説明

ナビゲーション装置およびネットワークデータのデータ構造

【課題】歩行の自由度が高い通路については歩行者の感覚に合わせた案内情報を生成して案内するナビゲーション装置およびネットワークデータのデータ構造を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広いことを示す情報が付与されている形状鈍化対象リンクを含むネットワークデータ19を用いて経路を案内するための案内情報を生成して案内するナビゲーション装置1であって、ネットワークデータ19を用いて設定された設定経路を案内するための案内情報であって、形状鈍化対象リンクの形状を鈍化させて反映させた修正線を案内情報として生成する案内情報生成部14と、修正線基づいて強調表示させた誘導線を用いて案内する案内部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者用の案内情報を生成して案内するナビゲーション装置、およびコンピュータが歩行者用の案内情報を生成する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯することが可能なPND(Personal Navigation
Device)等の歩行者用ナビゲーション装置が利用されている。
従来の歩行者用ナビゲーション装置としては、例えば、歩行者用の通路を表現するリンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて出発地から目的地に到るまでの推奨する経路を設定し、設定した経路に基づく地図画像を画面に表示して案内を行なうナビゲーション機能を有するものが広く用いられている。また、横断歩道等の歩道と歩道とを接続する接続道については案内を省略するナビゲーション装置も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−114694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のナビゲーション装置は、シンプルな分かり易い案内を行なうことが可能となるものの、一部の通路に関する案内を省略するものであるため、場合によっては実際の通路の状況とはイメージが異なる案内を行なってしまうおそれがある。
本発明は、歩行の自由度が高い通路については歩行者の感覚に合わせた案内情報を生成して案内するナビゲーション装置およびネットワークデータのデータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、携帯可能な装置本体と、歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータであって、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広いことを示す情報が付与されている形状鈍化対象リンクを含むネットワークデータを記憶する記憶部と、前記ネットワークデータを用いて経路を探索し設定経路として設定する経路設定部と、前記設定経路のうち前記形状鈍化対象リンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する案内情報生成部と、前記装置本体の現在位置を検出して現在位置情報を出力する現在位置検出部と、前記現在位置情報に基づいて特定した範囲に対応する前記案内情報を用いて案内する案内部とを備えるものである。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広いことを示す情報が付与されている形状鈍化対象リンクを予め規定しており、この形状鈍化対象リンクに関してはリンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する。これにより、歩行の自由度が高い通路については歩行者の感覚に合わせた案内をすることになり、わかりやすくて歩行者の感覚にも合う案内を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例のナビゲーション装置に利用されるネットワークデータのデータ構造を示す図である。
【図3】本実施例における概略の処理のフローチャートである。
【図4】本実施例における経路設定処理のフローチャートである。
【図5】本実施例における設定経路の例を示す図である。
【図6】本実施例における案内情報生成処理のフローチャートである。
【図7】本実施例においてリンクの形状を鈍化する処理を説明する図である。
【図8】本実施例における案内画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、装置本体(図示せず)の内部に、記憶部11、入力部12、経路設定部13、案内情報生成部14、現在位置検出部15および案内部16を備えるPNDであり、歩行者用ナビゲーション端末として利用される。また、案内部16は案内制御部17および画像表示部18を備える。
【0009】
記憶部11は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置であり、地図データ19を記憶している。画像表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display)等であって画像表示面に画像を表示するデバイスである。入力部12は、表示部の画像表示面に備えられたタッチパネルである。現在位置検出部15は、GPS受信器であり、受信したGPS衛星からの電波に基づいてナビゲーション装置1の装置本体の現在位置を検出して現在位置情報を出力する位置検出センサである。経路設定部13、案内情報生成部14および案内制御部17は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。装置本体は、これら各部を収納する樹脂性の筐体である。
