説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラム

【課題】地図データに特別な情報を含めることと必要とせず、かつ、ユーザの意図をより直接的に反映することができるように、誘導経路の出発地点を決定できる技術を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、初期出発地点から目的地点までの初期誘導経路を算出して表示し(110、120)、ユーザによる出発地点変更の旨の操作を受け付けると(130)、続いて出発地変更受付用の画面として、初期出発地点、現在位置、および初期誘導経路を含む画像を表示する(140)。そして、ユーザによる当該受付用画面を利用した代替出発地点の指定を受け付けると(150)、受け付けた指定地点に基づいて、実際の代替出発地点を特定し(160)、特定した代替出発地点から目的地点までの誘導経路を、初期誘導経路に代わる代替誘導経路として算出する(110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地点までの誘導経路を探索するナビゲーション装置において、現在位置が道路上にあるとナビゲーション装置が認識できる場合には、当該現在位置を誘導経路の出発地点とするようになっている。しかし、駐車場などの道路から外れた場所に現在位置がある場合等、現在位置が道路上にあると認識できない場合もある。このような場合には、現在位置から最も近い道路を出発地点とすることが一般的である。
【0003】
しかしながら、図9に例示するように、実際には現在位置21が駐車場などの広い施設22内にあり、当該施設22の出口24が現在位置21から一番近い道路とは違う側にある可能性があり、その場合にはユーザの意図しない位置から誘導経路23が始まることになってしまう。
【0004】
その結果、実際にユーザが施設22を出ようとしても、施設22のどこから外に出ればよいのか、また駐車場を出て右折すればよいのか左折すればよいのか、等がわからないという事態が発生し得る。
【0005】
このような事態を回避するための技術として、地図データ内にある施設データに出口24の位置情報を含め、施設22内に現在位置21があるとナビゲーション装置が認識した場合には、その出口24を出発地点として誘導経路を探索する技術が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2005−37275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、地図データ内に施設データとして出口の情報をあらかじめ記録しておく必要があるが、現実問題として、全国の施設すべてに対してそのような情報を記録することは、地図データの整備およびメンテナンスの手間の増大、それだけの情報を地図データに入れる事によるデータ量の増大等の問題に鑑みれば、非現実的である。また、そのような出口を出発地とすることが、必ずしもユーザの意図通りであるとは限らない。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、地図データに特別な情報を含めることと必要とせず、かつ、ユーザの意図をより直接的に反映することができるように、誘導経路の出発地点を決定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の特徴において、ナビゲーション装置が、出発地点から目的地点までの誘導経路を、当該出発地点が含まれるように画像表示装置に表示させ、また、表示された出発地点に代わる代替出発地点のユーザによる指定を受け付け、受け付けた指定に基づいて、当該代替出発地点を特定する。更にナビゲーション装置は、特定した代替出発地点から当該目的地までの経路を、それまでの誘導経路に代わる代替誘導経路として算出する。
【0009】
このようになっていることで、ユーザは、出発地点を含む誘導経路を視覚的に把握しながら、当該出発地点に代わる代替出発地点を指定することができるので、地図データに特別な情報を含めることと必要とせず、かつ、ユーザの意図をより直接的に反映した出発地点の特定が可能となる。
【0010】
また、ナビゲーション装置は、代替出発地点として特定することができる位置範囲を、当該ナビゲーション装置の現在位置に基づいて選んだ道路(以下、選択道路という)に限定するようになっていてもよい。
【0011】
このように、代替出発地点として特定することができる位置範囲を現在位置に基づいて制限することで、現在位置にとって不適切な位置をユーザが指定しても、その位置を代替出発地点しないようにすることができる。
【0012】
また、ナビゲーション装置は、ユーザによる指定に係る位置が、当該選択道路から離れている場合、当該選択道路中の当該指定位置に最も近い位置を、代替出発地点とするようになっていてもよい。
【0013】
このようになっていることで、ユーザが選択道路上の位置を指定しようとしたが実際の指定位置は選択道路からずれてしまった場合でも、そのずれを修正して代替出発地点を特定することができる。
【0014】
