説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラム

【課題】誘導経路が通るメッシュの道路データをDVD−ROM等から取得して外部DRAMに記録する車両用ナビゲーション装置において、外部DRAMに記録する道路データの量を抑える。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置が、目的地までの暫定的な誘導経路が地図データの第1のメッシュからその隣の第2のメッシュに入り、さらに他のメッシュを経ずに第2のメッシュから第1のメッシュに入る引き返し部分経路を有している場合(130、150)、その引き返し部分経路を、第1のメッシュのみを通る代替部分経路に置き換え(140、160)、その結果の経路を誘導経路として選出する(170)。また、階層構造の地図データの各階層において区画された広域メッシュ、中域メッシュ、詳細メッシュのうち、誘導経路が通過するものだけを、外部DRAMに記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地理区画に基づく区域を単位として道路データを取得し、その取得した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置、およびそのナビゲーション装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地理区画に基づく区域(以下、メッシュという)を単位として道路データを取得してRAM等の記憶媒体に記録し、その記録した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置が広く用いられている。
【0003】
このようなナビゲーション装置の中には、当該記憶媒体に記憶するデータ量を抑えたい等の要請から、目的地までの誘導経路が定まっている場合、その誘導経路を含むメッシュのみ当該記憶媒体に記録するようになっているものがある。
【0004】
このような作動を行うナビゲーション装置の一例として、コリドー機能を有するナビゲーション装置がある。コリドー機能とは、ナビゲーション装置が有するリムーバブルな記憶媒体の読み取り装置(例えばDVDドライブ、CDドライブ)に装着された道路データ記憶媒体から、ナビゲーション装置内のDRAM等に、あらかじめ誘導経路が通過するメッシュの道路データを複写しておき、この複写された道路データを用いた道路図表示を表示装置に行わせる機能である。このようなコリドー機能を用いることで、当該読み取り装置に道路データ記憶媒体以外の記憶媒体(例えば音楽CDや映画DVD−ROM)が挿入され、ナビゲーション装置が音楽を再生しているときでも、ナビゲーション装置は、この複写されたデータを用いることで、誘導経路に沿った道路図表示を継続することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、誘導経路が通るメッシュの道路データを取得して記憶媒体に記録するナビゲーション装置においては、誘導経路の形状のわずかな違いで、記録する道路データの量が大幅に増大してしまう場合がある。例えば、図12に示すような地域において、現在位置71から目的地72までの誘導経路73が定まった場合を考える。このような場合、誘導経路73はメッシュ81〜84のすべてを通過するので、ナビゲーション装置は、これらメッシュの地図データをすべて記憶媒体に記録する。しかし、誘導経路73は、メッシュ84のごく微少な部分を通過しているに過ぎないので、この誘導経路73のメッシュ84に該当する部分を、メッシュ82に収まるように若干変更すれば、ナビゲーション装置はメッシュ84の道路データを取得する必要がなくなる。
【0006】
また、メッシュを単位として道路データを取得して記憶媒体に記録し、その記録した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、用いる道路データが、階層構造を成しているものがある。階層構造を成す道路データは、複数の階層のデータを有し、それぞれの階層のデータが、そのカバーする地域にあるリンクおよびノードのデータを有している。ただし、それぞれの階層のデータがカバーする領域は重複し、そして、その重複する領域について各階層のデータが有するリンクおよびノードのデータは一致しない。例えば、ある領域について、ある階層のデータが有するリンクおよびノードは、その階層よりも下の階層のデータが有するリンクおよびノードから一部(例えば細街路のリンク)が間引かれたものであってもよい。また、各階層におけるメッシュの広さは、上の階層ほど広いものとなっていてもよい。
【0007】
図13に、階層構造の道路データの一例を概念的に示す。図中、最上部にある最も大きな1枚の矩形が、最上位の階層用の広域メッシュを表し、最下部にある複数の矩形のそれぞれが、最下位の階層用の詳細メッシュを表し、最上部と最下部との間にある複数の矩形のそれぞれが、中間の階層用の中域メッシュを表している。1つの広域メッシュがカバーする領域を、複数の中域メッシュがカバーし、また、1つの中有域メッシュがカバーする領域を、複数の詳細メッシュがカバーしている。また、この最下位の階層用の道路データ、すなわち詳細道路データは、細街路を含めたその地域の全リンクおよびノードを含み、中間の階層用の道路データ、すなわち中域道路データは、詳細道路データから細街路を除いたリンクおよびノードを含み、最上位の階層用の道路データ、すなわち広域道路データは、中域道路データから県道等を除いた、国道および高速道路等の主要道路のみのリンクおよびノードを含んでいる。
【0008】
このような、階層構造の道路データをメッシュ単位で取得して記憶媒体に記録し、その記録した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、従来は必要以上に道路データを取得して記憶している場合がある。例えば上述したコリドー機能を有するナビゲーション装置において階層構造の道路データを用いる場合、従来は、ある広域メッシュの道路データを記憶媒体に記録するとき、その広域メッシュとカバー領域が重複する下位の階層のメッシュの道路データを、すべて記憶媒体に記録するようになっていた。
【0009】
例えば、図14に示すように、図12と同じ地域において、現在位置91から目的地92までの誘導経路93が定まった場合を考える。このような場合、誘導経路93は広域メッシュ82〜84を通過するので、上記のナビゲーション装置は、図15に示すような、広域メッシュ82〜84をカバーする全階層の全メッシュを、記憶媒体に記録する。しかし、誘導経路93は、広域メッシュ84のごく一部のみを通過するだけなので、広域メッシュ84の領域をカバーする中域メッシュおよび詳細メッシュのほとんどを、誘導経路93は通過しない。これら誘導経路93を通過しないメッシュの道路データまで常に記録することは、記憶媒体の無駄に繋がる場合がある。
