(ステップS29)。
【0021】
計算手段201が算出した予想時刻が、計算手段201が算出した予想時刻よりも早い場合(ステップS19/ケース2)、図6のEへ進む。リスト作成手段202は、計算手段201が算出した予想時刻が、計算手段201が算出した予想時刻よりも早い場合、再生手段203が再生リストの最後の曲を再生しているかどうかを確認する(ステップS27)。再生手段203が再生リストの最後の曲を再生している場合には(ステップS27/YES)、図4のGに進む。再生手段203が再生リストの最後の曲を再生している場合には、再生手段203は再生リストに基づいた再生を継続する(ステップS15)。再生手段203が再生を行っている間に、ビーコン設置地点に到着した場合には(ステップS16/YES)、前述したように、選択手段205は、光ビーコン受信機62または電波ビーコン受信機63から道路交通情報を取得する(ステップS24)。出力手段204は、選択手段205が取得した道路交通情報を出力する(ステップS25)。
リスト作成手段202は、再生手段203が再生リストの最後の曲を再生していない場合には、到着予想時刻に楽曲が終了するように再生リストを変更する(ステップS28)。リスト作成手段202がステップS28の処理を終えると、図4のGに進み、再生手段203が再生リストに基づく音楽の再生を継続する(ステップS15)。
【0022】
予想時刻が前回の予想時刻と同一である場合には(ステップS19/ケース3)、再生リストを変更する必要がないため、リスト作成手段202は何らの処理も行わず、図4のGへ進み、再生手段203が再生リストに基づく再生を継続する(ステップS15)。
【0023】
計算手段201は現在地点がビーコンの設置されている地域でないと判定した場合には(ステップS12/NO)、図8のHに進む。現在地点がビーコンの設置されている地域でない場合には、選択手段205は道路交通情報の取得元としてFM多重放送受信機61を選択する。したがって、選択手段205は、一定時間毎に道路交通情報を取得し、出力手段204を介して道路交通情報を音声案内する。そこで、計算手段201は、選択手段205がFM多重放送受信機61から道路交通情報を取得するまでの時間を計算する(ステップS30)。リスト作成手段202は、計算手段201が計算した時間までに再生が終了する音楽があるかどうかを確認する(ステップS31)。リスト作成手段202は、計算手段201が計算した時間までに再生が終了する曲がある場合には(ステップS31/YES)、それらの音楽データを選択して再生リストを作成する(ステップS34)。再生手段203は、リスト作成手段202が作成した再生リストに基づいて、音楽の再生を行う(ステップS35)。選択手段205は、FM多重放送受信機61が道路交通情報を受信すると、道路交通情報をFM多重放送受信機61から取得する(ステップS36)。選択手段205が道路交通情報を取得すると、図5のIへ進む。出力手段204は、選択手段205が取得した道路交通情報をスピーカ11により音声出力する。ここで、前述したようにリスト作成手段202は、選択手段205がFM多重放送受信機61から道路交通情報を取得する時刻に、再生リストに基づく音楽の再生が終了するように、ステップS33にて再生リストを作成している。したがって、出力手段204によってスピーカ11から道路交通情報が音声案内される場合に、音楽の再生は終了しており、音楽の再生が中断されることもなく、運転者は道路交通情報を確実に取得することができる。
【0024】
次に、リスト作成手段202が、計算手段201が計算した時間までに再生が終了する音楽があるかどうかを確認した結果、該当する音楽データがない場合(ステップS30/NO)について説明する。FM多重放送を利用した道路交通情報は、一定時間内に同一内容の道路交通情報が複数回にわたり送信される。したがって、選択手段205は、複数回にわたり送信される同一内容の道路交通情報のうち1回の情報を取得して、運転者に伝達できれば良い。そこで、計算手段201は、選択手段205が取得する道路交通情報の取得回を次の回にする(ステップS32)。次に、計算手段201は、現在時刻から選択手段205が道路交通情報を取得する次の回までの時間を計算する(ステップS33)。そして、リスト作成手段202は、再度、計算手段201が計算した時間までに再生が終了する音楽があるかどうかを確認する(ステップS31)。リスト作成手段202は、計算手段201が計算した時間までに再生が終了する曲がある場合には(ステップS31/YES)、それらの音楽データを選択して再生リストを作成する(ステップS34)。ステップS34以降の処理は、前述したとおりである。
【0025】
制御部20は、車両が目的地に到着するまで、上記の処理を繰り返す(ステップS26/NOおよびステップS12)。制御部20は、車両が目的地に到着したら、処理を終了する(ステップS26/YES)。
【0026】
次に、図9および図10を用いて計算手段201の計算結果と、リスト作成手段202が作成する再生リストとの関係について説明する。図9は、車両がビーコン設置地域を走行している場合における、計算手段201の計算結果とリスト作成手段202が作成する再生リストとの関係の一例を表した図である。
【0027】
