説明

ナビゲーション装置およびネットワークデータのデータ構造

【課題】各交差点についてユーザに対してより適切な案内を行なうことができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、リンクおよびノードで構成されたネットワークデータであって、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクGL1〜GL8を同一のグループGLとして認識するための情報を含むネットワークデータを含む地図データを取得する地図データ取得部131と、移動体の現在位置PPを特定する位置特定部134と、グループGLに含まれるリンクに対応する通路上の位置と現在位置PPとの関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、適合する条件に応じて移動体の進行状況に関する案内情報を生成する案内制御部136と、案内情報をユーザに通知する案内部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の進行状況に応じた案内を行なうナビゲーション装置、およびコンピュータが案内する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体の進行状況に関する案内情報を出力して案内するナビゲーション装置が幅広く普及し利用されている。
一般的なナビゲーション装置は、リンクおよびノードで構成されたネットワークデータを取得するとともに、移動体の現在位置を特定する。そしてリンクに対応する通路の位置と現在位置との関係に応じて移動体の進行状況に関する案内情報を生成し、生成した案内情報をユーザに通知するものである。
案内情報は例えばLCD等のディスプレイに表示する案内画面であり、地図画像に現在位置マークおよび案内経路画像を重畳して表示される。また、ヘディングアップと呼ばれる案内画面の制御を行なって地図上における移動体の進行方向を示す歩行者用のナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記ナビゲーション装置によれば、移動体の進行方向がディスプレイの上側になるように案内画面を制御することにより、現実の風景に存在する地物を案内画面に示されている地図上の地物に対応させやすくなるので、移動体の移動に応じと案内画面が遷移していっても移動体の進行状況を把握することが容易である。
また、案内情報として進行方向の前方に関する地理的な情報を生成し、音声で出力する車載用のナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献2を参照。)。このような車載用のナビゲーション装置は、例えば、「40m進んで、突き当たりを左折します」という音声の案内情報を生成し、出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294328号公報
【特許文献2】特開2005−265491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、交差点内の歩行者の通路が関係する進行状況に応じた案内を充分に行なうことができない。
例えば、交差点内の歩行者の通路は、距離の短い横断歩道等の距離の短いリンクが大きく角度を変更しながら複数連続していることが多い。このため、上記従来技術における歩行者用のナビゲーション装置であれば、ヘディングアップの制御を行なって地図上における移動体の進行方向を示すことにより、交差点内の歩行者の通路を通行していると案内画面が頻繁に大きく右回転および左回転を繰り返すことになる。したがって、上記歩行者用のナビゲーション装置には、交差点内のヘディングアップの制御において、案内画面が見にくくなり、移動体の進行状況を把握しにくくなる場合があるという問題点があった。
また、従来技術における車載用のナビゲーション装置は、交差点に関する情報を車道のネットワークデータに含まれる交差点のノードの情報を用いるものであることから、交差点内の歩行者を注意すべき通知にはマッチしないという問題点があった。
本発明は、各交差点についてユーザに対してより適切な案内を行なうことができるナビゲーション装置およびネットワークデータのデータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、リンクおよびノードで構成されたネットワークデータであって、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクを同一のグループとして認識するための情報を含むネットワークデータを含む地図データを取得する地図データ取得部と、移動体の現在位置を特定する位置特定部と、前記グループに含まれるリンクに対応する通路上の位置と前記現在位置との関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、前記適合する条件に応じて前記移動体の進行状況に関する案内情報を生成する案内制御部と、前記案内情報をユーザに通知する案内部とを備えることを特徴とするものである。