【0010】
以上の通り述べた点に鑑み、本発明は、誘導経路が通るメッシュの道路データを取得して記憶媒体に記録するナビゲーション装置において、記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、道路データ取得装置と、記憶媒体と、入力された目的地までの誘導経路を選出する誘導経路選出手段と、前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む道路データを、地理区画に基づく区域(以下、メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する道路データ記録手段と、前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段と、を備え、前記誘導経路選出手段は、通過するメッシュ数が少ない経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とするナビゲーション装置である。
【0012】
このようになっているので、選出された誘導経路が通るメッシュの道路データを取得して記憶媒体に記録し、その記録された道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、選出される誘導経路が通過するメッシュ数が少なくなる傾向となるので、記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記道路データ取得装置は、道路データ記憶媒体に記録された前記道路データを読み出すことで取得し、前記道路データ記憶媒体は、ユーザが取り外し可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0014】
このようになっていることで、ナビゲーション装置は、道路データを記憶媒体に記録した後は、道路データ記憶媒体を取り外しても、誘導経路に沿った道路図表示を行うことができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記誘導経路選出手段は、前記目的地までの暫定的な誘導経路を選出し、その暫定的な誘導経路が、第1のメッシュからその隣の第2のメッシュに入り、さらに他のメッシュを経ずに前記第2のメッシュから前記第1のメッシュに入る引き返し部分経路を有している場合、前記暫定的な誘導経路の前記引き返し部分経路を、前記第1のメッシュのみを通る代替部分経路に置き換えた経路を、誘導経路として選出することを特徴とする。
【0016】
このように、ナビゲーション装置が、誘導経路選出の際に、引き返し部分経路を代替部分経路に置き換えることで、第2のメッシュを通過しない誘導経路を選出するので、選出される誘導経路が通過するメッシュ数が少なくなる傾向となる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置において、前記道路データ取得装置は、リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得し、当該ナビゲーション装置は、前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段と、前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記下位階層データを、下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段と、を備え、前記誘導経路選出手段は、通過する上位メッシュ数が少なく、かつ通過する下位メッシュ数が少なくなる経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とする。
【0018】
このようになっているので、選出された誘導経路が通るメッシュの階層構造道路データを取得して記憶媒体に記録し、その記録された道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、選出される誘導経路が通過する上位メッシュおよび下位メッシュの数が共に少なくなる傾向となるので、記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得する道路データ取得装置と、記憶媒体と、入力された目的地までの誘導経路を選出する誘導経路選出手段と、前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段と、前記道路データ取得装置を用いて、前記下位階層データから、前記上位階層記録手段が取得して記録する上位メッシュと地理的に重なる、前記上位階層用の地理区画よりも細かい下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)のうち、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路が通らない下位メッシュが除外された複数の下位メッシュを取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段と、前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置である。
【0020】
このようになっているので、階層構造道路データをメッシュ単位で取得して記憶媒体に記録し、その記録した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、道路データが取得・記録される上位メッシュと地理的に重なる下位メッシュのうち、選出された誘導経路が通らない下位メッシュ(の一部または全部)については取得・記録の対象から除外されるので、その分記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることができる。
【0021】
なお、下位メッシュのカバーする地理領域の一部または全部と、上位メッシュのカバーする地理領域の一部とが一致するとき、当該下位メッシュは当該上位メッシュと地理的に重なるという。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、前記道路データ取得装置は、階層構造道路データ記憶媒体に記録された前記階層構造道路データを読み出すことで取得し、前記階層構造道路データ記憶媒体は、ユーザが取り外し可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0023】