図9(1)のケース1において、計算手段201は、17:00の時点において、現在地からビーコン設置地点に到着する予想時刻を17:07と計算したとする(a)。すると、リスト作成手段202は、17:07に音楽の再生が終了するように、再生時間が3分である曲Aと、再生時間が4分である曲Bを選択して、再生リストを作成する(c)。その後、曲Aの再生中に、GPS信号を受信し、計算手段201がビーコン設置地点に到着する予想時刻を再計算したところ、17:10となったとする(b)。前回の予想時刻は17:07であったから、3分のずれが生じている。そこで、リスト作成手段202は、17:10に音楽の再生が終了するように、再生時間が4分の曲Bに代えて、再生時間が7分の曲Cを再生リストへ追加する(d)。あるいは、再生時間の合計が7分となる曲を追加しても良い。
【0028】
図9(2)のケース2では、計算手段201は、現在地からビーコン設置地点に到着する予想時刻を17:10と計算したとする(a)。すると、リスト作成手段202は、17:10に音楽の再生が終了するように、再生時間が4分である曲Aと、再生時間が6分である曲Bを選択して、再生リストを作成する(c)。その後、曲Aの再生中に、GPS信号を受信し、計算手段201がビーコン設置地点に到着する予想時刻を再計算したところ、17:08となったとする(b)。前回の予想時刻は17:10であったから、2分のずれが生じている。そこで、リスト作成手段202は、17:08に音楽の再生が終了するように、再生時間が6分の曲Bに代えて、再生時間が4分の曲Cを再生リストへ追加する(d)。
【0029】
図9(3)のケース3では、計算手段201は、現在地からビーコン設置地点に到着する予想時刻を17:07と計算したとする(a)。すると、リスト作成手段202は、17:10に音楽の再生が終了するように、再生時間が3分である曲Aと、再生時間が4分である曲Bを選択して、再生リストを作成する(c)。その後、再生リストの最後の曲である曲Bの再生中にGPS信号を受信し、計算手段201がビーコン設置地点に到着する予想時刻を再計算したところ、17:08となったとする(b)。前回の予想時刻は17:07であったから、1分のずれが生じている。そこで、リスト作成手段202は、曲Bが終了する17:07から1分で終了するような音楽データを選択する。しかし、1曲分を再生すると、17:08を超えてしまう場合には、再生時間が1分となるように曲Cの一部を再生リストに追加する(d)。
【0030】
図10は、車両がビーコンの設置されていない地域を走行している場合における、計算手段201の計算結果とリスト作成手段202が作成する再生リストとの関係の一例を表した図である。道路交通情報受信の横に括弧書きされている数字において、左の数字が同じ場合には道路交通情報が同一内容であることを示し、右の数字は、複数回にわたり送信される同一内容の道路交通情報のうち、何回目の道路交通情報であるかを示している。
【0031】
図10(4)のケース4では、計算手段201は、選択手段205が17:00に道路交通情報を取得したので、次回の道路交通情報の取得時刻を一定時間後(図10では5分後)の17:05であると計算する(a)。リスト作成手段202は、17:05に再生が終了するように、再生時間が3分である曲Aと、再生時間が2分である曲Bを選択して、再生リストを作成する(b)。
【0032】
図10(5)のケース5では、計算手段201は、選択手段205が17:00に道路交通情報を取得したので、次回の道路交通情報の取得時刻を一定時間後(図10では5分後)の17:05であると計算する(a)。しかし、リスト作成手段202は、17:05に再生を終了できる音楽データを選択できないとする。そこで、計算手段201は、道路交通情報の取得回を、1回目ではなく、2回目とした場合の時刻を計算する(図10の場合、17:08)。そして、リスト作成手段202は、17:08に再生が終了するように、再生時間が4分ある曲Aと、再生時間が4分である曲Bを選択して、再生リストを作成する(b)。
【0033】
以上の説明から明らかなように、選択手段205は、道路交通情報受信機が受信する情報の緊急度等の特徴に応じて、優先的に道路交通情報を取得する受信機を選択するため、緊急度の高い情報を優先的に運転者に伝達できる。さらに、選択手段205が選択した受信機が道路交通情報を受信する時刻に音楽の再生が終了するように、リスト作成手段202は再生リストを作成するため、出力手段204によってスピーカ11から道路交通情報が音声案内される場合に音楽の再生は終了する。したがって、音楽を聴いている運転者に必要な情報を伝達する際に、運転者に与える不快感を軽減することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
制御部20が実行するプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより提供できる。
更に、制御部20がROM23に記憶されたソフトウェアプログラムを読み出して、CPU21により実行して実現するソフトウェア処理の一部又は全部をハードウェアにて実現しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が適用されるナビゲーション装置のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】制御部の機能ブロック図の一例を示す図である。