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクを同一のグループとして認識するための情報を含むネットワークデータを取得し、グループに含まれるリンクに対応する通路の位置と現在位置との関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、適合する条件に応じて移動体の進行状況に関する案内情報を生成する。すなわち、本発明のナビゲーション装置によれば、同一の交差点内における歩行者の通路をグループとしてとらえ、このグループと移動体の現在位置との関係に応じた移動体の進行状況に関する案内情報を生成することにより、ユーザに通知する案内情報は各交差点について交差点内の関連する歩行者の通路全体に対する進行状況を示したものになるので、ユーザに対してより適切な案内を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のナビゲーション装置の実施形態の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明のナビゲーション装置の起動時のフローチャートである。
【図3】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例のフローチャートである。
【図4】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例のフローチャートである。
【図5】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例の交差点付近の地図データおよびネットワークデータの配置を示す図である。
【図6】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例の案内画像を示す図である。
【図7】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例の案内画像を示す図である。
【図8】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例の案内画像を示す図である。
【図9】本発明のナビゲーション装置の第1の処理の例の案内画像を示す図である。
【図10】本発明のナビゲーション装置の第2の処理の例のフローチャートである。
【図11】本発明のナビゲーション装置の第2の処理の例の案内画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1は、本発明のナビゲーション装置の実施形態の構成の一例を示すブロック図である。本例におけるナビゲーション装置1は、歩行者が携帯して持ち運びすることが可能なPND(Personal Navigation Device)であり、地図データ記憶部11、案内部14、計算機13、および入力器12を備える。
【0009】
計算機13は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。地図データ記憶部11は、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスクまたはフラッシュメモリ等の外部記憶装置であり、地図描画用データおよびネットワークデータ等を含む地図データを記憶している。案内部14は、表示画面142および音響出力器141を備えて構成される。表示画面142は、LCD等の画像を表示するデバイスである。表示画面142には、例えばナビゲーション装置1の現在位置付近の地図画像に現在位置マークおよび案内経路画像を重畳した案内画像が表示される。音響出力器141は、スピーカであり、進行方向前方の状況等が案内音声により報知される。入力器12は、入力デバイスであり、本例においては、案内部14の表示画面142に設けられたタッチパネルを採用している。
【0010】
本例のナビゲーション装置1における計算機13は、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を複数有しており、それぞれの機能に対応するユニットをそれぞれ備えている。具体的には、計算機13は、地図データを取得する地図データ取得部131、推奨経路を設定する経路設定部132、測位センサのデータに基づいてナビゲーション装置1の位置を検出する位置検出部133、検出した位置に基づいてネットワーク上にナビゲーション装置1の現在位置を特定する位置特定部134、ナビゲーション装置1の進行方向を算出する方向算出部135、案内画像や案内音声等の案内情報を生成する案内制御部136を備えている。
【0011】
地図データ取得部131が取得する地図データには、地図描画用データおよびネットワークデータ等が含まれている。地図描画用データには、縮尺ごとに整備した行政界、道路および建物のポリゴン等の地図を構成する点、線、面を描画するためのデータが含まれている。ネットワークデータは、経路探索および推奨経路表示に利用されるリンクやノード等のデータが含まれており、移動体の進行状況に関する案内情報を生成させてユーザに通知させるためのものである。