また、ナビゲーション装置は、道路以外のものとしてあらかじめ区画されたエリア内に現在位置が入っている場合、当該エリアに隣接する道路を選択道路とするようになっていていてもよい。このようになっていることで、道路以外のものとしてあらかじめ区画されたエリア(例えば駐車場)に隣接する道路が代替出発地点になる。通常、上記のように区画されたエリアから外に出るには、当該エリアに隣接する道路にまず入る必要がある。したがって、現在位置を含む領域の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0015】
また、ナビゲーション装置は、現在位置を取り囲む道路を選択道路とするようになっていてもよい。通常、現在位置を取り囲む道路があれば、ナビゲーション装置のユーザはその道路を通って目的地点に向うはずである。したがって、このようになっていることで、現在位置を含む道路構造の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0016】
また、ナビゲーション装置は、現在位置から基準距離内にあり、かつ現在位置に面している道路を前記選択道路とするようになっていてもよい。ここで、「現在位置に面している道路」とは、現在位置と当該道路との間に他の道路がないような道路のことをいう。
【0017】
ナビゲーション装置のユーザは、現在位置から出発して目的地点に向うには、現在位置から基準距離内にあり、かつ現在位置に面している道路を通る可能性が非常に高い。したがって、このようになっていることで、現在位置を含む道路構造の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0018】
また、ナビゲーション装置は、現在位置の近傍において過去に代替出発地点を特定したことに基づいて、当該過去の代替出発地点を今回の代替出発地点とするようになっていてもよい。このようになっていることで、同様の位置で過去にユーザが行った指定を再度やり直す必要がなくなる。
【0019】
また、ナビゲーション装置は、代替出発地点を複数個特定し、特定した複数の代替出発地点のそれぞれから目的地点までの経路を、代替誘導経路として算出し、算出したそれら代替誘導経路を画像表示装置に表示させるようになっていてもよい。
【0020】
ユーザが始めて訪れた場所では、どこを出発地とすればよいかユーザが判断できない場合がある。そのような場合には、上記のようにすることで、複数の代替出発地点から始まる複数の代替誘導経路をユーザに表示することで、ユーザがどの代替誘導経路を採用するにしても、事前に代替誘導経路のコースを確認することができる。
【0021】
なお、本発明の特徴は、本発明に係るナビゲーション装置用のプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0024】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路17に出力する。
【0025】
地図データ取得部16は、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0026】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。ここで、施設とは、道路以外の地物(駐車場、公園、ショッピングセンター、レストラン等)をいう。また、施設データ中の複数の施設の一部には、当該施設が占める地理領域を表すポリゴンデータを有しているものがある。このポリゴンデータは、道路以外のものとして区画されたエリアを示すデータの一例である。
【0027】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0028】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理等がある。現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。誘導経路算出処理は、操作部13からユーザによる目的地点の入力を受け付け、現在位置から当該目的地点までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0029】
経路案内処理は、地図データ取得部16から地図データを読み出し、算出された誘導経路および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力させる処理である。
【0030】
本実施形態においては、制御回路17は、誘導経路算出処理において、一度誘導経路が表示された後に、当該誘導経路の出発地点の位置をユーザの指定に応じて修正するようになっている。以下、このような制御回路17の作動について詳細に説明する。
【0031】
図2に、制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートを示す。制御回路17は、誘導経路算出処理において、ユーザによる目的地点の入力を受け付けた後、このプログラム100の実行を開始し、プログラム100の実行を終了した後、その時点で確定している誘導経路を対象として経路案内処理を実行する。
【0032】