【図4】制御部がナビゲーション時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】制御部がナビゲーション時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】制御部がナビゲーション時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】制御部がナビゲーション時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】制御部がナビゲーション時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】ビーコン設置地域において、計算手段が計算する予想時刻と、リスト作成手段が作成する再生リストとの関係の一例を示す図である。
【図10】ビーコンが設置されていない地域において、計算手段が計算する予想時刻と、リスト作成手段が作成する再生リストとの関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10…ディスプレイ
11…スピーカ
12…電話機
13…操作部
20…制御部
21…CPU
22…RAM
23…ROM
24…入出力部
25…オーディオ処理部
26…ナビゲーション処理部
30…記憶部
40…GPS受信機
50…車速センサ
60…道路交通情報受信機
61…FM多重放送受信機
62…光ビーコン受信機
63…電波ビーコン受信機
100…車載機
201…計算手段
202…リスト作成手段
203…再生手段
204…出力手段
205…選択手段
301…音楽データ
302…ビーコン設置場所情報
303…地図情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの誘導経路に従った走行を、画面の表示によって案内するナビゲーション装置であって、
放送電波を用いて一定時間毎に送信される道路交通情報を受信する第1の受信部と、
前記誘導経路上に設置され、道路交通情報を送信する端末の送信範囲を車両が通過することにより前記端末から道路交通情報を受信する第2の受信部と、
前記ナビゲーション装置が音声で案内する道路交通情報を受信する受信部を、所定の優先順位に従って前記第1の受信部と第2の受信部との間で選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算する計算手段と、
前記計算手段が計算した情報受信時刻に音楽の再生が終了するように音楽データを組み合わせた再生リストを作成する再生リスト作成手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記計算手段は、前記選択手段が選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を再計算し、
前記再生リスト作成手段は、再計算された情報受信時刻が再計算前の情報受信時刻と異なる場合に、前記再計算された情報受信時刻に音楽の再生が終了するように、前記再生リストを変更することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記再生リスト作成手段は、1楽曲の音楽データの全部を用いて再生リストを作成すると音楽の再生を終了する時刻が前記計算手段の計算した情報受信時刻よりも遅くなる場合、前記情報受信時刻に再生が終了するように1楽曲の音楽データの一部を用いて再生リストを作成することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1の受信部が受信する道路交通情報は、同一の内容が複数回にわたり一定時間内に送信される道路交通情報であり、
前記選択手段が前記ナビゲーション装置の音声案内する道路交通情報を受信する受信部に前記第1の受信部を選択した場合に、
前記計算手段は、複数回にわたって送信される同じ内容の道路交通情報ごとに前記第1の受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算し、
前記再生リスト作成手段は、前記計算手段が計算した複数の情報受信時刻のうちいずれか1の情報受信時刻に音楽または映像の再生が終了するように再生リストを作成し、
前記第1の受信部は、再生リストに基づく音楽の再生が終了する時刻に道路交通情報を受信する請求項1から3のいずれか一項記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
放送電波を用いて一定時間毎に送信される道路交通情報を受信する第1の受信部と、前記誘導経路上に設置され道路交通情報を送信する端末の送信範囲を車両が通過することにより前記端末から道路交通情報を受信する第2の受信部とを備え、目的地までの誘導経路に従った走行を、画面の表示によって案内するナビゲーション装置における音楽の再生方法であって、
前記ナビゲーション装置が音声で案内する道路交通情報を受信する受信部を、所定の優先順位に従って前記第1の受信部と第2の受信部との間で選択する選択ステップと、
前記選択ステップが選択した受信部が道路交通情報を受信する情報受信時刻を計算する計算ステップと、
前記計算手段が計算した情報受信時刻に音楽の再生が終了するように音楽データを組み合わせた再生リストを作成する再生リスト作成ステップとを備えることを特徴とする音楽の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−112762(P2010−112762A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283585(P2008−283585)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】