【0012】
また、本例のナビゲーション装置1が用いるネットワークデータには、歩行者の通路を表現した歩行者用のリンクのデータが含まれている。また、歩行者用のリンクのデータには、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクを同一のグループとして認識するための情報が含まれている。この情報は、具体的には、横断歩道を含む所定距離以下の短い歩行者用のリンクが連続する場合、これらのリンクを1つのグループとして認識するための情報である。
【0013】
横断歩道は、歩行者の一般通路に対して直角に交わることが多いため歩行者の進行方向が急変し、ひいては歩行者から見える景色が急変するところである。また、横断歩道は、車道を走行する車両の運転者にとっても、突然歩行者が視界に入ってくる可能性が高いところである。そこで、本例におけるナビゲーション装置1は、案内制御部136が、グループに含まれるリンクに対応する通路上の位置と現在位置との関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、適合する条件に応じて移動体の進行状況に関する案内情報を生成するようにしている。したがって、本例におけるナビゲーション装置1によれば、同一の交差点内における歩行者の通路をグループとしてとらえ、このグループと移動体の現在位置との関係に応じた移動体の進行状況に関する案内情報を生成することにより、ユーザに通知する案内情報は各交差点について交差点内の関連する歩行者の通路全体に対する進行状況を示したものになるので、ユーザに対してより適切な案内を行なうことができる。
【0014】
なお、2つの交差点が隣接することにより、複雑な交差点を形成している場合がある。このような場合は、交差点同士が近いときには1つの交差点として扱い、交差点同士が離れているときには2つの交差点として扱う。すなわち、2つの交差点がユーザから見て1つの交差点に見えるときに1つの交差点として扱うことにより、交差点内の関連する歩行者の通路全体をより現実的に把握することができる。交差点同士が近いか否かの判定は、各交差点内の歩行者の通路のリンクのグループを結ぶリンクの長さが設定した距離の閾値以下であるか否かによって行なう。判定に用いる閾値は、両交差点内の横断歩道のリンクの長さに応じて設定する。
【0015】
次に、本発明のナビゲーション装置1が、進行状況に応じて案内する処理について説明する。
【0016】
図2は、本発明のナビゲーション装置1の起動時のフローチャートである。
ナビゲーション装置1が起動すると、まず、計算機13は、位置検出部133により、別途搭載されている測位センサ(図示せず)が出力する測位データに基づいてナビゲーション装置1が現在存在している地理的な位置を検出する処理を実行する(ステップS101)。ナビゲーション装置1が搭載する測位センサはGPS受信器であり、位置検出部133は受信したGPS情報に基づいて位置を検出する。計算機13は、ステップS101が終了すると、地図データ取得部131により、検出した位置が含まれる所定範囲のネットワークデータおよび地図描画用データを取得する処理を実行する(ステップS102)。計算機13は、ステップS102が終了すると、案内制御部136により、検出した位置を中心とする地図画像に現在位置マークを重畳した案内画像を生成する処理を実行し(ステップS103)、続けて、案内画像を案内部14の表示画面142に出力し表示させる処理を実行する(ステップS104)。計算機13は、ステップS104が終了すると、ナビゲーション装置1の機能に関するユーザの操作を受け付ける状態になる。
【0017】
<ナビゲーション装置の第1の処理の例>
第1の処理の例におけるナビゲーション装置1は、外部電源と接続していない状態であり、内部電源より供給される電源により起動する。ナビゲーション装置1は、この状態で起動すると自動的に歩行者用ナビゲーションモードで起動する。
図3および図4は、本発明のナビゲーション装置1の第1の処理の例のフローチャートである。第1の処理の例におけるナビゲーション装置1は、目的地までの推奨経路を設定する経路設定機能、および推奨経路に基づいて移動体であるナビゲーション装置1の進行状況に応じた案内をユーザに対して行なう経路案内機能を有している。計算機13は、ステップS104が終了した状態から、入力器12であるタッチパネルへのユーザによる指定に基づいて、経路設定部132により、出発地および目的地を設定する(ステップS201)。そして、出発地から目的地に到る歩行者の通路で構成する経路のうち最短距離の経路を周知のダイクストラ法等によって算出してこれを推奨経路として設定する処理を実行する(ステップS202)。計算機13は、ステップS202が終了すると、案内制御部136により、検出した位置を中心とする地図画像に推奨経路の画像および現在位置マークを重畳した案内画像を生成する処理を実行する(ステップS203)。続けて、計算機13は、案内画像を案内部14の表示画面142に出力し表示させる処理を実行する(ステップS204)。