このようになっていることで、ナビゲーション装置は、道路データを記憶媒体に記録した後は、道路データ記憶媒体を取り外しても、誘導経路に沿った道路図表示を行うことができる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、道路データ取得装置を用いて、選出された誘導経路を含む道路データを、地理区画に基づく区域(以下、メッシュという)を単位として取得して記憶媒体に記録する道路データ記録手段、および、前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段として機能させるプログラムであって、前記誘導経路選出手段は、通過するメッシュ数が少ない経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とするプログラムである。
【0025】
このようなプログラムがナビゲーション装置において実行されることで、選出された誘導経路が通るメッシュの道路データを取得して記憶媒体に記録し、その記録された道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、選出される誘導経路が通過するメッシュ数が少なくなる傾向となるので、記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることができる。
【0026】
また、請求項8に記載の発明は、コンピュータを、リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得する道路データ取得装置を用いて、選出された誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段、前記道路データ取得装置を用いて、前記下位階層データから、前記上位階層記録手段が取得する上位メッシュと地理的に重なる、前記上位階層用の地理区画よりも細かい下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)のうち、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路が通らない下位メッシュが除外された複数の下位メッシュを取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段、および、前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段として機能させるプログラムである。
【0027】
このようなプログラムがナビゲーション装置において実行されることで、階層構造道路データをメッシュ単位で取得して記憶媒体に記録し、その記録した道路データに基づいて道路図を表示装置に表示させるナビゲーション装置において、道路データが取得・記録される上位メッシュと地理的に重なる下位メッシュのうち、選出された誘導経路が通らない下位メッシュについては取得・記録の対象から除外されるので、その分記憶媒体に記録する道路データの量を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、音声回路14、スピーカ14a、マイク14b、VICS受信機15、RAM16、ROM17、地図データ読取器18、外部DRAM19、および制御回路20を有している。
【0029】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路20に出力する。
【0030】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路20に出力する。
【0031】
画像表示装置13は、制御回路20から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0032】
音声回路14は、制御回路20から受けた音声データに基づく音声信号をスピーカ14aに出力し、マイク14bが検出した音声信号に基づく音声データを制御回路20に出力する。
【0033】
VICS受信機15は、道路沿いに設置された路上機から無線送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等を受信して制御回路20に出力する無線受信機である。
【0034】
地図データ読取器18は、持ち運び可能な地図データ記憶媒体やオーディオビジュアルデータ記憶媒体をユーザが自由に着脱することができ、制御回路20の制御に基づいて、装着された記憶媒体からデータを読み出す装置である。地図データ読取器18の例としては、例えばCDドライブ、DVDドライブ等があり、地図データ記憶媒体の例としては、地図データCD−ROM、地図データDVD−ROM等があり、オーディオビジュアルデータ記憶媒体の例としては、音楽CD、映画DVD−ROM等がある。
【0035】
本実施形態において地図データ読取器18に装着される地図データCD−ROMや地図データDVD−ROMが記憶する地図データは、リンクおよびノードの位置、種別、ノードとリンクとの接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。また、この地図データは、3階層の階層構造となっている。すなわち、地図データは、広域データ、中域データ、および詳細データという、3つの階層データを含んでいる。そして、各階層データは、それぞれが道路データおよび施設データを有している。そして、各階層データが道路データおよび施設データを有する地理範囲、すなわち各階層データのカバーエリアは、互いに一致している。図2に、地図データの階層構造を概念的に示す。図中、最上部にある一枚の矩形が、最上位の階層の広域データを表し、最下部にある複数の矩形の集合が、最下位の階層の詳細データを表し、最上部と最下部との間にある複数の矩形が、中間の階層の中域データを表している。そして、各階層データの矩形が上から覆っている領域が、その階層データのカバーエリアを表している。
【0036】
各階層データ間の違いは、それぞれが有する地図データおよび施設データの量である。上位の階層の階層データほど、その地図データが含むリンクおよびノード、およびその施設データが含む施設数が、下位の階層データに比べて間引かれている。例えば、道路データに関しては、詳細データは、細街路を含めたその地域の全リンクおよびノードを含み、中域データは、詳細データから細街路を除いたリンクおよびノードを含み、広域データは、中域データから県道等を除いた、国道および高速道路等の主要道路のみのリンクおよびノードを含んでいる。
【0037】
また、各階層データのカバーエリアは、それぞれの階層毎に異なる所定の粗さで碁盤の目状に区画されている。具体的には、上位の階層の階層データほど、その区画がより粗くなっている。以下、広域データの区画された個々の区域を、広域メッシュといい、中域データの区画された個々の区域を、中域メッシュといい、詳細データの区画された個々の区域を、詳細メッシュという。このような階層毎の区画の結果、1つの広域メッシュのカバーエリアは、複数の中域メッシュのカバーエリアの集合と一致し、また1つの中域メッシュのカバーエリアは、複数の詳細メッシュのカバーエリアの集合と一致するようになっている。