制御回路17は、このプログラム100の実行において、まずステップ110で、受け付けた目的地までの誘導経路を算出する。ここで、プログラム100の実行後初めてステップ110を実行するときには、当該誘導経路の出発地点として用いるのは、初期出発地点である。
【0033】
初期出発地点は、車両用ナビゲーション装置1の現在位置がマップマッチングによっていずれかの道路にマッチされている場合は、当該現在位置とする。しかし、現在位置がいずれの道路にもマッチされていない場合は、近傍の道路(例えば、現在位置から最も近い道路)上の地点を初期出発地点とする。
【0034】
図3に、現在位置がいずれの道路にもマッチされていない場合に算出される目的地51までの誘導経路23の例を示す。この図3の例においては、車両用ナビゲーション装置1の現在位置21は、ショッピングモールの駐車場等の施設エリア22内にある。そして、施設エリア22の出口は指定地点25であるにも関わらず、初期出発地点50の位置は、現在位置21に最も近い道路上にある。このような初期出発地点50は、ユーザにとって適切な出発地点でない可能性が高い。
【0035】
続いてステップ120で、直前に算出された誘導経路の全経路(すなわち、当該誘導経路の出発地点から目的地点までの全行程)を含む地図画像を画像表示装置12に表示させる。例えば、図3のような、現在位置21、施設エリア22、初期誘導経路23、初期出発地点50、目的地点51を含む地図画像を表示させる。これによって、ユーザは、初期誘導経路23の全行程を視覚的に把握することができる。
【0036】
続いてステップ130で、現在の出発地点を変更するか否かをユーザに問い合わせ、その問い合わせの回答を受け付け、変更する旨の回答である場合続いてステップ140を実行し、変更しない旨の回答である場合続いてステップ170を実行する。
【0037】
例えば、変更するか否かを問い合わせる画像を画像表示装置12に表示させ、当該問い合わせ画像に、ユーザが選択可能なイエスボタン、ノーボタンを表示させ、ユーザが操作部13を用いてイエスボタンを選択した場合には変更する旨の回答を受けたとして続いてステップ140を実行し、ノーボタンを選択した場合には変更しない旨の回答を受けたとして続いてステップ170を実行する。
【0038】
ステップ140では、出発地変更用の画像を表示する。この画面は、直前のステップ110で算出された誘導経路のうち、当該誘導経路の出発地点を含む部分、および現在位置を含んだ地図画像である。この出発地変更用画像上の位置は、ユーザが操作部13を用いて指定可能となっている。指定の方法は、タッチパネルを用いた所望の地点へのタッチする方法でもよいし、メカニカルスイッチを用いてカーソルを所望の地点に移動させる方法でもよい。
【0039】
続いてステップ150では、この出発地変更用画像を用いたユーザによる代替出発地点の指定操作を待ち、当該指定操作を受け付けたことに基づいて、続いてステップ160を実行する。図3の例においては、ユーザが操作部13を用いて地点25を代替出発地点として指定している。
【0040】
ステップ160では、ステップ150で受け付けたユーザの指定位置に基づいて、実際の代替出発地点を特定する。本実施形態においては、実際の代替出発地点を指定位置と同一の位置(または指定位置に最も近い道路上の位置)にする。
【0041】
ステップ160に続いては、再度ステップ110で、直前に特定した代替出発地点から目的地点までの新たな誘導経路(以下、代替誘導経路という)を算出する。図3の例のように、地点25がユーザによって指定された場合、図4に示すように、当該指定地点を代替出発地点52とする目的地点51までの代替誘導経路26が、初期誘導経路23に代わる誘導経路として算出される。
【0042】
ステップ130で出発地変更しない旨の操作があった後のステップ170では、現在の誘導経路(図4の例においては代替誘導経路26)を用いて経路案内を行うむ旨のユーザ操作を待ち、操作部13介してその操作を受けると、プログラム100の実行を終了して当該誘導経路を用いて経路案内処理を行う。
【0043】
なお、ユーザは、ステップ130で、出発地を変更する旨の操作を繰り返すことで、何度でも代替出発地点を変更することができる。
【0044】
以上のようなプログラム100を実行することで、制御回路17は、現在位置に基づいて特定した初期出発地点からユーザが指定した目的地点までの初期誘導経路を算出して表示し(ステップ110、120参照)、ユーザによる出発地点変更の旨の操作を受け付けると(ステップ130参照)、続いて出発地変更受付用の画面として、初期出発地点、現在位置、および初期誘導経路を含む画像を表示する(ステップ140参照)。そして、ユーザによる当該受付用画面を利用した代替出発地点の指定を待つ。そして、当該指定を受け付けると(ステップ150参照)、当該受け付けた指定地点に基づいて、実際の代替出発地点を特定し(ステップ160参照)、特定した代替出発地点から目的地点までの誘導経路を、初期誘導経路に代わる代替誘導経路として算出する(ステップ110参照)、そして、この代替経路を承認し経路案内を始める旨のユーザ操作に基づいて(ステップ130、170参照)、経路案内処理を開始する。
【0045】