【0018】
計算機13は、ステップS204が終了すると、位置特定部134により、検出した位置に基づいてナビゲーション装置1の現在位置をネットワークデータ中のリンク上の対応する位置に特定する処理を実行する(ステップS205)。この処理はいわゆるマップマッチングといわれる処理であり、一定時間毎に処理が実行される。
【0019】
計算機13は、ステップS205が終了すると、案内制御部136により、現在位置が目的地付近であるか否かを判断する処理を実行する(ステップS206)。第1の処理の例においては、現在位置と目的地との距離が所定の閾値以内となった場合に、現在位置が目的地付近であると判断する。計算機13は、ステップS206において、現在位置が目的地付近であると判断したときには(ステップS206:Yes)、案内制御部136により、案内の終了を示す案内音声による案内情報を生成し、案内部14の音響出力器141によりユーザに通知し、しかる後に、進行状況に応じて案内する処理を終了する。
【0020】
一方、計算機13は、ステップS206において、現在位置が目的地付近ではないと判断したときには(ステップS206:No)、案内制御部136により、現在位置が交差点に近づいているか否かを判断する処理を実行する(ステップS207)。図5は、交差点付近の地図データおよびネットワークデータの配置を示す図である。図5に示す交差点では、車道ST1と車道ST2とが交差しており、4つの角にはビルBLが存在しれている。また、歩行者用の通路に対応する一般のリンク(WK1〜WK8)が、車道ST1,ST2の両サイドに相当する位置に配置されている。そして、交差点内のリンクGL1〜GL8は同一の交差点内における歩行者の通路を表現した同一のグループ(以下、交差点内リンクグループという)GLの複数の歩行者用のリンクである。ノードND1〜ND8は交差点内リンクグループGLのリンクGL1〜GL8を接続するノードである。なお、ネットワークデータは経路探索等の処理に用いられるものであるため、原則として案内画面にそのまま表示されることはない。
【0021】
ステップS207においては、交差点内リンクグループGLに含まれるいずれかのリンクに対応する通路の位置と現在位置との距離が予め設定した閾値以下であると判断した場合に、現在位置が交差点に近づいていると判断する。計算機13は、ステップS207において、現在位置が交差点に近づいていないと判断したときには(ステップS207:No)、案内制御部136により、案内画像について、リンク上に特定した現在位置を案内画像の中心に設定するとともに、現在位置に対応するリンクの目的地側を案内方向に設定する処理を実行する(ステップS208)。計算機13は、ステップS208が終了すると、ステップS203の処理に戻り、ステップS207の処理による設定に基づいて案内画像を生成し、ステップS204以降の処理を実行する。
【0022】
一方計算機13は、ステップS207において、現在位置が交差点に近づいていると判断したときには(ステップS207:Yes)、案内制御部136により、交差点内リンクグループGL内のリンク上の対応する通路上の位置に現在位置が存在しているか否かを判断する処理を実行する(ステップS301)。計算機13は、ステップS301において、交差点内リンクグループGL内のリンク上の対応する通路上の位置に現在位置が存在していないと判断したときには(ステップS301:No)、案内制御部136により、画像の中心を交差点に設定し、案内方向を現在位置に対応するリンクの目的地側に設定する処理を実行する(ステップS302)。計算機13は、ステップS302が終了すると、ステップS203の処理に戻り、ステップS302の処理による設定に基づいて案内画像を生成し、ステップS204以降の処理を実行する。ナビゲーション装置1を携帯するユーザが推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4に沿って移動・進行すると、位置特定部134によってステップS205のマップマッチング処理が一定時間毎に実行される。
【0023】
図6〜図9は、第1の処理の例の案内画像を示す図である。計算機13は、上述したステップS302〜ステップS203〜ステップS204の処理を実行すると、表示画面142に、図6に示すように、画像の中心を交差点にして案内方向を現在位置PPが特定されているリンクWK1の目的地側にした案内画像を表示する。図6において、現在位置PPは、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4のうち、交差点の手前の歩行者の一般通路のリンクWK1上に存在する。また、第1の処理の例においては、案内方向を表示画面142の上側(図6の上側)へ向けることにしている。なお、目的地はリンクWK4の先のリンク上にあり、表示画面142には表示されない。
【0024】