以下、ある広域メッシュのカバーエリアの一部をカバーエリアとする中域メッシュを、その広域メッシュの子メッシュという。また、ある中域メッシュのカバーエリアの一部をカバーエリアとする詳細メッシュを、その中域メッシュの子メッシュという。また、ある広域メッシュの子メッシュの子メッシュを、その広域メッシュの孫メッシュという。
【0038】
外部DRAM19は、地図データ読取器18から読み出された地図データの一部を記録できる程度の容量を有する記憶媒体である。
【0039】
制御回路(コンピュータに相当する)20は、ROM17から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、地図データ読取器18、および外部DRAM19から情報を読み出し、RAM16および地図データ読取器18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13および音声回路14と信号の授受を行う。
【0040】
制御回路20がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路選出処理、経路案内処理、データ待避処理、オーディオビジュアル再生処理等がある。
【0041】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。なお、以下で制御回路20が用いる現在位置は、この現在位置特定処理によって特定した現在位置であるものとする。
【0042】
誘導経路選出処理は、操作スイッチ群12または音声回路14からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの可能な経路のうち、最適な誘導経路を選び出す処理である。
【0043】
経路案内処理は、地図データ読取器18から地図データを読み出し、選出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す道路地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に表示させ、案内交差点の手前に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号を音声回路14に出力する処理である。
【0044】
データ待避処理は、制御回路20が経路案内処理の実行に先立ち行う処理であり、地図データ読取器18に挿入された地図データ記憶媒体から、誘導経路沿いの地図データを、メッシュを最小単位として選択的に読み出し、読み出した地図データを外部DRAM19に記録する処理である。
【0045】
オーディオビジュアル再生処理は、地図データ読取器18に挿入されたオーディオビジュアルデータ記憶媒体に記録された音楽データを音声回路14に出力し、または映像データに基づくビデオ映像を画像表示装置13に表示させる処理である。
【0046】
本実施形態においては、制御回路20は、地図データ読取器18に地図データ記憶媒体が装着されているときに、誘導経路選出処理によって誘導経路を確定した後、データ待避処理によってその地図データ記憶媒体中の地図データの一部を外部DRAM19に複写し、その後、地図データ読取器18に装着される記憶媒体が地図データ記憶媒体からオーディオビジュアルデータ記憶媒体に取り替えられた後、経路案内処理とオーディオビジュアル再生処理を並列的に実行する。この経路案内処理とオーディオビジュアル再生処理の並列実行時においては、制御回路20は、音楽データを音声回路14に出力すると共に、外部DRAM19中の地図データを用いて、誘導経路を含む道路地図を画像表示装置13に表示させる。このとき、オーディオビジュアル再生処理がビデオ映像を画像表示装置13に表示させる場合には、制御回路20は、画像表示装置13に、一方には道路地図を表し、他方にはビデオ映像を表す分割画面表示を行わせてもよい。このような制御回路20の処理によって実現する、オーディオビジュアルデータ記憶媒体の再生と道路地図表示を両立させる機能を、コリドー機能という。
【0047】
このコリドー機能のために、制御回路20は、誘導経路選出処理として、図3に示す誘導経路算出用プログラム100を実行するようになっている。この誘導経路算出用プログラム100の実行において、制御回路20は、まずステップ110で目的地の入力を操作スイッチ群12またはマイク14bで受け付け、続いてステップ120で、暫定誘導経路を算出する。暫定誘導経路の算出は、どのような方法で行ってもよいが、例えば、現在地から目的地に至ることのできる可能経路のうち、その可能経路中のリンク毎のコストの総和が最も低い経路を、暫定誘導経路とする方法がある。このとき、リンクのコストは、例えば、リンクの長さが長いほど値が大きくなり、右左折後のリンクである方がそうでない方よりも値が大きく、信号機通過後のリンクである方がそうでない方よりも値が大きくなり、VICS受信機15によって取得したそのリンク渋滞度が大きいほど値が大きくなり、かつ、そのリンクが主要道である方が細街路である場合よりも値が大きくなるような計算によって求める。
【0048】
なお、本実施形態においては、地図データが階層構造となっているので、暫定誘導経路算出も階層的に行う。具体的には、まず、広域データに含まれる主要道のうちから、現在位置付近から目的地付近までの(例えば最もコストの低い)経路(以下、広域経路という)を選び出す。続いて、中域データに含まれる道路のうちから、現在位置付近から広域経路に繋がる(例えば最もコストの低い)経路(以下、第1中域経路という)、および、広域経路から目的地付近に繋がる(例えば最もコストの低い)経路(以下、第2中域経路という)を選び出す。続いて、詳細データに含まれる道路のうちから、現在位置から第1中域経路に繋がる(例えば最もコストの低い)経路(以下、第1詳細経路という)、および、第2中域経路から目的地に繋がる(例えば最もコストの低い)経路(以下、第2詳細経路という)を選び出す。そして、第1詳細経路→第1中域経路→広域経路→第2中域経路→第2詳細経路の順に繋がる経路を、暫定誘導経路とする。
【0049】
図4に、ステップ120で選出された暫定誘導経路の一例を示す。この図においては、現在位置25から目的地26までの暫定誘導経路27が、広域メッシュ31〜34を通っている。
【0050】
続いてステップ130では、現在の暫定誘導経路において、広域メッシュ上の引き返し部分経路があるか否かを判定する。広域メッシュ上の引き返し部分経路とは、現在の暫定誘導経路のうち、ある広域メッシュA(第1のメッシュの一例に相当する)からその隣の広域メッシュB(第2のメッシュの一例に相当する)に入り、さらに他の広域メッシュを経ずに広域メッシュBから広域メッシュAに戻る部分経路をいう。例えば、図4の暫定誘導経路27においては、広域メッシュ32から広域メッシュ34に入り、続いて広域メッシュ34から広域メッシュ32に戻る部分経路が、広域メッシュ上の引き返し部分経路に相当する。広域メッシュ上の引き返し部分経路が1つ以上ある場合、続いてステップ140を実行し、1つもない場合、続いてステップ150を実行する。