このようになっていることで、ユーザは、初期出発地点を含む誘導経路23を視覚的に把握しながら、当該出発地点23に代わる代替出発地点を指定することができるので、地図データに特別な情報を含めることと必要とせず、かつ、ユーザの意図をより直接的に反映した出発地点の特定が可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、プログラム100のステップ160における、ユーザによる指定位置と実際の代替出発地点との関係である。本実施形態においては、実際の代替出発地点として特定可能な位置範囲を、特定の道路に限定するようになっている。限定対象の道路(以下、選択道路という)は、車両用ナビゲーション装置1の現在位置に基づいて決定する。
【0047】
具体的には、現在位置が、施設データ中のいずれかの施設のポリゴンデータ(道路以外のものとして区画されたエリアを示すデータの一例に相当する)の範囲内である場合には、当該ポリゴンデータの示すエリアに隣接する道路を選択道路とする。
【0048】
図5に、この場合における、現在位置21と選択道路27との関係を例示する。この例においては、現在位置21は、施設エリア22に含まれている。そして、施設エリア22は、ポリゴンデータの示すエリアである。したがって、斜線で示された選択道路27は、施設エリア22に隣接し、かつ、施設エリア22を取り囲んでいる。
【0049】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、道路以外のものとしてあらかじめ区画されたエリア内に現在位置が入っている場合、当該エリアに隣接する道路を選択道路とするようになっている。このようになっていることで、道路以外のものとしてあらかじめ区画されたエリア(例えば駐車場)に隣接する道路が代替出発地点になる。通常、上記のように区画されたエリアから外に出るには、当該エリアに隣接する道路にまず入る必要がある。したがって、現在位置を含む領域の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0050】
また、現在位置が、施設データ中のいずれかの施設のポリゴンデータの範囲内でない場合には、当該位置から所定の基準距離内にある道路のうち、現在位置に面している道路を選択道路とする。ここで、「現在位置に面している道路」とは、現在位置と当該道路との間に他の道路がないような道路のことをいう。
【0051】
図6に、この場合における、現在位置21と選択道路32、33との関係を例示する。この例においては、現在位置21は、どのポリゴンデータのエリア内にも含まれていない。点線で示された円31は、現在位置21を中心とし、上記基準距離を半径とする同心円である。なお、同心円に含まれる道路は、選択道路32、選択道路33以外にも、道路34〜37があるが、これらの道路は、現在位置21との間を選択道路32、選択道路33によって遮られているので、現在位置21に面していない。
【0052】
車両用ナビゲーション装置1のユーザは、現在位置から出発して目的地点に向うには、現在位置から基準距離内にあり、かつ現在位置に面している道路を通る可能性が非常に高い。したがって、このようになっていることで、現在位置を含む道路構造の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0053】
以上の通り、代替出発地点として特定することができる位置範囲を現在位置に基づいて制限することで、現在位置にとって不適切な位置をユーザが指定しても、その位置を代替出発地点しないようにすることができる。
【0054】
なお、図5の例において、プログラム100のステップ150において、ユーザが選択道路27以外の位置28を指定した場合、制御回路17は、図7に示すように、ステップ160において、選択道路27上の当該指定位置28から最も近い位置29を、代替出発地点53として特定し、続くステップ110で、その代替出発地点53から目的地点51までの代替誘導経路30を算出する。
【0055】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザによる指定に係る位置が、選択道路から離れている場合、当該選択道路中の当該指定位置に最も近い位置を、代替出発地点とするようになっている。
【0056】
このようになっていることで、ユーザが選択道路上の位置を指定しようとしたが実際の指定位置は選択道路からずれてしまった場合でも、そのずれを修正して代替出発地点を特定することができる。
【0057】
なお、上記の各実施形態において、制御回路17が、プログラム100のステップ110を実行することで経路算出手段の一例として機能し、ステップ120、140を実行することで経路表示制御手段の一例として機能し、ステップ150、160を実行することで特定手段の一例として機能する。
【0058】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0059】
例えば、第2実施形態において、制御回路17は、図8に例示するように、ステップ140において表示させる出発地変更用の地図画像40の縮尺を、選択道路34のすべてを含むことができる縮尺とするようになっていてもよい。