次に、ナビゲーション装置1の移動が図6に示すリンクWK1上の対応する位置からさらに進行し、計算機13が、ステップS301において、交差点内リンクグループGL内のリンク上の対応する通路上の位置に現在位置PPが存在していると判断した場合(ステップS301:Yes)を説明する。この場合、計算機13は、案内制御部136により、まず、画像の中心を交差点にして、現在位置PPが存在しているリンクを含む交差点内リンクグループGL内のリンクの列に対する進入方向と脱出方向とがなす角度を求める処理を実行する。次に、推奨経路に含まれる交差点内リンクグループGL内のリンクの列の区間の距離に対してのナビゲーション装置1の進行割合を求める処理を実行する。そして、進入方向と脱出方向とがなす角度を基準にした、ナビゲーション装置1の進行割合に対応する角度で進入方向を回転した方向を案内方向に設定する処理を実行する。計算機13は、これら3つの処理を一連の処理として実行する(ステップS303)。計算機13は、ステップS303が終了すると、ステップS203の処理に戻り、ステップS303の処理による設定に基づいて案内画像を生成し、ステップS204以降の処理を繰り返す。
【0025】
計算機13が、上述したステップS303〜ステップS203〜ステップS204の処理を実行すると、図7に示すように、画像の中心を交差点にして案内方向を進行割合に応じて設定した案内画像が表示される。図7において、現在位置PPは、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4のうち、交差点内リンクグループGL内のリンクGL1上に存在している。また、図7においては、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4に含まれる交差点内リンクグループGL内のリンクの列の区間GL1−GL2−GL3の距離に対してのナビゲーション装置1の進行割合が1/3である。したがって、交差点への進入リンクWK1の進入方向と脱出リンクWK4の脱出方向とがなす角度(図7の例では90°)を基準にした距離的な進行割合に対応する角度(図7の例では30°)で進入方向を交差点を中心にして反時計回りに回転させた方向を案内方向に設定している。なお、回転方向は、交差点内リンクグループGL内のリンク上の推奨経路に沿った進行方向によって定める。
【0026】
ナビゲーション装置1の移動が図7に示すリンクGL1上の対応する位置からさらに進行し、計算機13が、ステップS303〜ステップS203〜ステップS204の処理を実行すると、図8に示すような案内画像が表示される。なお、図8において、現在位置PPは、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4のうち、交差点内リンクグループGL内のリンクGL3上に存在している。また、図8においては、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4に含まれる交差点内リンクグループGL内のリンクの列の区間GL1−GL2−GL3の距離に対してのナビゲーション装置1の進行割合が2/3であることにより、交差点への進入リンクWK1の進入方向と脱出リンクWK4の脱出方向とがなす角度(90°)を基準にした進行割合に対応する角度(図8の例では60°)で進入方向を交差点を中心にして反時計回りに回転させた方向を案内方向に設定している。
【0027】
そして、ナビゲーション装置1の移動が図8に示す位置からさらに進行し、ナビゲーション装置1の現在位置PPが交差点外に存在するようになると、計算機13が、ステップS302−ステップS203−ステップS204の処理を実行する。そして、図9に示すように、画像の中心を交差点にして案内方向を現在位置PPが特定されているリンクの目的地側にした案内画像が表示される。図9において、現在位置PPは、推奨経路WK1−GL1−GL2−GL3−WK4のうち、交差点の手前の歩行者の一般通路のリンクWK4上に存在している。なお、図6〜図9に示していない現在位置についても、ステップS205のマップマッチング処理の発生に応じて、随時、案内画像を生成する。すなわち、案内画像はなめらかに更新されていく。
【0028】
このように、本発明のナビゲーション装置1の第1の処理の例によれば、推奨経路に含まれる交差点内リンクグループGL内のリンクの列の区間の距離に対してのナビゲーション装置1の進行割合に対応する角度で進入方向を回転した方向を案内方向に設定することにより、交差点内の歩行者の通路を通行しているときに交差点内リンクグループGL内のリンクの列に対する進入時から脱出時までの間に案内画像に示されている内容をユーザが充分に把握できる速度で回転することになるので、ユーザに対してより適切な案内を行なうことができる。
【0029】
<ナビゲーション装置の第2の処理の例>
第2の処理の例については、上述した第1の処理の例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符を用いて重複する説明を省略するものとする。