【0010】
図2に示すように、記憶部11が記憶している地図データ19は、歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータと、行政界図、道路図および家形図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の描画用データとを含む地図データである。
【0011】
ネットワークデータは、通路同士を接続する点をノードとして規定し、2つのノード同士を結ぶ線をリンクとして規定し、これらノードおよびリンクの接続関係を規定している。ノードの情報には、ノードの座標の情報、接続しているリンクの情報、リンクを介して接続する他のノードの情報などが含まれている。リンクの情報には、リンクのID情報、両端のノードのID情報、リンク長の情報、通路の形状を現実に近いように表現するための形状補間点の座標の情報などが含まれている。
【0012】
そして、本実施例のナビゲーション装置1においては、リンクの情報には、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広い形状鈍化対象リンクであることを示す「鈍化対象フラグ」が属性情報として含まれている。リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広い形状鈍化対象リンクとは、通路の進行についてリンクを示す線の向きに対して大きくずれた方向に進行しても次の通路へと移動することが可能であるリンクを示している。
【0013】
経路設定部13は、入力部12を用いたユーザの操作により指定された位置情報または現在位置検出部15が検出した現在位置情報に基づいて、記憶部11に記憶されている地図データ19を参照し出発地または目的地のそれぞれに対応する地図上の指定点を決定するとともに、ネットワークデータを用いて出発地から目的地に到る経路を算出して推奨する経路を設定する機能を有する。
【0014】
案内情報生成部14は、経路設定部13によりネットワークデータを用いて設定された設定経路を案内するための案内情報を生成する。具体的には、設定経路のうち形状鈍化対象リンク以外のリンクに対応する案内情報としてリンクの形状を反映させた案内情報を生成し、形状鈍化対象リンクに対応する案内情報としてリンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する。
【0015】
案内部16は、案内情報生成部14が生成した案内情報を用いて案内する。案内部16は案内制御部17および画像表示部18により構成される。
【0016】
案内制御部17は、現在位置検出部15が検出した現在位置情報に基づいてネットワークデータに含まれるリンクのうち適切なリンク上にマップマッチングし、マップマッチングした位置を含むように特定した範囲の地図画像を生成するとともに、案内情報生成部14が生成した案内情報を用いて生成した誘導線を地図画像に重ねて生成した案内画像を画像表示部18へ出力する。本実施例においては、マップマッチングした位置が生成した案内画像の中心に位置するようにしており、案内情報が歩行者の位置に対応するものとなっている。
【0017】
画像表示部18は、案内制御部17が出力した案内画像を画像表示面に表示する。
【0018】
本発明のナビゲーション装置は、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広い形状鈍化対象リンクを予め規定しており、基本的にはリンクに沿って案内するためにリンクの形状を反映させた案内情報を生成し、形状鈍化対象リンクに関してはリンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する。これにより、通常は通路に沿った歩行のための案内情報を生成し、歩行の自由度が高い通路については歩行者の感覚に合わせた案内情報を生成することになり、わかりやすくて歩行者の感覚にも合う案内を行なうことが可能となる。
【0019】
本実施例のナビゲーション装置1の処理について説明する。本実施例のナビゲーション装置1は、図3に示すように、経路設定部13により経路設定処理S300を実行して設定経路を設定し、設定経路に基づいて案内情報生成処理部により案内情報生成処理S400を実行して案内情報を生成し、案内情報を用いて案内制御部17により案内処理S500を実行して設定経路を案内する。
【0020】
<経路設定処理の例>
【0021】
まず、本実施例のナビゲーション装置1が、経路を設定する経路設定処理S300について図4を用いて詳細に説明する。本実施例の経路探索は駅の構内における列車の乗換経路の設定の例を示している。本実施例では、図5に示すように出発地Sと目的地Gとの間の歩行者の経路を、駅の構内におけるホームへとつながる複数の階段HP1〜HP4を接続する地下通路UPを挟んで設定された探索する例を示す。ホームは図示しないが、階段HP1は1番,2番ホーム、階段HP2は3番,4番ホーム、階段HP3は5番,6番ホーム、階段HP4は7番,8番ホームへと接続する。