【0051】
ステップ140では、直前のステップ130で見つかった広域メッシュ上の引き返し部分経路のそれぞれを、代替部分経路で置き換える。この代替部分経路は、対応する引き返し部分経路(すなわち、広域メッシュAからその隣の広域メッシュBに入り、さらに他の広域メッシュを経ずに広域メッシュBから広域メッシュAに戻るような経路)と端点を同じくし、かつ、広域メッシュAから他のメッシュに出ない部分経路である。
【0052】
図5に、図4の暫定誘導経路27において、広域メッシュ上の引き返し部分経路が代替部分経路に置き換えられた後の暫定誘導経路28を示す。この例においては、広域メッシュ上の引き返し部分経路が代替部分経路に置き換わることで、結果として生成された暫定誘導経路28が、広域メッシュ34を通ることがなくなる。ステップ140の後、再びステップ130を実行する。このようなステップ130、140の繰り返しにより、暫定誘導経路から最終的に広域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなるまで、その引き返し部分経路から代替部分経路への置き換えが繰り返される。
【0053】
なお、ある暫定誘導経路について、広域メッシュ上の引き返し部分経路のすべてを1回のステップ140で代替部分経路に置き換えても、後のステップ130で、またその置き換えが行われた後の暫定誘導経路が、広域メッシュ上の引き返し部分経路を有している場合とは、例えば図6(a)に示すような、縦に並ぶ広域メッシュ61〜63において、広域メッシュ61→広域メッシュ62→広域メッシュ63→広域メッシュ62→広域メッシュ61という経路を辿る暫定誘導経路64が、ステップ140の置き換えによって、図6(b)に示すような、広域メッシュ61→広域メッシュ62→広域メッシュ61という経路を辿る暫定誘導経路65に変わる場合である。この図6の例においては、暫定誘導経路65は、更にステップ140の置き換えによって、最終的に、図6(c)に示すような、広域メッシュ61〜63のうち、広域メッシュ61のみを通過する暫定誘導経路66に変化する。
【0054】
なお、ステップ140で、広域メッシュ上の引き返し部分経路に対応する代替部分経路が見つからない場合は、その引き返し部分経路の置き換えは行わず、後のステップ130の処理においては、その引き返し部分経路は広域メッシュ上の引き返し部分経路でないとみなすようになっていてもよい。
【0055】
ステップ150では、現在の暫定誘導経路において、中域メッシュ上の引き返し部分経路があるか否かを判定する。中域メッシュ上の引き返し部分経路とは、現在の暫定誘導経路のうち、ある中域メッシュC(第1のメッシュの一例に相当する)からその隣の中域メッシュD(第2のメッシュの一例に相当する)に入り、さらに他の中域メッシュを経ずに中域メッシュDから中域メッシュCに戻る部分経路をいう。ここで、図5に示した暫定誘導経路28の広域メッシュ32を通る部分の、その広域メッシュ32の子メッシュとの位置関係を、図7に示す。この図に示す通り、暫定誘導経路28は、広域メッシュ32の子メッシュである中域メッシュ321〜324を、中域メッシュ322→中域メッシュ324→中域メッシュ323→中域メッシュ321→中域メッシュ323の順に通っている。このような暫定誘導経路28においては、中域メッシュ323から中域メッシュ321に入り、さらに中域メッシュ323に戻る部分経路が、中域メッシュ上の引き返し部分経路に相当する。中域メッシュ上の引き返し部分経路が1つ以上ある場合、続いてステップ160を実行し、1つもない場合、続いてステップ170を実行する。
【0056】
ステップ160では、直前のステップ140で見つかった中域メッシュ上の引き返し部分経路のそれぞれを、代替部分経路で置き換える。この代替部分経路は、対応する引き返し部分経路(すなわち、中域メッシュCからその隣の中域メッシュDに入り、さらに他の中域メッシュを経ずに中域メッシュDから中域メッシュCに戻るような経路)と端点を同じくし、かつ、中域メッシュCから他のメッシュに出ない部分経路である。
【0057】
図8に、図7の暫定誘導経路27において、中域メッシュ上の引き返し部分経路が代替部分経路に置き換えられた後の暫定誘導経路29を示す。この例においては、中域メッシュ上の引き返し部分経路が代替部分経路に置き換わることで、結果として生成された暫定誘導経路29が、中域メッシュ321を通ることがなくなる。ステップ160の後、再びステップ150を実行する。このようなステップ150、160の繰り返しにより、暫定誘導経路から最終的に中域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなるまで、その引き返し部分経路から代替部分経路への置き換えが繰り返される。
【0058】
なお、ステップ160で、中域メッシュ上の引き返し部分経路に対応する代替部分経路が見つからない場合は、その引き返し部分経路の置き換えは行わず、後のステップ150の処理においては、その引き返し部分経路は中域メッシュ上の引き返し部分経路でないとみなすようになっていてもよい。
【0059】
ステップ170では、現在の暫定経路を、確定した誘導経路として選出し、その後誘導経路算出用プログラム100の実行を終了する。
【0060】
以上のような誘導経路算出用プログラム100を制御回路20が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、入力された目的地(ステップ110参照)までの暫定的な誘導経路を選出し(ステップ120参照)、その暫定的な誘導経路が広域メッシュ上の引き返し部分経路を有している場合(ステップ130参照)、引き返し部分経路を代替部分経路に置き換える処理(ステップ140)を、その暫定誘導経路から広域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなるまで、繰り返し行い、その後、広域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなった暫定的な誘導経路が中域メッシュ上の引き返し部分経路を有している場合(ステップ150参照)、引き返し部分経路を代替部分経路に置き換える処理(ステップ160)を、その誘導経路から中域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなるまで、繰り返し行い、その結果生成された、広域メッシュ上の引き返し部分経路も中域メッシュ上の引き返し部分経路も有さない暫定誘導経路を、確定した誘導経路として選出する(ステップ170参照)。
【0061】