第2の処理の例におけるナビゲーション装置1は、車内の専用台に搭載し外部電源としての車載バッテリに接続されている状態であり、外部電源より供給される電源により起動する。ナビゲーション装置1は、この状態で起動すると自動的に車載用ナビゲーションモードで起動する。
【0030】
図10は、本発明のナビゲーション装置1の第2の処理の例のフローチャートである。第2の処理の例におけるナビゲーション装置1は、当該ナビゲーション装置1が搭載された移動体(車両)の進行状況に応じた案内をユーザに対して行なう経路案内機能を有している。計算機13は、まず、ステップS104が終了した状態から、位置特定部134により、検出した位置に基づいてナビゲーション装置1の現在位置をネットワークデータ中の車道のリンク上の対応する位置に特定するマップマッチング処理を実行する(ステップS401)。
【0031】
計算機13は、ステップS401が終了すると、案内制御部136により、ナビゲーション装置1の現在位置が交差点に近づいているか否かを判断する処理を実行する(ステップS402)。図11は、本発明のナビゲーション装置1の第2の処理の例の案内画像を示す図である。基本設定では、歩行者用ナビゲーションモードに比べて広い範囲の地図を表示する。図11に示す交差点はナビゲーション装置1の現在位置DPから前方にある交差点である。リンクCR1〜CR4は車道のリンクである。リンクWK1,WK2は歩行者用の一般のリンクであり、ナビゲーション装置1の現在位置DPが存在する車道のリンクCR1の両サイドに配置されている。そして、交差点内のリンクGL1〜GL8は交差点内リンクグループGLの複数の歩行者用のリンクである。
【0032】
ステップS402においては、ナビゲーション装置1が交差点内リンクグループGLに含まれるいずれかのリンクに対応する通路に向かっており、かつ、交差点内リンクグループGLに含まれるいずれかのリンクに対応する通路の位置とナビゲーション装置1の現在位置DPとの距離または道程が予め設定した閾値以下であると判断した場合に、ナビゲーション装置1の現在位置DPが交差点に近づいていると判断する。通路に向かっているかどうかについては、方向算出部135により過去の移動軌跡から求めた進行方向に基づいて判断する。道程は、ナビゲーション装置1の現在位置DPから交差点までの間にあるリンクの区間の長さから求められる。閾値は、ナビゲーション装置1の現在位置DPが特定されているリンクの属性に応じて設定される。計算機13は、ステップS402において、ナビゲーション装置1の現在位置DPが交差点に近づいていないと判断したときには、(ステップS402:No)、ステップS405へ移る。計算機13は、案内制御部136により、リンク上に特定した現在位置DPを案内画像の中心よりも若干下方に設定するとともに、現在位置DPが特定されているリンクの目的地側を案内方向に設定する。そして、計算機13は、案内制御部136により、これらの設定に基づいた案内画像を生成する処理を実行し(ステップS405)、続けて、案内画像を案内部14の表示画面142に出力し表示させる処理を実行する(ステップS406)。
【0033】
計算機13は、ステップS402において、ナビゲーション装置1の現在位置DPが交差点に近づいていると判断したときには、(ステップS402:Yes)、案内制御部136により、交差点に近づいていることを示す案内音声による案内情報を生成する処理を実行し(ステップS403)、続けて、案内音声を案内部14の音響出力器141に出力し報知させる処理を実行する(ステップS404)。ステップS402における閾値が50mに設定されているのであれば、例えば、「50m先に横断歩道のある交差点があります」という案内情報を生成し、音声で報知する。
【0034】
このように、本発明のナビゲーション装置1の第2の処理の例によれば、車載用のナビゲーション装置1において、車道のリンクおよび交差点内リンクグループGL内の通路のリンクの両方を利用して交差点に近づいていることを判断し、報知することにより、ユーザである車の運転手としては最も注意が必要となる交差点付近の横断歩道CWを含む歩行者の通路との位置関係を把握することが可能になるので、ユーザに対してより適切な案内を行なうことができる。この案内は、現在位置DPと交差点ノードNRとの距離で判断するよりも、より適切な案内であるといえる。
【0035】
計算機13は、ステップS404が終了すると、上述したステップS405〜ステップS406を実行する。なお、ステップS401〜ステップS406の処理は、一定時間毎に実行されるステップS401のマップマッチング処理が発生する毎に実行される。
【0036】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施形態の例においては、ナビゲーション装置1はPNDであるが、車載専用ナビゲーション、携帯電話、GPS受信器付きパーソナルコンピュータにおいても利用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態の例においては、移動体は実際に地上を移動するものに限らない。ナビゲーションのシミュレータの表示画面内で仮想的な移動体として移動するアバタについても本発明の移動体として利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…ナビゲーション装置