【0022】
まず、ナビゲーション装置1は、経路設定部13により、記憶部11に記憶されている地図データ19を参照し、現在位置検出部15が検出した現在位置情報に基づいて特定のノードを出発地に対応する探索開始ノードとして決定し、続けて探索開始ノードを確定ノードとして登録する処理を実行する(ステップS301)。図5に示す本実施例においてはノードN9が探索開始ノードSとなり、これを確定ノードとして登録する。
【0023】
ナビゲーション装置1は、ステップS301が終了すると、経路設定部13により、記憶部11に記憶されている地図データ19を参照し、ユーザの操作による入力部12への入力によって指定された目的地に対応する探索終了ノードを登録する処理を実行する(ステップS302)。図5に示す本実施例においてはノードN16が探索終了ノードGとなる。
【0024】
ナビゲーション装置1は、ステップS302が終了すると、経路設定部13により、確定ノードに接続する接続ノードのうち、通過コストが最も低くなる接続ノードを選択し、注目ノードとして登録する処理を実行する(ステップS303)。通過コストの算出方法は後述する。
【0025】
ナビゲーション装置1は、ステップS303が終了すると、経路設定部13により、登録されている注目ノードは探索終了ノードGであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS304)。
【0026】
ナビゲーション装置1は、ステップS304において、登録されている注目ノードが探索終了ノードであると判定した場合は(ステップS304:Yes)、経路設定処理S300を終了する。ナビゲーション装置1は、経路設定処理S300が終了すると、後述する案内情報生成処理S400へ移行する。
【0027】
ナビゲーション装置1は、ステップS304において、登録されている注目ノードが探索終了ノードではないと判定した場合は(ステップS304:No)、注目ノードに接続する全てのリンクを接続リンクとして登録するとともに該当する接続リンクの情報に含まれるリンク長の情報を参照して該当する接続リンクの通過コストを設定し、さらに、接続リンクの他端点ノードを接続ノードとして登録するとともに接続ノードに予め付与されている右左折コストを読み出す処理を実行する(ステップS305)。
【0028】
ナビゲーション装置1は、ステップS305が終了すると、経路設定部13により、通過コストが未設定の接続リンクを対象に、接続リンクと注目ノードおよび確定ノードを接続しているリンクとがともに形状鈍化対象リンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS306)。図4に示すリンクL1〜L22のうち、地下通路UPのエリアの内部の通路を表現したリンクL13〜L22には、「鈍化対象フラグ」が属性情報として付与されている。
【0029】
ナビゲーション装置1は、ステップS306において、判定の対象とした接続リンクと注目ノードおよび確定ノードを接続しているリンクとがともに形状鈍化対象リンクではないと判定した場合は(ステップS306:No)、ステップS308に移行する。
【0030】
ナビゲーション装置1は、ステップS306において、判定の対象とした接続リンクと注目ノードおよび確定ノードを接続しているリンクとがともに形状鈍化対象リンクであると判定した場合は(ステップS306:Yes)、予め設定しておいた右左折コスト軽減率に基づいて、判定の対象とした接続ノードに付与されている右左折コストを軽減する処理を実行する(ステップS307)。
本実施例においては、歩行者が、歩行する距離を短縮するために通路の進行についてリンクを示す線の向きに対して大きくずれた方向に進行し場合であっても、次の通路へと移動することが可能であるリンク形状鈍化対象リンクが接続する箇所について右左折コストを軽減するので、歩行者が歩行する距離を短縮すると予想される実際の歩行に対応した経路として評価することができる。
【0031】
ナビゲーション装置1は、ステップS307が終了すると、経路設定部13により、探索開始ノードから接続ノードまでの経路のコストを算出する処理を実行する(ステップS308)。具体的には、上述した各接続リンクの通過コストおよび右左折コストを、探索開始ノードから注目ノードまでの経路のコストに加えることにより探索開始ノードから接続ノードまでの経路のコストを算出する。
【0032】
ナビゲーション装置1は、ステップS308が終了すると、経路設定部13により、登録されているすべての接続ノードについて探索開始ノードから接続ノードまでの経路のコストの算出が完了しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS309)。ナビゲーション装置1は、ステップS309において、経路のコストの算出が完了していないと判定した場合は(ステップS309:No)、経路のコストの算出が完了していない接続ノードについてステップS306以降の処理を再度実行する。また、ナビゲーション装置1は、ステップS309において、経路のコストの算出が完了していると判定した場合は(ステップS309:Yes)、ステップS303以降の処理を再度実行する。
本実施例においては、上述した処理を実行した結果、ノードN9から、ノードN1,N3,N5,N7,N8を経由してノードN16へ到達する経路Wが設定経路として設定される。
【0033】
<案内情報生成処理の例>
【0034】