このように、車両用ナビゲーション装置1が、誘導経路選出の際に、広域メッシュ上の引き返し部分経路および中域メッシュ上の引き返し部分経路を代替部分経路に置き換えることで、元のメッシュから一旦入ってそのまま元のメッシュに戻るような経路を、その元のメッシュに留まる経路に変更し、その変更後の経路を確定した誘導経路として選出するので、選出される誘導経路が通過する広域メッシュ数および中域メッシュ数が少なくなる傾向となり、外部DRAM19に記憶する地図データの量を抑えることができる。
【0062】
また、制御回路20は、データ待避処理の実現のために、図9に示す地図データ待避用プログラム200を実行するようになっている。制御回路20は、この地図データ待避用プログラム200の実行において、まずステップ210で、広域メッシュのうち、誘導経路選出処理によって選出された誘導経路の全行程のうちいずれか一部を含む広域メッシュ(すなわち誘導経路が通る広域メッシュ)のみを選択し、地図データ読取器18を用いて地図データ記憶媒体からそれら選択した広域メッシュに対応する広域データのみを読み出して外部DRAM19に複写する。続いてステップ220で、中域メッシュのうち、誘導経路の全行程のうちいずれか一部を含む中域メッシュのみを選択し、地図データ読取器18を用いて地図データ記憶媒体からそれら選択した中域メッシュに対応する中域データのみを読み出して外部DRAM19に複写する。続いてステップ230で、詳細メッシュのうち、誘導経路の全行程のうちいずれか一部を含む詳細メッシュのみを選択し、地図データ読取器18を用いて地図データ記憶媒体からそれら選択した詳細メッシュに対応する詳細データのみを読み出して外部DRAM19に複写する。ステップ230の後、地図データ待避用プログラム200の実行が終了する。
【0063】
図10に、確定した誘導経路の一例を示す。この図においては、現在位置41から目的地42までの誘導経路43が、広域メッシュ51〜54のうち、広域メッシュ52〜54を通っている。したがって、この例においては、ステップ210で、広域メッシュ52〜54に対応する広域データが地図データ記憶媒体から外部DRAM19に複写される。
【0064】
また、図11に、広域メッシュ52、広域メッシュ53、および広域メッシュ54のそれぞれの子メッシュおよび孫メッシュと誘導経路43との位置関係を示す。図11の中段左列に示される広域メッシュ53の子メッシュである中域メッシュ531〜534のうち、誘導経路43が通るのは、中域メッシュ531、532、533の3つである。また、図11の中段中列に示される広域メッシュ54の子メッシュである中域メッシュ541〜544のうち、誘導経路43が通るのは、中域メッシュ541のみである。また、図11の中段右列に示される広域メッシュ52の子メッシュである中域メッシュ521〜524のうち、誘導経路43が通るのは、中域メッシュ521、522、523の3つである。したがって、この例においては、ステップ220で、広域メッシュ52〜54の子メッシュのうち、中域メッシュ531、532、533、541、521、522、523に対応する中域データのみが、地図データ記憶媒体から外部DRAM19に複写される。
【0065】
また、図11の中段下列に示される広域メッシュ53の孫メッシュである詳細メッシュ5311〜5344のうち、誘導経路43が通るのは、詳細メッシュ5322、5324、5323、5314、5332、5334、5333の7つである。また、図11の中段中列に示される広域メッシュ54の孫メッシュである詳細メッシュのうち、誘導経路43が通るのは、詳細メッシュ5411のみである。また、図11の中段右列に示される広域メッシュ52の孫メッシュである詳細メッシュのうち、誘導経路43が通るのは、詳細メッシュ5223、5214、5232、5231、5233のみである。したがって、この例においては、ステップ230で、広域メッシュ52〜54の孫メッシュのうち、詳細メッシュ5322、5324、5323、5314、5332、5334、5333、5411、5223、5214、5232、5231、5233に対応する詳細データのみが、地図データ記憶媒体から外部DRAM19に複写される。
【0066】
このような地図データ待避用プログラム200を制御回路20が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、階層構造の地図データをメッシュ単位で取得して地図データ記憶媒体から外部DRAM19に複写する際に、複写される広域メッシュの子メッシュ、孫メッシュのうち、選出された誘導経路が通らない下位メッシュのすべてを複写の対象から除外するので、複写される広域メッシュの子メッシュおよび孫メッシュに対応する地図データがすべて外部DRAM19に複写される場合に比べて、大幅に複写データ量が低減される。
【0067】
なお、上記の実施形態においては、地図データ読取器18が道路データ取得装置の一例となり、地図データ記憶媒体が道路データ記憶媒体の一例および階層構造データ記憶媒体の一例となり、外部DRAM19が記憶媒体の一例となる。また、制御回路20が、誘導経路選出用プログラム100を実行することで、誘導経路選出手段の一例として機能し、地図データ待避用プログラム200を実行することで、道路データ記録手段の一例として機能し、経路案内機能を実行することで、道路図表示制御手段の一例として機能する。
【0068】
また、地図データが道路データの一例および階層構造道路データの一例であり、広域メッシュ、中域メッシュ、および詳細メッシュが、それぞれメッシュの一例である。また、広域データと中域データの関係においては、広域データが上位階層データの一例となり、中域データが下位階層データの一例となり、広域メッシュが上位メッシュの一例となり、中域メッシュが下位メッシュの一例となる。また、中域データと詳細データの関係においては、中域データが上位階層データの一例となり、詳細データが下位階層データの一例となり、中域メッシュが上位メッシュの一例となり、詳細メッシュが下位メッシュの一例となる。また、広域データと詳細データの関係においては、広域データが上位階層データの一例となり、詳細データが下位階層データの一例となり、広域メッシュが上位メッシュの0一例となり、詳細メッシュが下位メッシュの一例となる。
【0069】
また、広域データと中域データの関係においては、制御回路20が、地図データ待避用プログラム200のステップ210を実行することで、上位階層データ記録手段の一例として機能し、ステップ220を実行することで、下位階層データ記録手段の一例として機能する。また、中域データと詳細データの関係においては、制御回路20が、地図データ待避用プログラム200のステップ220を実行することで、上位階層データ記録手段の一例として機能し、ステップ230を実行することで、下位階層データ記録手段の一例として機能する。また、広域データと詳細データの関係においては、制御回路20が、地図データ待避用プログラム200のステップ220を実行することで、上位階層データ記録手段の一例として機能し、ステップ230を実行することで、下位階層データ記録手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0070】