11…地図データ記憶部
12…入力器
13…計算機
131…地図データ取得部
132…経路設定部
134…位置特定部
136…案内制御部
14…案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクおよびノードで構成されたネットワークデータであって、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクを同一のグループとして認識するための情報を含むネットワークデータを含む地図データを取得する地図データ取得部と、
移動体の現在位置を特定する位置特定部と、
前記グループに含まれるリンクに対応する通路上の位置と前記現在位置との関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、前記適合する条件に応じて前記移動体の進行状況に関する案内情報を生成する案内制御部と、
前記案内情報をユーザに通知する案内部と
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記ネットワークデータに基づいて目的地までの移動体の推奨経路を設定する経路設定部を備え、
前記位置特定部は、前記現在位置を前記リンク上の対応する位置に特定し、
前記案内制御部は、前記推奨経路に含まれる前記グループ内のリンク上の対応する通路上の位置に前記現在位置が存在していると判断した場合に、前記リンクを含む前記グループ内のリンクの列に対する進入方向と脱出方向とがなす角度を基準にした、前記推奨経路に含まれる前記リンクの列の区間の距離に対しての前記移動体の進行割合に対応する角度で前記進入方向を回転した方向を案内方向に設定し、設定した前記案内方向に基づく前記案内情報を生成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内制御部は、前記移動体が前記グループに含まれるいずれかのリンクに対応する通路に向かっており、かつ、前記グループに含まれるいずれかのリンクに対応する通路の位置と前記現在位置との距離または道程が予め設定した閾値以下であると判断した場合に、前記交差点に近づいていることを示す前記案内情報を生成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
コンピュータに、移動体の進行状況に関する案内情報を生成させてユーザに通知させるためのネットワークデータのデータ構造であって、
リンクおよびノードで構成されており、同一の交差点内における歩行者の通路を表現した歩行者用の複数のリンクを同一のグループとして認識させるための情報を含み、
該グループの情報は、前記コンピュータが、前記交差点リンク列の位置と前記移動体の現在位置との関係が所定の条件に適合すると判断した場合に、前記適合する条件に応じて前記案内情報を生成する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造。
【請求項5】
請求項4に記載のネットワークデータのデータ構造であって、
前記ネットワークデータは、前記コンピュータによる推奨経路の設定に利用され、
前記グループの情報は、
前記リンク上の対応する位置に前記移動体の現在位置を特定した前記コンピュータが、
前記推奨経路に含まれる前記グループ内のリンク上の対応する位置に前記現在位置が存在していると判断した場合に、前記リンクを含む前記グループ内のリンクの列に対する進入方向と脱出方向とがなす角度を基準にした、前記推奨経路に含まれる前記リンクの列の区間における前記移動体の進行度に対応する角度で前記進入方向を回転した方向を案内方向に設定し、
設定した前記案内方向に基づく前記案内情報を生成する処理に利用されることを特徴とするネットワークデータの構造。
【請求項6】
請求項4に記載のネットワークデータの構造であって、
前記グループの情報は、前記コンピュータが、前記移動体が前記グループに含まれるいずれかのリンクに対応する通路の位置に向かっており、かつ、前記グループに含まれるいずれかのリンクに対応する通路の位置と前記現在位置との距離または道程が予め設定した閾値以下であると判断した場合に、前記交差点に近づいていることを示す前記案内情報を生成する処理に用いられるネットワークデータデータの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−158304(P2011−158304A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18849(P2010−18849)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】