【0060】
また、上記各実施形態において、制御回路17は、プログラム100を実行する度に、ステップ160で特定され、かつ、その後のステップ130で変更しないと判定された代替出発地点を、付加データと関連づけて地図データ取得部16に記録するようになっていてもよい。
【0061】
そして、制御回路17は、プログラム100のある実行機会において、その回の現在位置の近傍において自らが過去に代替出発地点として記録した地点を、今回の代替出発地点とする。ここで、今回の車両用ナビゲーション装置1の現在位置と、過去に代替出発地点を記録したときの車両用ナビゲーション装置1の現在位置が近傍であるか否かは、記録された代替出発地点と組になっている付加データに基づいて特定する。
【0062】
例えば、付加データとして、対応する代替出発地点を特定した時点における車両用ナビゲーション装置1の現在位置の情報を採用してもよい。その場合は、当該過去の現在位置と今回の現在位置とが所定の距離以内であった場合、または、それら2つの現在位置が同じポリゴンデータのエリアに含まれている場合に、2つの現在位置が近傍であると判定するようになっていてもよい。
【0063】
また、例えば、付加データとして、対応する代替出発地点を特定した時点における選択道路の情報を採用してもよい。その場合は、当該過去の選択道路と今回のプログラム100の実行機会における選択道路とが一致する場合に、2つの現在位置が近傍であるとするようになっていてもよい。
【0064】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、現在位置の近傍において過去に代替出発地点を特定したことに基づいて、当該過去の代替出発地点を今回の代替出発地点とするようになっていてもよい。このようになっていることで、同様の位置で過去にユーザが行った指定を再度やり直す必要がなくなる。
【0065】
また、上記の各実施形態において、車両用ナビゲーション装置1は、プログラム100において、ステップ140の後に、直ちにステップ160を実行し、そのステップ160において、代替出発地点を複数個特定し、特定した複数の代替出発地点のそれぞれから目的地点までの経路を、代替誘導経路として算出し、算出したそれら代替誘導経路を画像表示装置12に表示させるようになっていてもよい。そしてその後、最終的な経路案内対象の誘導経路を、ユーザに選択させるようになっていてもよい。
【0066】
ユーザが始めて訪れた場所では、どこを出発地とすればよいかユーザが判断できない場合がある。そのような場合には、上記のようにすることで、複数の代替出発地点から始まる複数の代替誘導経路をユーザに表示することで、ユーザがどの代替誘導経路を採用するにしても、事前に代替誘導経路のコースを確認することができる。
【0067】
そしてこのとき、複数の代替出発地点としては、第2実施形態において決定された選択道路のすべてにそれぞれ含まれる位置を採用してもよい。
【0068】
また、第2実施形態の図5の例において、制御回路17は、現在位置がポリゴンデータのエリア内にない場合でも、図5に示したように、現在位置を取り囲む道路を選択道路とするようになっていてもよい。通常、現在位置を取り囲む道路があれば、車両用ナビゲーション装置1のユーザはその道路を通って目的地点に向うはずである。したがって、このようになっていることで、現在位置を含む道路構造の事情に合った代替出発地点の特定が可能となる。
【0069】
また、プログラム100の実行直後のステップ110で、現在位置が道路にマッチしている場合は、ステップ120〜160を実行せずに、直ちにステップ170を実行するようになっていてもよい。このようになっていることで、不必要なときにまでユーザに余分な操作を促してしまう可能性が低減する。
【0070】
また、上記実施形態においては、出発地変更用の画像と全経路表示用の画像とが、別時期に画像表示装置12において表示されるようになっているが、これらは同時に表示されるようになっていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、制御回路17は、初期誘導経路を算出した後に、出発地点を変更するか否かを問い合わせ、変更しない旨の操作を受け付けて初めてステップ170を経た経路案内を行うことができるようになっている。しかし、ステップ120の後、ステップ170を実行し、ステップ170における問い合わせ画面の一部に、出発地変更を指示するスイッチを表示させ、そのスイッチがユーザによって選択されたときに、ステップ140に進み、出発地変更用の画像を表示するようになっていてもよい。
【0072】
また、制御回路17は、出発地変更用の画像を表示している場合には、ユーザの指定に応じて地図表示の縮尺を変更するようになっていてもよい。
【0073】
また、特定された代替出発地等の、更新が必要なデータは、地図データ取得部16に限らず、他の、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、地図データ取得部16の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