次に、本実施例のナビゲーション装置1が、経路設定部13により設定した設定経路に基づいて案内情報を生成する案内情報生成処理S400について図6を用いて詳細に説明する。本実施例では、上述した経路設定部13による処理によって、設定経路Wが設定されている。
【0035】
まず、ナビゲーション装置1は、案内情報生成部14が、経路設定部13により設定した設定経路を取得する処理を実行する(ステップS401)。
【0036】
ナビゲーション装置1は、ステップS401が終了すると、案内情報生成部14により、設定経路に含まれるリンクのうち、経路に沿う並びにおいて探索開始ノードに最も近いリンクを取り出して評価リンクとして登録する処理を実行する(ステップS402)。なお、一度取り出して評価リンクとして登録したリンクは、次回以降、ステップS402において取り出されるリンクの対象からは除外される。
【0037】
ナビゲーション装置1は、ステップS402が終了すると、案内情報生成部14により、評価リンクが探索終了ノードに接続するリンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS403)。
【0038】
ナビゲーション装置1は、ステップS403において、評価リンクが探索終了ノードに接続するリンクではないと判定した場合は(ステップS403:No)、案内情報生成部14により、評価リンクが形状鈍化対象リンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS404)。
【0039】
ナビゲーション装置1は、ステップS404において、評価リンクが形状鈍化対象リンクであると判定した場合は(ステップS404:Yes)、案内情報生成部14により、評価リンクを鈍化対象リンク列のリストに追加して登録する処理を実行する(ステップS405)。ナビゲーション装置1は、ステップS405が終了すると、評価リンクの登録をクリアにしてステップS402以降の処理を再度実行する。
【0040】
ナビゲーション装置1は、ステップS404において、評価リンクが形状鈍化対象リンクではないと判定した場合は(ステップS404:No)、案内情報生成部14により、鈍化対象リンク列のリストにあるリンクについてリンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する処理を実行する(ステップS406)。具体的には、鈍化対象リンク列のリストに複数の形状鈍化対象リンクが含まれている場合が処理の対象となる。本実施例においては、形状鈍化対象リンクが連なる区間について、この区間に進入する進入点とこの区間から退出する退出点とを結ぶ距離が短くなるようにリンクの形状をなめらかに修正して鈍化させて反映させた線を修正線とて生成し、これを鈍化形状鈍化対象リンクについての案内情報とする。本発明におけるリンクの形状とは、単独リンクの形状、複数のリンクが連なって形成する形状をともに含む。リンク形状の鈍化は、接続し合う2つのリンクが成す角が所定範囲の値である場合にフィレット処理を実行してリンク接続部分の角を丸めることにより行なう。フィレット処理では、具体的には、接続し合う2つのリンクが成す角、リンク長および対応させるフィレットの曲率半径についての関係を予め定めておいたリストを参照することにより、図7に示すようなフィレットFLを生成する。なお、形状鈍化対象リンクが連なる区間内のノードが進入点と退出点とを結ぶ直線から一定距離内に、この区間内のノードが全て存在する場合には、この区間のリンク形状を直線化する処理を実行して修正線を生成し、これを形状鈍化対象リンクについての案内情報とする。
【0041】
ナビゲーション装置1は、ステップS406が終了すると、案内情報生成部14により、鈍化対象リンク列のリストをクリアにする処理を実行する(ステップS407)。ナビゲーション装置1は、ステップS407が終了すると、ステップS402以降の処理を再度実行する。
【0042】
ナビゲーション装置1は、ステップS403において、評価リンクが探索終了ノードに接続するリンクであると判定した場合は(ステップS403:Yes)、案内情報生成部14により、鈍化対象リンク列のリストにあるリンクについてリンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成するとともに、設定経路のうち形状鈍化対象リンク以外のリンクに対応する案内情報としてリンクの形状を反映させた案内情報を生成する処理を実行する(ステップS408)。鈍化対象リンク列のリストにあるリンクについての案内情報を生成する処理はステップS406と同じである。形状鈍化対象リンク以外のリンクについては、リンクの形状を修正せずに反映したトレース線を生成し、これを形状鈍化対象リンク以外のリンクについての案内情報とする。ナビゲーション装置1は、ステップS408が終了すると、案内情報生成処理S400を終了する。
【0043】
<案内制御処理の例>
【0044】
次に、本実施例のナビゲーション装置1が、生成された案内情報を用いて設定経路を案内する案内処理S500について説明する。
ナビゲーション装置1は、案内制御部17により、現在位置検出部15が検出した現在位置情報に基づいてネットワークデータに含まれるリンクのうち適切なリンク上にマップマッチングし、マップマッチングした位置が含まれるように特定した範囲の地図画像を生成するとともに、案内情報生成部14が生成した案内情報の修正線およびトレース線を強調表示させた誘導線を地図画像に重ねた案内画像を画像表示部18へ出力する処理を実行する。そして、ナビゲーション装置1は、画像表示部18により、案内制御部17が出力した案内画像を画像表示面に表示する処理を実行する。