例えば、各階層のメッシュを区切る区画は、必ずしも矩形である必要はなく、どのような形状であってもよいし、同じ階層において同一の形状である必要も、同一の大きさである必要もない。また、地理区画は、(例えば誘導経路の平均速度によって)、変化するようになっていてもよい。
【0071】
また、地図データの各階層データのカバーエリアは、互いに一致しておらずともよく、重なっていれば足りる。
【0072】
また、地図データの階層は、2階層でもよいし、4階層以上でもよい。また、誘導経路選出の機能のみに着目すれば、地図データは必ずしも階層構造を有しておらずともよい。
【0073】
また、制御回路20は、コリドー機能を実行する旨の操作スイッチ群12に対するユーザの所定の操作があったことに基づいて、誘導経路選出用プログラム100の実行においてステップ120〜160を実行し、また、経路案内処理に先立って地図データ待避用プログラム200を実行するようになっていてもよい。
【0074】
また、制御回路20は、地図データ待避用プログラム200の実行において、誘導経路の全行程のいずれかを含むメッシュの道路データを複写するようになっているが、誘導経路の全行程ではなく、例えば誘導経路の半行程のいずれかを含むメッシュの道路データを複写するようになっていてもよい。
【0075】
また、制御回路20は、地図データ待避用プログラム200の実行において、各階層において、その階層のメッシュのうち、誘導経路選出処理によって選出された誘導経路を含むメッシュおよびその隣のメッシュのみを選択し、地図データ読取器18を用いて地図データ記憶媒体からそれら選択したメッシュに対応する当該階層データのみを読み出して外部DRAM19に複写するようになっていてもよい。すなわち、車両用ナビゲーション装置1は、下位メッシュのうち、誘導経路選出手段が選出した誘導経路が通らない下位メッシュの一部または全部が除外された複数の下位メッシュに対応する地図データを取得して記憶媒体に記録するようになっていれば足りる。
【0076】
また、地図データ読取器18から取得した道路データを記録する対象は、外部DRAM19である必要はなく、車両内にあって制御回路20がデータアクセスすることができる記憶媒体であれば、どのようなものでもよい。
【0077】
また、制御回路20がアクセスできる記憶媒体に記録する道路データは、必ずしも地図データ読取器18から取得せずともよい。例えば、ハードディスクに道路データが記録されている場合、そのハードディスクから、そのハードディスクよりも読み取り速度の速いRAM16や外部DRAM19に、あらかじめ道路データを記録させるような場合にも、本発明の誘導経路算出処理およびデータ待避処理は適用できる。この場合、ハードディスクドライブが道路データ取得装置の一例となり、RAM16または外部DRAM19が、記憶媒体の一例となる。
【0078】
また例えば、車両用ナビゲーション装置1が図示しない無線通信回路(例えば無線LANインターフェース)を用いて、インターネット等のデータ通信ネットワーク上の道路データサーバから車両用ナビゲーション装置1のハードディスクや外部DRAM19に地図データをダウンロードする場合にも、本発明の誘導経路算出処理およびデータ待避処理は適用できる。この場合、無線通信回路が道路データ取得装置の一例となり、ハードディスクや外部DRAM19が、記憶媒体の一例となる。
【0079】
また、制御回路20は、誘導経路算出用プログラム100の実行において、ステップ150、160を実行せず、ステップ130で否定の判定があった場合、続いてステップ170を実行するようになっていてもよい。
【0080】
また、制御回路20は、誘導経路算出用プログラム100の実行において、中域メッシュ上の引き返し部分経路がなくなった暫定的な誘導経路が、詳細メッシュ上の引き返し部分経路を有している場合、引き返し部分経路を代替部分経路に置き換える処理を、その暫定誘導経路から詳細メッシュ上の引き返し部分経路がなくなるまで、繰り返し行い、その結果生成された、広域メッシュ上の引き返し部分経路も中域メッシュ上の引き返し部分経路も詳細メッシュ上の引き返し部分経路も有さない暫定誘導経路を、確定した誘導経路として選出するようにしてもよい。
【0081】
また、制御回路20は、ステップ130〜170では、引き返し部分経路に該当する部分経路が高速道路を含んでいるときは、その部分経路を引き返し部分経路とみなさないようになっていてもよい。このようにすることで、高速道路は代替部分経路で置き換わらないようになる。
【0082】
また、制御回路20は、ステップ130〜170を実行せず、ステップ120で算出した誘導経路を、確定した誘導経路として選出し、そしてその算出の際、リンクのコストを、上記実施形態の条件に加え、そのリンクがメッシュとメッシュの境界を横切る回数が多いほど大きくなる値として計算するようになっていてもよい。
【0083】
つまり、誘導経路選出処理は、通過するメッシュ数が少ない経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出するようになっていれば足りる。
【0084】
また、特定された目的地を対象とする案内は、上記の実施形態のように経路に沿った案内でなくともよく、例えば、自車両の向きに対するその目的地への相対的方角のみの簡易案内であっても、その目的地を道路地図上に表示するだけの案内であってもよい。
【0085】
また、本発明のナビゲーション装置は、上述の実施形態のような車両用ナビゲーション装置1に限らず、人が携帯することのできるようなナビゲーション装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】地図データの階層構造を概念的に示す図である。
【図3】制御回路20が実行する誘導経路選出用プログラム100のフローチャートである。
【図4】広域メッシュ31〜34を通る暫定誘導経路27を示す図である。
【図5】広域メッシュ31〜33を通る暫定誘導経路28を示す図である。
【図6】引き返し部分経路を暫定誘導経路に繰り返し置き換える様子を概念的に示す図である。
【図7】中域メッシュ321〜324を通る暫定誘導経路28を示す図である。
【図8】中域メッシュ322〜324を通る誘導経路29を示す図である。
【図9】制御回路20が実行する地図データ待避用プログラム200のフローチャートである。
【図10】広域メッシュ51〜54を通る誘導経路43を示す図である。
【図11】外部DRAM19に読み出すメッシュと読み出さないメッシュの区別を示す図である。
【図12】メッシュ81〜84を通る誘導経路73を示す図である。
【図13】道路データの階層構造を概念的に示す図である。
【図14】メッシュ81〜84を通る誘導経路933を示す図である。