【0074】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、船舶や飛行機に搭載されるものであってもよいし、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機も、本発明のナビゲーション装置に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】現在位置21、施設エリア22、初期誘導経路23と、指定地点25との関係を示す図である。
【図4】代替誘導経路26を示す図である。
【図5】第2実施形態における現在位置21、施設エリア22と選択道路27との関係を示す図である。
【図6】第2実施形態における現在位置21、施設エリア22と選択道路32、33との関係を示す図である。
【図7】代替誘導経路30を示す図である。
【図8】画像表示装置12による表示画面40の一例を示す図である。
【図9】従来技術における、現在位置21、施設エリア22、誘導経路23、および出口24の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作部、14…スピーカ、16…地図データ取得部、17…制御回路、
21…現在位置、22…施設エリア、23…初期誘導経路、24…出口、
25、28…指定地点、26、30…代替誘導経路、
27、32、33、34…選択道路、29…出発地点、31…基準距離円、
40…表示画面、50…初期出発地点、51…目的地点、52、53…代替出発地点、
100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から目的地点までの誘導経路を、前記出発地点が含まれるように画像表示装置に表示させる経路表示制御手段と、
前記経路表示制御手段によって表示された前記出発地点に代わる代替出発地点のユーザによる指定を受け付け、受け付けた前記指定に基づいて、前記代替出発地点を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記代替出発地点から前記目的地までの経路を、前記誘導経路に代わる代替誘導経路として算出する経路算出手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記代替出発地点として特定することができる位置範囲を、当該ナビゲーション装置の現在位置に基づいて選んだ道路(以下、選択道路という)に限定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特定手段は、受け付けた前記ユーザによる前記指定に係る位置が、前記選択道路から離れている場合、当該選択道路中の当該指定位置に最も近い位置を、前記代替出発地点とすることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定手段は、あらかじめ道路以外のものとして区画されたエリア内に前記現在位置が入っている場合、前記エリアに隣接する道路を前記選択道路とすることを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記現在位置を取り囲む道路を前記選択道路とすることを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記現在位置から基準距離内にあり、かつ前記現在位置に面している道路を前記選択道路とすることを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記特定手段は、前記現在位置の近傍において過去に代替出発地点を特定したことに基づいて、当該過去の代替出発地点を今回の代替出発地点とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車載用無線通信器。
【請求項8】
前記特定手段は、前記代替出発地点を複数個特定し、
前記経路算出手段は、前記特定手段が特定した前記複数の代替出発地点のそれぞれから前記目的地点までの経路を、前記代替誘導経路として算出し、
前記経路表示制御手段は、当該複数の代替誘導経路を前記画像表示装置に表示させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
出発地点から目的地点までの誘導経路を、前記出発地点が含まれるように画像表示装置に表示させる経路表示制御手段、
前記経路表示制御手段によって表示された前記出発地点に代わる代替出発地点のユーザによる指定を受け付け、受け付けた前記指定に基づいて、前記代替出発地点を特定する特定手段、および
前記特定手段が特定した前記代替出発地点から前記目的地までの経路を、前記誘導経路に代わる代替誘導経路として算出する経路算出手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−92521(P2009−92521A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263832(P2007−263832)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】