【0045】
図8に示す案内画像において、形状鈍化対象リンクに関してはリンクの形状を鈍化させて反映させた誘導線GLが表示される。これにより、歩行の自由度が高い通路については歩行者の感覚に合わせた案内をすることになり、わかりやすくて歩行者の感覚にも合う案内を行なうことが可能となる。すなわち、歩行者用のネットワークにおいては、通行の自由度が高い空間あるにもかかわらず、通行可能な通路の組み合わせを無理にリンクで表現したために、従来は実際の歩行状態とかけ離れた案内画像の表現となっていたが、本実施例の案内画像によれば、実際の歩行状態と比較して違和感が少ない表現となっている。
【0046】
また、複数の形状鈍化対象リンクが連なる区間については、この区間に進入する進入点とこの区間から退出する退出点とを結ぶ距離が短くなるようにリンクの形状を鈍化させた修正線に基づく案内画像を案内情報として生成し表示するので、実際には最短距離を歩こうとする歩行者の感覚に近い案内を行なうこととなる。
【0047】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施例においては、ナビゲーション装置1はPNDであるが、車載専用ナビゲーション、携帯電話、GPS受信器付きパーソナルコンピュータにおいても利用することができる。
【0048】
また、上述した実施例においては、ナビゲーション装置1は、形状鈍化対象リンクの形状を鈍化させる処理についてフィレット処理を行なっているが、形状鈍化対象リンクが連なる区間のリンク形状の状態によっては、例えば、ペジエ曲線を生成する処理を行なうようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施例においては、ナビゲーション装置1は、装置本体内に記憶部11、経路設定部13および案内情報生成部14を備えたものとしているが、これらは装置本体内にあることに限定されるものではない。例えば、これら記憶部11、経路設定部13および案内情報生成部14を別途用意したデータ送信体内に備える構成としてもよい。このような構成においては、装置本体とデータ送信体との間でデータの送受信を行うことになる。具体的には、まずは装置本体が現在位置情報をデータ送信体へ送信し、データ送信体は受信した現在位置情報に基づいて案内情報を生成して装置本体へ送信し、受信した案内情報を用いて装置本体が案内するという一連の処理が実行される。
【符号の説明】
【0050】
1…ナビゲーション装置
11…記憶部
13…経路設定部
14…案内情報生成部
15…現在位置検出部
16…案内部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な装置本体と、
歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータであって、リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広いことを示す情報が付与されている形状鈍化対象リンクを含むネットワークデータを記憶する記憶部と、
前記ネットワークデータを用いて経路を探索し設定経路として設定する経路設定部と、
前記設定経路のうち前記形状鈍化対象リンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成する案内情報生成部と、
前記装置本体の現在位置を検出して現在位置情報を出力する現在位置検出部と、
前記現在位置情報に基づいて特定した範囲に対応する前記案内情報を用いて案内する案内部と
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内情報生成部は、複数の前記形状鈍化対象リンクが連なる区間については、該区間に進入する進入点と前記区間から退出する退出点とを結ぶ距離が短くなるようにリンクの形状を鈍化させた修正線を前記案内情報として生成し、
前記案内部は、前記修正線に基づく案内画像を用いて案内することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記案内画像は、前記修正線に基づいて強調表示させた誘導線を含むことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
コンピュータが、経路を案内するための案内情報を生成するために用いる歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータのデータ構造であって、
リンクが表現する通路の幅に対して実際に歩行可能な領域の幅が広いことを示す属性情報が付与されている形状鈍化対象リンクを含み、
コンピュータが、前記ネットワークデータを用いて設定された設定経路のうち前記形状鈍化対象リンクの形状を鈍化させて反映させた案内情報を生成し、
歩行者の位置に対応する前記案内情報を用いて案内する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78173(P2012−78173A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222781(P2010−222781)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】