【図15】記憶媒体に読み出すメッシュを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…音声回路、14a…スピーカ、14b…マイク、
15…VICS受信機、16…RAM、17…ROM、18…地図データ読取器、
19…外部DRAM、20…制御回路、25、41…現在位置、26、42…目的地、
27〜29、64〜66…暫定誘導経路、
31〜34、51〜54、61〜63…広域メッシュ、
100…誘導経路算出用プログラム、200…地図データ待避用プログラム、
321〜324、521〜524、531〜534、541〜544…中域メッシュ、
5311〜5411…詳細メッシュ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路データ取得装置と、
記憶媒体と、
入力された目的地までの誘導経路を選出する誘導経路選出手段と、
前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む道路データを、地理区画に基づく区域(以下、メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する道路データ記録手段と、
前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段と、を備え、
前記誘導経路選出手段は、通過するメッシュ数が少ない経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記道路データ取得装置は、道路データ記憶媒体に記録された前記道路データを読み出すことで取得し、
前記道路データ記憶媒体は、ユーザが取り外し可能な記憶媒体であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記誘導経路選出手段は、前記目的地までの暫定的な誘導経路を選出し、その暫定的な誘導経路が、第1のメッシュからその隣の第2のメッシュに入り、さらに他のメッシュを経ずに前記第2のメッシュから前記第1のメッシュに入る引き返し部分経路を有している場合、前記暫定的な誘導経路の前記引き返し部分経路を、前記第1のメッシュのみを通る代替部分経路に置き換えた経路を、誘導経路として選出することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記道路データ取得装置は、リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得し、
当該ナビゲーション装置は、
前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段と、
前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記下位階層データを、下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段と、を備え、
前記誘導経路選出手段は、通過する上位メッシュ数が少なく、かつ通過する下位メッシュ数が少なくなる経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得する道路データ取得装置と、
記憶媒体と、
入力された目的地までの誘導経路を選出する誘導経路選出手段と、
前記道路データ取得装置を用いて、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して前記記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段と、
前記道路データ取得装置を用いて、前記下位階層データから、前記上位階層記録手段が取得して記録する上位メッシュと地理的に重なる、前記上位階層用の地理区画よりも細かい下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)のうち、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路が通らない下位メッシュが除外された複数の下位メッシュを取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段と、
前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
前記道路データ取得装置は、階層構造道路データ記憶媒体に記録された前記階層構造道路データを読み出すことで取得し、
前記階層構造道路データ記憶媒体は、ユーザが取り外し可能な記憶媒体であることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
コンピュータを、
道路データ取得装置を用いて、選出された誘導経路を含む道路データを、地理区画に基づく区域(以下、メッシュという)を単位として取得して記憶媒体に記録する道路データ記録手段、および、
前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段として機能させるプログラムであって、
前記誘導経路選出手段は、通過するメッシュ数が少ない経路の方が、誘導経路としてより選出されやすくなるような方法で、入力された目的地までの誘導経路を選出することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
リンクおよびノードのデータを含む上位階層データ、および、前記上位階層データが含まないリンクおよびノードのデータを含む下位階層データを有する階層構造道路データを取得する道路データ取得装置を用いて、選出された誘導経路を含む前記上位階層データを、上位階層用の地理区画に基づく区域(以下、上位メッシュという)を単位として取得して記憶媒体に記録する上位階層データ記録手段、
前記道路データ取得装置を用いて、前記下位階層データから、前記上位階層記録手段が取得する上位メッシュと地理的に重なる、前記上位階層用の地理区画よりも細かい下位階層用の地理区画に基づく区域(以下、下位メッシュという)のうち、前記誘導経路選出手段が選出した誘導経路が通らない下位メッシュが除外された複数の下位メッシュを取得して前記記憶媒体に記録する下位階層データ記録手段、および、
前記記憶媒体に記録された前記誘導経路を含む道路データに基づいて、道路図を表示装置に表示させる道路図表示制御手段として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−317322(P2006−317322A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141067(P2005−141067)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】